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地震予知と対策
(2002〜2003年)





(3003/12/19) JR西日本 東南海・南海地震の津波想定

 JR西日本の垣内剛社長は17日の記者会見で、東南海・南海地震で大きな津波被害が予想されるのを受け、現在の地震行動マニュアルに、津波を想定した項目を新たに加えることを明らかにした。今後、自治体と連携して進めていく。

 現マニュアルは、揺れの強さによる列車の緊急停車や情報伝達の流れなどを定めているが、津波は想定外。新マニュアルでは、今後、自治体が実施する被害シミュレーションの結果を基にして、どの程度の津波で列車を緊急停車させるかや、避難誘導の方法などを各地点ごとに定める。

 さらに、現マニュアルでは駅以外で緊急停車した場合、乗客を降ろすことは規定していないが、新マニュアルではこうした場合の避難誘導も議論する。

 垣内社長は「周辺の各自治体と連携し、乗客の安全確保に向けた対策を考えたい」と述べた。また会見では、新幹線の高架橋補強について、2008年度末までに完了させる方針を示した。

 補強は、阪神・淡路大震災後の国の通達に沿って橋脚こ鉄板を巻くなとしており、同社管内では約95%が終了。残る5%は、高架下でテナントが営業しているなどの問題があって難航している。

(mv)


(2003/12/18) 「その時」に備え神戸市 被害予想マップで対策推進

 東南海・南海地震に向けて16日、中央防災会議は兵庫県内の24市町を含む防災対策推進地域652市町村を決定したが、南海地震は30年以内の発生確率が40%とされ、自治体では「その時」に備えた模索が始まっている。

 全市町が推進地域に指定された淡路島。民間事業者は依然、不安が大きい。南淡町内のある宿泊業者は「もし満室ならパニックは必至。津波被害の可能性が高いことについて同業者もまだピンと来ていない」と心配する。福良港を拠点に鳴門海峡の観潮船を運航する会社は「5メートルの津波にどんな対応ができるか想像がつかない。新たなアンカーを設け、船を固定しておくのが精いっぱい」と打ち明ける。

 淡路県民局は2004年度、沿岸部すべての浸水域調査を始める方向で調整を進めている。自治体で津波を想定した防災計画が義務付けられるのに備えた対応で、これまで大きな被害が見込まれる南淡町しか被害予想データがなかった。「避難経路や避難場所を入れたハザードマップには浸水域の調査が不可欠」(洲本市)など、関係自治体の期待は大きい。

 神戸市は、内閣府が公募した地震ハザードマップづくり事業のモデル地区指定を目指す。マップづくりを住宅の耐震化促進の足掛かりにしたい考え。「これまで地震について被害予想マップはなかった。地盤データなどの蓄積を生かし、どんな被害が起こるかを住民に認識してもらいたい」という。

 こうした情報は、従来なら地価が下がるなど反発もあったが、同市は「危険情報をどんどん出してほしいというのが世の中の流れだ」とし、地震対策推進に意欲的だ。

(tn)


(2003/12/18) 652市町村指定へ 東南海・南海地震対策地域

 政府の中央防災会議専門調査会は16日午前、今世紀前半の発生が懸念される東南海、南海の両地震の防災対策推進地域に、兵庫県の24市町をはじめ、高知、和歌山など21都府県、652市町村を指定する案を発表した。

 東南海・南海地震対策特別措置法に基づく指定で、今後、指定自治体と対象施設による防災対策づくりや、国による財政支援が本格化する。

 15府県が一体的な防災体制の必要性や過去の地震で大きな被害が出たなどの理由で、指定市町村を追加するよう要望したため、9月に公表した指定案の494(公表後、三重県内の4町合併)より158増えた。

 これにより三重、奈良、和歌山、徳島、高知の5県の全市町村が指定地域となる。同日午後の同会議で決定する。

 指定された自治体は、防災対策の推進計画を作成し、避難路や消防施設などの整備に取り組む。JRなどの指定公共機関、病院、デパートなどは自治体の計画を踏まえ、指定から半年以内に避難などの計画を作成する。

 兵庫県では、神戸▽姫路▽相生▽赤穂▽尼崎▽西宮▽芦屋▽明石▽加古川▽高砂▽洲本の11市と、播磨(加古郡)▽御津(揖保郡)▽家島(飾磨郡)▽津名、淡路、北淡、一宮、五色、東浦(以上津名郡)▽緑、西淡、三原、南淡(以上三原郡)の13町の計24市町。

 9月公表時の22市町に加え、周辺市町と密接な連携を保つ必要性を考慮し、兵庫県が要望していた相生市と飾磨郡家島町が新たに認められた。

(la)


(2003/12/12) 地震の確率は最大5% 山崎断層帯で政府調査委

 政府の地震調査委員会は10日、兵庫県西部を中心に岡山県にまたがる山崎断層帯で、今後30年以内にマグニチュード(M)7.3程度の地震が発生する確率を、南東部で最大5%とする長期評価を発表した。国内の主要活断層の中でも発生確率が「高い」グループに属する。さらに南東部と北西部では、同時に活動してM8程度の地震が起きる可能性があり、今後30年間の発生確率を最大0.8%としている。

 山崎断層帯は、北西部=岡山県勝田町から姫路市まで約51キロ ▽南東部=兵庫県神崎郡福崎町から三木市まで約30キロ ▽草谷断層=三木市から加古川市まで約13キロ ▽那岐山断層帯=岡山県鏡野町から同県奈義町、約32キロ、で構成される。

 同調査委員会は、主部となる北西部と南東部で最後の地震発生時期が異なるため、別々の評価をした。

 それによると、今後30年間の発生確率は、山崎断層帯主部の北西部でM7.7程度が最大0.8%、南東部でM7.3程度が最大5%、草谷断層はM6.7程度がほぼ0%、那岐山断層帯はM7.3程度が最大0.1%となった。

 それぞれの平均活動間隔と最後の地震活動時期は、北西部が1800〜2300年間隔で868年の播磨国地震、南東部が3000年程度間隔で約3600年前〜6世紀、草谷断層が5000年程度間隔で5世紀〜12世紀、那岐山断層帯が3万〜4万年間隔で最後の活動を不明とした。

 平均活動間隔については信頼性の高いデータがないことから、さらに調査が必要としている。

 調査委は全国で98の断層帯を対象に長期評価を進めており、山崎断層帯で44番目。

 上位4分の1に当たる最大値3%以上を、発生確率が「高い」、次の4分の1に当たる最大値0.1%以上3%未満を「やや高い」に位置付けており、南東部が「高い」、北西部と那岐山断層帯が「やや高い」となった。

 阪神・淡路大震災を引き起こした野島断層を今回と同じ手法で事後評価すると、直前30年の発生確率は最大8%だった。山崎断層南東部の今後30年以内の発生確率5%は、将来、地震が起こリ得ることを十分に裏付ける数値といえる。

 今回の評価対象は断層帯全体の最大地震だけで、兵庫県地域活断層調査委員長の岡田篤正・京大教授は「個別の断層によるマグニチュード(M)5〜6クラスの地震はさらに警戒が必要」と指摘する。今世紀前半の発生が懸念される東南海、南海地震など海溝型巨大地震に先立つ数十年間は、内陸で地震が活発化する傾向があることも要注意点だ。

(la)


(2003/12/02) 東海地震情報が1月5日から新体系 前兆すべりを3段階に分析

 東海地震の前兆と思われる地殻変動が観測された場合に、気象庁が発表する情報が来年1月5日から新しくなる。これまでは首相が発令する「警戒宣言」が、避難行動や防災対応の起点とされてきたが、新しい情報体系では警戒宣言の前に「東海地震注意情報」が発表される。最新の地震学の成果を反映させることで、より早い段階でわかりやすい情報を提供することが可能になったという。いつ来てもおかしくない「その時」に備えるため、新しい東海地震情報の意味を正しく理解しておきたい。

 東海地震は、駿河湾周辺を震源とするマグニチユード(M)8クラスの海溝型地震。静岡県を中心に、最悪のケースの被害想定では死者は1万人に達する。

 駿河湾から四国にかけての太平洋沖では、フィリピン海プレート(岩板)が陸側のユーラシアプレートの下に、1年に3〜4センチのスピードで沈みこんでいる。この沈み込みに伴って陸側ブレートに蓄積されるひずみのエネルギーが限界に達したとき、陸側プレートが大きく跳ね上がる。これが、海溝型地震のメカニズムだ。

 東海や東南海・南海地方では100年から150年周期で、このタイプの地震が発生しているが、東海地震の震源域では、1854年以来、150年近くも地震が発生していない。

 東海地震の直前予知は「前兆すべり」をとらえられるかどうかにかかっている。陸側のプレートが大きく跳ね上がる前に、プレート境界の固着した部分が少しだけはがれ、ゆっくりとすべり始める現象だ。この段階では、大きな揺れが起きるわけではないが、プレートの動きからみると巨大地震の初期の現象といえる。

 この前兆すべりが始まると、ひずみが蓄積された部分に加わる力が変わり、固い岩盤のわずかな伸びや縮みにも変化が現れるとされる。東海地域の19カ所に設置されている「ひずみ計」で、岩盤の伸縮をとらえて巨大地震の”初期症状"を診断できれば、本格的な地震が起きる前に、確度の高い情報が提供できる。これが、直前予知の基本的な考え方だ。

 新しい情報体系では、観測された異常変化の程度によって、3段階の情報が発表される。「東海地震観測情報」は、1カ所のひずみ計で異常が観測され、前兆すべりとの関連が直ちに判断できないときに発表される。交通信号にたとえれば青信号の段階だが、いつ黄色や赤に変わるかわからないので注意が必要だ。

 黄信号にあたる「東海地震注意情報」は、ひずみ計の異常が2カ所で観測され、前兆すべりに伴う変化である可能性が高いと判断されたときに発表される。国や自治体、公的機関では、安全確保のための準備行動を始める。一般の家庭では、地震情報に注意しながら自治体などの防災計画に従って行動することが求められる。震源域からの避難など、この段階で個々に行動を起こすとパニックに陥る恐れもあるからだ。黄信号での急ブレーキはかえって危険なのだ。

 3カ所以上のひずみ計で異常が観測され、前兆すべりが始まっていると判断されると、「東海地震予知情報」の発表とほぼ同時に警戒宣言が発令される。気象庁によると、「注意情報」は最大で東海地震発生の半日前に出せる可能性がある。家財を含めた被害をゼロにしようとするには短いが、人命被害を免れることはできそうだ。

 ただし、直前予知ができるのは、前兆すべりが想定通りに起き、それをとらえられた場合に限られる。突発的に地震に襲われるケースや、直前予知ができても、発生までの時間的な余裕が非常に短いケースもありうる。

 どんな場合でも、できるだけ落ち着いて安全確保のための行動をとることが地震から命を守ることにつながる。そのためにも、注意情報や予知情報が発表されたとき、どう行動すべきかを普段から考えておくことは大切だ。

(jf)


(2003/12/01) 来年1月から巨大地震直前に予知情報 気象庁の「ナウキャスト」

 巨大地震の発生を何日も前から予知することは無理でも、数十秒前なら…。本格的な揺れが来る直前に地震の規模や震度を知らせる気象庁の「ナウキャスト地震情報」が来年1月から、NTTドコモなど9機関に提供されることになった。特に海域を震源とする地震に活用でき、これまでより津波情報が早く出せるという。

 地震の揺れを起こす地震波は、縦波(P波)と横波(S波)の2種類。P波が初期微動として到達し、遅れてS波が被害をもたらす大きな揺れ(主要動)としてやってくる。

 この時間差を利用し、実際の震災がくる直前に、予測震度やS波到達時刻をはじき出し、大きな揺れに備えようというのが「ナウキャスト地震情報」(地震発生直後の即時的情報)。これまで起きた地震数百例から計算式を組み立てた。

 気象庁は東海、東南海、南海の各地震の被害が想定される29都府県にある測候所など80カ所に「ナウキャスト」対応の地震計を配備。この地震計で検知したP波を元に、震源地や各地の震度と主要動到達時刻を推定する。

 同庁は地震の規模を示すマグニチュード(M)6.0以上か、予測最大震度5弱以上になった場合に情報を提供することにしている。最初のP波検知から数秒後に第1報を出すことで素早い警鐘を鳴らすことができるほか、地震波が伝わるごとにP波検知の観測点が増えるため、これらの情報を使って予想震度などを修正していくことが可能になるという。

 「ナウキャスト」にどの程度の信頼性があるかを調べるため、今年9月の十勝沖地震(M8.0、最大震度6弱)で試算した際には、第1報はP波検知3秒後で「M7.6、広尾町で震度5弱以上」との内容になった。その後、7秒後の第2報では地震の規模が大きくなったうえ、「釧路市5弱〜6弱」などと新たな情報も加わった。

 実際には、P波検知から主要動到達までには、広尾町(5強)で約10秒、釧路市(同)で22秒、浦河町(6弱)で約21秒とそれぞれ猶予時間があったことがわかっており、当時「ナウキャスト」が機能していれば、大きな揺れに対して住民に備える時間が生まれていたことになる。

 さらに30秒後には、震源地がほぼ正しい位置で特定されたといい、現在地震発生から津波情報の発令までにかかっている「約3分」の時間が大きく短縮される可能性がある。

 一方、平成12年の鳥取県西部地震や今年5月、7月の宮城県北部の地震など内陸部を震源とする地震では、震源からの距離が近いためP波とS波がほぼ同着し、主要動に備える「直前情報」としての意味はない。

 だが、試算では、それぞれ10秒程度で震源の特定に至っており、被災地の被害状況を推察する手だてにはなりそうだ。

 情報を受け取るNTTドコモや東京大学地震研究所などは、今後、数秒から数十秒の猶予時間をどう市民に伝え、防災対応を取れるのか、技術開発や活用法を検討していくことにしている。

(rt)


(2003/11/18) 3地震同時発生なら犠牲者2万8千人、経済的被害は国家予算並み?

 中央防災会議の専門調査会は、「東南海地震」「南海地震」に「東海地震」を加えた3地震同時発生への懸念が高まっているのを受け、被害想定を発表した。

 それによると、震度6以上の地域は宮崎県から神奈川県に及び、3メートル以上の津波が満潮時で鹿児島・大隅半島から伊豆半島まで来襲する。死者最大28,300人、全壊建物数96万棟。経済的被害は国家予算規模の81兆円に上るという。死者数は阪神・淡路大震災の4倍以上、経済的被害は6倍で、未曾有の災害になる恐れがある。

 過去にも慶長地震(1605年)、宝永地震(1707年)で3地震が同時に発生。1854年の安政の地震では東海・東南海地震の32時間後に南海地震が起こった。

 活動の間隔は100〜150年とみられるが、東海は直近の地震から約150年間、発生していない。なお、2001年から30年以内の発生確率は、東南海地震が50%、南海地震が40%。

 さらに、1944年の東南海地震、1946年の南海地震では地震の規模を表すマグニチュード(M)の値が、宝永、安政の各地震に比べて小さい。次の東海を引き金に、東南海、南海地震が連動する可能性を指摘する専門家もいる。

 同調査会は「特別の広域防災体制の確立、救援に頼らなくてもある程度耐えうる地域防災力の向上の検討が必要」と訴えている。

 これに対し、兵庫県防災企画課は「3地震同時発生の場合、地震自体のエネルギーは増えるが、県内での被害が最も大きいのは南海地震であることに変わりはない」とし、今後、新たな被害想定の検討を行う予定はないとしている。

(jo)



(2003/11/18) 東南海・南海地震の防災推進地域を年内にも正式決定へ

 南海トラフを震源とする巨大地震「東南海地震」「南海地震」に備え、建物の耐震化や津波対策が必要な市町村を対象として、内閣総理大臣が指定する「防災対策推進地域」が年内にも正式決定する。両地震の被害は広範囲に及び、発生直後の被災地外からの支援は未知数だけに、地域住民による足元の防災体制の整備が求められる。

 東南海・南海地震防災対策特別措置法に基づき、政府の中央防災会議が示している指定案の基準は、東海地震の強化地域とほぼ同じ、「震度6弱以上」「3メートル以上の津波」などによる著しい地震被害が予想される地域。兵庫県内では播磨と神戸、阪神、淡路の22市町が挙がっている。

 兵庫県は相生市、飾磨郡家島町を新たに追加するよう国に申し入れる方針だ。推進地域に決定した場合、不特定多数の人が出入リする施設は、津波に備えて情報の伝達方法、避難経路、人員配置、防災教育の実施計画、などを具体的に決めた対策計画の作成が義務付けられる。

 おおむね20人以上の収容人員がある映画館や百貨店、病院、飲食店、学校、福祉施設のほか、鉄道、火薬類など危険物を扱う事業者も対象になる。

 これらは津波被害に遭う恐れがあるエリア内にあることが条件だが、現段階で国の線引きは示されていない。防潮施設があっても浸水する地域に限定するか、防潮施設が液状化などで機能しなくなった最悪のケースまで対象範囲を広げるか。結果次第で対象施設が大幅に増減することが予想される。

 ,指定に伴い対策計画の作成に加え、緊急を要する無線、避難路の整備が必要になるが、特措法では、特別の財政措置は定められていない。近畿ブロック知事会は今年6月、国に対し財政支援の検討を要望した。

 県防災企画課は「地震は確実に来る。事業者の意識が高まることで対策が進めば、より多くの人が助かリ、被害を抑えられる」と話している。

(tn)


(2003/11/14) 地震調査委員会が十勝沖地震の確率を下方修正

 政府の地震調査委員会は今月12日、9月26日に起きた十勝沖地震を受け、今後の発生確率を下方修正した。今回の地震でプレート境界のひずみが解放されたためで、今後30年以内の発生確率を従来の約60%から最大0.2%に引き下げた。根室沖などの地震発生確率に実質的な変更はない。

 今回の地震では、震源域の東側で断層が割れ残っている可能性を一部の研究者が指摘。隣接する根室沖への影響が議論されたが、調査委は検討が必要として、根室沖の確率変更は見送った。

(bd)


(2003/11/14) 震源地近くの紀伊半島よりも東日本で大きな揺れ

 12日午後5時27分ごろ、北日本から近畿地方にかけて広い範囲で地震があり、福島県浪江町などで震度4を観測した。震源は紀伊半島沖で、震源の深さは約390キロ、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.5と推定される。

 気象庁によると、今回の地震では、震源に近い近畿地方よりも、遠い東日本の太平洋側で大きな揺れを観測する「異常震域」という現象が起きた。

 異常震域は、日本列島の下に沈み込む太平洋プレート内部の、非常に深い場所に震源がある場合に発生。関東地方など太平洋側では、地震波が硬い太平洋プレートに沿って減衰しないまま伝わるが、深く沈み込んだ太平洋プレートの真上にあたる近畿地方では、震源と地上の間の「マントル」と呼ばれる比較的軟らかい層が地震波を吸収、揺れが弱まったという。









(ue)


(2003/11/02) 十勝沖地震 地盤弱い施設に被害

 9月の十勝沖地震の被災地を現地調査していた近畿地方整備局はこのほど、河川や道路、港湾などインフラ設備の被害状況を発表しました。地盤が弱い個所で被害が多く見られたという。

 .調査は10月の上旬と中旬にヘリと地上から計6日間実施。泥炭層など軟弱な地盤の上にあり、蛇行していた流れを直線に造成した十勝川下流部では、堤防に亀裂や沈下などの大きな被害が出ていた。

 国道では、盛り土をした個所に崩壊が多く、周辺の地盤は湿地やわき水があるケースが多かった。港湾周辺では沈下が見られ、釧路港で昨年度完成したばかりの岸壁にも大きな亀裂ができていたという。

 同整備局は今後、被害状況を詳しく分析し、想定される東南海・南海地震の発生への備えに生かしたいとしている。

(la)


(2003/10/10)  阪神・淡路大震災直後の猪名川  地下水温が3、4度上昇

 阪神・淡路大震災直後、震源から約50キロ離れた兵庫県川辺郡猪名川町で、地下水の水温が上昇、約3年間、常温に戻らなかったことが、東大地震研究所の佃為成助教授(地震学)の調査で分かった。同助教授は、地震前の地殻変動で地下水層に亀裂が生じ、圧力がかかった深部から高温の蒸気や熱水が流れ込んだ可能性を指摘。「将来の地震予知につながれば」としている。 京都市で開かれていた日本地震学会で8日、発表された。

 地下水は同町のペンション敷地内にわき出ており、通常14度ほどの水温が1995年1月の震災直後、3、4度上昇。佃助教授は翌2月から地下11.5メートル地点で水温計による観測を始めた。

 水温は徐々に下がったものの、常温に戻ったのは約3年後。それ以降は0.01度以内の変動にとどまっているという。

 地震発生時には、一時的に断層運動の摩擦熱によって水温が上昇するとされるが、今回の観測地点は活断層から離れていた。また、常温に戻るまで要した期間も通常より極めて長いという。

 2001年の芸予地震では、中国地方の一部で発生の約3週間前から地下水温が上昇したとの観測結果もあり、同助教授は猪名川町を含む全国17カ所に水温計を設置。観測を進めている。

(ek)


(2003/10/09) 十勝沖地震地殻変動で広尾町が東南東へ97センチ移動

 気象庁は7日、9月の地震・火山概況を発表、26日の十勝沖地震により北海道の広い範囲で地殻変動が観測され、広尾町の基準点が東南東に97センチ移動したことを明らかにした。

 国土地理院の衛星利用測位システム(GPS)連続観測網によリ判明、この方式で観測が始まった1994年以降最大の移動量という。

 地震後も地殻変動は続き、10月5日までの8八日間でも、えりも町の基準点が南東に約5センチ移動していた。9月30日までに観測された十勝沖地震の震度1以上の余震は64回だった。

 九月の火山活動は、浅間山で火山性微動が時々発生し、やや活発な状態が続いた。阿蘇山も火山性地震が増加しやや活発だった。富士山の東北東斜面で見つかった地面陥没と噴気からは、2度の調査でも目立った火山ガスは検出されていない。気象庁は「富士山山頂付近では1970年代まで噴気と地熱活動があったようだ。今回の陥没が噴火に関連するとは考えていない」とした。

(mv)


(2003/10/08) 神大教授らが地震データベース構築へ

 古代から中世にかけて国内で起きた約5千の地震の文献史料について、すべての内容の信頼性を精査した上で検索しやすいようデータベース化する作業を、石橋克彦・神戸大学都市安全研究センター教授らが進めている。6日、京都市で始まった日本地震学会で発表された。「古地震」の史料は将来の予知や防災に役立つとされ、過去に例がない網羅的な精査と電子化に期待が高まっている。

 大地震は、大局的にみれば、同じタイプのものが同じ場所に繰り返し起こり、発生頻度は活動的な所で100年に1回程度。ある地域の大地震発生の特性を知るには古地震の研究が不可欠となる。

 しかし、これまで地震学者らが活用してきた史料集は、個々の史料の信ぴょう性を吟味せずにまとめられたもので、伝聞やうわさも含まれ、後世になって記述された史料も混じっていた。全29巻に及ぶ書籍に編さんされており、検索にも時間がかかったという。

 今回の作業は石橋教授ら地震学、史学、情報処理などの専門家13人がチームを編成。本年度から文部科学省の約3千万円の補助を受け、2006年度に完成させる。

 近世以降の史料は精査するには多過ぎるため、より信頼性が問題となっている6世紀末〜17世紀初頭の史料に対象を限定。同時期に書かれた別の史料や科学的な視点から記述内容を検証、地震ごとにパソコンに入力する。

 インターネットやCD―ROMで検索できるようにし、世界に通用する国際標準仕様の震度データベースの作製も目指す。

(jo)

(2003/09/30) 富士山に陥没・噴気穴 戦後初 火山性ガス含まず

 気象庁は26日、富士山中腹の東北東斜面に、複数の陥没と噴気穴があり、噴気が上がっていると発表した。富士山で陥没や噴気現象が発見されたのは戦後初めてで、現地調査では、噴気に火山性ガスが含まれていなかった。

 現象の原因は不明だが、同庁は「噴火活動につながるものではない。一般的な火山ではよく見られる」と話している。

 陥没が見つかったのは陸上自衛隊北富士演習場内(山梨県富士吉田市)の林道わきで、小富士(標高1906メートル)北東約2キロ付近。東西約15メートル、南北約10メートルの楕円形で深さ数十センチのくぼみ状。中には約40度の弱い噴気を上げる2カ所の穴があった。約400メートル離れたところには直径約5メートルの陥没が3カ所と、噴気穴1カ所が見つかった。地表温度は約15度だった。

 同庁などが22日に行った現地調査では、噴気に硫化水素など火山性ガス成分はなく、ほとんどが水蒸気だった。富士山周辺の地震計なども異常値を示してはいないという。同庁は現地に温度計を設置したうえ、しばらくは経過観察を行う。

(ek)


(2003/09/30) 大揺れ続く北海道、東北 直下型予測出来ず

 北日本の太平洋側では今年、大地震が相次いでいる。5月と7月に宮城県で震度6を観測する地震が次々と発生、今月26日早朝には北海道でマグニチュード(M)8という巨大地震が起きた。それぞれの地震の震源は離れており、互いに関連はないものの、この地域が地震の巣であることをあらためて見せつけた。

 東北地方から北海道、千島列島(クリール諸島)にかけての太平洋側では、海底の乗った太平洋プレート(岩板)が陸側プレートの下に沈み込んでいる。沈み込む場所には「海溝」と呼ばれる海底の溝のような地形が形成され、北海道の沖には千島海溝、東北地方の沖には日本海溝がある。

 沈み込む速さは北海道付近で年間約8センチ、三陸沖で同約6センチ。このため陸側プレートとの境界面はもちろん、周辺の地下にも大きなひずみがたまる。

 蓄積したひずみに耐えきれず、境界面がずれて起きるのが「プレート境界型地震」。今回の地震もこのタイプとみられる。

 プレート境界では大地震が繰リ返し起きる。政府の地震調査委員会は、.千島海溝沿いで大地震が繰リ返す間隔を平均約77年としている。

 ただ地震は規則正しく繰り返すわけではないので、間隔も厳密な数字ではない。実際、今回の地震の震源付近では1952年の十勝沖地震が起きるまで約100年間、大きな地震はなかった。

 土井恵治東大地震研究所助教授は「前回の地震から50年というのは、地震が繰リ返す間隔の揺らぎの範囲だ」と言う。平均約77年という数字は、その程度の見積もりにすぎない。

 一方、宮城県で起きた地震はどれもプレート境界型ではなかった。まず5月26日の三陸南地震(M7)は太平洋プレート内部が割れた「プレート内地震」。震度6弱を記録し、174人の負傷者を出した。

 その2カ月後、7月26日に起きた宮城県連続地震は、深さ約12キロという浅い場所で岩盤が割れた「直下型地震」だった。地震の規模は最大でM6.4と小さめながら震源上の地盤が影響して震度6クラスの揺れが3回続き、負傷者が600人を超え、家屋の被害も約6千軒に及んだ。

 宮城県沖ではプレート境界型地震も発生する。1978八年に宮城県沖地震(M7.4)では死者28人を出した。この震源付近では約40年おきに同規模の地震が線リ返すと考えられている。

 地震調査委員会は、ここで次の大地震が10年以内に起きる確率を39%、30年以内に起きる確率を99%と、予測する。これに対しプレート内地震や内陸部で起きる直下型地震は繰リ返しの予測すらつかないのが現状だ。

(jo)


(2003/09/27) 野良犬の徘徊(はいかい)や噛みつきが地震前兆現象?

 8年前の阪神・淡路大震災で、滋賀県の保健所に地震発生前の2カ月半の間に野良犬の徘徊や、噛みつきなどの苦情が前年同期よリ約3割多く寄せられていたことが、医師らの調査で分かった。震源となった兵庫県・淡路島内でも似たような傾向が見られたといい、10月6日からの日本地震学会(京都市)で発表する。

 調査に当たったのは、公衆衛生が専門で、同県の今津保健所の嶋村清志医師ら。阪神・淡路大震災の前後、犬の苦情処理に忙殺されたり、犬の異常行動の報告を相次いで受けたことなどから、震災特有の現象なのかを調べていた。

 対象期間は震災の起きた1995年1月17日を含む94年11月〜95年2月の4カ月間と前年同期。野良犬の徘徊や噛みつき、鳴き声など、両期間中に同県内の保健所9カ所(当時)に電話などで寄せられた苦情を週単位で集計した。

 その結果、4カ月間の週平均苦情件数が93年度は32.4件だったのに対し、震災のあった94年度は38.2件と約18%増加。震災前の2カ月半では、93年度の29.7件に比べ、94年度は37.6件(約27%増)と差が広がった。

 一方、淡路島にある3カ所の保健所では、震災約1カ月前の苦情件数が前年同期に比べ60%増加。ただ同一週間前では、前年度比40%増の滋賀県に対し、淡路は60%以上減っていた。

 地震前の犬の異常行動は、地震雲などと同様に「宏観(こうかん)異常現象」の一つで地震の前兆との見方がある。ただ因果関係については、岩盤が割れる際に生じる電磁波の影響などが挙げられているが、解明されていない。

 嶋村医師は「より広域で集計して地震予知につなげられたら」と話している。

(tr)


(2003/09/23) 東南海・南海地震の被害想定見直し 兵庫県内は従来上回る

 今世紀前半の発生が懸念される東南海・南海地震について、政府の中央防災会議専門調査会はこのほど、防災対策推進地域案を発表したが、その根拠となる震度分布と被害想定を兵庫県内でも見直していたことが分かった。播磨南部で震度6弱のエリアが拡大し、被害想定も最悪の場合、県内の全壊棟数が1万2千棟、死者130人と、従来の同調査会の想定を大幅に上回る内容になった。

 新たな震度分布図は、南海地震(1946年)や、安政東海、南海地震(いずれも1854年)など、過去に起こった地震の文献資料から推定できる最大震度を採用。これを受けて、4月に同調査会が示した被害想定も改められた。

 東海地震も含む3大地震が同時に発生する可能性もあり、その場合の震度分布図も公表した。

 東南海・南海地震での県内の建物被害は、地震の揺れによる倒壊と斜面災害でそれぞれ増加した。とりわけ火災は「冬の午後6時」で、従来の「600〜1400棟」から「1500〜3500棟」に大幅に増え、死者も「わずか」から「10〜30人」になった。

 死者数の合計は「冬の午前5時」の130人が最大。従来は90人だった。

 兵庫県が南海地震で想定する死者数605人とは依然開きがあるが、建物倒壊による死者を県の34人より多い80人と見積もるなど、一部で県想定を上回る数字もある。

 県防災企画課は「想定の枠内ではあるが、倒壊家屋から火災が発生するなど建物の耐震化は急務。密集市街地の改善など引き続き災害に強いまちづくりに取り組みたい」としている。

(kf)


(2003/09/22) 兵庫県内の22市町 防災具体策、急務に

 政府の中央防災会議専門調査会がこのほど発表した東南海・南海地震の防災対策推進地域案に、兵庫県内の22市町が挙がった。指定によって財政支援が受けられることから、いっそうの防災対策拡充に期待する声が上がる一方、南海地震などによる大きな被害を想定していなかったため、推進地域案の対象になったことに驚き、戸惑う自治体もあった。

 南海地震で5.8メートルの津波が予想される三原郡南淡町。森紘一町長は「これまでの防災対策の財源は県による限られたものだったが、国の補助メニューを活用してソフト、ハードの両面から対策を検討したい」と期待感をにじませる。

 しかし、不安もある。西宮市は「指定が決まれば、避難経路など具体的な対策を早急に決めねばならない。初めてのことなので手探りの状態」とする。

 津波と地震の被害が予想される神戸市。すでに昨年六月、南海地震を想定した地域防災計画に改訂。同市は「防災対策の基本的な枠組みはできている」としながらも「国の財政支援があるのはどういう対策なのか。指定はもろ手を挙げて喜ぶものではなく、国には県を通じ、言うべきことは言いたい」とする。

 今回の指定案を前に、過去の地震の被害データなどから震度予想が見直され、指定基準の震度6弱に「ランクアップ」された東西播磨の自治体は戸惑いを隠せない。

 明石市は「これまで震度5弱と聞いていたが。なぜ変更されたのか」と困惑気味。加古川市や加古郡播磨町は驚きつつも「山崎断層地震を想定した防災計画がすでにあり、南海地震の津波対策も盛り込んだ計画を今後策定したい」としている。

 一方、推進地域に指定された場合、その市町にある病院や劇場、映画館、百貨店、スーパーのほか、飲食店などでも、収容人員30人以上の施設は、対策計画を策定しなければならない。期限は指定後、半年以内で、業種ごとに所管する県や市町などが指導に当たる。

(mv)


(2003/09/20) 芦屋、神戸など497市町村指定 東南海・南海地震防災地域案

 政府の中央防災会議専門調査会は17日、東南海・南海地震に備える必要がある防災対策推進地域に静岡など21都府県、497市町村を指定する案を発表した。

 各都府県知事の意見などを聞いて12月ごろ首相に答申し、年内に防災対策の指針となる大綱とともに、東南海・南海地震対策特別措置法に基づき指定したい考えだ。

 推進地域は東京都の離島のほか、静岡県から宮崎県に及ぶ。東海地震の防災対策強化地域の8都県、255市町村(9月16日現在)に比べ市町村数は約2倍で、強化地域と重複する市町村が4県で95市町村ある。推進地域内の人口は3250万人と日本全体の4分の1を占め、強化地域(1300万人)の2.5倍だ。

 指定された自治体は、防災対策推進のための計画を災害対策基本法に基づく地域防災計画に盛り込んで作成、消防施設などの整備に取り組む。

 指定公共機関のNTTやJRなども避難や津波対策などを防災業務計画で定める。国は指定地域の防災対策に財政的な支援をする。

 兵庫県内で推進地域案に挙がっているのは、神戸▽姫路▽赤穂▽尼崎▽西宮▽芦屋▽明石▽加古川▽高砂▽洲本の10市と、播磨(加古郡)▽御津(揖保郡)▽津名、淡路、北淡、一宮、五色、東浦(以上津名郡)▽緑、西淡、三原、南淡(以上三原郡)の12町の計22市町。

 青砥謙一県防災監は「県南部の一部の沿岸市町が案から抜けており、地域の一体性に配慮した指定がなされるよう国に働きかけたい」としている。

(jo)


(2003/09/19) 3地震同時発生なら死者は最大28,000人、経済被害81兆円と想定

 死者最大28,300人(水門が機能した場合は24,700人)、経済的被害81兆円。政府・中央防災会議の専門調査会(座長・土岐憲三立命館大教授)が17日発表した東海地震と東南海・南海地震が同時発生した場合の被害想定は、対策の見直しが急務であることを示した。

 死者数が最大10,100人、経済的被害は37兆円とする東海地震の想定の3倍近い規模。東海地震は「今世紀前半の発生が懸念される」東南海・南海地震と同時に起きる可能性が過去の例からも考えられ、「同時発生という最悪のケースでは、救援など広域な体制整備が不可欠」(内閣府)。三つの地震とも南海と駿河の両トラフ(海溝)にたまったひずみが原因で起き、1707年の宝永、1854年の安政の両地震では同時発生した。

 被害想定は、マグニチュード(M)8.7の地震が紀伊半島南端沖から始まリ東西に広がるとの前提。震度6以上の地域は神奈川県東部から宮崎県に及び、満潮時で3メートル以上の津波が伊豆半島から鹿児島県の大隅半島まで襲うなどと推定して被害を算出した。

 都府県ごとの被害は精査中だが、揺れや津波、火災などによる全壊棟数は最大で940,100棟。ゼロメートル地帯などにある水門が機能しなければ、さらに19,700棟増える。経済被害は個人の住宅など直接被害が60兆円、東海道新幹線など東西の交通幹線の寸断や工場の生産停止など間接被害が21兆円と見込んでいる。

 次の表は東海、東南海、南海地震が同時発生した場合の経済的被害(人的被害及び公共土木被害は含まれていない)の内訳。
直接被害
(個人住宅の被害、
 企業施設の被害、
 ライフライン被害等)
約40兆〜約60兆円
間接被害
・生産停止による被害
・東西間幹線交通寸断による被害
・地域外等への波及
約13兆〜約21兆円
約 5兆〜約8兆円
約0.5兆〜約2兆円
約 7兆〜約11兆円
合  計 約53兆〜約81兆円

(dr)


(2003/09/03) 有馬高槻断層帯地震「切迫性低い」 兵庫県調査委員会

 兵庫県と大阪府にまたがる「有馬-高槻断層帯」について、これまで不明確だった西側の断層が動いた直近の地震が、東側と同様、1596年の慶長伏見地震である可能性の高いことがこのほど、兵庫県地域活断層調査委員会(委員長・岡田篤正京大教授)の研究で分かった。同断層帯の活動間隔は1000〜2000年とみられておリ、岡田教授は「地震発生の切迫性は低くなった」としている。

 有馬ー高槻は近畿有数の活断層帯で、全長約55キロ。兵庫県の被害予測では、マグニチュード(M)7.7の想定で県内死者が最悪約1万2千人に達するとしている。

 国の地震調査委員会は2001年、宝塚市以東(約33キロ)を主とした調査の結果、最新活動は慶長伏見地震(M7.5前後)で、過去3千年間の活動回数は3回と発表。同市以西は「資料が少なく判断できない」としていた。
 
 こうしたことを受け、兵庫県は昨年度、断層面を掘削するトレンチ調査を西宮市山口町船坂の六甲断層で実施。室町時代以降とみられる石積みの暗きよを発見したほか、.地層のずれが300〜700年前に発生したことが判明した。

 また、50センチ以上の地層の食い違いが一帯に及んでおり、分析を受け持った岡田教授らは、慶長伏見地震で断層帯全体が動いたとほぼ断定した。

 さらに、淡路島の東浦断層や先山断層、四国北部を走る中央構造線で、同時期に地震があったことを裏付ける地層のずれがあることに着目。「慶長伏見地震と連動して動いた可能性もある」と指摘している。

 岡田教授らは今後、六甲断層の過去の活動時期を検討するほか、慶長伏見地震で連動したと考えちれる六甲山南側の断層の調査を進める。

(uq) 


(2003/07/28) 火山活動を6段階で情報提供 全国5山で導入

 活火山の活動状況を6段階に数値化し、一般市民にも分かりやすく表示する情報提供システムを、気象庁が平成16年度から全国五つの火山に本格的に導入する。関係自治体は、防災面でも役立つと期待を寄せている。

 対象となる火山は観測態勢が整備されている伊豆大島(東京都)、浅間山(長野・群馬県)、雲仙(長崎県)、阿蘇山(熊本県)、桜島(鹿児島県)の5山。

 静穏状態を示すレベル0から、溶岩流出など大規模な災害が予想されるレベル5までを想定。現在比較的活動が静かな桜島はレベル2、溶岩が流出し2千戸以上の家屋が焼失Lた大正3年の桜島大噴火はレベル4〜5になるという。

 気象庁火山課は「これまでの臨時火山情報では具体的にどう火山が活発化しているか分かりにくかったが、数値化することではっきりする」と説明している。

 どのレベルを避難勧告の対象とするかなど、防災情報との関連付けは「今後内部で検討して詰める」としている。気象庁は平成11年、火山噴火予知連絡会の提言を受け、13年度から数値化を試行、各火山の実態に合った表示方法を検討してきた。今秋から外部に公開する試験運用に入る。

 近年大規模噴火した有珠山(北海道)や三宅島(東京都)は対象外だが、気象庁では「今後、対象の火山を増やすことも検討したい」としている。

(ue)


(2003/07/25) ナマズで地震予知? 電磁波との関連調査

 地震の前兆現象の一つとして注目される動物の行動異常と電磁波の発生を結び付ける観測網が、大阪大理学部の池谷元伺教授の研究グループを中心に動き出した。観測に利用するのは、古来「地震を予知する」と言い伝えられるナマズ。地震直前に動物がとる異常行動についての厳密な実証は全国的にも珍しいという。

 池谷教授は「地殻破壊の直前に発生する電磁波に反応した電気的行動」として科学的に検証、将来の予知に役立てたいとして観測網への参加を呼びかけている。

 池谷教授は、平成7年1月の阪神大震災の直前、大阪府池田市の自宅の庭に、ミミズが這い出たあとの無数の穴を見つけた。不思議に思っていたが、震災後に動物の異常行動が多数報告されていることや、電気器具に異常が生じたとの報告もあることを知った。

 もともと電子工学が専門の池谷教授は、花崗岩をプレス機で破壊して人工的に電磁波を発生させ、昆虫、魚、モルモットなどの小動物が起こす、異常行動の観察を重ねた。その結果、ナマズは他の生物に比べ、圧倒的に電磁波に敏感であることが確認できたという。

 ナマズは、小魚が近くで泳いていると、その筋肉から発生する微弱な電気を感受して捕食することが知られている。通電性の高い物質の入った器官が体側や口の周りに無数に並び、これで100万分の50ボルト程度の電磁波をキャッチするという。

 研究途中だった平成12年9月末、大阪府豊中市の研究室で飼育中のナマズの様子がおかしくなり、同時に電磁波感知アンテナが周期的な電磁波の発生をキャッチした。この8日後の10月6日、鳥取県西部地震が発生。翌年、再びナマズが大暴れした後に芸予地震(3月24日)が起こった。

 こうしたことから、池谷教授はナマズと電磁波の観測を積み重ねることで地震の前兆現象として、「ナマズの行動」と「電磁波の異常」が関連づけちれると判断。全国の高校などに観測を呼びかけた。

 観測方法は、水槽で飼育するナマズの動きを、パソコンに接続したCCDカメラで常時、追跡する。普段はあまり動かないナマズが激しく動き出すなど、変化があったとき画像を自動的に記録するよう設定しておき、得られたデータを池谷教授の研究室に送信する。その一方で、専用アンテナによる電磁波観測も続けていく。

 雷雲など天候条件によっても大量の電磁波が観測されるため、今後のデータの蓄積で、気候によるのか地殻変動によるのかを見極めることが重要になる、という。

 初のナマズの画像データは6月末、兵庫県姫路市の高校から送信されてきた。このナマズには現在のところ異常行動は見られないという。

 このほか全国11府県の中学、高校、大学計10校と1企業が参加を申し出ている。池谷教授は、「ナマズの行動と電磁波を結び付ける、という古くて新しい分野の研究に高校生のみなさんもぜひ加わってほしい」と話している。

(pl)


(2003/07/03) 国土地理院など国際研究チームが電離層観測で津波検知

 高度2万キロの衛星からの電波で地上の位置を計測する衛星利用測位システム(GPS)を使って、高度60キロ以上のところにある電離層の揺らぎを観測することで、太平洋の津波をとらえることに、金森博雄カリフォルニア工科大教授やパリ地球物理学研究所、国土地理院の国際共同研究チームが7月1日までに、初めて成功した。

 解析速度が上がればリアルタイムで津波を観測することも可能で、精度の高い津波警報につながる成果。札幌市で開かれている国際測地学・地球物理学連合で発表する。

 津波が起こると、海面の盛り上がりが空気を押し上げ、それが波となって上空に伝わり電離層に揺らぎを起こすとされる。メカニズムは解明されておらず、これまで観測もされていなかった。

 研究チームは、GPSでは、電離層や地表近くの水蒸気により、電波に遅れや波形のずれが生じることに着目。この現象を逆に利用し、電離層を通過する際に特徴的にずれる波形をとらえて、津波が起きた際の電離層の揺らぎを調べた。

 2000年3月の小笠原諸島父島付近のマグニチュード(M)7.6の地震や、2001年6月のペルー沿岸の地震(M8.4)などの際、太平洋上空を通過するGPSの電波を日本の観測網で観測。データ分析の結果、電離層が津波と同じ進行方向に揺らいていくことが分かり、津波による変動と判断した。

 村上亮・国土地理院地理地殻活動総括研究官は「現在はデータ伝送や解析に時間がかかるが、改良して津波警報につなげたい」と話している。

(kf)


(2003/06/22) 佐渡北方沖地震の確立6% 30年以内にM7.8予測

 政府の地震調査委員会は今月20日、新潟県の佐渡島北方沖の海域でマグニチュード(M)7.8程度の地震が30年以内に起きる確率は最高6%とするなど、日本海の北海道沖から新潟県沖までの海域にあるプレート(岩板)の境界領域で今後、発生する海溝型地震の評価結果を発表した。

 この海域では北米フレートとユーラシアプレートが接しているが、プレート境界ははっきりしていない。ただ、南北に分布する数本の断層帯があるため、帯状に広く震源域を想定、海域を八つに分けて評価した。

 その結果、30年以内の発生確率は秋田県沖でM7.5程度が最高3%、北海道北西沖でM7.8程度が最高0.1%となった。北海道西方沖、北海道南西沖、青森県西方沖、山形県沖、新潟県北部沖ではそれぞれM7.5〜7.8程度の地震が発生するとしたが、確率はほぼ1%だった。

 北海道北西沖、秋田県沖、佐渡島北方沖の3海域については、江戸時代以降約400年間に、地震発生の記録が残されていない。しかし、周辺の地震歴、海底の地震性堆積物や津波での堆積物などの地質データから、この3海域でも今後、地震が発生する可能性があると判断した。

(br)


(2003/05/29) 井戸水で南海地震予知 京大防災研究所

 和歌山県・潮岬沖から四国沖を震源域に、昭和21年に起きた「昭和南海地震」の前に発生した周辺の井戸の水位低下現象を、地震発生のメカニズムで説明できることが、梅田康弘・京大防災研究所教授らの研究で分かった。南海地震は今世紀前半にも再び起きる恐れがあり、その予知に結び付く可能性がある。
今月26日から千葉市の幕張メッセで始まる地球惑星科学関連学会合同大会で発表された。

 昭和南海地震後の海上保安庁の調査では、地震前に紀伊半島や四国の太平洋岸の井戸10カ所で水位が低下、6カ所で水が濁るなどした。しかし、これが地震の前兆現象がどうかは分かっていなかった。

 南海地震の震源域では、海側のプレート(岩盤)が陸側のプレートの下に沈み込んでおり、プレートの境界面がずれて地震が起きる。地震直前には、境界面の一部がゆっくりとずれ始めるプレスリップが発生することがあり、地盤の隆起が起きる。しかし、隆起は1センチ程度程度で、大幅な水位低下は説明できなかった。

 梅田教授らは、水位の低下した井戸がいずれも、周囲の三方を山に囲まれた遠浅の海岸近くの三角州にあることに着目。海水が陸地の地下に染み込み、比重の違いからその上に淡水の地下水が浮いているとすると、海水と淡水の境目は地盤の隆起の数十倍も低下する可能性があることを示した。周囲の山に遮られ、地下水の供給がなければ、淡水の層全体が低下し、井戸の水位も大きく下がる。

(qz)


(2003/04/18) 東南海・南海地震被害想定発表 中央防災会議

 東南海・南海地震の被害想定を検討していた政府の中央防災会議の専門調査会(座長・土岐憲三立命館大教授)は17日、関東から九州にまで被害が及び、死者数は最大20,500人、重傷者数は20,900人とする結果を発表した。揺れなどで全壊する建物総数も最大615,900棟、経済的な被害は最大で計56兆円に上るとした。

 統計的なばらつきを考慮に入れると、最大で死者21,800人という試算も公表している。兵庫県内の死者数は最大約70人、ばらつき考慮で約90人となっており、1998年に兵庫県が発表した独自の被害想定での506人を大きく下回る結果となった。

 今回の被害想定は、東海地震の想定(死者1万人)や阪神・淡路大震災の被害を大幅に上回る。「阪神の被害は点、今回の被害は広域的に面で起きる」(土岐座長)だけに避難態勢や広域的な防災対策の確立が不可欠だ。

 最も死傷者が多いのは、阪神・淡路大震災が起きたのと同じ冬の午前5時に発生した場合で、死者数は、(1)建物の倒壊で6,500人、(2)津波で避難率が71%だと3,300人、避難率が20%だと8,600人、(3)急傾斜地の崩壊で1,900人、(4)火災で風速15メートルは400人と算定。地滑りなども考慮し11,900人〜17,400人と幅を持たせた。

 さらに、地震によって津波を避ける水門が閉鎖できない場合は最大で3,100人増える。

 建物被害は午前5時、風速15メートルで353,200棟。午後6時では火災が増え最大。

 経済被害では、最大で直接被害が約42兆円、間接被害約14兆円となっている。直接10兆円、間接3兆円だった阪神の約4倍。間接被害のうち約8兆円は地域外などへの波及として計上されており、全国的な被害の広がりや、国際的な産業競争力の低下、金融システムへの影響なども指摘されている。

 被害は、東南海地震と南海地震がマグニチュード8.6で同時に起き、東海から四国の太平洋岸を中心に震度6以上の揺れ、5メートル以上の津波が起きたと想定した。


県算定605人と格差

 中央防災会議が17日発表した東南海・南海地震の被害想定は、兵庫県が独自に算定した想定を大きく下回った。県内で最大死者605人の県想定に対し、同会議は約70人で、県の担当者らは「少ないに越したことはない」としながらも当惑の表情。一方で県と国の関係者は「被害は人的なものにとどまらない。数字にこだわらず対策を進めるべき」と口をそろえた。

 今回の想定結果は、7月に施行する東南海・南海地震防災対策推進特別措置法に基づく推進地域の指定などに反映されるため、今後の成り行きが注目される。

 兵庫県は冬の夕方で死者数が最大になるとしており、火災延焼で408人、鉄道事故157人、建物被害30人など。同会議は冬の朝で最大値を想定。建物倒壊で約30人、斜面崩壊約40人とし、津波、火災はいずれも「わずか」としている。

 大幅に違うのが火災による死者数。建物の不燃化率など県の試算したデータは古く、国の想定より被害を大きく見積もる要因になった。

 また、今回の国の想定では、自主防災組織による初期消火で、火災の半分が鎮火するとしている。このため県防災企画課は「自主防災組織だけでなく、住民同士の助け合いも重要。被害を減らす前提条件の地域の防災力を高めていきたい」と啓発に力を注いでいる。

 両想定に加わった河田恵昭・人と防災未来センター長は「今回は人が家にいる前提。数字に一喜一憂せず、市民一人ひとりが、計算のもとになった前提を理解すべきだ」と訴える。

 同会議は、防災への備えが進めば死者数が減ることも指摘している。1981年以前の耐震基準で建てられた建物が、それ以降の耐震基準に合うよう補修や建て替えが進めば、倒壊による死者数は最大約6,500人から約1,300人と5分の1になるという。



(2003/02/14) 中央構造線による30年以内の大地震発生確率 政府調査委員が評価

 政府の地震調査委員会は12日、近畿地方の金剛山地東部から四国北部を通り伊予灘まで、ほぼ西日本を横断する活断層「中央構造線断層帯」について、長期的な地震発生確率などの評価結果を発表した。30年以内の地震発生確率は、東部の金剛山地東縁から和泉山脈南縁の部分が、日本の主な活断層の中では「高い」、それ以西では「やや高い」とされた。

 同委員会は同断層帯を五つに区分。このうち、金剛山地東縁から和泉山脈南縁の部分は地震の規模を示すマグニチュード(M)8.0程度の地震を起こす確率が、今後30年間にほぼ0%から5%で「高いグループ」となった。

 同様に、淡路島南側の海峡部分は、M7.7程度の地震の確率が0.005〜1%と「やや高いグループ」に分類された。それ以西の三つの部分はそれぞれ、M7.3〜8.0以上の地震の確率がほぼ0%から0.3%とした。

 同断層帯は全体が同時に地震を発生させる可能性もあり、その場合、M8以上になるが、確率は5%を超えることはないとした。また、同断層帯は大分県の別府〜万年山断層帯まで続いている可能性もあり、今後、再検討が必要としている。

 地層や文献で地震時期推定  
 地震調査委員会による断層の長期評価は、断層を掘り下げて直接地層を観察する方法と、歴史的文献などから、まず過去の地震の発生間隔と直前に発生した地震の時期を推定する。そして前回の地震からの経過期間などを基に、一定期間での発生確率をはじき出す。

 同委員会は、今後30年間の発生確率が3%以上を「高いグループ」、3〜0.1%を「やや高いグループ」、0.1%未満を「それ以外」として三つに分類。98の主要活断層帯と、海溝による地震の評価を進めている。

 これまでに評価した内陸の活断層では、糸魚川〜静岡構造線断層帯が最大14%で最も高い。阪神大震災を引き起こした野島断層について、震災後に同じ手法を用いて評価したところ、震災直前から30年間での確率は8〜0.4%となり「高いグループ」に属していた。

 中央構造線 
 長野県・諏訪湖の南から天竜川の東側に沿い、愛知県・渥美半島、紀伊半島、四国を通って九州に及ぶ、日本列島を東西に走る大断層線。諏訪湖付近で糸魚川〜静岡構造線に切断され、東側は地表に現れなくなるが、断層は関東平野の地下までつながっているとみられている。

 政府の地震調査委員会が12日に発表した「中央構造線断層帯の地震発生確率」に、兵庫県内自治体の防災関係者は強い危機感をにじませた。同断層帯が動けば、阪神・淡路大震災のような直下型地震タイプの被害が予想される。今世紀前半の発生が確実視される海溝型の南海地震と並び、対策が急務となっている。

 兵庫県に直接影響を及ぼす可能性の高い同断層帯の紀淡〜鳴門海峡部分では、今後30年の発生確率が最大で1%。「やや高い」グループだが、兵庫県の青砥謙一防災監は「直下型としてはかなり高い数字。阪神・淡路と比べても、油断できない確率で無視できない」とする。

 今回の予測では地震の規模を示すマグニチュード(M)は同海峡部分で7.7だった。兵庫県は1999年、独自に行った同断層帯による地震被害をM8で想定。県内死者数を769〜480人、淡路島や神戸・阪神間で震度6弱以上、部分的には6強を予測した。

 予想される犠牲者の6割以上が建物倒壊による被害で、「南海地震よりも激しい揺れが短時間に集中する。建物の耐震化が急務」と青砥防災監。神戸市も「1%を低いと思ってはいけない。直下型はいつ起きるか分からず、明日かもしれない。阪神・淡路の教訓をあらためて再認識すべきだ」と指摘する。

 同断層帯に隣接し、南海地震による大規模な津波被害も想定されている三原郡南淡町は「直下型は建物の被害が大きく一番怖い」。  同町は昨年11月から、南海地震に備える防災説明会を町内会ごとに行っているが、対策が後手に回っていた直下型地震についても危険性を訴えていく考えだ。同町防災担当者は「危機意識の向上を粘り強く呼び掛けていきたい」としている。

(tn)


(2003/02/10) 東海、東南海地震による津波の記録2500年分 池底の地層で確認

 三重県尾鷲市の池底の堆積層から、東海地震と東南海地震とみられる津波の跡が確認された。最も古いのは、紀元前にあたる約2500年前のもので、鎌倉時代とみられるものまで九つの時期の痕跡があった。1カ所で、これほど長期間にまたがる両地震の跡が見つかった例はないという。

 両地震は100〜150年程度の間隔で周期的に発生、関東〜近畿に大きな被害者をもたらしているが、過去、津波はかなりの大小があったと推測される。今世紀前半にも発生するとみられる東海.東南海地震の津波の性格を知る手掛かりになりそうだ。

 東京大学地震研究所の都司嘉宣助教授と高知大の岡村真教授らのグループが、2000年8月、尾鷲市東部の東海沖に近い「大池」で調査した。この池は熊野灘に突き出た半島の先端付近にあり、周りを高さ約5メートルの丘陵が取り囲んでいる。このため、海水や岩の流入は津波以外にありえず、絶好の調査地点となった。

 池の底2カ所を約2.5〜3.5メートル掘削したところ、海の岩や砂などを含む堆積層が何層も見つかった。時期が特定できたうち、最も古いのは紀元前500年ころで、その後約100〜400年間隔で層を成していた。

 また、東海、東南海地震は1096年から1498年まで文献上は発生の記録がないが、13世紀末とみられる津波の痕跡も初めて見つかった。都司助教授は「2500年間という期間なら、痕跡は約20は確認できるはずだ。今回の調査結果から、過去の痕跡を洗い流すほどの大きな津波があったり、跡が残らない津波もあったと考えられる」と分析している。産業技術総合研究所の寒川旭・主任研究員(地震考古学)は、津波の痕跡は、大きな地震の揺れがあった時期と一致しており、東海、東南海地震によるものと考えていいと話している。

(uh)


(2003/01/18) 東南海、南海地震は今後30年間に発生する確率は40〜50%

 東南海、南海地震はどのような仕組みで起きるのか、阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震とはどこが違うのか。東京大学地震研究所の島崎邦彦教授は次のように説明している。、

 「フィリピン海にある厚さ数十キロのプレート(岩板)が、日本沖合の太平洋の南海トラフ(海中のくぼみ)に年間5ミリ程度のスピードで沈み込み、その際、トラフの反対側にある近畿や四国が乗った陸側プレートも巻き込んでいる。陸側プレートは限界に達すると反発して一気に跳ね上がり、地震が起きる」

 「おおむね100年単位の周期で起きているこれまでのデータを基にはじき出すと、今後30年に起きる確率は南海が40%、東南海が50%。今後50年では80〜90%となる。年を経るごとに確率は上がリ、今世紀前半にほぼ間違いなく起きると言えるだろう」

 「地震の大きさは岩板の移動でエネルギーがどれだけたまっているかで決まる。1944、1946年の前回はマグニチュード7.9〜8.0。ここの地震にしては小さめだったので、これまでの大小の周期を考えても次は大きめになる恐れがある」

 「東海地震が想定される東のエリアまで含めて岩板は一続き。しかも東南海、南海は周期がほぼ同じで、南海で岩板が跳ねれば隣の東南海でも当然跳ねやすくなり、二つの地震は同時に発生しやすい。そうなれば被害はよリ大きくなる」

 「陸の地震だった兵庫県南部地震が狭い地域を比較的短時問に激しく揺らしたのに対し、東南海、南海は広い範囲で揺れる。震源から遠くても地盤の弱いところは強く揺れる。想定される揺れの時間は数十秒から1分と長いのが特徴。また、岩板が跳ね上がる海底の地殻変動で津波が発生する」

 「東南海、南海地震はこれまでに大きな犠牲を出し、昔の人が警告を発してくれている。特に若い人はどういう形にせよ、将来出くわす地震なので、自分に関係ないとは思わないでほしい。大きな揺れが長い時間続く地震のため相当な恐怖を感じるだろうが、慌てずに、揺れが収まったら海の近くの人は直ちに高台に避難してほしい」

(tn)


(2003/01/12) 内閣府が詳細震度地図作成へ 50メートル四方、住民に公表

 内閣府は、50メートル四方ごとに想定される地震の震度分布が分かる地震ハザードマップづくりに乗り出すことを決めた。これまでに各自治体などが公表している震度分布図は、小学校区程度の1キロ四方によるものがほとんどだった。

 よリ詳細なハザードマップを作成し、地域住民らに公表すれば、自宅にどのくらいの被害が及ぶ懸念があるかなどが分かリやすくなるため、内閣府は「地震への備えをよリ身近なものとしてとらえ、建築物の耐震改修などを進めてほしい」と期待している。

 ハザードマップに震度分布のほか、避難路や防災施設なども盛リ込むかどうかなどを検討する学識者らによる委員会を近く設置。公募でハザードマップづくりに参加する15地域を選ぶ。

 対象地域の住民に、防災に対する意識や自宅の耐震化に対する考え方などをアンケート。その後、ハザードマップを公表し、再度アンケートを行ってマップによる意識の変化を探り、耐震化促進などの効果を検証する。2003年中に詳細版地震ハザードマップのガイドラインを策定し、自治体の取り組みを促したい考えだ。

 内閣府によると、2001年に横浜市が50メートル四方の震度分布を公表したところ、耐震改修などの問い合わせが2倍に増えたという。

(la)


(2003/01/06) 東南海・南海地震対策で津波被害研究初の本格着手

 大きな津波の被害が予想される東南海・南海地震について文部科学省は今年から、津波による人的被害を想定するためのシミュレーション研究を本格的にスタートさせる。政府は昨年12月、二つの地震の同時発生(マグニチュード8.6)による死者は「最大で7,400人」と公表したが、津波による死者は、被害想定の手法が確立されていないため含まれなかった。今回の研究が完成すれば、対策を確立することで大幅な被害の軽減も期待される。こうした研究は度々津波に襲われているインドネシアなど海外でも例がなく、世界初の試みになるという。

 シミュレーション研究は、群馬大学工学部の片田敏孝助教授(災害社会工学)らのグループが今月から3年計画で行う。過去に東南海・南海地震によって大きな被害を受けてきた三重県尾鷲市をモデル地区に指定。今後3年間で、過去の巨大地震の震源地に近い沿岸都市部を被災地と想定して研究する。

 片田助教授らによると、これまでの津波訓練は「地震発生後、住民は一様に避難行動に移り、目的地までスムーズに移動できる」ことを前提にしていた。しかし実際は地震発生から津波が到達するまで各地でタイムラグがあり、今回の研究では、この間の住民行動にも着目。住民がどのように津波発生の情報を得てどの時点で避難行動に移るか、また強い揺れで破壊された地域の中でどのような避難路でどこへ避難しようと決めるのか、という「情報伝達のシミュレーション」に重点が置かれる。

 片田助教授は「津波からの避難を意思決定する住民一人ひとりを、被害の大きさを規定するシステムととらえなけれぱならない」と強調。尾鷲市の協力を得て、被害を想定する地域にある一つ一つの世帯の家族構成や、住居、街中の建造物の状況、情報伝達のカギとなる地域コミュニケーションの現状まで分析する。

 実際に津波から避難する場合に住民一人ひとりがどのような行動をするかを、年齢別などでシミユレーションし、人的被害の予測につなげる。東南海地震、南海地震のような海溝型巨大地震の被害想定モデルは、他都市でも応用が可能で、、和歌山県や高知県のシミュレーションにも応用されることが期待されている。

 津波による人的被害がかなり正確に想定されることで、より有効な対策も明確になり、被害の大幅な軽減が可能になるという。

 被害想定を公表した政府の中央防災会議(会長、小泉純一郎首相)で「東南海、南海地震等に関する専門調査会」委員を務める東北大学災害制御研究センター、今村文彦教授は「津波による人的被害は、少なくとも強い揺れによるものと同等かそれ以上と予想される。世界的にも津波の被害シミュレーションは例がなく、早急な確立が必要だ」と指摘。直近の昭和南海地震(昭和21年)当時より被災地域の人口密度が高くなっていることも考慮すると、「想定される被害は、過去の被害に比べ、一けたも二けたも数字が大きくなる可能性がある」という。

 片田助教授は「今後の住民への防災教育の効果も踏まえ、確度の高い被害想定を実現させたい。津波による人的被害と強い揺れによる人的被害とを総合的にアプローチして初めて正確な被害予測が可能となる」としている。

(jf)


(02/07/16) 東南海・南海地震津波対策 衆院本会議で特別措置法案を可決

 静岡県西部沖から紀伊半島沖、四国沖までを震源域とする巨大地震に対する「東南海・南海地震防災対策推進特別措置法案」が7月16日午後の衆院本会議で可決、今国会での成立を目指す。東南海・南海地震は、過去に繰り返し発生しているが、東海地震に比べ対策が遅れている。この地震対策空白地域を埋める新法は、大きな被害の予想される津波対策に重点を置いたのが特徴だ

 巨大地震に対する大規模地震対策特別措置法(大震法)の適用を受けているのは近い将来発生する恐れのある東海地震だけ。しかし、東南海・南海地震は、東海地震の震源域とされる駿河トラフ(海溝)に連なる南海トラフ領域の地殻活動に起因すると考えられている。また各地震は100〜150年間隔で、ほぼ同時期または前後して発生している。

 昭和21年12月の南海道地震はマグニチュード(M)8.0、昭和19年12月の東南海地震はM7.9を観測し、いずれも津波などで千人以上の死者を出した。

 両地震からすでに50余年経過しており、昨年9月、文部科学省・地震調査研究推進本部の調査で、今後30年以内の地震発生率は、東南海地震が50%程度、南海地震が40%程度と予測している。また大阪府が南海地震の津波をシミュレーションした結果、大阪市の此花、大正、住之江、西淀川の臨海4区計約90ヘクタールに被害が及ぶという。

 このため、今年6月、和歌山、大阪、高知、三重の4府県知事の連名で地震対策の空白域を埋める新法制定を要望し、自民、公明、保守の与党3党が先月19日、同法案を議員立法で衆院に提出。その後民主党など野党各党が賛同し、超党派による提案に切り替えた。

 新法案は、百貨店など不特定多数の人間が出入りする施設を管理する事業者にも避難経路確保など津波対策を求めている。

(jf)


(02/01/23) 動物の異常行動で地震予知 神戸で市民講座

 地震の直前に動物が起こした異常行動と地震のメカニズムを考える市民講座「科学の挑戦・地震は予知できる」がこのほど、神戸市中央区の市産業振興センターで開かれた。

 関西の大学教授や動物病院の医師などでつくる「地震感知動物の育成プロジェクト」の主催。阪神・淡路大震災前に犬や猫などが異常に鳴いたり、騒いだりした報告が相次いだため、1996年1月、地震と動物の異常行動を調査する専門部会として発足した。

 岡山理科大学の弘原海清教授は、台湾で地震前にミミズが異常発生した事例を報告。「動物の異常行動はデータを集めるスピードが重要。インターネットを使うことで瞬時に危険性を知らせることができる」とし、データや情報発信システム構築の重要性を訴えた。

 大阪大学大学院の池谷元伺教授は研究室でナマズの行動を観察。昨年3月に発生した芸予地震では、3週間前に水槽のナマズが縦に跳びはねた例を挙げ、「地割れで発生する電磁波を、動物は敏感に感じ取る」と分析。その上で「地震を止めることはできないが、これらの情報を発信することが防災面で役立つ」と指摘した。

 続いて、神戸市立王子動物園科学資料館の権藤眞禎館長を座長に、研究者らによるパネル討論会が開かれ、「予知の確率を上げるためには、さまざまな学問でプロジェクトを組むことが必要」などと意見が交わされた。

(tr)


(02/01/15) 大地震前のペットの異常行動による地震予知目指し、情報収集

 「飼い犬が異常にほえた」「落ち着きがなかった」・・・。阪神・淡路大震災のあと、各地で報告されたさまざまな動物の異常行動を地震予知につなげようと、大学教授や獣医師らのグループが、動画の撮影、送信ができる携帯電語を使い、情報収集の試験運用を平成14年度中にスタートさせる。

 送信されたペットなどの異常行動を、専門家が判定する。政府は、東海から四国沖での巨大地震である東南海、南海地震が30年以内に発生する確率を約40〜50%としており、予知に役立てたい考えだ。

 グループは、神戸市に事務局を置く「地震感知動物の育成プロジェクト」(旗谷昌彦代表)。.関西経済同友会内の「関西サイエンス・フォーラム」の専門部会に属し、太田光明・、麻布大獣医学部教授や権藤眞禎・神戸市立王子動物園科学資料
館長ら研究者7人で構成する。

 太田教授によると、当面は大学の研究室にデータ収集用のコンピューターを設置。約100人のモニターを募り、ペットの異常行動があった場合に映像を送信してもらい、判定する。平成14年度から試験的に始めたいとしている。

 震災での動物の異常行動については、日本愛玩動物協会が平成7年2月に行った神戸市や芦屋市などの避難所68カ所での聞き取り調査で、イヌ149匹、ネコ38匹のうち、「地震が発生する前に何らかの異常行動を示した」のはイヌ39匹(26.2%)、ネコ15匹(39.5%)だった。特に、「異常に鳴いた」のはイヌ43.6%、ネコ46.7%にものぼった。

 獣医師の旗谷代表は「こうした動物の行動が『異常』なのか、『日常の範囲内』なのかを正確に判断しないと、地震の予知に結び付けて考えることはできない」と指摘。専門家による判定の方法を模索していた。

 一方、京阪神地域で昨年12月から、NTTドコモの「第三世代」携帯電語「FOMA」のサービスがスタート。従来方式に比べて最大約40倍もの高速データ通信が可能で、カメラを備え、テレビ電話として使える機種もある。

 プロジェクトが、FOMAの活用を検討した結果、動物の動きが把握できる、▽撮影や動画の送信が簡単、▽携帯できる、など、必要な機能を備えていると判断した。

 太田教授は「モニターを増やし、大規模地震が来る前に地震の際の動物の異常行動が収集、蓄積できれば、『そのとき』に備えることも可能になる」としている。

 プロジェクトは今月20日、神戸市産業振興センターで開く市民講座「科学の挑戦・地震は予知できる」で、新しい取り組みのデモンストレーションを行う。,,

(jf)


(02/01/13) 長野と宮城沖で予測精度引き上げ 文科省、大学などと協力

 大地震発生の可能性が全国で最も高い糸魚川―静岡構造線断層帯(長野県)と宮城県沖について、文部科学省は2002年度から、大学などと協力して観測体制を強化する。政府の地震調査研究推進本部は、今後30年以内にマグニチュード7.5以上の大地震が起きる確率はそれぞれ糸魚川―静岡構造線断層帯14%、宮城県沖で98%と算出しており、その発生時期や揺れの強さの予測精度を上げる。

 糸―静断層帯は糸―静構造線の一部で、長野県松本市などを南北に走る日本有数の巨大活断層。約1000年周期で大地震を起こしてきたが、この約1200年間は発生しておらず、内陸部で最も危険。

 また宮城県沖では、1978年のような大地震が40年程度の間隔で繰り返されており、近海地域では最も警戒を要する。

 文科省は、大学や防災科学技術研究所、国土地理院、海上保安庁水路部などと協力、3年計画で両地域に各3億円を投じて、観測を強化する。

 人工地震などで、地震を起こす断層の深部の構造を詳しく調べるほか、地震計や地殻変動を調べるGPS(全地球測位システム)の観測装置も数十台設置する方針だ。

 同推進本部(事務局・文科省)は、このように地震発生危険度の高い地域で今後、調査観測体制を重点的に整備するが、両地域を最優先とし、2002年度の政府予算案でそのための費用約2億円が認められた。

(mc)



(02/01/08) 東南海、南海地震で震源域全域の海底地殻観測システムを設置

 30年以内の発生確率が約40〜50%と政府が発表した海溝型地震の東南海、南海地震で、震源域全域の海底地殻の動きを観測するシステムの設置を、名古屋大学地震火山観測研究センターが1月中に始める。約100年の周期で日本列島に大きな被害をもたらしてきた東南海、南海地震の発生過程を克明にとらえることが可能で、地震予測の大きな武器としても期待が集まっている。

 海溝型地震に関する海底地殻変動観測は、名古屋大学の安藤雅孝教授らの研究グループと海上保安庁水路部が、システムの構築を進めている。

 阪神大震災以降、国土地理院は衛星を使った位置測定の方法「衛星利用測位システム」(GPS)により、地面のずれや動きを精密に測定する観測方法を整備してきた。しかし、海底には電波が届かないため、これまで観測方法が確立されていなかった。

 名古屋大学と海上保安庁が開発したシステムは海底の観測機器と衛星の間に中継施設として船舶を利用する方法。海上の船舶は衛星からの電波で正確な位置のデータを得る。船舶から海底に設けた観測機器へは音波を発信し、音波が船と観測機器の間を往復する時間から距離を割り出し、海底の動きを測る。衛星と観測機器のデータの照合から、海底の地殻の動きを割り出す。水深約1,500メートル地点で観測誤差5センチ程度の精度という。

 名古屋大学は、1月から約1年間で静岡沖から紀伊半島沖までの東南海地震の震源域の海底に10カ所の観測点を設置。数年後には、南海地震の震源域を含む九州沖までの海底50カ所に、観測機器を設置し、観測システムを完成させるとしている。

 海上保安庁は、すでに東北から熊野灘まで数カ所に観測点を設置しているが、名古屋大学は、特に東南海、南海地震の震源域全体をカバーする観測網の構築を目指している。

安藤雅孝・名古屋大学教授(地震学)の話
「海底地殻変動観測は防災計画のなかで重要な位置を占めつつある。最終的には不安定な船上での観測より海底ケーブルによる観測も目指すべきだ。常時、海底の動きを観測できれば、大地震の前兆の把握にもつながる」

(jf)


  
ymat