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BRUCE LEE in FIST OF FURY

STAFF

製   作……………………………レイモンド・チョウ
監督・脚本……………………………………ロー・ウェイ
撮   影…………………………チェン・チン・チェー
音   楽…………ジョセフ・クー&クゥ・チア・ウイ
闘技 指導…………………………ハン・イェン・チェン

CAST

チェン・チェン……………………………ブルース・リー
ユアン・リー・エー…………………………ノラ・ミアオ
ロシア人・ボクサー…………………ロバート・ベイカー
特別出演…………マリア・イー/ジェームス・ティエン

(かいせつ)

 天才的なひらめきを持った鋭敏多彩な空手神技で全世界に圧倒的な魅力を発散し、驚異的ブームを捲き起して、彗星のようにこの世を去ったブルース・リー。その強力第3弾。
 ブルース・リー映画の最高傑作と呼び声高い、この作品は1900年初頭の上海を背景に日本軍国主義の嵐吹き荒ぶ動乱のさなか、若い空手・拳法の達人が亡き恩師のために伝統ある道場を守り抜き、悪らつな乗っ取り派と真っ向から対決するというもの。波乱に満ちたそのストーリー展開と共に終始、緊迫感みなぎるブルース・リーのスーパー・アクションを打ち出し、空手、拳法、ヌンチャク、棒術の見事な神技はもとより、初めて刀術の敵とまみえて、超人的な必殺法を見せ、文字通り息づまる見せ場のつるべ打ち。華麗壮観な≪クン・フー≫のダイゴ味を爆発させる。
 出演は、ブルース・リーを筆頭に、その相手役に美人俳優として名高いノラ・ミアオが選ばれて、初めてリーとラブ・シーンを演じ話題をまくほか、「ドラゴン/危機一発」の新人のマリア・イーが特別出演、さらにあらゆる武術の達人が総出演、白熱のアクションを競っている。
 監督、脚本は「ドラゴン/危機一発」と同じくベテランのロー・ウェイ、製作も同じくレイモンド・チョウ。音楽は、「ドラゴン/危機一発」でベスト・ワンをつっ走るジョセフ・クーが担当して、凄まじいアクションを迫力ある演奏でもり上げている。

<ストーリー>

恩師の死

 非常可烈な日本軍国主義の嵐が、中国大陸に吹き荒れる1908年、その動乱のさなか、上海の国際祖界の街に一人の中国人青年がやってきた。名をチェン・チェンと言い、優れた拳法の使い手で、その闘技は鋭く速く天才的なひらめきを持っていた。
 チェンが上海に来たのは、ほかでもない、彼の武術の師であり、古い伝統を誇るチン・ウー道場の創始者ホ・ユアン・チアの葬儀に参列するためであった。道場は、この偉大な武道家の不可解な死に打ちひしがれ、チェンもまた、深い悲しみに沈んだ。
「先生!先生!」
激しく泣きじゃくり、棺の上にピッタリうつぶせになったチェン、両手で出来る限りの土を払いのけ、駄々っ子のように泣きじゃくる。

我々は弱者でない!

 それに追い討ちをかけるかのように数日後、同じこの上海で一派をかまえる大日本虹口道場から、≪アジアの弱者≫と記した銘板が届けられた。これは明らかにチン・ウー道場、ひいては中国人全体に対する許しがたい侮辱であり、挑戦でもあった。
 若いチェンは憤激し、時を移さず大日本虹口道場に乗り込んでいったが、あいにく会長のスズキは不在、やむなくその腹心のヨシダをはじめとする輩下数十人と対決し、稲妻のような空手拳法とヌンチャクで圧倒、≪アジアの弱者≫なる銘板を叩き返した。
「よく聞け!一度しか言わない。我々は弱者でない!」

上海を去るべきか

 このチェンの道場荒しに怒った日本側は、多大の権力を使って、チン・ウー道場を圧倒、攻撃と破壊を思うままにし、祭壇をぶちこわし、チェンの身柄を3日以内に引渡さなければ、道場を閉鎖して全員を逮捕すると脅迫した。
「チェンを渡せば殺されるし、渡さないと道場を閉鎖されるわ」
「チェンが彼らの手に落ちたらおしまいだ。ただ一つの方法は彼が上海を去ることだ」
と仲間。
 チェンが、上海の道場と仲間を守るためには、上海を去るか、あるいは自首しなければならない。

別れの夜

 その夜。2階からリー・エーが足音をしのばせておりてくる。祭壇の前に、また一人でポツンとすわっているチェン。
「もうおそいわ。おやすみになっては」
「荷造りは……」
「すんだわ」
「僕が上海に戻ってきたのは君に結婚を申し込むためだったのに、ばかなことをしてしまった……」
「そんなこといってはいけないわ。あなたは永遠に旅に出てるわけじゃないわ。今度ここに戻っておいでになるまで、私はあなたを待っているわ」
「君も他の人たちも僕のために苦しんでいる」
「そんなこと。誰もあなたを責めていないわ。おやすみにならなければいけないわ」
チェンはゆっくり手をのばし、ユアンの手にふれる。
「僕は起きている。先生と起きている。君は君はやすみたまえ」
リー・エー、うなずいて立っていく。

なぜ先生を殺したのだ

 だが、毒殺されたという師ホ・ユアンの死の謎を解き、是が否でも真犯人を探し出したい。チェンは、その夜、ようやく道場の料理人として潜り込んでいた二人の男がユアン毒殺の下手人であることをつきとめ、怒りの鉄拳を浴びせて地獄へ送った。むろんこの二人の男は、悪人スズキの命令を忠実に守っただけのことだったのだが…。
「なぜ先生を殺したのだ!なぜだ?言え!なぜ先生を殺したのだァー!」
叫ぶチェン。

愛の誓い

 車夫や電気工夫に変装してチェンの暗躍は、大日本虹口道場を震えあがらせるに充分だった。チェンが、スズキの秘書である卑劣な中国人ウーを襲い、ことの真相を吐かせたあと、強烈な鉄拳で殺した時、スズキは遂に警察を抱き込み、チェンの徹底追跡に打って出た。
 こうして警察の捜索に追われながら、チェンは、どこに身を潜めたのか。チェンの危機を案じる同僚のファン・チュン・シャと、今はチェンを心から愛するユアンの娘リ・エーは、街中を探しまわり、ようやく師ユアンの墓前でチェンの姿を発見した。追いつめられた危機のなかで、はじめて愛を告白し合うチェンとリー・エー、
「私はあなたを愛しているわ。あなたを手助けしたいの」
「僕も君を愛している。今までと同じように。僕を疑わないでくれ!」
2人は熱烈なキスを交わして、再会を約し、別れを惜しむのだった。

怒りの鉄拳

 一方、チェンをなかなか捕えることができず、焦るスズキは、いっきにチン・ウー道場を叩き潰そうと、ヨシダら輩下数10人に命じて凄まじい攻撃を浴びせて来た。
 そして、丁度チン・ウー道場が鮮血にまみれている頃チェンは、恩師の復讐のために日本武術協会に殴り込み、敢然と闘いを挑んでいた。神技に近い敏捷強力のチェン拳法の必殺テクニックは、怒りに燃えあがって吼え猛り、日本武術協会の並いる高弟たちを次々と打ち倒していった。肉を砕かれ、脳天を割られてドス黒い血を吐きながら、ことごとく地獄に送り込まれた男たち。
 この時、チェンの前に立ちふさがった大男、丁度スズキの用心棒として雇われていた屈強なロシア人ボクサー、ペトロフ。双方一歩もゆずらぬ神技と超技、しかし、ほんのわずかな間隙をついて、チェンはペトロフを打倒した。
 そして遂に最後に残った会長スズキ、悪人とはいえ、武道家としては超一流、残酷な荒わざでは右に出る者なしと謳われたスズキであるが、チェンの実力を目のあたりにして、とても太刀打ちできないと知ったスズキは最初から太刀を取ってチェンに立ち向ってきた。全身鋼鉄、すべての機能がバネのようなチェンの突き、蹴り、跳躍、そしてヌンチャクの冴え。その闘技は壮絶そのもの。血まみれのスズキ。この激突は遂にチェンの勝利で終止符を打った。

大円団

 かくして偉大なる師ホ・ユアン・チアの仇は見事に打たれ、チェンの疑惑通り、ウー道場乗っ取りのためにスズキが、ホ・ユアン・チアを毒殺した事実も明るみに出た。すべてが終り、チェンは愛するリー・エーと共に、上海を逃れようと決心した。だが、それも束の間、ことは意外な方向へ進んでいった。
 チン・ウー道場と大日本虹口道場との凄絶な闘いのあと、まだ死の匂いたちこめる道場にチュン・シャとリー・エーが駆けつけたとき、そこに日本領事と警察が待ち受けていた。権力をカサに着る領事は、チェンが自首しない限り、チン・ウー道場を閉鎖し、しかもチュン・シャ、リー・エーたちの命さえ保証せぬと脅迫、この場に再び緊迫した不気味な殺気が盛りあがっていった。
「チェンはここだ!」
 その時、道場の2階からチェンが突然姿を現わし、一同が雷に打たれたように見つめる中を、チェンは堂々とおりて来た。リー・エーの傍を通る時、チェンは万感をこめてその顔をみつめた。リー・エーは唇をかんでうつむいた。チェンは自分の命とひきかえに、リー・エーたちを助けようと自首を申し出たのだ。
 刑事や日本領事の先に立って玄関を出て行くチェン。門の外から、チェンに狙いをつけている、外国人のそして同胞の銃口――、突然チェンは雄叫びをあげ、彼らに向ってとび蹴りを……。その一瞬何発もの銃声が耳をつんざいた。若く逞しいチェンの身体は空しい最後の絶叫を残して大地を蹴った。