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ピノ・ノワールはフランスのブルゴーニュ地方の原産種で、2000 年も以前にフランスを征服したローマ人がこの品種の優越性を認め 畑の拡大を進めた記録が残っている。カリフォルニアヘは1855年に 移植された。 ぶどうには、畑で手間のかかる品種と醸造段階で手 間のかかる品種の2つがある。ピノ・ノワーはどちらにおいても手 間のかかる気の抜けない気難しい品種である。 しかし、すべての過程が不備なく行われた場合、そのワインは芳醇 さと繊細さを兼ね備えた、独特の芳香をもつ滑らかで余韻の長いワ インとなる。造り手に多くのことを要求するが、成功によって得ら れる喜びは何ものにも換え難く、カリフオルニアの醸造家はあえて この難しい品種に挑戦し続けている。近年はシャンパン方式のスパ ークリング(ワイン)の原料としての需要も高い。 |
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果粒の大きさは様々だが比較的小さく縦に長い球状で暗青色、小 さなイボ状の突起が数多くみられ、果皮は薄く、果粒が比較的密集 している。房は円筒形で小さく、翼のある房も時折見られる。 |
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カリフォルニアではリジョンTでの栽培が薦められている。芽吹
が早く、春の間は新梢の成長が早いため、霜害を受けやすい。砂利
質の適度に肥沃な土壌での栽培に適している。かつてはリール・ロ
ール・ヴイールスに犯されたピノ・ノワールが多くみられたが、現
在はウイルス・フリーの苗木が一般化し、過去20年間におけるクロ
ーン選抜の成果も現れ、健全なヴィンヤードが増えてきた。
さらに適切なキャノピー・マネージメント、剪定による収穫量の 調整などが行われるようになり、かつてよくみられたような過熱し たフレーヴァーをもったワインは姿を消し、凝縮した深いフレーヴ ァーとバランスのとれたワインが造られるようになった。収穫量は 少なく1エーカー当たり平均2〜3トンである。 |
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ノース・コースト地区では通常9月初旬に収穫が開始される。ス パークリングワインの原料としては同地区においても8月中旬に収 穫が開始される |
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前述したようにヴィンヤードにおける研究がピノ・ノワールの質
を急速に向上させてきたが、管理の行きとどいた醸造によっても質
は高められてきている。フルーティさを得るために発酵中に果粒や
破砕除梗していない房を加えたり、力強さをもたらすために除梗せ
ずに発酵を行うなど、工夫を凝らしており、これからさらに偉大な
ワインが生まれる可能性を秘めている。樽熱成には、いうまでもな
く、フレンチオークが使われている。2、3年で果実風味を楽しん
で飲むこともできるがさらに瓶のなかでじっくりと熟成させること
も可能である。
スパークリングワインではシヤルドネとブレンドされることが多 いが、ブラン・ド・ノワールと呼ばれる果実風味のしっかりとした ピノ・ノワール100%のスパークリングも造られる。 |