アディダスアドベンチャーが生んだ類稀なる逸材バッドランダー。この
スニーカーはストリートでの流れ等を読んで造られたというよりも、アド
ベンチャーの鬼っ子が偶然にもカッコ良く出来あがってしまった、という
ところが真実ではないか?と思っている。だって本当にアドベとは思えな
いほどカッコイイんだもの。
 
 アディダスアドベと言えば、ブーツから端を発し、クローによって街履
きが可能(というより卓越しているが)なモデルを出し始め、クローシス
テムからフィートゥーウェアという機能に移り変わりトレッキングに確固
たる地位を築いてきたのだが、悲しいかなスタイリングという意味ではず
ば抜けた存在を得られずにいたというのが真実だった。一部のマニアには
カッコ良く見えたとしても所詮ニッチな存在であって、ストリートの主役
に躍り出せそうなことは間違ってもあり得ないようなモデルばかりであっ
た。ある1足を除いて(この理由はベスト1参照)は。そんな状況に97
年末にこのバッドランダーが忽然と姿を表したのだ。アドベファンであっ
てもビックリのこのスタイルは、出荷足数の少なさもあってまたたく間に
マニアや一部ショップの間で盛り上がった。気がついたら買えなかった、
なんて人も結構いたのではないだろうか。
 しかも履いてみれば実に至福な履き心地。これぞオールラウンドスニー
カーと呼べる見事な出来であった。多分、どのアドベンチャーよりもクロ
ーの影を色濃く残したモデルではないだろうか?。もちろん、進化を遂げ。
 
 デザインにおいて特徴的なのはもちろん、フルカバーのアッパー。確か
に水は入らないかもしれないが、あそこまで踏み切っているスニーカーは
他には無かった。しかも心憎いことにカバーの中身(見えない部分)まで
非常にキレイにデザインされているのだ。こりゃ相当な手練者である。私
に至ってはぜひともそのカバーの中身を見せたく、ベージュの2足目を用
意してカバーを取り去るという暴挙に及んでしまった。確かにこんなヤツ
はいないだろう。カバーが無いバッドランダーもオレンジと黒とブルーが
いきてきてそれも中々おつなものである。試してみろ、とは言えないけど。
 後から出たグレーや赤も面白い。もちろんベージュが白眉だが、色の違
いでこれほどまでに違ったイメージを受けるスニーカーもそうないんじゃ
ないか?と思う。見た目だけではなく、機能にも優れた本当の意味での傑
作と言えるだろう。

 最近、青とベージュのLOカットも出てこの後に黒や赤もお目見えする
らしいが、やはり派生種の悲しさか初代モデルには勝てないし、なんとな
く上級感に欠ける印象がある。固く見えちゃうんだな?。金具のせいだけ
でもないだろうが。
 
 その単体のカッコよさ並びにシルエットの妙から、逆にウェアと合わせ
るのが難しいバッドランダーだが、それを乗り越えて履けばスニ−カ−上
級者への道は開かれたも同然だろう。確実に歴史に残る名機たりえるのだ、
バッドランダーは。