第11回世界コンピュータ将棋選手権の結果

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エントリ

開発者 プログラム名 使用マシン(CPU等) 使用言語
山田泰広 山田将棋(Version 1.70) PC/AT互換機(Athlon/1GHz) C

1次予選(エントリ36チーム/上位8チームが2次予選へ進出)

1回戦 2回戦 3回戦 4回戦 5回戦 6回戦 7回戦 勝敗 順位
山田将棋Ver.1.70 ●矢埜将棋4 ○横山将棋 ○砂田将棋Ver2.0 ○永吉将棋 ●将皇 ●鬼将棋 ○100.EXE 4-3 16
1次予選敗退

感想

202 hall Kazusa Ark 結果はなんとも残念。今年は詰め将棋ルーチンに反復深化を導入し、 PCも新調していただけに。

今年から会場が「かずさアーク」へ。遠い、めちゃ遠い。自分自身が 関東を離れたことを差し引いても、遠いと思う。きれいで広いことは 確かなんだけどね。

Machine

当日。まずは発送してあったPCを開梱。ディスプレイは送付せず、タワーPCと ノートPCをEtherクロス接続して表示・コントロールをすることに。 2台を立ち上げて、ノートからタワー接続しようとする。 が、pingにも反応しない。ちょっと慌てる。 タワーのほうがどういう状況なのかわからないので、事務局から ディスプレイを借りれるか相談。すぐにつなげられるものが無さそうで、 さらにあたふた。そんな折、隣でセットアップしていた天野兼太くんの ディスプレイを借りることができた。 「ブートディスクが無いよん」という メッセージ。かなり青くなる。2年前のことを思い出し、とりあえず深呼吸。 おもむろに、自宅から持参したドライバーでタワーPCのケースを開けてみる。 なんと中を覗くのは、購入後これが初めて。CPUは浮いていない(爆)。 ケーブル類をいくつかたどってみると...、おぉ、HDDにつながっている IDEケーブルが緩んでるではありませんか! しっかり差し込んで無事起動できた。 私にも学習能力があることがわかって、ちょっとほっとした。滝沢会長、 柿木さん、お騒がせしました。

さて、対局。論理バグをひとつ(馬による飛び利きの王手生成が不足)、 前の晩にFixしていたので、そのソースを置き換え、 コンパイルしていざ出陣。いきなり初戦で、矢埜将棋。 後手の山田将棋が例によってひねり飛車風の怪しい序盤。 はやくも相手の角頭7六歩をただで取れる局面に! が山田将棋取らず。 その後矢埜将棋の飛車が浮き、7六の歩にひもが付いて、結局 7六歩を取れずに終わる。あ〜あ。なんのことはない、山田将棋の先読みにおいて、 相手側の飛車を浮いてのひも付けが、静的仮評価によって指し手リストから 漏れてしまった模様。だから相手はすぐにはひもをつけられないだろうから、 「いつでも取れる!」と判断してすぐには取らなかったみたい。最悪である。 以降、いいところなく駒損を重ねて負け。

第2戦は横山将棋。なんとか勝つ。中盤の▲8三桂や▲2一銀はひどかった。 相手の角を切ってくる疑問手に助けられた。

第3戦は砂田将棋。例の2年前に、こちらがPCG-505(Pentium133MHz)で戦った ときに負けている。今年はきっちり雪辱を果たす。しかもなんと22手。 滝澤会長によると、きちんと詰ましての勝利では 選手権最短記録 ではないか、とのこと。1次予選ならでは。

第6戦は永吉将棋。負けていた将棋。きちんと相手が金で受けて いれば、こちらはジリ貧であった。

第5戦は将皇。これがいちばんハラハラで面白い将棋だったと思う。 この将棋に勝てないのだから予選通過できないのは当然。確かに駒組の段階で、 山田将棋側の玉頭が薄く作戦負けではあった。けど、これまでの 選手権予選では、このような局面から殴りあいで怪しく勝ちを拾っていた。 でもそれがもう通用しないらしい。山田将棋の今の実力ではダメだと いうことだ。

第6戦は鬼将棋。がっぷり組んで負けた第5戦の消費時間が10分ほどだったので、 もう少し深く読むよう、読み延長用のしきい値などを調整したところ、 対局途中にクラッシュ。情けない。

最後は100.EXE。相手からの飛車取りを無視して、と金を寄る渋い 詰めろを着手できた。一旦受けられるものの、易しい11手詰めを 読み切って勝つことができた。納得の1局。

Final

今年は3日間会場に足を運んだ。3日目のプロジェクタ画面ダブルによる 解説はさすがに面白かった。昨年同様2次予選に進んでいれば、 さらに9つも戦えたわけで、もっと楽しかっただろうになと思った。 初日から、坂下さんとアルゴリズムについていくつか話ができたのは よかった。 坂下将棋には詰め将棋ルーチンが無い というのには驚いた。それはさておき(個人的にはとてもおいておけない のだが)、坂下さんとの会話の中で、前々からの疑問をひとつクリアできた。 「反復深化って、同じ局面を訪れたとき、また指し手を 生成するルーチンを呼ぶと無駄だよね」って切り出したら、 指し手リストをメモリに保存しておけば?という話に。確かに、 無理そうなサイズではない。特に、山田将棋のように合法手を全部 リストアップしてから枝刈りするタイプでは、読みに回さない多くの 無駄な手を何度も生成するのはばかばかしい。有岡さんのページに ツリーの保存についてかかれてあったので参考にしよう。 言われてみれば「なぁんだ、そうだよね」ってことが山田将棋には 数多く抜け落ちてるに違いない。まわりに誰も議論できる人がいないって いうのは言い訳になるかもしれないけど、鈴木さん、池さん、山本さんの 環境はやっぱりうらやましい限り。とにかく無様に予選落ちしたので またがんばって強くしようと思う。


Taikou Yamada (t-yamada@ceres.dti.ne.jp)