Q1 アンプって音を増幅する機械でしょ?

 アンプ(Amplifer)というのは、直訳すれば確かに「増幅器」だけど、アンプの役割はそれだけではありません。
 アンプには、プリアンプとメインアンプがあり、プリメインアンプは両者が合体したものと考えましょう。メインアンプは、音楽信号をスピーカのドライブ(駆動)に十分なしベルにまで増幅するためのアンプです。それでは、ブリアンプの役割とは何でしょうか? アンプにはいろいろな機器が接続されますが、それらの中でどれをメインアンプに送るかを選択して切り替えるのが、まず第1の役目です。アンプにつながれたCDプレイヤーやカセットデッキ、FM/AMチューナーなどはどれもほぼ同じ信号の大きさで、高音から低音までほぼフラットな状態で入力されますが、レコードプレイヤーからの信号はそれらの1/20〜1/200と小さく、しかも高音を大きく、低音を小さくした状態(これをRIAA特性といいます)で送られてきます。そんな各信号を整えながら、適切な音量にコントロールすること。つまり「美容成形」と「交通整理」が、プリアンブの大きな役割です。

Q2 カタログでよく見る「MOS−FET」ってなに?

 FETとはField Effect Transistorの略です。日本語では電界効果型トランジスターといいます。MOSとはMetal Oxide Siliconの略で、酸化シリコンに金属を付けたものを絶縁体に使用したFETがMOS−FETです。現在アンプに使われているFETは大半がMOS−FETだけど、FETとしての動作に違いはありません。
 FETの特徴としては、一般のトランジスター(バイポーラ・トランジスター)に比べて、高周波特性に優れた素子で、音楽の高城の表現力に優れているということが一般的な評価となっています。
 一方のバイポーラ・トランジスター搭載のアンプは、普及クラスの製品を除いて、高周波特性に優れたLAPT(Linear Amplified Power Transistor)を採用したものが多いです。カタログに「マルチ・エミッタ・トランジスター採用」と書いてあれば、LAPTだと思っていいでしょう。以上のように、FETもバイポーラ・トランジスターも、どちらもオーディオ用として極めて優れた素子になっています。MOS−FETとかLAPTという文字を見かけたら、高品位素子を使っていると考えばよいのです。

Q3 A級増幅、B級増幅。どちらが高級なの?

 現在のアンプのほとんどは、交流信号の上側と下側を別々のトランジスターで作り出す「プッシュプル方式」を採用しています。
 A級動作というのは、上側と下側で同じ動作をして、それらを足し合わせることで、スピーカへの出力信号を作る方式です。
 B級動作というのは、片方のトランジスターで上側もう片方で下側の信号を作り、その2つを合わせて出力する方式です。
 動作の違いから、A級動作には信号のつなぎ目がなく、滑らかな出力が得られるのに対し、B級動作では上と下をつなぎ合わせて作った信号のつなぎ目に段差ができるのは避けられません。ところが、同じトランジスターを使っても、B級はA級より大きな出力が取れるのです。
 そこで開発されたのが、現在のアンプ回路の主軸となっているAB級動作です。B級動作の上側と下側を一部交差させることによって、つなぎ目部分の信号だけ足し合わせ(つまりその部分だけA級となる)、出力を大きくしながら段差を無くす回路なのです。

Q4 真空管のアンプってどんな音がするの?

 真空管アンプの音といえば「ふっくらと優しい」とか「ぶ厚く濃厚なサウンド」などと表現されることが多いようです。確かに昔はそういう感じでした。もちろん今でもそういう印象の真空管アンプはあるのですが、現代の技術で製作された最新モデルの中には、鮮烈なサウンドを持つものも多いです。一方、トランジスターアンプにもふっくらした音を聴かせるものがあり、こと音質面だけで見ると、真空管とトランジスターに際立った特徴は見つけにくいのです。しかし、両者ではっきりと違う部分もあります。それは低音の出方です。トランジスターなら最低城までフラットに鳴るスピーカでも、真空管ではややふくらんだ音になる傾向があります。

Q5 アンプのリアパネルにたくさんの端子。一体なにをつなぐの?

 アンプの端子には、丸い金具が突き出しているものと、裸の線をネジで締め込むものがあります。ネジで締めるものはスピーカの出力端子とアース端子です。スピーカケーブルは被覆をむいて芯線を直接つなぐものです。ほかの端子は、CDやチューナーなどをつなぐためのもので、これを一般にピンジャックといいます。入力端子は、大きく分けてラインとフォノがあります。ライン端子には、チューナー、AUX、テープ(IN)などが含まれています。これらはみんな、基本的に同じもので、例えばFMチューナーをAUXにつないでも、大抵の場合問題はありません。それに対してフォノ端子は、アナログプレイヤーを接続するための端子です。これだけは全く特性が違うので、つなぎ間違えないようにしましょう。またアース端子もアナログプレイヤ−の接続に使います。出力端子は、普通のアンプにはテープ(OUT)端子だけと思います。指定した信号を録音用に出力する端子で、ボリューム位置などは関係ありません。

Q6 プリメインアンプよりもセパレートのほうが音がいい?

 普通、プリメイン型のものよりセパレート型のほうが高級というイメージがあると思います。しかし、実際はそんなに単純なものではありません。そもそも、なぜセパレートアンプが存在しているのでしょうか?
 一番の理由は、プリとメインで扱う電力の大きさが全く違っていることでしょう。一般的なメインアンプが出力する電力は100W前後ですが、プリアンプの定格出力は約0.1Wです。その差は何と1000倍にもなるのです。電線の中を電流が流れるとそこから磁気が出て、近くにある電線にその磁気が及んで、そちらの電線に電流を生じさせる(これを電磁誘導と呼びます)。繊細な信号電流が流れているプリアンプ回路に、大電力の流れるメインアンプ部が隣接していると、これにより音が濁ってしまう可能性があります。また、電源トランスは振動するものなので、トランスの振動がプリの回路に及ほす影響も考えられます。
 ただし、最近のプリメインアンプは、電磁的にも機械的にもプリ部とメイン部がよく遮断されており、ほとんど問題は少なくなっています。それに、プリメインにはキャビネットや電源が共用できるから、お買い得な製品が多いのも魅力です。一方、セパレートの魅力は、プリとメインを自由に組み合わせることで、自分好みの音をより深く追求できるという点が大きいと思います。

Q7 出力100Wより120Wのほうが音が良いの?

 出力100Wと120Wの違いだけでほかの条件は全く等しいアンプ2台を並べて音を聴いてみると、音質のの差はほとんど感じられないはずです。例えば、出力50Wと100Wのアンプを比べても、出せる最大音は2倍しか違いません。それは、ボリュームの位置が8時から8時半になったぐらいの小さな差でしかありません。さらに、50Wのアンプに能率90dBのスピーカ、100Wのアンプに87dBのスピーカをつなぐと、その差はなくなってしまうのです。
 それでもなお、なぜ大出力アンプが製作されるのか? それは、特に音の強弱の差が大きく立ち上がりが鋭いソフトを圧倒的大音量で再生する時に、パワーのゆとりが何よりも効いてくるからです。”ここ一発”の勢いを再現することにこだわるマニアにとっては、出力もアンプ選びの大切な要素の1つです。

Q8 もし、接続を間違えたらアンプは壊れるの?

 現在のメーカー製アンプは、まずどんな接続をしてもすぐに壊れてしまうようなことはないと思います。しかし、壊れはしないものの、非常に危険な状態を招きかねない接続の間違いというものは存在します。
 アンプの接続で一番やってはいけないのは、スピーカ端子の十と一を直接つなぐこと。十同士も厳禁です。スピーカには交流抵抗があって、それによって電力が流れ過ぎないようにしているのですが、抵抗がゼロに近い銅線でそのままつないだら、たちまち猛烈な電流が流れてしまうからです。アンプには通常、保護回路が入っていて、そういう事故も未然に防止してくれるはずですが、それがなければトランジスターが火を噴くか、コンデンサーが爆発する恐れもあります。さらに、メイン・イン端子にCDプレイヤーなどの固定(FIXED)出力をつなぐことです。この端子はプリ部のボリュームが効きませんから、再生を始めた途端とてつもない大音量が飛び出して、アンプやスピーカが危険にさらされます。注意して下さい!!
 ほかには「危険な接続」と呼べるほどのものではありませんが、前にも書いた通り、フォノ入力にCDやチューナーを接続するのはよくありません。全く特性が違っているので、再生される音はひどいものになるし、フォノ系に比べてライン系は出力電圧が大きいので、長くそのままでしようしていると回路を傷める危険もあります。

Q9 金メッキ端子で本当に音が良くなるの?

 高級アンプでは、ほとんどが金メッキのピンジャックを採用しています。それはなぜかというと、金は安定度が高い、つまり錆びないからです。金属というものは錆びると抵抗値が増えるし半導体効果も生じるので、端子部分が錆びると音質に重大な影響を与えます。だから、金メッキの目的は、音を良くするというよりも、音質劣化を防ぐということなのです。
 ただし、いくら金が錆びに強いといっても、汚れるのは同じです。端子の汚れも音に少なからず影響を及ぼすので、金メッキであろうとなかろうと、年に何度かは端子を掃除することをお勧めします。全部の端子を掃除し終えたら、再生音が見違えるように輝き出すことでしょう。

Q10 BTL切り替えってなに?

 もともとは、真空管アンプの時代に出力トランスやコンデンサーを省略するために開発された方式なのですが、現在ではその使い方はまったく違っています。
 現在のBTLは1台のステレオメインアンプをモノラルメインとして使うものです。別名「バランス接続」という呼び方からも分かる通り、通常+から一に電流を流して駆動しているスピーカを、十と一の両方でドライブする方式です。それだけで出力が2倍になり、さらにこの接続はスピーカのインピーダンスが1/2になったのと等価だから、流れる電流はそのまた2倍になり、理論的には通常のステレオ時の4倍のパワーが稼げることになります。また、アンプとスピーカ間のノイズが無くなるというのも大きな魅力です。ぜいたくな使い方ですが利点も多い方式なのです。

Q11 アンプの定価3万円と30万円……音も10倍?

 一般に、普及クラスのアンプは楽々と持ち上がるくらいの重量なのに対して、高級なアンプになるほど重いものが多くなります。これは、まずスピーカに信号を送り出すための“力の源”、電源トランスとコンデンサーの大きさが第1の原因です。トランスは多かれ少なかれ振動するものだし、それに外来の振動も音質には有害ですから、当然シャーシも分厚い鉄板やアルミを使った重装備となります。さらに、トランジスターや抵抗器も、特性の揃った選別品やオーディオ専用の高品位素子を使えば、当然価格は上昇します。
 また、普及クラスでは一部の回路にICを用いたり、配線コードも製作しやすいように設計されていたりするものが多いのです。ところが高級機になると、ICよりも音質にこだわれる独立構成(ディスクリート)で全回路を構成したり、配線も引き回し易さより最短直結を狙うために、かえって作りにくくなったりと、理想を追うことで工程が複雑になり、結果、人件費もかかる場合が多いです。そして、普及クラスには月産1000台を達成するモデルが珍しくないのですが、高級アンプは1年でも1000台売るのは容易ではありません。生産・販売のスケール差も価格に反映されるのです。
 以上の条件を考慮に入れて、3万円と30万円のアンプの音を比べてみてどれくらいの差と感じるかは、人によって違います。ある人には例えられないほどの差になるだろうし、ある人には大した差には感じられないこともあります。普及アンプでは出せない高級アンプならではの音というのは確かにあるのですが、それを自分自身が必要としているか、また、音の入口から出口までアンプの実力が発揮出来るような構成なのかといった要因で、評価は変わってしまいます。それらを考慮した上で、なお高級アンプなのか、それとも普及モデルで十分なのか、それを決めるのもテクニックだと思います。

Q12 ソースダイレクトにパワーダイレクトって何?

 どちらもプリメインアンプのプリ部のトーンコントロール、サブソニック、ラウドネス、バランスコントロールなどの機能をパスして、CDなどからの入力信号をよりダイレクトにメインアンプに送り込むための機能ですが、ソースダイレクトとパワーダイレクトで、少し違う、使い方をしているメーカーもあります。ソースダイレクトというのは、普通のフォノやCD、AUXなどの端子から入力された信号を、フラットアンプ(入力信号をメインアンプのドライブに必要なレベルまで増幅する部分)と、ボリュームだけを通してメイン部に送り込むのに対して、パワーダイレクトには専用の入力端子を用意して、よりストレートな信号をメインアンプに送るようになっているモデルが多いようです。

Q13 サブソニックスイッチって何?

 「サブ」というのは「下の」という意味です。可聴帯域より下、つまり20Hz以下の超低城をカットする為のフィルターが「サブソニック・フィルター」だ。アナログレコードを再生した時、レコードの反りがカートリッジを揺さぶって、数Hzの信号として再生されたり、カートリッジを取り付けているトーンアームの共振で10〜15Hz近辺が持ち上がることがあります。この2つの要因で、特に大音量の再生時にウーファーを大きく動かして、スピーカーの耐入力がとれなくなってしまいます。こういう時に使うスイッチです。

Q14 トーンコントロールの役目は?

 アンプの周波数特性を調節するツマミのことですが、多くのモデルでは、低域(BASS)と高城(TREBLE)が独立して調整できるようになっていて、BASSは500Hz、TREBLEは2kHzぐらいから上下両端にかけて、±10dBほど増減させられる機能です。
 スピーカと部屋の相性、またはセッティング条件などによって、例えば低域が盛り上がったり不足したりと、再生特性に凹凸ができることがあります。こういう場合にはBASSツマミで特性をほぼフラットに追い込むことが可能です。また、高城がキツいと思えばTREBLEで高城を抑え、音がこもっているように感じたらTREBLEを上げてみるのも効果があります。

Q15 ラウンドネスって何?

 人間の耳は、音量が小さくなると周波数帯域の両端、特に低域側が特に聴こえにくくなります。そこで、小音量再生時に聴こえにくくなった高・低域を、耳の特性に合わせて持ち上げるのがラウドネス機能です。再生音量の大きさに応じて補正量を可変してくれるモデルもあります。

Q16 スピーカ出力にAとBが…これは何?

 A端子にはメインのスピーカ、B端子にはBGM用の壁掛けタイプなど、2組のスピーカを接続するための端子です。セレクタ−の「A+B」ポジションで2組いっぺんに鳴らす時には、アンプの背面に表示されているインピーダンス値を下回らないように注意してください。
 スピーカ2本を並列に接続した場合(A+Bがこれにあたる)の合成インピーダンスの計算法は1/(1/AΩ+1/BΩ)。8Ω十8Ωなら4Ω、8Ω+4Ωなら2.7Ω、8Ω十6Ωなら3.4Ωになります。小音量再生なら少しぐらい下回っても大丈夫ですが、メーカー保証外なので自己責任で行って下さい。

Q17 周波数特性、SN比、全高周波歪率。カタログに書いてあるこの意味は?

 カタログを飾るデータの中から代表的なものから、順に説明しましょう。
 定格出力というのは、表示されたインピーダンス(Ω)のスピーカを接続して、20Hz〜20kHzの範囲で、両チャンネル一緒に、連続的に出力できるスピーカ出力の大きさのことです。出力の測り方には色々あるけど、この定格出力が最も厳しいものです。これに対してミニコンポやAVアンプなどに使われている実用最大出力というのは、より緩やかな基準で測られたもので、おおよそ定格出力の1.5倍ほどになります。
 入力感度/インピーダンスの項は、まとめて表示されることが多いのですが、分けて説明します。入力感度とは、ボリュームを最大にした時にそのアンプの定格出力が得られる入力の大きさを表しています。インピーダンスとはこの場合は、アンプの入力回路の内部抵抗を表しています。接続したCDなどが、出力端子にそのインピーダンスの抵抗器をつないだのと同じ効果を持つわけです。
 SN比とは、アンプに限らず使われる用語ですが、アンプの場合は定格出力時の音の大きさとボリュームを最大にした時のノイズの大きさを比較した値のことです。フォノのMCで70dB、MMで80dB、ライン系で90dBを超えていれば、聴感上は問題ないと思います。
 全高調波歪率は、人力された信号の整数倍の偽信号である高調波(例えば1kHz人力時の2kHzが2次高調波、3kHzが3次、という具合)を全部足した時の大きさを、元の信号の大きさで割ったものです。パーセント(%)で表示されています。数値的には0.1%を下回っていれば問題ないと思います。
 周波数特性には、2つの表示方法があります。ひとつは可聴帯域の20Hz〜20kHzの間で、最大のレベル差を表示します。20Hz〜20kHz +0、−0.5dBというように表示されるものです。もうひとつは、一3dBまでの範囲でどれくらいの帯域が出力できるかというものです。5Hz〜100kHz +0、−3dBと表示されます。こちらの方を特に「出力帯域幅」と呼ぶこともあります。

Q18 カタログに無振動とか無共振設計と書かれていますが、音に影響するの?

 あるメーカーが実験したところによると、アンプをガタガタになるまで揺さぶっても、測定器で観測できるような歪みは表れないそうです。それでは振動と音とは関係がないのか? それが大ありです。振動は音を確実に劣化させます。
 ところで、アンプがどうして振動するのか? それは、別項でも説明したトランスなどの振動と、外部から拾う振動が主な原因です。一見静かに見えるアンプも、絶えず動いているのです。
 それでは、なぜ振動が音を悪くするのか? 金属のシャーシと、ケーブルや素子との間には、浮遊容量と呼ばれる微小なコンデンサー効果が働いています。また、ケーブル同士の間に電磁誘導効果があるというのは前述の通りです。浮遊容量や電磁誘導の効果は、静止状態ではさほど問題のない領域でも、シャーシやケーブル類が振動して、それぞれの距離が微妙にでも変化すると、それらのレベルも変動を受け、たちまち音質に悪影響を及ぼしてしまうのです。そこで、高級アンプではコストがかかるのを承知で、トランスの振動を封じ込める強靭なべースとか、分厚いアルミや制振鋼鈑を用いた丈夫なシャーシが採用されるのです。

Q19 リモコン付きと無しでは、どちらのアンプの音が良いの?

 非常に直接的なことをいうと、リモコン付きとリモコン無しのアンプを比べると、リモコンの分アンプそのもののコストが抑えられ、理論的にはリモコン無しの方が音がいいといえます。それに、アンプの構成が同じでも、リモコンというのはマイクロコンピューターが使われているから、それのノイズが音を汚す可能性もあります。しかし、最近はその辺のシールドがうまくいっているようで、「リモコンによる音質劣化が全くないことを確認した上で採用」とうたった高級アンプも登場しており、あまり気にしなくてもよくなったようです。

Q20 アンプのスイッチを入れてもすぐに音が出ないのはなぜ?

 それは「保護回路」が働いているからです。スイッチONですぐに音が出ないのは、スイッチを入れてからの数秒間、スピーカに悪影響を及ぼすDC(直流電流。ウーファー
が大きく動いたり、バチッというショックノイズが出たりする)が漏れる危険があるためです。
 また、出力が許容値を超えたりといった、アンプにとって危険な状況になると、自動的に入出力を遮断してアンプそのものも守ってくれています。いろんなものを影で守る縁の下の力持ち、そんな存在が保護回路なのです。

Q21 ボリュームノブや脚の重量が音に影響する?

 実は多いに影響します。多くのアンプではボリュームノブはボリューム本体(可変抵抗器)と直結されています。アンプに振動対策が重要だということは前項で説明しましたが、これはボリュームにも効いてくる。ノブが重いとボリュームの振動を抑え、音質がアップするのです。
 脚についても同じことがいえます。せっかくシャーシを丈夫にしても、脚が軽くて弱ければそこが振動の源となりますし、外部からの振動もはね返し切れません。脚もシャーシの一部と考えれば、重くて丈夫なものが音質向上に重要だと分かるはずです。

Q22 高級アンプのパワーメータ。あれって必要?

 確かに高級なモデルほど、パワーメータを採用している確率が高いように思います。音楽の抑揚に応じて揺れるメータの針(またはバー表示)を見ると、優雅な気分になるものです。しかし、こと音質という面から見ると、パワーメータには問題なしとはいえません。
 まず、リモコンの項と同じ考えでいえば、パワーメータの分、アンプ本体にかけられるコ
ストが下がってしまいます。高級アンプではコスト自体が大きいので、メータ分の費用など大したことではないのかもしれません、でも普及クラスのアンプにほとんどメータが装備されていないのは、このコストの問題が主要因だと思います。
 それに、パワーメータも電気回路だから、それが動くことによって多少なりとも電力を消費し、アンプの電源に悪影響を与えることも懸念されます。この問題は、現在のアンプではメータに専用の電源回路を設けたり、電磁的にほぼ完璧なシールドを施したりと、様々に対策されているので大丈夫でしょう。こうして考えてみると、パワーメータの音質への影響はさほど大きなものではないようです。それならば、自分が今どれくらいのパワーで音楽を聴いているかが分かるという要素だけでも、パワーメーターの存在価値はあるといえるのではないでしょうか。