98.3.10
バックのポーチボレーの仕方には大きく分けて2種類あります。荒っぽく言うと「横江型」「稲垣型」といえるかも知れません。
私の言う「横江型」というのは所謂「横面」ボレーで、軸足(右利きのバックボレーなら左足)にのって、「はらう」感じのボレーです。ソフトテニスマガジン等で書いているのは、主にこのボレーです。
一方「稲垣型」と言っているのは、所謂「縦面」ボレーで、軸足などは設定せず、顔の前で「おっつける」感じのボレーです。
歴史的に言うと、従来、軟庭の技術書に載っていたのは「縦面」ボレーで、皆さんも中学校の頃、「ラケットを高く構えろ」とか「顔の前でとれ」とか言われていたことと思いますが、まさにそれです。一方で、当時もトップ選手はラケットを腰のあたりに構えて横面でボレーしていたのですが、「あれは上手い人のやること」で片づけられていたのです。80年代の始めに明治大の斉藤監督が当時の月刊軟式テニスに「横面」ボレーに関する連載をして、「軸足」や「ラケットを低く構える」ことが公に認められてきたのです。その後、西田さんや時安さん等を経て、現在の榎並さんの連載の内容になっているわけです。
こう書くと「縦面」が間違った技術のように感じてしまうのですが、決してそうではありません。稲垣さんや女子の西田さん(東芝)など、「縦面」を基本にした名選手も沢山いますし、現在も韓国の前衛は「縦面」風です。日大も伝統的に「縦面」で前衛を育てているようです。和歌山の真砂先生などは純粋の「縦面」選手です。
要はそれぞれに一長一短があると言うことです。横面はリーチが出しやすい事と引っ張るボレーに長所がありますし、縦面は体に近いボレーの正確性と流すボレーに長所があります。難しいのは「縦面」と「横面」は足の運びやラケットのさばき方がかなり違うので、「遠ければ横面、近ければ縦面」とは、できないことです(横面で取りに行って、縦面風にさばく事はできますが)。
それでは井上推奨のボレーは何かというと「ソフトテニスマガジン・オタク」としては、やや横面に傾きます。現在の国内トップ前衛はほとんど例外なく「横面」ですし、特にポーチと言うことであればリーチが出せるという点は大きいと思います。理論の出始めは、オーバーに解釈されすぎて、ボレーがオーバースイングになった時期もあったのですが、現在はそのあたりも整理されて、軸足に十分に乗る事やフォロースルーを上にとる事などで、タッチを出すことができる点が最近は強調されています。
97.10.24
最近、大学に行ってよく話すのは「勝ちたい!と思いなさい。」「勝つのに何が足りないのか考えなさい。」「足りないものを練習しなさい。」と言うことです。
これは実は会社に入って教わった「QC」の手法の受け売りなんです。緑蔭のメンバーの方(特にメーカーに勤めている方)はご存じの方も多いと思いますが、「QC」っていうのはQuality
Controlの略で、そもそもは工場の歩留まりを上げるために編み出された手法です。主に4段階に分かれていて、現状把握-対策立案-対策実行-現状再把握 を繰り返して行って生産効率や生産歩留まりなど業務を改善しよう、というものなんです。俗に言うKAIZENと似たようなものです(QCには現場からのBottom
upという側面もあるけど)。
九州のとある半導体メーカの有名な事例です。
Tipの歩留まりがなかなか上がらないのを改善するために、不良品がいつできるかを統計を取っていったところ、朝夕に多くて昼間少ない事が分かりました。JOBのローテーションとか気温・湿度、電圧の変化とかいろいろ照らし合わせたけど、不良品のでるタイミングと合致するものが見あたらない。で、結局何が合致したかというと、工場からかなり離れたところを走っている電車のダイアだったんです。つまり走っている電車の振動のために、不良品が出ているらしい、と言うこと。人間では感じられないくらいの振動でも、超細密加工の半導体では大問題だったわけです。
で、結局どうしたかというと、線路と工場の間に池を作っちゃったんですね。振動をここで吸収するために。効果は劇的で歩留まりは大幅に向上したそうです。
これは現状把握と対策立案がポイントだった例なんですが、結構テニスにも生かせることだと思うんです。
「どうしてもあいつに勝てない」って時に、何が原因か真剣に考えることが先ず出発点。そのためには試合のスコアーを見直して「決まり手」で何が多いのか(自分のミスなのか、相手のポイントなのか、ミスはフォアなのか、バックなのかetc)を調べる(=現状把握です)。
原因が分かったら何を練習すればいいのか、効果的な練習は何なのか(=対策立案です)考えて、それを実行(対策実行)する。
また対戦して結果を見る(現状再把握)。勝てれば良し、負ければまた現状把握です。
私の時もそうでしたけど、試合の時につけてるスコアーってあんまり後で見ないですよね。結構有用な情報が埋もれていると思うんですけど。
そうするためには、先ず大前提として「勝ちたい」と思うこと(これから言わなきゃいけない、って言うのも悲しいことですが・・・)。 その次には、漠然と「勝てないなあ」と思うんじゃなくて、「何故勝てないのか」を考えること。そして、それを補うための練習をすること。こういうことを学生に言っているつもりなんです。目的意識を持って練習すれば、自然と密度も高くなるでしょうしね。
「あいつに勝つためには、サイドパスを押さえなきゃダメだ。今日はバックボレーを重点的に練習しよう。」とか、「昨日負けたのは、レシーブの後攻められたから。今日はレシーブを深く返すことにしよう。」とか、毎日の練習に課題を持って練習して欲しいんです。
技術的に分からなければソフトテニスマガジンを読むとか、先輩やOBに聞くとか。
私も、ソフトテニスマガジン読むだけじゃなくて、こんな気持ちで練習してれば、もっと上手くなったんでしょうけど・・・(--;
97.10.13
最近、練習に行っていないOBの皆さんは「最近の学生はどんな練習をしてるのかなあ。」って思いません?
私も仕事で、5年ほど東京に行ってて、そのあいだにルールも変わるし、「いったいどんな練習をしてるんだろう。」と思ってたんです。そこで今回は、神大の現在の典型的な練習メニューを紹介したいと思います。(但し、私、井上が現役当時との比較になります。)
だいたい、こんな感じです。当然試合が近ければ、サーブレシーブの辺りからゲームになります。
日が長い季節は6時過ぎまでやって、そのあと自主練や筋トレが入ったりしますから、終わるのは7時頃になったりします。私の頃よりは、確実に長いです。
ちょっと気になるのは自主練するメンバーが決まっていること、しかもそれが上級生に多いことです。うまくなるには自主練する事だと、私は思うのですが・・・。
でも、この練習も土・日は可能ですが、平日は5〜6名しかいないので、ペア練習的なものにせざるを得ないようです。
総じて、私は「よく考えてやっている。」と思っています。ただ、もう少し効率的に練習ができるようには思います(乱打がラストがかかってから長かったり、試合の間にコートが空く時間が長かったり)。
これも、人数が少ないことが大きな要因に思えます。で、やっぱり最後に言うことは
「OBの皆さん、もっと神大に行きましょう」なんです(笑)。
97.9.28
随分、大層なことを並べてきたのですが、OBのできる事って「ごっつあん」する事と「練習に行く」事しかないんじゃないか、というのが、私の結論です。
練習に行くときは井上まで声をかけてくれれば、よほどのことがない限り、一緒に行きます。