SAP R/3 (UNIX/Oracle 4.0B) インストール手順


初版作成日 1999/11/18
最終修正日 2000/3/17


(1) 全体の流れ

インストールの全体の流れは以下のようになる。
1. 準備・計画(OSパラメータの調整やディスク容量の見積もり)
2. R/3インスタンス(/sapmnt/exe以下のファイル)のインストール
3. DBインストール
3.1 RDBMSインストール
3.2 DBへのR/3データロード
4. 言語インポート準備
5. 言語インポート

(2) インストール詳細

1. 準備・計画(OSパラメータの調整やディスク容量の見積もり)
以下の作業は、特に順番にこだわる必要はない。
  1. SIDを決める。SIDはアルファベット大文字と数字の組み合わせ による3桁の文字列で、先頭に数字を使うことはできない。
  2. SAP R/3を動かすためのチェックリストを確認し、 プラットフォーム(ハードウェア/OS)、メモリ容量、ディスク容量、 スワップ容量、テープデバイスなどが、要件を満たしているか 確認する。後から言語インポートする際に、若干余計にディスク 容量を必要とするので(3.2a)、ノート97585を参照してあらかじめ余裕の ある容量にしておく。物理ディスクに切ることのできるパーティション には上限(7つなど)があるので、要注意。
    swap全体で(物理メモリ)x3+500MB必要
    /usr/sap/trans移送用ディレクトリ
    /usr/sap/<SID>R/3のインスタンス固有データを格納
    /sapmnt/<SID>実際にR/3のインスタンスが入る
    /oracle/stage/stage_804OracleのインストールCDイメージを格納
    /oracle/<SID>$ORACLE_HOME
    /oracle/<SID>/origlogAREDOログファイルorig(グループA)
    /oracle/<SID>/origlogBREDOログファイルorig(グループB)
    /oracle/<SID>/mirrlogAREDOログファイルmirr(グループA)
    /oracle/<SID>/mirrlogBREDOログファイルmirr(グループB)
    /oracle/<SID>/sapreorgデータファイル再編成作業用
    /oracle/<SID>/saparchREDOログのアーカイブを保管する
    /oracle/<SID>/sapdata1R/3用データディレクトリ1
    /oracle/<SID>/sapdata2R/3用データディレクトリ2
    /oracle/<SID>/sapdata3R/3用データディレクトリ3
    /oracle/<SID>/sapdata4R/3用データディレクトリ4
    /oracle/<SID>/sapdata5R/3用データディレクトリ5
    /oracle/<SID>/sapdata6R/3用データディレクトリ6
  3. 推奨のディレクトリ構造・容量に従ってディスクを用意する。 実際には物理ディスクのパーティショニング、newfsと、 /etc/fstab設定など。{orig|mirr}logのAとBは、物理ディスクも 別にする。

    OracleのLGWRがログスイッチを起こすと、それまで使用していた ログファイルの内容をアーカイブに書き出す作業を始める。 このとき、スイッチ前と後のファイルを別の物理ディスクにして おくことで、パフォーマンス低下を未然に防ぐ。
    swapを手動で追加(swapon -a)したら、KERNEL-CDに入っている memlimitsというツールで、どれくらいswapを確保できるかチェック しておく。Errorが出なければ問題なし。
  4. 各プラットフォーム毎に、OSカーネルパラメータの推奨値が あるので確認し、必要ならば変更する。
2. R/3インスタンス(/sapmnt/exe以下のファイル)のインストール
  1. KERNEL-CDを/sapcdへマウントして/sapcd/UNIX/<OS>/CENTRDB.SHを 起動。必要に応じてGUI(INSTGUI)も起動する。このとき、実行するのは、 書き込み権限のあるインストール用の一時ディレクトリ(たとえば /installなど)。インストールの進捗をCENTRDB.R3Sへ記録するため。
    ※CENTRDB.SHセントラルインスタンス+RDBMSの構成
    ※CENTRAL.SHセントラルインスタンスとRDBMSが別の場合
    ※DIALOG.SHR/3ダイアログインスタンスを追加する場合
    ※GATEWAY.SHスタンドアローンゲートウェイを追加する場合
    上記のスクリプトは、インストールするインスタンスの種類毎の 設定を助けるためのもので、内部ではR3SETUPが起動される。
  2. 20前後の問いかけに答えてゆく。
  3. EXPORT-CD1に架け替える。 このとき、KERNEL-CDをumountできない場合は、つかんでいる プロセスCENTRDB.SHを強制的に殺す。
  4. RDBMS-CD1に架け替える。 この時点では、Oracleはまだインストールされていない。 CDイメージが/oracle/stage〜へコピーされる。
  5. orainstの起動を促されたところで、2.の終了。
3. DBインストール
orainstによるOracleのインストールと、再びR3SETUPに戻っての R/3データのロードの、2段階に分かれる。
  1. /install/CENTRDB.R3Sファイルのテーブルスペースサイズ設定を、 言語インポート分を考慮した値に修正する。このファイルを参照して、 R3SETUPが後々テーブルスペースを確保する。(ノート97585)
  2. <sid>adm, ora<sid>のパスワードを設定する。必要に応じて PATH変数に/usr/sbinが入るよう、.loginなどを修正する。
3.1 RDBMSインストール
  1. ora<sid>ユーザにスイッチし、環境変数TERM,ORACLE_TERMを 設定する。
    % setenv TERM vt100; setenv ORACLE_TERM vt100
  2. /oracle/<SID>/orainst_sap/orainstを起動
  3. デフォルトのままOKしながらインストールを進める。
  4. orainstでエラーが出る場合は、Fixするためのパッチや 修正モジュールが用意されているはずなので、それをここで 当てる。(Digital Unixの場合はノート104316,101318,134042)
  5. Oracleのインストールにあたり、root権限を必要とする処理、 root.shを実行する。
    ora<sid>ユーザをOSのsystemグループに追加しておく。 /etc/groupの該当行へ追加。 次にora<sid>で、
    % cd /oracle/<SID>
    % source .dbenv_<hostname>.csh
    % su root
    # cd /oracle/<SID>/orainst
    # ./root.sh
    ora<sid>でデータベースに接続できるか確認する。
    % svrmgrl
    SVRMGR> connect internal
    Connected.
    SVRMGR> exit
3.2 DBへのR/3データロード
  1. 後々の言語インストールを考慮して、これから作成する テーブルスペースのサイズ設定を、あらかじめ増やしておく。 具体的には、ノート97585を参考に、CENTRDB.R3Sの [Z_ORACREATETSP]セクションを修正する。
  2. R3SETUPへの復帰。rootで
    # cd /install
    # ./R3SETUP -f CENTRDB.R3S
  3. CDをEXPORT-2へ架け替える。データのロード(Oracleへ の取り込み)が始まる。AlphaServerでおよそ6時間かかる。
  4. REPORT-CDへ架け替える。ふたたび、少し時間がかかる。
  5. スワップが断片化しOSが重くなっているようなら、 ここで一度リブート。
4. 言語インポート準備
独英以外の言語を使用するには、R/3の移送を利用してインポート する必要があり、事前に移送環境を整えてからインポートに入る。
4.1 X版sapgui(sapwin)をインストール
PRESENTATION-CDをマウントし、rootで
# cd /instal
# /sapcd/GUI/UNIX/GUI.SH
4.2 TPPARAMの調整
<sid>admで、
% cd /usr/sap/trans/bin
% cp TPPARAM.TPL TPPARAM
続いて、sapwinでR/3に接続し、ddicでログオン。 トランザクションse06で、[standard install]をチェックし、 [execute]。
4.3 サポートパッケージ1の適用
言語インポートに先立ち、サポートパッケージの1版を 当てる(ノート104127)。
  1. 事前にデフォルトユーザ以外でSAP_ALL権限を持つユーザを su01で作成しておく。
  2. サポートパッケージを適用するためのトランザクション SPAM自身にバグがあるので、まずSPAMに対してパッチを当てる (ノート104127,104664)。<sid>admで
    % cd /usr/sap/trans
    % CAR -xvf /path/KD00018.CAR
    クライアント000/先ほど作成したユーザでログオンし、 [SPAM]-[Patch]-[Upload]、 [SPAM]-[Patch]-[Apply]-[SPAMupdate] を実行する。途中で、runtime errorが発生した場合は、 再度updateを試みる。
  3. サポートパッケージの適用 HOTPACKAGE-CDをマウントして、<sid>admで
    % cd /usr/sap/trans
    % CAR -xvf /sapcd/HOT_40B/KH40B01.CAR
    クライアント000/先ほど作成したユーザでログオンし、 [SPAM]-[Patch]-[Upload]、[Continue]ボタン&全画面 [SPAM]-[F4キー]、[check queue]ボタン、 [specify queue]ボタンでパッチを選択して [Apply]-[Continue]ボタン 30分以上かかる。アボートしたらそのままやり直し。
4.4 アーカイブログモードのオフ
データの取り込みが始まると、オフラインREDOログへの 吐き出し(アーカイブ)が大量に発生し、/oracle/<SID>/saparch があふれる可能性があるので、アーカイブログモードをオフに しておく。<sid>admで
% stopsap r3
% su - ora<sid>
% sapdba
fのメニューでトグル
% exit
% startsap r3
4.5 ワークディレクトリ作成
<sid>admで
% cd /usr/sap/trans/data
% mkdir lang
% chmod 777 lang
4.6 インスタンスバッファの同期をオフにする
  1. デフォルトプロファイルを編集するので、まずはR/3に インポートする。(rz10)
  2. rdisp/bufrefmode=sendoff,exeoffに変更
  3. R/3インスタンスを再起動(stopsap r3 / startsap r3)
5. 言語インポート
5.1 インスタンスプロファイルの変更(その1)
rz10で以下の変更を行う。
rdisp/wp_no_btc=2
zcsa/installed_language=EJ
zcsa/system_language=E
R/3インスタンスを再起動(stopsap r3 / startsap r3)
5.2 TCPOD,TCPDBの設定
[se16]でテーブル名にtcpdbと入れ、Table,CreateEntryの 2つに8000を設定し保存(ノート15023)。 [se38]でrscp0020を入力しExecute。Addをチェックして Other CountryにJPと入れてExecute(ノート42305)。
5.3 インスタンスプロファイルの変更(その2)
install/codepage/appl_server=8000
install/codepage/db/transp=8000
install/codepage/db/non_transp=8000
saptemu/Codepage=8000
zcsa/system_language=J
zcsa/installed_language=EJ
abap/import_char_conversion=0
abap/locale_ctype=ja_JP.SJIS
R/3インスタンスを再起動(stopsap r3 / startsap r3)
5.4 言語CD(Japanese Language CD)が1998/9版の場合。
開発クラス依存エクスポート、財務諸表に関する インポートの不具合を修正する。
  1. 言語CDを/sapcdへマウント
  2. パッチを展開
    % cd /usr/sap/trans
    % CAR -xvf /sapcd/FIXES/KL40B03.SAP
    以下のように展開されたことを確認する。
    • /usr/sap/trans/data/RL40B03.SAP (データファイル)
    • /usr/sap/trans/data/KL40B03.SAP (制御ファイル)
  3. パッチを当てる コマンドラインから移送キュー作成とインポートを 行う。
    % cd /usr/sap/trans/bin
    % tp addtobuffer SAPKL40B03 <SID>
    (Everything OKというメッセージを確認する)
    % tp import all
    (リターンコードが4以下ならばOK)
5.5 インポートする言語を設定(インポートマニュアル2-4)
smlt-[Goto]-[Classify language]と進み、 JAをチェックしchoose、言語捕捉(Suppl.with)をENとして 保存。
5.6 言語インポート開始(インポートマニュアル3-2)
smlt-[Schedule Import]画面で、以下のように設定する。
Language directory/sapcd
Log directory/usr/sap/trans/data/lang
Import modeFull import
Supplement languageチェックする
[Start data]を選択してインポートプログラムをバック グラウンドでスケジュールする。日付と時刻を指定して 保存。(immediate start) [Execute]-[Japanese only.]-[Execute]-[Execute]- [Execute]-[schedule O.K.] ここから4時間くらいかかる。 sm37でstart after jobをチェックして検索し、以下の ジョブがスケジュールされていることを確認する。
  • SAP-LANGUAGE-IMPORT-JOB-1
  • SAP-LANGUAGE-IMPORT-JOB-2
  • SAP-LANGUAGE-IMPORT-JOB-3
  • SAP-LANGUAGE-SUPPLEMENT-000
5.7 インポート正常終了の確認
上記ジョブがFinishしていることを確認。 smlt-[Import log]ボタン。 また、以下のログファイルも参照する。
  • /usr/sap/trans/data/lang/PJADC001.<SID>
  • /usr/sap/trans/data/lang/PJAST001.<SID>
  • /usr/sap/trans/data/lang/PJATX001.<SID>
5.8 インポート終了後の処理
sapdbaでアーカイブモードをONにする(cf. 4.4)。 バッファの同期処理を元にもどす(cf. 4.6)。 rdisp/bufrefmode=sendoff,exeauto

2000/3/17 Taikou Yamada (t-yamada@ceres.dti.ne.jp)