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『鬼滅の刃』(きめつのやいば)は、吾峠呼世晴による日本の漫画。略称は「鬼滅」。『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて2016年11号から2020年24号まで連載された。
== あらすじ ==
=== 竈門炭治郎立志編(1巻 - 6巻) ===
■鬼殺隊入隊(1巻、2巻/テレビアニメ第1話 - 第5話)
●時は大正。主人公・竈門炭治郎は亡き父親の跡を継ぎ、炭焼きをして家族の暮らしを支えていた。竈門炭治郎が家を空けたある日、家族は鬼に惨殺され、唯一生き残った妹・竈門禰󠄀豆子も鬼と化してしまう。竈門禰󠄀豆子に襲われかけた竈門炭治郎を救ったのは冨岡義勇と名乗る剣士だった。冨岡義勇は竈門禰󠄀豆子を「退治」しようとするが、兄妹の絆が確かに残っていることに気付き剣を収める。
●冨岡義勇の導きで「育手」鱗滝左近次の元を訪れた竈門炭治郎は、竈門禰󠄀豆子を人間に戻す方法を求め、鬼を追うため剣術の修行に身を費やす。2年後、竈門炭治郎は命を賭けた最終関門である選別試験を経て、「鬼殺隊」に入隊する。
■浅草:鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨との邂逅(2巻、3巻/テレビアニメ第6話 - 第10話)
●初仕事である沼鬼の討伐を完了し、次の仕事で浅草へ向かった竈門炭治郎は、竈門禰󠄀豆子が鬼になったときと同じ匂いを感じ取り、それをたどって鬼たちの祖である鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨と接触する。鬼舞辻無惨は人間に化けており、人ごみを盾にして逃れ、竈門炭治郎は手出しできなかった。
●その後、鬼でありながら鬼舞辻無惨を殺そうと考える珠世と愈史郎に出会うが、鬼舞辻無惨もまた刺客を差し向け、戦いとなる。竈門炭治郎は、珠世と協力関係を結び、鬼舞辻無惨に近しい鬼の血液を採取するという新たな目的を持つ。
■鼓屋敷:仲間との出会い(3巻、4巻/テレビアニメ第11話 - 第14話)
●竈門炭治郎は、同期の鬼殺隊剣士・我妻善逸と再会する。新たな指令を受け、醜態を晒す我妻善逸を半ば強引に引き連れて行くが、屋敷では「稀血」の少年を巡り鬼同士が殺し合うという混戦状態となっていた。さらに、新たな鬼殺隊剣士・嘴平伊之助も乱入。我妻善逸、伊之助がともに鬼を仕留め、竈門炭治郎も元・十二鬼月である響凱を倒す。
:蜘蛛の鬼(4巻 - 6巻/テレビアニメ第15話 - 第23話)
●一時の休息の後、竈門炭治郎たち3人は那田蜘蛛山での戦いへ応援を命ぜられる。だが、先遣隊は蜘蛛の能力を使う鬼の一家を前に全滅寸前であった。鬼の強襲で剣士たちは散り散りに分断される。竈門炭治郎は十二鬼月・累と対峙する。その圧倒的な強さの前に追いつめられるが、父から伝承した「ヒノカミ神楽」と竈門禰󠄀豆子の血鬼術で逆襲に転ずる。しかし累に間一髪で回避され、我妻善逸・伊之助もそれぞれ命の危機に見舞われる。彼らを救ったのは、鬼殺隊最高戦力である「柱」・冨岡義勇と胡蝶しのぶだった。
●こうして那田蜘蛛山の戦いは終結するが、竈門炭治郎と竈門禰󠄀豆子は処遇を巡って「柱合裁判」にかけられる。「柱」たちの厳しい追及を受ける竈門兄妹だったが、竈門禰󠄀豆子が血への欲望と怒りに耐えきったことで、鬼殺隊当主・産屋敷耀哉の元、その存在は公式に認められる。
■蝶屋敷(6巻、7巻/テレビアニメ第24話 - 第26話)
●先の戦いで重傷を負った竈門炭治郎らは、胡蝶しのぶが所有する「蝶屋敷」で治療を受ける。屋敷にはその素質が認められ、「継子」に選ばれた同期の女剣士・栗花落カナヲがいた。治療は順調に進むが、機能回復訓練において栗花落カナヲとの実力差を見せつけられ、竈門炭治郎らは落ち込む。竈門炭治郎は胡蝶の過去を聞き、決意も新たに「全集中・常中」の会得を目指す。
●一方、「下弦の伍」が倒されたことに業を煮やした鬼舞辻無惨は、下弦の四鬼を役立たずと粛清し、最後の下弦「下壱」を強化して、竈門炭治郎への追手に放つ。
=== 中盤(仮称。7巻 - 16巻) ===
■無限列車:下弦の壱、上弦の参(7巻、8巻/劇場版アニメ)
●竈門炭治郎たちは、ヒノカミ神楽の手掛かりを求め、炎柱・煉獄杏寿郎を訪ねて無限列車に乗り込む。煉獄杏寿郎とは会えたもののヒノカミ神楽の情報は得られず、しかも列車は鬼絡みの事件の渦中にあるという。3人と煉獄杏寿郎は、「下弦の壱」眠り鬼・魘夢の術に嵌り、夢の中に閉じ込められる。何とか覚醒に成功し、乗客を守りつつ、魘夢を倒す。
●だが直後に現れた「上弦の参」猗窩座との戦いで、煉獄杏寿郎は討死するが竈門炭治郎と竈門禰󠄀豆子は煉獄杏寿郎に確かに認められる。また猗窩座は竈門炭治郎を標的視するようになる。
■吉原遊郭:上弦の陸(8巻 - 11巻)
●無限列車の事件から四か月後、音柱・宇髄天元の嫁が、遊郭「吉原」への潜入捜査中に消息を絶つ。宇髄天元は救出のために隊を組み、竈門炭治郎・我妻善逸・伊之助を女装させて潜入させる。竈門炭治郎は「上弦の陸」堕姫と対峙し、潜入調査は一転して十二鬼月上弦の討伐任務となる。堕姫との実力差と、自分に合わない水・ヒノカミの技に、苦戦を強いられる。宇髄天元たちが合流し、なんとか堕姫の頸を落としたものの、死なないばかりかその体内からもう一匹の鬼・妓夫太郎が現れる。「上弦の陸」、その正体は鬼の命を共有する兄妹鬼だった。毒を操る妓夫太郎と堕姫の連携攻撃に、全滅必至の負傷を負わされた剣士たちだったが、限界を超えた闘志でこれを打ち破る。
●これにより、鬼殺隊にとって百年目の勝利がもたらされた。歓喜する産屋敷耀哉と、怒りに震える鬼舞辻無惨。両陣営の対立は激化の様相を呈していく。
■刀鍛冶の里:上弦の伍・肆(12巻 - 15巻)
●幾度の強敵との戦いの度に刀を折ってくる竈門炭治郎に、刀鍛冶・鋼鐵塚蛍は堪忍袋の緒が切れ刀を作らないと宣告する。鋼鐵塚蛍に直談判するため竈門炭治郎は秘匿されている刀鍛冶の里に足を延ばす。そこでたびたび夢に出てくる「耳飾りの剣士」についての足跡に触れる。
●また、竈門炭治郎は里を訪れていた恋柱・甘露寺蜜璃と霞柱・時透無一郎の二人の柱と、最後の同期にして風柱の弟である不死川玄弥と再会を果たす。
●平穏だった刀鍛冶の里だが、鬼舞辻無惨の命を受けて「上弦の伍」玉壺と「上弦の肆」半天狗が襲撃してくる。玉壺は刀鍛冶を狙い、半天狗は剣士を襲う。犠牲者が出るも、防衛戦の末に、時透無一郎が玉壺を討伐、竈門炭治郎が半天狗を討伐する。
■柱稽古(15巻、16巻)
●竈門禰󠄀豆子が太陽を克服した。それを知るや鬼舞辻無惨は歓喜し、標的を「青い彼岸花」から「竈門禰󠄀豆子」に変える。彼女を食らうことで、自らも太陽を克服するというのである。鬼舞辻無惨は鬼たちを退き、竈門禰󠄀豆子を巡る総力戦へと備える。
●一方、柱合会議。かつて戦国時代、鬼舞辻無惨を後一歩のところまで追い詰めた剣士たちには、ことごとく鬼の文様に似た「痣」が現れていたと、産屋敷耀哉の妻・産屋敷あまねは語る。時透無一郎は、自分の体験から「痣」を出す条件を具体的に把握していた。これを受け岩柱・悲鳴嶼行冥は、全ての柱を動員した合同強化訓練「柱稽古」を提案する。隊員たちは能力の強化を、柱たちは「痣」の発現をそれぞれ目指す。
=== 最終章:無限城での決戦(16巻 - ) ===
鬼舞辻無惨は産屋敷邸を突き止め、産屋敷耀哉の命を奪うべく、深夜に来訪する。死病を気力で生き永らえていた産屋敷耀哉は、自らを罠にして屋敷を爆破。未知の血鬼術を持つ伏兵の支援のもと、珠世が鬼舞辻無惨に「鬼を人間に戻す薬」を吸収させる。さらに悲鳴嶼行冥が追い打ちをかけるも、鬼舞辻無惨は絶命しない。お館様の緊急事態に、竈門炭治郎や柱たちも続々と集結し、弱体化中の鬼舞辻無惨へと総攻撃を仕掛ける。夜明けまでの持久戦に持ち込めるかという状況で、鳴女によって鬼殺隊全員が無限城へと落とされ、鬼殺隊と鬼たちの総力戦が始まる。鬼殺隊は竈門禰󠄀豆子を隠し、愈史郎が通信網を張り、産屋敷の家督を継承した産屋敷輝利哉が指揮を取る。鬼舞辻無惨は戦いを鬼たちに任せ、肉繭に籠り解毒を試みる。
■vs新上弦の陸・獪岳(17巻)
●我妻善逸は兄弟子の獪岳に遭遇、獪岳は鬼に堕ちていた。互いに罵詈雑言を浴びせあう中、我妻善逸は獪岳の雷の呼吸と血鬼術が混ざった攻撃を受けてしまう。我妻善逸は意を決し、独自の「漆ノ型」で獪岳を滅す。
■vs上弦の参・猗窩座(17巻、18巻)
●竈門炭治郎の気配を感じ取った猗窩座が出向いてくる。猗窩座は竈門炭治郎の成長と冨岡義勇の強さを絶賛し、さらに煉獄杏寿郎を「あの夜死んでよかった(=お蔭で竈門炭治郎が成長した)」と侮辱する。余力を残す猗窩座との戦闘で冨岡義勇は痣を覚醒させる。死闘の末に「至高の領域」に辿り着いたのは、猗窩座ではなく竈門炭治郎であった。竈門炭治郎と冨岡義勇は満身創痍ながらも猗窩座討伐に成功する。
■vs上弦の弐・童磨(18巻、19巻)
●胡蝶しのぶは姉の仇である童磨に遭遇した。胡蝶しのぶは童磨を倒すため次々と毒の刃を突き立てていくが、童磨は意に介しない。胡蝶しのぶが死力を尽くした攻撃も童磨には効かず、敗死して吸収される。
●童磨と栗花落カナヲの戦いに、伊之助が乱入する。伊之助の素顔を見た童磨は、記憶から「伊之助にそっくりな女性」を思い出し、それが伊之助の母親であると断定する。童磨は伊之助の母も殺していたのである。栗花落カナヲと伊之助は、仇への憎悪に燃える。殉職した胡蝶しのぶの仕込みを後押しする形で、栗花落カナヲと伊之助は童磨を斬首し、撃破。
■vs上弦の壱・黒死牟(19巻 - )
●鳴女の術は、鬼殺隊を分断する。黒死牟の部屋に、時透無一郎、不死川玄弥、不死川実弥が次々送られ、黒死牟が振るう「月の呼吸」の剣技は、彼らをたやすく一蹴する。絶体絶命の危機に悲鳴嶼行冥が乱入し、上弦の壱対鬼殺隊最強の幕が切って落とされる。悲鳴嶼行冥は命を代償に痣を発現させるもなお力およばず、満身創痍の鬼殺隊は四対一で黒死牟に挑む。不死川玄弥の血鬼術で身動きを止め、柱三人の痣・透き通る世界・赫刀の総攻撃により、黒死牟を撃破。黒死牟は、弟・継国縁壱に焦がれながら滅ぶ。
■vs鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨(21巻 - )
●上弦をすべて倒し無限城が崩壊、地上に出た鬼殺隊と鬼舞辻無惨。日の出まであと一時間の最終決戦が始まる。
== 登場人物 ==
声はアニメ版の声優。演は舞台版の俳優。登場人物の名前は創作のほか、「奇抜に見えるが実在する」姓名が多用された。
=== 主要人物 ===
●声 - 花江夏樹、佐藤聡美(幼少期)
●演 - 小林亮太
●主人公。家族思いな少年。物語開始時13歳→15歳。身長165cm。
●額左側の痕と、日輪が描かれた花札風の耳飾りが特徴的。額の痕は幼い時に弟を庇ってできた火傷跡で、最終選別での手鬼との戦闘で同じ箇所に傷を負ったことでさらに色濃くなる。髪と瞳が赤みがかった「赫灼の子」であり、火仕事をする家系に生まれると縁起が良いという。頑固で石頭と二つの意味で頭が固く、生真面目過ぎてズレた言動をすることがある。
●嗅覚が非常に優れており、相手の感情すら嗅ぎ取ることができる。これは戦闘時において敵の気配を読む力としても機能し、訓練後は「隙の糸」として可視化されるようになった。鬼と人間を嗅ぎ分け、仇である鬼舞辻無惨を匂いで見抜く。他にも、戦闘に関して優れた直感や柔軟な思考力を発揮する。
●反面、非常に心優しく、鬼を前にしても非情になりきれない。問答無用で鬼を斬り捨てる鬼殺隊の在り方にも公然と異を唱え、柱達からも異端視される。
●隊服の上に市松模様の羽織を着用し、竈門禰󠄀豆子を収納した木製の箱を背負って行動する。現状は十二鬼月を倒し、その血液を珠世に送ることを最優先の目的としている。
●当初は『鬼殺の流』に出す予定のサブキャラクターだったが、連載に向けて提出したネームが没となった後、主人公をより普通の人物に変えることとなり、作者が「家族全員を殺され、鬼となった妹を人に戻すために鬼殺隊に入った炭売りの少年」の話をしたところ、担当が「宿命を背負ったキャラクター」だと感じ主人公に抜擢された。
●三郎(さぶろう)(声 - てらそままさき)の宅に泊まり一晩家を不在にした夜、竈門禰󠄀豆子以外の家族全員を鬼舞辻無惨に殺される。鬼化して辛うじて生き残った竈門禰󠄀豆子を人間に戻すため、冨岡義勇の紹介で鱗滝左近次の元を訪れる。鬼を追う力を求め、2年間の訓練を経て「水」の呼吸法と剣術(壱から拾の型)を身につける。また生家に伝わる「ヒノカミ神楽」を下弦の伍・累との戦闘から剣技に変換し、使用し始める。
●担当の刀鍛冶は鋼鐵塚蛍。日輪刀の色は漆黒。水の呼吸は資質的に合っていないことから極めることが叶わず、伝承したヒノカミ神楽も技の威力に身体がついていかない。その自覚から、新たな自分の呼吸法を模索する。刀は激戦で折れたり紛失したりしている。最新の刀は、縁壱零式の機体内に収納されていた戦国時代の刀を鋼鐵塚蛍が研ぎ直したもの。鍔は煉獄杏寿郎の遺品。
●技一覧
●鋭敏な嗅覚と修行によって得た剣術勘により、敵に打ち込むべき太刀筋が糸のように視覚化される共感覚の一種。糸が張った瞬間にそのまま引かれるイメージで剣を斬り込む。ただし、攻撃が間に合わないなど敵の隙が消えた場合「糸」は切れてしまう。
■水の呼吸(みずのこきゅう)
■壱ノ型 水面斬り(みなもぎり)
●水の呼吸法による剣術の基本技。交差させた両腕から勢い良く水平に刀を振るう。跳躍状態でも高い威力を持つ。
■弐ノ型 水車(みずぐるま)
●縦方向に身体ごと一回転しながら斬りつける。広い範囲の敵や大型の異形鬼に有効打を与える。
■弐ノ型 改 横水車(よこみずぐるま)
●横方向に回転して斬る応用技。大木をも切断する威力を誇る。
■参ノ型 流流舞い(りゅうりゅうまい)
●水流のごとく流れるような足運びによる、回避と攻撃を合わせた技。
■肆ノ型 打ち潮(うちしお)
●淀みない動きで斬撃を繋げ、複数の対象を斬り落とす。実戦において非常に有効なため、水の呼吸でも特に多用される技である。
■打ち潮・乱(うちしお・らん)
●空中戦等に用いる、全方位対応の応用技。
■伍ノ型 干天の慈雨(かんてんのじう)
●斬られた者にほとんど苦痛を与えない水の呼吸法唯一の「慈悲の剣撃」。相手が自ら頸を差し出して来た時のみ使う。
■陸ノ型 ねじれ渦(ねじれうず)
●上半身と下半身を強くねじった状態から、勢いを伴って繰り出す斬撃。水中でこそ本領を発揮でき、発生させた渦は鋭い水刃となって周囲全てを切り裂く。
■ねじれ渦・流流(ねじれうず・りゅうりゅう)
●陸ノ型と参ノ型の足運びを組み合わせ、相手の力を自分の動きに取り込む応用技。
■漆ノ型 雫波紋突き(しずくはもんづき)
●水の呼吸の中でも最速の突き。鬼の頸を斬り落とすには向かない。
■雫波紋突き・曲(しずくはもんづき・きょく)
●軌道を曲げ、斜めから突く応用技。飛び道具の迎撃等に用いる。
■捌ノ型 滝壷(たきつぼ)
●怒涛の勢いとともに上段から打ち下ろす。威力、攻撃範囲ともトップクラスの技。
■玖ノ型 水流飛沫(すいりゅうしぶき)
●動作中の着地時間・着地面積を最小限にし、縦横無尽に駆け巡ることを可能とする歩法。足場の悪い場所での戦いに適している。
■水流飛沫・乱(すいりゅうしぶき・らん)
●水流飛沫を立体的に用いる。対響凱戦で使用した。
■拾ノ型 生生流転(せいせいるてん)
●うねる龍の如く刃を回転させながらの連撃。一撃目より二撃目の、二撃目より三撃目の威力が上がっていくため、事実上水の型で最強の技。
●しかし充分な威力を引き出すためには相応数の連撃が必要となり、この技の使用中は水の型の特徴である変幻自在の歩法が使えなくなるなど、デメリットも大きい。
■壱ノ型 円舞(えんぶ)
●真円に近い弧を描く太刀筋が特徴。十二鬼月・累の糸を断ち切った。
■円舞一閃(えんぶいっせん)
●円舞と霹靂一閃の合わせ技。円舞の攻撃に霹靂一閃の高速移動を合わせた一撃。
■弐ノ型 碧羅の天(へきらのてん)
●円を描く太刀筋を縦に叩きつける。汽車と融合した十二鬼月・魘夢の頸の骨を断ち切った。
■参ノ型 烈日紅鏡(れつじつこうきょう)
●太刀筋が∞の様な軌道を描くため、円舞より広範囲を斬ることができる。
■肆ノ型 灼骨炎陽(しゃっこつえんよう)
●激しい動きをして繰り出す。斬撃を受けると(鬼の場合)、灼けるように痛みを感じ上手く再生できなくなる。
■伍ノ型 陽華突(ようかとつ)
●上空へ向かって飛び上がり、攻撃の威力を一点集中させて放つ突き技。
■陸ノ型 日雲の龍・頭舞い(にちうんのりゅう・かぶりまい)
●龍が舞うような動きで接近し、竈門禰󠄀豆子の爆血を纏った刀で斬る。敵の回復速度を遅らせる特性を持つ。
■漆ノ型 斜陽転進(しゃようてんしん)
●逆さに宙返りしながら放つ横薙ぎの一閃。
■㭭ノ型 飛輪陽炎(ひりんかげろう)
●斬りつける瞬間、刀の刃先が陽炎のように揺らぎ敵の目算を狂わせる。
■玖ノ型 輝輝恩光(ききおんこう)
●地面から炎が立ち上がる様な演出がされる技。
■拾ノ型 火車(かしゃ)
●空中から放つ技。幻日虹から繋げて用いたが、堕姫には通用しなかった。 血鬼術を用いていない上弦の参には通用した。
■拾壱ノ型 幻日虹(げんにちこう)
●高速の捻りと回転による躱し特化の舞。視覚が優れた者ほどくっきりとした残像を捉えてしまう。
■拾弐ノ型 炎舞(えんぶ)
●円舞の二連撃。特訓の末、使用できるようになった。
●声 - 鬼頭明里
●演 - 高石あかり
●ヒロイン。竈門炭治郎の妹。物語開始時12歳→14歳。
●人間だったころは家族思いの心優しい性格。竈門炭治郎不在時に鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨の襲撃を受けるが、その血が傷口から混入したことで鬼化して生き残る。鬼の習性で助けに来た竈門炭治郎を襲うが、必死の呼びかけで涙を流す、飢餓状態で人の血肉が必要な状態ながら冨岡義勇に倒された竈門炭治郎をかばうなど、普通の鬼とは違う様子を見せたことで見逃される。以降は竹製の口枷がつけられ、意識と瞳が混濁している状態となる。
●鬼の能力の一つとして、身長をある程度拡縮できる。普段は日差しを避け、体を少し小さくして背負い箱に入った状態で竈門炭治郎に運ばれているが、戦闘時となると体の大きさを戻して蹴りをメインに戦うようになる。また累との戦闘時に死んだ母親と深層意識で出会ったことがきっかけで、血が燃えて爆ぜる血鬼術「爆血(ばっけつ)」が開花する。
●普段は日差しを嫌うなど鬼の本能の一部を見せるが、ぼーっとしていることが多い。しかし、竈門炭治郎が危機に陥っていたり、強く呼びかけられたりすると活動的になる。鱗滝左近次から暗示をかけられ、人間が自分の家族に見え、鬼を敵と認識するようになる。人間の血に対する欲求は強く残るが、自意識で無理やり押さえ込んでいる。しかし上弦並の力に覚醒すると、人間に対する食欲が高まり襲おうとするが竈門炭治郎によって抑えられる。刀鍛冶の里での上弦との死闘の後、太陽の光を克服し、片言ながら言葉を話せるようになる。
●鱗滝左近次は、通常の鬼が人間の血液で活力を得るところを、竈門禰󠄀豆子は睡眠で代替しているとみている。肉体的な再生能力は通常の鬼より鈍い。鬼化の進行が進めば再生速度は「上弦の陸」堕姫すら上回り、血を凝結させ繋げていれば五体が切られても動ける。また珠世は最初の二年間の睡眠中に、竈門禰󠄀豆子の鬼としての性質が変質したと推測している。
●甘露寺蜜璃に撫でられて嬉しそうにするなど、初期に比べて表情豊かになってきている。
●技一覧
●竈門禰󠄀豆子の血鬼術。自らの血液を任意に爆炎化させる。対十二鬼月の下弦の伍・累戦で目覚めた。高熱で対象物を燃やしたり、爆発力で剣撃を加速させたりと応用力も高い。「燃やしたい物だけを燃やす」という特殊性があり、敵の血鬼術の効力を焼き切るということも可能。そのため人体を燃やさずに、血鬼術で生成された毒を浄化する事も可能。この効能は瀕死の宇髄天元を救うほど。
●鬼の力の源である血液を消費するため、多用はできない。本来なら人間を喰らい、鬼としての力を高めなければ使えない血鬼術だが、竈門禰󠄀豆子は意志の力だけで引き出した。
==== 同期剣士 ====
竈門炭治郎と同じ選別試験に合格し、鬼殺隊員となった剣士。20人以上の候補生のうち、合格したのが5人(お館様いわく、そんなに残るとは優秀)。
●声 - 下野紘
●演 - 植田圭輔
●竈門炭治郎の同期にあたる鬼殺隊剣士。16歳。非常に臆病で、消極的・後ろ向き思考の利己的な面が強い少年。
●金色(黄色)の髪と太い眉が特徴的。隊服の上に鱗文様の羽織を着用する。日輪刀の刀身には稲妻のような刃文が走っている。彼のみなぜか、鴉ではなく「雀のチュン太郎」をつけられている。師に才を評価され、それに見合った実力を持ちながらも、自分が強いはずがないという劣等感に縛られ、情緒不安定気味である。女性に対しての執着心が非常に強く、しばしば顔芸と迷台詞を披露する。竈門禰󠄀豆子に惚れている。
●「雷」の呼吸法で鬼を倒す。「雷」六つの型のうち、「壱ノ型 霹靂一閃」しか会得できなかったが、それのみを鍛え上げ、雷光にたとえられる疾さに至っている。作中当初はプレッシャーに弱く、緊張や恐怖が極限まで高まると気絶するように眠ってしまうも、それによって半覚醒状態となり、緊張から開放される事で本来の強さを発揮する。作中で竈門炭治郎達と共に戦闘経験や柱修行等で力を積んでいき、無限城での獪岳との戦闘では自意識覚醒のまま獪岳を単騎で討ち取る程に技も判断力も成長していく。
●聴覚が非常に優れ、その能力で他人の感情を読み取ることもできる。そのうえで「信じたいこと」を優先して信じるので、何度も騙されてきた。女に騙されて借金苦に陥った所を後の師である桑島慈悟郎に救われ、剣士としての訓練を受けた。修行中に雷に打たれたことで、生来の黒髪から金髪に変わった。最終選別に合格してからしばらく後、同期の竈門炭治郎と再会し、以降は彼と行動を共にする。
●己の弱さに対する嘆きは、誰かの役に立ちたいという願いの裏返しである。先述の経緯から、鬼への負の感情をモチベーションにはしていない。鬼に追われても子供を置いて逃げることはせず、竈門禰󠄀豆子が入った箱が伊之助に斬られそうになった際には毅然と相対し、命懸けで箱を守り切るなどの一面も見せる。
●吉原・遊郭編では、「京極屋」に宇髄天元の嫁・雛鶴を救出すべく「善子」として潜入する。聴覚によって蕨姫花魁が上弦の鬼・堕姫である事を見抜いたものの、堕姫に暴行されていた禿を助けようと動いたため鬼殺隊士である事を見破られ囚われの身となる。
●無限城では、鬼となった兄弟子・獪岳と交戦。新しい「漆の型」で葬る。代償に、雷の呼吸と血鬼術の合わせ技をくらい死にかけるも愈史郎に救われ命拾いする。
●技一覧
■雷の呼吸(かみなりのこきゅう)
■壱ノ型 霹靂一閃(へきれきいっせん)
●神速の踏み込みからの居合い一閃。鬼の目ですら捉えられず、ただ腰の柄に手を置いた我妻善逸が瞬間移動したようにしか見えない。直線状に突進する技という都合上、居合いの瞬間に敵と自分の間に障害となる物が置かれると、技を中断せざるを得なくなる欠点がある。
●応用として、連続技の六連、成長した吉原編では八連を披露した。また神速(しんそく)という技もあり、最速だが足の負荷が大きく回数上限がある。
■漆ノ型 火雷神(ほのいかずちのかみ)
●鬼になった兄弟子の獪岳を上回った速度で、六つしかない雷の呼吸から我妻善逸が編み出した自分だけの型である。自身の服が破れる程の勢いで、龍の形をした雷の斬撃が襲う。
●声 - 松岡禎丞
●演 - 佐藤祐吾
●竈門炭治郎の同期にあたる鬼殺隊剣士。15歳。猪に育てられた捨て子。名前は本名。好物は天ぷらで、「藤の家」の老婆・ひさ(声 - 谷育子)が作ったものを食べてから好物となった。
●奇怪な猪の被り物をしているが、素顔は非常に女性的で端整な顔立ち。上半身は裸で、隊服はズボンのみ。腰や脛に毛皮を巻いている。日輪刀は刃こぼれした二刀で、「千切り裂くような切れ味」と嘯く。鞘がなく非戦闘時は布を巻きつける。那田蜘蛛山の戦闘で破損した後、刀鍛冶・鉄穴森鋼蔵の手で正式に打ち直されるが、受領直後に石で叩いて刃こぼれの形状に戻してしまう。
●鬼殺隊隊員と力比べをして日輪刀を奪い、最終選別や鬼のことを聞きだした。育手の指導を介さず最終選別を生き残り、鬼殺隊に入隊した傑物。「稀血」の少年・清(きよし)(声 - 土岐隼一)を巡る響凱との戦いに、猛然と割り込む。
●戦いたいが故に戦うという好戦的な野生児で、高笑いしながら「猪突猛進、猪突猛進」と叫び、やかましく剣を振るう。常識に疎く文字の読み書きが出来ないほどだが、語彙は豊富であり、突然難解な熟語を使うことがある。これは幼少のころ、一時期面倒を見てくれた老人の読み聞かせやその孫とのやり取りが影響している。他人の名前を覚えず、勝手にあだ名をつけて呼ぶ。
●粗野粗暴だが、精神的には打たれ弱い部分があり、負けがこむと人が変わったように落ち込んでしまう。反面、自分より優勢の人物がいたり、他人から煽られると逆にやる気を出すなど、非常に負けず嫌いな一面もある。人の情けや、優しさを知らずに育ったため、それらが理解できていない。竈門炭治郎らと行動を共にすることで情緒が育ち始め、自らの変化に困惑してしまう。
●我流の呼吸法である獣(ケダモノ)の呼吸で鬼を倒す。触覚が非常に優れ、集中することにより空気のかすかな揺らぎすら感知し、直接触れていないものでも捉えられる。服を着ると触覚が鈍るため、常に上半身は裸になっている。毒や薬が効きにくい体質。関節の脱着による軟体化、内臓を移動させて致命傷を避けるといった芸当を見せる。
●吉原・遊郭編では、「荻本屋」に宇髄天元の嫁・まきをを救出すべく「猪子」として潜入する。喋ったらすぐバレるので、喋らないように厳命されていた。店の遣手からは、厚化粧を落としたら美人だった、思わぬ収穫と喜ばれる。
●無限城で胡蝶しのぶを喰らった後栗花落カナヲと対峙していた童磨と遭遇し、自分の出生と母・嘴平琴葉の存在を知らされる。栗花落カナヲと共闘の末、胡蝶しのぶの毒で体が崩れ始めた童磨を斬首し、恩ある胡蝶しのぶと母の仇を取る事に成功する。
●技一覧
■獣の呼吸(けだもののこきゅう)
●攻撃技を「牙」、それ以外を「型」としている。
■壱ノ牙 穿ち抜き(うがちぬき)
●刀を二本揃えて一息に突き刺す。
■弐ノ牙 切り裂き(きりさき)
●腕を交差させるように刀を振るい、広範囲を斬り裂く。
■参ノ牙 喰い裂き(くいざき)
●交差させた刀で相手の首の両側を挟み、獣が噛みつくように外側へ刀を振るって斬り落とす。
■肆ノ牙 切細裂き(きりこまざき)
●細かい斬撃を入れて斬り裂く。
■伍ノ牙 狂い裂き(くるいざき)
●宙に舞い、四方八方に切り裂く技、多数の敵または攻撃を迎撃する際に使用する。
■陸ノ牙 乱杭咬み(らんぐいがみ)
●刃毀れした二刀で敵の首を挟み、鋸のように斬り裂く技。上弦の首も容易く斬り落とした。
■漆ノ型 空間識覚(くうかんしきかく)
●優れた触覚をさらに研ぎ澄まし、大気の微細振動を捉えることで、幻惑の術の類を無視して広範囲の索敵を行う。
■捌ノ型 爆裂猛進(ばくれつもうしん)
●相手の攻撃を防御せず、一切無視して一直線に突進する。
■玖ノ牙 伸・うねり裂き(しん・うねりざき)
●後発で追加した新技。関節を外した腕を鞭のようにしならせ、剣士の間合いの外から一瞬で敵の急所に奇襲をかける技。
■拾ノ牙 円転旋牙(えんてんせんが)
●二刀を高速回転させて敵の攻撃を防ぐ。
■思いつきの投げ裂き(おもいつきのなげざき)
●二刀を投げて他の日輪刀を敵の首に押し込む。
●声 - 上田麗奈
●演 - 舞羽美海
●竈門炭治郎の同期にあたる鬼殺隊の女剣士。16歳。才覚を認められ、蟲柱・胡蝶しのぶの「継子」となっている。胡蝶カナエと同じ花の呼吸の剣士。胡蝶しのぶより体格と力に優れており、戦い方も異なる。
●那田蜘蛛山では「隠」を率いて見事に指揮をとるも、蝶屋敷では漫然としていて、竈門炭治郎でさえコミュニケーションがとれていない。この時点で「全集中・常中」を会得しており、「栗花落カナヲに勝つ」という課題の機能回復訓練において、非実戦とはいえ竈門炭治郎たちはまるで太刀打ちできていない。特殊な目を持っているとみられる描写がある
●全てにおいて「どうでもいいから何も決められない」という一種の虚無感を抱え、指示を受けたこと以外の行動はコイントスの結果で決めていた。竈門炭治郎との出会いが、その胸中に一石を投じる。竈門炭治郎と出会ってからは、コイントスをせず自分の意思で行動することも見られるようになり、成長している。
●幼少のころ、実の親からの虐待の末何も感じなくなる。その後親に売られ、人買いが連れ歩いているところを胡蝶カナエ・胡蝶しのぶ姉妹が保護し引き取った。胡蝶カナエが「栗花落カナヲ」と名付け、前述の事情からコインを贈る。態度には出づらいが、胡蝶姉妹を自分の肉親と断言するほど心から慕い、後に二人を「姉さん」と呼ぶ。
●無限城では、胡蝶しのぶが童磨に殺される様を見せつけられ、今まで抑えていたドス黒い感情が爆発し、童磨を侮辱する。そのまま戦いとなるが徐々に追い詰められてしまうものの、伊之助の乱入により二対一で戦う事になる。実は予め胡蝶しのぶから作戦を聞かされており、戦いの中で胡蝶しのぶの毒により体が崩れ始めた童磨の斬首に成功する。胡蝶カナエの死に涙を流す事が出来なかったことを後悔していたが、胡蝶カナエと胡蝶しのぶの仇を取った後、二人の死に涙を流す。
●技一覧
■花の呼吸(はなのこきゅう)
●全ての技に花の名前が入っている。
■弐ノ型 御影梅(みかげうめ)
●自分の周囲に連撃を放つ。
■肆ノ型 紅花衣(べにはなごろも)
●衣のような軌跡を描くように斬りかかる。。
■伍ノ型 徒の芍薬(あだのしゃくやく)
●前方に九連撃の斬撃を繰り出す。
■陸ノ型 渦桃(うずもも)
●身体を捻りながら渦のように斬りつける。
■終ノ型 彼岸朱眼(ひがんしゅがん)
●奥の手。眼球に呼吸を集中して動体視力を極限まで上げる事で周囲の全ての動きがゆっくりになる。あまりの負荷に強膜が赤く染まり、失明の危険がある。
●声 - 岡本信彦
●演 - 森田力斗
●竈門炭治郎の同期にあたる鬼殺隊剣士。16歳。風柱・不死川実弥の弟。悲鳴嶼行冥の弟子。
●顔に多数の傷があり、目つきが鋭く、髪をモヒカンにしている。無口で粗暴な性格に見られがちだが、実は結構常識人で人が好く、変人だらけの周りに引くこともしばしば。選別後では女童を殴り日輪刀を催促するが、激怒した竈門炭治郎に止められ腕を折られる。選別時では竈門炭治郎と同じ背丈だったが、蝶屋敷で再会した際は身長が大きく伸びていた。刀鍛冶の里にて竈門炭治郎と再会するが、前述の件を根に持っていた。戦いの中で和解し、以降はその人の好さが前に出るようになっている。突っ張っているが、根は女子供に弱い。
●体格は良いが、呼吸の才能が全く無い。戦闘では色変わりしていないただの日輪刀と、特製大型弾を撃ち出す鉄砲を使う。また特異体質を持ち、鬼の肉を喰い取り込むことで、その力を一時的に使うことができる鬼殺隊にとって無二の人材である。
●不死川家の次男。鬼になった母から守ってくれた兄・不死川実弥に「人殺し」と言ってしまったことを謝るため、才能がないながらも様々な手を使って後を追って、鬼殺隊に入隊した。柱稽古で念願の兄との再会を果たすも、鬼殺隊を辞めろと酷評され、鬼喰いのことを告げると激怒される。
●無限城で、黒死牟と対峙するも、まるで相手にならず一方的に斬られ、絶体絶命のところを不死川実弥に救われた後、不死川実弥の本心を聞いて涙を流す。負傷しつつ、拾った黒死牟の髪と刃を喰うことで戦線復帰し「吸血の樹木」の血鬼術を習得。黒死牟の動きを止め、師や兄たちの勝利に貢献するが、黒死牟の体中から出た刃により脳天から切られたことが致命傷となる。戦闘後、不死川実弥に過去の謝罪と感謝の言葉を告げ、鬼同然に崩れ去った。
●技一覧
■血鬼術
●不死川玄弥の血鬼術。黒死牟の髪と刃を喰らった影響で習得する。鬼状の異形に変化した南蛮銃から放たれる肉弾は生き物の様に動き、相手に着弾するとそれを種に体内から木を生やして相手を拘束する。また、その木は血を吸収して成長するため、鬼の場合は血鬼術の使用が不可能となる。
=== 鬼殺隊 ===
==== 当主家 ====
●声 - 森川智之
●鬼殺隊第97代当主。隊士達からは「お館様」と呼ばれ、鬼殺隊の剣士たちを「私の子供達」と呼ぶ。
●代々短命の一族で病に冒され、顔面上部の皮膚が変質している。初登場の柱合会議時点では視力を失っている。さらに時間の経過とともに病が進行し、身体が衰弱している。声質は「1/fゆらぎ」(えふぶんのいちゆらぎ)を帯び、聴く相手を心地よく高揚させる。我と個性が強すぎてまとまりがつかない「柱」達も、全員が彼を心酔し敬っている。鬼・竈門禰󠄀豆子の存在を知りつつ竈門炭治郎の行動を黙認していたが、柱達の自主性・使命感からの反対意見を頭ごなしに否定することもなく、最終的には竈門禰󠄀豆子を組織的に認めるに至る。また、柱達にも秘密裏に珠世の存在をも把握している。
●実は千年前に鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨を出した一族の末裔であり、一族の病を鬼舞辻無惨を産み出した罪による呪いとみなし、執念で短命の血筋と鬼殺隊を千年維持してきた。病弱ながら知に優れ、築いた財で鬼殺隊を支えている。鬼舞辻無惨の打倒こそが、一族の悲願である。彼ら2人の顔は「双子のように瓜二つ」だという。宇髄天元・竈門炭治郎が「上弦の陸」を撃破した際には吐血しながらも歓喜した。
●屋敷の場所を隠していたが鬼舞辻無惨に割れてしまい、病状の進行から喋ることもままならない状態で襲撃を受ける。しかし鬼舞辻無惨が来ることを予測しており、自分を囮にした鬼舞辻無惨討伐の策を練っていた。鬼舞辻無惨に「永遠に不滅なもの」が何なのかを語り、「ありがとう 鬼舞辻無惨」という言葉とともに妻や娘2人と自爆する。
●声 - 佐藤利奈
●産屋敷耀哉の妻。27歳。病状が悪化して人前に出られなくなった産屋敷耀哉の代理を務める。産屋敷耀哉とはお見合いを機に結婚。夫と運命を共にした。
●声 - 悠木碧
●演 - 久家心
●産屋敷夫妻の五つ子のうち、一人だけいる黒髪の子供。唯一の男児で跡継ぎ。瞳孔が大きく、母や姉妹とよく似ている。父同様に病弱で、魔よけの風習から女児の着物を着ている。
●竈門炭治郎の時の最終選別では、姉妹と共に案内役を務めた。このときはおまけページで「二人のどちらかが男の子」と紹介されたが、後にお館様の実子・跡継ぎの男児であることなどが判明する。父亡き後は齢8歳で第98代当主となる。無限城の裏では、愈史郎と鴉から情報を得て、無限城の図面を描きながら総指揮を取る。
●声 - 花守ゆみり(ひなき)、小澤亜李(にちか)、井澤詩織(かなた)
●演 - 柿澤ゆりあ(かなた)
●産屋敷夫妻の五つ子のうち、四人いる白髪の子供。全員が女児。産屋敷ひなきと産屋敷にちかが産屋敷輝利哉の姉で、産屋敷くいなと産屋敷かなたが産屋敷輝利哉の妹。姉2人は主に産屋敷耀哉の世話を、妹2人は主に後継者である産屋敷輝利哉の補佐を努めている。髪飾りの種類と位置以外では見分けがつかない程によく似ている。竈門炭治郎の時の最終選別では、妹産屋敷かなたは長男の産屋敷輝利哉と共に案内役を務めた。姉2人は両親と共に自爆した。妹2人は、無限城戦で産屋敷輝利哉の指揮を支援する。
==== 柱 ====
●声 - 櫻井孝宏
●演 - 本田礼生
●水の呼吸を使用する水柱(みずばしら)。物語開始時19歳→21歳。日輪刀は水の呼吸の青みがかった刀身。
●竈門禰󠄀豆子に襲われる竈門炭治郎の前に現れ、鬼化した竈門禰󠄀豆子を殺そうとする。しかし、妹を助けるために命懸けで勝とうとする竈門炭治郎の意志や、飢餓状態でも兄を守ろうとする竈門禰󠄀豆子を見たことで剣を引く。妹を助ける道として鬼殺隊としての訓練を受けるように勧め、鱗滝左近次に紹介状を送る。
●現実的で冷めた雰囲気を見せ、感情を表に出すことはほとんどないが、竈門炭治郎の生きる気力を引き出すためにわざと厳しいことを言ったり、竈門禰󠄀豆子を見逃したりと、根は優しく情に厚い面がある。だが無表情で口下手なため、誤解を招きしばしばトラブルを生む。嫌な奴といった印象を他人に与えがちで、胡蝶しのぶに「みんなから嫌われている」と指摘されるが、自覚がなく強く否定している。胡蝶しのぶ曰く「天然ドジっ子」。好物は「鮭大根」で、普段朴訥な彼が「食べる時に微笑んだ」という噂があるという。
●鱗滝左近次と共に、竈門炭治郎と竈門禰󠄀豆子を後援し、「竈門禰󠄀豆子が人を食ったら、切腹して詫びる」と宣言する。
●隊服の上から、左右で違う柄を継いだような羽織を着用する。右半分が色付きの無地、左半分は錆兎の着物と同じ柄。このため伊之助からのあだ名は「半半羽織」。
●祝言間近の姉・蔦子を鬼に殺された過去を持つ。錆兎とは同じ時期に鱗滝左近次に入門し、親友同士だった。作中での2度目の柱合会議の際、ほかの柱に対し「俺には関係ない」「俺はお前たちとは違う」と発言、柱稽古に出ないなどして顰蹙を買う。しかしこれは、最終選別を実力で突破したのではなく錆兎に守られ生き残っただけであるという負い目があったためである。「ほかの柱と肩を並べていていい人間ではない」と劣等感と自己嫌悪の念を抱えていた。竈門炭治郎に「錆兎が残したものを繋いでいかないのか」と問いかけられ柱稽古に参加する。
●自己評価は低いが柱にふさわしいだけの実力が備わっている。水の剣術は竈門炭治郎を上回り、自らの「11番目の型」も作り出し、十二鬼月下弦にも通用する。
●無限城では、竈門炭治郎と上弦の参・猗窩座と交戦。痣の者として覚醒するが、それでも実力がおよばない。竈門炭治郎が猗窩座を斬首するも倒し切れず、満身創痍の弟弟子を必死で守り、最終的には猗窩座が自ら負けと死を受け入れるという形での辛勝となる。
●平野稜二による『冨岡義勇外伝』では主人公として描かれる。
●初期案では着物を着用していたが、担当の片山から「大正感」が欲しいとリクエストされ、詰め襟の隊服に羽織りという設定に変更された。
●技一覧
■水の呼吸(みずのこきゅう)
■弐ノ型 水車(みずぐるま)
●上弦の参・猗窩座との戦いで使用、猗窩座の右腕を切断した。
■参ノ型 流流舞い(りゅうりゅうまい)
●無限城にて竈門炭治郎を襲った鬼に対して使用。竈門炭治郎の構えを見て即座に判断し、合わせるように使用した。後に、上弦の参・猗窩座との交戦でも使用した。
■肆ノ型 打ち潮(うちしお)
●那田蜘蛛山の父鬼に使用。竈門炭治郎と同じ技であるが、作中ではより高威力である描写がなされた。
●痣の発現直後や、限界を超えて失神した竈門炭治郎を守るために、猗窩座に対しても使用した。
■拾壱ノ型 凪(なぎ)
●冨岡義勇が独自に編み出した剣技。刀の間合いに入ったあらゆる術を無効化する。
■胡蝶しのぶ(こちょう 胡蝶しのぶ)
●声 - 早見沙織
●蟲の呼吸を使用する蟲柱(むしばしら)。18歳。蝶の羽根を模した髪飾りや羽織を着用する。薬学に精通し藤の花から「鬼を殺せる毒」を作り出した。栗花落カナヲを継子に持つ。かつては栗花落カナヲ以外にも継子が少なくとも三人いたが、鬼に殺害されている。
●身長151cm、体重37kgと女性隊士の中でも特に小柄で華奢な人物であるが、その分瞬発力や移動速度に優れる。刀を振る筋力が弱いため柱の中で唯一鬼の頚を斬ることができない剣士だが、突く筋力が非常に強く、岩を貫通させるほど。日輪刀はその能力を活かすため、独特で刀身が銛のような形をしており、刺突技に特化した戦い方をする。刺突では鬼を殺せないため、鬼ごとに調合を変えた毒を刃に纏わせて毒殺する。担当の刀鍛冶は鉄地河原鉄珍。草履の踵部分に仕込み刃が施してある。
●常に笑顔を絶やさず、誰に対しても敬語を崩さない物腰柔らかな女性。「鬼も人も仲良くすればいい」という持論を掲げており、命乞いをしてきた鬼を助けようとする素振りもみられるが、「殺した人の分だけ拷問することで仲良くできる」という条件を提示するなど、言動に見合わない苛烈さや歪んだ価値観を見せることがある。
●那田蜘蛛山にて初対面の竈門禰󠄀豆子を殺そうとするも、冨岡義勇に阻止される。柱合会議後は彼と並ぶ竈門炭治郎の数少ない理解者となる。「蝶屋敷」という鬼殺隊専門の病院のような施設を運営しており、重傷を負った隊員の治療やリハビリを受け持っている。屋敷の子供達を妹のように可愛がっている。
●かつては姉胡蝶カナエと両親と幸せに暮らしていたが、鬼によって両親を殺害され、悲鳴嶼行冥に助けられた。まだ壊されていない誰かの幸福を守るため、姉と共に鬼殺隊士となった経緯を持つ。
●最愛の姉である胡蝶カナエは「鬼と仲よくしたい」という夢を持つ剣士であったが、惨殺されている。姉の好いてくれた笑顔を絶やさずにその夢を受け継がなくてはならないと考える一方、保身のために嘘をつき、剥き出しの本能で人を襲う鬼に対し、どうしようもない嫌悪感が心の奥底に蓄積されていき、その葛藤の結果、上記のような振る舞いをするようになった。その相反する想いは、自分と同じような過去を持ちながら、鬼を救う信念が決して揺るがない竈門炭治郎に託される。
●無限城編で、上弦ノ弐・童磨と遭遇、姉の仇とわかり、交戦する。だが毒も全力の剣技もおよばず、全身の骨を砕かれ、そのまま童磨の皮膚から吸収されて遺体も残らず戦死する。実は、童磨への執念で身体を作り変えており、全体重致死量の700倍と称するほどの藤毒の塊と化している。命を代償に、童磨に己を喰わせ、栗花落カナヲにとどめの斬首を託す。童磨の死後、その魂は胡蝶カナエと共に栗花落カナヲを称賛した後、両親と再会を果たす。
●技一覧
■蟲の呼吸(むしのこきゅう)
●虫の名を冠してなぞらえた、「舞い」と称する技を持つ。
■蝶ノ舞 戯れ(ちょうのまい たわむれ)
●上空へ高く跳び、着地時に敵へ毒を刺し込む技。アニメではさらに、敵の視点から見ると蝶の群れが舞い飛び、身体に止まった一羽から毒が染み出すエフェクトが追加されている。
■蜂牙ノ舞 真靡き(ほうがのまい まなびき)
●相手に不意打ちをかけて一突きする技。
■蜻蛉ノ舞 複眼六角(せいれいのまい ふくがんろっかく)
●毒針と化した刃で素早く六連撃の突きを放ち、大量の毒を撃ち込む。
■蜈蚣ノ舞 百足蛇腹(ごこうのまい ひゃくそくじゃばら)
●地面を抉るほどの力強い踏み込みで四方八方に動いて相手を撹乱し、その隙を狙って攻撃する。
●声 - 日野聡、伊瀬茉莉也(幼少期)
●炎の呼吸を使用する炎柱(えんばしら)。20歳。
●隊律違反を犯した竈門炭治郎と鬼である竈門禰󠄀豆子の斬首を問答無用で主張するが、鬼に対する怨みや憎しみは見せず、正論を好んで語る。柱合裁判後、竈門炭治郎の心意気に一人感ずる様子も見せ、後に再会した時には継子に勧誘する。また、最期には人間を守るために戦った竈門禰󠄀豆子を鬼殺隊の一員として認める。
●歴代「炎柱」を輩出している名家・煉獄家の出身。幼いころから父の指導の下、鬼狩りとしての腕を磨いていたが、突如剣を捨て無気力となった父より罵倒され、深く傷つきながらも、表には常に快活な笑顔を浮かべ、弟・煉獄千寿郎を導きつつ柱の一人として鬼殺隊も支えた。
●戦闘力は凄まじく、無限列車内では五両間を一瞬で移動、技の威力で横転の衝撃を和らげる程の実力を持つ。リーダーシップと判断力も優れ、竈門炭治郎たちに列車の事態を収拾するための的確な指示を出す。他の柱たちからも高評価されている。
●無限列車の調査に赴き、竈門炭治郎達と共闘して魘夢を倒すが、直後に上弦ノ参・猗窩座の強襲を受ける。彼からはその卓越した戦闘能力や剣技、精神性を絶賛され、鬼となるよう再三勧誘を受けるも、最後までこれを跳ね除けて人間として戦い抜いた。結果として自身は致命傷を負い、猗窩座を取り逃がすが、幾人もの柱を殺してきた上弦の鬼を相手に死力を尽くして渡り合い、自身以外の誰も傷つけさせずに守り切った。最期に竈門炭治郎達へ遺言を残し、家族への想いを胸に抱きつつ笑顔で息絶える。今代の柱では最初の戦死者となったが、その戦う姿勢と信念は竈門炭治郎達に多大な影響を与え、死後もなお尊敬され続けている。
●平野稜二による『煉獄杏寿郎 外伝』では主人公として描かれる。
●技一覧
■炎の呼吸(ほのおのこきゅう)
●下弦の壱・上弦の参との戦いで、壱、弐、肆、伍、玖ノ型を披露している。炎にまつわる名前がついている。全ての型において炎を生み出し、纏っているかのような演出がなされる。
■壱ノ型 不知火(しらぬい)
●炎を発するような勢いで突撃して一撃を放つ。
■弐の型 昇り炎天(のぼりえんてん)
●下から上へ向けて刀を振るい、猛炎の如き刃で斬りつける。
■肆ノ型 盛炎のうねり(せいえんのうねり)
●自身を中心とした渦巻く炎のような剣技で攻撃する。相手から広範囲の攻撃で攻められた時に有効。
■伍ノ型 炎虎(えんこ)
●烈火の猛虎を生み出すように刀を大きく振るって噛みつくように斬りかかる。
■奥義 玖ノ型 煉獄(れんごく)
●奥義。灼熱の業火の如き威力で猛進し、轟音と共に相手を抉り斬る豪快な技。これを受けた猗窩座は左側頭部、左腕、左肩から胸部をぱっくりと割られた。
●声 - 小西克幸
●音の呼吸を使用する音柱(おとばしら)。23歳。「派手」が口癖で、宝石がちりばめられた額当てをはめ、左目の周囲に化粧をしている派手な出で立ちの大柄な剣士。化粧を落として髪を下ろし装飾を外した素顔は遊郭の女将・遣手たちが見惚れてしまうほど非常に端正だが、本人は「地味だから」とその姿を好まない。「祭りの神」を自称する。三人の嫁(須磨・まきを・雛鶴)がいる。
●得物は鎖でつながれた幅広の二本の日輪刀で、戦闘時以外は刀身に細い布を巻いて背負う。補助に火薬玉も使用する。
●体格と腕力は柱の二番手。元忍であるため、大柄な体格に反する俊敏さや隠密性を併せ持ち、毒への耐性も高い。忍自体は時代遅れとなっており、焦った父による苛酷な訓練により、多くの兄弟を亡くしている。嫁たちも「道具」として扱われていたくノ一であった。父を拒否して忍をやめ、輝哉と出会い鬼殺隊に居場所を得る。
●柱合裁判の際は竈門炭治郎の斬首を主張したが、根は豪快で気のいい性格。嫁たちの安否を心から案じ、蝶屋敷の娘を守ろうとする竈門炭治郎たちの直訴も、あっさりと聞き入れる。柱の中では、自分程度はたいしたものではないと評している。堕姫相手なら一瞬で頸を落とせるが、真の上弦である妓夫太郎には苦戦を強いられる。
●吉原・遊郭にて十二鬼月の「上弦の陸」堕姫・妓夫太郎と戦う。左手を失い左目を失明、血鬼術の猛毒に冒される。竈門禰󠄀豆子の血鬼術によって解毒され一命は取り留めるも、負傷は大きく、柱を引退する。なお柱としての責務を引退したが、鬼殺隊員として任務には励んでいる。
●柱稽古にて第一の試練・基礎体力の向上担当として、鬼殺隊員にスパルタ指導している。柱引退後は纏めていた髪を下ろし、額当てを外して同じ宝石が着いた眼帯に着流しというスタイルとなっている。無限城戦の裏では、元炎柱である煉獄槇寿郎と共に産屋敷輝利哉を護衛する。
●技一覧
■音の呼吸(おとのこきゅう)
●上弦の陸との戦いで、壱、肆、伍ノ型を披露している。音にまつわる名前がついている。
■壱ノ型 轟(とどろき)
●爆発のような轟音を出すほどの斬撃を放つ。
■肆ノ型 響斬無間(きょうざんむけん)
●目の前に斬撃と爆発による巨大空間を作り出し、広範囲に攻撃する。
■伍ノ型 鳴弦奏々(めいげんそうそう)
●回転させた刃が爆発しながら猛攻する。無数に発生する爆発音で周囲が騒がしくなる。
●声 - 河西健吾
●霞の呼吸を使用する霞柱(かすみばしら)。14歳。
●当代最年少の柱であり、刀を握ってわずか2か月で柱となった天才。「日の呼吸の剣士」の子孫と伝わっているが、正確にはその双子の兄・継国巌勝(黒死牟)の子孫。
●一人称は「俺」と「僕」が混在し、不安定。常に無表情で他者への関心が希薄な茫洋とした性格。その場とは無関係な事を考えている場合が多く、柱合会議での竈門兄妹の処遇においても「すぐに忘れるのでどちらでも良い」と関心を示さなかった。反面、徹底的な合理主義を貫き、柱としての活動を妨げる者には実力行使もいとわないある種の冷酷さも併せ持つが、これは彼なりの責任感や正義感の裏返しでもあり、決して悪意はない。
●記憶障害を患っており、刀を握る以前の記憶を持たず、隊士となってからも新たな事柄を長く覚えておく事が出来ない。マイペースな言動の一因である。
●日輪刀は霞のように白い刀身。担当の刀鍛冶は鉄井戸、後に鉄穴森鋼蔵。
●かつては父親と母親と双子の兄・時透有一郎の四人家族で、杣人であった父親の手伝いをしながら暮らしていたが10歳の時に両親を亡くし、以降は時透有一郎と共に生活を送っていた。11歳の春ごろに訪ねて来た産屋敷あまねから自分達が「始まりの呼吸の剣士」の子孫である事を伝えられ剣士に憧れを抱くが時透有一郎から反対され、時透有一郎が産屋敷あまねに水を浴びせた事で喧嘩をしたきり口を利かなくなる。しかし、同年の夏に鬼の奇襲を受け、深手を負った時透有一郎を前に放った鬼の言葉に激しい怒りを覚え、朝日が昇り鬼が塵になるまで交戦した。その後、瀕死状態の時透有一郎から本音を聞き、彼の死後は気を失っていた所を産屋敷あまね達に保護される。この一件から記憶障害を患う。
●刀鍛冶の里にて上弦の肆・半天狗と上弦の伍・玉壺の襲撃を受け、当初は竈門炭治郎と共に半天狗と交戦するが、強風で飛ばされて離脱させられる。身を立て直し、最も優れた技術を持つ里長を最優先に救出しようと再び行動を開始。道中に玉壺の使い魔に襲われている小鉄を目撃するが、優先度の低い彼を見捨てようとする。しかし、「人のために行った事は巡り巡って自分に返ってくる」という竈門炭治郎の言葉を思い出し、救出した。続いて、鋼鐵塚蛍が刀を研ぐ小屋で、彼と小鉄を守りつつ、玉壺と交戦となる。呼吸を封じられ、なす術がないと死を直感するが、命がけの小鉄の行動と機転により危機から脱出。かつての記憶を取り戻し、痣の者として覚醒。玉壺の頸を切り落として倒す。このとき痣の条件を把握したことで、柱たちも知るところとなる。
●記憶を取り戻すきっかけとなった竈門炭治郎には深く感謝しており、柱稽古の上達の速さも相まって非常に好意的に接しているが、呑み込みの悪い隊士には相変わらず辛辣。
●無限城にて、上弦ノ壱・黒死牟と邂逅。己の先祖であると教わった後、交戦するもなすすべなく一蹴され、身体を欠損し致命傷を負う。しかし、死を覚悟して不死川玄弥と共に不死川実弥と悲鳴嶼行冥に加勢し、黒死牟の身体を貫き胴体を切断されるも、赫刀を発現させた事で勝利に貢献する。戦闘後は力尽きて死亡し、その魂は時透有一郎と再会を果たす。
●技一覧
■霞の呼吸(かすみのこきゅう)
●上弦の伍との戦いで、壱、弐、参、肆、伍、陸、漆ノ型を披露している。霞や水にまつわる名前がついている。
■壱ノ型 垂天遠霞(すいてんとおがすみ)
●天に向かって自身と垂直になる様に突きを放つ。
■弐ノ型 八重霞(やえかすみ)
●斬撃を幾重にも重ねて放つ連撃技。
■参ノ型 霞散の飛沫(かさんのしぶき)
●霞を晴らすような素早い回転斬り。
■肆ノ型 移流斬り(いりゅうぎり)
●流れるような太刀筋で刃を振るう。
■伍ノ型 霞雲の海(かうんのうみ)
●大量の霞が辺り一面を覆うような動きをしながら、高速で繰り出す細かい連撃で相手の攻撃を裂断する。
■陸ノ型 月の霞消(つきのかしょう)
●広範囲にわたって霞で包み込むように斬り込む。
■漆ノ型 朧(おぼろ)
●動きに大幅な緩急をつけ、敵を攪乱する歩行術。
●姿を見せる際は亀のように遅く、姿を消す際は瞬き一つの間という形で動く事で敵を翻弄する。痣を発現させた際に発揮した最高速度は上弦の伍である玉壺すら上回る。
●後に無限城にて上弦の壱 黒死牟の戦いでは技を見切られ一太刀も浴びせることができなかった。
●声 - 花澤香菜
●恋の呼吸を使用する恋柱(こいばしら)。元は煉獄杏寿郎の継子。19歳。
●社交的で心優しく、無視されると泣きじゃくるほど繊細な性格。非常に惚れっぽく、周囲のあらゆる人物に男女問わずときめいている。伊黒小芭内には特別視されている様子。
●可憐な女性であるが、特異体質により常人の8倍の密度の筋肉を備え、容姿にそぐわぬ怪力を持つ。この肉体は旺盛な食欲によって支えられている。長髪を三つ編みにしており、桜餅の食べ過ぎが原因で髪色は桜色と緑色に変色している。隊服は胸元が露出している。
●戦闘では、鉄地河原鉄珍が制作した鞭のようにしなる日輪刀を使用する。下手すると自分自身も切り刻みかねない刀であるが、女体ゆえの体の柔らかさ、関節の可動域の広さがその扱いを可能にしており、鞭のようにしなやかに使いこなす。
●柱の中では最も竈門禰󠄀豆子に好意的であり、頭を撫でたりくすぐって遊んだりと大変可愛がっており、竈門禰󠄀豆子もまた、甘露寺蜜璃によく懐いている。鬼への負の感情は持たないものの、人を傷つける鬼には毅然と立ち向かう。
●鬼殺隊に入った理由は「添い遂げる殿方を見つけるため」。家族は五人姉弟で仲が良く、鬼とは無縁である。17歳でお見合いをするが体質や髪色などにより破談してからは、力の弱いふりをし髪色を黒く染め食事を我慢するなど、結婚するために自分自身に嘘をつくようになる。しかし途中で自分じゃないふりをするのはおかしいと思うようになり、人の役に立ちたいと鬼殺隊に入隊。ありのままの自分を受け入れてくれる鬼殺隊やその面々を大切に想っていたが、また拒絶されることを恐れて本領を発揮しきれずにいた。しかし、半天狗との戦闘で攻撃を正面から喰らい気絶していた所を竈門炭治郎達に救出され、自身を「希望の光」と言われたことで力を制御する事を止め、憎伯天を足止めし、半天狗討伐に大きく貢献する。
●技一覧
■恋の呼吸(こいのこきゅう)
●継子として煉獄杏寿郎の下で学んだ炎の呼吸法から、独自に編み出した呼吸法。
●上弦の肆との戦いで、壱、弐、参、伍、陸ノ型を披露している。技の名前には全て「恋」が入っている。
■壱ノ型 初恋のわななき(はつこいのわななき)
●しなる刃の一太刀で斬り刻む。
■弐ノ型 懊悩巡る恋(おうのうめぐるこい)
●流れるように刃をしならせて斬る。
■参ノ型 恋猫しぐれ(こいねこしぐれ)
●血鬼術自体を斬り刻んで無効化する。
■伍ノ型 揺らめく恋情・乱れ爪(ゆらめくれんじょう・みだれづめ)
●関節の柔らかさを利用して広範囲に刀を振るう。
■陸ノ型 猫足恋風(ねこあしこいかぜ)
●身をひるがえしながら突風の如き速さで、迫り来る攻撃を斬る。
●声 - 杉田智和
●岩の呼吸を使用する岩柱(いわばしら)。僧侶を思わせる風体で、盲目の大男。27歳。
●柱の中では最年長のまとめ役で、輝哉の信頼も厚い。体格と腕力は柱一で、心技体に優れ、突出して強い。複数の者らから「鬼殺隊最強」(またはそれに類する)と評価をされている。不死川玄弥は弟子として彼の許にいた。
●手斧と鉄球を鎖で連結した特製の日輪刀を武器に用いる。この鎖鉄球をぶつけて鬼の頭部を粉砕する。
●「子供」の負の面をよく知っている。柱合会議の初対面時は、竈門炭治郎を疑っていたが、柱稽古に至り竈門炭治郎をはっきりと認めた。
●入隊前は寺で身寄りのない子供たち9人の世話をして生活していた。だが、鬼がやって来たことで、1人が自分が助かるために裏切り、4人がすぐ殺され、3人も言うことを聞かずに殺される。もはや最後の1人となった女児を守るべく、日が昇るまで鬼の頭を殴り潰し続け、守り切るも、ショックを受けており正確な説明などできず、不幸にも女児の証言が誤解され、投獄された。その後、鬼の手によるものであることに気づいた輝哉に助けられ、鬼殺隊に入隊する。
●無限城にて、上弦ノ壱・黒死牟と交戦。強さを絶賛される。不死川兄弟の死力を尽くした加勢により勝利した。
●技一覧
■岩の呼吸(いわのこきゅう)
■壱ノ型 蛇紋岩・双極(じゃもんがん・そうきょく)
■弐ノ型 天面砕き(てんめんくだき)
●鎖付きの鉄球を上に投擲した後に鎖を踏みつける事で、鉄球を敵の頭上から勢いよく叩きつける。
■参ノ型 岩軀の膚(がんくのはだえ)
●鎖を操り、縦横無尽に刃を振るって相手の攻撃を斬り裂く。
■肆ノ型 流紋岩・速征(りゅうもんがん・そくせい)
■伍ノ型 瓦輪刑部(がりんぎょうぶ)
●声 - 鈴村健一
●蛇の呼吸を使用する蛇柱(へびばしら)。21歳。
●オッドアイで口元を包帯で隠し、ねちねちしたしつこい話し方をする。「鏑丸」という名前の白蛇を連れている。吉原・遊郭編での戦闘後、援軍として現れ、引退の意向を示した宇髄天元に「若手が育たなすぎるから」と反対する。甘露寺蜜璃に対し、文通していたり靴下を送ったり何かと気にかけている模様。竈門炭治郎には甘露寺蜜璃との関係に嫉妬しているのか突き放した態度を取っている。日輪刀はうねる刀身をした物。
●技一覧
■蛇の呼吸(へびのこきゅう)
■壱ノ型 委蛇斬り(いだぎり)
●自分を中心に円を描くような斬撃で周囲を斬りつける。
■弐ノ型 狭頭の毒牙(きょうずのどくが)
●蛇がうねるような動きで死角を突くように斬る。
■参ノ型 塒締め(とぐろじめ)
●蛇のエフェクトをまとい、高速で敵の周りを動き切り伏せる。赫刀発現後は蛇の頭部が赤くなる。
■肆ノ型 頸蛇双生(けいじゃそうせい)
■伍ノ型 蜿蜿長蛇(えんえんちょうだ)
●大蛇と見まがうほどの大幅なうねりで斬撃を放つ。赫刀発現後は蛇の頭部が赤くなる。
●声 - 関智一
●風の呼吸を使用する風柱(かぜばしら)。21歳。不死川玄弥の兄。
●短い白髪の青年で身体中に傷跡がある。非常に粗暴かつ苛烈な言動が目立ち、柱の中でも鬼への憎悪や敵意はずばぬけて強い。前の大きく開いた隊服を着る。竈門禰󠄀豆子の存在を最も強く否定、傷を負わせた上で自らの血を見せて鬼の本性を引き出そうとするが、竈門禰󠄀豆子が理性を保ちきったため、逆に「人を襲わない証明」が公式になされることとなる。
●稀血の中でも希少な匂いをかいだ鬼を酔わせる血を持つ。また、実戦経験豊富で時透無一郎を一瞬で切り刻んだ黒死牟の技にも対応できている。
●鬼化した母に兄弟を殺され、唯一残った不死川玄弥を守るために夜が明けるまで母と戦い続け、殺害した過去を持つ。顔の大きな傷はその時についたもの。しかし、生き残った不死川玄弥は母が死んだことに混乱し「人殺し」と不死川実弥を罵倒した。その後、稀血と喧嘩殺法でひたすら夜明けまで足止めして殺すという無茶な戦い方で鬼を倒し続けるうちに粂野匡近と出会い鬼殺隊の存在を知る。入隊し下弦の壱を倒して柱入りしたが、その際に大恩ある粂野匡近を失った。顔合わせするまでは、輝哉に反感を抱いていた。
●不死川玄弥に対しては、亡き母親や弟妹達の分も幸せになってほしいという思いから、過去を悔やみ、謝ろうと自分を追って鬼殺隊に入隊してきた彼を「自分には弟はいない」と冷たく突き放して才覚の無さを理由に鬼殺隊を辞めるよう迫り、鬼を喰ってまで戦っていることを知ると激昂し、目を潰そうとするなど常軌を逸した行動をとる。そこへ助けに入った竈門炭治郎と衝突、鬼殺隊隊員が止めるも乱闘となり、彼との接近禁止が命ぜられた。冨岡義勇のことも言動や他の柱と協力しようとしない態度から嫌っている。
●無限城にて、上弦ノ壱・黒死牟に殺されかけている不死川玄弥を助ける。己の真意を語った後、不死川玄弥を刻んだ黒死牟に立ち向かう。稀血の匂いで酔わせるも、剣技を鈍らせるに至らず追い詰められたところを悲鳴嶼行冥に助けられる。黒死牟の強さに苦戦するも、時透無一郎と不死川玄弥の死力をつくした援護により勝利すると同時に不死川玄弥と死別する。
●技一覧
■風の呼吸(かぜのこきゅう)
■壱ノ型 塵旋風・削ぎ(じんせんぷう・そぎ)
●地面を抉る勢いで突撃し、衝撃波を与える。
■弐ノ型 爪々・科戸風(そうそう・しなとかぜ)
●四つの爪で切り裂くような斬撃を放つ。
■参ノ型 晴嵐風樹(せいらんふうじゅ)
●渦を巻くように斬りかかる。
■肆ノ型 昇上砂塵嵐(しょうじょうさじんらん)
●風が吹き上げられるように上方に向かって斬る。
■伍ノ型 木枯らし颪(こがらしおろし)
●上空から広範囲へと突風を吹き下ろすように斬る。
■陸ノ型 黒風烟嵐(こくふうえんらん)
■漆ノ型 勁風・天狗風(けいふう・てんぐかぜ)
■捌ノ型 初烈風斬り(しょれつかざきり)
■玖ノ型 韋駄天台風(いだてんたいふう)
==== 隊士 ====
●声 - 茅野愛衣
●胡蝶しのぶの姉で鬼殺隊の隊士。花の呼吸を使用する元花柱(はなばしら)。享年17歳。穏やかで心優しい性格。人買いに連れて歩かされている幼い栗花落カナヲを胡蝶しのぶと共に保護し、育てた。鬼を元人間と知り、「鬼と仲良くする」という鬼殺隊員としては異端な理想論を持っていた。4年前、同情した鬼・童磨によって命を落としている。今際の際、胡蝶しのぶに鬼殺隊を辞め普通に暮らすよう諭したが、敵を討つと言う妹に根負けし、自分を襲った童磨の特徴を伝えた。童磨の死後、その魂は胡蝶しのぶと共に栗花落カナヲを称賛した後、両親と再会を果たす。
●現在の胡蝶しのぶの姿には彼女の思想が強く反映されている。また、胡蝶しのぶの羽織と栗花落カナヲの髪飾りは彼女の遺品。
●声 - 宮田幸季
●鬼殺隊士。サラサラツヤツヤの黒髪がトレードマーク。気のいい先輩隊員。
●肉親を鬼に殺されたことを機に、冨岡義勇と同じ時期に鬼殺隊へ入隊。水の呼吸の使い手。水を可視化できるほどの技量はない、並の水剣士である。生存率の低い鬼殺隊の中で長く生き残り、一定の実力は有す。
●初登場は蜘蛛山編で、何度か死にかけるも生還。柱稽古でも再登場し、柱のすごさや竈門炭治郎たちの急成長ぶりを感嘆している。無限城戦では、数名の剣士と班を組み、異形の鬼たち(下弦級)を相手に、地味に奮闘している。
●声 - 江原裕理
●鬼殺隊士。蝶屋敷で負傷した隊士らの治療、および訓練の指揮を執る女性隊員。その指導はかなり厳しい。試験に合格した正規隊員ではあるが、恐怖心から前線で戦うことが出来なくなり、後方支援に回っている。
●声 - 古川慎
●鬼殺隊事後処理部隊「隠」(カクシ)に所属。23歳。隠部隊専用のマスクで顔を隠している。正規隊員だが戦う才が足りず、事後処理部隊になった。
●階級は不明だが栗花落カナヲより下で竈門炭治郎より上。柱合会議の時に竈門炭治郎を起こした時から登場し、吉原・遊郭編でも戦闘終結後き意識不明の竈門炭治郎たちを見つけるなどそこそこ縁があると思っている。自分よりも年下ながら剣士として命懸けで戦う竈門炭治郎達を尊敬しており、彼への見舞いに高級カステラを贈ったりと気の良い一面を持つ。
●鬼殺隊服縫製係。あだ名は「ゲスメガネ」。彼が作る女性用の隊服は、露出度が高い。甘露寺蜜璃の隊服がいやらしくなった張本人。胡蝶しのぶにも露出度が高い隊服を渡したが、目の前で油をかけられ燃やされる。
●鬼殺隊士。稀血を使用しながら鬼を狩っていた不死川実弥に育手を紹介した人物。不死川実弥と共に当時の下弦の壱に挑むも相討ちとなり命を落とす。不死川実弥を亡き弟に重ねていた。
=== 鬼殺隊関係者 ===
==== 育手 ====
●声 - 大塚芳忠
●演 - 高木トモユキ
●天狗の面をつけた鬼殺隊の元水柱。前線を引退してからは次代の鬼殺隊員候補を育てる育手を担う。
●「水の呼吸」を用いた剣術を教えている。竈門炭治郎と同じく鼻が利き、彼の真摯過ぎる故に非情になれない性格を嗅ぎ分け、当初は彼を弟子とすることに難色を示していた。課題を突破した弟子には「厄除の面」としてその弟子に合わせた狐の面を贈っている。しかし、これが最終試験において手鬼への目印になってしまい、これまでの弟子達は冨岡義勇を除き全員が彼に殺されてしまっていた。
●訪れた竈門炭治郎が試練を突破したことで彼を弟子と認め、1年間殺意さえ感じるスパルタ訓練を施す。その後、教えた技術を使って大岩を斬る課題を課す。この課題はこれ以上弟子を死なせまいと竈門炭治郎に剣士になるのを諦めさせるために無理を承知で課していた。
●竈門兄妹の仔細を産屋敷耀哉に報告する際、竈門禰󠄀豆子が人を襲った時には冨岡義勇と共に腹を切って詫びる覚悟と助命を訴えていた。
●当初は面を付けていない普通の老人だったが、担当から「インパクトが無い」と指摘され天狗の面を付けることになった。素顔の設定はあるが、作者以外には初代担当の片山しか見たことがないという。
●声 - 千葉繁
●鱗滝左近次と並ぶ元柱の育手。左目の下に大きな傷跡があり、右足は義足となっている老人の男性。かつては雷の呼吸を極めた鳴柱(なりばしら)として活躍していた。姓名は原作では言及されず、小説版および単行本17巻にて判明。
●修行が遅々として進まず、その過酷さから度々逃げ出していた我妻善逸に対して非常に厳しい態度で接し、荒療治とも言える手段にも出ていたが、反面、その才能を誰よりも評価しており、彼を決して見捨てず、一つの技を極め抜くことを教え続けた。己を「師範」と呼ぶよう再三言うが、実際には彼から「じいちゃん」と慕われるのも内心満更ではない様で、我妻善逸から好意を示された際には照れた表情を見せるなど、何だかんだ弟子への愛情は深い。
●弟子の獪岳が鬼になったことにより、介錯人の立会も無しに切腹する。
●声 - 小山力也
●煉獄杏寿郎・煉獄千寿郎兄弟の父親。先代の炎柱。
●あるきっかけで気力を無くし、最愛の妻・煉獄瑠火の病死も相まって酒に溺れた生活を送り、煉獄杏寿郎の訃報にもつっけんどんに当たっていたが、竈門炭治郎との出会いを通して手紙で本心を明かす。その後は己を省みて、かつての気概を取り戻す。
==== 刀鍛冶の里 ====
隠れ里に暮らす鬼殺隊の刀鍛冶達。全員がひょっとこ面を被る。
●声 - 浪川大輔
●鬼殺隊の刀鍛冶。笠に幾つもの風鈴を下げたひょっとこ面の男。素顔は精悍で整っているが、後述の性格が災いして独身。37歳。
●落ち着きがない上に人の話を聞かずに一方的に喋るなど、自己中心的で非常に癇癪持ちな性格。自分の刀に極めて強い愛情を持ち、剣士に刀を折られたり無くしたりされると、激怒して包丁を持って追い掛け回してくる。技能は確かだが前述の性格が災いし、剣士から嫌われて担当から外されることが多い。
●幼少期から癖が強過ぎて両親がノイローゼになってしまい、名付け親である鉄地河原鉄珍に預けられ、育てられていた。蛍という名は鉄地河原鉄珍による命名で「可愛すぎる」と嘆いている。
●竈門炭治郎が激戦の度に刀を折ったり紛失したりしてくるので、もう刀を作らないと伝書してくる。竈門炭治郎が直談判するために里を訪れた時は、癇癪を起こして行方不明になっていた。しかし、竈門炭治郎が時透無一郎に説いた刀鍛冶の大切さを聞き、考えを改める。縁壱零式に収納されていた刀を研ぎ直す際には、戦争状態の周囲でさえ意に介さないほど、心身を集中させていた。
●声 - 竹本英史
●鬼殺隊の刀鍛冶。26歳。
●普段は落ち着きのある穏やかな性格だが、刀を傷つけられると語気がかなり荒くなる。鋼鐡塚の数少ない理解者であり、竈門炭治郎に対して彼の心境を代弁する。鉛(えん)という名の妻がおり、仲が良過ぎて顔立ちが似て来たほどのおしどり夫婦。
●担当の剣士は嘴平伊之助と時透無一郎。両名とも別の刀鍛冶が打った日輪刀を彼が引き継いで整備することになった。破損した伊之助の二刀を修復するも、直後に伊之助に「自分で刃こぼれさせる」という暴挙をされて激怒する。
●刀鍛冶の里の子供。戦闘用絡繰人形「縁壱零式」を作った絡繰技師の子孫。
●自分の才能の限界を感じ、技師を諦めようとしようとしたが、竈門炭治郎に激励を受け、縁壱零式で特訓をさせる。やると決めたらとことん追い詰めるなど、実は頑固でかなりの毒舌家。
●刀鍛冶の里長。小柄で言動が軽い好々爺で鋼鐵塚蛍の名付け親。
●担当の剣士は甘露寺蜜璃と胡蝶しのぶで、彼女らの特性を最大限に活かす特殊な刀を鍛造した。
●刀鍛治の技術は里の中で最も優れており、刀を折ったことを反省する竈門炭治郎に対し「すぐ折れるような刀を作る方が悪い」と一蹴するなど高いプロ意識を持つ。
●剣技訓練用のからくり人形。両耳には日輪の飾りがついている。かつて実在した剣士をモデルとしており、その剣士の動きをからくりで再現するため、六腕で六刀を持つという異様な造形をしている。経年劣化が激しく、ボロボロであった。竈門炭治郎の修行で故障するが、機体内には戦国時代の刀が納められていたことがわかり、鋼鐵塚蛍によって研ぎ直され、竈門炭治郎の刀となる。
==== 蝶屋敷 ====
●声 - 山下七海(寺内きよ)、真野あゆみ(中原すみ)、桑原由気(高田なほ)
●蝶屋敷で働く少女達。三人共顔はデフォルメされがち。厳密には彼女らは隊員ではなく看護師、もしくは救護要員に近い立場であり、竈門炭治郎達の治療・訓練を補佐している。早々にセクハラ発言が広まった我妻善逸や乱暴な伊之助をよそに、竈門炭治郎にはよく懐いており、「全集中・常中」の会得にも献身的に協力する。
==== 鎹鴉 ====
●声 - 高木渉、檜山修之
●主に鬼殺隊本部との連絡に使われる鴉。各隊員に専任の鴉がついているが、我妻善逸だけはなぜか雀である。伝令を人語で復唱するだけでなく、自意識で会話ができるほど知能が高い。外見上では区別できないが、それぞれ性格に若干の違いがある。伊之助についている鴉は、彼から幾度となく食べられそうになったため、身を隠すようになってしまった。宇随宇髄天元の鴉は一番のお洒落。甘露寺蜜璃の鴉は内気な性格。産屋敷輝哉の鴉はマフラーのようなものを巻いており、伝言を一言一句正確に伝える。
●声 - 山﨑たくみ
●竈門炭治郎についている鎹烏。名前はアニメの次回予告より判明。優秀だが不遜な性格で口数も多く、任務と関係ないことまで喋りだすことがある。
●声 - 石見舞菜香
●我妻善逸についている鎹雀(かすがいすずめ)。本名は「うこぎ」で、うこぎご飯が大好物だからという理由がアニメ第15話の次回予告にて判明。また、この時に「僕」と言っていた事から雄である模様。
●発声できないが人の言葉は理解している。当然伝令はまるで伝わらないが、匂いを嗅ぐだけで感情を察知できる竈門炭治郎とは意志疎通ができている。機械的な鎹鴉に比べてかなり豊かなキャラクター性が与えられており、我妻善逸を叱咤しつつも鼓舞する場面も多い。
●家族を鬼に殺されており、少しでも役に立ちたいという思いから伝令役を志願している。他の鴉からは可愛がられている。
●時透無一郎についている鎹鴉。珍しい雌の鴉で、時透無一郎を溺愛している。天王寺松衛門とは仲が悪い。
●冨岡義勇についている鎹鴉。結構なお年寄りで、伝令を聞き間違えたり伝令が無いにも関わらず戦闘中に現れたりして冨岡義勇を困らせている。
=== 親族関係者 ===
●声 - 三木眞一郎
●竈門炭治郎と竈門禰󠄀豆子の父。病弱で長く床に臥せっており、物語開始前に死去している。竈門家は代々炭焼きの家系で、日輪の耳飾りとヒノカミ神楽を伝承している。また、伝承者には才能の顕れとして生まれつき「痣」があったという。竈門家の跡継ぎの男子は顔もよく似ており、竈門炭治郎の血の記憶には、炭吉という人物が「とある剣士」と縁あったことが刻まれている。
■竈門家の人物
●母親の葵枝(きえ)(声 - 桑島法子)、弟の竹雄(たけお)(声 - 大地葉)、茂(しげる)(声 - 本渡楓)、六太(ろくた)(声 - 古賀葵)、妹の花子(はなこ)(声 - 小原好美)で、炭を売って生計を立てていた。竈門炭治郎が留守の間に鬼舞辻無惨から襲撃を受けて殺害され、竈門炭治郎と竈門禰󠄀豆子によって埋葬された。回想で登場する他、竈門炭治郎や竈門禰󠄀豆子が死の危機に瀕すると深層意識に現れては彼らを導く。
●声 - 豊口めぐみ
●煉獄槇寿郎の妻で煉獄杏寿郎・煉獄千寿郎兄弟の母親。故人。聡明かつ芯の強い女性であり、病で床に臥せって死期が近い事を悟りながらも強く生まれた者の責務を煉獄杏寿郎に説き、彼の人生観に多大な影響を与えた。
●声 - 榎木淳弥
●煉獄杏寿郎の弟。穏やかで礼儀正しい性格。本来なら炎柱の継子となる立場であったが、剣才に恵まれなかったことから剣士の道を諦め、自分なりのやり方で人の役に立てる道を探す決意を固めた。兄の最期とその遺言を語った竈門炭治郎に、彼の日輪刀の鍔を贈る。その後も竈門炭治郎と手紙でやり取りをしている。
●宇髄天元の三人の嫁の一人。気弱で泣き虫のくノ一。まきをとは犬猿の仲で、宇髄天元を巡っては喧嘩をする。遊郭に巣食う鬼を探るため、「ときと屋」に遊女として潜入していたが堕姫に見つかり、血鬼術の帯に封印されてしまう。地下の食糧庫に幽閉されていたが、伊之助によって救出される。
●宇髄天元の三人の嫁の一人。気が強く姉御肌のくノ一。須磨とは犬猿の仲で、気弱な須磨と宇髄天元を巡っては張り合う。遊郭に巣食う鬼を探るため、「荻元屋」に遊女として潜入していたが堕姫に見つかり、血鬼術の帯に封印されてしまう。地下の食糧庫に幽閉されていたが、伊之助によって救出される。
●宇髄天元の三人の嫁の一人。真面目で優しい性格のくノ一で、嫁三人のまとめ役。良く喧嘩をする須磨とまきをの仲裁役になっている。遊郭に巣食う鬼を探るため、「京極屋」に遊女として潜入。蕨姫花魁が鬼だと気づくも、向こうからも怪しまれたため身動きが取れずにいた。服毒して病に罹ったふりをして京極屋を出ようとするも、血鬼術の帯を仕込まれる。救出に来た宇髄天元から薬をもらって回復し、情報を伝える。妓夫太郎との戦闘では藤の毒を塗ったクナイでサポートを行った。
●時透無一郎の双子の兄。容姿はほぼ瓜二つだが、時透無一郎に比べると目つきが鋭く、吊り眉。一人称は「俺」であり、時透無一郎が「記憶の無い時の僕は兄に似ていた気がする」と回想している通り、彼のように現実主義的で辛辣な言動の人物だった。享年11歳。
●風邪を拗らせて死んだ母や彼女のために薬草を採りに行き、崖から落ちて死んだ父を「馬鹿の極み」と酷評していた。そんな態度を咎める時透無一郎も「時透無一郎の無は無能の無、無意味の無」と揶揄したり、訪ねてきた産屋敷あまねにも非常に攻撃的な対応をして追い返していた。兄弟仲は険悪で日常的に喧嘩ばかりしていたが、本来は家族を思いやる優しい少年であり、産屋敷あまねを邪険に扱っていたのも残された弟を失いたくないという想いからのものだった。鬼の襲撃を受けて致命傷を負い、最期は時透無一郎に自身の本心と「時透無一郎の無は無限の無」である事を告げ、彼の無事を祈りながら息絶えた。
■不死川家の人物
●父親と母親、妹の寿美(すみ)、貞子(ていこ)と弟の弘(ひろし)、こと、就也(しゅうや)。父親は恨みを持つ者、弟妹達は鬼となった母親、母親は不死川実弥によってそれぞれ殺害された。生前の家族仲は、暴力的だった父親を除いて良好だった。
■嘴平琴葉(はしびら ことは)
●声 - 能登麻美子
●嘴平伊之助の実母。伊之助と容姿が似ている。伊之助に対して指切りの歌を歌っていた。頭は鈍いが、勘は鋭い。
●夫と姑から暴力を受けていたが、夫が生後間もない伊之助に暴力を振るおうとした事を機に伊之助を連れて童磨を教祖とする「万世極楽教」に入門する。入門当初、童磨から捕食の対象とされていなかったが、彼が信者を喰らっている現場を目撃してしまった事で抹殺対象となる。童磨に追われる中、伊之助を連れて逃亡を図るも最終的に伊之助を守るために彼を崖から投げ捨て、自身は童磨に喰われる。
●「始まりの呼吸の剣士」。日の呼吸の使い手で、戦国時代に現在の鬼殺隊の基盤を作った鬼狩り。生まれつき額から目元まで炎の痣を持ち「透き通る世界」にも入っていて人とは感覚がずれている。日輪が描かれた花札風の耳飾りを付けている。日輪刀の色は漆黒だが、戦闘の際は、赫刀となる。
●武家・継国家に双子で生まれるが、その当時双子は跡目争いとなるため不吉とされ、生まれつき痣があった事から父親に処分を検討されるが母親の反対の末に10歳で出家する事を条件に小さな部屋に住まう。その当時、兄の継国巌勝とは母親にしがみつく姿を憐れまれ、父親の目を盗んで赴いた彼と遊んだり笛をもらったりと良好的だったが、7歳になるまで一言も話さなかった事から、継国巌勝からは耳が聞こえないと思われていた。継国巌勝に自分も侍になると語り、以降は継国巌勝の稽古に顔を出して教えを請うが継国巌勝からはその立場と母親にしがみつく姿から無理だと判断されていた。しかし、継国巌勝の指南役に戯れに袋竹刀を持たされた際に持ち方と構え方を口頭で軽く伝えられただけで指南役を失神させた事で後継ぎが継国縁壱に据えられるようになる。その後、母親の死を機に7歳で出家するが、後に母親にしがみついていたのは病で左半身が不自由になっていた彼女を支えるためだった事を知った継国巌勝に嫉妬と憎悪を抱かれる。
●鬼舞辻無惨を追い詰めたが取り逃がし、時を同じくして兄の継国巌勝は鬼に堕ちてしまった。己の無力に望みを失って放浪していた。竈門炭吉とは二年前に出会い妻すやこを救った事で友人となった。自らの人生を炭吉に語り、励まされ、剣の型を見せ、別れ際に耳飾りを渡した。痣の寿命で早死にすることすらなく、60年後に老いた身で継国巌勝=黒死牟と再会、全く衰えぬ剣技で継国巌勝に死を覚悟させるも、寿命で力尽きる。
=== その他の人物 ===
●声 - 梶裕貴
●演 - 星璃
●竈門炭治郎の兄弟子。右頬に大きな傷跡が描かれた狐面をつけた、宍色の髪の少年。素顔も狐面と同じ位置に傷跡がある。厳格だが正義感が強く、心優しい性格。大岩斬りの課題が難航している竈門炭治郎の前に現れ、半年間剣の訓練を施した。竈門炭治郎からも絶賛される流麗で卓越した剣技の持ち主。
●入隊試験で手鬼に遭遇するも、固い首を切り裂けず刀が折れてしまい、頭を潰され殺されているため、竈門炭治郎に稽古をつけた彼は亡霊である。
●歴代の鱗滝左近次水流派13人中最強。天涯孤独の身で鱗滝左近次に入門した。冨岡義勇とは同い年で同門の親友。姉に庇われて生き残ったことを嘆く冨岡義勇を厳しく叱咤し、彼女が身を呈して繫いでくれた命をさらに繫げていくことを諭した。13歳の時に冨岡義勇と共に最終選別を受け、前述通り手鬼との戦闘で命を落としたが、藤襲山の鬼を殆ど一人で討伐していたため、その年の選別での死者は彼だけだった。またこの過去が冨岡義勇の心に深く翳を落とすこととなる。
●声 - 加隈亜衣
●演 - 其原有沙
●竈門炭治郎の姉弟子。花柄の着物を着た不思議な雰囲気の可憐な少女。錆兎とは血縁関係はない。狐面には右頬に花が描かれている。錆兎と共に竈門炭治郎の前に現れ、体捌きの改善点を指摘したり身体能力を強化する全集中の呼吸を教えた。剣士としては、素早いが小柄で非力であったという。
●孤児の自分達を育ててくれた鱗滝左近次を慕っていたが、手鬼に遭遇し、彼が鱗滝左近次からの厄除の面を目印に自分の先輩達を狙って食い殺していた事実に動揺してしまい、殺される。
●声 - 岩田光央
●浅草に来た竈門炭治郎が立ち寄ったうどん屋の店主。竈門炭治郎に山掛けうどんを提供するが、鬼舞辻無惨の匂いを嗅ぎつけた彼にうどんを食べて貰えず激怒。その後、帰ってきた竈門炭治郎に山掛けうどんを食べるよう強要する。
●吉原遊郭の「ときと屋」で働く花魁。
●自身の部屋に荷物を運んだ竈門炭治郎にお菓子を渡して労を労うほか、彼が男であることを最初から知っていても事情を察して黙認したり、消息を絶った須磨の安否を心から気遣う温和で優しい女性。その人柄から非常に人に好かれ、女の子達を甘やかしすぎて女将から怒られてしまうほど。身請け先が決まった矢先にそれを知った堕姫に襲われ彼女の帯に取り込まれるも、竈門炭治郎に救出される。
=== 鬼 ===
■鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨(きぶつじ むざん)
●声 - 関俊彦
●演 - 佐々木喜英
●千年以上前に生まれた鬼の始祖たる男。自分自身の血を与えることで人間を鬼に変えられる存在。竈門炭治郎の家族を殺し、竈門禰󠄀豆子を鬼に変えた仇である。外見や攻撃は自由自在。
●鬼達の絶対的支配者。彼らを血に仕込んだ呪いで支配し、「あの方」と呼ばれ、恐れられている。不死身の鬼を殺すことができる。性格は冷酷非情かつ支配的で、自らの意志に沿わない者は決して許さない。珠世からはその人物像を「いつも何かに怯えている臆病者」と皮肉られている。癇癪で暴力を振るったり、自分を棚に上げた言動をすることも多い。
●平安時代の貴族として生まれる。産屋敷家の先祖。身体が弱く二十歳までに死ぬと言われていたが、医者が回復を願い試作段階であった新薬を処方した。だが鬼舞辻無惨は短気を起こして医者を殺してしまう。その後で薬の効果が出始め、強靭な肉体を持つものの、日光の下に出られないという中途半端な状態になってしまう。こうして人の血肉を欲する最初の人喰い鬼となる。
●目的は、日光を克服して完全な不死となること。そのために二つのプラン「太陽を克服した鬼を産み出して、吸収する」「(自分を鬼にした新薬の原材料たる)青い彼岸花を探す」を進める。鬼を作るのは、あくまで自分が利用するためである。
●神出鬼没・正体不明で、柱ですら接触した者はいなかった。竈門炭治郎が匂いを辿り遭遇した事で、人間社会に溶け込んでいる事が判明。いくつかの容姿・身分を使い分け、渡り歩いている。妻の麗(れい)(声 - 皆口裕子)と娘(声 - 白石晴香)の家族である実業家(貿易会社)としては「月彦」と名乗り、他にも資産家の養子の子供「俊國」や、妖艶な着物姿の女性などがある。日光の下を出歩けないため、病気などと理由をつけて偽装している。妻の麗には人脈の広さを利用する為に旦那を殺して近づいた。
●「日輪の耳飾りをした剣士」こと継国縁壱と深い因縁を持つ。同じ耳飾りをした剣士の竈門炭治郎、支配から外れた珠世と竈門禰󠄀豆子の3人を特に警戒し、抹殺対象とする。
●目に見える人型の頸部がそのまま急所ではなく、たとえ頭部ごと粉砕しても再生し、体内には脳が5つ、心臓が7つのスペアを複数備えしかも位置が移動しており狙えない。戦闘時には、全身に複数の口と牙を備えた異形の姿に変貌する。体当たりがそのまま捕食攻撃となる。さらに無数の触腕を高速で振り回して周囲の敵を切り裂く。その強さは柱5人を含む9人を同時に相手にして押すほどである。
●産屋敷耀哉の自爆、珠世の人間化の薬、悲鳴嶼行冥の頚への渾身の一撃を受け、無限城に鬼殺隊を落とした後に肉の繭で回復を待ち復活、髪は白く染まり、体の大半が大量の口がついた赤黒いものに覆われた異形の姿へと変貌を遂げ、自らの手で鬼殺隊を殲滅することを宣言する。
●鬼殺隊との激しい死闘の末、太陽の光を浴びて肉体が滅びる寸前、「想いは不滅であり永遠である」という産屋敷耀哉の言葉を認めると共にその事実を目の当たりにして感動し落涙、体内に取り込みかけた竈門炭治郎に自分の血と力を注ぎ込んで鬼にし、鬼狩りを滅ぼすという自分の想いを託したが、竈門禰󠄀豆子と栗花落カナヲの必死の尽力により竈門炭治郎が僅かに意識を取り戻し、精神内で「鬼狩りを殺し最強の鬼になれ」と完全な鬼化をさせようとするも、仲間たちの声などによって竈門炭治郎は鬼化から救われ、死滅後は他の鬼達と違い地獄に落ちることすら叶わず、何京年経とうが変わることのない永遠の無へと葬り去られる「罰を与えられない」という形で「天罰」を受けることになる。
●技一覧
■呪い(のろい)
●人間を鬼化させる血液に予め仕込まれている能力。鬼は鬼舞辻無惨に関する情報を口にしようとするだけで身体が破壊される。下弦以下の鬼は「鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨」の名を口にするだけで死ぬ。本人の前であれば死の呪いは発動しないが、鬼舞辻無惨に対して思考を完全に読まれてしまう。距離が開けば鮮明な読心はできなくなるが、位置は把握される。
■黒血枳棘(こっけつききょく)
●血を茨状に伸ばして攻撃する。悲鳴嶼行冥との戦いで使用した。
■自爆
●撤退用の技。追い詰められたとき、全身を爆裂させ、全方位に逃げる。分散した肉片の総数は1800程度で、うち300も残れば再結合して復活できる。継国縁壱に殺されかけるも、逃走に成功している。
■口
●場所を問わず肉体を変化させ、牙口を作り出す。覚醒直後にはこれを使い、鬼殺隊士を攻撃と同時に捕食して養分にしていた。
■管
●両腕を変化させた肉塊の如き極太の管2本、背中から伸びる先端に骨の様な刃の着いた血管状の細い9本の管、合計11本の管を武器とする。振るう管はリーチが非常に長い上に柱ですら回避が困難な程の高速で振るわれ、周囲の建造物をズタズタに引き裂く程の威力を持つ。無論直撃すれば即死級の威力であるが、この管に掠っただけでも傷口から鬼舞辻無惨の血液を注入され、細胞を破壊されて死に至る。鬼舞辻無惨の意思で自在に生やせるので不意打ちで生やしたり増やしたり出来る。
■風の渦
●全身に生じた口による吸息により強烈な吸い込みを伴う風の渦を生じさせる。この渦も言わずもがな凶悪な威力を誇り、触れた部分の肉が抉り取られるほど。渦自体の大きさもある程度は調節可能。大振りな回避でしかかわせないため、回避すると体力をかなり消耗する。
■空気弾
●全身の口から吸息した後、その息を高圧で吐き出して攻撃する。ただの空気だが周囲の建造物や地面にクレーターを作る程の威力を持つ。
■衝撃波
●身体を斜めに横断する形の巨大な口を開き、稲妻のような衝撃波を放つ。直撃を受ければダメージだけでなく神経の動きを狂わされ、呼吸を維持出来なくなる。 単純な攻撃ではなく血鬼術の一種の様であり、日輪刀を自身の体に刺すことで解除できる。尚、遠く離れた場所にいる筈の産屋敷輝利哉にも衝撃が届いていたが、これが「目」を使って戦況を把握していた為なのか技の効果なのかは不明。発動には相当体力を食う様子。
●鬼殺隊の限界を超えた追撃と、遂に射した暁光の前に曝した最後の姿。全身の肉を分厚く盛り上がらせ、人の背丈の数倍はあろう赤子のような姿に変化する。「醜く」「力任せに暴れるだけの」「何一つ成長していない」鬼舞辻無惨の精神そのものの姿といえる。動きこそ鈍重になってしまうものの、その厚さをもって日輪刀を含むあらゆる攻撃に耐えることができ、短時間であれば日光の下でも活動ができるほか、機動力の低下を補うように地面潜航能力を使えるようになる。また、その巨大な体躯と重さは強力な武器にもなり、無造作に拳を振り下ろすだけで自動車を叩き潰している。残存した鬼殺隊数人がかりを列車の客車ごと押し返し、満身創痍とはいえ隊士数人以上の怪力を発する悲鳴嶼行冥に拮抗してみせるなど、太陽光に全身を焼かれて格段に弱体化してさえ強いあがき技。
==== 十二鬼月 ====
===== 上弦 =====
●上弦の壱。顔面に三対六つの眼を持つ男。中央の一対の左右それぞれに「壱」「上限」と浮かび上がっている。刀を帯びた剣士風の出で立ちをしており、痣が左の額と右首筋から右顎にかけて浮かび上がっている鬼。継国縁壱の双子の兄にして、時透無一郎の先祖。ファンブックによると、戦国時代の武家の人間だった(下克上だったり)名残で常に周りの動向に目を光らせている。
●月の呼吸の剣士。刀は鬼の力の産物で、壊れても再生する。筋肉の動きを視覚として修得している。
●人間の時の名は継国巌勝。戦国時代の武家・継国家に弟の継国縁壱と双子として生まれるが当時双子は跡目争いになるため不吉とされ、一度は処分を検討されるも母親の反対の結果10歳で出家する事となった継国縁壱とは隔離され、継国家の後継ぎとして育てられる。当時は母親にしがみついている継国縁壱を憐れみ、父親の目を盗んで継国縁壱の部屋に赴いたり笛を与えたりしていた。しかし、7歳の時稽古中に継国縁壱が自身すら一本も取ることの出来なかった父親の輩下を失神させた事でその立場が危ぶまれる。さらに、同年に母親が病死した事を機に出家する継国縁壱を見送った後、母親が左半身を不自由させ、しがみつくようにしていた継国縁壱が実は母親を支えていた事を知り、継国縁壱に対して嫉妬と憎悪を抱く。その後は侍の地位と妻子を持って長閑な時を過ごすが、野営中鬼に襲われた所を継国縁壱に救われ、継国縁壱の強さと剣技を欲して地位も家族も捨てて鬼狩りとなる。入隊後は月の呼吸を習得し、痣を発現させるが痣を持つ者は短命となる事に絶望し、鬼舞辻無惨に付け入られ鬼となる。その60年後、再会した継国縁壱の一撃を受け、死を覚悟した直後に継国縁壱が衰死してしまい、一度として彼に勝てなかった事に惨めになり、衰死した継国縁壱を斬る。しかし、かつて自身が渡した笛が継国縁壱の懐から出てきた際に涙を流し、以降は死ぬまでその笛を携帯していた。
●無限城では、時透無一郎と不死川玄弥をたやすく倒し、不死川実弥も追い詰めるが、増援として現れた鬼殺隊最強の柱たる悲鳴嶼行冥と交戦。痣者となった不死川実弥と悲鳴嶼行冥を相手に圧倒的な力で挑むが、時透無一郎の捨て身の攻撃の末に発現した赫刀と不死川玄弥の血鬼術の拘束もあって悲鳴嶼行冥と不死川実弥に斬首される。直後に異形の姿と成り果て頚の切断を克服するが、侍とは程遠い姿となった自分に戸惑う。その後、時透無一郎の赫刀の効果で身体の一部が崩れていく隙に悲鳴嶼行冥に斬首、不死川実弥に切り刻まれる。最期は、継国縁壱になりたかったという思いと、己の存在理由を継国縁壱に問いながら塵となった。
●ファンブックによると、鬼舞辻無惨は黒死牟をビジネスパートナーと評価している。
●技一覧
■月の呼吸(つきのこきゅう)
●血鬼術との合わせ技。刀身のみならず回転する弦月エフェクトのエリアそのものが切断力を持つため、本筋を回避しても切られる。
■壱ノ型 闇月・宵の宮(やみづき・よいのみや)
●抜刀して横薙ぎに一閃する技。この単純な一撃でさえ、異次元の攻撃速度と月輪の斬撃が合わさり回避困難な一撃と化している。
■弐ノ型 珠華ノ弄月(しゅかのろうげつ)
●切り上げるようにして正面に三連の斬撃を放ち、月輪の斬撃で対象を取り囲む。
■参ノ型 厭忌月・銷り(えんきづき・つがり)
●横薙ぎの形の異なる斬撃を月輪の斬撃を纏わせて2連で放つ。
■伍ノ型 月魄災渦(げっぱくさいか)
●刀を振らずに無数の斬撃を出現させる。この技の存在から、鍔迫り合いなどで太刀筋を封じることは不可能。
■陸ノ型 常夜孤月・無間(とこよこげつ・むけん)
●一振りで広範囲かつ縦横無尽に無数の斬撃を放つ絶技。一瞬のうちに全方向に放たれるこの斬撃を見切ることはおろか間合いの外に出ることすら困難という反則技。
■漆ノ型 厄鏡・月映え(やっきょう・つきばえ)
●刀を斜めに一閃し複数の方向に地を這う斬撃を放つ。さらに、地を這う斬撃の合間を埋める様に三日月型のうねる斬撃が伴っている。
■捌ノ型 月龍輪尾(げつりゅうりんび)
●横薙ぎの一閃だが壱ノ型の数倍以上に範囲が拡大している。
■玖ノ型 降り月・連面(くだりづき・れんめん)
●対象に降り注ぐような軌道の複雑かつ無数の斬撃を放つ。
■拾ノ型 穿面斬・蘿月(せんめんざん・らげつ)
●回転鋸のような形状の斬撃を横に複数並べて放つ。
■拾肆ノ型 兇変・天満繊月(きょうへん・てんまんせんげつ)
●回転鋸のような形状の斬撃を横に複数並べて放つ。
■拾陸ノ型 月虹・片割れ月(げっこう・かたわれづき)
●上から地面に向かい三日月を縦に突き刺す様な斬撃を複数放つ。
●相手の状態を見通すことで、相手の初動を潰し一方的に攻め立てる先の先を現実のものとする。痣を発現させた上で更に身体能力を高めないと得られない視界であり、限られた者しか使用できない。(作中で黒死牟の他に発現させたのは生まれつきその視界を持つ継国縁壱の他、竈門炭十郎、竈門炭治郎、悲鳴嶼行冥、時透無一郎ら数名のみ)
●上弦の弐。頭から血を被ったような文様の髪に、洋風の着物を着た青年の鬼。生まれつき虹色の瞳を持つ。万世極楽教の教祖だが、目立つと怒られるという理由から信者は約250人と小規模。
●飄々としており、常に笑みを絶やさず鬼狩りにも快活に接する陽気な人物。反面、他人の痛みや感情に無頓着で無意識に相手の感情を逆撫でする事が多く、鬼の中では浮いているが本人は気にしていない(その気質からか、ファンブックでは鬼舞辻無惨もあまり好きではないと書かれている他、童磨自身は鬼の皆と仲良しだと思っているとも書かれた)。喜怒哀楽は表面上だけで、その真の人物像は非常に無機質で感情を持たないサイコパスであり、自身の肉体の損傷すら気にも留めない。
●鬼としては猗窩座よりも新参だが、追い上げて上弦の弐となった。上弦の陸時代に妓夫太郎と堕姫を鬼にスカウトした。
●人間のころ、両親に神童だと担ぎ上げられたが、自身は極楽も地獄も全く信じておらず、「馬鹿で可哀想な民を救ってやらねば」という信条で教祖をしていた。鬼となってからは苦しみから解放するという名目の下、自らの一部として永遠の存在にしてやり救済するという「善行」を行動原理と称して信者らを喰っている。栄養が豊富だからと、女性を好んで食す。女好きだが嗜好はかなり歪んでいる。
●鉄扇を武器に、冷気の血鬼術を用いる。術を霧状にばらまくことで、敵の感覚器や呼吸器系を冒し弱らせる。氷像による大技も強力。合理的で、情報を集める目的で敵に全力を出させてから仕留めようとする。
●かつて胡蝶カナエを殺害しており、無限城ではその因縁で胡蝶しのぶと対決。彼女の毒を食らうも分解し、さらに喰い殺す。しかしその後、栗花落カナヲと伊之助との交戦の最中、胡蝶しのぶの仕込み毒の効果で身体が崩れ始めた所を二人に斬首される。今際の際に胡蝶しのぶの魂と再会し、彼女に惚れて「一緒に地獄に行こう」と口説くも却下され、残骸を伊之助に足蹴にされ滅ぶ。
●技一覧
■粉凍り(こなごおり)
●自身の血を凍らせて霧状にしたものを扇で散布する。微量でも吸い込めば肺が壊死する。公式ファンブックでは蓮葉氷になっている。
■蓮葉氷(はすはごおり)
●蓮の花を模した氷を作り出す。作られた蓮の花は掠めるだけで凍結する冷気を持つ。
■蔓蓮華(つるれんげ)
●蓮葉氷から氷の蔓を伸ばす技。
■枯園垂り(かれそのしづり)
●冷気をまとった扇子を連続で振るう近接技。
■凍て曇(いてぐもり)
●氷の煙幕を発生させ、相手の眼球を凍結させて視界を奪う技。
■寒烈の白姫(かんれつのしらひめ)
●氷の巫女2体を作成し、巫女の吐息で広範囲を凍結させる技。
■冬ざれ氷柱(ふゆざれつらら)
●上方から巨大なつららを多数落下させる技。
■散り蓮華(ちりれんげ)
●扇を振るい、無数の氷の花びらを放つ。攻撃範囲が広い。
■結晶ノ御子(けっしょうのみこ)
●氷の小型の童磨人形。御子は童磨と同じ強さの血鬼術を使用し、自動で戦闘を行う。戦闘の情報を記録することも可能。御子がダメージを負っても本体には全く影響はない。複数の御子を生み出すことができ、6体前後なら余裕。
■霧氷・睡蓮菩薩(むひょう・すいれんぼさつ)
●追い詰められた童磨が放った大技。巨大な氷の仏像を生み出す。 氷仏像は息を吹きかけられるだけで全身が凍結するほどの戦闘力を持つ。
●声 - 石田彰
●上弦の参。全身に紋様めいた刺青を施した、紅梅色の短髪を有する青年の鬼。作中最初に登場した上弦。鬼舞辻無惨は忠実で真面目な猗窩座を気に入っている。無限城では無口だが、対人になると饒舌になる。ファンブックによると、人間時代の名残なのか鬼には珍しく、人を食うより鍛錬に時間を費やしていた。
●愚直に強さを求め続ける武術家じみた一面を持ち、敵でも実力者には尊敬の念を持つ一方、自身が弱者と見定めた者は露骨に見下し、些細な理由で真っ先に殺害しようとする。若く強いまま何百年も鍛錬し続け、自分のような強大な鬼になることを「至高の領域」と賛美し、逆にどんな強者も「老い」によって弱体化する人間という種に対しては嫌悪感を抱く。その価値観から高い実力を備えた者に対しては敬意を払い、同じ鬼になるように勧誘する。
●「拳鬼」と呼ばれ、戦闘スタイルは己の体で戦う肉弾戦。また、闘気を感知する血鬼術を用いる。
●前身は、江戸にて侍ではない身分に生まれた、「狛治」という青年。病気の父親のためにスリで薬代を稼いでいたが、心を痛めた父親は自殺し、罪人として江戸を追放される。世を恨み喧嘩を繰り返していたところを、素手で戦う武術道場を営む慶蔵に拾われその娘の恋雪(こゆき)と恋仲になり、恋雪を守るため誰よりも強くなることを誓う。しかし隣接する剣術道場の嫌がらせで井戸に毒を入れられ慶蔵と恋雪が死に、それに激昂して剣術道場の67人を虐殺。自暴自棄になっていたところを鬼舞辻無惨に鬼にされ、記憶を失ったことでただ強さのみを求める亡霊と化した。構え、雪の陣、花火にちなんだ技などは、人間だったころの思い出が土台となっている。「狛治・猗窩座」ともに狛犬にちなんだ名であり、彼の過去を掘り下げた第155話のタイトルは「役立たずの狛犬」。
●魘夢が倒された直後、鬼舞辻無惨の指令で現れる。煉獄杏寿郎の強さを認め、鬼になるよう勧誘するも決裂して交戦。致命傷を与えるが、動きを封じられてしまう。差し始めた陽光と頚に突き刺さる日輪刀に焦り、自らの腕をもいで戦場から撤退。その行動を見た竈門炭治郎に、卑怯者呼ばわりされる。任務の結果を報告をするも、鬼舞辻無惨の望みに達していなかったため、咎められ制裁を受けてしまう。このことから竈門炭治郎を標的視する。
●無限城編では、竈門炭治郎、冨岡義勇と二対一で戦う。痣に覚醒した冨岡義勇と、柱に準じた実力を持つ竈門炭治郎でさえも実力で上回るが、竈門炭治郎の「透き通る世界」の闘気を感知することができず、斬首される。それでも鬼の執念で頚を再生しようとするが、人間だったころの記憶が蘇り自分がすでに強くなる理由を失っていたことに気づき、自分に攻撃を打ち込み崩れ去る。
●技一覧
■破壊殺(はかいさつ)
●猗窩座の血鬼術。「術式展開」することで効力を発揮する闘法。
■羅針(らしん)
●自身の足元に「壱〜拾」までの数字が描かれた雪の結晶のような陣が展開する。闘気で相手を感知する。戦闘開始時に使用した。
■空式(くうしき)
●虚空に撃ち込んだ拳撃の威力がそのまま飛来する。乱打技でもある。インパクトから衝撃の到達までのタイムラグもほぼゼロであり、並みの隊士では近づく事すら許されない。
■脚式(きゃくしき)
●掠っただけでも出血を免れない、背後の敵を下から蹴りあげる冠先割(かむろさきわり)、中段から上段への連続蹴りで相手を彼方に蹴り飛ばせる流閃群光(りゅうせんぐんこう)、掠っただけでも吐血を免れない威力で近距離から上に向かって蹴りあげる飛遊星千輪(ひゅうせいせんりん)の3種類の技がある。
■砕式(さいしき)
●地面を砕き割る威力で頭上に拳を振り下ろす万葉閃柳(まんようせんやなぎ)という技がある。
■乱式(らんしき)
●地上戦で放つ乱打。広範囲の衝撃波が発生するほどの威力がある。
■鬼芯八重芯(きしんやえしん)
●左右四発合計八発の乱打を放つ。
■滅式(めっしき)
●絶技。威力と疾さがあり、炎の呼吸奥義「煉獄」に撃ち勝った。
■終式 青銀乱残光(しゅうしき あおぎんらんざんこう)
●全方向にほぼ同時に百発の乱れ打ちを放つ。受けを得意とする"水の呼吸"を極めた冨岡義勇をして不可避と言わしめる程の破壊力と範囲を持つ大技。
●上弦の肆。額に大きなコブと二本の角がある老人の姿をした鬼。常に何かを怖れているような様子で、ことあるごとに「ヒィィィィ」と言う。鬼舞辻無惨による半天狗の評価は普通だが、許容範囲内のウザさがある模様。
●柱でも目視するまで確認出来ない程気配の同化に優れ、身のこなしも軽い。自身が追い詰められると、その時の感情を具現化し、新たな分裂体を生み出す血鬼術を使用する。作中では頚を切られると、舌に「喜怒哀楽」のそれぞれ一字が刻印された4人の天狗の鬼に分裂をし、さらに追い詰められるとパターンが増えた。戦闘面は分身に任せて「小さな本体」は身を隠す。喜怒哀楽で能力が異なり、合体した憎珀天は全ての能力を強化して組み合わせて使用できる。ちなみに(ファンブックによると)分裂して出来た鬼達は若い頃の半天狗の姿であるらしい。
●人間だったころから気弱で嘘つきかつ卑怯で、盲目を偽り盗みを働いていた小悪党。人間時代は虐められており、自分と分からないように仕返しをしていた陰湿な部分があった。半天狗自身が働いた悪事を責任転嫁して正当化せんとする卑劣漢だった。それを盲人に咎められた末に殺害し、奉行所に連れ出され死罪を宣告されたが、鬼舞辻無惨によって鬼化され、自身を罰した奉行を殺害した。
●鬼舞辻無惨の命を受け、刀鍛冶の里に玉壺と共に出向き、剣士の始末を担当する。時透無一郎・竈門炭治郎・竈門禰󠄀豆子・不死川玄弥と戦い、頚を斬られたことで「喜怒哀楽」の4人に分裂して戦う。本体はひたすら隠れていたが、能力のカラクリに気付いた竈門炭治郎たちに追い詰められ、新たに憎珀天を生み出す。新たに参戦した甘露寺蜜璃が、憎珀天の攻撃を防いで時間を稼ぐ。残りのメンバーが本体を追い、最終的には竈門炭治郎に頚を斬られ、走馬灯を見ながら消滅する。
■本体
●半天狗の本体。舌に「怯」の文字が刻印された鬼。野ネズミ程度の大きさしかないが、その頸は鍛え上げられた日輪刀をへし折るほど硬い。
■積怒(せきど)
●「怒」の鬼。怒りを滲ませた表情をしている。雷撃を放つ錫杖を持つ。分裂体の中ではリーダー格。相手との戦闘の愉悦に浸らず的確に仕留めようとする。
●分裂後、主に他の3鬼に指示を出したり、敵の追撃を邪魔するなどのサポートを行う。本体部分が見つかると、本体の感情に呼応して他3体を吸収し憎珀天となる。
●「楽」の鬼。ニヤリと笑ったような表情をしている。突風を放つ天狗の団扇を持つ。団扇は爆風も起こせる。相手との戦闘の愉悦を優先する性格で、その事で積怒にいつも呆れられている。主に竈門禰󠄀豆子と交戦。
■空喜(うろぎ)
●「喜」の鬼。楽しげな表情をしている。可楽に似た気質の持ち主。背中に翼を生やし、手足の先が鳥の鉤爪となっている半鳥人。口から超音波を発する。主に竈門炭治郎と交戦。
●「哀」の鬼。どこか悲しげな表情をしている。十文字槍を振るい、近接戦闘で鬼殺隊と交戦する。主に不死川玄弥と交戦。致命傷を与えたはずが、死亡せず向かってくる不死川玄弥に戸惑う。
■「恨」の鬼
●大柄で筋肉質な半天狗の姿の鬼。本体を守るためにできた鬼。血鬼術は使わなかった。体内の心臓部に、小さな本体が潜んでいる。一見本体が巨大化したようだが、それすら偽りであり、直射日光への防御にもなる。
●「憎」の鬼。怒が喜哀楽を吸収して誕生した、小柄な鬼。背中に憎の字が書かれた雷様の太鼓を持つ。喜怒哀楽の血鬼術と、新たに樹木を操る術を用いる。
●本体「怯」の半天狗を「小さく弱き者」と守り、敵を「極悪人」「鬼畜の所業」と一方的に断罪する。半天狗の強烈に身勝手な保守性が具現化した分身。 攻撃力は高く、痣の発現した甘露寺蜜璃をも防戦一方に追い込む。
●技一覧
■激涙刺突(げきるいしとつ)
●哀絶が使用。槍から5つの斬撃を放つ。
■共鳴雷殺(きょうめいらいさつ)
●憎珀天が使用。積怒と空喜の力を合わせた技。
■共圧鳴波(きょうあつめいは)
●憎珀天が使用。空喜の力を使った超音波技。
■石竜子(とかげ)
●憎珀天が使用。樹木で出来た5本の竜を召喚する。射程が66尺(約2m)だが、伸ばした石竜子の口から別の石竜子を召喚するので射程は無限に等しい。応用に無間業樹(むけんごうじゅ)という技があり、広範囲に石竜子を生み出し攻撃する。木竜の共鳴という口から超音波を放つ技もある。
●上弦の伍。壺と肉体が繋がった状態であり、十二鬼月で最も人外じみた姿をした異形の鬼 。両目部分に2つの口、額と口部分に両目がある。頭などからも小さな腕が複数生えている。鬼舞辻無惨は玉壺を割と気に入っており、玉壺の作る壺は綺麗で高く売れるとも評価している。
●「至高の芸術家」を自称し、人間を見下す傲慢な性格。自己顕示欲も非常に強く、特に己が作品に対して捻じ曲がった執着心を持ち、他者にそれらを侮辱されると激怒する。その本質は作品を創り上げるために犠牲者の遺体をおぞましく変形させるなど、人命はおろか死者の尊厳すら踏み躙る、鬼の中でも類を見ない異常性の持ち主。反面、年若い時透無一郎を舐めてかかりとどめを刺さず、鋼鐵塚蛍の集中を削ごうと夢中になるあまりに彼の反撃を許すなど、狭量さや詰めの甘さが見受けられる。
●同僚である上弦相手でも不遜さは変わらず、自分よりも上位の猗窩座に慇懃無礼な態度をとっている。鬼舞辻無惨への忠誠心は高いが、彼に首をもがれて恍惚とするなどその思いはどこか歪んでいる。語尾に「それもまた良し!」とつける癖がある。
●本編では人間時代の出自は語られないが、人間だったころからその猟奇性は生来のものであったようであり、幼少期から動物の虐殺や違う種類の魚を繋ぎ合わせたり、壺の中に殺した動物達の遺骸や骨を詰め込んではそれを芸術とのたまう異常行動を起こしていたため、生まれ育った漁村では忌み嫌われ、孤立していた過去を持つ。
●戦闘では自身の掌から生み出した壺を使ったトリッキーな戦術を用いる。壺から壺への瞬間移動も可能で、移動の媒体となる壺も神出鬼没に出現するため、高い敏捷性があり回避に優れる。脱皮することで本人曰く「完全なる美しき姿」に変容でき、変身後は屈強な半魚人のような上半身に蛇のような下半身を持つ。この形態では直接戦闘を行うようになり、鱗と肉体のバネにより俊敏な動きを可能とし、鱗は金剛石より硬いと豪語する。
●刀鍛冶の里の居所を突き止め、鬼舞辻無惨の命を受けて半天狗と共に強襲を仕掛ける。刀鍛冶達の殲滅を狙い、介入してきた時透無一郎を水獄鉢で捕え、とどめを刺さずに溺死を目論む。そのまま鋼鐵塚蛍がいる家屋に侵入するも刀を砥ぐのに極限まで集中していた彼の姿を見て、「芸術家として負けている、この男の集中を削ぎたい」と対抗意識を燃やし、すぐに殺さず痛めつける。その内に小鉄に助けられ記憶を取り戻した時透無一郎と再戦、真の姿を解放する。痣の発現した時透無一郎に頸を斬られ、なお見苦しくわめきちらすもとどめを刺されて崩れ去る。
●技一覧
●血鬼術は水棲生物や水に関わるものが多いが、これはかつて海の近くで生まれ育ち、魚を捕まえて遊んでいた名残。産み出された魚は経皮毒を持ち、日輪刀で斬られても毒を散布する。
■使い魔
●背中に壺をつけ、人間の手足がついた大小様々な鯉の化け物を生み出す。
●弱点は背中の壺で割られるとあっけなく肉体が崩壊して死滅してゆく。しかし壺を割られるまでは頸を斬り落とされても死なず、自己再生能力まで兼ね備える。
●作中では大量の使い魔がばら撒かれ、多数の死傷者を出した。
■鍛人の断末魔(かぬちのだんまつま)
●5人の刀鍛冶の肉体と刀を醜悪に組み合わせたオブジェ。血鬼術により生成された玉壺の作品で、得意げに解説する。犠牲者の中には小鉄の親族もいる。死者を徹底的に冒涜するその様は、時透無一郎の怒りを買うことになった。
■水獄鉢(すいごくばち)
●波の模様が描かれた壺から大量の水を放出し、相手をそのまま水でできた壺の中に閉じ込める。水ゆえに柔らかく変形するため、日輪刀による破壊を防ぐ。
■蛸壺地獄(たこつぼじごく)
●壺から蛸足に似た触手が溢れ出し、相手を締め上げる技。蛸足は弾力がある為生半可な刀では切れない。
■千本針魚殺(せんぼんばりぎょさつ)
●玉壺の持つツボから現れた金魚が無数の針を放つ技。針には毒が仕込まれている。
■一万滑空粘魚(いちまんかっくうねんぎょ)
●ツボから鋭い牙を持つ魚の大群が吐き出され相手に食らいつく技。魚の体液は経皮毒。
■陣殺魚鱗(じんさつぎょりん)
●全身の鱗を使い、高速で縦横無尽に飛び跳ねる。神の手と併用される為、極めて危険な技。
■神の手
●第2段階の玉壺の腕を自ら称したもの。拳に触れたありとあらゆる対象物は生きた無数の魚に変換できる。
(ぎゅうたろう)・ 堕姫(だき)
●上弦の陸。吉原を根城に暗躍する鬼の兄妹。殺した柱は妓夫太郎が15人、堕姫が7人。主に堕姫がメインで動き、戦闘時に妓夫太郎が現れる。
●二人で一人の鬼で、どちらかが生存していれば頚を斬られても消滅しない。ただし、兄妹には明確な実力差があり、堕姫は鬼舞辻無惨から妓夫太郎の足手まといだと思われていた。鬼舞辻無惨の評価は堕姫に対しては頭悪い子供、妓夫太郎は貪欲な性格を高く評価しお気に入りにしている。
●兄妹共に死にかけていたときに、童磨に助けられ鬼となった。音柱・宇随宇髄天元と竈門炭治郎たちによって討伐され、100年ぶりの上弦の敗北者となる。
●コミックスの「キメツ学園」では、謝花 妓夫太郎(しゃばな ぎゅうたろう)・謝花 梅(しゃばな うめ)、と名字が付けられている。
●妖艶な美女。花魁に化ける美しい若い女性の鬼。非常に性悪で傲慢な性格だが、兄の前では口調が幼くなり、泣き虫な素の性格が表れるほか、妓夫太郎によると素直で染まりやすいらしい。
●花魁時は着物だが、鬼の姿ではランジェリーじみた服装に三本歯下駄、身体に着物の帯を身に着けるという露出度が高い服装をしている。気に食わないことがあると首を傾けて下から睨めつけてくる癖がある。余り頭が良くないらしく、鬼舞辻無惨からは頭悪い子供と思われている他、実兄の妓夫太郎からも度々「足りねえ頭で〜」と発言されている。
●100年近く吉原に潜んで、時代に応じて様々な「姫」という名の付く花魁になりすましていた。現代での仮名は蕨姫花魁。不細工な人間を忌み嫌い、「(不細工は)生きてる価値がない」などの発言を繰り返す。鬼の中でも偏食で、見目麗しい女性を好んで喰らう。生前に生きたまま焼かれたために炎にトラウマがある。
●血鬼術は「帯」を用いる。この帯は彼女が力を切り離した分身であり、合体すると、髪色が銀に変わりパワーアップする。頸を帯状に軟体化させることで防御するため、斬りづらく、たとえ斬首に成功しても妓夫太郎が生命を補っているために死なず再生する。
●単体の実力は上弦の鬼としては力不足で、負けた際は鬼舞辻無惨から「案の定、堕姫が足手まといだった」と言われている。当時の竈門炭治郎のヒノカミ神楽での極限状態をも上回るが、柱の宇髄天元には「上弦じゃないだろう、弱すぎる」と酷評される。
●人間だったころの名前は「梅(うめ)」。亡くなった母親の病名「梅毒」からつけられた。遊郭の最下層である羅生門河岸で生まれ遊女となるが、客の侍の目玉を簪(かんざし)で突いて失明させ、報復として生きたまま焼かれた。死に瀕していたところ童磨に血を与えられて兄と共に鬼となる。
●鬼舞辻無惨から竈門禰󠄀豆子の殺害を依頼されていた。宇髄天元が遊郭に潜入させた嫁達を捕らえ、捜しにきた新入りの善子(我妻善逸)も鬼狩りと見抜き捕らえた。吉原を離れる鯉夏花魁を喰らうためにときと屋に自ら出向き、竈門炭治郎と遭遇・交戦する。竈門炭治郎を圧倒するも、竈門禰󠄀豆子に苦戦し、柱の宇髄天元には頚を切られてしまう。妓夫太郎が出てきてからは、主に我妻善逸・伊之助の2人と交戦。妓夫太郎の左目を額に移されパワーアップするも、連携の前に頚を斬られてしまう。
●同時に頚を斬られた妓夫太郎との口喧嘩の末、先に消滅する。暗闇の中で人間の姿で妓夫太郎と再会し一人だけ地獄に行こうとする妓夫太郎に「ずっと一緒にいる」「何回生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になる」と言って、仲直りして共に地獄の業火の中へ消えていった。
■帯(おび)
●自身の力の1部である帯。八重帯斬りという八本の帯で退路を塞ぎながら切り裂く技がある。
●堕姫の兄の青年の鬼。先が緑の癖毛で、顔や体に斑模様が無数に浮かんでいる。また肋骨から下が異常に痩せているものの、腕や胸筋は人並み以上に発達している。
●普段は堕姫の背中に融合し張り付いている。彼の方が真の「上弦の陸」であり、堕姫よりも桁違いに強い。血でできた鎌のような猛毒の血鬼術を使う。堕姫に左目を貸与することも可能で、彼女を遠隔操作しつつ、自分は右の視覚だけで戦ってなお鬼殺隊を圧倒するほどの実力がある。
●喋り方に独特の癖があり、「〜なぁ」と語尾を伸ばす。ルックス諸々が良い宇髄天元に対して強い嫉妬心をあらわにし、死んで欲しいと繰り返す。堕姫には「お兄ちゃん」と呼ばれ、堕姫のことを「可愛い妹」と呼ぶ。
●名前は人間時代からのものだが、この名はほぼ遊郭での役割名そのままであり、人間扱いされていなかったことを意味する。容貌も人間時代と同じで、怖がられることを利点と思っているためそのままにしており、元を辿れば母子感染した先天梅毒の病状である。江戸時代に羅生門河岸(遊郭の最下層)で生まれる。貧困の不衛生な遊郭で、生まれてきたこと自体を否定されつつ、容貌を嘲笑され、忌み嫌われながら罵詈雑言を浴びて育つ。やがて、妹・梅が生まれ、己の容姿と喧嘩の強さを活かして取り立て屋になる。梅を誇りに思っていたが、梅が13歳のとき生きたまま焼かれ、自分も侍に刺されるが持っていた鎌で侍と女将を殺害。死に瀕していたところを、通りすがりの童磨に勧誘され、妹と共に鬼となった。
●堕姫が追い詰められて宇髄天元に頚を刎ねられたことで、眠りから目覚める。堕姫の首をくっつけたり火傷を治癒して以後は宇髄天元・竈門炭治郎と交戦する。宇髄天元を毒に冒し腕を切断し、伊之助の心臓を貫く等、上弦の力を見せつける。竈門炭治郎のことは鬼になるようにと勧誘し心を折らせようとするも、それでも立ち向かう竈門炭治郎によって頚を斬られる。
●同時に斬られた堕姫と口論するも、堕姫が消滅した時に呼んだ名前によって人間だったころを思い出す。梅(堕姫)を自分と同じようにしてしまった心残りを思い出した暗闇の中で、人間のころの姿に戻った梅と再会し、彼女だけ光がある方に向かわせるため一旦は突き放すものの梅に「ずっと一緒にいる」「何度生まれ変わってもお兄ちゃんの妹になる」と言われ、梅を背負いながら地獄の業火の中へと消えていった。
●技一覧
■血鎌(ちがま)
●自身の血で作られた二対の鎌状の武器。血が弾けるまで鎌として扱える。直接切りつけるほか投擲にも用いられる。猛毒が含まれており、少し切り付けられただけでも毒に冒される。飛び血鎌という名で飛び道具としても使用できる。両腕に螺旋状に纏わせる円斬旋回(えんざんせんかい)という応用技や血の斬撃を身の回りに巡らせる全天周防御技の跋扈跳梁(ちょうりょうばっこ)もある。
●長い黒髪で目元を隠した女性の鬼。髪の下は大きな単眼である。十二鬼月からは「琵琶女」、「琵琶の君」と呼ばれている。鬼舞辻無惨は鳴女を便利という意味でお気に入りにしている。
●必要以上の会話をしたがらず、上弦の壱から伍が集められた際も質問に短く答える程度。内心は「早く帰ってくんないかな」と思っていた様子。
●十二鬼月とは別枠の側近であったが、半天狗が死んだことで空位となった上弦の肆へと昇格する。
●琵琶を奏でることで異空間・無限城の部屋を操ることが出来る。干渉能力は高く、上弦の鬼たちですら気付かれずに呼び寄せる事が出来る。上弦になった後には探知探索の血鬼術を会得し眼球に三本触手の足を持つ使い魔による遠隔探知ができる。
●無限城決戦の要。髪で壁に根を張り動くことはできないが、部屋を自在に動かして鬼殺隊を分断する。甘露寺蜜璃と伊黒小芭内に捕捉されるも、難攻不落。鬼舞辻無惨の回復まで時間稼ぎをし、回復した鬼舞辻無惨の覚醒後にも生き残った柱を集結させないように城の構造変換を続けていたが、この隙に彼女に接近していた愈史郎に脳を乗っ取られたことにより視界を操作され、無限城の制御も奪われてしまい、この事実を知った鬼舞辻無惨が鳴女を切り捨て、自壊の呪いを発動させたことで頭部を破裂させられてしまい死亡。その結果、制御不能に陥った無限城は崩壊して地上に露出した。
●声 - 細谷佳正
●我妻善逸の兄弟子にあたる元鬼殺隊剣士。我妻善逸と色違いの日輪刀を背負い、勾玉の首飾りをしている。
●自尊心が異常に強く傲慢で独善的な性格で強烈な承認欲求がある。ひたむきに努力する姿勢を我妻善逸からは尊敬されていたが、自分の未熟さを顧みず、他者から評価されないことに不満を抱えていた。
●かつては悲鳴嶼行冥が世話をしていた寺の孤児であったが、ある日寺の金品を盗んだことで他の子供達から責め立てられ、寺から追い出される。その夜に鬼と出くわし悲鳴嶼行冥と子供達の命を与えると鬼を手引きした過去を持つ。その後、桑島慈悟郎に拾われ雷の呼吸を教わり鬼殺隊の剣士となる。臆病で壱ノ型しか使えない我妻善逸を見下していたが、反対に全ての型の基本である壱ノ型が使えないため他の剣士からは大したことないと言われていた。「生きてさえいれば勝てる」という考え方から、黒死牟に出くわして、命乞いをして鬼になった。妓夫太郎・ 堕姫が死んだことで空位になった上弦の陸になるが、我妻善逸からは「適当な穴埋め」と皮肉を言われた。
●雷の呼吸(弐から陸ノ型)と血鬼術を組合せた技を使用する。受けた相手の体はひび割れが起きる。
●無限城で、我妻善逸と交戦。我妻善逸によると「どんな時も不満の音がしており、心の中の幸せを入れる箱に穴が開いている」らしい。お互い挑発の果てに、我妻善逸が編み出した新たな雷の呼吸「漆ノ型」に敗れる。負けを受け入れず我妻善逸も転落死するから引き分けだと思い込もうとするが、愈史郎の介入で失敗し、今までの自分勝手な言動に対する嘲りと哀れみの言葉を浴びせられ、あらゆるものを踏みにじってまで保とうとしていた己の自尊心が覆しようのない形で折れていく事実に声にならない断末魔をあげながら消滅した。
●上弦の陸ながら我妻善逸に単独で倒されたが、愈史郎いわく「我妻善逸が生き残れたのは獪岳が鬼としてもルーキーで、まだ血鬼術を使いこなせていなかったから」だという。
●技一覧
■雷の呼吸(かみなりのこきゅう)
●"雷の呼吸"と血鬼術を組み合わせた技を使う。血鬼術により刀の斬れ味が強化され、呼吸の演出も我妻善逸と異なり黒い雷になっている。その斬撃を喰らうと体に亀裂が奔り、肉体を罅(ひび)割り続ける。
■弐ノ型 稲魂(いなだま)
●瞬きの間に行われる高速五連撃。
■参ノ型 聚蚊成雷(しゅうぶんせいらい)
●標的の周囲を回転しながらの波状攻撃。
■肆ノ型 遠雷(えんらい)
●詳細不明。劇中の描写からおそらく壱ノ型と同系統の踏み込みからの斬撃と思われる。
■伍ノ型 熱界雷(ねっかいらい)
●下から上へ斬り上げる。その威力は受けた我妻善逸が天井に激しく衝突するほどである。
■陸ノ型 電轟雷轟(でんごうらいごう)
●詳細不明。劇中の描写では空中で放たれ、受けた我妻善逸は体の至る場所に斬撃を喰らっている。
===== 下弦 =====
下弦の伍である累が鬼殺隊に討伐された直後に、下弦の弐の轆轤(ろくろ / 声 - 楠大典)・ 下弦の参の病葉(わくらば / 声 - 保志総一朗)・下弦の肆の零余子(むかご / 声 - 植田佳奈)・ 下弦の陸の釜鵺(かまぬえ / 声 - KENN)の4鬼は、鬼舞辻無惨によって粛清されている。
●声 - 平川大輔
●下弦の壱。優男風の洋装の鬼。増血されてからは全体に血管が浮かんだ姿になっている。
●目玉と口が存在する異形の左手を分身として身体から切り離し、独自に行動させることができる。他者の不幸や苦しみを見ることを何よりも好む。
●「眠り鬼」と呼ばれ、夢に関する血鬼術を使い、術の効力を持ったギミックを作成することも得意とする。閉じ込められた夢から覚めるためには、その中で自刃する胆力が必要となる。
●鬼舞辻無惨による下弦の鬼の粛清時に、歪んだ恭順を気に入られて唯一見逃され、「増血」されて竈門炭治郎に対する追手として放たれた。無限列車にて、配下の人間を使って鬼殺隊の一行を眠らせ、無意識空間の「精神の核」を破壊させようとするが、それ自体は時間稼ぎに過ぎず、竈門炭治郎が覚醒した時には汽車そのものと融合が完了していた。2百人の乗客を人質兼食料にしようと企んでいたが、煉獄杏寿郎と我妻善逸・竈門禰󠄀豆子の働きで阻止されたうえ、竈門炭治郎と伊之助に列車の運転室の床下に隠していた頚骨を破壊される。結果として1人も食えなかった上に全力を出せず敗北、「何という惨めな悪夢だ」と嘆きながら消滅した。竈門炭治郎に血液を採取される。
●キメツ学園では魘夢民尾(えんむたみお)という名前になっており、鉄道変態ヲタクというキャラクターになっている。鉄道に変態行為を繰り返し前科6犯、そのせいでよく電車が遅れる。 人の迷惑を顧みないため、ほかの鉄道オタクはおろか誰からも嫌われている。ジャンプGIGAに収録された袋とじの漫画にはその変態行為の実態が描かれている。
●技一覧
■強制昏倒催眠の囁き(きょうせいこんとうさいみんのささやき)
●左手の口から発せられる「眠れ」という言葉で強制的な眠りに落とし、夢に閉じ込める。音を介する技のため防御は困難どころかほぼ無いが、竈門炭治郎のように技をかけられたら夢の中で即座に自害し脱出する事で事実上の無力化は可能。
■強制昏倒睡眠・眼(きょうせいこんとうすいみん・まなこ)
●汽車融合により、無数に増えた眼と対象者の眼が合ったとき、眠りに落とす。眼が無数にある為破られても直ぐに術をかけられる。さらに、この術で相手を眠らせるのは魘夢の意のままであるため、夢の世界に落ちたと相手を錯覚させ、現実の世界で自決させる搦手を挟むこともできる。 被り物をしていて視線を読みにくい伊之助とは相性が悪い。
●声 - 内山昂輝
●下弦の伍。那田蜘蛛山に住まう鬼の一家の末子で、蜘蛛めいた髪型の小柄な少年。
●配下に「母」「父」「兄」「姉」役を演じる鬼がおり、家族の「末弟」にあたるとして彼らとの絆を主張するが、その実態は拷問や調教で無理矢理従わせている恐怖支配に過ぎず、口ぶりや内容も妄執めいている。以前はもっと多くの家族がいたようだが、累に逆らったり、望むように家族を演じられなかった為に処刑されて4人になっていた。家族役の鬼たちの容姿は元々異なっていたようで、累によって顔の皮をはぎ取られ、無理やり作り替えられている。累は家族が元の姿に戻ることを嫌い、元の子供の姿に頻繁に戻ってしまう母蜘蛛を頻繁に虐待していた。
●繰り出す糸に血液を乗せることで、鋼に勝る硬度を与える血鬼術を持つ。切れ味そのままに網状にすることもできる。
●人間だったころは非常に病弱で床から起き上がれず、歩くことさえ苦しい状態であったが、ある日鬼舞辻無惨に血を与えられ、鬼となる。鬼化後は人を喰らい続けなければならず、その事実を知った両親(声 - 立花慎之介、桑谷夏子)により無理心中を図られるも、一時の激情に駆られ返り討ちにしてしまった過去を持つ。
●那田蜘蛛山山中にて、竈門炭治郎・竈門禰󠄀豆子と交戦。竈門禰󠄀豆子が示した兄への絆に感動し、自分の新たな「妹」役として目をつける。血鬼術の糸で竈門炭治郎の日輪刀を破壊するなど絶望的な戦力差を見せつけ、新たな力に目覚めた竈門兄妹に反撃されるが、先んじて首を自切することで日輪刀を回避。激怒して竈門兄妹を殺そうとするも、救援に来た冨岡義勇に止めを刺される。
●身体が崩れ行く中で、かつて両親の自身に対する命を賭した愛情を断ってしまったことに気付き、死後その魂は両親と再会。謝罪を果たして、共に地獄の業火へと消えていく。この戦いでは、竈門炭治郎は十二鬼月の採血に失敗する。
●ちなみに「家族ごっこ」は鬼舞辻無惨に認められた行為であり、反乱者が徒党を組むことを危惧して共食いという習性を故意に与えている鬼舞辻無惨が累の配下ともとれる鬼が増えることを認めたのは、「父母の代用品を求めている」「気に入らない代用品は捨てる」といった累の幼稚性を見抜いていたためである。
●コミックス巻末のキメツ学園では綾木累(あやき るい)と名字が付けられている。学年は不明。あやとり大会で優勝し、キメツ新聞でも特集が組まれて一躍時の人に。独特のホクロが可愛いとネットでも話題らしい。
●技一覧
●蜘蛛の巣状の糸で相手を包囲し、切り刻む。
■殺目篭(あやめかご)
●刻糸牢より狭い篭状の空間に相手を閉じ込め、確実にとどめをさす。
■刻糸輪転(こくしりんてん)
●竜巻のごとく渦を巻く最硬度の糸が襲い掛かり、相手を跡形もなくバラバラにする。
====== 那田蜘蛛山の鬼一家 ======
それぞれが母・父・兄・姉役を演じているが、累に恭順を示した鬼たちが、言われるままに容姿を作り変えただけで血縁はない。全員が蜘蛛や糸にちなんだ術を使用するが、元々は累から力を分け与えられただけのもので、自身の血鬼術ではない。ちなみに顔は累によって皮を剥がれて作りかえられている。家族は他にも居たが累にそぐわない者や逆らう者、演じられなかった者が日光で妬かれたり切り刻まれたりして処分されたため4人しかいない。アニメ版のみ作中過去で「姉」の姉を演じていた鬼(声 - 伊藤かな恵)が出ている。
■「母」
●声 - 小清水亜美
●那田蜘蛛山で最初に登場した鬼。妖艶な女性の姿をしている。糸を使って人間を操る血鬼術を持つ。
●元は幼女の鬼だったが、累の命令で容姿を変えて大人の女性の姿になっている。そのため、累の要求に応えきれないことが多く、「父」に暴力を振るわれ恐怖で支配されていた。度々元の幼女姿に戻る為に累にも虐待されており、母とは名ばかりで、家族で一番立場が低い。
●那田蜘蛛山に入った鬼殺隊員たちを操り同士討ちさせていたが、伊之助に位置を把握されたのち、竈門炭治郎によって首を切られる。その際、累から解放されたい思いから一切の抵抗をせず、自ら首を差し出したことで、竈門炭治郎に「伍ノ型・干天の慈雨」で情けを掛けられた。竈門炭治郎が自分に向けた優しい眼差しから人間だった頃は幼女であり、今際の際には母親と思われる女性に愛情を受けていたものの、彼女を食い殺してしまったらしきことを思い出し、死に際に十二鬼月がいると注意を促しながら痛みのない穏やかな死に安らかに消滅する。
■「父」
●声 - 稲田徹
●屈強な体格を誇る蜘蛛鬼。顔面が蜘蛛そのものに変貌しているので異形の姿である。
●累によって知性を奪われ、いいように操られている。川底を殴れば底まで水が吹き飛び、太い丸太をバットのように振り回すなど、桁違いの身体能力・回復力を持つ。脱皮による強化が可能で、身体が一回り大きくなり強くなる。
●山中で伊之助を叩きのめし殺す一歩手前まで追い込むが、現れた冨岡義勇に瞬殺されバラバラになる。
■「兄」
●声 - 森久保祥太郎
●蜘蛛の胴体に人間の頭がついている異形の鬼。母鬼を嘲笑っていた。普段は蜘蛛の巣で浮く小屋の中に居る。
●自身の毒を受けたものを「蜘蛛」に変える血鬼術、および強酸性の毒液を吐き出す血鬼術「斑毒痰(ふどくたん)」を持つ。
●山中で我妻善逸と交戦。蜘蛛人間たちを使って我妻善逸に毒を注入する。毒で衰弱しつつも突如雰囲気が変わった我妻善逸に対して、警戒しつつ迎撃を行うも、それすら凌駕する「霹靂一閃 六連」で一瞬で斬首される。
■「姉」
●声 - 白石涼子
●白い着物を着た少女の鬼。掌から作り出した繭で獲物をくるみ、消化液で溶かして捕食するという血鬼術「溶解の繭」を持つ。
●一見おとなしそうに見えるが、実は自分さえ良ければ良いという自己中心な性格で嘘を平然と吐く、狡猾で卑劣かつ極悪な利己主義者。元々強い鬼ではないため、累に捨てられることを恐れており、彼が竈門禰󠄀豆子に興味を示した際は必死に自分が「姉」であることを主張する。
●アニメ版では自分の姉を演じていた鬼に脱走計画を打ち明けられ共に脱走したが、実は累に計画を密告していたため、「姉」の鬼が処刑された話が追加されている。
●先遣隊の中で生き残っていた村田を、血鬼術の繭で包み溶かそうとしていたところ、胡蝶しのぶと遭遇。実力の差を見せつけられて命乞いをするが、嘘を見破られた上拷問による贖罪を宣告され、反撃しようとするも、鬼殺しの藤の花の毒で毒殺され、遺体はその場に打ち捨てられている。
==== 珠世一派 ====
●声 - 坂本真綾
●演 - 舞羽美海
●2百年以上生きている女性の鬼。医者。
●鬼舞辻無惨一派と敵対し、追われる立場にある。自力で鬼舞辻無惨の呪いを解除して支配から逃れ、人を喰らわず少量の血液を飲むだけで生きることが可能。自分の血液を介して、幻術をかけることができる。
●鬼を人に戻す方法を確立すべく、竈門炭治郎に鬼の血液の採取を依頼する。鬼であることを隠しつつ鬼舞辻無惨の追跡を躱すため、一箇所には長く留まれない。
●竈門禰󠄀豆子と十二鬼月の血を研究するうちに鬼化された人間の自我を取り戻すことに成功し、竈門禰󠄀豆子が近いうちに太陽を克服すると推測する。竈門禰󠄀豆子の日光克服と同時期に、産屋敷耀哉に声をかけられ、鬼舞辻無惨への罠を張る。
●前身となった短編『過狩り狩り』から引き続いて登場。
●技一覧
■惑血(わくち)
●珠世の血鬼術。自らの身体を傷つけ、出血することによって発動する。自身の血の匂いを嗅がせ幻覚で惑わせる。匂いがおよぶ範囲なら無差別に影響する。
■視覚夢幻の香(しかくむげんのこう)
●匂いを嗅いだ者の視界に不可思議な紋様が現れ、身動きを取れなくする。
■白日の魔香(はくじつのまこう)
●匂いを嗅がせた者の脳の機能を低下させ、情報を引き出す。虚偽を述べたり秘密を守ることが不可能となる。人体には害があるため、人間は吸い込んではならない。鬼に対し尋問の誘導に成功すると、強制的に「呪い」を発動させることもできる。
■融通無碍の香 (ゆうずうむげのこう)
●番外編4コマ漫画のネタ。真面目すぎて四角四面な竈門炭治郎の性格を矯正できないか試すも失敗、頭の悪い発言をするだけの結果となった。
●声 - 山下大輝
●演 - 佐藤永典
●病により瀕死の状態から、珠世により鬼とされることで救われた青年。鬼舞辻無惨由来ではない例外的な鬼。
●少年の姿だが、実年齢は35歳。人を喰らわず、珠世よりも少量の血液を飲むだけで生きることが可能。珠世に心酔しており、珠世以外には毒舌かつ攻撃的な態度をとる。
●視界に関わる血鬼術を使用する。札術を応用した目隠しや、また札を対象の顔に貼り付けることで自身や鴉の視力を貸与することもできる。竈門炭治郎の採血回収時は、術で姿を消した猫を遣わす。
●無限城戦では、鬼殺隊士を装って、村田の班で救護と支援を担当。鴉に血鬼術を用いて、新お館様に偵察情報を提供する。
●前身となった短編『過狩り狩り』から引き続いて登場。
●珠世の使いの三毛猫。竈門炭治郎が倒した鬼から採取した血液の運搬を担う。
●首に愈史郎が使う血鬼術の札を付けており、背中には小型のバックを背負っている。愈史郎の血鬼術により鳴くまで姿が見えず、血液を回収後に再び鳴くと姿を消す。
==== その他の鬼 ====
●声 - 緑川光
●演 - 星賢太
●竈門炭治郎が竈門禰󠄀豆子以外で初めて遭遇した人食い鬼。
●異形化も進んでいない所謂「雑魚鬼」ではあったが、その異常な生命力を見せつけた。竈門炭治郎がとどめを躊躇う内、夜明けの日光に晒され灰と化す。
●声 - 子安武人、豊崎愛生(幼少期)
●演 - 竹村晋太朗
●仮称。47年前、江戸時代のころに鱗滝左近次に捕まった鬼。仮称通りに全身にいくつもの腕を纏った、大型の異形の鬼。
●最終試練の場「藤襲山」に封じられているが、その中でしぶとく生き延び、50人もの人間を喰らった。自分を捕まえた鱗滝左近次を心から憎んでおり、彼の彫った狐面を目印に13人の弟子を殺している。
●弱点である首はとりわけ多く腕がまとわりついているせいか非常に硬く、錆兎が切りつけた際は逆に刀が折れてしまったほど。だが山中の鬼(声 - 鶴岡聡、福島潤、他)も倒していた竈門炭治郎の力には敵わず、「壱ノ型・水面斬り」で首を刎ねられて敗北。今際の際に兄(声 - 小市眞琴)と過ごした人間時代を思い出し、涙を流しながら消滅した。
●アニメ劇場特別上映版ではボス敵。また、「(明治から大正に)年号が変わっている」というセリフを発するが、このテレビアニメでの放送時期と平成・令和の改元とが一致したことで話題になり(後述)、このキャラクターのグッズ化も行われた。
●声 - 木村良平
●仮称。 1本角・2本角・3本角の三身一体で行動する鬼。三つ子ではなく能力による分身・分裂の類であり、お互いを「俺」と呼ぶ。
●十六歳になったばかりの娘を好んで食い殺し、殺した娘たちが身に着けていたかんざしや髪飾りを蒐集品として集めている。血鬼術を扱える異能の鬼であり、壁や地面に対し沼地を発生させ沼の中を自在に動き回れる。キャラブックによるとナルシストで、歯ぎしり癖は人間時代からの名残らしい。
●竈門炭治郎が最初の仕事で倒した鬼。トキエ(声 - 冨岡義勇美沙子)を襲撃した際、和己(かずみ)(声 - 酒井広大)と共に失踪事件の調査をする竈門炭治郎と鉢合わせる。竈門炭治郎を沼に引きずり込むも、「陸ノ型 ねじれ渦」で2人が倒され、最後の一人も首を刎ねられて全滅した。竈門炭治郎からの尋問に対し、鬼舞辻無惨について答えることを極度に恐れている。
●声 - 小松未可子
●演 - 西分綾香
●鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨直属の配下で、矢琶羽と行動を共にする鬼。おかっぱ頭で古風な口調と童女のような振る舞いをする。はっきりした性別は不詳だが、珠世は朱紗丸を「彼女」と形容していた。
●十二鬼月を自称するが、鬼舞辻無惨に言いくるめられていただけで、実際には単なる駒にすぎない。
●血鬼術である手毬を投擲して攻撃するが、手毬は家屋の壁を易々と破壊し愈史郎の頭を砕き竈門禰󠄀豆子の足を軽々引きちぎるという威力を持ち、矢琶羽の術と組み合わせることで不規則な軌道を描く。また腕は血鬼術により6本まで増え、同時に手毬も6個に増える。
●珠世の術にかけられて鬼舞辻無惨の名を口にしてしまったことで「呪い」が発動し、体内に残留していた鬼舞辻無惨の細胞に肉体を破壊され、死に際にも毬を求める朱紗丸の残骸に、竈門炭治郎が毬を添えると、「遊…ぼ……あそ……」と小さな子供のような声を残し、朝日に照らされて塵となり消滅していく。
●ファンブックによると、手毬は人間時代に父親に買ってもらったもの。
●ちなみに矢琶羽とは珠世宅襲撃が初対面で、襲撃前にお喋りで仲良くなっている。
●キメツ学園では高等部3年土竜組のバレー部の部長。「朱紗」が苗字で「丸」が名前とはっている。鞠を持ってこないように注意した風紀委員の我妻善逸に鞠を笑いながら投げつけている。
●声 - 福山潤
●演 - 星乃勇太
●両掌に瞳孔が矢印の目玉がついた青年姿の鬼。両目は閉じられている。一人称は儂。
●鬼舞辻無惨の命令で、朱紗丸とともに竈門炭治郎らを襲う。
●神経質で病的なまでの潔癖症であるため、大雑把な朱紗丸とは度々口論になる。潔癖症は人間時代からのもの。
●目が両手なのは使い勝手がいいからという理由で、見えないから手に目が現れたわけではない。ちなみに目は色々な物を見通せる。
●両掌に存在する眼により発動させる、不可視の矢印(ベクトル)を操る血鬼術「紅潔の矢」を用いる。通常はこの矢印は見えないために初めは竈門炭治郎を苦しめたが、愈史郎の視力を借りたことで見切られ、術を逆手に取られ倒された。矢印と逆の方向に技を繰り出せば衝撃を相殺できたり、当人が矢印と同じ方向に動けば巻き取る事ができるなど回避方法がない訳では無い。
●首を斬られた際、ひたすら恨み言を吐きながら竈門炭治郎に術を連発仕掛けて相討ちを図ったが失敗し死滅する。
●ちなみに朱紗丸とは珠世宅襲撃が初対面で、襲撃前にお喋りで仲良くなった。
●キメツ学園では高等部3年土竜組で弓道部の部長。豆腐屋の息子らしい。
●声 - 諏訪部順一
●演 - 高木トモユキ
●元・十二鬼月の下弦の陸。両肩や腹、両脚から鼓を生やした鬼。竈門炭治郎と我妻善逸が指令を受け向かった先の屋敷の主。計画的で賢明だがぼそぼそと呟くようにしゃべるなど陰気で神経質かつプライドが高い。また土足で家に上がり込んだ鬼殺隊の面々に苛立つなど、礼儀にうるさい一面もみせている。
●身体各部の鼓を打つことで、部屋を回転させたり斬撃を飛ばす空間支配の血鬼術を持つ。部屋の空間を転移させる鼓も背中に生やしていたが、血の匂いを嗅ぎつけてきた舌の鬼(声 - 新垣樽助)、角の鬼(声 - 川原慶久)との争いで落とし、清に利用される。
●人間だったころは伝奇小説を書く文筆家で、彼の作品を酷評した上に原稿用紙を踏みつけにした知人を惨殺した過去を持つ。鬼になっても文筆をしていた。
●元は十二鬼月まで登り詰めた実力者だったが、人を喰えなくなり力が衰えたのを理由に数字を剥奪されている。十二鬼月に復格するために、「稀血」を持つ清を狙う。
●転移の鼓を逆利用する清を捕らえきれず、清の弟妹・正一(しょういち)(声 - 市来光弘)、てる子(てるこ)(声 - 岡咲美保)と行動を共にしていた竈門炭治郎と一騎討ちとなり前述の血鬼術で苦しめるが、「玖の型 水流飛沫・乱」で攻略され倒された。戦いの最中でも手書きの原稿用紙を踏まなかったことや竈門炭治郎の血鬼術に対する賞賛の言葉に「自分は認められた」と涙を流しながら消滅していく。
●キメツ学園では教師で担当科目は高等部の音楽。主に鼓を用いて授業をする。長唄やお囃子ばかりさせられるので、響凱の生徒達は最近の教科書に載っている曲をちゃんと歌えないらしい。
●技一覧
■鼓打ち
●縄張りである屋敷内の空間を支配する血鬼術。鼓を打つと今いる部屋の状態が変化する。左肩の鼓を打つと、部屋がそのまま左回転する。右肩は右回転、右脚は前回転、左脚は後回転。部屋内の人間は回転の度「下」に落下するが、響凱自身は影響を受けない。腹の鼓を打つと、敵を爪で引き裂くような斬撃が3本飛ぶ。背中には別の部屋へ転移する鼓が生えていた。
■尚速鼓打ち(しょうそくつづみうち)
●鼓を超高速で連打する。術中にはまった者は平衡感覚を失い、5本に増えた斬撃に苛まれることになる。
== 用語 ==
=== 鬼殺隊関連 ===
●鬼の撲滅を目的とする政府非公認の組織。隊員以外で「鬼殺隊」の名称が使われることはあまり無く、古より敵味方問わず部外者からは一貫して「鬼狩り(おにがり)」と呼称される。
●構成員は数百名、剣士は十干(甲から癸)の階級が割り当てられる。さらにお館様と呼ばれる長、および「柱」と呼ばれる幹部級の隊士がいる。
●鍛練で超人的な技を身に付け、あくまで生身の人間であるため傷つき痛みもある。
●各地に散在する「育手」に訓練を受けた後、「鬼たちが幽閉されている藤襲山で七日間生き残る」という試験に合格すると入隊が認められる。
●隊員には「日輪刀」と隊服が支給され、人語を喋る「鎹鴉(かすがいがらす)」の伝令に従い任務に就く。
●隊服は洋装で、背に「滅」の文字が書かれている。特別な繊維で出来ており、通常衣類よりもずっと頑丈。隊服の上から自前の羽織などを着用することが多く、特に厳しい規定はない模様。その一方、「鬼殺妨害」など鬼を見逃す行為は重大な隊律違反。隊律による斬首や、責任を示すための切腹が行われる。
●政府非公認であるが故に、都会では表立って帯刀できないなど不便が生じる。女性隊士もいるが、割合は低い。
■産屋敷家(うぶやしきけ)
●鬼殺隊を統括する一族。歴代当主を鬼殺隊最高統率者(お館様)としており、鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨の討伐を悲願している。産屋敷邸の所在は隊内でも秘匿とされているため、「隠」の案内なしに辿り着くことはできない。
●鬼舞辻無惨を先祖としているためか、千年以上もの間呪いを背負っている。かつてはその呪いによる早逝から一族が途絶えようとしていたが、神主の助言から鬼殺隊を創設し、また神職から妻を迎え始めた事で危機を脱するも、それ以降も代々30歳未満で亡くなっている。病弱であるため、魔除けとして産屋敷家の男児は13歳まで女児として育てられる。しかし、長男相続制であるため13歳以下で当主となる場合は正装になる。97代目当主は産屋敷耀哉。98代目当主は産屋敷耀哉の長男・産屋敷輝利哉。
●鬼を倒すため、鬼殺隊が身に付ける操身術の総称。
●著しく増強させた心肺活動により、一度に大量の酸素を血中に取り込むことで、身体能力を瞬間的かつ大幅に上昇させ、鬼と互角以上の剣戟を繰り出す。これを「全集中の呼吸」と呼び、剣技に用いて鬼の頸を狩る。
●「日の呼吸」を開祖とし、そこから「水」「雷」「炎」「岩」「風」の基本五流派が派生、後にはさらに多くの流派に別れ、それぞれの特性に合った技を開発している。日輪刀の色で、どの系統の特性が合っているのかある程度推測できる。
●ほかにも全集中の呼吸を継続する技術「常中(じょうちゅう)」、身心強化の「反復動作(はんぷくどうさ)」などの技術がある。
●習熟度が高い剣士の技は、エフェクトが可視化に至る(呼吸が薄いと見えない、と説明される)。
■日の呼吸(ひのこきゅう)
●始まりの呼吸。すべての呼吸はここから派生した。別の言い方をすれば、他の呼吸法はこれを真似た亜種にすぎない。
●継国縁壱のみが使えた呼吸で、他の誰も日の呼吸を習得できなかったため特性に応じてアレンジしながら伝えたのが他の呼吸法の始まりである。
●竈門炭治郎が持つ日輪が描かれた花札風の耳飾りが継承者の証であり、素質ある使い手には生まれつき額に赤い痣(あざ)があるとされる。
●竈門家に代々伝わる神事で、正月に先祖と炭窯の神に奉納する。正月の日没から翌朝の夜明けまで神楽を舞い続ける過酷なもので、寿命を縮めかねない命懸けの神事である。
●呼吸法は「日の呼吸」に関連し拾弐ノ型まであり、型だけ受け継いでいる。竈門炭治郎が全集中の呼吸で剣技に使うと、水の呼吸を上回る威力を発揮するが、反動が強すぎて肉体がついていかない。竈門炭治郎の痣は、後天的な火傷と傷跡で、痣としては偽物、あるいは上書きされており見えなくなっている状態である。炭吉が継国縁壱の剣の型を精霊の舞のように見えることで名付けられたと推測。
■月の呼吸(つきのこきゅう)
●「日の呼吸」の直接的な派生技。修得者は継国巌勝(黒死牟)。16の型を持つ。日輪刀の色は紫色。
■水の呼吸(みずのこきゅう)
●基本の呼吸法の1つ。修得者は竈門炭治郎・冨岡義勇・鱗滝左近次。基本型は10つ。日輪刀の色は青色。容れ物によって形を自在に変える水の如く、相手の攻撃を利用したり、いなしたりと、あらゆる状況に対応する技で鬼の頸を狩る。また基本型を応用、組合せることでも技のバリエーションは増えていく。11番目の型「凪」は冨岡義勇の独自技。
●基本の五つの呼吸法の中でも特に基本に沿った技が多いため、派生した呼吸も多い。修得者も最多。
■蛇の呼吸(へびのこきゅう)
●「水の呼吸」の派生。修得者は伊黒小芭内。日輪刀の色は桔梗色。基本型は派生元と同じく10つ。
■花の呼吸(はなのこきゅう)
●「水の呼吸」の派生。修得者は栗花落カナヲ・胡蝶カナエ。基本型は派生元と同じく10つ。日輪刀の色は薄紅色。
■蟲の呼吸(むしのこきゅう)
●「花の呼吸」の派生。修得者は胡蝶しのぶ。基本型は派生元と同じく10つ。日輪刀の色は藤色。
■炎の呼吸(ほのおのこきゅう)
●基本の呼吸法の1つ。修得者は煉獄杏寿郎・煉獄槇寿郎。基本型は9つ。日輪刀の色は赤色。烈火の如く激しい突進技が多く、その踏み込みは走行中の列車をも跳ね上げる。「日の呼吸」に通じるため、「火の呼吸」と呼ぶことは固く禁じられている。基本五流派の中でも、日の呼吸との関連が深いようで、その資料が伝承されていた。
■恋の呼吸(こいのこきゅう)
●「炎の呼吸」の派生。修得者(創設者)は甘露寺蜜璃。基本型は派生元と同じく9つ。日輪刀の色は桃色。
■風の呼吸(かぜのこきゅう)
●基本の呼吸法の1つ。修得者は不死川実弥。基本型は9つ。日輪刀の色は緑色。
■霞の呼吸(かすみのこきゅう)
●「風の呼吸法」の派生。修得者は時透無一郎。日輪刀の色は白色。基本型は6つ。
■獣の呼吸(けだもののこきゅう)
●修得者は嘴平伊之助。基本型は8つ。伊之助自身が我流で修得した呼吸法で、単純な斬撃、突きが目立つが、身体能力の高さと全集中の呼吸による強化により非常に高い攻撃力を誇る。伊之助は攻撃技を「牙」、それ以外を「型」と呼称する。伊之助の我流だが「風の呼吸」に近い。
■雷の呼吸(かみなりのこきゅう)
●基本の呼吸法の1つ。修得者は我妻善逸・獪岳・桑島慈悟郎。基本型は6つ。日輪刀の色は黄色。
■音の呼吸(おとのこきゅう)
●「雷の呼吸」の派生。修得者は宇髄天元。斬撃を打ち込むごとに、轟音が響く。日輪刀の色は橙色。
■岩の呼吸(いわのこきゅう)
●基本の呼吸法の1つ。修得者は悲鳴嶼行冥。基本型は7つ。日輪刀の色は灰色。
●鬼殺隊剣士が上弦の鬼に対抗しうると分かる目印。
●かつて戦国時代、鬼舞辻無惨を後一歩のところまで追い詰めた剣士たちにはことごとく鬼の文様に似た「痣」が現れていたとされる。
●竈門炭治郎が上弦の陸・妓夫太郎と交戦したときに、初めて発現する。その際に原因は判明しなかったが、刀鍛冶の里での戦いで「痣の者」となり、上弦の伍・玉壺を打ち倒した時透によって条件を満たすことで発現する後天的なものと判明する。痣の形は呼吸によって様々。
●時透が明かした痣発現の必要条件は「39℃を超える体温」と「200を超える心拍数」。しかし、そのような状態に身体が耐えられないために痣が発現した者は例外なく短命となり、25歳を超えて生存した事例は稀有である。また、継国縁壱や竈門炭十郎のように生まれながらに痣を持つ者もいる。
●鬼殺隊剣士の最高位。
●柱未満の隊員は死亡率が非常に高く、逆説的に鬼と戦っても死なない実力者である柱たちは、隊を支える存在として君臨している。世襲制ではなく、最も強い者がその地位に就く。現在「水」「蟲」「炎」「音」「岩」「恋」「霞」「蛇」「風」の9人の流派の剣士が柱となり、各自の流派に従って「◯柱」という位を授かる。しかし例外もあり、雷の流派の場合は「鳴柱(なりばしら)」と呼ばれる。十二鬼月の下弦の鬼でも圧倒させる程戦える一方、上弦の鬼を100年以上の間倒した柱はいないという。
●性格的に個性が強すぎる人物が多く、一般隊員や「隠」部隊からはひどく恐れられている。
●現役の柱の直弟子。よほど優れた才能が認められなければ選ばれないという。次の柱候補生であるが、階級や同流派に限定されない。栗花落カナヲやかつての甘露寺蜜璃が当てはまる。
●仮称。鬼の血肉を取り込むことで、鬼の力を一時的に使うことができる者。剛腕や再生能力を得る。使い手は非常に稀少で、現時点では不死川玄弥と300年以上前に存在していた剣士の二人しか確認されていない。喰らった鬼が鬼舞辻無惨に近い程鬼化の影響を受けやすくなり、血鬼術を習得する事がある。
●鬼殺隊の非戦闘部隊。
●事後処理や支援を専門。剣の素質に劣る者が任に就くとされる。黒子のような専用の隊服を着用する。剣士同様に階級がある。
●文字通り剣士を育てる者の呼び名。
●育手はあちこちに存在し、それぞれのやり方で剣士を育てる。彼らの修行を受け、実力を認められた者が最終選別へと向かい鬼殺隊の剣士となる。基本的には鬼殺隊を引退した者がなる模様。鱗滝左近次や桑島慈悟郎は元・柱の育手で、希少な存在とされる。
●鬼殺隊を支援する施設が各地に散在する。藤の花の紋を目印としている。鬼殺隊に命を救われた一族によって運営されており、鬼殺隊員であれば無償で怪我の治療や休息が受けられる。作中では第27話で初めて登場した。
●日光が蓄えられた鋼で造られた刀。陽光山で採取される猩々緋砂鉄(しょうじょうひさてつ)、猩々緋鉱石(しょうじょうひこうせき)を原料に作られる。
●持ち主によって色が変わり刀としての特性が変わるため別名「色変わりの刀」と呼ばれる。不死の鬼でも、日光および「日輪刀で頸を落とす」ことで絶命する。竈門炭治郎のように刃が黒くなる者は数が少なく、詳細が分からないため出世できない剣士だと言われている。
●鬼の再生速度を遅らせることが出来る刀。当初日の呼吸を使用する者にしか発現しないと思われていたが、実際は痣を持つ者が万力の握力か痣者同士の刀のぶつかり合いで発現する。現在、継国縁壱と時透無一郎が発現させている。
=== 鬼関連 ===
●鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨を始祖とし、人を食する存在。
●人間の体内に鬼舞辻無惨鬼舞辻無惨の血が入り込むと、人を食べる鬼に変貌する。飢餓状態になるとさらに凶暴化し、肉親でも食い殺してしまう。通常は人間であったころの記憶は曖昧になり、本能が剥き出しになるとされる。再生力が高く、たとえ首や手足がもげても動くことが可能で、老いや外傷で死ぬことはない。致命的な弱点は日光と日輪刀。直射日光を浴びたり、日輪刀で頸を切られると、塵となり崩壊する。その際、失われた記憶や理性を取り戻すことも多い。
●共食いの性質があり、基本的に群れることはない(累などの例外はいる)。共食いは故意に与えられた習性で、集団で反乱を起こされる事態を防ぐための措置である。
●藤の花を嫌う習性がある。かなり強い鬼でも、藤の花で結界をつくられるとそこから出ることが出来なくなる。また鬼殺隊には藤毒を用いる人員がいる。
●基本的に人を多く食べた鬼ほど強くなり、「血鬼術」という異能を用いることができるようにもなる。また、肉体の形状を変貌させ異形の外見となっていく。当人の資質次により伸びしろは異なり、上限に達すると人喰いを体が受け付けづらくなる。
●鬼舞辻無惨は鬼たちに「呪い」をかけている。鬼が彼の名を呼んだりすることで呪いは発動して口封じを行う。
●人を食べない鬼は愈史郎のみ。珠世と竈門禰󠄀豆子はレベルを下げているが、鬼の危険性は残っている。また、太陽を克服した鬼は竈門禰󠄀豆子のみ。
●本作における「鬼」は、いわゆる「鬼退治」「吸血鬼退治」ものの諸設定を踏襲し、「太陽の光が弱点」「鬼舞辻無惨からのみ血液感染する」という設定となっている。
●鬼舞辻無惨直属の十二人の鬼たち。弦月に喩えられた名称。ほかの鬼に比べて実力が格段に高い。
●「上弦」6人と「下弦」6人で分かれ、それぞれ「壱から陸の6つの数字」で位付けされる。「上弦の壱」が1番強く、「下弦の陸」が最も弱い。下弦の鬼は左瞳のみに漢字2文字が刻まれ(例:下陸・下伍)、上弦の鬼は片方の瞳に「上弦」の文字、もう片方の瞳に「数字」が刻まれる。また十二鬼月間での入替戦とされる通称「血戦(けっせん)」という制度が設けられており、強さを証明することで階級が変動し、より上の位が手に入る。
●上弦は鬼舞辻無惨の血が色濃く体中に流れ、その血を飲ませる事で鬼舞辻無惨同様の鬼生成能力を持ち、上弦の鬼たちが各々の裁量で鬼にしている。しかし鬼舞辻無惨の血を色濃く持っているため、敗北の危険に瀕すると鬼舞辻無惨が花札の耳飾りの剣士に追い詰められたころの記憶がフラッシュバックしてしまう。
●作中時期の上弦・下弦の間で実力の差がかなり大きい。上弦6人は過去100年以上顔ぶれに変化は無く、末席の堕姫ですら柱を7人殺しており、数字が一つ上がると実力はさらにはね上がる。対して下弦は鬼殺隊に倒されたり、鬼舞辻無惨に成長が見込めないと判断されて切り捨てられたりするので入れ替わりが激しい。累が敗北したことから、「下弦」は存在自体を見限られ鬼舞辻無惨に粛清される。最後の下弦・魘夢も竈門炭治郎たちの闘いに敗れ、「下弦」は壊滅した。
●江戸時代に鬼舞辻無惨が作った、幹部十二枠である。宇髄天元たちが上弦の陸を倒したが、上弦が倒されたのは113年ぶりのこと。
●鬼がもつ不死性や怪力とは別に、各個に発現するいわゆる「異能力」。複数の能力が発現することもあり、血を媒介にほかの鬼に能力を分け与えることもできる。人間であったころの未練やこだわりが強く反映され、鬼の深層意識に深い関わりがある模様。
●鬼舞辻無惨が上弦たちに捜索させている謎の物。これを飲んだ鬼は日の下にいても死なないとされている。任務の重要度も鬼殺隊の殲滅、産屋敷の家の捜索などに並ぶ重要事項にされている。平安時代にまだ人間だったころの鬼舞辻無惨に医者が処方した薬に含まれていた物であり、文字通りの「青い色の彼岸花」の事なのか、何かを比喩したものなのかがわからない不確実な存在。
■稀血(まれち)
●文字通り、稀少な血の持ち主のこと。鬼にとって、常人を数人数十人喰らうよりも、稀血一人を喰らう方が高い栄養を得ることができるという。響凱は、人喰いができなくなり力に伸び悩み、稀血を捕食することでのパワーアップを図っていた。
●現時点では清と不死川実弥が確認されている。両名ともに兄弟がいるが、彼らのみが稀血とされ、血筋ではなく当人だけの突然変異的な体質によるものである。その血が与える影響は個々によっては異なり、中には鬼を泥酔させるほどの稀血を持つ者もいる。
== 地理 ==
●累が根城としていた山。
■吉原の遊郭
●別名「花街」。男と女と見栄と欲、愛憎渦巻く夜の街。美貌と技能が価値基準。一つの区画で街を形成する。街の中には客がつかなくなったり病気になった遊女が送られる切見世や、妓夫太郎や堕姫の生まれた遊郭の最下層の羅生門河岸が存在する。
●「ときと屋」は鯉夏、須磨、炭子。「京極屋」は蕨姫、雛鶴、善子。「荻本屋」はまきを、猪子。
■刀鍛冶の里
●鬼殺隊の刀鍛冶たちが暮らす隠れ里。赴くにはお館様の許可が必要で、特定の方法でしか行くことが出来ない。山の麓に存在し、様々な効能がある温泉が湧いている。里の者は全員ひょっとこのお面を被っている。玉壺に情報を掴まれ、半天狗、玉壺の襲撃を受ける。
●鳴女が血鬼術で司る空間。狙った相手を足元から「落とす」ことで、この空間に呼び寄せることができる。内装は人工の建築物で、部屋が無数にある。