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『約束のネバーランド』(やくそくのネバーランド)は、白井カイウ(原作)、出水ぽすか(作画)による日本の漫画作品。略称は「約ネバ」。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2016年35号から2020年28号まで連載された。単行本の累計発行部数は2020年6月時点で2100万部を突破している。
== ストーリー ==
=== GFハウス脱獄編(第1話 - 第37話) ===
色々な孤児が集まる「孤児院」・グレイス=フィールド(GF)ハウスは、院のシスターで「ママ」と慕われるイザベラのもとで、「きょうだいたち」にも血縁関係はないが、幸せに暮らしていた。ここでは、赤ん坊のころに預けられた子供を、特殊な勉強とテストにより育てあげ、6歳から12歳までの間に里親の元へと送り出す...と孤児たちは教えられていた。
里親が見つかり、外の世界に出ることになったというコニーが人形を置き忘れたため、主人公で身体能力に優れるエマと、知略に優れるノーマンはそれを届ける。しかし二人は、近づくことを禁じられていた「門」でコニーが食肉として出荷される瞬間を目撃する。そこから「鬼」の存在を知った二人は、リアリストで博識なレイのほか、ドン、ギルダを仲間に引き入れ、GFからの脱獄計画をスタートさせる。
その中でエマたちは、GFが監獄のような「人間飼育場」であることを確認した。そこで脱獄の準備を始めるものの、増員監視者として「シスター」が派遣され、更にレイがママ(イザベラ)のスパイであったことが発覚。様々な心理戦が繰り広げられる中、脱獄を試みる標的がいることを特定されるが、あくまで管理を維持したいイザベラの思惑を逆手にとり、ノーマン達は計画を進める。
「ママ」の座を狙いイザベラを蹴落とそうと企むシスターと、仮初めの協力関係を結ぶ子供達。しかしシスターは出荷され、イザベラにも脱獄の下見が見つかってしまう。計画を封じるためエマの足は折られ、さらにノーマンの出荷が告げられる。
レイとエマは、ノーマンの発信器を無効化し全員の脱獄敢行まで潜伏させる作戦を立てる。しかし、ノーマンは残される子供達の脱獄に支障が出ることを恐れ、発信機を生かしたまま下見を強行した後戻ってきてしまう。レイに残る乳児時の記憶と決死の下見により、ハウスの周囲は崖で本部と繋がる橋が唯一の出口ということが判明したが、ノーマンの出荷は確実となった。悲しみに暮れるエマ達を残し、ノーマンはハウスを後にする。そして、ついにレイが出荷される日、彼はハウスを火事にさせて、ハウスに警備を集中させて橋から逃げる作戦とした。そして、レイは出荷目前の高級品である自分も、ハウスともども燃えようとする。エマはそれを阻止し、ノーマンの伝言をもとに、年少者の中で最も成績のよかったフィルに農園の真実を打ち明けてGFを脱獄することにした。
=== ミネルヴァ探訪編(第38話 - 第64話) ===
かねてから、逃げるなら本部前の橋と言われてきたが、対岸との距離が最も最短な地点から、ハンガーと紐を利用して移動することにした。その方法により無事脱獄を成功させ、ハウスを後にする。
しかし脱獄直後、エマ、レイ、トーマ、クリス以外の兄弟達が消えてしまった。実は人食いの木の誘い穴に落ちてしまったのだ。そして4人もその落とし穴に落ち、人食い木の動く根に追い回され、行き止まりまで来てしまい、絶体絶命の危機となったが、「PROMISE」とモールス信号で書かれた冒険本、「ウーゴ冒険記」の中の「アルヴァピネラの蛇」の話に解決の糸口があり、無事脱出に成功した。脱出後、鬼の下等種である者が食べようと追いかけまわしてきた。それをレイが対処するため本隊を外れ、下等種に追われていた。更に、下等種を倒して農園の運営者である追手がついにやってきた。
そんな中、本隊は謎の少女に誘われる。レイも謎の人物に助けられた。少女の名はムジカで、レイを助けた男はソンジュという名前だった。二人とも鬼だが、宗教上の理由から人間を食べない、社会の異端者であった。ソンジュから「鬼は昔から存在していて、鬼は人を狩り、人は鬼を殺し合っていたが、一人のフクロウを飼う人間によって世界の住み分けが提案された」ことを聞き、その約束が今も続いて、エマたちは鬼の世界に残された人の子孫と知った。更には、世界間の行き来はできないとされているが、鬼に農園用の製品を供給するために人が鬼の世界に渡っていたという事実も判明した。そして、ソンジュとムジカは、さらなる旅へ、エマたちは目的地へ進むため別れて進むことになった。ただ、ソンジュは自然に誕生した生命以外食べないという原初信仰を実は信じており、エマたちの子孫を食べる気でいた。
その後、エマたちは目標地点に到着したが、そこは更地で何もなかった。そこでペンを起動すると、マップが表示されて入り口が開いた。そこはミネルヴァの地下シェルターで、先客が一人いた。彼(オジサン)もまた、ペンによってここに導かれていたが、合理的な性格ゆえ、エマにピストルを向け、シェルターから出るように脅した。しかし、エマが反論を言うと、謎の言葉を発して気絶した。また、シェルターの壁には密猟者という字とHELPの文字が落書きしてあった。その後エマは、人間界へ行く手がかりをつかむべく、ピアノから行ける秘密の部屋からの武器を使い、ゴールディ・ポンドへ旅立つことにした。しかし、直前でエマより共存するよう諭されたオジサンは、ゴールディ・ポンドは危険だということを伝えた。すると密猟者がやってきて、エマは捕まってしまう。
=== ゴールディ・ポンド猟場編(第65話 - 第95話) ===
目が覚めるとそこは目的の場所、ゴールディ・ポンド(GP)であった。エマはそこで謎の少女と出会う。GPは音楽が鳴ったのを合図に貴族の鬼が人狩りをする「秘密の猟場」だったことを少女に知らされる。GPにいる多くの子供はバイヨン卿ご用達のグランド=ヴァレー(GV)と呼ばれる農園から出荷された子供で、3日に一度の頻度で知性のある鬼が食用児を狩るためにやって来るという。その事実を知ったエマは、何も知らない三人の兄妹テオ・ジェイク・モニカがレウウィス大公に襲われているところを目撃。エマはレウウィス大公に目掛けて斧を放り投げ、三人に風下へ逃げるように伝る。一方、レウウィス大公は、久々に楽しそうな獲物が現れたことに好意を持っていた。再び音楽が鳴ったところで、鬼たちが撤退。エマはすぐさまテオ・ジェイク・モニカのことを探すが、そこに居たのは血まみれになった斧を持つテオの姿だけだった。
GPに来て最初に出会った少女・ヴァイオレットに連れられて、風車の中へ入る。そこにはヴァイオレットを含む九人の子供達がいた。それぞれリーダーのオリバー、救護担当のサンディとジャック、機械類担当のナイジェル、副リーダーのソーニャ、食料担当のペペ、ジリアン、ポーラ。彼らはこのGPの真実を知りながら何か月…中には何年も生き残った九人で、この猟場を終わらせるための計画を綿密に進めていた。
合わせたい人がいると言われて紹介されたのは、グローリー=ベル(GB)農園出身で、オジサンのかつての仲間だったルーカスという男性であった。彼は風車と森に繋がる抜け穴があり、その扉を開けるにはペンが必要だという。そして扉の奥にはモニタールームらしき制御室があり、その制御室を抜けた先には金の池、すなわちゴールディ・ポンドが存在した。触れることも濡れることもない池の中を突き進むと、そこには機能停止したエレベーターと電話が。鳴り響く電話を手に取るとウィリアム・ミネルヴァを名乗る男に「七つの壁」を探すように伝えられる。
計画実行の予定日より一日早く音楽が鳴り始める。10人は4隊にわかれ、それぞれレウウィス大公、バイヨン卿、ノウス、ノウマ、ルーチェの相手をする。悪戦苦闘しながらも見事に貴族の鬼たちを倒すことができた一同は、緊急破壊装置を作動させて秘密の猟場を崩壊させることに成功。無事に全員でGPを去ることにした。
=== 七つの壁編(第96話 - 第145話) ===
今から15年前の2031年。ラートリー家当主のピーター・ラートリーは、兄であるミネルヴァなど一族内の裏切り者を処刑していた。アンドリューを筆頭としたピーターの部下たちは、逃げた食用児を殺すために捜索を始める。
一方、エマたちがGPからシェルターへ戻ると、隠し部屋に置かれた電話で支援者からモールス信号のメッセージを受け取る。そこで、今は会えないがじきに接触すること、敵はピーター・ラートリーであることを伝えられた。
エマたちはシェルター内の古文書に記載されていた「クヴィティダラの竜の目で昼と夜を探すべし」という言葉をヒントに七つの壁を探すことに。
その後、古文書に書かれていたクヴィディダラに無事したエマは、約束を結んだ過去の光景や、昼と夜が合わさった奇妙な空間で謎の小鬼を見る。そして意識を取り戻したエマは、もう一度あの場所に辿り着ければ「約束」を結び直せると確信し、調査を続けると、七つの壁の入口に入る方法を発見した。
エマたちがシェルターへ報告しに戻ると、アンドリュー率いる部下たちが、中へ攻め込んできてしまう。なんとかシェルターから逃げ延びたエマたちだったが、ルーカスとユウゴ(オジサン)は二人でシェルターの中へ残り、アンドリューを巻き添えにしてシェルターを爆発させた。
=== 王都決戦編(第145話 - ) ===
== 世界観 ==
物語は、主人公達が「鬼」と呼んでいる種族が運営する、人間を食用の家畜として飼育するグレイス=フィールド(GF)ハウスという農園(表向きは孤児院)から始まる。
時代設定は、物語が開始した時点で2045年となっており、農園内で得られる情報から少なくとも2015年までは外の世界で人間によって本が出版されていたこと、また外の世界にも鬼に食われない人間たちがいることが情報として出てきている。ソンジュの話によると、かつての世界では農園は存在しておらず、鬼は人間を襲って食べる生活をしていたが、鬼に服する人間もいれば逆に鬼を憎み武装して食われた数以上の鬼を殺す人間達もいたとのこと。終わりのない殺し合いと果てのない恐怖に互いが嫌気を指していた時に人間側から「人間は鬼を狩らない、だから鬼も人間を狩らない。お互い世界を棲み分けよう」という提案がなされた。この『約束』こそが全ての始まりで、これによって世界は人間の世界と鬼の世界の2つに切り分けられ、2つの世界は断絶することになった。エマたちの先祖は、その時に鬼側の世界に置いて行かれた土産で、鬼は約束を守り農園で人間を管理、養殖を続けるようになった。約束からおよそ1000年もの間、世界は特に変化が無く、互いの世界を行き来するのも不可能とのこと。しかし、実際には一部の人間は人間の世界と鬼の世界を行き来しており、行き来の手段としてエレベーターが出てきている。
GFの所在地について詳細は不明だが、作中では北半球の中緯度地域であることが推測されている。また、作中に出てくる世界地図は現実の物と同じであるが、ヨーロッパを中心に描かれており、ヨーロッパが舞台であることを窺わせる描写が多い。また、作中では鬼の世界と人間の世界は断絶されているとのことだが、作中の舞台が地球であることと前述の暦が正しいことは判明している。
GF周辺には原生林が広がっているように見えるが、実際には吸血樹の群生地が広がり、農園の鬼から野良の下等種と呼ばれている知性に乏しい野生の鬼もいるなど、本来の地球の生態系には存在しない動植物が多数生息している。ただし、全ての動植物がこのようなものではなく、普通の動植物も存在している。
B06-32地点の荒野の地下にはシェルター、A08-63地点の池の地下には大規模集落が存在する等、鬼の世界には脱走した食用児に向けての隠れ家や逃げ道もミネルヴァによって用意されている。しかし、A08-63地点にある大規模集落は、弟であるピーターから危険視され、バイヨンにその存在を明かされ、農園には秘密の猟場として人間狩りが行われるようになった。
鬼の世界には鬼の町も存在しており、市場では人肉に限らず様々な食材が扱われている様子が窺える。市場で購入できる人肉は量産農園産のもので、高級農園産の人肉は貴族など限られた層しか食べられないため、一般の市場には出回っていない。また、農園では様々な機械類が見受けられるが、人間の技術の影響が及んでいないと思われる鬼の町では機械類は見受けられないなど、基本的に鬼の文明は人間より低い事が窺える。
人間農園は主に高級農園と量産農園に分類されているが、Λ(ラムダ)7214といった試験農園が存在する等、詳細は不明だがどちらにも分類されない農園も幾らか存在するようである。
== 登場人物 ==
声はテレビアニメの声優。年齢は、基本的に初登場時点でのものを記載。
=== 主要人物 ===
●声 - 諸星すみれ
●本作の主人公。グレイス=フィールドハウスに住む、孤児で最年長の一人。11歳の女の子。認識番号は63194。2034年8月22日生まれ。身長145cm。
●人想いでハウスとママが大好きだった。優秀なノーマンとレイに追い付きたいと考えている。毎日のテストでは度々フルスコア(300点)を出しており運動能力も高い。ノーマンやレイと比べるとかなり楽天的な性格。
●ハウスの子供たちと仲良く暮らしていたある日、コニーの忘れ物、リトルバーニーを届けに、行ってはいけない門へ行く。しかし、そこでコニーの「出荷」の瞬間を目にしたことで、孤児院とされていたハウスの真実を知ることになる。彼女は、ノーマン、レイ、そしてドン、ギルダを味方に加え、あくまで子供達全員での脱獄を目指す。
●しかし、後に農園の全容を把握し、脱獄の難易度が以前の想定よりも遥かに高いことに加え、ノーマンもいなくなった上にギルダに他のプラントの子供達について聞かれたことで考えを改め、しばらくは出荷されないであろう4歳以下の子供を残し、5歳以上の子供だけで脱獄するという計画に切り替える。ただし、4歳以下の子供の脱獄を諦めたわけでは無く、2年以内に戻り全プラントの子供を救出すると誓う。フィルにハウスの真実を告げ、後のことを任せる。
●特徴的な飛びはねた毛がありシェルターで出会ったユウゴから「触角」と名付けられる。番外編の4コマではママがその毛を切ろうとするが、毛がハサミを避けるので切れない。
●銃の腕前は非常に高く、全弾を的のど真ん中に命中させることができる。ゴールディ・ポンドにて、ルーカスらと共に密猟者である鬼達と対戦する。レウウィス以外の鬼は全滅できたものの、重傷者も多数出る事態になり戦力的に厳しくなるが、エマを追ってゴールディ・ポンドに侵入したユウゴとレイ、そしてアダムが加勢して戦い、レウウィスの攻撃で重傷を負うもシェルターから持ってきた銃から発射された閃光弾が決め手になりレウウィスを倒す。しかし、命も危ぶまれる程の深手を負い、猟場にある薬も底を尽きるなど危機的な状況が続くが、ユウゴが言うには来た時以上に険しくなるが1日半で戻る事も可能な最短ルートがあるとのことで、ユウゴと共にシェルターに帰る事になった。シェルターに戻った後はユウゴによって治療を施され、猟場を出てから4週間後に目が覚める。
●ミネルヴァが残した情報を仲間達に見せた後、グレイス=フィールドだけではなく他の高級農園や量産農園、ラムダ7214などにいる全食用児の解放を考えており、食用児のいない世界を目指す事を語った。一方で鬼を殺したくないとも考え、鬼が人間を食べる事に対して肯定はしないものの、生きるために食べているだけで人間と違わないとも感じてもおり、特に友人となったムジカの同族を殺したくない気持ちが強くなる。しかし、多くの知性鬼は人間を食べ続けないと人型を維持できないことを知り、どうすればいいのか分からず思い悩む。
●理想を追求する傾向が強く、現実的に考えれば不可能に等しいような事でも可能にしようと奮闘する。
●「中身は5歳」「お日様みたい」「天真爛漫」「少年のような女の子」という設定をもとにデザインされた。
●声 - 内田真礼
●孤児最年長の一人。11歳の男の子。2034年3月21日生まれ。身長は145cm。テストは常にフルスコアで、戦術派。脱獄に関する実質的なリーダーとなる。認識番号は22194。
●エマと一緒にリトルバーニーを届けにいくが、出荷の瞬間を見る。そして、エマ、レイと協力して脱獄を目指す。幼児を含むハウスの子供全員で脱獄をする難しさは理解しているが、好意を寄せるエマの望みを叶えるため、あえてそれを目指す。子供達の中では1番理性的で心理的な駆け引きにも優れているが、最大の味方であるはずのレイが全員脱走を否定してるため、彼とも駆け引きをしなくてはならず、心苦しく思う。
●突如、12歳の誕生日前に出荷されることが決まり、エマとレイから脱獄日まで園内で潜伏することを提案されるも、脱獄の下見をした後に再び姿を現し、外で得た情報を二人に残す。生きたいという気持ちは強かったが、誰一人死なさず、万が一にも負けないために、あえて出荷を受け入れる。
●出荷時、ピーター・ラートリーが里親として現れ、研究を手伝って欲しいと新農園ラムダ7214へ送られる。そこではグレイス=フィールドより更に難易度の高いテストが行われ、日に日にレベルを上げているようだが全て満点を取る。部屋は脱出不可能な環境で、胸にアダムと同じ紋章が刻印されるが、エマ達に会うために生き延びて絶対に脱出するという決意をする。
●アンドリュー達がシェルターを襲撃する前に、ミネルヴァらしき人物の録音した音声をシェルターにある隠し部屋に伝えられた。ゴールディー=ポンドの録音では子供達に未来を選ばせる内容であったのに対し、今回の録音では反旗を翻すことを宣言し、ある場所に来てほしいという指令と謎の数字の羅列を伝えるなど、方針転換とも取れる内容である事から、ミネルヴァ本人のものとしてはかなり不自然な点が多かった。シェルターに放送を送った人物は仲間からミネルヴァの本名であるジェイムズと呼ばれ、救出したと思われる食用児達からはミネルヴァと呼ばれるが、その正体はミネルヴァの名前を利用したノーマンであった。
●ラムダ7214でクローネにペンを渡した支援者と接触し、他の食用児を率いてラムダ7214を壊滅させる。かつて鬼が住んでいたと言う巨大な木の中にあるアジトで他の食用児達と共に暮らし、鬼達を絶滅させてネバーランドを終わらせる事を目論む。
●農園にいた頃は、内心では不可能に近いと分かっていながらもエマの全員で逃げる案に同意するなど優しい性格であったが、ラムダ7214に送られた後に他の食用児達と共闘してラムダ7214を壊滅させた後は、食用児が笑って暮らせる未来を手に入れるには鬼を絶滅させる以外の方法は無いと断言しており、レイ以上に現実主義的な性格になっている。
●白井によると、ノーマンはエマのことが好きであるが、尊敬の意味でも好きであり、単純な少年少女の恋愛感情よりも複雑で階層が違うという。
●声 - 伊瀬茉莉也
●孤児最年長の一人。11歳の男の子。身長150cm。テストも度々フルスコアを出しており博識な読書家。認識番号は81194。
●後にノーマンから脱獄のことを伝えられるが、実は鬼のことやハウスの正体を幼少時から知っており、ママと内通しつつ駆け引きを繰り広げていた。「協力者」としての取引きでは、「ごほうび」(通常では入手できない物資)と12歳での「円満出荷」を要求していたが、真の目的はエマとノーマンを脱走させることにある。現実主義的で、幼児をあきらめ年長者のみの脱走を主張するが、エマが折れないため表面上は協力する(内心では納得していない)。
●通常なら起こるはずの幼児期健忘が起こらなかったため、鬼のことは生まれたころから知っている。イザベラの実子で、胎児のころからの記憶があるため、イザベラのお腹の中にいたころに聞いたレスリーの歌を歌ったことでレイが自分の子供であるとイザベラが知ることになる。
●実は勉強も読書もさほど好きではないが、自分自身の価値を最大限まで高めるため、我慢して勉強と読書に励んだ。オイルを被り、焼身自殺をして最高の御馳走となった自分を収穫直前で取り上げるという、レイなりの復讐および兄弟達の脱獄のチャンスを作ろうとするも、事前にその計画を見破っていたノーマンが出荷直前にレイの自殺阻止およびそれを利用する計画をエマに伝えられる。エマ達によりレイが自殺したかに見せかけたハウスの放火が行われ、脱獄が決行される。
●ノーマンの計画で、橋を通らずにロープで崖を渡るという方法で脱獄をする際、怖くてできないと言うジェミマを抱きかかえ一緒に崖を渡り終える。その時に、誰1人死なさず外で生き延びて見せると理想を追い求める考えを持つようになる。
●ハウス脱獄時、エマとは異なり耳を切開して発信器を取りだしたようで、後に耳の怪我もガーゼ無しでも大丈夫な状態まで回復する。
●シェルターで出会ったユウゴからつけられた渾名は「片目寝不足」。前髪で片方の目が隠れがちなことや、本や資料を読むために寝不足気味である点を指した渾名である様子。
●その高い知能から、グランド=ヴァレー組からグレイス=フィールド組の知能の高さを恐れられているが、逆にレイも自分達よりも鬼の研究度合いが遥かに進んでいるグランド=ヴァレー組に驚く。
●白井は、「レイが誕生日だと自覚している」のは2034年1月15日だが、実際の誕生日は異なるとしている。
=== 食用児 ===
==== グレイス=フィールド(GF) ====
高級農園・グレイス=フィールドハウスの食用児達。
●声 - 小澤亜李
●6歳の女の子。身長115cm。認識番号は48294。
●夢は、素敵なお母さん。人形のリトルバーニーが好き。テストのスコアはいまひとつで、そのことにやや劣等感を持つ。彼女が「出荷」されたことからエマ達は鬼の存在と、ハウスの真実を知る。
●声 - 植木慎英
●10歳の男の子。エマたち最年長3人組に次ぐ年長者。認識番号は16194。身長155cm。
●明るく負けず嫌いな性格。同年齢のギルダとは親しい。ノーマン達に比べると、やや短絡的で状況判断能力に劣るが、兄弟たちを思う気持ちは強い。コニーのことも気にかけ、よく助けていた。手先が器用なのか、スリの特技がある。
●脱獄計画には引き入れられた当初は、ノーマンから脱獄のことを「人身売買から逃げる」と伝えられるが、後に鬼の事実を知る。鬼の事実を知った後は、ギルダと共に脱獄チームのサブリーダーとしてエマたちを支える。ノーマンの出荷後は、行動を『止めた』エマとレイに代わって脱獄の準備をギルダと共に進め、脱獄決行時には崖を超える一番手を務めた。
●B06-32地点/シェルターで出会ったユウゴからつけられた渾名は「豆ノッポ」。GFの子供では1番背が高いが、それでも大人であるユウゴから見れば小さいことを指す様子。
●表にはあまり出さないが、エマとレイの身に危険が迫った時には泣きそうなほど心配するなど、二人のことを気にかける。一方、エマ達がゴールディ・ポンドに向かった数日後、不安な表情が出ていたギルダに対し「自分達が不安がっていては弟妹達まで不安になる」と窘め、サブリーターとしての精神的な成長も見せる。七つの壁を探すためにエマ達がクヴィティダラへ向かうメンバーに選ばれ、嬉し涙を流す。同行にあたり、シェルターに残されていた地図や資料を(以前レイから指示を受けて)暗記しておくなど、イザベラによって育てられたGFハウス第3プラントの「上物」としての能力の一端を見せる。
●声 - Lynn
●10歳の女の子。エマたち最年長3人組に次ぐ年長者。認識番号は65194。身長138cm。
●眼鏡を掛けている。内気だが、芯の強い性格。エマとは共に年少者の世話をする係で、仲がいい。ドンと同じく、脱獄計画にはレイの後に引き入れられる。
●おしゃれに興味があり、ハウスから支給される衣類が白一色であることを嘆く。6話時点でテストの成績は最年長3人組に次ぐ唯一の200点台。ノーマンには及ばないが、優れた洞察力と冷静な思考力を持つ才女。以前からハウスを『旅立った』兄弟姉妹たちが音信不通になる事実やエマたちの言動の変化に気づき、脱獄計画参加後もママの秘密の部屋(無線室)の存在とその場所を突き止める。
●鬼の事実を知った後は、ドンと共に脱獄チームのサブリーダーとしてエマたちを支える。ノーマン出荷後は、行動を『止めた』エマとレイに代わり、脱獄に関する実務をドンと共に進める。脱走後も、エマとレイが不在の時(ムジカに出会った時、B06-32地点のシェルターから偵察に出た時など)にはリーダー代理となる。
●シェルターで出会ったユウゴからつけられた渾名は「カタブツ丸眼鏡」。特徴的な大きな丸い眼鏡と、生真面目な性格を指している様子。
●七つの壁を探すためにエマ達がクヴィティダラへ向かうメンバーに選ばれた際は、嬉し涙を流す。同行にあたり、ドンと同じくシェルターに残されていた地図や資料を暗記しており、イザベラによって育てられたGFハウス第3プラントの「上物」としての頭脳の持ち主であることがうかがえる。
●白井によると当初はエマ達を裏切る予定だったが、出水の描いた子どもたちが「純粋で良い子達」だったため、その線はなくなったという。
●声 - 茅野愛衣
●9歳の女の子。認識番号は48194。身長135cm。
●時々ギルダと一緒にいる。長い三つ編みが特徴。面倒見がよく、優しい性格。脱獄の際、偽装工作のために三つ編みを提供する。
●シェルターでの生活の中で、ルーカスからケガや病気の対処法について学び、習得した知識・技能をルーカスから高く評価される。
●声 - 石上静香
●9歳の男の子。認識番号は30294。身長133cm。
●少し臆病で、ちょっぴりナルシスト。ピアノが弾ける。ユウゴからつけられた渾名は「鼻」で、他のメンバーが不服な中、まんざらでもない様子だった。
●シェルターでの生活では、ドンと共に狩猟を担当していた。爬虫類や虫はなるべく食べたくないと考えており、できるだけ鳥を捕まえたいと考えている。
●声 - 日野まり
●7歳の男の子。認識番号は55294。身長123cm。
●足が速いが、戦力にはいまいち。鬼ごっこが好き。シェルターで出会ったユウゴからつけられた渾名は「ピザの具」。
●声 - 森優子
●7歳の男の子。愛称は「ラニ」。認識番号は54294。身長125cm。
●トーマと仲良しで、いつも一緒。シェルターで出会ったユウゴからつけられた渾名は「カレーの具」。
●声 - 河野ひより
●4歳の男の子。認識番号は34394。身長100cm。
●とても賢くて、活発な性格。テストも成績優秀で、200点台になることも。エマが大好きで、遊ぶことが大好き。
●キーワードのモールス符号をエマに教えた。エマ達からハウスの真実を告げられるが、鬼ごっこの際にクローネが言っていた「収穫」の意味やこれまでのエマ達の様子から、何か恐ろしいことが起こっていることに気付いていた。また、エマ達が全員脱獄か4歳以下を残し脱獄するか悩んでいること、4歳以下は最低1年半収穫がないことを説明されると、待てるから置いて行くように提案し、4歳以下の子供達で唯一「真実」を知る者として後のことを引き受ける。
●エマ達の脱獄後は他のプラントに移され、そこで暮らす。フィル達は4つのプラントに分散して移され、他プラントに移された子供達の近況は分からないでいる。移されたプラントでサイモンと仲良くなるが、ほどなくサイモンは出荷される。しかし、真実を伝えればエマ達の計画が水の泡になるため、気持ちを押し殺して見送るなど、苦しみに耐えながら暮らす。
●白井は『セサミストリート』のエルモをイメージしていた。出水は「マスコットになり得るキャラ」「天真爛漫で愛される子」をイメージして描いていた。
●声 - 日野まり
●4歳の女の子。認識番号は74394。
●フィルとよく一緒にいて、ノーマンと同じ部屋。フィルと共に、よくノーマン、エマを探している。ノーマンが大好きで、おしゃれが好き。
●ノーマンの里親が決まったという報告を聞いた際、ショックで激しく動揺する。エマ達の脱走後はフィルと同じプラントに移され、以前よりスコアが上がってはいるものの、フィルには勝てていないらしくライバル心を持つ。
●声 - 青山吉能
●5歳の男の子。認識番号は79294。
●食べることが好き。ナイラと仲が良い。ユウゴと会った際、他の子供達はミネルヴァかもしれないその男のらしくない素行に注目する中、男が食べているクッキーに意識が集中する。
●エマ達がシェルターを離れてクヴィティダラの探索を行っている間、ユウゴとルーカスから食料調達の技術や知識を学んでおり、シェルターを失った後もその技術を活かしている。
●声 - 森優子
●4歳の女の子。認識番号は53394。
●マイペースな性格。マルクと仲が良い。マルクと遊んでいて迷子になるが、イザベラが短時間にナイラを見つけたことで、体に発信器が埋められていることにエマ達は気付く。
●5歳の男の子。愛称は「クリス」。認識番号は70394。
●好奇心旺盛。シェルターでは朝の6時に鍋の音で皆を起こす役割を担っているらしく、98話では彼目線でシェルターでの生活が紹介される。シェルターからの脱出中にアンドリューに狙撃され重傷を負う。
●5歳の女の子。認識番号は71394。
●お転婆でチア部っぽい。詳細は不明だが、ユウゴにかなり懐いている様子が窺える。
●ユウゴとルーカスがアンドリュー達の足止めのためにシェルターに残る事を決めた際は子供達の中でも特にユウゴの事を心配している様子が見られ、その後も2人が帰ってこない中、エマ達は2人を探しに行きたくても敵が生き残っている可能性もある事から待つという選択をする。しかし、2人を放っておけないとドミニクとグランド=ヴァレー出身の3人の子供と一緒にユウゴとルーカスを探しに行く。その際、アンドリューに見つかってしまい人質に取られるが、オリバーらによって救出される。
●5歳の女の子。認識番号は31394。
●まじめな性格。GF脱獄時、崖に落下する恐怖から手が震えたが、レイにしがみつく形で崖を越えることができた。
●エマ達がシェルターを離れてクヴィティダラの探索を行っている間、ユウゴとルーカスから食料調達の技術や知識を学んでおり、シェルターを失った後もその技術を活かしている。
●新入りの赤ちゃん。認識番号は53494。
●イザベラが脱獄計画を攪乱するため、時期をずらして「入荷」したが、これによりエマは拠点の存在と発信器の在り処を知る。エマになついている。
●エマ達の脱走後はフィルと同じプラントに移され、徐々に話せる言葉が増えている。
●声 - 小林沙苗
●イザベラが子供の頃、同じプラントにいた少年。認識番号は71584。
●物静かな性格だが歌を作る才能があり、自身が作った歌(アニメでは楽器で奏でて作った曲)をイザベラに頼まれて聴かせていた。ある日、レイがレスリーの歌を歌っていたことでイザベラはレイが自分の子供であることを知る。
●エマ達の脱走後、フィルが送られたプラントにいた少年。
●フィルによると、お調子者で人柄がドンに少し似ている。その後、出荷される事になった。フィルには将来の夢について良く語っていた。
●エマ達の脱走後、フィルが送られたプラントにいる少年。そのプラントでは最年長。
●エマ達の脱走後、フィルが送られたプラントにいる少女。フィルの良いお姉さん的存在。
==== グローリー=ベル(GB) ====
高級農園・グローリー=ベルの食用児達。
●エマ達が辿りついたシェルターで出会った大人の男性。長らく名前を明かさず、エマ達からは「オジサン」と呼ばれるが、96話にて名前が判明する。認識番号はETR3M8。
●脱走した食用児という意味では、エマたちの「先輩」。年齢は明記されていないが、28歳前後である描写がある。
●13年前、仲間と共にペンを頼ってGB農園から脱獄し、シェルターに辿りつく。しかし、いつまでもミネルヴァが現れず、先導時の夢による回想によると、ユウゴが仲間全員でA08-63地点(ゴールディ・ポンド)へ向かう事を発案した。ゴールディ・ポンドに連れ去られた後も密猟者達と対抗し、彼の指揮のもと全員生き延びていたが、レウウィスに狩られ壊滅した。その際に自分だけ生き残ったことに罪悪感を持ち続けた。なお、彼が着ている小さなベストは、かつて仲間の1人が着ていたもの。
●後にシェルターを訪れるエマ達は、靴が磨り減り身体も引き締まっているため、シェルターと地上を出入りしているとみなす。森や水辺など鬼の巣があるかもしれない危険地帯でも活動し、木に実を採取しているようである。また、シェルター内の物を大切にし、壊れかけのカップを触られただけで狼狽する。当初はエマ達に名前を教えず、エマ達も適当につけた渾名で呼ぶ。また、過去の出来事はほぼ語らない。エマ達が良い家族であることは内心認めるが、だからこそ目障りで消えて欲しいと考える。
●エマ達がシェルターを訪れると、ミネルヴァは嘘吐きだがシェルターを用意してくれていることには感謝してると言い、仲間が死んだ13年の間に、仲間・希望・情けといった全ての無駄を省くこととを学んだと語る。そして、エマ達がGF出身で7日前に逃げてきたことを当て、エマを人質にし、資源に限りがあるためペンを置いてシェルターを出るように迫る。しかし、エマに金的を強打され、エマ達の様子を見て過去の自分と仲間達を重ねるが、突然錯乱状態に陥り気絶する。その後、エマたちと交渉し、シェルターを取り戻すためにエマとレイをA08-63地点へ先導する。
●シェルターを取り戻す上でエマとレイが特に面倒で、ギルダもそこそこ面倒だと感じる。A08-63地点への先導ではエマとレイを連れて行くが、出発する際にギルダに2人とも死なせたらシェルターを爆破すると言われ、どちらか1人に死んでもらおうと考える。エマ達がついていくのが精一杯なほどの速度で荒野を駆け抜ける。エマ達の足が遅いとからかうが、着いて来れている事に対してはそれなりに評価する。野良鬼の群生地では、エマ達を上から襲ってきた鬼を銃で攻撃するが、わざと殺さずに再生させ、怒った野良鬼の集団を集めさせる。どちらか死んだら助けてやると言って離れた場所から見物するが、後方から襲ってきた鬼を難なく仕留めるなど高い実力を見せる。
●「仲間の想いを継ぐことはできる」とエマが必死の説得をした結果、過去の仲間を思い出し、エマに引き返すよう促す。その直後、エマが知性鬼に捕縛され、ゴールディ・ポンドに連れ去られる。ユウゴとレイは密猟者達を1日がかりで撒いた後、エマを助ける決心をし、死も覚悟の上で密猟者が使う入口からゴールディ・ポンドに入る。
●侵入後、ノウスとの交戦で隠れているヴァイオレットと会い、猟場の状況およびかつての仲間・ルーカスの生存を知る。ノウマを取り込んでパワーアップしたノウスに対し、気配を含めあらゆるものを消し去って狙撃しノウスを倒す。その後にエマ達と合流し、レウウィスの仮面を破壊してエマ達との共闘の末にレウウィスに止めを刺すなど、猟場での戦闘に置いて重要な役割を果たす。
●戦闘終了後、重傷のエマを抱えてアジトに行き、ルーカスと再会する。屋敷にいるバイヨン達の部下に気付かれる前に逃げる際には、重傷者多数に加え、薬も底を尽きるなど逃げる事が不可能に思われたが、最短ルートで先に彼がエマと共にシェルターまで戻る。シェルターに帰還後、事情を知らないギルダにシェルター爆破装置で脅されるが、アンナがエマの脈がある事を伝え、ギルダ達は冷静になったため、エマを治療する。約4週間後、エマが目覚め、自身の名前をエマに教える。また、作中の描写からこの頃には年少の子供達にもすっかり懐かれ、過保護な性格になっているようである。
●七つの壁を探すためにエマ達がクヴィティダラへ向かう際は、シェルターを手薄にできない事と支援者からの連絡待ちも兼ねてシェルターに残って皆を守るようにエマから頼まれる。
●アンドリューが部下を引き連れて食用児達の殺処分のためシェルターに乗り込んでくるが、包囲の隙を掻い潜って外に出た後、子供達を先に逃がす。アンドリュー達を食い止めるため、ルーカスが仕留めた兵士が着用していたガスマスクと防弾服を身につけ、ルーカスと共に決死の覚悟でシェルターり、アンドリュー一行の大半を始末するも、負傷し追い詰められる。重傷を負ったルーカスからは1人で逃げろと言われるが、過去に猟場でルーカスを置いて1人で逃げた事を後悔し続けており、生きるにも死ぬにも最期まで一緒だと言い、ルーカスを抱えて武器庫まで逃げ込む。その後、追いついたアンドリュー達を道連れに、可燃性ガスを爆発させた。
●回想によると、ゴールディ・ポンドからただ1人シェルターまで逃げてきた後、仲間の想いに応えるため生き続けてきたが、それも限界に達し自殺しようとしていたところにエマ達がやってきた。結果死に損なったが、エマ達に会えたおかげでルーカスに会えて仲間の仇を討つことができ、新たな家族ができるなど楽しく過ごせていた。その為、死ぬ事に対して未練が多くなったものの、エマ達の為に死ねるのなら本望と考えていた。
●子供達には銃の手ほどきや食料調達の方法など生きていく上での様々な事を教え、ユウゴとルーカスの2人がいなくなった後も子供達は教わった事を活かして旅をする。
●ユウゴの仲間だった少年。帽子を被っていた。
●ユウゴの仲間だった少年。ユウゴが着ているベストは、元々は彼が着ていた物のようである。
●ユウゴの仲間だった少女。カチューシャを着けていた。
●ユウゴは彼女の事が好きだったようで、ルーカスもその事を知っていて告白を促されたが言えずにいたようである。
●シェルターに残されていたお茶会のメモは彼女が書いたもので、ゴールディ・ポンドへ出発する前に次にシェルターを使う人達に向けて残した。
●ユウゴの親友の男性。サブリーダー格だったようである。認識番号はKGX2A7。
●ユウゴが右手につけている黒い手袋は、元々は彼がつけていたようである。かつてユウゴをゴールディ・ポンドから逃がした後、仲間達の中で唯1人生き残り、ゴールディ・ポンド内の猟場で身を潜めた。杖をつき、顔に傷がある。右腕は、かつてレウウィスに襲われた際に失っている。彼が生き残れたのは、隠れ続けていた少女が匿ってくれたからで、鬼達の認識では彼はユウゴと共に逃げたと思われているだろうとの事。以降、風車を拠点に13年隠れ続けてた。彼を助けた少女は、出会った5年後に病死したとの事。
●少女の死から8年間、シェルターにいるであろうユウゴとの再会も考えたが、殺された仲間の無念、逃げ惑う他の子供達、自分を助けた少女が鬼の恐怖に怯えながら隠れ続けた事が頭をよぎり、秘密の猟場を潰す為にオリバーら同じ想いを持つ子供達を集め、技術と情報を伝え共有した。ゴールディ・ポンドを離れなかったもう1つの理由として、ミネルヴァが食用児をゴールディ・ポンドに呼んだ理由を見つけており、風車内にある抜け穴の先に鍵のかかった入れない扉があるとのこと。扉はペンを使って開ける仕組み。前述の理由の他に、ユウゴを呼び戻した時の事も考え、猟場を潰す必要があると考える。ユウゴ達と共に辿りついた場所が猟場であったことから、ミネルヴァが敵なのではないかという疑念を持っていたようだが、扉の先で録音されたミネルヴァの音声を聞いた事で疑念が払拭される。
●GP崩壊後は、レイ達と共に3週間ほどかかる安全なルートでシェルターへ帰る。その後はシェルターでユウゴや子供達と共に暮らし、モニターで外の監視や子供達に教育などをしている様子が窺える。
●シェルターにアンドリュー達が乗り込んできた際、モニタールームにいた兵士と外で見張っていた兵士を仕留める。外に出た後、子供達を先に逃がし、アンドリュー達を食い止めるため仕留めた兵士達が着用していたガスマスクと防弾服を身につけ、ユウゴと共に決死の覚悟でシェルターに戻る。
●ユウゴとの連携プレイで兵士たちを次々と始末していくが、過去の回想によると幼少期はユウゴとよく喧嘩していたものの、後に息がぴったり合ったコンビになったようである。しかし、アンドリューの手榴弾による攻撃や銃撃などで重傷を負う。ユウゴと共に武器庫まで逃げ込み、そこにやってきたアンドリュー達を道連れに充満させておいた可燃ガスを銃の引き金で着火させ爆発させた。
●子供達には銃の手ほどきや食料調達の方法など生きていく上での様々な事を教えており、ユウゴとルーカスの2人がいなくなった後も子供達は教わった事を活かして旅をしている。
==== グランド=ヴァレー(GV) ====
高級農園・グランド=ヴァレーの食用児達。バイヨンの特権で、ゴールディ・ポンド(GP)に生きたまま連れて来られる。
●ゴールディ・ポンド(GP)にいる12歳の少年。認識番号はFⅢ715-412。
●秘密の猟場に来た当初、オリバーから猟場の説明をされるも信じなかった。エマに助けられた後、彼女と別行動を取るが、レウウィスに見つかり狩られかけたところをジェイクが身代わりになり、直後にモニカも狩られる。しかし、レウウィスから憎しみを糧に殺しにくるように告げられ生かされる。GP崩壊後はエマ達と共にシェルターで暮らす。当初は丸顔であったが、後に成長してやや面長な顔立ちになる。
●GPにいる少女。テオからは「姉ちゃん」と呼ばれる。
●GPに来た当初、テオと同じくオリバーから猟場の説明をされるも欠伸をしていた事から信じていなかったと思われる。ジェイクがレウウィスに狩られた直後、逃げている最中に自身もレウウィスによって狩られる。狩りの後、遺体は調理され貴族の鬼達の晩餐にて供される。
●GPにいる少年。テオからは「兄ちゃん」と呼ばれている。
●ルーチェに襲われた時、テオとモニカを助けようとするも怖くてできなかった事を恥じ、テオがレウウィスに狩られかけた際に身代わりとなってテオ達を逃がす。狩りの後、遺体は調理され貴族の鬼達の晩餐にて供される。
●GPにいる少女。13歳。俊敏でチームの斥候役を担う。認識番号はDⅣ332-198。
●短髪で第一人称が「オレ」など女の子らしくない部分が多く、エマも彼女が女の子である事に薄々は気付いていたようだが名前を聞くまで確信が持てなかったようである。
●荒っぽい性格で、落ち込んでいたり様子がおかしい人間がいると叩いたり殴ったりする事が多いが、これが彼女なりの励まし方のようである。
●エマを猟場で唯一の大人であるルーカスに会わせるためにアジトへ案内した。テオとの会話から、姉と弟を密猟者に狩られた過去があるようである。GP崩壊後は、ルーカス達と共にシェルターに辿りつく。
●七つの壁を探すためにエマ達がクヴィティダラへ向かう事になった際、ユウゴから夜目が利く事を評価されてメンバーに選出される。
●GPにいる少年。猟場にいる子供たちのリーダーで、1番の古株。17歳で出荷時の年齢は9~10歳。認識番号はAⅡ866-890。
●頭が切れ、猟場の人間達の生活を回す。密猟者達を皆殺しにし、人間の集落へ逃げる事を計画する。バイヨンとの闘いでは、致命傷を負った彼が死に際にルーカスを狙い、身代わりとなってバイヨンの攻撃を受け重体になる。密猟者の鬼達を全滅させた後、足手纏いになりたくないとエマ以外の重傷者を置いて逃げるようルーカスに頼む。しかし、他の食用児達はオリバー達を担ぐぐらいはできると言い、エマはユウゴに任せる形で先にシェルターに行き、その他の者達は安全なルートでシェルターに行く。エマが目覚めた頃には動けるくらいに回復する。
●GPにいる少年。17歳。救護担当。認識番号はPⅥ468-992。
●くせのある毛質でヘッドバンドをしている。いつもポジティブで皆を元気づける。
●ソーニャと共にノウスとノウマを自分達の真正面に誘導し、特殊弾でノウスの仮面を割る事に成功するも、ノウマを殺され怒り狂ったノウスによって執拗に痛めつけられる。かなりの重傷で、シェルターに戻って治療を受けたエマが4週間後に目覚めた後も動けない状態が続くが、その後は動けるまでに回復する。しかし、左目は負傷が激しかったらしくその後も眼帯を付ける。
●GPにいる少年。18歳。救護担当。戦闘派。認識番号はQⅡ863-552。
●色黒でヘッドバンドをしている。ナイジェルによると、ザックは同志でも最古参の1人で、危ない役目を引き受けるため怪我をしやすく、怪我の治し方に詳しくなったため、救護担当になった。身体能力が高くどんな危険にも怯まず飛び込む。逃げるのも武器を扱うのも上手く、同志の中ではオリバーと1、2を争う手練れ。ペペと共にバイヨンの部下を仕留めるも返り討ちされ重傷を負う。GP崩壊後、シェルターまで運ばれ、エマが目覚めた頃には動けるまでに回復する。
●七つの壁を探すためにエマ達がクヴィティダラへ向かう際、ユウゴから救護スキルを評価されメンバーに選ばれる。
●GPにいる少年。16歳。機械類担当。認識番号はRⅢ522-633。
●支給武器の管理をする。寒がり。アビエイターハットを被っているが洗っておらず、植物の芽が生えている。妹のような存在の少女をルーチェに狩られた過去がある。
●ジリアンと共にルーチェらを殺すが、バイヨンが自分達の元に来るなど計画のズレが生じた事を察知し、自身が足止めしてジリアンにオリバー達に異状を知らせる事を提案するも、意に反して逆にジリアンがバイヨンを足止めするために立ち向かう。首謀者の存在をバイヨンに嗅ぎとられ、ジリアンと共にバイヨンを予備の罠におびき寄せるために逃走を図るもジリアンが背後を斬りつけられ人質にとられる。反乱の要であるルーカスを失わないためにジリアンが自分を殺すようにナイジェルに指示するも、負傷しながらも生きていたペペの煙幕で隙が生じたバイヨンの腕を射撃してジリアンを救出する。バイヨンを地下に誘導し、ルーカスとオリバーとの連携でバイヨンを倒しエマのもとへ向かう。エマ達と共にレウウィスを倒した後、ルーカス達と共にシェルターに辿りつく。その後、ハットは被っていない時もあり、ジリアンにからかわれている場面があった。
●GPにいる少女。17歳。副リーダー。認識番号はEⅣ019-270。
●メガネをかけていてそばかすがある。作戦を立てたりデータを作るのが得意。
●サンディと共にノウスとノウマを自分達の真正面に誘導し、特殊弾でノウマの仮面を割る。直後にノウマに捕縛されるが、これも作戦だったようで自身に意識が集中しているノウマをポーラが仕留める。しかし、ノウマを殺され怒り狂ったノウスにより返り討ちに遭う。GP崩壊後、シェルターまで運ばれ、エマが目覚めた頃には動けるまでに回復する。その後も杖をついて歩いていたが、後に杖なしで歩けるようになる。
●GPにいる少年。16歳。食料担当で料理隊長。認識番号はPⅩ363-076。
●暑がり。黒人で左目の周辺に円形の刺青らしきものがある。猟場に来てからの日は浅め。
●ザックと共にバイヨンの部下2匹を仕留め、負傷しつつもバイヨンの背後から煙幕を張りナイジェルとジリアンを救出する。バイヨンの殺害後、重傷のザックをアジトへ運び、他の者にザックを任せた後にエマの元へ向かう。エマ達と共にレウウィスを攻撃するが、閃光弾で目が見えなくなったレウウィスが破壊された仮面の破片を周囲に投げ飛ばして命中した際に声を出してしまい、彼の攻撃で戦闘不能になる。GP崩壊後、シェルターまで運ばれ、エマが目覚めた頃には動けるまでに回復する。
●GPにある秘密の猟場にいる少女。15歳。食料担当。認識番号はQⅠ231-493。
●服につけているワッペンは手作りで、猟場にあるピエロをもいで作っている。姉のような存在の少女をルーチェに狩られた過去がある。
●ナイジェルと共にルーチェらを殺すが、バイヨンが自分達の元に来た事で計画のズレが生じた事を察知したナイジェルから仲間に異状を知らせるよう指示されるも、これ以上仲間を失う事に我慢できず勝手にバイヨンに突撃する。バイヨンに首謀者の存在を嗅ぎとられ、ナイジェルと共に予備の罠にバイヨンをおびき寄せるために逃走するも背中を斬りつけられ人質にとられるが、負傷しながらも煙幕を張ったペペとナイジェルの射撃で救出され、バイヨンの殺害後は救護を受ける。GP崩壊後、シェルターまで運ばれ、エマが目覚めた頃には動けるまでに回復する。シェルターでは、アリシアなどに手作りのワッペンを作り喜ばせる場面もある。シェルター脱出後、ユウゴとルーカスが遅いため近くまで見に行こうと提案したが、レイと口論になりオリバーの言葉で諦める。その後、ルーカスとユウゴの死を知り子供達の中で1番に声をあげて泣く。
●GPにある秘密の猟場にいる少女。17歳。食料担当。狙撃の名手。認識番号はAⅪ640-651。
●ロングの黒髪で口元は布で隠す。アダムとだけ食事をし、他の仲間には口元を見せない。同志でも古参で、かつては顔も髪で見えなくしていた様子が窺える。
●ソーニャを捕縛して興奮するノウマを仕留めたが、ノウマを殺され怒り狂うノウスに槍を投げられ、肩に受け重傷を負う。その後シェルターに連れて来られ、治療を受けたエマが4週間後に目覚めた後も動けない状態が続くが、後に回復する。猟場でもシェルター脱出時には、ルーカスの元へオリバーと先回りするなど完全に回復した姿を見せる。
==== その他の食用児 ====
●GPにいる少年。ヴァイオレット達のアジトである風車の門番をしている。
●大柄で一般的な人間とはやや異なる体型。レウウィスによると、バイヨンが出資しているラムダ7214から試食品として猟場に送られてきたようである。生まれは不明。ヴァイオレットによると、アダムはどこから来たのか不明で言葉をあまり理解できないらしく、ほとんど喋らず、稀に「22194」という数字を独り言で繰り返す。「22194」はノーマンの認識番号で、ラムダ7214にいた時に彼の首筋にある番号を見て覚えたようである。
●ナイジェルがエマの元へ向かった時点では門番として入口を守るが、ペペがエマの元へ向かう際にはエマ達の加勢に向かい、常人とは比較にならないほど強い腕力でレウウィスを攻撃する。複雑な思考は難しいらしく、レウウィスに投げた瓦礫が仲間に当たることまでは考えが回らない。レウウィスの攻撃を直に受け、建物にめり込むほど叩きつけられても軽傷で済む等、常人離れした耐久面を持つ。
●シェルターで暮らすようになってからは、ノーマンではなくエマの認識番号を繰り返す。シェルターではその体格を活かし、高い所にある電球を取り換える手伝いなどをしている。
●量産農園を襲撃する少女。ノーマンの腹心。グッドウィル=リッジ出身だが、後にラムダ7214に送られた。
●量産農園を警備する鬼達を容易く殺すほどの実力で、自分達ばかり食べられるのはムカつくと殺した鬼達を食べる。桃太郎の歌を口ずさむが、鬼退治の歌という程度の認識でしかないようである。ボスであるノーマンが大好き。力関係はシスロよりも下らしく、鬼に対して同情している様子が窺えるエマに激昂するも、シスロの一言で大人しくなる。
●ラムダ7214にいた頃の事がトラウマになっており時折発作が出るらしく、その間隔は徐々に短くなり服用する薬の量の増えているなど症状は悪化している。これはバーバラに限らず、シスロやヴィンセントも同様のようである。
●シスロとは同じプラントの出身らしく、一緒にラムダ7214に送られたようである。
●量産農園を襲撃する少年。ノーマンの腹心。グッドウィル=リッジ出身だが、後にラムダ7214に送られた。
●量産農園を警備する鬼達を容易く殺せるほどの実力を有する。ノーマンがいなければ自分は生きておらず12のガキが神に見えたと語るなど、ボスであるノーマンの事が大好き。バーバラよりも高い戦闘能力を有する事が窺える描写がある。
●量産農園を襲撃する人物。ノーマンの腹心。紙袋のようなもので顔を隠しており現時点では性別は不明。作中の描写から、大柄な人物のようである。ラムダ7214出身。
●言葉を上手く話せない。二刀流の使い手で、量産農園を警備する鬼達を容易く殺せるほどの実力を有している。
●ハヤトによると、非情に高い実力を有するが、何を考えているのか分からず、ノーマン以外の言う事は聞かない狂犬みたいな人物とのこと。量産農園を警備する鬼に捕まったエマを助ける際、鬼を剣で仮面ごと真っ二つにするなど、尋常でない程の実力を見せたものの、直後にエマも殺そうとする(ハヤトが止めに入って事なきを得る)など敵味方の判断能力に乏しいようである。
●量産農園を襲撃する男性。成人のような見た目だが、現時点では年齢は不明。ノーマンの腹心。
●色黒で頭に手術痕らしきものがある。左利き。グローリー=ベル出身だが、後にラムダ7214に送られ、ノーマンと同様にテストを受けていたようである。ノーマンとはルービックキューブに仕込んだ手紙でやり取りをし、共闘してラムダ7214を壊滅させた。一見冷静そうな人物だが、腹心達の中でも特にノーマンが大好きなようである。
●ノーマンが助けた食用児。胸元にラムダ7214のものと似た紋章があるが、その系列の新型量産農園出身。
●ノーマンの指令で、グレイス=フィールドからの脱走者を捜索中に野良鬼に襲われ、エマ達に助けられる。エマ達に感謝をすると共に農園からの脱走に成功したエマ達を尊敬する。人間離れした速度で走る事ができる。
●ノーマンが助けた食用児。ラムダ7214系列の新型量産農園出身。
●黒髪で口元を布で隠している。野良鬼に襲われていた所をエマ達に助けられる。
=== 知性鬼の社会との関係者 ===
●声 - 甲斐田裕子
●子供にとても優しく振る舞うが、裏では鬼の冷酷な手下として人間農園を管理する飼育監(ママ)。31歳。認識番号は73584。身長170cm。
●「ママ」としては優秀だが農園の実態をエマ達に知られるミスを犯す。レイを小さいころから見張りとして使っていた。現管理体制を維持したまま出荷を続けることを望み、ノーマン達と心理戦を繰り広げる。作中では、少なくとも2015年までは外の世界で人間によって本が出版されていたことが確認されているが、クローネによると、それより前に生まれたイザベラも農園で生まれ育っているとのこと。
●「グランマ」の回想によると、子供のころに農園の秘密を知って脱獄しようと塀に登った描写が存在する。また、イザベラ自身の回想では、その時に農園の周囲が断崖であることを目の当たりにし、脱獄を諦めたようである。
●子供の頃、同じプラントにいたレスリーに好意を持っていた様子が窺え、ママを目指す事を選択した理由はレスリーが殺されていた事に対する悔しさと、何も変えられないのであれば、せめて食べられない人間として生き続けてやりたかったからとのこと。
●レイの実母で、レスリーが作った歌を後に身籠った胎児に聴かせていたが、ある日レイがその歌を歌っていたことでレイが自分の子供であることを知った。
●エマ達が脱獄に成功した事で自分の負けを認め(アニメでは縛っていた髪を下ろして)、脱獄に使用したロープを回収し、脱獄したエマ達の行く先に光がある事を願う。グランマからは貴方らしくないと失態を追及されるも、全ての責任は私にあると言い放つ。
●イザベラのその後は不明で、フィルによるとエマ達の脱獄後は1度も会っておらず、現在どうしてるかも分からないという。
●声 - 藤田奈央
●イザベラからの監視強化の要請により、本部から派遣された補佐役。彼女もまた鬼の手下。エマ達のいる第3プラントとは別のプラント出身。26歳。認識番号は18684。身長175cm。
●イザベラのミスを知ると、証拠を掴んで彼女を失脚させ、「ママ」の地位を奪おうと画策する。その過程で子供達と打算的な協力関係を築くが、本心ではイザベラの失脚後に邪魔な子供達をまとめて出荷するつもり。しかし、彼女を用済みと判断したイザベラに先手を打たれ、権力争いに敗れる形で死亡・出荷されてしまう。
●前述のように、子供達に良い感情を持っていないが、それ以上に自分を見下すイザベラに強い嫌悪感を抱き、子供達に脱獄を成功させて「このクソみたいな世界をぶっ壊して欲しい」との思いを託し、不本意ながら出荷される前にイザベラに関する「致命的な情報の手がかり」を残す。
●声 - 小山茉美
●複数のプラントを統括する立場の人物で、イザベラら飼育監の上司と思われる。イザベラの手腕を高く評価し、彼女が管理する第3プラントを頼りにしている。現時点で、鼻から上の容姿はぼかされ、年齢など詳細は不明。
●イザベラの幼少期に農園で彼女の「ママ」をしており、当時のイザベラに農園の秘密を知られて脱獄されかけた描写が存在するが、それも「グランマ」の手の内だったようである。「食用児たちに農園の秘密を知られたとしても、出荷まで制御できれば良し」というイザベラの方針は、かつて彼女の「ママ」だった「グランマ」と同じであることが示唆される。
=== ラートリー家関係者 ===
ラートリー家とそれに関連する人々。ラートリー家は1000年前鬼と『約束』を結んだ一族で、二世界間の調停役として約束を代々受け継いできた。
●ウィリアム・ミネルヴァはグレイス=フィールドハウスに本を寄贈する際の偽名。ジェイムズ・ラートリーは本名。
●ジェイムズはラートリー家第35代当主。しかし、食用児たちに犠牲を強いる理不尽な仕組みに耐えかね、ウィリアム・ミネルヴァという偽名を名乗り、食用児に未来を選ぶきっかけを与えるため、農園に納める本に細工を施し、子供達に安全なシェルターや集落、人間の世界へ渡る為のエレベーターなどを提供しようとした。
●しかし、腹心だった弟・ピーターの裏切りで一族から命を狙われ、ゴールディ・ポンドにある人間世界へのエレベーター横の電話に、脱走した食用児へ向け、2031年5月20日に録音したメッセージを残す。その後、エレベーターは塞がれ、ゴールディ・ポンドは猟場と化す。
●作中の描写から、2031年時点では若い男性である事が窺える。2046年時点での生死は不明。
●ミネルヴァの支援者は他にもおり、危険だが4つの高級農園内には塞がれる心配の無い人間の世界への道があり、そこから逃げたければ支援者を向かわせるとしている。また、自ら壊しはしないが、食用児が『約束』を壊したければその選択を阻まないとの事。そのどちらでも無い未来を選ぶ場合は、『七つの壁』を探すようにと伝えた。
●ウィリアム・ミネルヴァの実弟。ラートリー家第36代当主。食用児が人間の世界に来る事を阻む。
●兄と異なり、人間世界の安寧のために食用児達の犠牲はやむなしと考える。当初は兄に協力していたが、ゴールディ・ポンドの大規模集落を蜂起した食用児の拠点と見なして危険視し、兄の抹殺を謀る。また、密かに食用児を狩っていたバイヨンに集落の存在を話したようである。
●ノーマンが出荷される際に彼の前に新しい父親として現れ、研究目的で彼をラムダ7214へ送る。2045年時点では成人しているようだが、本人曰くノーマンとは父親というには年が近過ぎるとの事。
●猟場で密猟者の鬼達が全滅し、緊急破壊装置が作動したことで猟場にグレイス・フィールドの食用児がやってきた事を察知し、部下を送って食用児の抹殺を図る。しかし、部下のアンドリューの報告から兄の協力者の妨害で食用児を見つけられず、アンドリューに食用児と協力者全員の抹殺を指示する。
●ピーター・ラートリーの部下。褐色の肌でメガネをかけた男性。
●指でリズムを刻むような癖がある。ピーターの指示で脱走した食用児全員の処分を任されるが、40人以上の子供達の偽の痕跡を作ったミネルヴァの支援者によって語導され、エマ達は難を逃れる。このことをピーターに伝え、報告を受けたピーターから、食用児だけでなく協力者全員の抹殺を任される。その後、フィルが送られたプラントに足を運び、フィルから話を聞こうとする。
●長らくシェルターの正確な所在地は突き止められずにいたが、エマにはこの1年9カ月の間に支援者を全員殺したと語る。エマ達が七つの壁の情報を揃えた頃にシェルターを発見し、食用児全員の殺処分をするために部下と共にシェルターに乗り込み。エマの仲間2人を射殺する。その後、ユウゴとルーカスの足止めと彼らが仕掛けた可燃性ガスの爆発に巻き込まれ、部下が全滅する。しかし、アンドリューは一命は取り留め、瀕死の重傷を負い顔の半分を失いながらもエマ達を追う。
●そしてユウゴとルーカスを探しに行ったアリシア達を見つけ、彼女を人質に取り、食用児4人を殺す。また、確実な情報ではないがユウゴとルーカスが死んだ事をエマ達に語るが、後方から襲ってきた野良鬼に食い殺された。
●食用児を自分達と同じ人間だとは考えていないらしく、エマが当たり前の日常を守りたいだけと発言した事に対し、食用児には最初からそんなものは存在しないと返すが、最期は皮肉にも下等な野良鬼の餌になってしまう。
●アンドリュー達が監視の目をくぐりぬけてシェルターにやってこられたのは、梟型のカメラで監視カメラの位置を把握していたからのようである。
●脱獄した食用児達を支援する人物。現時点では名前は不明。
●2031年時点で支援者の多くはピーターによって捕縛され殺害された。鬼の世界でエマ達を陰ながら助け、シェルターにある隠し部屋から電話をかけてきたエマ達に、モールス信号で敵がミネルヴァの弟でラートリー家当主である事と、今は会えないが時期が来ればこちらから接触するという情報を伝えた。しかし、それから1年以上過ぎた後も支援者からの連絡は来ていない。アンドリューによると、支援者はエマ達が脱走した1年9カ月の間に全員始末したとのこと。
=== 知性鬼の社会 ===
==== 王 ====
●女王
==== 五摂家 ====
==== 農園の関係者 ====
●声 - 不明
●GFをまとめる鬼。名称不明。
●体格は大柄な人間くらいで、鬼にしては小柄。エマ達が脱走した際は、部下達に特上以外は殺しても構わないという指示を出す。
●声 - 不明
●GF農園のボスの部下で、コニーに儀程およびコニーの瓶詰の配達をした2人組の鬼達。両者とも名称不明。
●片方は成人の2~3倍ほどの背丈で、もう片方は背丈は特に高くは無いが丸い体型をしている。前者の鬼がコニーを瓶詰にする際、指先だけでも食べられないかと愚痴っていたら、後者の鬼が自分達の手に届く代物ではないと窘めた。
●農園から脱走したエマ達を連れ戻しに来た人型の鬼。名称不明。
●野生の下等種である鬼を一撃で仕留め、大木を真っ二つにするなど、かなり高い戦闘能力を有する。しかし、部下の獣型鬼達をソンジュに皆殺しにされ、彼との一騎打ちの末に殺害される。
==== GPの密猟者 ====
A08-63地点、ゴールディ・ポンド(GP)の「秘密の猟場」に集う上級貴族たち。
●上級貴族の鬼。GP/秘密の猟場の主。
●ピーター・ラートリーと繋がりがあり、自身の息のかかったグランド=ヴァレー農園から食用児を生きたまま入荷できる特権を持つ。秘密の私設の庭で食用児を放し飼いにし、他の一部貴族にも人間狩りを提供する。エマを捕獲したのは彼の部下らしい。ザックによると、密猟者の中ではレウウィスの次に強く、猟場では常に部下を2匹従える。
●食用児の反乱では、ザックとペペによって部下2匹を倒されたが、返り討ちにしてナイジェルらの元に来る。ルーチェらを殺した食用児達の予想外の反乱を称賛するも、自分達の殺し方を食用児が知っていることで首謀者の存在を嗅ぎとり、猟場の主として首謀者を狩り反乱を鎮めるためにジリアンを負傷させ、ナイジェルに首謀者とジリアンのどちらの命を助けるかの二択を迫る。その直後、負傷しながらも生きていたペペによって煙幕を張られ、ナイジェルの射撃によってジリアンを奪い返され逃走される。しかしこれは本拠地を探るためにわざとナイジェル達を逃がしていたのだった。ナイジェル達が木の根元から下に降りていく様子を確認し、後を追って内部に侵入する。地下の構造から食用児達が掘った穴では無く、ピーター・ラートリーが関わっていると察知するも、匂いからルーカスら食用児の存在を感じ前に進む。脇道に潜んでいたオリバーらの存在に気付くも、狭い地下道では思うように武器が使えず、また右側から現れたルーカスらの攻撃を受け殺されるが、死に際にオリバーに重傷を負わせる。
●バイヨンの過去の回想によると、元々鬼の中でも狩り好きだったが、1000年前の約束により狩りができなくなり、農園の管理を任される。約800年前には24の農園に出資、12の農園を管理、6の農園の責任者となった。しかし、農園で養殖された人間を食べても味がしないと嘆いていた。約200年前、自身の権限で農園から食用児を生きたまま入荷する事を思い浮かび、自身の庭で食用児を放して狩りもどきを行い始めた。その時食べた食用児に味がすると涙を流す(実際に味を感じたかは不明で、そう思いたかっただけかもしれないとの事だが、活きた命を食べている事を実感する)。最初は3カ月に1人の頻度で狩っていたようだが、徐々に頻度と人数が増えていった。この狩りもどきはピーター・ラートリーに漏れていたらしく、彼から話を持ちかけられ、GPに秘密の猟場が作られた。ルーカス達との戦闘では、敵陣に誘い込まれていた事を認識しつつ、本当の狩りができている事に楽しさを覚えていた。
●レウウィスによると、新しい試験農園であるラムダ7214にも出資をしていたようである。
●鬼の王家出身で五男坊。秘密の猟場の客。
●パルウゥスという小さい猿のような鬼を肩に乗せている。「狩りは互いに命を懸けるから面白い」という考えの持ち主。1000年以上生きているらしく、かつて人間と鬼の命を懸けた狩り合いを懐かしむ。絶望こそが人間を育て、極限の中でこそ人間は立ちあがり進化すると考える。その為、選別した食用児をあえて殺さず、ユウゴ一行にもゲームとして自分達の殺し方を教え、更に仮面を外して最初の10分間は好きに仕掛けて良いという条件で戦った事がある。しかし13年前に彼らと戦って以来、殺す気でかかってくる強い人間に出会えず退屈している。躊躇なくルーチェの目を狙って斧を投げつけたエマに興味を持ち、彼女に狙いを定める。エマが自分に敵意と憎悪を燃やし、より強く美味くなる様仕向けるためモニカとジェイクを殺し、自身の名前を伝えさせる目的も兼ねてテオを生かす。
●実力は密猟者達でも別格で、尚且つ何をしてくるか分からないとの事。ルーカス達の計画における最大の不安要素とされる。作中では、相手が認識できない速度でその背後に回ったり、多数のマシンガンによる無人乱射にもほぼ被弾せず銃弾のほとんどを手で取ってしまうなど、尋常ではない実力の一端を見せ付ける。また、バイヨン達が殺されたことやマシンガン無人乱射の様子から、エマ達が自分達の仮面を割る武器を持っていることとその武器が希少であることを見抜くなど、高い知性を持つ。
●エマとの決戦では、彼女がかつてのルーカスと同様時間稼ぎをしてると見抜く。しかし、これはルーカスが13年越しに出した自分を殺す解答であると感じ、互いに命懸けの死闘がしたいがために、あえて誘いに乗る。リミットの寸前、エマから戦闘以外の選択肢はないのかと問われるが、戦う以外に納得する方法は無く、自身はエマを狩りたいと考え、仮にエマらに殺されても本望だと語る。
●マシンガン無人乱射や水道と電線を使った感電、閃光弾を使った視覚撹乱など様々な攻撃を食らいつつ、エマ達や合流したユウゴ、レイを相手に圧倒的な戦闘能力を見せ付ける。しかしマシンガンで受けた傷を暫く回復させなかったため、エマから再生は自分の意思で行い、かつ回数は有限であると推測され、高齢のため再生可能回数が少ない事を見抜かれる。このためエマ達は、目以外もマシンガンで一斉掃射するが、エマを自身の爪で貫き仕留める。しかし、エマは致命傷を免れ、彼女がシェルターから持ってきた銃でマシンガン乱射に混じり閃光弾を発射されて視力を奪われ、全身被弾により再生不能になり、ユウゴに目を撃たれ止めを刺される。閃光弾を食らった時点で負けを確信したが、「やはり人間は良い」と満足して死んでいく。
●他の密猟者の鬼達について、気配が消え全員死亡した事に気づくと、仲間意識は持ち合わせていなかったつもりだが、寂しさを感じているとエマに語る。特にバイヨンは付き合いも長くて理解し合える部分も多く、1000年前の約束以前は共に本物の狩りをしていたとの事。しかし、バイヨンが狩りもどきに救いを求めていたと気づき、哀れな男だとしながらも最期に本物の狩りを楽しめて本望だろうと語る。また、死に際に走馬灯のごとく過去の記憶らしきものが描かれるが、その中にソンジュとムジカが登場する。
●パルウゥスのその後については描かれておらず不明。
●上級貴族の鬼。秘密の猟場の客。
●獲物への拘りは特に無く、雑魚を蹂躙して楽しく狩りたいという陰湿な性格。部下の鬼を従え、長さの違う二対の腕を持つ。作中の描写から、若い鬼のようである。食用児を追い詰めたところ、エマに斧で目を狙われ、レウウィスに助けられる。そのためエマに怒りを覚える。
●彼によると、貴族の鬼の仮面は猟場の銃で砕けないほど硬いが、ルーカスの話では部下の仮面は構造が異なり、目のあたりは硬いがそれ以外は簡単に破けるとのこと。部下達はジリアンらによって機関銃による側面攻撃で全滅。彼個人の身体能力は人間と比べても低いようで、ジリアンを追いかけた際には部下が彼女を追い込んだ所に息を切らせながら遅れて到着した。腕力も弱いらしく、部下達の全滅後にジリアンに仮面を素手で剥がされ、銃弾を撃ち込まれて倒された。
●ノウマとペアで行動する男性の鬼。秘密の猟場の客。上級貴族。ノウマと同じような姿をしているが、関係性は不明。
●猟場では、14~15歳の食用児を主な獲物に定めているようである。銃弾や罠を躱したり、木を一撃で真っ二つにするなど高い身体能力を有する。食用児たちの反乱ではノウマと共にソーニャ達の襲撃を受け、ノウマが殺されたことで彼女の死骸を抱きしめて号泣し、その後彼女の死骸を食べる。その後は更に強くなり、ソーニャらを返り討ちにするが、ユウゴに射殺される。
●ノウマを食した後に会話をしてるような描写があり、自身の体にノウマを取り込んだと思われる描写があるが、それは一時的なようである。
●ノウスとペアで行動する女性の鬼。秘密の猟場の客。上級貴族。ノウスと同じような姿をしているが、関係性は不明。
●猟場では、14~15歳の食用児を主な獲物に定めているようである。グレイス=フィールドの「特上」だけではなく、バイヨンの部下が捕り損ねたという成人の人間にも強い興味を示す。銃弾や罠を躱すなど高い身体能力を有するが、力はノウスと比べて劣るのか彼女自身が木を真っ二つにするような描写は見受けられない。罠によってソーニャらの真正面に誘導されて閃光弾で動きを封じられ、特殊弾で仮面を割られるも即座に立ち直りソーニャを掴み上げた。興奮してソーニャを狩りたい衝動に駆られている隙をつかれ、ポーラによって射殺される。死の直後、ノウスの中に意志が取り込まれたような描写があるが、ノウスも射殺される。
==== その他の鬼 ====
●声 - 佐久間元輝
●重要なポストについていると思われる鬼が集まる会議の中心的な存在。名称不明。
●イザベラの農園のことを口にする。鬼の頂点は尊いと考えている。1000年前にバイヨンに農園管理を任せた鬼も酷似した仮面を被っている。
●鬼達から神聖視される存在。王よりも更に上位の立場。名前は鬼独自のものと思われる文字で表記されるが、読み方は不明(アニメでは「あの方」と呼ばれる)だが、エマ達が発音できており、人間にも発音可能。
●ミネルヴァが残した情報によると、鬼の頂点は七つの壁を超えた先にいるらしく、彼と約束を結び直せば鬼のいない世界へ安全に逃げる事もできるという。しかし、ミネルヴァも七つの壁を越えた事や鬼の頂点にも会ったことが無い。また、鬼の頂点とは1000年前にもう一つの約束が交わされていたとのこと。エマはクヴィティダラで鬼の頂点らしき者の幻を見ている。鬼の頂点が決めた事は絶対らしく、他の鬼は意見する事すらできない。
●エマ達が侵入した鬼の町にいた子供の鬼の兄弟。名前は不明。
●量産農園産の人肉を購入したが、高級農園産の人肉は食べたことも見た事もないとのことで、兄の方は高級農園の人肉は量産農園の人肉とは違うのだろうかと思いふける。一方、弟は変装したドンの足元を見て変な足だと兄に報告したため、それに気付いたエマ達は即座に身を隠す。
●その後は直接的な出番はないが、時折エマ達の回想などで登場している。
=== 原初信仰の信者 ===
●エマ達を助けた知性鬼の少女。
●体格は人間の少女と同程度で、比較的人間に近い容姿をしている。ソンジュと共に知性鬼の社会とは離れて暮らし、「原初信仰」なる独自の宗教を信仰をする。宗教上の理由から人間を食べず、食前に手を組んで祈るなど人間と似た習慣を持つ。ソンジュによると、ムジカは人間を食べたことも食べる必要もない。エマ達を助けた当初、彼らにそれほど興味をもっていたわけではなかったが、エマ達と接していくうちに情が移り、別れ際にエマに『七つの壁』を探しなさいというアドバイスを伝える。
●ノーマンによると、「邪血の少女」と呼ばれる一族の生き残りとのこと。
●レイを助けた鬼の男性。
●鬼としては決して大きくは無いが、一般的な人間よりは大柄。ムジカと同じく宗教上の理由で人間は食べない鬼の社会でも異端な存在とのこと。彼の発言によると、過去にも「鬼」と呼ばれたことがあるらしく、レイを助けたのは単純な興味で久々に人間と話をしたかったから。だが、エマ達を助けた本当の目的は、1000年前に交わされた約束をエマ達に壊してもらうこと、たとえ約束を壊せなかったとしてもエマ達が鬼の世界で子供を産み、農園の外で生きる人間を増やしてもらうのが狙い。ソンジュの信仰する原初信仰は、狩猟という形で神が作り出した命をいただくのは神への反逆には当たらないらしく、農園外で生まれ育った天然物の人間をもう1度腹いっぱい食べたいと考える。
●エマ達と別れた後、自身の夢を叶えるために邪魔者である追手の鬼達を皆殺しにする。
=== ギーラン家 ===
●ノーマンとザジが接触した鬼達のボス。
●元五摂家だが、700年前に騙されて一族ごと「野良落ち」の刑に処され、知性鬼の社会から追放された。自分たちを追い出した王家と現五摂家を恨み復讐を企む。
●野良落ち前は人間に近い体型だったが、現在はかなり異なる容姿になっている。ノーマンによると、人肉を食べる事を許されない身分に落とされ、歴史的には退化して野良鬼になって潰えたとされているが、農園や市井から人肉の盗難を繰り返し、ギリギリ人型の姿と知性を保っていたとのこと。
== 用語 ==
=== 鬼関連 ===
●他の生物を食べる事でその性質を取りこみ進化してきた種族。「鬼」とはエマ達が外見から便宜上つけた呼称で正式名称は不明。クローネは「連中」「奴ら」などと、ユウゴやルーカスは「人食い」と、ゴールディ・ポンドの子供達は「怪物」と呼ぶ。
●取り込んだ遺伝子によって多種多様な姿になる。そのため容姿・体格に個体差があるが、指が6本で、顔の中央あたりの目の奥に核が存在し、その周りに目のような物が無数に存在する。種類も様々で、人型や獣型もいる。人間と比べてかなり鼻が利くようである。
●個体差はあるが一般的に戦闘能力はかなり高い。ただし、かつて人間と鬼の争いでは鬼側が食べた人間以上の数の鬼が人間によって殺されていたとのこと。また、後述の再生能力を考慮しなければ人間と比べ戦闘能力が高いとは言えない鬼も存在する。作中では量産農園を襲撃して鬼達を銃火器を用いずに容易く殺す人間も登場する。
●再生能力があり、普通の生物なら致命傷になるような攻撃を受けても死なない。ただし、目を攻撃されると再生せず絶命する。また、目と視神経は回復が遅いとのこと。再生は自動ではないらしく、また再生回数にも限度がある。さらにレウウィスは約束以前の人間と命懸けで狩り合っていた時代を懐かしんでおり、1000年以上生きる事も可能なようである。
●理由は不明だが、ソンジュによると荒野を歩いている限りは鬼に出くわす事は無いとのこと。また、野良鬼・知性鬼問わず仲間の死骸を食べる描写がある。
●知性に乏しく言葉を話さない野生の鬼。知性鬼からは野良の下等種と呼ばれ、知性鬼の社会には属していない。
●様々な種類がいるが、基本的に獣のような姿。体格は小動物程度からゾウ以上の個体まで存在する。大型で気性の荒い種類も多いが、仮面をつけず、また現時点では知性鬼のように極端に身体能力の高い個体はでてきていないため、弱点さえ知っていれば銃や弓矢でも倒すことができ、実力者であれば群れと遭遇しても対処できるレベル。
●A08-63地点に向かう道中には野良鬼の群生地である森が存在するが、基本的にどの種も気性が荒く、常に集団で動き近くには必ず仲間がいる。獲物を見つければ仲間を呼び、一斉に襲い掛かって獲物をシェアする習性がある。
●普段は銃弾を浴びる事はなく、仕留めてしまえば仲間の鬼が銃痕諸共死骸を食べて消してくれる事もあるようだが、再生痕だらけの群れは知性鬼から見たら明らかに異常で、ユウゴと仲間はそれが理由で知性鬼に存在が気付かれゴールディ・ポンドに連れ去られる。
●知能があり言葉を話す鬼。人間を最も好物とする生物
●人間を食べてその形状・知能を取り込んだ鬼が起源。しかし人間を食べ続けないと形状・知能を維持できないらしく、粗悪な量産肉しか食べていない下級鬼達は形状維持の力が弱まり、半年も人間を食べなければ野良鬼のようになってしまうとのこと。また、仲間の死骸を食べる事で一時的にその仲間の精神などを体に取り込む描写がある。人間を食べなくてもその形状と知能を維持できる個体も存在するが、現時点では詳細は不明。
●人型の者が多いが、獣型の者もいる。獣型の鬼の中には非常に鼻の利く種類もおり、エマ達の農園脱出と逃げた方角も把握していた。目が縦に2個並んだ角のある仮面を被る。体格は人間と差が無い者や成人の数倍もの背丈をした者もいる。身体能力は人間と比べても低い者から遥かに凌駕するものまで様々。その為、野良鬼とは比べ物にならないほど危険な存在。ただし、並の知性鬼は銃があれば容易く倒せる描写もある。
●独自の文字・宗教・文明社会・階級制度などを持つ。階級は鬼の頂点を除くと、王、貴族、平民、その下といった区分となっている。その下には野良鬼が分類されるが、知性鬼の社会には属していない。
●政治的には統一されておらず、いくつかの社会集団に分かれている。その中でも鬼の頂点を崇めるグループは、人間達と約束を締結し、人間農園を運営して食糧をまかなっている。人間農場では人間の世界から流れ込んだ高度な技術品が多く登場するが、鬼の町では機械類は見受けられず、人間と比べ文明レベルが低い様子が窺える。獲物を屠る際は儀程を行い、儀程を終えた肉は食べても良いという決まりがある。鬼達の会話によると、猫を食べる者もいるが、鬼から見てもゲテモノ食い扱いされる。鬼の市場の様子から人間以外にも多様な物を食べているようで、巨大なムカデなど現実には存在しない食材も多い。ソンジュによると、極稀に人間食いたさに農園を襲って人間を盗む鬼が存在するらしいが、近年は盗難が増えているとのこと。鬼達の会話によると盗賊達は高級肉を食べたいものの高級農園は警備が堅いため、貴族への鬱憤晴らしとして量産農園を襲撃している。
●ラートリー家など、鬼の世界と人間の世界を往来する人間が一定数存在し、その人間達は鬼から食べられる事は無く鬼と対等な立場にある。
●ムジカとソンジュのように、教義上農園の人間を食べない「原初信仰」を信じる鬼も存在するが、異端な存在で極少数であり、鬼の社会とは離れて生活している。また、彼らは時に鬼独自の言語を使う。
●鬼の伝統的な獲物の屠り方。神への感謝を込めてヴィダという吸血植物を獲物の胸に生きている間に刺す。
●神に糧を捧げる意味合いがあり、花が開くと神が受け取ったとしてその肉を食べることができる。また、この作業は肉が長持ちさせるための血抜きも兼ねる。高級農園の食用児を屠る過程は、前述のように生きたままヴィダを食用児の胸に刺し、その後で衣服を剥ぎ取り液体の入った瓶に入れる。基本的に食用児は頭が下になるように瓶に入れられる。
●詳細は不明だが、グレイス=フィールドの最上物と呼ばれる高スコアの子供が鬼の頂点への御膳として捧げられるようである。
●グランマの発言によると、作中の年においてはイザベラのプラント以外に最上物の基準を満たしている子供はおらず、彼女は最上物を無事に「出荷」することが期待される。
●ソンジュとムジカが信仰する宗教。
●狩猟以外で神が作り出した命を食してはいけないらしく、エマ達のように農園などで養殖された家畜を食べるのは教義に反するようである。鬼の世界では外の世界で生まれ育った人間の存在が確認されていないため、事実上人間を食べられない。ソンジュは教義に反しない形で人間を食べられる環境をエマ達に作ってもらうためエマ達を助けるが、その際2人はエマたちに宗教上の理由で人間を食べないと語る。
●人間を食べなくても人型の形状と知能を維持できる鬼。
●その存在は700年前に確認されるが、具体的な事は不明。彼女とその一族の血を飲んだ鬼もその性質を受け継ぐが、人肉管理で鬼の世界を牛耳っていた王と五摂家は、その存在を危惧し皆殺しにして食べた。ムジカはこの一族の生き残りと思われるが、ソンジュは元は邪血の一族とは異なるようである。
=== 農園関連 ===
●表向きは孤児とされているが、実際は食用の家畜として飼育されている子供達。
●起源はかつて人間世界と鬼世界が断絶された際、鬼の世界に置いて行かれた土産。鬼達は彼らを管理・繁殖するために農園を設立した。以降、鬼達は「狩り」ではなく「収穫」という形で農園で繁殖させた人間を食べている。
●認識番号の位置や法則は農園ごとに異なり、グレイス=フィールド(GF)は首筋、グローリー=ベル(GB)はお腹、グランド=ヴァレー(GV)は胸元に認識番号が記載されている。ただし、個体を識別して管理しているのは高級農園のみとのこと。子供達は脳を鬼好みに発達させるため、表向きは愛情をもってのびのびと育てられる。また知能の高さも求められるが、日常の異常さに気付く恐れも高まるため、「ママ」の手腕が問われる。
●あらゆる人種の子供がおり、本部内の施設で生まれてくる。子供達の母親は飼育監候補の女性達である。また、子供達は人工受精によって生まれる描写があるが、父親は現時点では不明。農園内での服装は白一色で、年長の女子には服装に不満を持つ者もいる。
●出荷に関して、表向きは里親を手配されて巣立つと言われ、事実を知らない子供はそう信じる。子供達が出荷される年齢はまちまちだが、GFでは6歳以降からスコアの低い順に出荷され、12歳になると無条件で出荷される。ただし、秘密を知ってしまった子供は即時出荷する規則がある。出荷ペースは明記されてはいないが、GFでは基本的に1度出荷が行われると次の出荷は2カ月以上先になるようである。
●子供達の肉の等級はテストのスコアと年齢によって「並」、「上物」、「最上物」、「特上」にランク付けされ、年長者ほどランクが高い。中でもGFのエマやレイなど「特上」は王や上級貴族でも食べられない代物で、レウウィスによると出身プラント・認識番号・個人名まで鬼の間で知られるほど有名な存在とのこと。特に近年の第3プラントは、優秀な飼育者がとても美味な脳を育てていると、顧客の間でも格別の華だったとのこと。GFでは、5歳は「下」、6歳から7歳は「並」、9歳は「佳」、10歳は「上」と呼ばれている(作中では第3プラントの8歳児は登場せず、ランクは不明)。また、成人は希少性が高いようで、密猟者の鬼にはGFの「特上」以上に興味を示す者もいる。
●食用児はランクが高い者ほど脳だけではなく血肉の味も上質になるらしい描写が存在する。
●人間農園にて、食用児達を管理する存在。通称「ママ」。
●グレイス=フィールドでは、テストで一定以上の成績を残し、尚且つ飼育監からの推薦を受けた12歳の女子から選抜される。上記の条件を満たした女子は、出荷時にこのまま死ぬか飼育監を目指すかの二択を迫られる。飼育監を目指すことを選択した女子には農園から脱走できないように、外に出ると電気ショックで心臓を止めるチップが体に埋め込まれる。飼育監の席は少なく空席も簡単には出ないため、実際に飼育監になれる者は一握りしかいない。クローネによると、飼育監を目指すことになった後も死を押し付け合う日々があっただけとのことで、大部分の者は途中で脱落して出荷される。
●本部で他の飼育監候補者達との競争で大人になるまで生き残り、子供を産んで能力が認められることで飼育監や補佐に任命される。
●「ママ」を統括する本部の人間は「グランマ」と呼ばれる。
●人間農園にて、飼育監の補佐をする存在。通称「シスター」。
●飼育監と同様、本部にて他の飼育監候補者達との競争で大人になるまで生き残り、子供を産んで能力が認められることで任命される。作中の描写から、プラントには必ず補佐がいるわけではなく、必要に応じて本部から派遣されているようである。詳細は不明だが、本部にて補佐らしき女性達が生まれてきた赤ん坊の世話をする描写がある。
●人間農園の飼育監・飼育長らを統括する存在。通称「グランマ」。飼育監が昇進してなるようである。
●作中の描写から、不要と判断した飼育監らを処分する権限も有しているようである。
==== 人間農園 ====
●高度な知能を持った人間を飼育する人間農園。グレイス=フィールド、グローリー=ベル、グランド=ヴァレー、グッドウィル=リッジの4つが存在。中でもグレイス=フィールドは最上級に位置付けられる。
●認識番号で個体を識別して管理している。現時点では詳細は不明だが、上位の農園ほど認識番号がシンプルな物になっているようである。のびのびした環境で健やかに育てられ、知能を高めるテストが行われる。高級農園では量より質が重要視され、ここから出荷された食用児は一般の鬼には手が届かない金持ち向けの高級品として扱われる。中でも脳は重要視され、エマ達の脱走時には鬼から部下に「特上」以外の食用児は殺しても構わないとしつつ、頭部は傷つけないよう指示される。ミネルヴァによると、4高級農園内には人間の世界への道があるとの事。警備は量産農園と比べてかなり厳しく、盗賊も手が出せない。
●鬼が運営する最上級の人間農園。エマ達は、単に「ハウス」と言うことも多い。
●全部で5プラントあり、満期の年齢は12歳。食用児の認識番号は首筋に5桁の数字が記載され、数字の並びを逆にすると生まれた順になる。飼育監の通称は「ママ」、補佐の通称は「シスター」。この農園の食用児は英才教育が施され、「特上」にランクされた食用児は鬼の頂点に捧げられるため、王や上級貴族も食べられない。そのため、日常的に後述のグランド=ヴァレーの食用児を食べている密猟者の鬼達ですら目の色を変える。
●レイによると、GFにはエマ達が暮らす第3プラントを含めて全部で5プラントと本部が存在する。第3プラントでは37人前後の食用児がて、早くて2ヶ月に1人程度出荷される。
●乳児を含むたくさんの子供が、孤児院と信じて暮らす。住居である屋敷の周囲は鬱蒼とした森で、外縁は子供では登れないほどの壁に囲まれる。グランド=ヴァレーやグッドウィル=リッジと異なり、農園には天井が無く自然の空が広がる。外部と接触できるのは「門」と呼ばれる場所のみだが、壁・門に近づくことは禁じられ、子供達は実質閉じ込められている。物資管理が徹底され、特に刃物の扱いは厳しい。ママの部屋には通信設備が隠され、定時連絡など「本部」と通じている。子供達が脱獄した際は、通信機器で本部に報告され、警報音が農園全体に響き渡る。
●本部には鬼や大人が大勢いる。ノーマンが塀を登って確認した情報によると、本部を含めたプラント同士は隣接し、全体の形は六角形になっている。その周囲は断崖絶壁で飛び降りるのは不可能。本部は第3プラントの真向かいに位置し、唯一橋と繋がっている。作中の描写によると、プラントにある宿舎と比べてかなり大きい建物で、周囲には木が生えていない。
●商品として人間の赤ちゃんを育てるための施設とされる。ハウスに来る赤ん坊がある程度成長していること、既に発信機が埋め込まれていることなどから、その存在が推測された。
●ユウゴやルーカスらがいた農園。食用児の認識番号は、お腹に数字を含んだ6文字の文字列が記載され、左からアルファベット3文字、数字、アルファベット、数字という構成になっている。満期の年齢は15歳。
●ミネルヴァが食用児に脱走の手引きをし始めた比較的早い時期にユウゴ達が脱走し、シェルターまで辿りつく。またゴールディ・ポンドの猟場でもレウウィスに目をつけられるまで1人も死なずに生き延びていた等、かなり高い能力を持った食用児が多い農園である事が窺える。
●バイヨンの息がかかった農園。ゴールディ・ポンドにある猟場に放たれている食用児の大半はこの農園の出身。
●食用児の認識番号は胸元に記載され、左からアルファベット、ローマ数字、数字3桁、ハイフン、数字3桁という構成。テオの回想によると飼育監を「先生」と呼ぶ。月一で数十人単位の食用児が猟場に補充され、GFと比較してかなり大規模な農園らしい。この農園の食用児はGFと比べて能力的に平凡な子供が多く、バイヨンから並肉と呼ばれる。単行本9巻で描かれたエマとヴァイオレットのやり取りから、猟場と同様に農園の空は人工照明になっているようである。
●猟場に放されている食用児の多くは兄弟姉妹のような存在を密猟者に狩られた過去があり、現時点では詳細は不明だが猟場へは各プラントから家族単位で出荷が行われているようである。満期の年齢は15歳以上のようで、16歳のペペは猟場に来てから日が浅めとのこと。
●バーバラやシスロがいた農園。作中の描写では農園の空は人工照明になっているようで、出荷の際は同一プラントから複数人の出荷がなされている模様。詳細は不明だが、この農園からラムダ7214にかなりの数の食用児が送られていた事が窺える。
●安価量産型の人間農園。
●人間を劣悪な環境でただ生かし太らせ出荷する。食用児達は狭い空間に一列に並んで座らされ、手首に手錠のようなもの、腕には点滴、口に何らかの装置が取り付けられる。食用児達の生命維持はこれらの装置に依存し、取り外すと死んでしまうとのこと。また彼らは言葉を解さず、意思も無い。その為、ソンジュによると彼らは脱走の意志も能力もないようである。ただし、感情を完全に失っているわけではないらしく、食用児の1人は救出に来たノーマンの呼びかけに涙を流す。人間農園の大半はこのような数百ほどの量産農園である。高級農園の食用児と異なり個体識別されず、農園ごとに紋印が刻印されている。高級農園と比べ警備は甘く、近年は盗賊の襲撃が増えている。鬼の市場の様子から、高級農園の食用児とは異なり個別に丸ごとではなく、頭部・腕・足などに切り分けられ、部位ごとに瓶詰されている。
●ミネルヴァが残したメモリチップに入っていた情報。2031年時点では西の果てに建設予定の新しい試験農園とのことだったが、2046年時点では既に運営が始まっている模様。
●レウウィスによると、バイヨンが出資した新農園。ノーマンはこの農園に送られ、GFよりも更に難易度の高いテストを受ける。農園内には人間世界から来たと思われる人間達の他に鬼もいるが、明らかに異様な風貌の人間達が育てられる。ゴールディ・ポンドにいるアダムはラムダ7214出身で、ここにいた時にノーマンを見たようである。ここで生まれた食用児もいれば高級農園から送られてきた食用児も存在し、後者は一部を除くと人体実験用に送られていた事が窺える。シスロによると、地獄という表現すら生ぬるい環境だったらしく、多くの食用児が死亡したり殺されるなど物より酷い扱いだったとのことで、食用児が野良鬼に生きたまま食べられている描写も存在する。
●ラムダ7214系列の量産農園。現時点では詳細は不明
●ジンやハヤトはこの農園の出身。彼らは高級農園の食用児と同じく高度な知能を有し、一般的な人間よりも高い身体能力を有しているなど、従来の量産農園とは大きく異なる農園であることが窺える。
==== アイテム ====
●作中のキーアイテムの一つ。商品としての人間を管理するための装置。
●耳に埋め込まれているが、手術痕が残らないほど超小型で、成長すると違和感がなくなる。発信する信号が「ママ」の持つ懐中時計型の受信機に位置情報として送信される。個人識別はできないが、壊すと異常を知らせる。超小型で埋め込まれて10年以上動き続けるなど、2015年時点の人類の科学技術的には実現不可能な代物で、鬼独自の技術の可能性もあるとのこと。
●後にレイが「ごほうび」の資材から信号を無効化する装置を作成。ノーマンに託し、未使用のまま残されたが、後に農園から脱走する際にエマとレイ以外の脱走対象の子供達に使用される。
●飼育監を目指すことを選択した女子の心臓に埋め込まれるチップ。
●農園の外に出ると電気が流され、心臓が止められてしまう。それ以外の要因で心臓が止まった場合、本部に通報する送信器にもなっている。
●農園で食用児に課される知能テスト。
●鬼は人の脳を好み、その発達のために行う。テストのスコアが高い子ほど、鬼にとって上等な食用人肉とされている。逆に、スコアの低い子供は早い段階で出荷される
●グレイス=フィールドでは4歳から毎日受ける。最高300点。難易度は高く、作中の描写から半分正解できればかなり良い方であることが窺える。
●テスト結果は満点以外は公表されないが、コニーの台詞が出荷の法則のヒントとなった。満点以外の子供には、課題(宿題のようなもの)が出される。
●現時点では、以外の農園でのテストに関しての詳細は不明。
●本部にて、鬼と対等な立場の男性が落としたペン。クローネが拾い、エマ達に託される。
●一見ただのペンだが、W.Mのイニシャルが書かれ、分解すると中筒部分に【B06-32】といった文字列が書かれている。更にもう一段階引っ張ると空中にモールス信号付きの梟のホログラムと【B01-14】の文字列が投影される。
●文字列はハウス【B00-00】を基点とした座標で、前半2桁の数字は南北、後半2桁の数字は東西の座標を示していることが作中で推測される。当初エマたちは【B06-32】にミネルヴァがいると考えた。
●梟のホログラムにはモールス信号でTOUCH ME(私に触れよ)と書かれ、触れると新たに【13-18-02】という暗号が浮かび上がる。これはミネルヴァの本の13ページ18行2単語目を指しており、そこに書かれた単語(HUMAN)を入力するとミネルヴァからのメッセージが現れる。最後までいくと、B06-32地点に辿りついた状態で正解を入力すれば地図らしきものが表示され、地下シェルターへの入り口が出現するが、それ以外で入力するとエラーが発生する。
●シェルターにはA08-63地点にペンを持って向かうように指示した手紙が存在する。貴族の鬼たちの「秘密の猟場」と化したA08-63地点の風車に抜け穴があり、その先にペンを使うと開く扉が存在する。扉の奥にゴールディ・ポンドがあり、その中央にある建物にはエレベーターと電話がある。電話が置かれた机の引き出しの奥には、メモリチップであるペンの端の部分が残され、これをペンに取りつけると、人間の世界へ行く事に関するあらゆる情報が表示される。
●ミネルヴァが残した特別な2冊の本のうちの1冊。promise(約束)というモールスが記載され、主人公のウーゴと相棒のキツネザルのマーヴィンが世界の秘境を旅する冒険物語となっている。
●一見どこにでもあるような内容だが外の世界の手引書となっており、外の世界に存在する奇妙な動植物に関する対処法、活用法が記載されている。
●『引き出し』を暗示した言葉で、ウーゴの相棒であるキツネザルのマーヴィンが好んで眠った場所。
●鬼の世界ではどこにでも自生する吸血植物。獲物を屠る儀程に用いられる。
●獲物が生きている間に心臓に突き刺し、血を吸うことで花が開く。血抜きの役割もあり、こうすることで獲物の肉が長持ちするとのこと。
=== 地理 ===
●B06-32地点にある地下シェルター。
●ミネルヴァがペンを頼りに脱出した食用児たちのために荒野の地下に造った。居住スペースには風呂・トイレ・炊事場・武器庫があり、畑も存在する。シェルター内には中には水・食料・武器・生活必需品のほか、世界についての情報や資料などが備蓄されている。地下水を引いて水を確保したり、地中熱と有機廃棄物(排泄物や生ごみ等)を使って発電もでき、燃料を使う補助発電機も付いている。水・電気は使い過ぎなければ困る事もなく、廃棄物も発電に利用できるためゴミも極力でない環境となっている。着替えもあるが、1番小さいサイズでも年少組には大き過ぎで、シェルターに辿りつける子供は出荷対象である6歳以上を想定している事が窺える。
●シェルター内の資料は、グレイス=フィールドと同じく2015年以前の物ばかりで、『鬼』や『約束』についての資料は古文書レベルとのこと。このような資料には、ミネルヴァからの手紙が挟まれ、安住の先を目指すならペンを持ってA08-63地点へ行くように書かれている。また、他の資料には農園や鬼の集落、人間世界に関する物や手書きの鬼の世界の植物図鑑もあるが、小説や絵本など普通の本もあるとのこと。
●資料室の奥に緊急破壊装置があり、鬼にシェルターの存在が発覚した時を想定して設置された事が作中で推測される。エマ達が装置を発見した際には配線が切れていたが、元から切れていたのかユウゴが切ったのかは不明。ピアノがあり演奏もできるが、内部にスイッチがあり、スイッチを押す事でピアノが動き武器庫への入口が現れる。武器庫には大量の銃火器・刃物・盾・爆弾などがある。ユウゴが言うには、シェルターに辿りついた時はピアノの音が極僅かに狂っていたのに仲間が気付き、この部屋を発見できた。ピアノはどの音でも鳴らせば元に戻る。シェルターの回線は外から探知できない仕掛け。シェルター内には非常口が存在し、各所に非常口へ繋がる道が7つあり、そこから逃げだせるようになっている。
●モニターがあり、外を監視できる。モニターの映像は梟型のロボットから送られてきているようである。モニター部屋の地下に隠し部屋がある(ユウゴも存在に気付かなかった)。隠し部屋には電話があり、支援者と連絡を取ることができるが、発見当初は回線が壊れていた。ピーター・ラートリーらの敵を欺くためにダミーのシェルターも幾つか存在する。
●エマ達が脱走する13年前、グローリー=ベルの脱走グループがたどり着くが、A08-63地点へ行って密猟者に襲われ、ユウゴのみ生還した。その後エマ達が訪れるが、その間に1度もミネルヴァが現れた事はないとのこと。食料の備蓄はエマ達が訪れた時点で、ユウゴが13年間に消費し残り少ないが、シェルター外に鳥・ヘビ・トカゲが生息し、畑も増やす事が可能らしく、エマ達ぐらいの人数であればずっと暮らせる環境のようである。 ゴールディ・ポンドの食用児達が来た後は63人もの大所帯で暮らし、シェルター内の人口密度はかなり高く、1人あたりの食事の量も少なくなったが、皆が笑顔で暮らしているとのこと。仕事は分担制で、皆が何かしらの役割を担う。
●A08-63地点にある地下の池。ミネルヴァがペンと手紙を頼りに脱走してきた食用児たちがここで暮らせるように造った。
●地下に大規模集落があり、外からは分からないようになっている。本当のGPはルーカスが見つけた抜け穴の先にある扉の更に奥に存在し、触ることのできない金色の水で満たされている。ここでペンを起動させると「WELCOME TO GOLDY POND」という文字が表示される。GP中央には建物の建つ島が浮いている。建物の中には人間の世界へ渡る為の古めかしいエレベーターとミネルヴァのメッセージが録音された電話が存在する。電話が置かれた机の引き出しの奥には、メモリチップであるペン先端部分が納められている。
●ピーター・ラートリーによってエレベーターは塞がれた。さらにピーターはバイヨン卿にこの施設の存在を教え、集落部分を秘密の狩り庭にしてしまう。食用児の多くはグランド=ヴァレー出身で、バイヨンが特権で月一で生きたまま補充しているが、僅かにエマなど他農園出身者も存在する。村にはスピーカーが設置され、音楽が鳴ると鬼が食用児を狩りに来て、再び音楽が鳴ると狩りは終了する。猟場で狩りをする鬼は5名の貴族とその従者で、食用児は最大で50人程度存在する。狩りは不規則だがおよそ3日1回ほどの頻度で朝に行われる。オリバーによると1度の狩りで食べられる食用児は平均4人程度のようである。また、食用児たちには銃などの武器や医薬品なども支給されている。
●周辺は鬼の集落だらけで農園からB06-32地点までの旅とは比べ物にならないほど危険な場所にある。道中には野良鬼の群生地がある。気候は冬でも春のような暖かさで、存在する植物も野良鬼の群生地の森とは全く異なる。前述の池への扉がある部屋には猟場の制御室らしきものが存在し、ここで猟場の気温や空調、電気、上下水道、時刻、空の疑似映像を管理しているようである。
●エマ達が密猟者の鬼達を全滅させた後、ナイジェルがエマのペンを使って制御室の緊急破壊装置を作動させ、2046年1月29日に猟場は水の底に沈み崩壊する。
●現時点では詳細は不明だが、ムジカとミネルヴァがエマにこれを探すように伝えた。この壁を越えた先に、鬼の頂点が存在している事が作中で触れられる。
●D528-143地点にある遺跡らしき物。上から見ると目の形になっている。周囲は荒野になっており、エマはこの場で鬼の頂点と思われる鬼の幻と過去の光景を見る。
=== その他の用語 ===
●コニーの持っていた、ウサギのぬいぐるみ。コニーが出荷された後はママの部屋にあったが、ハウスが燃やされた際に焼失した。