メーカー:Peerless 名称: COAX 100-20
形式:同軸型2ウェイ サイズ(口径):25cm
周波数特性: 不明 その他: アルニコマグネット
見てのとおりフレームは鉄板プレスの何の変哲もない形状である。マグネットカバーの大きさは伊達ではなく、手に持つとずしりと重い。この中にはネットワークも入ってはいるがけっこうなサイズのマグネットが収まっておると思う。
ツイーターのマグネットも口径の割には大きく普通の16cm口径用くらいの大きさがある。写真では分かりにくいがコーン紙の裏はゴワゴワした感じで全体的に厚みのあるしっかりとしたものだ。

ツイーターをマウントしてある梯子は1ミリ厚ほどの鉄板でツイーターは裏側からリベット留めしてある。
その前面には金属(ステンレス風)の細かい網が張ってありディフューザーの役目も果たしているようだ。
ウーファーのセンターキャップは布にコーティングを施したもので爪で弾くとこつこつっというような感じだ。コーンは硬いがダンプ剤を塗布したエッジ部分は見た目よりはしなやかである。

デンマークはピアレス社の同軸型2ウェイユニットである。フレームの外周に型番と思わしきCOAX 100-20の文字がスタンプしてある。ウーファーのコーン紙は意外と厚みがあり剛性も高いものが使用され、エッジはフィックスドタイプでダンプ剤が塗布されている。ツイーターは4cm口径くらいのコーン型でユニット前面に渡した梯子状のフレームの中央にマウントされる。一見すると柔な感じのするツイーターのマウントだが、十分な厚みがあり鳴きも殆どない。マグネットはウーファー、ツイーター共にアルニコタイプで全体の重量から察するに十分な大きさを備えているように思う。
さて、こいつをどう料理したものか、調べてみたものの、何の情報も得られなかった。取りあえず裸で音出しテストを行うと割と良い音がするではないか。手元に25cm口径のグッドマン用に作ったバッフルがあったので試しに箱に装着してみる。このバッフルは振動板とほぼ同面積の大きな開口部があるものなので、平面バッフル並にユニットに背圧がかからない。低域は少々物足りないかと思ったのだが想像に反してたっぷりめの低音を奏でた。むしろ少々重い感じの低音である。一方の中高域は非常に切れ込みよく鳴ってくれる。鋭いながらもけして嫌みな音は無い。バイオリンの高域弦が実に心地よい。よく艶っぽいなどと表現されが、生のバイオリンを聞いた方なら分かると思うが、実際はもっと切れがあり時に喧しいくらいのものだが、その辺りの生っぽさをよく表現してくれる。なんとかこいつに合った箱をこしらえてチューニングしてみたいと思うユニットである。

ピアレス社について、ご存じない方のために簡単に紹介すると、その創業は1926年までさかのぼりデンマークだけでなく世界的に見ても老舗のスピーカーメーカーと言えよう。同じデンマークで1933年創業のスピーカーメーカーであるVifaに1995年に吸収される。更に2000年にScan-Speakと統合しDanish Sound Technology(DST)となる。そして、2005年にはTymphanyとDSTが合併し、Tymphanyが存続会社になり現在に至る。社名は変わってもTymphanyは、傘下にPeerless, Scan-Speak,Vifaの3ブランドを擁し、それぞれに独自の製品を送りだしている。なお、通常はOEM供給をする場合にユニットメーカーの名が前面に出ることは少ないが、ピアレスの名声は高く、敢えてその名を前面に出すことでPRするメーカーが多い。最近の製品ではPiegaが同社のユニットを使用していることを大きく謳っている。古くは、日本のデンオン(現デノン)が1975年に同社のユニットを使用したシリーズ(SC-104,107)を出している。

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