スピーカの役目はアンプで増幅された信号(電流)を音波に変換することです。音波というのは、空気の疎密波によって伝えられます。つまり、電気信号としてコンポの中を伝送されてきた情報から、機械的な振動を作り出して空気を揺さぶる、これがスピーカの役割です。
では、どうやって振動を作り出すか。これにはいくつかの方法がありますが、もっともシンプルなコーン型スピーカに限定して説明しましょう。スピーカの構造を想像してください。ロウト状のコーン紙は周囲をエッジで、中心のまわりをダンパーと呼ばれるもので支えられており、前後に比較的自由に動ける状態になってます。そのコーン紙の中央の裏側は、丸い筒状で電線がグルグルに巻き付けられています。これがボイスコイルです。電線の両端はスピーカ端子のプラスとマイナス側にそれぞれつながれます。一方、スピーカユニットのフレームのほうは、後ろ側に大きなドーナッツ状のマグネット(永久磁石)が、ボイスコイルを取り囲むように固定されてます。
この状態で何の信号も流さなければコーン紙はまったく動きません。ところが、ボイスコイルに電流を流すと、コイルに磁界が発生して、つまりコイルが磁石と化して固定されたマグネットと引き付け合ってコーン紙を後ろ側へ引っ張るか、もしくは反発してコーン紙を前へ押し出します。実際の音楽信号は、1秒間に数10回〜数万回もプラス・マイナスを繰り返しているので、その都度コーン紙は前後に揺すられることになります。これが、空気を振動させて音になるのです。
他の方式のユニットでも、空気を何らかの方法で揺すって音波を発生させる点では同じと考えていいでしょう。ほとんどのスピーカシステムはユニットが箱に入れてあります。これがキャビネット、もしくはエンクロージャと呼ばれるものです。
スピーカユニットのコーン紙が前後に振動することで音波が発生することは前項で説明しましたが、コーン紙が前に動いた時、コーンの前方の空気は押されて「密」の状態に、後方の空気は引っ張られて「疎」の状態になっています。つまり、コーン紙の前後でまったく正反対の状態で音波が発生しているのです。このままだと、音波は前後を自由に行き来してお互いに打ち消し合ってしまい、音を生み出す効率が著しく落ちてしまいます。これは、特に周波数が低くて音の波が重なりやすい低音方向で顕著です。そこで、前後の音が単純に混ざり合わないようにするのがスピーカキャビネットの役割なのです。
いわゆる重低音というのは50Hz以下の音、ベースの低音域やバスドラムのドスンという一発などがここに入ります。30Hz台はパイプオルガンやコントラバスの最低音、プルプルとした振動が足元に伝わってくるような感じです。さて、20Hzになると、これは音としてはもう感じられません。鼓膜を揺するような、部屋の空気が圧迫されるような異様な雰囲気なのです。一方、高音域も楽音として聴こえるのはせいぜい10kHzまでで、それ以上はサーッとかシーツといった室内の雰囲気を左右する成分となりますが、これが音楽のニュアンス再現に大きく影響しているのです。
いずれもスピーカキャビンネットの方式です。もっともシンプルなのが密閉型で、ユニット後方の音は完全に仕切られた箱の中で、吸音材などによって吸収されます。しかし、すべての帯城で音が吸収されてしまうことはなく、主に低音は箱の内部に充満してコーン紙を後ろかち押すエアクッション的な働きをします。これが適度だと押し出しや弾力感のあるサウンドが得られます。ただし、キャビネット自体の容積はある程度の大きさが必要で、あまり小さいとコーンの振動を背後から抑え込む空気バネの働きをしてしまうことになります。大型の密閉スピーカなら、低音もよく伸びて量感豊かなサウンドが楽しめます。
バスレフ型というのは、キャビネット内部の低音を、特定の周波数にチューニングしたポート(筒)を使って有効に外部に放射させる方式です。比較的小型のキャビネットでも、パンチのある低音再生が可能なので、流行の2ウェイスピーカにはこの形式が多いようです。ただし、チューニング周波数よりも低い低音は出に〈くなる傾向があります。能率は正式には出力音圧レベルといって、一定の出力(通常1W)を加えたユニットの正面1mの距離の音圧のことです。いわば、スピーカの燃費のようなものです。
dB(でしべる)という単位はちょっと難しいけど、電力や音圧、電圧などの比較に用いられる単位です。能率90dBと93dBのスピーカの音圧差は3dB、これはアンプの出力でいうと2倍の差に相当します。つまり出力50Wのアンプで鳴らした93dBのスピーカと、出力100Wで鳴らした90dBのスピーカとでは、ほぼ同じ音量が得られるということになります。つまり、極端に能率の低いスピーカと非力なアンプでは十分なパワーが得られず、反対に100dB近い高能率タイプのスピーカに大出力アンプを組み合わせても、ほとんどボリュームが上げられないだけということが分かるでしょう。スピーカや電気回路に交流電流(音楽信号も交流)を流した時に生ずる抵抗成分のことです。スピーカシステムでは、ユニットのボイスコイル、ネットワーク回路のコンデンサーやコイル、抵抗、さらにキャビネットの形式による影響を受けて音声信号の流れやすさが決定されます。その値は周波数によって変化するが、カタログ上の表記では最低共振周波数(f0=エフゼロ)よりも上の帯城の最低値がとられているようです。ベテランになると、連続して変化するインピーダンスカーブを見ただけで、キャビネットの方式やおおよそのサウンド傾向をつかむことも可能みたいです。
Q7 スピーカの最大入力60Wに出力120Wのアンプは使えない?
スピーカの最大入力というのは、そのスピーカに短時間なら加えることのできる電流の量を表しています。一方、アンプの出力表示は一定の条件下(歪み率など)で出せる最大出力のこと。前項で説明した能率にもよるけれど、通常の再生状態では、ほんの数Wかそれ以下しか出ていないのです。だから出力120Wのアンプはまったく問題ないです。むしろ、アンプのパワーに余裕がある分、再生音にもゆとりが出てくると思います。ちょうど、時速100kmで高速走行した時に、リッターカー(1000cc)とクラウンでは走り心地に差があるのと同じだと思えばいいでしょう。
Q8 フルレンジ、2ウェイ、3ウェイ…ユニットが多くなるほど高級?
1個のユニットで再生周波数帯域のすべてを受け持たせるのがフルレンジ。主に低音域と中・高音域とに分けて、2個のユニットを使用するのが2ウェイ。低音、中音、高音にそれぞれ専用ユニットを用いるのが3ウェイだ。
ユニットの数が多ければ高級とか、音がいいと考えるのは早合点というものです。それぞれにサウンド面での個性とメリットがあるのだから。フルレンジは文字通り、全ての帯域を1本で再生するので、帯域を分けるネットワークが要らず、原理的に音の継ぎ目がなく、スムーズな再生が可能です。しかし、重低音から超高域までをワイドにカバーするには多少の無理があります。ボーカルを中心とした音楽の主要帯域の再生は得意です。
2ウェイ、3ウェイとなると、それぞれに専用ユニットが用いられるので、再生帯域のワ
イド化は実現する。しかし、各帯域のつなぎ目をいかにスムーズにするか、音色をそろえるかがポイントになります。なお、低音用ユニットをウーファー、中音用ユニットをスコーカー、高音用ユニットをトゥイーターと呼びます。2ウェイ、3ウェイ構成のスピーカの場合、各ユニットが担当する再生帯域に応じて、入力された信号を振り分ける必要があります。これがネットワーク回路の第一の役目です。さらに、ユニット間で能率に差がある場合、これを同じレベルにそろえるという役目もあります。ネットワークに使用するパーツはコイル、コンデンサー、抵抗、アッテネーターなどですが、各パーツの音質への影響も大きいので、総合的に音色を整えて音をまとめていくことが大切です。
ネットワークで分割した周波数帯域は、各ユニットが再生する帯域にデコボコがなく、スムーズにつながらなければいけません。そのためには、ユニットの特性に合った帯域分割が必要となりますが、クロスオーバーというのはその分割された帯域の重なっている部分をいい、通常、その中心周波数で表示されます。また、再生帯域外の成分を減衰させるカーブには6dBオクターブ(1オクターブで音量が6dB下がる)や、12dBオクターブなどがあります。
これは主にトゥイーターの話です。高音域になると、音波の進み方も直線的になってくるので、指向性(リスニングエリア)を広くとるために、ドーム型の振動板を採用したドームトゥイーター使うケースが多いようです。その素材としては、メタル系からセラミック、シルク、バイオまで色々あります。これが固いか柔らかいかでハードかソフトに分けれます。かなり大雑把にいえば、ハード系はやはりシャキッとした音で、ソフト系のほうがややしなやかです。
ただし、スピーカはすべてエージング(鳴らし込み)でどんどん音が変わっていくものなので、両者ともに時間がたてば固さもとれて伸びやかな昔になるようです。机の上にチョコンと載るような小型スピーカで、大地を揺るがすような重低音を望むのはやはり無理があります。とはいえ、よくできたスピーカなら、低音の量感やアタックを巧みに再現することでそれらしい重低音感を表現してくれる機種はある。また、小型スピーカを壁際に設置したり、本棚の中に入れるなど、セッティングの工夫で低音の量感をアップさせることは可能です。
さらに、机の下などにスーパーウーファーを忍ばせて、重低音領域を補うことも有効です。ただし、アンバランスな低音増強は悪趣味となるので注意しましょう。既存のスピーカシステムの再生帯域を上下にグッと広げてくれるのがスーパーウーファーとスーパートゥイーター。特に重低音帯域に不満を感じる人は多いらしく、スーパーウーファーの需要は結構あるようです。しかし、こうしたアクセサリーは、使うことのメリットとデメリットをよく検討した上で、メリットのほうが多い時にのみ使うようにしましょう。
市販のスピーカシステムは、決して未完成な音のまま製品化されたりはしないものです。重低音と中音、高音は各メーカーやエンジニアのセンスでバランスよくまとめられているはずです。これに新たなユニットを加えるということは、完成されたそのバランスを崩すということにもなります。本来は、セッティングや使いこなしで改善できればベターなのだが、どうしてもユニットを加える場合は、そこからは本人の責任で行うことです。出てきた音はメーカや評論家の責任ではないことを自覚すべきでしょう。普通のスピーカをテレビのブラウン管の近くに置くと、画面の周辺が青や赤に着色されたり、画像が歪んだりすることがあります。これは、スピーカユニットのマグネット(強力な永久磁石)の磁界が影響を及ぼしているのです。防磁対応というのは、磁界が外に漏れないような対策のことです。具体的には、ユニットのマグネットの後ろに極性を引っ繰り返したマグネットを張り付けて、磁界をキャンセルする方法が一般的です。さらに万全を期して、マグネットを全てカバーで覆ってある製品もあります。最近の中・小型スピーカはほとんどすべてが防磁対応になっているようです。
キャビネット背面のケーブル端子に確実にコードを接続することは、最も基本的な使いこなしのポイントです。あらかじめケーブルをがっちりと取り付けたプラグを差し込むだけで、簡単に接続できるのがバナナプラグです。そのネーミングは中太りのプラグの形状からです。ケーブル端子は対応タイプが必要となります。ターミナル直結に比べて、接点が1ヵ所とプラグ部分の金属が増えることになるので、サウンド傾向を確かめてメリットがあれば使ってみるのがいいでしょう。
Q16 スピーカにクラシック向きとか、ジャズ向きとか、あるの?
トランペットがツーンとさえた音色でソロを吹き、シンバルはシャーンと余韻の切れ味がよく、ウッドベースは量感たっぷりに響いて、ピアノソロが甘く歌う…。ジャズファンを魅了するスピーカとはそんなイメージでしょうか?。いや、人の顔や個性が皆違うように、おそらく一人ひとりで音に対する好みや、理想のサウンドも異なっているに違いありません。要は、そのスピーカが自分の好みに合うか、合わないかの問題なのです。そこで、自分の求める「音」をはっきりつかむまで、いろいろなスピーカを試聴してみることが大切です。その時、何かのとっかかりとしてジャズ向きとかクラシック向きといった音楽ジャンルによる相性表現はあってもいいと思います。たぶん、こうした聴き手からの要求から出てきたレッテル付けなのでしょう。
自分の好きな音楽を楽しむためのスピーカ選びなら、こうしたレッテルを参考にしながらも、最終的には自分の耳と感性で判断するものです。Q17 英国生まれとか、アメリカ生まれとか、産地によって音が違う?
これもかなりイメージ先行気味の言葉だと思います。しかし、製品を作っているのは人間だし、その人間を育てるのはその土地の気候風土でもあるので、土地柄がスピーカのサウンドに影響することはあって当然とも思えます。”明ろくカラッとさわやかなウエストゴーストサウンド”や ”重厚でウエットなヨーロピアンサウンド”なんて、やっぱり音を聴いてみたくなります。ただし、海外ブランドのスピーカシステムのユニットが実は日本製だったり、海外製のユニットを集めて日本国内で組み立てたりというケースもあるので、やはりイメージだけではなく、実際の音を聴いて判断するのが良いでしょう。
これはケースバイケースです。サランネットはユニットを保護すると同時に、スピーカの顔でもあります。ところが、オーディオ誌の取材というと、ほとんどサランネットを外した状態で試聴されます。その理由は、ネットが一種のアコースティックフィルターとなり、高域を中心に音を曇らせるということと、ネットの枠が音の拡散に悪影響を及ぼす可能性があるということからです。
しかし、幾分、柔らかな音のほうが聴きやすいこともあるし、なによりも試聴室はともかくとして、一般家庭にはよほど仕上げに力を入れたシステムでもない限り、ユニットむき出しの景観はあまりいいとはいえません。もちろん、それがいいというマニアもいるのですが。
実際には、自分の耳でネット付きとネットなしの音を聴き比べて好みのほうを選ぶか、違いがなければネット付きでよしとするのはどうかな? いたずらっ子のいる家庭はもちろんネット付きになるだろうけど。Q19 1m数千円のスピーカケーブルはいい音を聴くのに必要ですか?
スピーカシステムとアンプをつなぐ生命線がスピーカケーブルだ。これなくしては、どんな高級スピーカも音が出ません。いわば、もうひとつのコンポともいえる重要な存在だけに、切り売りの専用ケーブルがかなりの種類売られています。それは1mあたり数百円から数千円まで様々です。片チャンネルあたり5mとして、左右で10m。安いもので2〜3000円、 高級ケーブルになれば何と5〜10万円もかかってしまいます。ペアで数万円の小型スピーカに、本体以上の高価なケーブルを使うことはないにしても、果たしてこのスピーカケーブル、値段に比例して音はよくなるのでしょうか?
ケーブルで音が変わる要因については「ケーブルについて」で説明しているが、迷えるマニアの心理として、より高いものに頼りたい、最高クラスにしておけばとりあえず安心…といった気持ちがあると思います。本来はケーブルも自分の耳で試聴して選べるといいのだが、よほど理解のある親身なショップでない限り無理です。そこで、とりあえずスピーカケーブルを取り替えてみたいという人はは、1mあたり1000円あたりまでで構造の複雑でないケーブルを選んでみてはどうでしょうか。一般的にケーブルは構造がシンプルなほど、余計な色付けのないニュートラルなサウンドを聴かせてくれるものです。スピーカシステムを購入すると、スピーカケーブルはほとんど付属しています。この付属ケーブルには二つの考え方があると思います。一つはとりあえずコンポを並べて、音を出すために付いてくる物。この場合は細めの平行ケーブルが使われるようです。このケーブルによる試聴はほとんどなされていない場合が多いので、きちんとセットしたら好みのケーブルを買って使ってください、という意味があります。
もう一つはそのスピーカに合わせて、というかそのケーブルで試聴してスピーカの音を確認した上で付属させている場合。これにはある程度のグレードのものが使われているので、具体的なサウンドチューニングの方向が定まるまでしばらくは聴き続けられるものが付属しています。(断面の丸いキャプタイヤケーブルが多い)
自分のケースがどちらかを判断した上で、例え前者であろうともあわてて交換する必要はありません。交換で必ず良くなるものとも限らないのですから。
スピーカから音が出る仕組みは説明しましたが、コーン紙が前に動いて音波を発生させる時、もう一方のスピーカユニットのコーン紙が同じように前へ動く状態を正相(同相)といい、反対に片チャンネルだけ後ろへ動く状態を逆相という。ステレオ再生の大前提は、モノラル(左右でまったく同じ)信号を入力した時に、音が両スピーカーの中央から聴こえることです。この状態が正相なのですが、もしケーブルの接続を間違えて逆相になっていると、モノラルの信号は中央にまとまることなく左右に散ってしまいます。特に低音はほとんど聴こえなくなる。
スピーカのケーブル端子の十一は、左右のユニットを同相で動作させるためのもの。色分けされたケーブルを使うと間違いにくくなります。
フルレンジスピーカと一部のマルチウェイスピーカを除いて、基本的には縦置きが基準と考えます。その理由を説明しましょう。通常、ソフトのステレオ音場は左右に広く展開しています。これは人間の目や耳が左右に並んで、上下よりも横方向にワイドな感覚をもつようになっているのと関係があります。ステレオ音場をマルチウェイのスピーカで再生する際、各ユニットが縦に並んでいるほうが、横方向に対する音源の位置は1ヵ所とみなせるので有利です。もし、スピーカを横倒しにしてしまうと、各ユニットが横に並んで、音源が複数に分散してしまうのだ。なお、横方向だけでなく、縦方向の音源も一致させるとなると.フルレンジか同軸2ウェイ型のスピーカということになる。
また、小型スピーカーの中には、ウーファーとトゥイーターの位置関係が上下逆転しているものがあるように、設置場所の関係でどうしても目線より高い位置にスピーカをセットしなければならない時は天地逆のセッティングもあり得ます。
日本家庭のオーディオ環境は、設置スペースをそう多く必要としない中・小型のブックシェルフスピーカが中心です。これをイスに座って聴くことを考えると、何らかの方法でスピーカーを床から持ち上げなくてはならないことになります。具体的な目安としては、スピーカーユニットの中心(あるいはトゥイーターの軸)が耳の高さにそろうぐらいを基準に、それよりもわずかに低いあたりがベストポジションとなることが多いようです。スピーカメーカーが専用スタンドとして用意しているものも、標準的なイスやソファに座ってちょうどいい高さにスピーカがくるように設計されているのです。
スタンドを使わない場合、机の上やサイドボード、出窓、本棚などに設置することで高さを確保することは可能です。しかし、それではスピーカー周りをフリーにして音の回り込みを自由にするという目的は達成されません。つまり、スタンドには高さを確保するだけでなく、サウンドコンディションをより良く保つというもう一つの役割もあるのです。できることなら、重くてがっちりとしたスタンドに設置して良い条件で楽しみたいものです。
スピーカから音が出ている時、コーンが振動しているだけでなく、キャビネット全体もビンビンと響いています。これは楽器同様、ある程度響かせることでスピーカの音作りに貢献しているともいえますが、底板からスタンドや床に振動が伝わると、音が歪んだり、余計な響きが付いたりします。これを効果的に抑えて、しかも好みのサウンドへとチュ−ニングできるのがインシュレータの役目です。
キャビネットの底板は太鼓と同じように、中央ほどよく振動して、周辺やコーナーはほとんど響かない。そこで、インシュレータを置くのはコーナーがベストです。置き方には3点支持と4点支持があるが、理論的にガタが出ないのは3点支持のほうです。なお、インシュレータの素材で微妙にサウンドが変化するので選択は慎重に選びましょう。引き締まった低音は鉛や鋳鉄系、ベースの弾力感はゴム系、ニュートラルな質感は木質系と思います。