メーカー:UNIVERSITY 名称: DIFFUSICONE 12 8Ω
形式:フルレンジ メカニカル2ウェイ サイズ(口径):30cm
周波数特性: 40-14000hlz その他: アルニコマグネット
1957年頃のアメリカはユニバーシティーというメーカー製30cmメカニカル2ウェイ方式のフルレンジである。とはいえカタログデータでは高域は14000ヘルツまでしかないので正確にはエクステンデッドレンジと称した方がよいのかも知れない。
同社には、全く同じフレームとコーンを使用し、ホーンを追加し同軸3ウェイとした312というモデルも存在するが、そちらも上限は15000ヘルツと当時はそのくらいで事足りたのかも知れない。
しかし、聴感上ではアルミセンターキャップが寄与しているのか高域も十分に再生しており欲を言わなければ満足できるレベルだ。サブコーンもエッジ部分を含めて造りがしっかりしており、一見すると個別の磁気回路をもっているかのような佇まいだ。
コーンは見た目は重たそうなのだが軽く、剛性が高い。そのコーンを支えているのはコルゲーション付きの布製である。
フレームはアルミダイキャストだが肉厚は薄く、鋳造技術の高さをうかがわせる。マグネットカバーはプラスチック製で名盤の下のボルトで止めてある。外してマグネットを見たいのだが奇麗な名盤を剥がす気になれず外していない。でも、当時のカタログによるとアルニコWマグネットとある。全体の重量から察するとそれほど大きなマグネットではなさそうだがコーンが軽いので必要十分な力を持っている。
このユニバーシティーというメーカーだが、日本ではあまり知られていないがアメリカでは老舗のひとつで歴史は長い。ピアレスやアルテックと同じくウェスタンエレクトリックの傘下にあり60年代後半にアルテックの1部門となり、その後はアルテックの1工場となっているようだ。
PA用をはじめとしてホーンスピーカーの得意なメーカーのようで現存する製品としては“コブルフレックス”という名の折り曲げホーンがあり、今でもエレクトロボイス社からPA用として販売されている。
さて、肝心の音だが想像以上に高域の伸びがあり(実測でも13000までほぼフラットで以降なだらかに下がっている)、当初ツイーターを追加しようと考えていたのだが一聴して考えを改めた。ピアノなどの音に張りがあるだけでなく、パーカッションの切れなども実に良い。また、大柄なスピーカーなのに細かなディテールまで表現してくれてギターやウッドベースの指使いなどもリアルにる伝えてくれライブ録音などの臨場感は素晴らしい。一方の低域もボリュームがあり、しかもスピード感があり気持ちよい。また、小柄なエンクロージャーに入れても伸び伸びと鳴ってくれるところもうれしい。
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