つぶやき about FMV-575D4


はじめに

 僕の人生を着実にむしばみ続けてきたFMV-575D4(またの名をFMV-DESKPOWER H(またの名をFMV-DESKPOWER SX))。ここだけの話で終わらせるのももったいないので、過去のつぶやきから関連する項目を抜き出して特設ページとしてまとめてみた。もしごみ捨て場などでさびしそうにしているFMV-575D4(DESKPOWER SX)を見つけた時は、拾っていじってみるよろし。



12月31日

◆Oh!みそか

 実家でおやじの使っているパソコンを久々に触ってみたら、やたらと遅い。それもそのはず、Pentiumの75MHzという白亜紀のCPUで動いていた。ハードディスクは540MBのドライブ一基のみで、残り容量は100MBを下回っている。これでよくCADなんてやってたなぁ。

 これじゃあんまりだと思い、ヤマダ電気へ足を運ぶ。洗脳音楽の流れる中、ゲットしたのはメルコのHK6-MD300(Socket5/7用アクセラレーター)と2GBハードディスク(秋葉原じゃ4GBのものは買える値段だった)、それとグラフィックアクセラレーター。バカみたいに6万円も使ってしまったが、これだけあれば十分使えるパソコンになるだろう。

 まずはCPUだ。これが動かないと話にならない。さっそく筐体を開く。安っぽいCPUクーラーを冠して鎮座するP5/75を取り去り、いかつい新CPUをセット。早速立ち上げると・・・お、ちゃんと起動するぞ。と思ったのもつかの間、Windowsの起動画面で停止する。ウンともスンともいわなくなり、電源断でしか回復できないようだ。質の良さでは定評のある初期のFMVなので気にはなっていたが、恐れていた通り、お話にならなくなってしまった。

 気を取り直してハードディスクを組み込む。2GBもあればあと3年は食いつぶされることはないだろうと思いさっそくベイを覗くと、なんとすでに見知らぬハードディスクが取り付けられている。しかし電源も信号線も接続されていない。おぼろげな記憶を辿ってみると、確か去年の正月もハードディスクの増設を試みて断念していたのだった。ハッハッハ(笑いごっちゃねぇっちゅうの)。なんで断念したのか思い出せないので、取り合えず作業を進めてみる。

 領域は確保できた。フォーマットもできた。システムも転送した。そして現環境のコピー。ここで去年の記憶がよみがえった。ロングファイルネームのファイルを転送しようとするとコケてるわけだ。おもむろにハードウェアのプロパティーを見ると、黄色のびっくりマーク(!)。MS-DOS互換のファイルシステムだぁ?そんなのにしてくれと頼んだ憶えはねぇ!と息巻いてみたところで、今の自分のスキルではこれを解決するすべもなく結局断念。

 最後の望み、ビデオカード。新しく買ってきたXPERT XLは値段の割に性能は良く、自分のマシンにも使っている。CirrusLogicのGD-5434というありきたりな安物チップがオンボードで動いているので、こいつを切り離そうとマザーボード上のジャンパーピンを探す。が、ない。BIOSの設定ではそういった項目は見当たらなかったので、必ずジャンパーがあるはずだと思い必死に探すが、あるのはBIOSパスワード無効化設定とかクロック倍率くらい。穴のあくほど探した結果、見づらいところに設定表が印刷されていた。ジャンパーはあるにはあったが、そこにピンはなく、しっかりと半田付けされていた。背水の陣ともいえるこの状況で引き下がるわけにも行かず、ニッパーで2ピンと3ピンの短絡をぶった切り、半田ごてを握りしめて1ピンと2ピンをつなぐ。そしてビデオカードを挿し込み電源を入れるが・・・ダメだ。何も映らない。

 後日談:これは自動的に切り替わる(つもりの)仕様らしく、ジャンパーをいじる必要はなかった。但しPCI2.1以降のカードではBIOSのアップデートが必要(後述)。

 というわけでなけなしの金と長い時間を費やしたにもかかわらず得るものは何もなかった。結局ベースクロックを50から66に上げてやっただけという、なんだか良く分からない結果で終わってしまった。腐るなぁ。



2月8日

◆パソコン奮闘記

 先日揃えたCeleronマシンはあまりに調子よくまとまりすぎた。その反動か、ほかのパーツ購入ではハズレくじばかり引いている気がする。というわけで普通のパソコンユーザーには小難しい、パワーユーザーにはかったるい話題。

 CPUアクセラレーターはどのマシンでも満足に稼動せず、結局同じ会社のヒトに渡った。手元に残ったのは233(しかも非2)にグレードダウンしたK6(+げた)。最初の段階でちゃんと動作機種を確認すればと悔やんでも悔やみきれない。同じDESKPOWER SXで一体いくつのモデルがあるんだか把握できてなかったのが痛い。未だに わかんないけど。

 そしてこいつを活かそうと買ったSocket7マザーはAOpenのAP58というヤツで、これがまたスカ。Win95をインストールしてもビデオカードがいくつも検出されたりされなかったり(メーカー側も確認済み)、ハードディスクはMS-DOS互換モードだし、ネットワークインターフェースの認識は中途半端だし(ベンダー名などを取得するのみで、リソースが割り当てられない)。こんなんを1週間で動作確認せぇっちゅうのもキツい話だ。

 余ったFMV-575D4はBIOSをなんとかしないとビデオカードさえ増設できないらしい(すばらしい製品だ)。しかしBIOSの書き換えは富士通のサービスセンターでしかやってくれず、しかも有料(\7,000)。巨泉風に言うと「さらに倍」って感じだ。人生のすべてが敵に見えてきた。

 パーツからパソコンを組むとき、古いものに足を引っ張られているとこの手の問題はますます目立ってくる。ある要素に気を取られていると他の問題が目に入らなくなり、予想外のところでヘンに苦労してたりする。そんなこたぁハナからわかりきっていたことで、このグチも自分を突き放して見るための単なるたわごとだ(90%強がり)。

 動いて儲けモン。無秩序に散らばった骸(むくろ)からあわよくば新しいマシンを生み出すべく作業を続けるだけ。-Journey is the reward- 旅こそ報いなり。なんだかんだ言って結局この状況に楽しみを見出そうと救いのない生活を送る、そんな自分が大好きだ。14日にはたくさんの基板に囲まれて、楽しい夜を過ごせそうである。



6月22日

◆不実

 ちょっと冷静になったつもりで、部屋に転がっているガラクタの系譜を考えてみた。

 実家から持ってきたパソコンの背面には、FMV-575D4と記されていた。誰がどう見ても型番だろう。CPUアクセラレーターやビデオカードを付け足すときには、当然この番号を頼りにショップへ駆け込めば済むものと思っていた。

 ところが。ところがだ。カタログに山ほど載っていた型番の中に見つかったFMV-575D4は一つではなかった。FMV-575D4FMV-DESKPOWER H(FMV-575D4)FMV-DESKPOWER SX(FMV-575D4)。まったく、『ウォーリーを探せ!』じゃあるまいし。しかも微妙に違うというのがややこしい。  基本性能が同じでも、構成が違うものを同じ型番でならべるってのがまたズサンだ。それだけならまだいいがっ、同じなのはスペックだけで、適用できるパーツのバリエーションが少し違うという点だ。うち1つはK6/400がはまるのに対し、もう2つは最高でもMMX P5/233しかはまらない。完璧に別物だ

 日電以外のメーカーが雨後のタケノコのようにDOS/Vパソコン屋として粗製濫造を繰り返していた時代だし、とりあえず動くものを売ればいいという雰囲気だったのだろう。でも、こんな調子じゃサポートに死ぬほど苦労しただろうな。

 その間にもソニーは隙を窺っていたのか?などと勘ぐってみると面白い。



7月8日

◆不自由を 常と思えば 楽しいな

 何が楽しいかって、FMVだ。専用ページを作りたくなるほどたくさんのネタが転がっている。世界で一番Cold(≠Cool)なブランドかもしれない。(書き方はグチっぽいので不快に思う人もいるかもしれないが、実際は楽しんでいるのでそこんとこはお含み置きを)

 CPUやビデオカードの交換、ディスクの追加。こんな初歩的な欲求でさえ、敷居は高い。CPUについてはそれなりに道が開けているらしい。ユーザーのページを見るとK6やWinChip2も動くようだ(電圧変換は要るが)。でも動作は不安定になりOSの再インストールを余儀なくされたという話も同様に多い。ビデオカードはちょっとクセモノだ。オンボードでチップが載っているが、これを殺すのがなかなかうまくいかないようだ。インストール直後はちゃんと写っても、再起動すると元のチップに戻るっていうトラブルもあるらしい。PCIの規格が2.0準拠という点も、発売時期が95年夏ということもあり仕方のないことだ。これもBIOS書換でほぼ解消するらしいので特に心配はしていない。ディスク交換はちょっときびしそうだ。標準装備のディスクは300MBちょっとだし、E-IDEの出現から間もないリリースなのでしょうがない話だが、2GBオーバーのディスクは正しく認識できないそうだ。これもやはりBIOS書換 or ディスクメーカーのユーティリティーで回避可能。

 …BIOS書換なしにできる作業ってないじゃないか。それも別に最新のBIOSにというわけじゃなく、Acerのものに戻すだけらしいし。ってことはわざわざ不良BIOSに積み替えて売ってるのか富士通。それだけならまだしも、書換作業は富士通サポートセンターでしかやってくれない。オマケに有料(\7,000)。うひょ〜。

 初心者と呼ばれる人たちには絶対に選んで欲しくないメーカーだ。確かにそこそこ安くてカタログスペックもよさげだが、ちょっとでも手を入れようとするとすぐに突き当たる壁。ユーザーの評判を調べてみると苦情ばかり。せめて多少なりとも改善の方法を探れる「3年以上の自組PC経験」を持った人、あるいはどんなトラブルも笑って済ませられるような広い心を持った人でないとつとまらないだろう。同じ物を2〜3割安くした「サポートなしモデル」なんてのを出せば、自力で何とかしたいという個人ユーザーにはかなり受けがいいのではないだろうか。それにどの道サポートなんて有名無実なようだし。サンプル数が少ないので断言はできないが、PC Watchでの「メーカーのサポートについてのアンケート」でも断然ケツだった理由がなんとなくわかる気がする。

 補完しようにも欠陥のほうが大きすぎる。でも考え様によってはへたなパズルゲームより面白い。欠陥が大きいからこそ頑張りを見せるのもまた人間のいいところで、そういう自分に自己満足したいがためにつらい思いをしているのかもしれない。登山よろしく征服することを目的にがんばる私は五里霧中、途中で遭難しそうだ。



8月24日

◆自虐

 懲りずにFMV。AcerのBIOSに入れ替えるものの、Windows98のインストールになるとダメ。DAME。デイム。途中まではうまく行くのに、インストール後の再起動になるとダンマリ。とりあえず使える状態になったら友達(ビンボー)にあげようと思ってたのに、なかなかうまく行かないもんだ。

 P5/133で作業しているが、ひょっとして売られていた時についていたP5/75でしか動かないとか?安定しない不良マザーを拾ってきて低いクロックでだましだまし売ってたのか?だったらZIF(Zero Insertion Force:簡単にCPUをとりかえられる)ソケットの意味ないじゃん。

 おかげで今日は寝不足ぎみ。でも楽しい。



8月27日

◆完了

 やっとこさFMV-575D4を制覇した。いろんなページを回って情報を集めた甲斐があった。以下思い出せる限り、やったことをまとめてみる。

 CPUはMelcoのK6 ODPに替えた。233だ。一応MMXサポートだけど、ベースがベースなのであまり期待はしていない。メモリーは部屋に転がっていた4MBモジュールを4枚で16MB。EDOが使えないといろいろ苦労する。ハードディスクはSAMSUNGの2.1GB。遅い・うるさいの2拍子揃ったドライブだが、容量的には充分か。

 BIOSのバージョンは『FUJ…なんたら』ってやつで、BIOS切り替えのジャンパースイッチをいじっても起動画面のメーカー表示を切り替えるだけで、BIOS自体は変わらないみたい。これをAcerの『ACR…』ってやつに変更(r03-b0s0.bin)。当然BIOSとアップデートユーティリティーのバージョンも重要になってくるわけだが、これがわかりにくい。同じFMV-575D4でも、初期と後期でちがうようだ。

http://www.kct.ne.jp/~senoh/index.htmlあたりが非常に参考になった。

[V12LC -1 と -2 の 見分け方]

  • BIOSチップ上に記載
  • 選択できるCPUクロックの上限が...
    • 133MHzのとき → V12LC -1BIOS = R03-B0 or R03-B0S0
    • 200MHzのとき → V12LC -2BIOS = R04-E8 or R04-E8S0
※V12LC -1 に -2用のBIOSを当てるとフロッピーディスクにアクセスできなくなるらしいので注意

[BIOSの書き換えっ!]

  • flash utility(Aflash.exe Ver.2.1)を展開
  • フロッピーディスクを『1.44MB』、『起動専用』でフォーマット
  • 展開したflash utilityとBIOSイメージ(r03-b0s0.bin)をコピー
  • このフロッピーで起動
  • A:\>aflash.exe[Enter]
  • 旧BIOSをセーブする。名前は何でもいい
  • 『Write File OK !! Press Any Key To Continue......』点滅 → [Esc]で終了
  • A:\>aflash.exe r03-b0s0.bin[Enter]
  • 書きこみ後自動的に再起動しなければ、10分ほど待って電源を入れなおす
  • BIOSの版数を確認して、Setup画面で『Load Setup Default Settings』する
  • 以前の設定を入力して保存、再起動
 とりあえず必要なものは揃ったのでさっそく書きこみ作業。非常にヤバイと思った瞬間も一度か二度あったが、無事に終了。

 Windows98のインストール。起動用FDとCD-ROMをつっこんで電源オン。通常なら起動用FDに収められているCD-ROMドライバーが動いてくれるはずだが、ぜんぜん認識していない。さすがFujitsuだ。本当なら富士通か松下寿のサイトからドライバーを持ってきてつっこまないといけないらしいが、そんなまどろっこしいことはやってらんない。その辺に転がってたドライブを代わりにぶち込む。動作確認よし。

 やっと本番。長い長いインストール作業が終わり、最後の設定作業が始まろうという時に、ハング。そのうち「Windows保護エラー」が出始め、にっちもさっちも行かなくなった。不安定な575D4のことなのでベースクロックを66MHzから60MHzまで落としてみたが、やはりだめ。K6-2なんかじゃなくOld Pentiumとかじゃないとまずいのか?とも思いつつ、まさかの50MHzで試してみると、うまく行く。なんじゃそりゃ。

 そういえば実家で、もともと50MHzだったベースクロックをむりやり66MHzで動かした時に不安定になったのを思い出した。その時はてっきりCPUだけのせいかと納得していたが、今考えるとマザーボードのほうだったのかもしれない。さては富士通、不良品を安く調達したな? おかげで233のCPUが175MHz稼動じゃないか。まぁ間違ってもメインマシンとして使うことはないし、いっか。



あとがき

 電脳戦記バーチャロンのパソコン版、そのインストールでの機種選択時に『DOS/V』と『PC-98』、そして『FMV』という選択肢があった。その時は自組PC/ATコンパチマシンを使っていたので別段気にも留めなかったが、今考えるとおかしな話だ。DOS/VマシンでもPC-98でもない、"他のなにか"

 やはり手ごわかった。実にまる1年もかけてこの結果とは、かなり情けない話である。が、ゼロよりなんぼかマシかもしれない。…いや、ひょっとしたらゼロのほうが余計な投資をする必要もなくてよかったのか?

 しかし、こんなヘタレマシンでも長く使ってると愛着も湧くもんだ。とっとと人に譲ろう。というわけでこれにておしまい(…にしてほしい)。

 なにはともあれひと段落。


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