地震予知と対策
(2007年)

 


(2007/12/10) 津波を10分前に予測 世界初のGPS活用

 国土交通省は2008年度から全地球測位システム(GPS)を利用して、近海で起きた地震による津波を予測するシステムを実用化する。沖合に浮かべたGPS付きのブイの上下動によって波を観測する仕組みで、最も早い場合には到達10分前には津波の発生が分かるという。同省によると世界初のシステムで、津波の観測デー夕を気象庁こ提供し、沿岸の防災に役立てる考えだ。

 同システムは、沿岸から沖合約20キロの海上に「GPS波浪計」と呼ばれる大型のブイを浮かべ、上下動によって秒単位で波を観測。波の高さや周期といった観測データに、海底の地形なども加えて計算すれば、沿岸に到達した場合の波の高さや形が分かるという。

 同省では、もともと港湾設計に利用するために同システムを開発。沿岸域で観測するより、沖合で観測する方が、より正確に港湾設備に加わる波のエネルギーが計算できるためだ。ただ防災目的でも利用できるため、気象庁へのデータ提供の仕組みを検討していた。

 GPS波浪計は今年春から設置を始め、現在は岩手県沖、宮城県沖、高知県沖の3カ所で試験稼働しており、それぞれの海域の波の傾向を調査中だ。今年度中にさらに東北地方の太平洋側3カ所と三重県沖、和歌山県沖にも設置する。

 気象庁によると、これまでは津波を予測する手段がなく、近海で地震が起きた場合、実際に発生するかどうか分からないまま津波警報を発していた。このため警報の信頼性が低く、避難しない沿岸住民も多かったという。しかし同システムは、確実に津波が予測できるとして、同庁地震火山部では「人的被害の軽減に役立つのでは」と期待している。

(mv)


(2007/11/30) 神大海事科学部 透析患者海上搬送で和歌山県などと協定

 阪神大震災の教訓を生かし、海上ルートで人工透析患者を搬送するシステム作りを進めている神戸大海事科学部(旧神戸商船大)が今年度内に和歌山、徳島両県と協定を結ぶことになった。すでに国以外に、兵庫、大阪両府県、神戸、大阪両市と連携しており、これで“環大阪湾ネットワーク”が完成する。登録している自治体広報船など34隻はすぐ稼働できるといい、同大学は28日、関係者を招いて成果を報告する。

 人工透析には、電気と大量の水が必要だが、阪神大震災ではライフラインが途絶。被災地の透析患者が命の危険にさらされた。

 日本透析医学会(東京)によると、大阪、兵庫、和歌山、徳島の4府県に在住する透析患者数は計約3万4000人。支援システムでは、大阪湾沿岸で災害が発生した場合、同大学が全地球測位システム(GPS)や衛星携帯電話を使って各自治体に連絡。治療可能な医療機関を探して患者を搬送する。

 登録船は、同大学の練習船「深江丸」や、国の海洋環境船「ドクター海洋」、大阪市の広報船「夢咲(ゆめさき)」など。12月に和歌山県、来年3月に徳島県とそれぞれ協定を結べば、登録船は約50隻に増える予定。

 同学部の井上欣三教授は「震災時、物資輸送で活躍した船を、人命救助に役立てようという発想から生まれたシステム。今後は民間の船会社にも協力を呼びかけ、態勢をより充実させたい」と話している。

(wx)


(2007/11/17) 熊野灘に巨大活断層 東南海地震で大津波誘発の恐れ

1944年(昭和19年)の東南海地震の際、高さ約9メートルもの津波を引き起こしたとみられる海底の巨大な活断層を、海洋研究開発機構が紀伊半島沖の熊野灘で発見した。同地震の震源となったプレート(岩板)の境界から上へ分岐する形で延び、長さ約50キロに達する。30年以内に60〜70%の確率で発生すると予測されている次の東南海地震でも活動する恐れが強い。

 同様の活断層は他の海域にもあるとみられ、津波の予測精度向上につながる成果。16日付の米科学誌サイエンス電子版に掲載される。

 同機構の倉本真一・計画推進グループリーダーによると、2006年4〜5月に熊野灘の海底約585平方キロについて、音波探査を実施。和歌山県新宮市の沖約100キロ付近から南東へ延びる長さ約50キロ、幅約100キロの断層を発見した。

 断層が海底に表れている部分には地滑りの跡などがあり、比較的近い時期に活動した活断層だったことが判明。断層の傾きが急なため、海底の地盤が大きく上下し、大きな津波を起こすことが分かった。

 東南海地震は、陸側のプレートと、その下に潜り込む海側のプレートの境界で起きる。しかし、津波の大きさについては、プレート境界の動きだけでは説明がつかず、別の断層の関与が推測されていた。

(kj)


(2007/11/06) 防災科学研究所 地震計の新しいプログラムの開発に成功

 生活震動識別 直下型にも対応
 気象庁の緊急地震速報の精度アップを目指す防災科学技術研究所(茨城県つくば市)は、受信端末に内蔵する地震計の新しいプログラムの開発に成功した。設置場所となる家庭やオフィスで生じる振動と地震波を正確に区別するプログラムで、震度3以上の地震なら99.9%という高い精度で識別が可能という。気象庁が提供するデータだけに頼らない「家庭観測所」としての活用が期待され、普及すれば速報の弱点だった直下型地震にも対応できる。

 防災科研の堀内茂木(しげき)研究参事は「気象庁の地震計とは比較にならないほど安価だが、プログラムの開発で識別精度の高さが実証できた。国内全世帯への普及も夢ではない」としている。

 この地震計は「ホームサイスモメータ」と呼ばれ、緊急地震速報に加え、端末でも震度2以上の地震で初期微動(P波)を検知して警報で知らせる。床に設置して、インターネットを介して地震計データを集約、解析してフィードバックする。

 端末価格は約7万円だが、既に緊急地震速報の受信端末を持っていれば、数千円の地震計を組み込むだけで使用できる。しかし地震波と屋内のドアの開閉や人の歩行などで生じる振動を区別する際に誤差が生じやすいために実用化できず、プログラムの改善が急務だった。

 堀内参事らのグループは、周波数や振幅の大きさ、揺れの長さなどで地震波かどうか判定するプログラムを開発。約4カ月間実施した屋内実験で「震度2以上」の揺れを2702回検知し、うち18回を地震波と判定。実際に起きた地震は6回だったが、他の12回は装置を人為的に揺らすなどした際の振動で、誤検知の回数はゼロだった。

 緊急地震速報は全国1000カ所の観測点で地震直後の初期微動をとらえ、震度や地震の規模を推定、震度5以上の揺れが予測される場合に大きな揺れ(S波)が来る前に受信端末で知らせるシステム。ただ現在の観測網は25キロに1カ所程度で、直下型地震や震源からの距離が30キ回以内では速報が間に合わない。

 同研究所は、ホームサイスモメータの普及で、直下型地震への備えを強化し、将来的には緊急地震速報の精度向上や速報力を高める「共助」の役割も想定。堀内参事は「地震計を家庭に置くという発想はこれまでなかった。普及すれば建物の耐震補強などさまざまな分野での活用が期待できる」と話している。


 知識の有無 避難に差
 10月から本格運用が始まった気象庁の緊急地震速報。その精度のアップを目指す新しいプログラムの開発に防災科学技術研究所が成功したが、そもそも「地震速報」は本当に避難に役立つのだろうか。仙台市で先月開かれた日本地震学会では、システムの効果や精度についての研究成果が相次いで発表された。

 「速報が実際に住民の退避行動に役立つのか、具体的な検証はこれまでなかった」。こう指摘したのは静岡大教育学部の小山真人教授。小山教授は震度7の東海地震を想定し、地震の揺れを疑似体験できる起震車を使った実験で、速報の有無が被験者の退避行動に与える影響を比較した。

 被験者58人のうち半数に速報システムの知識を事前に説明。残り半数には説明なしで乗車し、被験者が自分の身を守る適切な行動を取ったかを評価した。

 その結果、速報の受信後、「説明あり」の被験者の約3分の1が机の下に隠れるなど適切に行動した。これに対し、「説明なし」のグループで安全行動が取れたのは1人だけだった。小山教授は「速報は決して万能ではない。システムに関する正しい知識があってこそ効果を発揮するのでは」と話す。

 一方で、消防庁消防研究センターの座間信作さんらは7月に発生した新潟県中越沖地震(マグニチュード6.8)の速報で、死者数や倒壊家屋数などの予想被害と結果に「大きな差があった」とする調査結果を発表。東大地震研も「今のシステムでは、巨大地震の予測や強い揺れが襲った地域を特定するのは困難」と脆弱さを指摘、「最新の観測結果をデータベース化していくなどし、より精度の高い伝達ネットワークの構築を急ぐべきだ」と課題を挙げた。その意味でも、防災科研の今回のプログラム開発への注目度が高まっているという。

(qz)


(2007/11/02) 中央防災会議 近畿の内陸直下地震で死者42,000人を想定  

 政府の中央防災会議専門調査会(座長・土岐憲三立命館大教授)は1日、近畿、中部圏の内陸直下で起こり得る13の大地震の被害想定をまとめた。このうち、大阪府の「上町断層帯」(豊中市〜岸和田市)による地震では、兵庫など5府県で最大約42,000人の死亡を想定。従来の国の想定で最多だった東海、東南海、南海地震同時発生時の約24,700人を大幅に上回った。兵庫県については、「山崎断層帯主部」(三木市〜岡山県美作市)の地震で約7,500人が死亡するとし、県の試算を約2.5倍上回る被害を想定した。

 いずれも、死者は冬の午前5時、関東大震災時と同じ風速15メートルの風が吹くケースで最多となる。建物被害は火を使うことの多い冬の正午が最大だった。

 上町断層帯の地震は、マグニチュード(M)7.6と想定。建物の全壊被害は最大約97万棟。自治体別の棟数は公表していないが、被害は、1981年5月以前に旧耐震基準で建てられた木造住宅が密集する大阪市内を中心に西宮、宝塚市内に広がる。死者のうち、約34,000人(81%)が建物の倒壊が原因。兵庫県内の死者も約900人に上る。

 山崎断層帯主部のM8の地震では、死者はすべて兵庫県内から出て、建物倒壊で約6,200人、がけ崩れなどで約700人、火災で約600人。建物全壊、火災は姫路、加古川、三木市を中心に発生し、がけ崩れによる全壊は断層周辺だけでなく、神戸市内の六甲山地南側でも起きるとした。

 兵庫県内ではこのほか、阪神地域直下で未知の断層によるM6.9の地震が起きた場合、約900人が死亡すると想定した。

 同会議は今後、鉄道や道路など交通機関や経済への影響、道路の崩落などによる孤立集落の発生、重要文化財の被害も想定し、2008年度にも防災から復興までの地震対策大綱をまとめる。

 土岐座長は「被害の大きさは家屋の耐震不足が原因」とし「あすにも地震に巻き込まれるかも知れないと考え、一人一人が対策を急いでほしい」と呼び掛けた。

(la)


(2007/10/27) ラジオ関西などが緊急地震速報の受信用端末開発 

 ラジオ関西(神戸市)と兵庫県などは今月25日までに、災害時に放送用電波で特殊な信号音を流し、専用の受信端末を自動起動させ、気象庁の緊急地震速報や津波警報を音や光、文字で知らせる防災情報システムを開発した。広い範囲で受信できる中波ラジオの電波を利用した全国初の防災システムで、持ち運びできる個人向けのカード型端末も開発中。28日、国土交通省などが芦屋市で行う「地震津波防災総合訓練」で実証実験に取り組む。

 災害時には、電話回線や携帯電話の通信が集中し、つながりにくくなる現象が起こる。一方で同社は阪神・淡路大震災の際、社屋が全壊しながらも、がれきの中から生放送で被災者の安否情報や生活情報を伝え続けた。同社はこうした経験を踏まえ、県やコンピューター周辺機器製造「ヤノ電器」(神戸市)などと、災害時に強い中波ラジオの電波を生かした防災情報システムの開発を進めてきた。

 新システムは、気象庁から同社に緊急地震速報や津波警報が入ると、瞬時に放送で特殊な信号音を流し、電波が届く範囲にある端末を自動的に起動させる仕組み。「安全安心・ラジオQQシステム」と名付けられた。

 28日の実験では、芦屋市南芦屋浜などの訓練会場に、箱型で据え置きタイプの端末を設置。午前9時すぎ、放送で起動させた端末から「津波が来ます」との自動音声が流れ、赤色灯も点灯、津波警報を知らせる。端末は航行中の船舶の停止や水門の閉鎖などと連動させられるほか、個人が携帯できるようカード型に小型化したものも開発中。衛星利用測位システム(GPS)を組み込めば、特定エリアだけでの起動も可能になる。

 同社は「行政や企業に活用を呼び掛けるほか、カード型端末は数百円程度で来年春以降に販売したい」と話している。

(kf)


(2007/10/01) 兵庫県内9市町、緊急地震速報を独自に伝達

 10月1日に始まる気象庁の「緊急地震速報」で、兵庫県内41市町のうち9市町が、防災行政無線や地元ケーブルテレビを通じ住民への速報を予定していることが29日、分かっりました。自治体による速報は、住民がテレビなどを消しているときでも強制的に流れるため、効果が期待される。残り32市町では、伝達手段の未整備がネック、とする自治体もあり、ハード整備も今後課題となりそうです。

 速報を予定する9市町のうち、10月1日から対象限定を含め、情報を流す体制を整えたのは市川町と加古川、養父市。

 市川町は6月から気象庁のモデル実験に参加しており、人工衛星経由で受信した速報を防災行政無線で自動的に流します。震度5弱以上の揺れが推定される場合、各世帯の戸別受信機へ「大地震です」との放送を繰り返す。

 加古川市は2007年度中に、ケーブルテレビ経由の受信装置を市内102カ所の公共施設に設置します。既に小中学校4校で実験中。養父市は市役所で受信した速報を、ケーブルテレビの告知放送で住民に伝えます。

 このほか、神戸市は来年3月から、繁華街や広域避難場所、海岸など計63カ所にある防災行政無線の屋外スピーカー、消防団や自主防災組織の役員ら約2100世帯の戸別受信機を通じ、速報します。西脇、たつの、淡路市と多可、佐用町も、来年春ごろから2009年春にかけて順次、住民への速報を始める予定。

 「まず耐震化工事が済んでいない学校で受信できるようにしたい」(洲本市)など、検討中の市町もありますが、防災行政無線などの伝達手段が未整備で、費用面からめどが立たない自治体も多い状況です。

(la)


(2007/09/09) 東海地震 国の想定のM8を上回る?

 約100年周期で繰り返し起きている東海地震の震源域で、1000〜1500年に一度、極めて大規模な地盤の隆起を伴う地震が発生しているとみられることが、平川一臣・北海道大教授や藤原治・産業技術総合研究所研究員らの調査で分かった。近い将来に起きるとされる東海地震が、その地震に当たる可能性があり、国の想定より規模が大きくなるとの指摘もある。このたび神戸大で開かれていた日本第四紀学会で報告された。

 平川教授らの研究グルーブは2005〜2007年、想定東海地震の震源域直上にある静岡県御前崎市の8カ所で最大で深さ十数メートルのボーリングを実施。地層の変化や堆積物などを調べた。その結果、東海地震は8000年以上前から約100年周期で起きていたことが分かり、一部は古文書の記録と一致。地震ごとの地盤の隆起は多くが1メートル前後で、次の地震までに同じだけ沈下し、ほほ相殺されていた。

 ところが紀元前3000〜2800年ごろ、同2000〜1800年ごろ、同400年前後の3回の地震では、数メートルの隆起が推定された。未確認だが、さらにこの後にもう1回同様の地震が起きたとみられる。

 神戸大の石橋克彦教授(地震学)は「間隔から、次の東海地震がこのタイプに当たる可能性もある」と指摘。「そうなれば、マグニチュード8クラスの国の想定より、規模が大きいのはほほ確実。近くにある中部電力浜岡原発などの地震対策で、とりわけ考慮すべきだ」と訴えている。

(mv)


(2007/09/08) 「ひずみ集中帯」調査へ文科省概算要求

 政府・地震調査研究推進本部の事務局となっている文部科学省は、中越沖地震など日本海東縁部の「ひずみ集中帯」で地震が続発している事態を受け、海と陸を統合して地殻調査をするため、来年度予算概算要求に13億円を盛り込んだ。

 さらに、東海、東南海、南海地震が連動して発生する場合の予測研究に12億円、全国各地の地震や火山噴火、土砂崩れなどのリスク情報を総合的なデータベースにまとめ、中央防災会議や自治体が活用できるようにする「災害リスク情報プラットホーム」の構築に26億円を計上した。

 ひずみ集中帯では、中越沖地震の前に能登半島地震や中越地震が発生。柏崎刈羽、志賀原子力発電所の耐震安全性が改めて問われた。産業技術総合研究所や海洋研究開発機構、東京大、京都大などが協力し、陸上と海底に設置する地震計や船からの音波探査などで5年間かけて地殻構造を解明。震源断層モデルの構築を目指す。

 一方、海洋機構は東海、東南海、南海地震の震源域に海底地震計を展開するほか、最新鋭の科学掘削船「ちきゅう」が今月下旬から紀伊半島沖で掘削調査を始める。これらのデータに基づき、スーパーコンピューター「地球シミュレータ」を活用し、今後10年以内の連動発生予測研究を行う。災害リスク情報プラットホームは、防災科学技術研究所が中心となり、年間でデータベースと高精度なハザードマップを作成し、情報配信システムを開発する。

(jf)


(2007/09/07) 南海・東南海地震 神戸近辺に発生30〜40秒前に警報 

 南海地震と東南海地震が同時に発生した場合、気象庁の「緊急地震速報」が出てから大きく揺れ始めるまでに、最大震度6強が想定される淡路市で30〜35秒、震度6弱の神戸市沿岸部で35〜40秒程度と見込まれることがこのほど神戸海洋気象台の試算で分かった。気象台は「いざというとき、どう行動するかイメージして、速報を活用してほしい」としている。

 速報は地震の初期微動をとらえ、被害をもたらす大きな揺れ(主要動)が来る直前、対象地域を知らせる。同気象台によると、初期微動の検知から速報まで最短で6秒前後かかり、主要動は1秒間に4キロほど進むため、震源から約24キロ以上の地域であれば、速報が間に合う可能性が高い。

 想定地震で試算したところ、東南海地震と同時に、マグニチュード(M)8.5の南海地震が和歌山県の潮岬沖で起こった場合、震度5強以上が想定される兵庫県南部では、速報から主要動の到達まで25〜45秒あるという。震源が遠い地震での緊急地震速報の有効性を裏付けた。

 逆に震源が近い内陸直下の地震では、最も揺れが大きい地域で速報が間に合わない。最大でM8.0と想定される山崎断層地震の場合、断層の真上にあり震度7が予想される宍粟市は、速報前に大きく揺れる。姫路市も震度7で5秒以内の猶予しかなかった。阪神・淡路大震災でも、震源の北淡町(現・淡路市)や神戸市は速報が間に合わず、阪神地域も速報から5秒以内に大きな揺れが到達するという。気象台は「速報があっても、慌てず落ち着いて行動してほしい」としている。

 緊急地震速報
 気象庁が全国約1000カ所の観測網で地震の初期微動をとらえ、続く主要動が伝わる前に素早く解析。最大震度5弱以上の地震-と予測された場合、震度4以上の揺れに見舞われる地域を知らせる。すでに一部の鉄道会社が電車を緊急停止させるために導入。10月1日からは一般向けの速報が始まり、NHKや多くの民放がテレビ、ラジオで流す。

(uq)


(2007/09/04) 文科省、東海・東南海・南海地震「連動発生」研究へ

 政府の地震調査研究推進本部は、高速の計算処理能力を持つスーパーコンピューターなどを使い、東海・東南海・南海地震が連動して発生する可能性や被害規模を探る研究に乗り出す。文部科学省が来年度予算の概算要求で、新規事業として12億円を計上した。

 同本部地震調査委員会によると、三つの地震がそれぞれ今後30年以内に発生する確率は、東海地震=マグニチュード(M)8.0程度=が87%、東南海地震(M8.1前後)が60〜70%程度、南海地震(M8.4前後)が50%程度と高い。ただ、連動的な発生を想定した研究は、ほとんど行われていなかったという。

 研究は5カ年計画で、海洋研究開発機構のスーパーコンピューター「地球シミュレータ」(横浜市)などを使い、地震発生の時期や場所、揺れの強さ、被害の広がり具合、再び大地震が発生するのは何年後か、などを予測。復旧・救助体制を中心にした政策研究に生かす。連動のメカニズム解明にも取り組む。

 また、震源と想定される地域に海底地震計400台を設置するなどして震源構造の調査や地殻変動の観測をするほか、音波による地下構造の調査、津波計による詳細な津波観測を実施する。

 政府の中央防災会議が、三つの地震がほぼ同時に発生した場合を想定し、2003年に出した報告では、経済的被害は最大で81兆円(阪神・淡路大震災の約8倍)、死者は約25,000人(阪神・淡路大震災の約4倍)に達するという。

(ek)


(2007/08/02) 「活断層徹底調査を」 調査委員会初会合 地元から批判も
 
 新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発(同県柏崎市、刈羽村)が被災した問題で、総合資源エネルギー調査会の調査対策委員会(委員長・班目春樹東京大教授)の初会合がこのほど、経済産業省で開かれ、新潟県など地元の委員が「東電や国の審査を安全のよりどころにしていたが、信頼できない」として、徹底した調査を求めた。

 班目委員長は終了後、結論を得る時期を区切らずに、議論を進める方針を示した。

 会合では、地元自治体の委員が相次ぎ発言。柏崎市の若山正樹副市長は、地震の揺れが原発設計時の想定を大幅に上回ったことに「原発でおよそ考えられない、限界値を超える地震動を観測した」と指摘した。

 新潟県の斎田英司危機管理監も、不正が続々と発覚していた東電について「東電が『安心』と言うほど、地元は不安になる」と厳しく批判。昨年改定された国の原発耐震指針について「断層規模を正確に見通せるのか。再審査が行われない限り、地元の納得は得られない」と抜本的見直しを提案した。刈羽村の品田宏夫村長は「臨海学校が取りやめになるなど、ばかばかしい騒ぎだ」と訴えた。

 委員会は地震や原子力工学、危機管理の専門家のほか、地元新潟県、柏崎市、刈羽村の代表ら計20人で構成。耐震安全性評価や消防体制の見直し、機器の健全性を審議する作業班の設置、8月8日に委員らが現地調査することなどを決めた。

(tn)

(2007/07/31) JR西在来線に「緊急地震速報」 初期微動で列車停止

 JR西日本はこのほど、気象庁の「緊急地震速報」を受信し、必要に応じて無線で自動的に在来線の停止を手配する新システムを今年12月から順次導入すると発表した。気象庁の速報は、地震の初期微動(P波)を検知して地震情報を発信するもので、山陽新幹線ではすでに、独自に設置した10個の地震計でP波を検知し列車を止めるシステムを導入している。

 JR西の在来線は現在、管内約70カ所に設置した本震(S波)を検知する地震計の情報で、列車の停止を手配している。アーバン線区(京阪神主要路線)に限り、新幹線の地震計のうちの6個を使ってP波を活用しているが、計測地点が少ないため、停止手配が広範囲に及ぶ欠点があった。

 気象庁の速報の地震計は、JR西管内に約170カ所あり、必要最小限のきめ細かな停止手配が可能となる。受信端末は全指令所に設置する。JR西によると、これまでS波検知のみで対応していたアーバン線区以外では、停止の手配が数秒から十数秒早くなるという。

(uq)


(2007/07/30) 中越沖地震で2つの断層動く 柏崎市周辺の沈下に影響

 新潟県中越沖地震を引き起こした海底の断層について、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)はこのほど、主断層と、その南端付近から分岐した断層の二つが動いたとする解析結果をまとめた。

 現地調査や国土地理院の衛星利用測位システム(GPS)による観測データを基に分析した。

 同研究所によると、新潟県沖で北東〜南西方向に走る長さ約23キロ、幅約11キロの主断層が、陸側の地盤がせり上がる形で約1.5メートル移動。

 さらに主断層の南端付近から、主断層面と垂直に近い角度で浅瀬方向に延びる長さ約10キロ、幅約10キロの分岐断層が、海側がせり上がる形で約70センチ動いたとみられる。

 同研究所は、主断層の動きだけでは同県柏崎市周辺の地面が沈み込んだことを説明できないとして、余震の分布を参考に分岐断層の存在を推定したという。

(tn)


(2007/07/29) 中越沖地震 揺れの直前に速報受信

 新潟県中越沖地震で、大きな揺れの直前に予想震度を出す気象庁の「緊急地震速報」を、新潟や長野、関東地方の建設工事現場や病院などが揺れの約1分〜10秒前に受信、机の下に隠れたり、工事や電車を緊急停止したりする対策に生かしていたことがこのほど、同庁のまとめで分かった。

 速報は昨年8月から、一部事業者に先行提供されているが、用途は従業員の安全確保や、実証試験に参加している家庭への配信などに限定。一般への提供は当初計画の今春から10月にずれ込んでいる。

 新潟市では、2カ所が約10秒前に受信。速報を契約者に配信している「トータル・ライフサービスコミュニティー」(大阪)の端末を通じて知らされた実証試験に参加している新潟市の家庭では、屋外で遊んでいた子どもを屋内に呼び戻すなどし、けが人はなかった。

 長野県では、戸田建設の長野県松本市の建設工事現場で約30秒前に受信し、工事や重機の停止を指示。17秒前に受信した同県上田市の「上田市丸子地域自治センター」は、有線放送で家庭にも配信。各家庭では机の下に隠れたり、子どもを倒れやすい家具から離したりしたという。

 国立病院機構災害医療センター(東京都立川市)は52秒前に受信。エレベーターが最寄り階に自動停止し「地震が来ます。揺れに備えてください」と館内放送。

 1分〜30秒前に受け取った東急電鉄(東京)と東武鉄道(同)、相模鉄道(横浜)は電車を緊急停車させた。

(kf)


(2007/07/19) 中越沖地震 海底活断層が活動の可能性

 政府の地震調査委員会は17日、臨時会を開き、中越沖地震について、付近の長岡平野西縁断層帯の活動ではないと断定、海底で見つかっている活断層による可能性を指摘した。

 今回の地震は、日本海東縁部のひずみ集中帯の一部が関係したこと、断層の破壊が新潟県柏崎市周辺に大きな被害を与えやすい形だったことも示した。

 同委員会は、解析で推定された地震を起こした断層と長岡平野西縁断層帯の向きが一致しないため別のものとした。今回の断層の付近に複数の海底活断層が確認されていることから、これらのひとつが活動した可能性があるという。

 地震を起こした断層は、北東から南西方向に破壊が進んでいたことも解析でわかった。地震は、断層の破壊の進行方向で被害が大きくなることが知られており、南西の延長上にある柏崎市などで被害が大きくなったと考えられるという。

 指摘された日本海東縁部のひずみ集中帯は北海道の西沖から新潟沖に延び、南側は新潟〜神戸ひずみ集中帯につながる地震多発域。新潟地震(1964年)や日本海中部地震(1983年)、北海道南西沖地震(1993年)が起きている。

(nw)


(2007/07/18) 「緊急速報」 震度6強を16秒前に察知も運用延期で生かされず

 大きな揺れが到着する直前に予想震度を知らせる気象庁の「緊急地震速報」。16日の新潟県中越沖地震でもシステムは稼働し、震度6強だった長野県飯綱町では揺れが来る16秒前に、速報を出すことに成功した。

 しかし、今春から始まる予定だった、放送などを通じた一般市民への情報提供は「周知が不十分」として10月に延期。今回の地震で速報は、被災者には屈けられなかった。 

 緊急地震速報は、地震の初期微動をとらえ、大きな揺れが襲う前に予想震度を出す。2004年2月から試験運用が始まり、昨年8月からは、鉄道など一部事業者に先行提供されている。

 気象庁によると、今回の速報第1報は、地震波の検知から約3.8秒後。震源に近く、震度6強だった新潟県柏崎市や刈羽村では、速報は大きな揺れに間に合わなかったが、同じ6強で震源から離れた長野県飯綱町では16秒、新潟県長岡市では3秒の猶予があった。

 放送などを通じた提供を延期した理由について気象庁は「国民への周知が不十分で、情報を聞いたときに混乱が起きかねない」と説明。速報への理解を進めた上で、運用を始める計画だ。

 しかし東京女子大の広瀬弘忠教授(災害心理学)は「10秒以上あれば、被害の大きな軽減になる。完ぺきな運用はないのだから、まずは始めてみて、国民に慣れてもらい、情報の使い方を浸透させるべきだ」と指摘している。

(tn)


(2007/05/29) 企業など「地震速報」の発信に迷い パニック懸念

 地震の初期微動(P波)をとらえ、大きな揺れ(S波)が来る前に予想震度などを速報する気象庁の「緊急地震速報」が、今秋から放送などを通じて一般市民向けに提供される。世界に類のない新たな防災手段として注目されているが、「情報発信者」の企業や放送局によって「温度差」も目立つ。足並みがそろわない背景を探ると、認知度不足が引き起こすパニックヘの懸念が浮かび上がった。

 「地震が来ます。10、9、8・・・・・」。4月下旬、積水ハウスなどが横浜市に建設したマンションのモデルルームで、入居希望者向けに緊急地震速報の説明会が開かれた。

 速報はマンションの目玉サービスの一つ。気象庁から速報を受信し、震度3以上の揺れが想定されると、インターホンを通じてアナウンスと警報音を流す仕組みだ。マンションの総戸数は742戸。積水ハウスは「速報を導入したマンションとしては国内最大規模」と胸を張る。

 川崎市の男性会社員は「最も重視するのは建物の強度だが、プラスアルファの機能としては期待する」。一方で「いざカウントダウンが始まったらどうすればいいのか・・・」と話す。

 緊急地震速報は東海地震などの巨大地震の発生をとらえ、数十秒以内に速報する。気象庁は地震の被害を最小限に食い止める切り札と位置付ける。

 ゼネコンや鉄道会社、医療機関など導入済みの企業・団体数は3月末時点で44都道府県の443で、先行提供を始めた昨年8月に比べ10倍に増えた。「リスク管理だけでなく新たなビジネスチャンスととらえて導入した企業も増えているようだ」(気象庁地震火山部)。

 これに対し情報を受ける立場の一般市民の認知度は伸び悩む。能登半島地震の被災者ら約500人を対象にした民間企業の調査では「速報自体を知らない」または「名前しか分からない」と答えた人の割合が7割超。日本民間放送連盟の調査でも「(速報の)名前も内容も知っている」と答えた人は全体の23.6%どまりだ。

 こうした認知度不足を理由に導入に踏み切れない業界も。「速報の有用性は認めるが流すリスクもある」。日本百貨店協会の今井成介常務理事は困惑顔だ。不特定多数の人が訪れる百貨店など集客施設の場合、気象庁が想定する情報提供の方法は館内アナウンスなど。認知度が低い状態で放送すれば「対処法が浸透していない現状では、パニックになる恐れがある」と危倶する。

 放送局にはテレビやラジオ放送で速報を流す役割が期待される。だが気象庁と歩調を合わせて今秋から全国放送で緊急地震速報を流すのはNHKだけで、民放各社は態度を決めかねている。

 「最低でも国民の認知度が6〜7割ないと放送に踏み切るのは怖い」(TBS幹部)。「現状ではパニックや交通事故などを懸念して放送をためらわざるを得ない」(フジテレビジョン)。開始時期やどのように放送していくかは各社によって判断が分かれそうだ。

 田中淳・東洋大教授(災害心理学)は「速報を流す不安がパニックという抽象的な一言で片付けられ、具体的な議論がない」と警鐘を鳴らす。「全く新しい試みで一時的に摩擦が生まれるのは当然。一つ一つ対処法を検証し、制度を育てる意識が必要」と指摘している。

緊急地震速報
 気象庁は当初、2007年3月の本格運用開始を目指していた。しかし有識者の検討会で認知度不足との指摘があり、周知期間にあてるため一般向けへの情報提供を半年間先延ばしにした。同庁は秋までに独自に認知度を調査したり、NHKとシンポジウムを開くなどして広報していく考え。さらに企業の導入を促そうと、経済産業省などとの間で、速報の活用例を盛り込んだマニュアル作りも進めている。

(ps)


(2007/05/24) 熊本、択捉で地震減少 嵐の前の静けさ?

将来の地震予知につなげようと、気象庁が過去10年の全国の地震活動を分析した結果、北方領土の択捉島沖と熊本県西部でここ数年、一定規模以上の地震が減るなど活動が低下していることが分かった。

 これらの地域では過去に大規模な地震が発生しているが、大地震前には活動が低下するケースがあるといい、同庁地震予知情報課の鎌谷紀子調査官は「大地震につながるか分からないが、注意深く監視したい」としている。

 同課は、過去に大地震が起きた場所や活断層がある地域を中心に、気象庁や大学が設置した地震計の1997年以降の観測データを分析。地震の発生頻度などを調べた。

 1963年にマグニチュード(M)8.1の大地震があった択捉島南東沖では、年10回程度発生していたM4.5以上の地震が2004年ごろから減少。この規模の地震がまったく起きない期間が数カ月続いたが、2007年3月以降、M5級の地震が6回発生するなどやや活発化した。

 1889年に周辺でM6.3の地震があった熊本県西部の「布田川・日奈久断層帯」では2004年ごろから、1922年にM6・9と6・5の地震が立て続けに起きた同県・天草灘では〇五年ごろから、M1級も含め頻度が落ちでいるという。鎌谷調査宮は「今後、平常に戻る可能性もあり、さらにデータの蓄積が必要」と話している。

(jo)


(2007/05/05) 四国西部の小地震2種はプレート滑り

 四国西部でたびたび観測される「低周波地震」や「超低周波地震」などの体に感じない地震は、いずれも「ズロースリップ」と呼ばれる長期にわたるプレート(岩板)境界の滑り現象の一部であることを東京大学の井出哲講師(地震学)らの研究グループが突き止め、3日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

 陸側プレートの下にフィリピン海プレートが沈み込む四国西部では、近年、マグニチュード(M)1程度で継続時間1秒以下の低周波地震や、やや規模が大きく数十秒続く超低周波地震、M6〜7で数日から数カ月続くスロースリップが観測されている。

 グループは、2002年から2006年の観測結果を分析、三つの現象に、規模が継続時間と比例して大きくなる共通の法則があることを発見した。このことから、最も規模が小さい低周波地震が連続したものが超低周波地震、さらに時間をかけて広範囲に起こったのがズロースリップで、三つは一連の現象であると判断した。

 四国西部での滑り現象は、近くにある南海地震の震源域に影響を及ぼす。井出講師は「低周波地震を追跡すれば、南海地震発生への影響を評価できる」と話している。

(uq)


(2007/04/29) 東灘〜芦屋に新断層 直下型地震の恐れも

 阪神・淡路大震災で大きな被害を受けた神戸市東灘区の市街地から芦屋市の六甲山中にかけ、これまで未確認の断層が走っていることが26日までに、宮田隆夫・神戸大学大学院教授(構造地質学)らの調査で分かった。震災ではこの断層に沿うように六甲山中の斜面崩壊や市街地での亀裂が生じており、今後も直下型地震を起こす活断層の可能性があるという。

 宮田教授らは、同大学都市安全研究センターのプロジェクト研究で、地表では確認が難しい「伏在断層」を調査。神戸市東灘区の市街地で、地中に向けて電磁波を放射する「地中レーダー探査」で位置を特定した。その延長線上の六甲山中で、地表に露出した断層面を見つけた。

 明らかになった断層は、神戸市東灘区住吉本町付近から北東方向に延び、芦屋市剣谷付近の六甲山中までの約5キロ。断層が通る地名から「八幡谷断層」との仮称を付けた。

 地表に露出した断層面は震災以前にずれた跡で、活動度については、さらに詳しい調査が必要という。ただ、震災では断層周辺で斜面崩壊や亀裂が生じており、富田教授は「地表付近では大きくずれた跡はないが、地下深くで動いた可能性がある」と分析する。

 さらに八幡谷断層が、神戸市兵庫区の和田岬沖から灘区南部に至る「和田岬断層」につながる可能性も指摘。同断層は全体の長さが約39キロに及ぶ「大阪湾断層帯」の一部で、「六甲山の断層帯と大阪湾の断層帯がどうつながっているのかが分かれば、将来起こり得る地震の規模も予測しやすい」という。

 大阪府北西部から淡路島にかけては、活断層が集中する「六甲・淡路島断層帯」の存在が知られ、その一部が動いて震災が発生した。しかし、神戸・阪神地域では、大震災の際、淡路市の野島断層のように地表面に明らかな断層が現れておらず、どの断層が動いたか、いまなお特定されていない。

 伏在断層
 断層は、地下の地層や岩石が過去にずれ動いた跡。伏在断層は、新しい堆積物に厚く覆われ、平野部の地下に隠れている断層をいう。地表では確認が難しく、反射法地震探査や地中レーダー探査などで発見される。繰り返し地震を起こす活断層が含まれることもある。

(kf)


(2007/04/20) 30年以内に震度6弱以上 近畿などで発生確率が上昇

 政府の地震調査研究推進本部は18日、全国各地で地震による強い揺れがどの程度の確率で起きるかを示した「地震動予測地図」の平成19年版を発表した。今後30年以内に震度6弱以上の揺れが起きる確率は、昨年9月発表の18年版に比べ、
南海、東南海両地震の影響が想定される東海から近畿、四国で上昇した。

 同地図は、海溝型地震や国内の主ね活断層などを考慮して、揺れが起きる確率を1キロ四方の区域、ごとに算出。平成17年3月に初公表され、最新のデータを加味して毎年更新されている。

 今回の更新では、震源が深い地震で震源地から離れた地域で揺れが大きくなる現象(異常震域)を補正する係数を、これまでの東日本だけでなく、中国地方以西の地域にも適用。この影響で、18年版に比べ那覇で5.2ポイント僧の15.4%に確率が上昇した。

 一方、九州西部や山口県西部では、確率の減少が見られた。また、個別の活断層や海溝型地震の発生確率の最新の評価が反映された結果、北海道東部、新潟県北部、
長野県西部などでも確率が上昇した。

 北海道の支庁と都道府県庁の所在地別にみると、発生確率が最も高いのは静岡で86.5%(0.2ポイント増)。次いで甲府82.0%(0.2ポイント増)、津61.3%(1.4ポイント増)の順となった。

 同本部は「発生確率の低い能登半島でも地震が起きており、絶対に起きないとはいえない。そうした地域にも、防災意識を持ってもらうよう取り組んでいきたい」と話している。地図を含む報告書は、同本部の下記のホームページで公開されている。
    http://www.jishin.go.jp/


(jf)


(2007/04/15) 超高層マンション 南海地震などの「長周期地震動」に共振 

 建築分野の規制緩和や都心回帰ブームを背景に、都市郡で超高層マンションが急増レている。しかし、近い将来の発生が予測される南海地震では、超高層ピルが「長周期地震動」に共振して、人々が体験したことのない大きな揺れが起きる恐れがある。そこで兵庫県などは、三木市の実大三次元震動破壊実験施設(Eーディフェンス)で、想定される南海地震の揺れを人工的に起こす実験を初めて実施。超高層への影響を調べた。

 実験は、神戸市中央区の東遊園地に地上100メートルの30階建てビルがあると仮定。県の研究チームの川辺秀憲・京大原子炉実験所助教授らが、南海地震による地震動を計算で予測した。それによると、地震の規模はマグニチュードは8.4で、東遊園地から167キロ離れた和歌山沖で断層の破壊が始まり、四国沖にかけ
て破壊が進む。東遊園地には発生から約50秒に地震動が到達する。

 E-ディフェンスでは、ビルの最上階部分を鉄骨2階建てで再現。最近は、揺れそのものを低減させる「免震」「制震」構造を採用した超高層ビルも多いが、あえて一般的な耐震構造とした。

 予測を基に揺らした結果、震度は5強程度だったが、1回の揺れの長さが約3秒間、揺れの幅は最大194センチ(片幅97センチ)となり、全体の継続時間も約250秒(4分強)に及んだ。

 ビルの構造に大きな被害はなかったが、室内は船が激しく揺れたような状態となり、キャスター付きのいすに座ったマネキンは、部屋の端から端まで滑っていった。固定していなかった家具や家電製品はことごとく転倒し、べッドに寝ていたマネキンを大きなたんすが直撃した。さらに、固定方法の弱点も次々と明らかになった。

 本棚とつり天井との間で支えていた突っ張り棒は、つり天井が揺れることで外れて落下。コンクリートなどしっかりとした天井との間に使い、家具と床の間に転倒防止板を併用すれば効果が出た。

 書庫と間仕切りの間を固定していたL字型金具は、間仕切りが薄い石こうボード製だったため、ねじが抜けてしまった。一方で厚い鉄骨の下地に通していたねじは抜けなかった。冷蔵庫と壁の固定に使った転倒防止ベルトは、ベルトの長さを調整するプラスチック製の固定部品が破損して外れた。金属製の部品なら、外れることはなかった。

 研究チームの大西一嘉・神戸大工学部准教授は「阪神・淡路大震災でも、直接死の約1割は家具などの転倒が死因、と推定される。居住者は家具固定や寝る場所にもっと注意を払うべきだ。行政の啓発や経費の支援に加え、ビルの造り手側も固定しやすい構造や間取りにすることが求められる」と指摘する。

MAT : 30階建て、100メートルの高さといえばMATが住むマンションとほぼ同じ。それなりの覚悟と備えが必要なので、家具の倒壊を防ぐために下の写真のような突っ張り棒を設けている。幸い天井は吊り天井ではなくコンクリート地のようなのでしっかり固定されている。地震発生時の怪我を防ぐためには最低この程度の備えは必要であろう。
                 

(jo)


(2007/04/04) 近畿・四国の公立小中校 南海地震などで学校の安全早急に

 東南海・南海地震で津波被害の危険がある近畿と四国の公立小中学校約50校のうち、地震発生時に「建物が完全に壊れる」「かなり壊れる」と考えている学校が6割に上ることが、神戸大学の学生の調査で分かりました。耐震性を備えた校舎や体育館は半数ほどで、「地震が発生すれば子どもの命に危険が及ぶ」とした学校も3割以上ありました。

 調査したのは、工学部4年の古市遥子さん(大阪市在住)。昨年12月、津波浸水予測図などから被害が予想される和歌山、高知、兵庫、大阪など6府県の125校に調査票を郵送。53校から回答がありました。

 学校の教室、体育館など計156棟について調べると、1981年以前に建設された旧耐震基準の建物は88棟(45%)でした。

 旧耐震基準の建物で、耐震診断の状況などについて回答があった73棟のうち診断で『耐震性あり』とされたのは25%。新基準の建物と合わせ、一定の耐震性が確保されているのは全体の55%にとどまっています。

 回答した53校のうち、耐震化や耐震診断を教育委員会に「何度も要望している」としたのは28%。「一度要望した」と合わせると45%に上りました。

 地震で建物が「完全に壊れる」と考えているのは4校。「かなり壊れる」の28校と合わせ全体の60%に達しました。

 「児童・生徒の命に危険が及ぶ」が34%、「避難が困難になるようなけがをする」が25%あり、教育現場の安全性に強い危機感を持っている学校が多い。

 津波からの避難開始は、「揺れが収まってすぐ」が85%で最多。しかし「津波警報が出てから」「避難指示が出てから」も合わせて13%あり、「情報待ち」の学校もみられました。

 古市さんは「地震や津波の危険性に対する認識はあっても、日常の業務が多忙で対策ができない学校も多かった。国や各教育委員会が率先して対策を進めることが必要と思う」と話しています。

(la)


(2007/04/02) 東南海・南海地震発生時 応援部隊最大12万人

 政府はこのほど、中央防災会議で、最悪で死者18,000人を想定している東南海・南海地震が同時発生した際、愛知、静岡、高知など19府県へ被災者救助や消火活動に当たる陸上自衛官、警察官、消防士らで構成する最大12万1950人の応援部隊を発生4日以内に派遣することを盛り込んだ応急対策の活動計画を決めた。政府が同地震対策で応援部隊の具体的な規模を示すのは初めて。

 計画では、派遣人員は愛知20,030人、静岡17,000人、高知13,770人、和歌山11,290人、三重10,370人、徳島4,390人など。長野、大阪、大分など13府県には計2,300人を派遣、残り42,800人は事前に派遣先を決めず適宜移動させる。また人命救助の成否を分けるとされる発生2日以内に全体のうち約46,000人を派遣する。

 医療では重傷者を被災地外へ移す広域医療搬送計画について対象患者数を愛知、高知など6県で584人と想定。専門訓練を受けた217の災害派遣医療チーム(DMAT)が必要としたが、派遣可能は109チームにとどまり、残りは一般の医師、看護師らで補う。

 ただ計画は高速道路などの幹線道路が使えることが前提となっており、実際に4日間でどれだけの部隊が現地入りできるかは不透明だ。

(rt)


(2007/03/31) 南海地震を想定し「Eーデイフェンス」長周期地震動実験 

 近い将来、発生が懸念される南海地震を想定して、独立行政法人防災科学技術研究所の兵庫耐震工学研究センター(兵庫県三木市)にある世界最大の実大3次元震動破壊実験施設「Eーディフェンス」で29日、同地震で予測される長周期地震動が高層建物内部に与える被害状況を調べる実験があった。

 長周期地震動は長時間ゆっくりと揺れる震動。施設には高さ約100メートルの高層建物の最上階にあたる30階とその下の29階に見立てた2階建てのオフィスと住宅を再現。約250秒間、震度5強の震動を加えたところ、最大で約2メートルの揺れ幅があった。ピークの強い揺れは約100秒続いたが、同センターの梶原浩一主任研究員は「もし中に人がいたら、この100秒間は厳しい船酔いと同じような状況にさらされることになる」と話した。

 外壁への目立った損傷はなかったが、固定されていない食器棚や電化製品は揺れに耐えられず室内に散乱、家具や電化製品などを壁や天井に固定することの重要性が再確認された。梶原研究員は「普段から長周期地震動に対する心構えが必要」と話していた。

(rt)


(2007/03/09) 兵庫県、29日に長周期地震動で全国初の実験

 東南海・南海地震などによる建築物の被害軽減を図るため、兵庫県は防災科学技術研究所と共同で今月29日、激しい横揺れが予想される長周期地震動による超高層建物の家具や外壁への影響を検証します。同研究所・兵庫耐震工学研究センター(三木市)の実大三次元振動破壊実験施設「Eーディフェンス」での実施で、長周期地震動による実験は国内初めて。兵庫県では一般見学者を募集しています。

 振動台に組んだ積層ゴムの上に大重量のコンクリート板を置き、軽量鉄骨コンクリート造り2階建てで1フロアの床面積は約80平方メートルの建物を設置。県内の超高層ビル(100メートル以上)40棟の構造標準をもとに29〜30階部分を再現します。

 1フロアを住宅と事務所の各仕様こ分け、住宅部分の外壁は軽量コンクリート、事務所部分はアルミ製カーテンウォールとした。2階の住宅内は食器棚や照明器具など標準的な住居内を再現。事務所内は事務ロッカーやパソコンなどを置く。1階は天井材の落下度合いや市販の耐震グッズを取り付けたピアノの対策効果を調べます。

 M8.4の南海地震を想定し、コンピューターでシミュレーションした加速度を再現して長周期地震動(地震波)を建物に与える。場所は地盤がやや緩いとされる神戸市中央区の東遊園地を想定した。また翌30日には阪神・淡路大震災の再現実験を実施、直下型地震と長周期地震動とを比較する。

 実験の見学希望者は、往復はがきに住所、名前または団体名(代表者の名前)、見学人数、使用交通機関を記入し、16日までに下記へ申し込みます。申し込み多数の場合は抽選となります。

 〒673−0515 三木市志染町三津田字西亀屋1501の21 防災科学技術研究所 兵庫耐震工学研究センター総務室

(qz)


(2007/02/05) 和歌山市が3地震対策でアルミ製寝袋備蓄

 近い将来、発生するとされる東海・東南海・南海地震に備え、和歌山市は、3地震が同時発生すれば避難所生活を強いられると予想される最大約24,000人分のアルミ製寝袋を、平成10年度までに備蓄する方針を決めた。アルミ製寝袋は保温性が高く、たためばコンパクトで保管スペースも少なくて済むなどの利点がある。和歌山市によると自治体が防災用に備蓄するのは全国でも珍しいという。

 市総台防災課によると、アルミ製寝袋は広げると縦2メートル、横1メートルだが、備蓄時などたたむと縦13センチ、横7センチほどのケースに収まり、重さも80グラムと軽い。毛布と比べて保管スペースは約50分の1、価格も5分の1程度の1000円程度。毛布1枚と合わせて使うと、毛布を数枚重ねるより保温力があるという。

 和歌山市では倉庫3カ所のほか、避難所となる小中学校などに毛布などを備蓄しているが、スペースが限られている。アルミ製寝袋で、保管場所の確保や防災対策の早期化を図りたい意向だ。

 同課職員が昨年1月、市消防局庁舎の屋上で実験。気温5度の中、下着だけで約1時間、アルミ製寝袋で過ごしたが、ほとんど寒さを感じなかったという。同課は「保温性に優れ、保管場所など効率性も高い。全国のモデルケースにしたい」としている。

 同市では、3地震が同時発生した場台、沿岸部に最大3.8メートルの津波が押し寄せ、家屋など約11,600棟が全半壊すると予想されている。

(rq)


(2007/01/19) 神戸沿岸部、東南海・南海地震で阪神・淡路大震災級の液状化被害を予測

 東南海・南海地震が将来、同時発生した場合、震度5強程度と予想される神戸市沿岸部が、最悪のケースで阪神・淡路大震災と同程度の液状化被害に見舞われる恐れのあることが18日、「神戸の地盤・減災研究会研究委員会」(委員長・沖村孝神戸大教授)のシミュレーションで明らかになった。

 震度7の阪神・淡路に比べ揺れは小さいが、ゆっくりとした揺れが長く続くことから、被害が大きくなるという。神戸市内で開かれたセミナーで、同委員会の肥後陽介・京都大大学院助手が報告した。

 同委員会は、同市沿岸部の一地点にある護岸や防潮堤の地盤が、阪神・淡路による液状化で水平にずれる「側方流動」を起こした仕組みを推定。それを基にした計算式に、東南海・南海地震の揺れの指標となる想定加速度163ガルや、250秒とされる揺れの継続時間を入力した。

 その結果、2カ所の護岸のうち阪神・淡路で85センチずれた1カ所が、東南海・南海地震でも水平に93センチ移動すると推定された。もう一カ所は阪神・淡路の63センチに比べ23センチと大幅に小さく、阪神・淡路での測量結果がない防潮堤1カ所は21センチのずれ。いずれも、揺れ始めから約1分で液状化するという。構造物に接するなど排水性の悪い場所では、より被害が大きくなる恐れがある。

 同市は、すでに神戸空港などで液状化しにくい埋め立て工法を導入。津波による浸水についても護岸などが機能しない場合を想定し、想定区域の住民に早期避難を呼びかけている。

 沖村委員長は「最悪のケースを考えて津波に備える必要性が裏付けられた」とする。

(dr)


(2007/01/18) 100年内の噴火可能性を検討 予知連が会合

 今後、おおむね100年以内に噴火する可能性がある火山をリストアップし、防災に生かそうと、火山噴火予知連絡会の「火山活動評価ワーキンググループ(WG)」(座長・石原和弘京大防災研究所教授)の初会合が15日、気象庁で開かれた。

 日本には海底火山を含め予知運が定める108の活火山がある。WGでは来春をめどに、噴火可能性の高さや、可能性が高い場合は想定規模や噴火シナリオを過去の活動履歴、最新の観測結果などから整理し取りまとめる方針。

 初会合では、噴火可能性の検討と並行して、活動度が高い樽前山(北海道)と浅間山(群馬、長野県)については、気象庁が作成を進めている噴火シナリオを点検することを申し合わせた。

(tn)


(2007/01/17) 木造住宅 震度6強で8割倒壊 早急な改修呼びかけ

日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)は15日、同組合加盟の工務店などが昨年4〜11月に耐震診断を実施した2,364戸の1戸建て木造住宅のうち、83%が震度6強クラスの大地震で倒壊する可能性が「ある」、もしくは「高い」と判断されたとの調査結果をまとめた。

 木耐協は2000年から調査を実施、このところ同様の傾向を示している。国の推計でも耐震性が不十分な1戸建て木造住宅は全国で1千万戸に上るとされ、木耐協は早急な診断と改修を呼び掛けている。

 住宅所有者の希望に基づいて診断を実施したのは、1950〜2000年に着工された住宅で、平均築年数は24年。震度6強でも倒壊しないよう壁の割合を増やすなど耐震基準を強化した1981年の前後で比較すると、大地震で倒壊の可能性が「ある」「高い」の合計は、旧基準が96%、新基準が76%だった。

 新基準でも耐震性に問題がある割合が高いのは、2000年に壁などの一部基準がさらに強化されたためとみられる。

(mv)


(2007/01/15) 緊急地震速報がパニック誘発 避難対策急務

 「あと30秒で震度6強の揺れが来ます」。大きな揺れの前に予想震度を伝える「緊急地震速報」を聞いた場合、デパート、地下街、コンビニエンスストアでは、3割以上の大学生が「急いで出口に向かう」と考えていることがこのほど、日本大学が行った意識調査で分かった。外に飛び出して事故に遭ったり、出口で将棋倒しになる危険性もあり、調査した同大学の中森広道助教授(災害社会学)は「不特定多数の人が集まる施設では、情報を受け取ったらどう対応すべきかを、事前に考えておくべき」と提言している。

 調査は昨年11月下旬、同大学生を対象に行い、359人から回答を得た。

 休み時間の教室、コンビニ、地下街、ラッシュ時の駅のホーム、デパート、劇場・映画館・ホールの客席 など、主に不特定多数の人が集まる場所を想定し、「あと30秒」と「あと10秒」の2パターンの速報を聞いた場合の対応について質問した。

 「あと30秒」で「急いで出口に向かう」と回答したのは、コンビニ37.4%、デパート30.2%、地下街33.2%など。「あと10秒」になると、「出口に向かう」は大半の施設で10%前後に減少したが、コンビニでは31.6%までしか減らなかった。

 コンビニで「あと10秒」でも出口へ向かう理由としては、「品物が落下したり飛んできたりして危険だから」が最も多かった。

 この結果について、中森助教授は「せっかくの速報もパニックになったり、ぼうぜんとして生かすことができなければ意味がない。それぞれの施設が具体的な対応を考えた上で、誰にでも分かるように周知する必要がある」としている。

 同速報は、気象庁が今秋から本格運用を予定している。

緊急地震速報 
 地震が発生した場合、気象庁が震源に近い地震計で初期微動(P波)をとらえて解析、主要動(S波)が到達する前に放送などで予想震度や何秒で到達するかを伝える仕組み。紀伊半島沖を震源とする南海地震の場合、神戸では約30秒前に速報を出せる見込み。鉄道会社や製造会社などの特定機関を対象に、昨年8月から先行運用を開始した。

(dr)


(2007/01/08) 次の南海地震 350年周期の巨大津波発生の恐れ

 100〜150年周期で発生している四国沖を震源域とする南海地震は、350年程度に1回の割合で、巨大津波を起こしている可能性が高いことが、津波による堆積層を調べていた高知大などの研究チームの調査で分かった。前回、大型・津波が起きたのは1707年の宝永地震。研究チームは「350年周期で巨大型が発生するならば、今世紀半はにも発生が懸念されている次の南海地震がそれにあたり、注意が必要」としている。政府はすでに、南海地震対策に取り組んでいるが、より津波対策にも注意を払う必要がありそうだ。

 研究チームは、平成16年秋から大分県佐伯市にある間越(はざこ)龍神池でポーリングを行い、約3500年にあたる深さ約5メートル分の地層を採取。堆積物を分析し、津波でできた7つの砂層があるのを確認した。

 豊後水道に面した龍神池は、水路で海とつながっているが、海面から高い位置こあるため、大きな津波が発生し、海水が逆流しない限り、海の砂は入り込まない位置こある。

 さらに、南海地震の震源域から距離があり、普通の規模の南海地震では津波の跡が記録されない、という。

 砂層の年代測定の結果、最も上の砂層は、1707年に東海、東南海地震と同時に発生し、2万人以上が死亡したとされる宝永地震と時期が一致。その下の2つの砂層も、1361年(正平)、684年(天武)の南海地震と一致した。残る4つはそれよりも古く、文献に記されていない地震とみられる。

 南海地震は、東隣に震源域がある東南海地震と連動して起こることが知られており、1946年の昭和南海地震は東南海地震の発生から2年後に発生。1854年の安政南海地震の場合は32時間後だった。その前の宝永地震は、南海と東南海、東海という3つの地震の震源域が同時に動いた巨大地震だったとされる。

 龍神池からは、東海、東南海地震と発生時期がずれた安政南海地震や昭和南海地震に該当する堆積物は確認されなかった。

 砂層の周期は350〜650年と幅があったが、調査にあたった高知大の松岡裕美助教授は「津波の砂層がきちんと記録されるのは実際に起こった8割程度と考えられる。その点を考慮すると350年周期と考えるのが妥当という結論に達した」という。

 さらに、松岡助教授らが、高知県須崎市の池で実施した同様の調査結果でも、大きな津波を伴う南海地震の発生周期は350年程度の可能性が高いという。

 政府の地震調査委員会は、南海地震が今後30年以内に発生する確率を50%としている。松岡助教授は「巨大型だった宝永の南海地震から約300年がたっており、昭和の南海地震が、津波の規模なども小さかったことから、次の南海地震は巨大型の可能性があり、警戒する必要がある」と話している。

(jf)



  
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