ハイスピードレンズにおいてゾナーに押されぎみであったライツは独自での開発ではなくシュナイダー社からの供給という形でF1.5という明るさのレンズを世に出しました。ただ、レンズ設計は英国のテイラーホブソン社の特許であったため、”Taylor
& Hobson”の名が刻まれています。このレンズは大戦中から戦後(残った部品で少量が造り続けられた)1949年にズマリットにその座を明け渡すまで長い期間製造されましたが、当時としてはかなり高価であった事と最小絞りがF9までと特殊なレンズであったため、僅か6000本程しか製造されませんでした。特に日本では評価が低く、未だに手ごろな値段で見つける事が出来ます。
肝心の描写ですが、良く言えば非常にソフトな、悪く言えば眠たい感じの独特の描写をします。故に万人向けとはいきませんが、室内でのポートレート等にはなかなかイイ感じの作品を提供してくれるものと思います。
そんなこんなで評価の低かったレンズですが、現在の標準レンズの設計の多くがこのレンズをベースに造られている事を考えると、クセノン発売当時に現在のようなガラスとコーティング技術があったとしたら、最高の評価を与えられていた事でしょう。
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製 造 国 |
ドイツ |
マウント |
ライカ−Lマウント |
焦点距離・開放F値 |
50mm ・ F1.5 |
レンズ構成 |
5群・7枚(ガウスタイプ) |
最小絞・最短撮影距離 |
F9 ・ 3.5ft |
製造年度 |
1936〜52年 |
メーカー |
シュナイダー社 |
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