以下は、にしやん経由小嶋さんから寄せられた「黒部源流山行記録」です。
原文のまま、引用します。そのほかのみなさんも是非どうぞ!
                   by 管理者:NG(noguring)


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残暑お見舞い申し上げます。
皆様のお盆休みはいかがでしたでしょうか。
春スキーで浄土山から眺めた奥黒部を山中2泊3日で歩きましたのでご参考までに報告します。

8月14日(月)
 東京−富山(全日空)、満席までいきません。余裕あり。
 空港からJR駅までバスが接続、20分ぐらい。
 寝台急行能登と高速夜行バスで来た人達は帰省の人らで賑やかで眠れなかったようです。

8月15日(火)
 JR駅−折立、ボロいバス1台、予約が必要、後ろ3分の1がリユックで埋まる。立山へ行く道と分かれ有峰湖へ向かう道は落石、崖崩れ、工事などでひどい道、下は深い谷でこわいぐらい。折立にはマイカーがびっしり、道路まで駐車、思わぬ人だかり、早朝太郎を発った人がもう降りてきている。標高はわずか1350m。
 折立−太郎小屋、最初蒸し暑い林の中汗一杯かいて尾根を登る。日本海側はずっとガスがかかっていて富山市内からでも立山や薬師が見えるのは1年にわずかとの地元の知人の弁。森林限界超えると勾配が落ちて楽になり太郎小屋着。ビールがたくさん、まるで街道沿いの峠の茶屋。しかし、うんざりするほど人がいる。おばさんも多い。薬師岳の霊験とお花畑の魅力か。黒部側はガスが切れて雲ノ平、奥の廊下、黒部五郎など緑豊かな優しい風景。黒部川に向かって下る、2000m以上でももう沢水があふれている。花も色々と出てくる。(太郎までは花はダメ)
 薬師沢小屋でビール飲んで小便くさい陰気な宿で嫌だがしょうがないんで泊まる。晩飯が具の少ないカレーライスとはトホホ、学生が働き手なんでしょうがないか。

8月16日(水)
 ほとんどの人は雲の平へ登るが黒部川に降りてウェーディングシューズとネオプレーンのスパッツに履き替えて冷たい水の中の石伝いに歩く。スパッツないと長いこと入ってられないだろう。
 岩魚止めの滝は普通高巻きだが先行4人組に続き大岩をへつる。メットのおばさんは途中で動けなくなってしまい、手助けを求めていた。おばさんのまねはできんのでふんばって無事通過、一番の難所?? ツェルトはってテンカラ振る中年1人、キャンプ禁止なのにもう夢中のようす。同じ夢を見る人もいるもんだ。メット、ザイル、ハーネス、カラビナの正統派4人組は赤木沢へ、今や普通のおばさんも沢登りの時代ですよ。
 そろりと竿と糸を出し毛ばりを瀞に漂わせるが何の音沙汰もなし。うじゃうじゃいないではないか、いつかの山渓の記事はでたらめだ。しかし、沢水の豊かなこと、ちょっとした淵だと十分泳げます。石伝いでも股下までぐっしょりになることがあります。イメージ違うなあ。
 黒部五郎を見遣ってからは勾配があがってきて膝上の筋肉がこちこち、一歩一歩が重くなる。水かさは全然減らない、今年は大雪だったんで沢水が落ち着くのも遅れているのかも。結構岸辺の緑の雑木林が濃くハエがうるさい。ミミズで小さな岩魚数尾を釣って逃がさずコンビニのポリ袋に入れた中年男、ルールおかいまいなし、自己満足大事、これじゃいなくなるわけだ。雪渓も2度出てきてばりっと破れないかおっかなびっくりで早い内に草つきに逃げる。よろよろし出した頃に雲の平からの道に合流、この辺になるとやっとイメージどおりの源流地帯、いわゆるアルプ、グリンデルワルトのフィルスト行きゴンドラの中間駅で降りたあたりの源流風景をもっと優しい緑にした感じ。スイスだとカウベルの音がうるさいほどの牛だがここでは人。熊なんかより人しかでてこないのに。
 三俣山荘からは漆黒の槍北鎌尾根、硫黄尾根のギザギザがいい。川口邦雄寄贈の「日本の山100」には折立からでも新穂高からでも縦走の時間は変わらないそうだ。ここのコックは鷲羽を往復32分で走る元気な山岳パトロールでもありいい食事が出た。
 夕暮れには小屋の従業員までカメラマンに変身した。縦走屋の大半は写真目当て??

8月17日(木)
 三俣蓮華から双六にかけては大展望ですよ、剣、立山、薬師、黒部五郎、白山、笠、乗鞍、焼、穂高、槍、妙高、常念、水晶、赤牛、??? 花畑も雷鳥もお出まし、双六小屋のまわりの斜面は確かにスキー向きだが登り1時間滑り5分ぐらい。鏡平から新穂高まではひどい崩壊地の道で小池新道というが我田引水よくまあこんなところを歩かせるもんだ、いつ家みたいな岩が落ちてくるかわかりゃしない。
 子供を引っ張ってでも山まで行く親達、子供らはもうすぐなの、まだなのと言ってましたけどとてもまだまだ先やとは言えませんわね。
 新穂高温泉は初めてだが宿や食堂が村営なのは好ましい、どこも歓迎看板にたくさんの名前が。バス停前に無料浴場がありますが垢だらけなんで無料??? 松本までのバスは予約制でもう満席、タクシー3人で7千円/人、でも安房トンネルから先がつかえて2時間かかった。

 どこにもう一度行ってみたいか?
 やっぱり黒部川源流、雲の平と鷲羽の合間、山や岩から清水湧くところ、そしてタクシー同乗の2人が言っていた雲の平のチングルマなどの大群落、でも北の俣から黒部五郎にかけてもすごいかも?日本の高山の花は本場アルプスより種類、群生、色形とも絶対いいことを保証します。下界では見えないよ。
 金曜日は足が痛くて動けんかった、階段がつらい。前後は大変だけど歩く旅も東海道五十三次の大昔に戻ったみたいでいいもんです。山小屋は峠の茶屋、いやビール屋。生が飲めるなんて、日本の夏ですね。


小嶋良輔