第18回世界コンピュータ将棋選手権の結果

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エントリ

開発者 プログラム名 使用マシン(CPU等) 使用言語
山田泰広 山田将棋(Version 2.98) PC/AT互換機(Athlon64 X2 4800+) C

1次予選(エントリ22チーム/上位9チームが2次予選へ進出)

1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 勝敗 順位
山田将棋Ver 2.98 ○Shallow Thoughts ○臥龍 ○白砂将棋 ○HIT将棋ver0.43 ●マイムーブ ○みさき ●習甦 5-2-0 6
2次予選へ進出!

2次予選(シード15+勝ち上がり9の計24チーム/上位5チームが決勝リーグへ進出)

1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 8回戦 9回戦 勝敗 順位
山田将棋Ver 2.98 ●K-Shogi ●習甦 ●dos ○あうあう将棋 ●うさぴょん ●Shotest ○まったりゆうちゃん ●あやまり将棋 ●A級リーグ指し手1号 2-7-0 23
いいところなく敗退。

準備

ここ数年で最も準備が少なく、主だったところは以下。 マルチスレッド化や定跡集利用は、着手すらできず。 leaf付近で効率を上げようと細かい修正を積み重ねた点は 良かった。Late Move Reductionは、選手権1週間前に 試しに入れてみて、速さが少し向上したので採用したまま 選手権に臨んだ。1次予選通過後に静止探索のようなものを 実装してみたが選手権後、手の生成が不足していることに 気づいた。がっかりだ。

1次予選

my machine 序盤白星を重ねることができたのだが、何より、高田さんの 臥龍に勝てたのがうれしかった。飛車先の攻防で細かい ポイントを重ね押さえ込むことができた。高田将棋の頃も 含めて、初めて高田さんに勝てた。みさき戦は相振りから 守りの金駒で相手の飛車角をいじめる展開に。こちらの守りが薄く ヒヤヒヤだった。みさき玉が壁を解消して長くなるかなと 思ったところを、香を成り捨てて挟撃したところが 良かった。負けた2戦の内容が良くなかったが、とりあえず 1次予選を突破できてほっとした。

2次予選

1次予選を終え、ちょっと温めていたアイディアを実装。 leafを超えて延長する際に、静止探索のような効果をねらった 得をする取りのみを生成するようにしてみた。 が、結果、星は伸びず。実装が半端だったことに後で気づいた。 初戦のK-Shogi戦が短手数にならずに済んだので、 なるようになるさと思ってみていた。 A級リーグ指し手1号戦は良くなりそうな場面もあったと 思うが、終盤冴えなかった。

コンピュータの偉大な勝利、その1

202 hall 謎電の高橋さんと、お昼を食べながらふと思ったこと。 それは、小谷先生が進歩本2に寄せた一節に関すること。 ディープブルーがカスパロフに勝ったことに対して 研究者開発者の勝利という意味で「人間の偉大な勝利」と 新聞にコメントを出したところ、表面的な事実に即した 「コンピュータの偉大な勝利」に差し替えられた、という くだりだ。習甦さんにコテンパンにひねられたことを ずっと考えていてのこと。最近の、ボナンザが先鞭をつけた 棋譜からの評価パラメータ学習が、大変な成果を上げている ことは、「コンピュータの偉大な勝利」が近づいている ことを示しているように思うのだ。コンピュータ自らが、 棋譜を舐めて学び始めているのだから。以前は、研究者開発者が、 自ら持ちあわせている将棋に対する見識経験を、 プログラムにうまく実装してゆくことによって、 プログラムを強くしてきた。だからプログラムの 棋力向上は「人間の偉大な勝利」であった。が今は...。 選手権後、2chの関連スレッドを見ていたら、 コンピュータチェスでは、すでに、コンピュータ同士の 対局棋譜を教師として学習させているらしい。 人間の対局棋譜では弱いから、だそうで。 チェスは完全に「コンピュータの偉大な勝利」状態である。

コンピュータの偉大な勝利、その2

矢内女流が以前の懇親会で「筋が悪くなるので コンピュータとは一切指しません」と言っていたのを 思い出した。当時微妙な空気になったかどうかは 覚えていないが、いずれにせよ私たち開発者が 生み出していたプログラムはその程度のものであったのだ。 それが今年はどうだろう。"まったく勝てそうにない くらいの強さを目の当たりにしたので"という意味で 「もうコンピュータとは絶対に指しません」と 言わせたのだ。溜飲が下がるとはこのことか。 「コンピュータの偉大な勝利」が近づいている。

来年にむけて

検証の精度を上げる、マルチスレッド化する、といったところか。 他にもやるべきことがたくさんある。ひとつずつ、 コンスタントに。
Taikou Yamada (t-yamada _at_ ceres.dti.ne.jp)