下記の画像をクリックすると各作品の詳しい解説へ


animated.gif

BRUCE LEE in THE BIG BOSS

STAFF

製   作……………………………レイモンド・チョウ
監督・脚本……………………………………ロー・ウェイ
撮   影…………………………チェン・チン・チェー
音   楽……ジョセフ・クー/ウォング・フー・リン
闘技 指導…………………………ハン・イェン・チェン

CAST

チェン・チャオ・ワン……………………ブルース・リー
シュー・シェン……………………ジェームス・ティエン
チャオ・メイ…………………………………マリア・イー
マイ…………………………………ハン・イェン・チェン
クォン…………………………………………リー・クォン
ウー・マン…………………………………………マラリン
工場長…………………………………………チン・シャン
マイの息子…………………………………トニー・リュウ
露店の女………………………………………ノラ・ミアオ

(解説)

 鍛えぬかれた身のこなし、神技を思わす多彩なカラテ技で、世界中のヤングを魅了しつくした男、ブルース・リー待望の第2弾。
 空前の大ヒットを記録した第1弾「燃えよドラゴン」は公開されるやそれまで無名に近かったブルース・リーをたちまちのうちに大スターの座に押し上げ、我国に空前の”カラテ映画”ブームをもたらした。
 ところが、この不世出の大スター、ブルース・リーは4本の主演作を残し、73年7月突然この世を去ってしまった。以後、あらゆる種類の空手映画、スターが”ポスト”を狙い待機中だが、何と言ってもブルース・リー。特にこの作品は、彼の主演第一作。世界のブルース・リーを生んだ画期的な作品である。もちろん、この作品もそのブルース・リーの魅力は、そのままに一段と凄まじさの増した≪クン・フー≫アクションを随所に盛り込み、映画本来の面白さを徹底的に追求、見るものを存分に堪能させてくれる。
 監督脚本は、ロー・ウェイ、製作は、ブルース・リー、ジミー・ウォングなど多くの空手アクション・スターを生み出したレイモンド・チョウ。
 共演陣も多彩でリーに心を寄せる少女には、新人のマリア・イーが扮して可憐な魅力をふりまき、また、ジミー・ウォングの新作にも出演している人気スター、ジェームス・ティエンとリーの競演も話題。このほか、リーの主演第三作「ドラゴンへの道」の相手役女優、ノラ・ミアオが特別出演している。
 タイでロケを敢行、迫力ある凄絶なアクション・シーンもふんだんに、またまた話題を呼んでいる。

<ストーリー>

オープニング

 大雨による洪水のため農作物に大被害をうけた田舎の青年チェン・チャオ・ワンは都会に出て働く決心をし、伯父につれられていとこのシュー・シェンたち一家が住んでいる大きな町へ出て来た。シューや妹のチャオ・メイたちは多くの兄弟や一族との大家族で暮していたが、男たちは町の南部にある製氷工場で働いていた。チェンはいろんな武術を身につけ、喧嘩にかけては村でもならぶものがなかったため、村に残した彼の母親も、彼を町へつれて来た伯父も喧嘩することをかたく禁じ、チェン自身も母からもらったヒスイのペンダントにかけて、絶対に喧嘩をしない誓いをたてていた。
 チェンは伯父を田舎へ帰したあと、シューたちと同じ製氷工場で働くことになった。町の有力者であるマイが経営するこの工場は、実はマイ一家の表看板で、ここで作る氷の中にかくした麻薬の密売が彼らの本業だったのである。だからマイは腹心の部下である工場長の下に腕力の強い工員班長チャウと何人かの監視員をおいていた。工員の中に何かのことで麻薬に気ずく者がいると、多額の金をあたえて仲間に引きこんで口を封じようとし、もしそれを断わると、マイの息子がひきいる親衛隊がかんたんに殺して、バラバラにした死体を氷の中にかためこんで処理するという残忍な方法をとっていた。
 さて、工場で働きはじめたチェンは、ふとした手もとの狂いで氷をレールから落したため中にかくしてあった麻薬がとび出した。あわてた、監視員がチェンを殴った。だがチェンは母のロケットをにぎりしめてがまんした。彼の誓いはかたかった。町へ着いたとたんに、まんじゅうを売っているシューの小さい弟が町の暴力団にタダ喰いされて殴られシューが彼らと戦った時も、シューの友だちが博打場でイカサマにかかり、それをあばいたシューが用心棒たちと戦った時も、チェンは誓いを守り通した。‥‥‥‥

殺人戦法

 チェンが落した氷から出た麻薬に気づいたチンとウォンの二人は工場長に呼ばれ、大金を餌に仲間になれと言われたが、それを断わった二人は、その場で殺されバラバラにされて氷の中にかためこまれてしまった。この前にも同郷のワン老人が行方不明になっていた。シューは工場長に会って二人の行方をたずねたが手がかりを得られず、前夜二人に会ったというボスのマイに会うことにした。
 広大な屋敷に住んでいるマイは、自から陣頭に立って親衛隊に殺人戦法を教える腕の持主だった。仲間一人をつれて、マイに会いに来たシューは、狡猾なマイにかるくあしらわれたあげく、親衛隊の攻撃をうけ、必死の応戦もむなしく二人とも殺されてしまった。

捜索

 クオンは仲間を町中にとばせてシューたちの情報を集めることにした。勿論チェンも町にとび出し、必死になってシューを探した。
「オレはシューを探している。彼がどこにいるか知らないか?」
「最近シューを見かけなかったか?」

 これらの問いに対する人々の答えはすべて、「ノー」であり、「最近見ないね」であった。必死の捜索にもかかわらず何の手がかりも得られなかった。

正義の鉄拳/メインテーマ

 家に残されたチェン、チャン、メイ、クオンたちは、5人までも行方不明となったいま、ようやくマイ一味を疑いはじめ、工場長に情報を要求してストライキに入った。班長以下監視員たちは、暴力で彼らを働かせようとし、双方のあいだに乱闘が展開した。工場長はボスに連絡して増援隊を求めた。戦いは大きくなり、仲間は次々と倒された。じっと静観していたチェンもまきぞえを喰い、大切な母のロケットが、まっ二つに割れてとびちった。さしものチェンも、これ以上がまんできなかった。あらゆる戦法を使って戦うチェンのすさまじい活躍に暴力団は次々と倒れ、尻尾をまいて退散した。

ドラゴン危機一発/愛のテーマ

 チェンの強さに驚いた工場長は、この有様をボスに報告し、チェンを新しい班長に任命した。チャオ・メイや仲間たちはチェンの出世を喜んだ。しかし、その喜びがすぎて現実にもどると、チャオ・メイはまだ戻ってこない兄シューのことが気にかかり泣き出した。
「シューはどこにいるの?戻らないの?」
「皆で捜すはずよ」
「彼はどこかわからないの?」
「面白半分にケンカなんかして。私の兄のことを忘れるなんて」
「メイ泣かないでくれ。明日工場長に話す」
「シューは必ず見つける。誓う!」

チェンはメイを慰めた。

祝宴

 チェンはシューたちの捜索をたのみに警察へ行くことになった。だがその夜、チェンは工場長に招かれて祝宴に出席し、いかがわしい女たちもあらわれて飲みつけない酒に酔いつぶれ、翌朝目をさましたのは、ウーという女のベットであった。おどろいてはね起き表へとび出したチェンは運悪くチャオ・メイと出くわした。かねてからチェンに思いをよせていたチャオ・メイにはショックだった。
 これ以来、仲間のチェンに対する態度が変った。チェンは彼らの誤解をとくために、ボスのマイに会ってシューたちの発見をたのむことにした。

氷室の激闘

 チェンは売春宿の女ウーをたずね、はじめてマイ一味が氷を利用して麻薬の密売をしている事実を聞かされた。彼は工場へかけつけた。
 氷室に山とつまれた氷の柱。チェンはその氷の中から麻薬と行方不明になったシューたちのバラバラの死体を発見した。そんなところへ、父親マイの命令でチェンを尾行していた息子がひきいる親衛隊があらわれた。チェンの怒りが爆発した。氷室での大激闘。だが、チェンの前には敵ではなかった。

復讐の誓い

 失意と疲労で家へ帰って来たチェンが発見したのは、クオン以下小さな弟にいたるまで、無残にも刺し殺された血の死体であった。チャオ・メイの姿も消えていた。
「チャオ・メーイ!」
と何度も叫んだが返事はなかった。
 近くの水辺にすわり、チェンはひとりでつぶやく。
「どうしようか。友だちも親戚も死んだ。チャオ・メイはどうしたろう。どこにいるのだ。いろんな夢を抱いて来たのに全てが消えた。何もかも終った。伯父は神様が守ると言った。昨夜神様はどこに。神様は彼らを元気な姿で返せるか。連中は死んだ。豚のように殺された。奴らは子供まで殺した奴らは罰を受けるべきだ。たとえオレが死んでも必ず仇をうってやる。仇をうつぞ!」

チェンは全身怒りにふるえ、今や復讐の鬼と化した。

死闘/鋼鉄の男

 チェンの足がボスの屋敷へ急いだ。帰らぬ息子の捜索を命じられた親衛隊が屋敷からとび出した目の前に不敵な笑いをうかべたチェンが立っていた。
「どいてろ!お前たちの出る幕じゃない!」
「ひっこんでいないと殺すぞ!」

 怒りに狂うチェンの鉄拳は、次々と敵を倒した。ついに、マイとチェンの一騎討ちが展開した。互いに秘術をつくしてのすざましい死闘。かねてからボスに虐待されていた女中の一人が、屋敷に監禁されていたチャオ・メイを逃がしてやった。広い庭園での死闘はなおも続いたが、ついに凱歌はチェンの上にあがった。力つきたかマイの死体の上に折り重なって倒れたチェン、全身が血だらけだった。
 チャオ・メイの知らせで警官隊がかけつけた。なおも抵抗しようとするチェンに、チャオ・メイは自首をすすめた。