以下は、にしやんから寄せられた「立山越え〜黒部湖〜スバリ岳西尾根〜扇沢 山行報告」です。
いわゆるひとつの「黒部横断」です。
原文のまま、引用します。
ACMLに投稿された速報を掲載したので、既に多くの方がご覧になっているかもしれません。
詳報を待ちましょう。

                            by 管理者:NG(noguring)


       *       *       *       *


        立山越え〜黒部湖〜スバリ岳西尾根〜扇沢  (by にしやん)



 昨年の針ノ木岳西尾根に続き、相棒とふたりで今年も黒部湖から後立側の尾根を登ってきました。
 立山越え〜黒部湖〜スバリ岳西尾根というコースで、「クライミング」的要素は少ないのですが。
 スバリ岳西尾根がメインの対象でしたが大町ルートはトンネル通行不可、それではいっそのこと立山越えでの「山旅」を、と計画しました。好天が続き、連日行動となりました。黒部湖は昨年よりはるかに融けるのが早いようです。(ために大量に放水済み?水位は昨年より10mは低い)
 以下簡潔に報告します;

3/8 (晴のち小雪) 地鉄立山駅〜常願寺川沿い〜水谷出合
 工事のためにか除雪された林道をたどるが、ほどなくワカンラッセルに。以後、平坦な川沿いをひたすらラッセル。
 どんな大義名分か科学的根拠があるかは知らぬが、凄まじい数の要塞のごとき堰堤には閉口。

3/9 (快晴) 水谷出合〜鳶山西尾根1900m
 ひたすらワカンラッセルで、まずは旧立山温泉跡へ。強烈な日射しに雪は緩みまくり、バテぎみ。在京都の相棒との連絡ミスで贅沢な食料が2週間分もあり、荷が重い。鳶山西尾根に取付く。快適なテン場を見つけ早目に行動終了。ひなたぼっこをしながらのビールは格別。

3/10(晴のち風雪) 鳶山西尾根1900m〜鳶山〜五色ヶ原
 ワカンラッセルがまだまだ続く。途中からアイゼンワカンとするが、ワカンを脱いだのは鳶山頂上直下2500mを越えてから。強風のなか鳶山を越える。五色ヶ原に入るあたりから天候悪化。地吹雪、ホワイトアウトのなか幕営。朝までに除雪を2回。

3/11(風雪のち快晴) 五色ヶ原〜平
 夜明けまでは風雪だったが、9:00頃から急速に天気は回復。快晴の下、ワカンを着けゆっくり出発。平へ下降。途中見下ろした黒部湖が、平より下流でも一部川になっているのに愕然とする。平ノ小屋下の文字どおり「河原」で早々にキャンプ。濡れ物を広げてくつろぎ、ひたすら食べる。

3/12(晴のち小雪) 平〜スバリ岳西尾根2300m
 雪原の切れ目を三度ほど「徒渉」する。相棒は膝まで潜ること三度。悲しい。やはり黒部湖の湖底はヘドロ層である。小スバリ沢出合あたりは幸い完全な雪原で、スバリ岳西尾根に取付くこと自体は容易であった。取付けなければダムへのエスケープを覚悟していたのだが。
 樹林帯を黙々と登る。立山東面に比して雪はかなり少ない。が、途中からはアイゼンワカン。小雪が強い南風に飛ばされてくる。2300mの平坦地で幕営。

3/13(快晴) スバリ西尾根2300m〜スバリ岳〜屏風尾根〜扇沢
 ハーネスを付けて出発。2300mを越えると格段に雪が多くなる。ツボ足でのラッセルに悶絶しながらの登高となる。2400mを越えるあたりから岩稜に。20mほどの岩場が積み重なっている感じで、容易な岩登りをコンテも混じえ8ピッチほどでスバリ岳山頂に飛び出す。ランニングにはカム3つを専ら使用し、ピトン(それにバイル)はお荷物。岩は比較的硬い。
 山頂からは越えてきた山並みが美しく望まれる。モナカ雪の稜線をたどり、膝〜腰の積雪の屏風尾根を今回もヘロヘロになりながら扇沢へ。(この尾根は登りたくない!) ここでもひたすら食べる。

3/14(晴) 扇沢〜日向山ゲート〜大町
 恒例の「薬師の湯」〜台湾料理屋のコースを経て帰京。

 充実の「山旅」でした(笑)