NIKON F4

 左
F4仕様
ウエストレベル
ファインダー装着


右 
F4s仕様
マルチフォトミック
ファインダー装着
(オールドレンズも
よく似合う)

ニコン最強のMF一眼レフ?
F4との出会い:
ニコンのカメラは実に90台目くらいにしてやっと入手した。アンチニコンではないが、愛着の沸く製品に出会わなかったのと、好きなレンズに出会わなかった。だが、初めて憧れたカメラはニコンだった。中学時代に理科の先生がいつもマクロレンズを付けたFを首からぶら下げていて僕らのスナップやら教材用の写真を撮っていたのだ。だが、そのカメラは当時の僕には敷居が高すぎて手が出せなかった。
ところが、高校の時買ったブロニカにはニッコールレンズが付いていた。だからニッコールとのつきあいは長いことになる。そのブロニカ用の600oレンズを買ったときのことだ。店員が「フォーシングユニットさえあればニコンのボディーにも付くんだよ」と一言。その後そのユニットを探したが、ずっと見つからず、やっと見つけても同じ600oに付いている状態であった。ところが、400oでニコンマウント仕様のものが格安で出ていたので思わず購入してしまった。
だが、この時点ではボディーを持ち合わせていなかった(大笑)。一気に2本のバズーカ砲の如き超望遠を手にして何を買おうかと迷った挙げ句に買ったのがF4sなのだ。
恐らく、歴代のF一桁シリーズ中で最も人気の無かったカメラではないか?自分も社会人になりたての頃に先輩が購入し、一月ほどで手放したのを覚えている。当時は僕もなんて不細工な…と思ったものだ。ところが、現在オールドレンズが使える機種が少なく、F3のスペックでは時代遅れだし…と思ったときにF4を手にしたら…AF機としては時代遅れだがMFとしては最高の出来ではないか?そして不細工だと思っていたのに意外と操作感が良い、流石にジウジアーロだあぁ〜なんて急に魅力的に見えてしまった。
よく「美人は3日で飽きる」なんて事を言うが、この個性のカタマリのようなデザインは一度惚れ込むと、とことん惚れさせる魅力を持っている。だが、個性が強すぎて万人受けがしなかったのであろう。
F4の魅力:
このカメラ、流石にフラッグシップ機だけあって目に見えないところまで実によく造り込んである。そして、写真を撮るという道具として考え得る最高の品質を提供していると言える。
第一に、ファインダーの見やすさが挙げられる。多分に設計者はこのカメラがAFとMFの両方の使われ方をされる事を想定し、いずれにおいても最高の操作感を提供しようと考えたのではないか?故にマニュアルでのピント合わせも非常にしやすい(ピントが掴みやすい)。いや、気持ちが良いと言ったほうが正しい。
一方のAFだが、時代遅れと思ったがスピードこそ遅いが精度は非常に高い(自動切り替え式赤外カットフィルターがあり、赤っぽい被写体に対するピントずれを小さくするなどの工夫も盛り込まれている)ので安心して使える。
次に挙げられるのがシャッター&巻き上げの感触とその音である。実に気持ちいい。心地よさの秘密は、@シャッターバランサー(シャッター作動の反作用にブレを少なくする装置)A複合材シャッター羽根(シャッターの強度と耐久性を向上させるだけでなく、軽量なため作動時のブレも小さくする効果がある)B超低速連続巻き上げ(CS)モード(作動は遅くなるが巻き上げ音を小さくする)等の機構が組み込まれている。
また、肝心の露出においても@二重シャッター羽根遮光により縦走りシャッターの弱点である遮光性を改善し、ミラーアップ時や屋外でのレンズ交換時も漏光を少なくし、A縦位置センサーにより、マルチパターン測光の精度をさらに向上させるなどの工夫が成されている。もちろんスポット測光、中央部重点測光の切換があるのは言うまでもない。
このように目に見えぬ部分の技術によって気持ちよく撮影が出来るだけでなく、低速時もブレが少ないので安心して手持ちで撮影ができる等、実に使い勝手がよい。
また、各部の操作はマニュアルで使うのに最適の設計になっている。現在のF5が完全なAF機として設計されたのに対してF4はある意味でニコン最後のマニュアル機と見ることができよう。ただ、電池の重さだけはなんとかならぬものだろうか?(^^)。でも、逆にこの重さが安定感に繋がっているとも言えなくもない。僕はニコンの最高傑作のひとつだと思う。
製 造 国
日 本
形式・タイプ
電子制御式35ミリオートフォーカス
一眼レフカメラ
画面 サイズ
24×36ミリ
シャッター
電子制御上下走行式フォーカルプレンシャッター、シャッターバランサー付き
S・Mモード時:T・B(Mモード)、4秒〜1/8000秒(1EVステップ)、X(1/250秒)、Tはメカニカル制御
P・Aモード時:30秒〜1/8000秒
セルフタイマー電子制御式、作動時間約10秒
シンクロ接点:X接点のみ、1/250秒以下で同調
露出制御

測光方式
P(標準プログラムオート)
PH(高速プログラムオート)
S(シャッター速度優先オート)
A(絞り優先オート)、 M(マニュアル)

TTLマルチパターン測光/中央部重点測光/スポット測光切替え可能。
マルチパターン測光=マルチフォトミックファインダー装着時に測光可能、
マルチセグメントSPD2セルによる5分割方式、縦位置センサー付き、AF・AI-S・AIレンズ使用時に測光可能。
中央部重点測光=マルチフォトミックファインダーおよびフォトミックアクションファインダー装着時に測光可能、中央重点度約60%。
スポット測光=約5ミリ相当を測光、全交換式ファインダーにて測光可能。
ファインダー
アイレベル式マルチフォトミックファインダー標準装備、ハイアイポイント仕様、視度調節機構内蔵、ホットシュー、ファインダースクリーン補正ダ
イヤル、アイピースシャッター付き
フォトミックアクションファインダー、高倍率ファインダー、ウエストレベルファインダーと交換可能

ファインダー視野率=約100%(対実画面)
倍率=約0.75倍(50ミリ、無限遠、-1.0DP)
アイポイント=約22ミリ
(保護ガラスより、-1.0DPのとき)
巻き上げ S:1コマ巻上げ
CH:高速連続巻上げ4.0(5.7)コマ/秒
CL:低速連続巻上げ3.3(3.4)コマ/秒
CS:超低速連続巻上げ0.8(1.0)コマ/秒
F4仕様時()内はF4s仕様時
製造年度
1988年〜1997年?
生産中止アナウンス後も少量が生産されたらしい。
最終ロットNo.は、261万台
メーカー
ニコン
遡るニコン史
(開発物語byニコン)
遡るニコン史〜ニコンF4(第1回&2回)は実に興味深い。もし貴方がF4を手に入れようとお考えなら一読されるが良いだろう。また、既にお持ちの方も一読されることをオススメする。