地震予知と対策
(2012年1月1日〜12月31日)

 



(2012/12/22) 地震動予測地図:発生確率最も高いのは「南海トラフ」など

 政府の地震調査委員会は21日、30年以内に震度6弱以上の揺れに見舞われる確率を示した「全国地震動予測地図」を公表した。最新のデータを基に2002年から毎年公表してきたが、東日本大震災の発生を想定できなかった反省から、昨年は公表しなかった。今年は、発生を予測することの難しさを認めつつも「現時点では最良」として公表した。

 発生確率が最も高い「26〜100%」となったのは、駿河湾から九州沖に延びる海溝「南海トラフ」沿いの東海から四国の各県や、首都直下地震が懸念される関東東部、千島海溝に近い北海道東部だった。県庁所在地では、大震災の余震の影響を受けている水戸市や千葉市で確率が大きくなった。

 調査委員会は大震災後、従来の予測手法を検証してきた。内陸型地震について「地震発生の周期が数千〜数万年と長いため、30年という短い期間で発生確率を予測するのは難しい」としている。

 ただ、従来の予測方法で1890年から30年おきの「予測地図」を作ったところ、実際に起きた地震の傾向と一致していたといい、「手法は有効」と自己評価。今後は、大きな地震を「想定外」としないために、過去に起きた最大規模の地震よりも大きい地震が起きることも想定して、予測に反映させていくという。

(rq)


(2012/12/12) M7級首都直下地震、4年内に70%の確率 東大地震研

 マグニチュード(M)7級の首都直下地震が今後4年以内に約70%の確率で発生するという試算を、東京大学地震研究所の研究チームがまとめた。

 東日本大震災によって首都圏で地震活動が活発になっている状況を踏まえて算出した。首都直下を含む南関東の地震の発生確率を「30年以内に70%程度」としている政府の地震調査研究推進本部の評価に比べ、切迫性の高い予測だ。

 昨年3月11日の東日本大震災をきっかけに、首都圏では地震活動が活発化。気象庁の観測によると12月までにM3〜6の地震が平均で1日当たり1.48回発生しており、震災前の約5倍に上っている。

 同研究所の平田直(なおし)教授らは、この地震活動に着目。マグニチュードが1上がるごとに、地震の発生頻度が10分の1になるという地震学の経験則を活用し、今後起こりうるM7の発生確率を計算した。

(sd)


(2012/11/11) 地電流で地震の58%を予測

伊豆諸島・神津島で、地中を流れる微弱な電流(地電流)の異常を監視し、58%の確率で地震発生を予測できたとの研究結果を東海大や東京学芸大などの研究グループがまとめ、10日までに米国科学アカデミー紀要電子版に掲載された。

 研究グループの東海大の長尾年恭教授(固体地球物理学)は「58%の確率は統計学上、意味のある数字。地震の先行現象の有無には議論があるが、存在する可能性が示された」と話す。

 分析したのは、平成9年5月〜12年6月、神津島で観測された地電流の変化と、周辺で発生したマグニチュード(M)3以上の地震の関係。島の地中に約100メートル〜3キロ間隔で約20基の電極を埋め込んで地電流の流れ方を観測し、島から約20キロ圏内で発生した地震との関係を調べた。

 期間中に地電流の強さや向きが変わった「異常」が観測された回数は19回で、うち11回はM3以上の地震が30日以内に発生しており、研究グループは「予測率58%」としている。

 地電流の異常は、落雷などの天候や太陽の影響によるものは除外しているという。期間中に発生したM3以上の地震は23回だった。

 長尾教授によると、地震前に地電流が変化するメカニズムは諸説あるが、地下にひずみがたまって圧力が不均質になった際に地下水が動くことなどが要因とみられる。

 今回の地電流観測は、ギリシャで地震予知成功につながったとされる「VAN」と同様の手法。地電流は都市では人工的なノイズの影響を受けやすいことから今回、離島で観測した。

地電流
 地球内部を流れる微弱な電流。地中に埋めた電極間に生じた電位差(電圧)を検知し観測する。地殻変動や火山活動に伴い地下水や地中の物質が移動したり地熱が高まったりすると地電流が変化すると考えられ、断層などの地下構造探査に利用される。ギリシャの物理学者らが地震予知に成功したとされる「VAN法」は、地電流の特殊な電気信号を地震の前兆と見なす手法。「的中率60%」とされる一方、「誤差が大きすぎる」との見方もある。

(rt)


(2012/10/20) 地震前兆 小刻みの波 4時間前に確認 昭和21年の南海地震

 昭和21年に起きた「昭和南海地震」で被災した高知県沿岸で、地震発生の4時間前に前兆現象とみられる小刻みの波が確認されていたことが17日、分かった。この波は江戸時代の文献に「鈴波」と記録され、「津波のさきがけ」との記述もあったという。東海沖から九州沖の南海トラフで想定される巨大地震対策に役立つ可能性がある。

 同県土佐市の自主防災連合会長、中村不二夫さん(68歳)が、南海地震を経験した約400人から聞き取り調査し、北海道函館市で開催中の日本地震学会で発表した。

 中村さんによると、地震発生の4時間前、土佐市沖に漁に出ていた男性が「船の横を一斉にピチャピチャとたたく、経験したことのない波に遭遇した」と証言。約50キロ離れた高知県四万十市でも、ほぼ同じ時間帯に同様の波を体験したとの証言を得たという。

 また、中村さんが過去の文献などを調べたところ、幕末に起きた安政南海地震(1854年)について記した「真覚寺日記」や、太平洋沿岸の地震に関する石碑に証言と似た波に関する記述があった。

 過去の記録では、この波を「鈴波」として紹介し、真覚寺日記では鈴波について「津波のさきがけ」とも記載。中村さんは「特徴的な前兆現象だ」としている。

 昭和南海地震の前兆現象としては、地震発生11時間前に高知、徳島両県の計17カ所で大規模な退潮が発生したほか、1週間前には井戸枯れなどがあったことも確認されている。

 今後発生が予想される巨大地震では、土佐市で最大24メートルの津波が想定されており、中村さんは「かつて住民が経験した前兆現象を過去の記録から学ぶことも有効な手段だ」と話している。

(bd)


(2012/10/19) 「地震予知」使わず 日本地震学会が名称を変更

 大きな被害を出した阪神淡路大震災や東日本大震災で、防災に貢献しなかったとされる「地震予知」について、日本地震学会が名称を変更し、主要な研究目標にしない方針を固めていることがこのほど、分かった。学会自体が半世紀前に問題提起し、国が進めてきた「地震予知」の"方向転換"を求める異例の事態。

 一方で、学会員(研究者)らの中には「研究対象として地震予知を放棄すべきでない」とする意見もかなり多いことなどを受け、学会は今後、名称をどう変更するかや活動方針について学会員から意見を求め、正式に方針を決定するとしている。

 同学会は、「日本地震学会の改革に向けて」とする行動計画をまとめ、その中で「地震予知への取り組みを見直すべきだ」とする提言を掲げた。

 提言では、50年前に学会が問題提起し昭和40年から国が進めてきた、前兆現象をとらえ事前に地震発生を国民に警告する「予知研究計画」について、「阪神淡路大震災や東日本大震災を事前に予測することはできず、現時点では実現の見込みはない」と総括。

 「地震予知」は「地震発生予測」の一分野として研究の可能性は認めながらも、国民に誤解を与えるとして、学会の活動である「地震予知検討委員会」などで、「地震予知」という名称を取り下げるべきだとしている。

(rt)


(2012/10/18) 「前兆現象で発生の事前特定は困難」 地震学会シンポ

 日本地震学会秋季大会が16日、北海道の函館市内で始まった。初日のこの日は地震予知研究の将来像についてのシンポジウムが行われ、地震予知の是非論が展開された。参加者の間では「前兆現象で地震発生を事前に特定することは困難」として、これまでの地震予知のあり方に否定的な認識でほぼ一致する異例の事態となった。

 このほかシンポでは、国が最大死者32万人と想定した南海トラフ巨大地震(東海・東南海・南海地震)に備えるため、海底観測網の充実の必要性も指摘された。

 地震の前兆現象をとらえて地震警戒を促すとの目的で始まった予知研究計画は「ブループリント」と名付けられ、昭和40年から実施。阪神淡路大震災や東日本大震災で被害を避ける役割を果たせなかったため、そのたびに有効性が疑問視されてきた。

 一方で今年8月末、最大死者32万人などとした南海トラフ巨大地震の被害想定が公表された際、中川正春・防災担当相(当時)が「予知にも力を注ぎたい」と発言したことから、再び注目を集めつつある。

 シンポには、地震予知に否定的な東京大のロバート・ゲラー教授や、逆に肯定的な立場を取る同じ東京大の平田直教授のほか、東北大の日野亮太准教授や地震予知総合研究振興会の津村建四朗氏らが参加した。

 シンポの中で、「これまでの予知研究の継続は、例えば東海地震の発生が事前に予測されるかのような誤解を生んでいる」「高い関心を呼んできた予知を軸とした地震研究の継続があったからこそ、地震現象への理解が深まり、観測体制の強化につながった」など是非論が展開された。

 議論の末に「地震現象は多様であり、前兆現象を一様にとらえて、地震発生を事前に特定することは難しい」との認識で一致。また国が、東日本大震災の発生を受け被害想定の見直しを進める、南海トラフ巨大地震対策のために、海底の地震観測網を充実させることの必要性が指摘された。今回の地震学会は19日まで行われる。

(jf)


(2012/09/30) 大阪で地震フォーラム 「予知、科学で可能」

 地震予知の最新研究を報告する国際フォーラム「地震予知への挑戦」が28日、大阪国際会議場(大阪市北区)で開かれ、電磁気や気象などの計測データから科学的に地震の発生を予知恐きるかなどの成果が報告された。

 講演は、地震予知研究や東日本大震災の教訓などがテーマ。国内で最先端研究に取り組む国際高等研究所の尾池和夫所長や東海大の長尾年恭教授らが講師を務めた。

 長尾教授は講演で、日本の地震予知の現状について「直前予知の研究は全くと言っていいほど国レベルで行われていないのが現実」と指摘した上で、最新の研究を紹介。「地震予知は超能力や予言と違い通常科学で解決可能な問題だ。今後、多分野からの研究推進が期待される」と述べた。

(bd)


(2012/09/01) 津波警報「すぐに避難」は35% 免許更新者調査 

 東南海・南海地震の津波被害を想定し、兵庫県警が実施した運転免許更新者に対するアンケート調査で、浸水が予想される地域で津波警報が発令された場合、「すぐに避難する」と答えた人が35%にとどまることが分かった。県が公表している津波被害警戒区域図で自宅の浸水を確認した人もわずか約1割で、浸水区域に対する関心の低さも明らかになった。

 アンケートは6〜7月、人と防災未来センター(神戸市中央区)の協力を得て、県内の運転免許更新センターや淡路島の警察署などで実施。20〜70代の3086人から回答を得た。

 それによると、南海トラフ付近で起きる大地震に備え、県が昨年10月に公表した津波被害警戒区域について、45%が「知らない」、44%が「知っているが詳しく見ていない」と回答。「図を見て自宅や職場の被害を確認した」としたのは、わずか11%だった。

 さらに、「自宅が浸水するかもしれない」「分からない」と答えた人のうち、津波警報を知った時、「すぐに避難する」としたのは35%。県内で津波の到来が最も早いとされる淡路島でも37%にとどまった。これに対し、「自治体の避難勧告・指示が出てから」は31%、「外出中の家族と連絡をとってから」は22%だった。

 また避難先は、小学校などの公的施設(35%)、高台や海から遠いところ(30%)、マンションの上階や屋上(13%)‐などで、「その時にならないと分からない」が9%だった。地域別にみると、淡路島では、高台や海から遠いところに避難すると答えた人が61%を占め、マンションを避難先とした人は阪神沿岸(22%)や神戸(15%)で他の地域より多かった。

 県警災害対策課は「津波への危機意識が低調のようだ。あらためて備えを確認してほしい」としている。県警は調査結果を地震・津波での初動対応を定める各署のマニュアル「初期対応要領」に反映させる方針。アンケートの詳細は県警ホームページで公開している。

(dr)


(2012/08/30) 巨大地震を想定 県内自治体、津波避難ビル指定急ぐ 

 南海トラフの巨大地震などに備え、兵庫県内の沿岸市町が、住民が緊急時に逃げ込む「津波避難ビル」の指定を急いでいる。29日までに、沿岸14市1町のうち11市1町が少なくとも879棟を指定。昨年6月比で約7倍になった。ただ自治体間で“格差”が発生。阪神間の自治体がマンションを中心に指定を加速させる一方、高い建物が少ない南あわじ市などはゼロとなっており、対策を模索している。

 内閣府の想定では、兵庫県に最も影響のあるケースで津波による死者は4100人。だが全員が発生直後に避難を開始すれば約30人に激減する‐と推計され、避難の重要性が浮き彫りになった。

 津波避難ビルは、浸水が予想される地域とその付近で、住民が一時的に逃げ込める3階以上の建物。緊急時に開放できるよう市町村が鉄筋コンクリートのマンションや公営住宅などを指定する。避難は浸水区域の外に出るのが望ましいが、高齢者や障害者ら避難に時間がかかる人には避難ビルが“命綱”になる。

 最短1時間51分で最大5メートルの津波が予想される西宮市。昨年6月時点の指定はゼロだったが、同8月、JR神戸線以南で指定を開始。約1300の民間マンションに案内を送り、応じる意向のある管理組合や業者と面会を重ねた。大学、ホテル、病院のほか、西日本で初めて都市再生機構(UR)と協定を結ぶなど、市を挙げて取り組む。既に同線以南の人口21万人を上回る23万人の収容場所を確保。市は「避難ビルの空白区をなくしたい」とする。

 一方、県内最大の9メートルが最短39分で到達する南あわじ市はゼロのまま。特に対策が急がれるのが、平野が広がる沿岸部の阿万(あま)地区。田園地帯で、3階建て以上のビルはほとんど見当たらない。指定避難所の阿万小学校は海岸から約1.5キロで、海抜は津波高と同じ約9メートル。同市は「高い建物がなく、指定のしようがない。避難路を整備し、高い場所にある県道へ逃げ込めるようにしたい」と危機感を募らせる。

 最短1時間23分で最大4メートルが襲う神戸市は82棟で、昨年6月と変化がない。既に2002〜06年度、住民とのワークショップで指定を進めたといい、「避難ビルも大事だが、津波が来るまでに1時間以上ある。水の来ない内陸へ逃げる『水平避難』に力を入れたい」とする。最短1時間49分で同3メートルの明石市もゼロだが、「標高掲示板」を市内約100カ所に掲げ「まずは高所に逃げるよう啓発を強めたい」としている。

 鉄道の高架駅や高速道路を避難場所にする動きも出てきた。東日本大震災では、盛り土構造の道路が堤防の役割を果たし、多くの住民が難を逃れた。この教訓を生かそうと、阪神高速や西日本高速、関西の2府6県が参加する「近畿地区幹線道路協議会」は昨年、津波避難部会を結成。普段は立ち入りが禁止されている高速道路の一部を避難場所に活用することで合意した。

 和歌山県の沿岸部ではインターチェンジの空き地を避難場所に指定し、斜面下の住宅街から逃げられるように階段を整備した。阪神間では、津波の浸水エリアを東西に走る阪神高速を避難場所として検討中だ。

 関西広域連合は、JR西日本のほか、阪神、阪急、山陽など関西の私鉄6社を交えて「地震・津波避難検討会議」を設立した。沿岸部の高架駅を対象に、自動改札機の開放など緊急時の避難者の受け入れ方法を検討している。

(la)


(2012/08/30) 南海トラフ巨大地震、関東以西で最大32万人死亡 内閣府想定 

 内閣府は29日、東海沖から四国沖の「南海トラフ」沿いで巨大地震が起きた場合、関東以西の30都府県で最大32万3千人が死亡するとの被害想定を発表した。兵庫県内では、全ての堤防と水門が被災して機能しない最悪のケースで、阪神・淡路大震災の死者6434人を上回る約7400人となる。一方、発生直後に全員が避難し、津波避難ビルを効果的に活用できた場合、津波による死者を最大で9割減らせると推計。対策の重要性を浮き彫りにした。政府は発生確率は極めて低いとしているが、最悪の事態に備え、特別法の検討を急ぐ方針。

 2003年の前回推計は地震規模をマグニチュード(M)8.4クラスで想定、死者数は最大2万4700人だった。今回は想定震源域を2倍に広げ、地震規模もM9クラスに引き上げた。

 死者数が最も多いのは駿河湾〜紀伊半島沖が大きく動くケースで、都府県別では静岡県が最多の10万9千人、和歌山県は約3万5千人、兵庫県は2800人などで、東日本大震災の死者・行方不明者の17倍に上る。

 津波による浸水面積(水深1センチ以上)は最大約千平方キロで、東日本大震災の1.8倍。津波に巻き込まれるとほぼ全員が死亡するとされる水深1メートル以上は約600平方キロで、大阪府の面積の3分の1に相当する。

 一方、津波による死者数は、発生直後の避難を、100%、70%、20% の3ケースに分けて試算。深夜は発生後10分、昼間は同5分で全員が避難を開始すれば津波による死者は最大で9割減る。

 兵庫県内の最大震度は震度7が洲本、南あわじ市。6強が神戸、姫路、明石、加古川、高砂、たつの、淡路の7市と播磨町となっている。

 県内で死者数が最大になるのは、冬の午後6時、紀伊半島沖〜四国沖が大きく動くケース。7400人の内訳は、津波=約4100人、建物倒壊=約1400人、火災=約200人 など。堤防や水門が機能すると約1600人減となる。さらに、発生直後に全員が避難すれば、津波による死者は約30人にまで激減する。

 津波高は南あわじ市の9メートルが最大。洲本市6メートル、尼崎、西宮、芦屋の各市が5メートル、神戸市、淡路市が4メートルなどで、兵庫県が、暫定値として現行の2倍で想定した被害の範囲内に収まる。

 浸水面積は全県域で4470ヘクタール。最大は南あわじ市の約千ヘクタール、神戸市中央区が約700ヘクタール。水深1メートル以上は南あわじ市や神戸市中央区、同兵庫区など約1200ヘクタール。

 兵庫県は本年度中にも、防潮堤の整備や補強などを盛り込む「津波防災インフラ5カ年計画」を取りまとめる。県防災計画課は「ハードとソフトの両面から減災の取り組みを進めたい」としている。

(br)


(2012/08/16) 中央防災会議が南海トラフ地震で最悪想定 犠牲30万 

 東日本大震災を受けて、東海・東南海・南海地震の被害想定の見直しを進めている国(内閣府)の中央防災会議の作業部会が、最悪の場合の犠牲者が30万人規模にのぼると想定していることがこのほど分かった。ほとんどの犠牲者が津波被害によるもので、太平洋沿岸部に集中しているという。

 防災会議の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」の取りまとめ役を務める河田恵昭・関西大教授は今年5月に「犠牲者は最悪で30万人規模になる」との個人的見解を示していたが、作業部会も同様の見方を強め、"追認"した形。一方、防災会議が3月に公表した「南海トラフ巨大地震の新モデル」の津波高、震度について、その後の検討で過大推計していたことも判明したという。

 東海・東南海・南海地震の被害想定をめぐっては、中央防災会議が昨年末、マグニチュード(M)9となった東日本大震災の分析等により、まず「南海トラフ巨大地震の新モデル」を公表。今年3月末、この新モデルに基づいて想定される津波高や震度を算出した。

 検討を行っている中央防災会議作業部会の委員らによると、被害の「最悪のシナリオ」は、津波からの避難行動がとりにくい深夜に地震が発生した場合を想定。また南海トラフの巨大地震によって被災が想定される西日本太平洋沿岸部は、東日本大震災で被害を受けた地域の沿岸部に比べ、津波の到達時間が数分の一と短く、さらに被害が拡大するとみている。

 河田教授は「個人的見解」の中で、まず深夜に巨大地震が発生した場合、昼間に発生した東日本大震災のときより在宅率があがることなどから、犠牲者が3倍になると想定。さらに、被災すると想定される地域の人口が東日本大震災の被災地の6倍以上も多いことから、双方を掛け合わせて「犠牲者は最悪30万〜40万人にのぼる」との数字をはじき出していた。作業部会全体としても、同様の見方にたつとみられる。

 一方、地震被害については、震度を下方修正することになるという。このため、南海トラフで起こる巨大地震の特徴とされてきた強い地震の揺れによる影響が小さくなることになり、作業部会の委員からは「地震の影響については、今後あらためて公表すべきだ」との意見が出されているという。

(jf)


(2012/08/05) 大噴火想定し防災対策検討 内閣府、年度内提言へ

 東日本大震災の影響で火山の噴火が誘発される恐れがあるとして、大規模な噴火の防災対策を話し合う内閣府の検討会が3日、初会合を開いた。過去の巨大地震では発生後に噴火が起きたケースがあり、富士山や浅間山などを念頭に今年度中にも提言をまとめ、国や地方の防災計画に生かす。

 国内では江戸時代の宝永4(1707)年の富士山や、大正3年の桜島のような大規模噴火は戦後、起きていない。座長の藤井敏嗣東大名誉教授は会見で「異常な事態であり、今後間違いなく来る。対策を取らずに起きることは避けたい」と述べた。

 検討会では特定の火山を対象とせず、降灰や土石流などによる広範囲で長期に及ぶ被害を想定し、広域防災のあり方などを検討する。数千〜数万年前に起きたカルデラを形成するような巨大噴火はデータ不足などを理由に対象外とした。

(qz)


(2012/07/20) 南海トラフ「東日本大震災超え、国難」中央防災会議中間報告

「南海トラフ巨大地震」と「首都直下地震」の対策を検討してきた国の中央防災会議の二つの作業部会が19日、それぞれ中間報告をまとめた。

 高さ10メートル以上の津波が11都県を襲うと想定される南海トラフ巨大地震を「東日本大震災を超え、国難とも言える巨大災害」と位置付け、集団移転などの対策を提示した。また首都直下地震については「我が国の存亡に関わるもの」として、東京圏以外で政府業務を継続する拠点の設置を検討するよう提言した。

 南海トラフ巨大地震の津波対策としては、海岸堤防だけに頼らずに「住民避難」を基本とし、学校などの重要施設の強化・配置の見直しが必要とした。また最大級の津波に対して避難が困難で、住民合意がある場合は「中長期的に住居等の集団移転も有効な方策」と指摘。今後、津波に強い地域構造の構築が必要だとした。

(sd)


(2012/06/11) 津波「車で避難」も一定効果 

 津波から避難するために、国が検討を始めた車の利用について、群馬大学災害社会工学研究室(片田敏孝教授)がシミュレーションを実施したところ、車の利用率が15%までの場合、犠牲者が出なかったことが分かった。東日本大震災の国の調査では、生存者の6割が車を利思していたことが判明。国は現在、「徒歩による避難」が原則としながらも、車による避難のルールづくりを検討している。

 群馬大は、東海・東南海・南海地震の被災想定地である三重県尾鷲市を舞台に、今回初めて車を使った避難のシミュレーションを実施。地震発生20分後に6メートルの津波が襲うと仮定し、地震発生から5分後、沿岸から500メートルの高台(標高30メートル)を目指し、避難を開始することを想定した。

 その緒果、車の利用率が15%までは犠牲者はゼロ。15%を超えた時点から犠牲者が出始め、30%で100人超、50%で500人超、65%で1000人超となり、車の利用率100%で1622人となった。

 一方、地震発生から5分後に徒歩で避難した場合も犠牲者はゼロだった。つまり、車の利用率が15%以内に制限された場合には、徒歩による避難と同様の効果があることが分かった。

 また、米ワシントン州ロングビーチを舞台に、広い平野部でのシミュレーションを実施。避難先を3キロ先に設定したところ、車の利用率ゼロで犠牲者数は最高の1901人に。以降、車の利用率が高まるほど犠牲者数は減少。70%で832人と最少となり、70%を超えると犠牲者数は増加に転じた。

 片田教授は「無秩序な避難は犠牲者を増大させることが分かる。徒歩圏内で高台を整備するか高台移転が先決だ」と指摘。そのうえで、「移動が不自由な災害弱者対策や高台が設定できない平野部では車による避難は一定の効果がある」としている。

(pl)


(2012/06/02) 兵庫の地域防災計画 被害想定14年ぶり見直しへ

 兵庫県は1日午前、神戸市内で防災会議を開き、地域防災計画に盛り込む内陸地震の被害想定を14年ぶりに見直すことを決めた。大阪府豊中市から岸和田市に至る「上町断層」が動いた場合、県内でも最悪のケースで建物の倒壊と崖崩れ、火災、道路や鉄道の事故で死者は5999人と推計。今後、市町の防災計画にも反映し、広域での災害対応や物資の備蓄量などの再検討を進めていく。

 県は2010年5月、最新の研究成果を基に、県内を震源とする内陸の8地震と近隣府県の13地震を公表。大規模な被害が見込まれ、切迫する4地震を中心として被害の想定を進めてきた。

 上町断層が今後30年に発生する確率は2〜3%。最大でマグニチュード(M)7.5の地震が起き、県内14市3町が震度5強以上の揺れに見舞われるとしている。

 県によると、県内の住宅や道路、公共施設への直接的な被害額は最悪の場合、約7兆2367億円(阪神・淡路大震災は約9兆9268億円)と推計。尼崎市が約4兆円、西宮市が1兆円超と阪神間を中心に大きな被害が見込まれ、避難者は約92万人、食糧の不足量は4日後に約177万食分に達する。なお、大阪府によると、府内の死者は最大1万2千人。

 ほかに、複数の断層からなる山崎断層は、三木市から岡山県美作市にかけて同時に連動した場合のM8.0(30年確率0.03〜5%)の地震で試算。愛媛県から奈良県までを東西に貫く中央構造線は、うち紀淡海峡から鳴門海峡間にかけて動くM7.7(同0.005〜1%)、養父断層はM7.0(同0.45%)で被害を想定した。

 県は今回、地表から位置が確認できない断層も41あるとして、M6.9の地震が各市町役場の直下で動いた場合の震度予測も防災計画に盛り込んだ。一方、海溝型の「東海・東南海・南海」地震については、国が東日本大震災後に地震モデルの改定を進めているため、対象外とした。

 同会議は6年ぶりに開かれ、委員ら48人が出席した。会長の井戸敏三知事が「東日本大震災の津波被害や県西・北部豪雨災害(2009年)の教訓も踏まえ修正した」と述べ、避難対策や応援体制も充実させたと報告。原案通り、承認された。

(dr)


(2012/05/31) 東日本大震災後、関東の一部で活発な地震活動続く

 千葉県・銚子付近や茨城・福島県境など関東地方の一部地域で、東日本大震災後から現在にかけて地震活動が活発な状態が続いていることが、気象庁の解析でわかった。30日の地震予知連絡会で報告した。

 関東地方直下では、陸のプレート(地球を覆う岩板)の下に、南と東から海側のプレートが沈み込んでいる。解析によると、震災前は目立った地震活動のなかった千葉県の銚子付近や茨城・福島県境で、震災直後から陸のプレート内部を震源とするマグニチュード2以上の地震が多く観測された。関東地方東部では、海側のプレートで起こる地震も増えている。いずれも大震災でプレート内部にかかる力が変化した影響とみられる。

 地震活動は徐々に低下しているが、気象庁は「大きな地震の可能性は否定できないので、注意してほしい」と呼びかけている。

(fk)


(2012/05/26) 沖縄本島M8級地震切迫か 500年間隔で大津波発生

 沖縄本島の南東沖でマグニチュード(M)8.5の巨大地震が最短約500年間隔で発生し、沿岸が最大20メートル以上の大津波に襲われていた可能性のあることが24日、大阪市立大と琉球大などの調査で分かった。

 調査チームは平成22年、沖縄本島北部西海岸の塩屋湾と羽地内海(はねじないかい)の海底で、深さ3メートルまでの堆積物を採取。分析した結果、津波で運ばれたとみられるサンゴや貝の破片を合む2〜3層の堆積層を発見した。

 年代測定したところ、堆積層は500〜600年前、1100〜1400年前、1900〜2100年前と判明。台風や高潮が原因ならもっと頻繁に堆積するほか、いずれの湾も波が入りにくいことから、500〜1000千年間隔で大津波が押し寄せたとみられ、これにより次の発生時期が迫っている恐れがある。

 同島の南東沖百数十キロには、フィリピン海プレート(岩板)が、陸側プレートに沈み込む南西諸島海溝があることから、大阪市立大の原口強准教授(地質工学)は同海溝付近を震源とする「プレート境界型地震」による津波の可能性が高いと推定した。

 琉球大の中村衛准教授(地震学)は、この地震の規模をM8.5と算出。将来発生すると、津波の高さは東海岸全域で15メートル以上、那覇市や名護市で8〜10メートル程度と予想した。一方、政府や県は同海域でこれほどの巨大地震や大津波の発生を想定していない。

(jf)


(2012/05/25) 首都圏M8級地震早まる? 東日本大震災が後続誘発か

 東日本大震災とその余震によって関東地方のプレート(岩板)が刺激され、マグニチュード(M)8級の地震が、予想よりも早く首都圏で起きる可能性があるとの分析結果を、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)の研究チームがまとめたことが23日、分かった。

 誘発が懸念されるのは、政府が首都圏での発生を警戒している「関東地震」。1923(大正12)年の関東大震災もこのタイブの地震で、過去の発生周期から予想される30年以内の発生確率は0〜2%。チームの井元政二郎主幹研究員は「発生確率が上がった可能性がある。M7級とされる首都直下地震だけではなく、M8級の地震についても警戒を怠るべきではない」としている。

 M8級の関東地震は、過去に1703年と1923年に起こったが、いずれもその30年ほど前に、三陸沖から房総沖で大地震(延宝房総沖地震、明治三陸地震)が発生。これと合わせ、869年の貞観地震以降、東北の太平洋沖を震源としたM8級の地震は5例あるが、うち4例で30年以内に関東でM7級以上の地震が後に続いた。

 さまざまなパターンが、考えられる関東地震の発生周期をシミュレーションすると、2つの地域のこれらの地震が無関係に起こった確率は5%以下。東日本大震災の後続の大地震が、今後30年以内に関東で起きる可能性もあると分析した。

 太平洋プレートは、東北から関東の東側で陸側プレートの下に沈み込んでいる。井元氏によると、東北地方で起きた地震が、南側の関東に近い場所でプレートにかかる力を増加させている可能性があるという。

(pl)


(2012/05/22) 南海トラフ地震の長周期地震動、東日本大震災より強く長く

 南海トラフで巨大地震が発生した際、東京や大阪で高層ビルをゆっくり大きく揺らす長周期地震動が東日本大震災よりも強くなり、揺れる時間も長くなる可能性が高いことが、東京大の古村孝志教授らのシミュレーションでわかった。21日、千葉市であった日本地球惑星科学連合の大会で発表した。

 古村教授らは、過去の地震の記録や政府の想定などを参考に、南海トラフでマグニチュード(M)8.7の巨大地震が起きた場合、長周期地震動の特徴や伝わる様子をモデルで予測。60階くらいの高層ビルなどに影響が出やすい周期が6秒の揺れについて、M9だった東日本大震災と比べた。

 その結果、南海トラフで起きる長周期地震動の強さ(揺れの速度)は、東京で東日本大震災の約2〜3倍、大阪で5倍にもなった。南海トラフから関東平野まで、地盤が比較的軟らかく、長周期地震動を増幅して伝えやすい構造が続いていることが要因だという。

(ue)


(2012/04/20) 首都、震度7 想定見直し 死者9641人

 東京都は18日、首都直下地震など4パターンの地震で起きる新たな被害想定を公表した。平成18年の想定では東京湾北部を震源とする首都直下地震で最大震度は6強だったが、最大震度7の地域が生じ、6強の地域も拡大、首都圏にも被害が及ぶ恐れがある。死者数は6413人から9641人に増加。東日本大震災を踏まえ、マグニチュード(M)8超の地震も初めて想定し、津波被害の発生も見込んだ。震災廃棄物(がれき)は東日本大震災を上回る最大4289万トンが発生するとした。

 想定は同日、防災会議で地震部会(部会長・平田直 東大地震研究所教授)が報告。都はこれを踏まえ、地域防災計画を修正、9月までに素案をまとめる。

 想定したのは東京湾北部地震(M7.3)▽多摩直下地震(M7.3)▽元禄型関東地震(M8.2)▽立川断層帯地震(M7.4)の4タイプ。津波被害発生のモデルとして元禄型関東と活断層で発生する立川断層帯の2地震を18年想定から新たに加えた。

 東京湾北部地震と多摩直下地震では、文部科学省の研究チームが3月、想定される震源の深さがこれまでより浅くなるとした調査結果を反映。大田区や品川区、八王子市、日野市、昭島市などで震度7の地域が出た。元禄型関東地震でも大田区や品川区、町田市で、立川断層帯地震では立川市や福生市などで震度7の地域が生じた。震度6強以上の地域は東京湾北部では区部の7割、多摩直下では多摩の約4割に及んだ。

 東京湾北部地震の発生時間を冬の平日午後6時(風速8メートル)と仮定した場合、建物倒壊や火災による死者は9641人、負傷者14万7611人と算出。23区西部から南西部、東部の荒川沿いの木造住宅密集地域を中心に火災が発生するとした。

 今回初めて想定に加えられた元禄型関東地震による津波は東京湾岸で最大2.6メートルとされ、伊豆諸島などでは最大22メートルの津波が起きる。波の遡上を防ぐ水門が機能すれば、河川敷が浸水する程度と分析。水門が開いたままでは建物が全半壊する可能性も指摘したが、死者は出ないとした。

(jf)


(2012/04/15) 首都直下地震、東京の死者1万人想定 震源見直しで増加

 首都直下型地震の被害想定を見直している東京都が、都内の死者数を約1万人と算出していることがわかった。6年前の想定では約6400人だったが、23区内の大半が震度6強以上になり、建物の倒壊や火災で死者数が増える見通しだという。

 地震の専門家らでつくる東京都防災会議は、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の首都直下型地震を想定。発生時間帯は、空気が乾燥して風も強く、火災の被害が大きくなる「冬の午後6時」で算出した。

 3月に首都直下型地震の震度分布図を公表した文部科学省と同様に、震源を前回6年前の想定より約10キロ浅くしたところ、新たに震度7の地点が生じた。6年前の想定では、建物の不燃化率を地域単位で推計したが、今回は各区市町村を通じて建物1棟ごとの不燃化状況や建物の密集具合を反映させて、より正確な数値に近づけたという。

(xr)


(2012/04/09) 日本海溝:巨大4地震の痕跡 日独チームが1万年分調査

 東日本大震災の震源域で海底調査をしていた日独の共同研究チームが、日本海溝の海底から過去1万年分とみられる堆積物を採取し、4回の巨大地震の痕跡と考えられる層を発見した。独側責任者のブレーメン大のジェラルド・ウェファー教授らが7日、毎日新聞の取材に明らかにした。日本を襲った複数の巨大地震の痕跡が海底で確認されたのは初めてという。

 研究チームは東日本大震災の発生メカニズムを解明するため、ドイツ側の呼びかけを受け、ドイツの海洋調査船「ゾンネ号」で調査をした。

 ウェファー教授によると、太平洋プレートが北米プレートの下に潜り込む日本海溝沿いで、地震による海底の地形変化などを調べるため堆積物を採取した。水深約7700メートルの海底15カ所で長さ10メートルの円柱状の機器を打ち込み、過去約1万年とみられる深さ10メートル分を引き上げた。

(uh)


(2012/04/04) 防災担当相と阿部名誉教授 「最悪の事態に備えるべき」

 東海・東南海・南海地震について新たな想定を公表した中央防災会議。中川正春・防災担当大臣と、想定を検討した阿部勝征・東大名誉教授がこのほど会見し、「考え得る最大級の地震をモデル化したのであり、次に起こる地震を示したわけでない」としながらも、「東日本大震災よりも被害が大きくなる。最悪の事態を想定し、切迫感を持って備えるべきだ」と強調した。

 中川大臣は「東日本大震災級の地震と津波に備えるためにはどのような想定が必要かを考えた」と説明。想定した超巨大地震への備えについては、「被害を最小限にする『減災』への取り組みが必要だ。そのために、国民ひとりひとりにその考え方を浸透させる必要がある」と述べた。

 阿部名誉教授は「津波の想定には不安がつきまとい、11パターンの想定を要した」と、東日本大震災が与えた津波被害の衝撃の大きさを感じさせた。また、西日本の避難対策については、「西日本の津波の到達時間は最短で数分だ。揺れている最中に避難を開始しなければ、助からない司能性がある」と警告した。

MAT : このたびの想定見直しは東日本大震災で「被害を過小評価した」と批判されたのに懲りて想定レベルをまるでテンコ盛りしたような感じがする。「被害の想定レベルを上げて備えるべき」というのはシロウトでも考えること。しかし、それには厖大なカネと時間を要す。もっと現実的なことを言えないものか。それに、学者は「揺れている最中に避難を開始しなければ、助からない」と言うがそんなのできっこない。これまた非現実的な提言ではないか。

(ue)


(2012/04/04) 津波被害 想定見直し 太平洋岸の自治体「対応能力に限界」

 内閣府の有識者会議による「南海トラフ」の巨大地震の新想定で、震度、津波高とも、従来の想定より大幅に引き上げられた紀伊半島や四国の太平洋岸の自治体では3月31日、住民の間に驚きが走るとともに、大きな不安が広がった。

 「高くなっても20メートル程度だと考えていた」高知県では、平成15年に公表された東海・東南海・南海地震の想定にもとづく津波は、高くても10メートル台だった。それが、今回の想定では最高値が34.4メートル(黒潮町)に引き上げられた。

 同県は東日本大震災後、自主防災会の組織づくりを住民に呼びかけ、避難計画の策定を求めてきた。

 これに対し、沿岸の自治体は、津波の際こ使用する「津波タワー」の建設の必要性を訴えてきた。これは、「高台が遠い」「避難ビルが乏しい」などの間題を抱えており、現状では地域の避難対策が限界にあることを示している。

 だが、今回の想定で沿岸部は軒並み20メートルを超えており、同県南海地震対策課は「現時点では、20〜30メートル級をクリアして住民を守れる理由はない」と頭を抱える。

進む高齢化に不安
 高知県と風様、沿岸部が震度7、津波の高さが20メートル以上となった三重県は東日本大震災以後、地震の想定を2倍に引き上げ、独自で対策の見直しを進めてきた。

 しかし、今回の想定は、こうした取り組みをはるかに超えている。県の見直し後の津波の想定が最高13メートルだった尾鷲市は24メートルになった。

 同市防災危機管理室の川口明則室長は「本市は『5分での避難完了』を目標にしてきた。しかし、年々、住民が高齢化していく。避難ビルの指定や津波タワー建設も考えているが、今回のような想定では、こうした対応能力こ限界がある」と話す。

意識改革急ぐ必要
 津波の想定が和歌山県内最大の18.3メートルとなったすさみ町でも、住民が受けた衝撃は大きい。岩田勉町長は「大変驚いているというのが正直な感想。これまでの想定と違うということを認識してもらうために、住民の意識改革を急ぐ必要がある」とする。だが、同町は高齢化率が40%を超えており、現状では避難困難者が続出する可能性が高い。

 県南部ではほとんどの自治体が同様の現状に置かれており、仁坂吉伸知事は「県南部の沿岸地域では将来的な高台移転が望ましいと考えており、今後方策について検討していく」としている。こうした現状のなかで、高知県や三重県、和歌山県など沿岸9県による「東海・東南海・南海地震による超広域災害への備えを強力に進める9県知事会議」は29日、内閣府や各党を回り、住居の高地移転の促進への支援などを求める政策提言を行った。

津波警報見直し年度内に新基準
 津波に対する防災対策をめぐっては、気象庁が束日本大震災の教訓を生かし、速やかな避難を促すために津波讐報を見直す方針を決めている。平成24年度中に新基準の運用を開始する。

 東日本大震災では、発生3分後に津波讐報を発表。だが、マグニチュード(M)9.0だった地震規模を当初、M7.9と過小評価して津波の高さを計算し、住民の避難が遅れたと指摘された。

 このため、新基準ではM8超と推定される巨大地震が起きた揚合、第1報では津波の予想高を公表せず「巨大」(大津波警報)、「高い」(津波讐報)と表現する。無用な安心感を排除するためで、予想高は第2報以降で公表する。また、非常事態であることを住民が具体的にイメージできるよう「東日本大震災クラスの津波が来襲します」など過去の具体例を挙げ、緊急避難を強く促す。

(jf)


(2012/04/03) 800年に1回の巨大規模を想定

 3月31日に内閣府が公表した南海トラフの新想定は東日本大震災の教訓を踏まえ、世界最大級の巨大地震に対する備えの基準を提示した。大震災の研究で得られた知見を反映させ、科学的に考えられる最大級の津波と揺れを推定。800年に1回程度しか起きない地震のシナリオを描き出した。

 「今回想定した最大級の津波が来たらどうするかを、各自治体は防災計画に加えてほしい。その作業を国も支援していく」。中川正春防災担当相は31日の記者会見で、こう強調した。

 新想定は「次に起きる地震」ではなく、地震を起こす地盤のひずみが南海トラフで800年以上にわたって蓄積された際こ起きる津波や揺れの状況を試算したもの。

 南海トラフは西日本の太平洋側に延びる浅い海溝で、フィリピン海プレート(岩板)が陸側プレートの下に沈み込んでいる。両プレートの境界部に蓄積されたひずみが限界に達すると境界部が大きく滑り、津波を伴う大地震が起きる。東日本大震災の巨大地震と基本的に同じ仕組みだ。

 国は南海トラフで起きる東海・東南海・南海地震が連動した場合の想定を平成15年に作成。津波は最大約17メートルとしていたが、今回は同30メートル級に倍増した。

 津波が高くなったのは、東日本大震災のメカニズムを再現したことが最大の理由。地震学では従来、海溝付近のプレート境界では、大地震を起こすひずみは蓄積しないとされたが、東日本大震災では日本海溝付近が大きく滑って巨大な津波が発生した。

 この教訓から、南海トラフ付近で大きな滑りが起きる計算手法を導入し、最大の滑り量を従来の2倍以上の約40メートルと推定。さらに紀伊半島沖の熊野灘で津波を巨大化させる分岐断層の影響も考慮するなどして、最大級の津波を求めた。

(qz)


(2012/04/03) 南海トラフの新想定で震度7地域が拡大 10県153市区町村

 このたび内閣府の検討会が公表した南海トラフの新想定では、震度7の激しい揺れに襲われる地域が10県の153市区町村へ大幅に広がった。静岡を除く各県では、震度7はほとんど想定されておらず、防災計画の見直しは不可欠だ。

 愛知県では名古屋市や豊橋市など主要都市のほとんどが震度7となり、ほぼ全県で6強以上の揺れが襲うと想定。想定被害の増大は避けられそうにない。県庁所在地が震度7になるのは計7県で、地震後の対応への悪影響も懸念される。

 南海トラフの巨大地震に連動し、内陸で直下型が発生する可能性も指摘されている。検討会の阿部勝征座長(東大名誉教授)は「過去の例では巨大地震の前後数十年間は内陸地震が約4倍に増えた。マグニチュード(M)7級の直下地震が起きやすくなる」と話す。

 平成7年の阪神・淡路大震災を巨大地震の前触れと考える研究者もいるといい、阿部座長は「十分気をつける時期に入っているのではないか」と指摘した。

 今回の新たな想定は、地震学の最新の研究成果を映させた。南海トラフのプレート(岩板)境界は深さ10〜30キロで強くくっつく「固着」があり、ひずみを蓄積しているとされ、従来はこの範囲を震源域とした。しかし、近年の観測でもう少し深い場所にもわずかな固着があり、「低周波地震」という微小地震が起きていることが判明。新想定では、この地震が起きる陸側の深部まで震源域を拡大した。

 一方、東日本大震災で想定外の福島県沖でも地震が起きた教訓から、震源域を九州東部沖の日向灘へ拡大。この影響で宮崎市など宮崎県各地で新たに震度7になったほか、大分市では従来の5強から6強になるなど、強い揺れの範囲が広がった。


(pl)


(2012/04/03) 3連動地震新想定 原発再稼働に影響

 内閣府が3月31日に公表した南海トラフの新たな想定津波は、東京電力福島第1原発事故を受け政府が電力各社に要請した緊急安全対策の津波高15メートルを上回り、原発の安全性を根底から揺るがす事態となった。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の津波高は21メートルに達し、建設中の18メートルの防波壁も越える水準。安全対策の科学的根拠が薄れたことで、全国の原発の再稼働論議にも影響しそうだ。

 東海地震の想定震源域にある浜岡原発は昨年5月、菅直人首相(当時)の要請で全3基が停止。中部電は海抜18メートル、長さ1.6キロの防波壁を年内に完成予定で建設を進めるなど、総額約1400億円を投じ安全対策を進めている。

 経済産業省原子力安全・保安院は今年2月、7項目の津波対策を合む安全対策を電力各社こ提示。メデイアのアンケートに対し中部電は、浜岡原発で非常用電源の接続部の統一について対策が完了したほか、電源設備の分散配置、非常用バッテリーの強化などに着手したと回答していた。

 新想定では21メートルの津波の襲来時、敷地の地盤は2.1メートル隆起していると試算。だが、この分をかさ上げしても防波壁で津波は防げず、敷地内は浸水する。建屋の浸水を防ぐ安全対策があるとはいえ、津波が想定を超えたことは重大だ。

 中部電は「津波の継続時間や水量が不明なので、詳細データを入手した上で適切に対応したい」と追加対策に慎重な姿勢をみせる。

 一方、保安院は昨年4月、福島第1原発の津波を参考に、津波高15メートルまたは9.5メートルをかさ上げした津波高を新たに設定するよう指示。各社はこれに基づき安全対策やストレステスト(耐性検査)を実施中で、新想定はこの暫定措置の妥当性を否定しかねない。

 保安院の森山善範原子力災害対策監はこれについて「15メートルは当時の知見で間違っていたものではない。常に新しい知見をもって見直す」と話す。

 四国電力伊方原発(愛媛県)では炉心注水のための消防車や電源車の配備などを進めており、今回の津波高は3メートルで震災前の想定3.49メートルを下回った。日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)も、想定以下の2.6メートルだった。

 原発の再稼働をめぐっては、現状の対策では不十分との声が自治体から上がっており、暫定措置ではなく立地ごとに具体的な地震や津波を想定した安全対策の確立が求められそうだ。

(rt)


(2012/04/02) 3連動地震 被害想定見直し 津波高知で34メートル

 東日本大震災を受け、平成15年に公表した東海・東南海・南海地震の被害想定の見直しを進めている中央防災会議(内閣府)は3月31日、3つの地震が違動した揚合の被災想定地域の津波高、震度分布を発表した。想定地域は沖縄県まで広がり、津波は沿岸部のほとんどの地域で平成15年の2〜3倍に増大し、津波高の最高値は30メートルを超えた。震度も阪神・淡路大震災並みの震度7の市区町村が35から153に拡大。停止中の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)の津波高は、想定を超える21メートルと予想されている。

 中央防災会議は「東日本大震災の教訓を踏まえ、考え得る最大級の地震」を想定しており、震源域が平成15年より2倍に。地震のエネルギー規模を示すマグニチュード(M)は8.7から9に引き上げられ、ほぼ千年規模で発生する超巨大地震となった

 この結果、震源となる南海トラフに近い三重、和歌山、徳島、高知県のほとんどの市町村が震度7に。4県の津波の高さは、20メートル前後から最高値は高知県黒潮町の34.4メートル(平成15年は14.1メートル)となった。

 また、震源域の拡大により、愛媛県西部、宮崎県、大分県では震度、津波の高さとも引き上げられ、各県で震度7が示された。

 なかでも、愛媛県伊方町の太平洋側では、津波の最高値も3倍の12.6メートルに引き上げられたが、瀬戸内海側にある四国電力伊方原発では3メートルとなっている。

 一方、浜岡原発の津波高21メートルは平成15年の御前崎市の7.1メートルがの約3倍となり、経済産業省原子力安全・保安院が電力各杜に指示した緊急安全対策の水準(15メートル)を上回っている。

 軒並み想定が引き上げられるなか、大阪湾など瀬戸内海エリア(淡路島をのぞく)は小幅となった。中央防災会議は「あくまで今回の想定による結果であり、防災対策を考える上ではさまざまな可能性が考慮されるべきだ」としている。

 今後、同会議はデータを精緻化し、夏以降に被害想定を公表、来春までに対策を検討する見込み。同会議の「南海トラフの巨大地震モデル検討会」座長、阿部勝征・東大名誉教授は「西日本は津波の到達時間が東日本よりはるかに短く、より一層切迫感をもって対策を進めることが重要だ」と話している。



避難対策 オール日本で推進
 「考え得る最大級の地震の想定をためらうことなく設定した」という今回の津波および震度想定。沿岸部に阪神・淡路大震災級の震度7の地域が広がり、津波の最高値は34メートルにまで達した。こうした極端ともいえる想定の引き上げの背景には、約2万人の犠牲者を出した東日本大震災を想定し得なかったことへの深い悔恨がある。

 それだけに、今後の防災体制について「国の覚悟」を示したともいえる。このことを裏付けるように内閣府の担当者は会見で「堅牢な防潮堤や防波堤の建設に労力を注ぐよりは、高台への集団移転を視野にいれている」と言い切った。

 今回の想定で、震度や津波の高さの数値が引き上げられた地域は10分程度で大津波が押し寄せる「最前線」であると同時に、住民の高齢化が著しいという現実がある。避難対策に限界が生じることは明白だ。

 そこで国は昨年末、「津波防災地域づくり法」を施行した。この制度は市町村もしくは都道府県が主体となり高台への集団移転を計画する場合、国が補助することも盛り込まれている。

 もっとも高台移転の前提として、避難路の確保、避難ビルの指定、津波タワーの建設など、地域の実情に応じた避難対策を段階的に推進する必要がある。こうした避難対策の積み上げは行政だけでは不司能だ。地域の自主防災組織レベルから国まで、「オールジャパン」での取り組みが必要なことを今回の想定は改めて示したといえる。

南海トラフ
 東海沖から四国沖に延びる水深4千メートル級の浅い海溝。日本列島が乗る陸側プレート(岩板)の下にフィリピン海プレートが沈み込む場所で、マグニチュード(M)8級の東海・東南海・南海地震が100〜150年間隔で発生する。1707年の宝永地震のように3つの地震が連動して巨大化するケースや、揺れは小さいが津波が大きい津波地震が起きることもある。

(ue)


(2012/04/01) 首都直下型 湾岸部で震度7 文科省が分布図公表

 文部科学省は3月30日、マグニチュード(M)7級の首都直下地震で予想される震度分布図を公表した。首都直下型の一つで被害が最も大きい東京湾北部地震(M7.3)が起きた揚合、湾岸部などで震度7に見舞われると推定しており、対策強化が求められそうだ。

 国の中央防災会議による平成17年の予想では首都直下地震の揺れを最大震度6強としており、震度7の分布が明らかになったのは初めて。文科省は震度7の市区町村名を公表していないが、震源地を干葉県浦安市付近と仮定した場合、東京都江戸川区や大田区、川崎市の一部などが該当するものとみられる。

 今年度までの文科省調査で首都圏の地下に沈み込むフィリピン海プレート(岩板)と陸側プレートの境界部が、従来予想より約10キロ浅いことが判明。この場所で起きる東京湾北部地震を対象に、揺れの強さと範囲がどの程度大きくなるかを試算した。

 震度6強の範囲は都内の西へ広がり、横浜市付近まで拡大した。ただ、震源地をどこに仮定するかで範囲は変わる。中央防災会議は東京湾北部地震で死者1万1干人を想定しているが、この結果を受け、冬までに被害想定を見直す方針だ。



(rt)


(2012/03/30) 3連動地震 津波高最大30メートルを想定

 国が見直しを進めている東海・東南海・南海の3連動地震・津波対策で、想定の津波高がこれまでの20メートルを上回る最大30メートル級として新たこ検討されていることがこのほど分かった。太平洋沿岸部などでは10メートル級の津波が予測される揚所が増える見込み。また、宮崎沖の日向灘から大分と愛媛間の豊後水道を北上する可能性があり、再稼働が課題となっている四国電力伊方原発(愛媛県伊方町)の防災対策に影響が出る恐れもある。津波高や震度分布は今月末から4月にかけ公表される予定。

 内閣府の検討会は昨年末、平成15年に中央防災会議が公表した3連動地震の震源域を2倍に拡大したマグニチュード(M)9の「新モデル」を発表。新モデルに基づき、津波高や震度分布の予測作業を進めている。

 これまで、東京大学地震研究所の古村孝志教授がM8.8で津波高最大20メートル(土
佐湾)の予測を提示。高知大の岡村眞教授が、高知県土佐市の蟹ケ池の地層調査で、過去に30メートル級の津波があった可能性を示していた。新モデルでは日向灘も新たに震源域に合めており、伊方原発がある愛媛県西部や九州東部などでは、これまでより高い津波予測が示されるとみられる。

 3連動地震の被害想定については、新モデルをべースに4月以降、防災対策推進検討会議のなかで、首都直下地震と並び検討。6月頃に人的、建物被害など、秋頃に経済被害などを公表。今年末に対策の骨子を示し、来年春頃に対策を公表する方針が示されている。

 東日本大震災(M9)ではこれまで、東大などの調査により、津波高の最高値は福島県富岡町で約21メートル、津波の到達地点の高さでは、各地で30〜40メートルが確認されている。

(bd)


(2012/03/29) 「長周期地震動」気象庁検討会 揺れ程度5分後に発表

 気象庁は27日、震源地から遠く離れた揚所の高層ビルにも継続時間の長い大きな揺れをもたらす「長周期地震動」の観測情報について、地震発生から約5分後に「大きく揺れる」「家貝などの転倒の可能性がある」といった簡潔な表現を用いて発表する方針をまとめた。同日開かれた有識者らでつくる防災情報発表の検討会(座長、翠川三郎東京工業大教授)の最終回で明らかにした。

 長周期地震動はゆっくりとした周期の長い揺れで、震源から離れても弱まりにくい。震度などの地震情報では揺れの大きさの表現が困難という課題があった。

 気象庁は、長周期地震動について、地震発生から約5分後に発表する地震情報で都道府県の地域ごとに発表し、建物内の揺れをイメージしやすいような表現を用いるという。このほか、石油タンクなどの施設管理者や防災関係機関などにはデータの提供を検討する。

 東日本大震災後の調査では、高層ビル内では「船に乗っているような感じ」の揺れが長時間継続。震源から約770キロ離れた大阪府の咲洲庁舎(55階建て)では震災発生から約3分後に揺れが到達し、約10分間にわたり最大揺れ幅2.7メートルの横揺れが確認された。
新潟県では石油タンク内の油が波打つ「スロッシング現象」で油漏れの被害が出た。

 気象庁は「情報の発表で、高層ビル内で体感した揺れの状況を理解しやすくなりへ施設管理者らは的確な初動対応を取ることが可能になる」としている。

(pl)


(2012/03/29) 上町台地 大規模な地滑り跡 「大阪直下型」対策急務

 大阪府庁や大阪城がある大阪市の「上町台地」に、弥生から江戸時代前後までの地滑り跡が発掘などで多数確認されていることが、大阪文化財研究所の調査で分かった。上町台地は、直下型地震を引き起こす上町断層の東側で、古代から地震被害に見舞われた可能性が高いことが判明。建物が密集する現在の大阪市内は倒壊による甚大な被害が予想され、東南海・南海地震のような海溝型だけでなく、直下型地震への対策も急がれる。

 同研究所の趙哲済(チョウチョルヂェ)総括研究員が、上町台地一帯を調査。大阪市中央区の瓦屋町遺跡では、粘土や砂の層が最大4メートル以上崩れ、総延長200メートルにのぼる円弧状の地滑り跡を確認した。見つかった瓦などから、豊臣〜江戸時代初めとみられ、1596年に京都・伏見付近を震源とするマグニチュード(M)7クラスの「慶長伏見地震」で崩れた可能性が高いという。

 大阪城の数百メートル南側の発掘現場でも、数カ所で地滑り跡を確認。ボーリング調査の結果、@弥生時代中〜後期(約2千年前)A飛鳥時代(7世紀前半)B慶長伏見地震 の3時期にわたって地層が大規模にずれていた。

 さらに、大阪市内の詳細な地形図を調べたところ、大阪城南西側で東西360メートル、南北270メートルの大規模な地滑り跡と推定される地形などを複数の揚所で確認。趙総括研究員は「発掘調査をすれば、地滑り跡はたくさん見つかるはず」と話す。

 上町断層は、新大阪〜難波一帯までの約12キロで、市のほぼ中心部を南北に縦断。大阪府危機管理室などによると、上町断層による直下型地震は8千年ごとに発生し、今後30年以内に起こる確率は3%とされる。今回確認された古代遺跡での地滑り跡は、大阪周辺の他の断層が動いたためとも考えられるという。

 大阪市中央区などでは最大震度7、府全体で死者1万2千人、全壊36万棟以上、被害総額19兆6千億円と想定されている。

 首都圏ではM7クラスの直下型地震が4年以内に70%の確率で発生するとされ、大阪は東京より安全なイメージもあるが、河田恵昭・関西大教授(地震防災)は「関西にはM7クラスの地震を起こす活断層が20カ所ほどあり、どこが動いてもおかしくない」と指摘。「上町断層は何千年も動いていないというが、動いていない断層ほど危ない。大阪は壊滅的被害を受けるとみられ、耐震補強など行政の支援が必要」と話した。

 大阪府危機管理室担当者は「古代遺跡の地震痕跡なども参考にしながら、被害想定や防災対策を考えたい」としている。

(qz)


(2012/03/27) 房総沖に活断層が二つ存在 M8〜9地震誘発の可能性

 房総半島南端から南東に百数十キロ以上離れた太平洋の海底に、これまで存在が知られていなかった長大な二つの活断層が存在するとの調査結果を、広島大や名古屋大、海洋研究開発機構などの研究グループが25日までにまとめた。

 長さは160キロと300キロ以上で、一度にそれぞれの断層全体が動けば、いずれもマグニチュード(M)8〜9の地震を起こす可能性があるという。グループの渡辺満久・東洋大教授(変動地形学)は「ノーマークで未調査の活断層。強い揺れや津波が関東南部や東海地方に及ぶ可能性があり、早急に詳しく調査するべきだ」としている

(fz)


(2012/03/24) 巨大地震想定 兵庫で4万3000棟が浸水可能性

 近い将来の発生が確実視される東海・東南海・南海地震が東日本大震災級だった場合、兵庫県内では防潮扉が全て閉まったとしても建物約4万3000棟が浸水し、約16万5000人が被災する可能性があることが23日、兵庫県の想定で分かった。神戸市営地下鉄海岸線は路線の大半が浸水するほか、同市中央区のハーバーランドや南京町なども浸水区域に含まれる。

 県の想定は、過去最大規模とされる安政南海地震(1854年)のマグニチュード(M)8.4を前提とした津波の高さを暫定的に2倍にして試算。昨年から地域ごとに地形や建物の配置、防潮堤の高さなどを考慮し浸水する区域をシミュレーションしてきた。今回で神戸市内分の精査が終わり、県全体の概要が明らかになった。

 精査の結果、神戸市内は防潮扉の開閉にかかわらず、被害の大きさがほぼ変わらないことが判明。防潮扉が全て閉まった場合でも神戸市で約8万3000人(約1万9000棟)、西宮市約4万7000人(約8000棟)、姫路市約4000人(約2000棟)が津波で被災する可能性があるとしている。

 一方、防潮扉が全く機能しない場合の被害は、西宮市が約16万人(約3万棟)、尼崎市が約11万人(約4万棟)などと拡大。県が昨年10月に発表した警戒区域には約104万人が居住しているが、今回のシミュレーションで県全体での被害は最大約43万人(約12万棟)と推計した。

 県は今月末の中央防災会議で新たな津波想定が示されれば精査し直す考えで、「暫定的な想定として防災意識を高める参考にしてほしい」としている。

(yi)


(2012/03/10) 長周期地震動による被害を実験で確認 防災科技研

 巨大地震で超高層ビルを襲うゆっくりした長い揺れで、ビルを支える骨組みに被害が出る恐れがあることが、防災科学技術研究所の震動実験施設「Eディフェンス」(兵庫県三木市)の実験でわかった。8日、東京大で開かれた文部科学省研究プロジェクトの報告会で発表した。

 実験では、高さ80メートル21階建ての鉄骨ビルと同じように揺れる模型を作り、東海と東南海地震が同時発生したときに名古屋市で想定される長周期地震動の地震波で揺らした。4分以上の揺れで、建物は設計で想定しているより大きく繰り返し変形。柱とはりの溶接で接合した部分に力が集中し、破断した。

 柱とはりは、建物が倒壊しないように支える骨組み。接合部は多数あり、一部が破断しても倒壊はしないと推定されるが、建物は弱くなり、大規模な修復が必要になりかねない。事前に接合部の補強をしたり、揺れを抑える装置を取り付けたりすることで、破断を防げることもわかった。

(qm)


(2012/03/09) 防災検討会議 次の大震災に強い危機感を表明する中間報告

 閣僚が参加する中央防災会議の専門調査会「防災対策推進検討会議」は7日、次の大震災が切迫している状況を懸念し「我が国は立ち直りのきかないほどのダメージを受けるおそれがある」と強い危機感を表明する中間報告をまとめた。同会議は今後、首都直下地震と東海沖から西日本沖の「南海トラフ」で起きる巨大地震の被害想定を出すワーキンググループ(WG)をそれぞれ新たに設置し、対策をまとめる方針。

 国は首都直下地震の発生確率を今後30年間で70%、東海沖から西日本沖の「南海トラフ」で起きる巨大地震を同60〜88%としているが、報告は1700年代初頭や1850年代に大地震など災害が相次いだことに言及。東日本大震災が大規模地震や火山の噴火を誘発する可能性を指摘し、切迫した状況を強調した。

 また、少子高齢化などで日本経済が厳しい状況にある中で大規模災害が起これば国難をもたらすとの危機感を表明。「『減災』を進めることこそ、防災対策の最大の使命」と強く促した。

 南海トラフの巨大地震のWGは夏ごろ、首都直下地震のWGは冬ごろに被害想定をまとめる方針。報告を受けて記者会見した中川正春防災担当相は「大規模地震が切迫しているので、時間と競争し、できることから実行する」と述べた。

(uh)


(2012/03/08) 首都直下地震 震度7のおそれも

 首都直下地震の防災対策のために進められてきた専門家グループの研究で、東京湾北部では、従来考えられていたよりも浅いところで地震が起きる可能性があることが分かった。大地震が起きた場合、湾岸地域などの一部で震度7の激しい揺れとなるおそれがあるとしている。

 東京大学などの研究グループは、首都直下地震の防災対策のため、5年前から国の委託による研究を行い、7日、研究成果を発表した。このうち、東京大学地震研究所の平田直教授は、関東各地に設置した地震計の観測データから地下の構造を分析した。その結果、関東平野の地下に南から沈み込んでいる「フィリピン海プレート」という岩盤と、陸側の岩盤との境目が、東京湾付近では従来考えられていたより10キロほど浅いことが分かった。国が想定する首都直下地震のうち、東京湾北部を震源とする大地震では、最大で震度6強の激しい揺れが予想されている。

 今回の研究で、従来の想定より震源が浅くなる可能性が出てきたということで、湾岸地域などの一部では震度7の揺れとなるおそれがあるという。また、東京大学地震研究所の纐纈一起教授は、地盤のデータから想定される揺れの強さを詳しく分析し、今月中をめどに公表するとしている。纐纈教授は「首都圏では、今回の研究で強い揺れが想定されていない地域でも過去に大地震が起きている。住宅の耐震補強や家具の固定などの対策は、広い範囲で進める必要がある」と話している。国は、平成24年度に首都直下地震の被害想定などを見直すことにしているが、今回の研究成果は新たな想定や対策に反映される見通し。

首都直下地震
 国は、首都圏で甚大な被害のおそれがあるいわゆる直下型の大地震を「首都直下地震」と名付け、8年前、18通りの地震について被害想定をまとめた。

 このうち、東京湾北部を震源とするマグニチュード7.3の地震の想定は、最大、震度6強の激しい揺れで建物の倒壊や火災が相次ぎ、最悪の場合、およそ1万1000人が死亡、経済被害は112兆円に達するとされている。

 東京湾北部の地震は、震源地が都心に近く、社会的な影響が大きいことから、「首都直下地震」の代表的な想定と位置付けられている。ただ、この付近では幕末や明治に大地震が起きたと言われているほかは、過去にどのようなタイプの地震が起きてきたのか、明確な記録はない。

 一方、「首都直下地震」の想定の中には、埼玉県西部から東京の多摩地域に伸びる「立川断層帯」や、神奈川県から静岡県東部に伸びる「神縄・国府津ー松田断層帯」など、存在の明らかな活断層を震源とする地震もあり、これらの想定では、最大、震度7の非常に激しい揺れが推計されている。

 こうした「首都直下地震」の想定とは別に、政府の地震調査委員会は、茨城県南部を含む関東南部で明治以降の120年余りにマグニチュード7前後の大地震が5回、起きていることから、今後30年以内に大地震が起きる確率を70%程度と推計している。

(fc)


(2012/03/03) 長野の活断層 東日本大震災で地殻変動 M8級確率25%に倍増

 長野県松本市付近の活断層「牛伏寺(ごふくじ)断層」で30年以内に大地震が起きる確率は、東日本大震災に伴う地殻変動の影響で従来の14%から25%程度にほぼ倍増したとみられることが、京都大学防災研究所の遠田晋次准教授の分析でこのほど分かった。政府の地震調査委員会は東日本大震災後、同断層など5つの活断層で確率が高まった可能性を指摘していた。

 牛伏寺断層は日本列島の中部を横断する「糸魚川ー静岡構造線断層帯」の一部。地震調査委の評価によると、周辺の断層と連動してマグニチュード(M)8程度の地震が起き、30年以内の発生確率は全国の主要活断層で2番目に高い。地震調査委の計算手法とは異なるが、今回試算した25%という確率は活断層としては突出して高く、全国最高とみられる。

 遠田准教授は「もともと高かった危険度が、さらに倍増していることを踏まえ、地震に備えてほしい」と話している。

 東日本の地盤は、大震災による地殻変動で東方向にずれ、長野県では北東方向に引く力が新たに発生した。この影響で、牛伏寺断層では、普段は押しつけられ動きにくくなっている断層面が、引っ張られることによって動きやすい状態になっている。周辺では昨年6月、M5.4の地震が起きている。

 遠田准教授は牛伏寺断層での断層面を引きはがそうとする力(引っ張り力)を少なくとも0.3気圧と推定。阪神・淡路大震災時などの引っ張り力と誘発地震数の関係から、同断層周辺での誘発効果を算出するなどして発生確率を求めた。

 25%の確率は東日本大震災直後のデータを使った数値で、現在は2〜3ポイント低下。一方、地震調査委は東日本大震災以降の地殻変動も加味した同断層での引っ張り力を約0.6気圧としており、このデータを使うと確率は25%を上回るという。

(pl)


(2012/02/23) 首都直下で震度7 文科省調査 震源、想定より浅く

 首都直下の地震の一つである東京湾北部地震について、これまで想定する震度6強より大きな震度7となる可能性のあることが、文部科学省のプロジェクトチームの調査で21日、明らかになった。従来の想定より地下の浅いところが震源となる可能性があるという。

 平野博文文科相は同日の閣議後の記者会見で「震度7相当の地震が発生する可能性があるという設定でこれまで調査をしてきた。防災の在り方も強化しないといけない」と話した。3月上旬に正式発表する。

 文科省によると、調査は東京大学地震研究所を中心にしたチームで実施。首都圏に設置した約300の地震計で観測した地震波を分析、詳しい地下構造を調べた。

 その結果、陸のプレ一ト(岩板)と、沈み込むフィリピン海プレートの境界が、従来考えていた地下30〜40キロよりも浅いところにあるとみられることが判明。想定されるマグニチュード(M)7.3の地震が浅いところで発生すれば、それだけ揺れの規模が大きくなるという。

(pl)


(2012/02/19) 津波観測に新周波数 精度大幅に向上へ

 国際電気通信連合(ITU、本部・ジュネーブ、加盟193カ国)の世界無線通信会議は16日、津波などを観測する海洋レーダー用に新たな周波数を割り当てることで合意した。日本は希望の周波数帯を確保、これにより陸上から津波の速さや高さなどをより正確こ把握できるようになり、防災対策の向上が図れるという。

 このほか、同会議では光ファイバー並みの高速・大容量データ通信が可能な「第4世代(4G)移動通信システム」向けの周波数帯の配分を次回2015年の会議で決める方針でも一致した。

 海洋レーダー用の周波数帯の割り当ては日米両国が提案。今回、割り当てが認められたことで、津波の観測精度が大幅に向上し、海岸への津波の到達時間などがより正確に予測できるようになり、住民への避難情報の提供などに役立つという。

(kj)


(2012/02/16) 大阪湾津波、従来予測の最大1.5倍と暫定値説明 国交省

 近畿地方の港湾を対象にした国土交通省近畿地方整備局の「地震・津波対策検討会議」(座長・黒田勝彦神戸大名誉教授)の第3回会合が14日、神戸市中央区であった。同整備局は、東海・東南海・南海地震で大阪湾では従来予測の最大約1.5倍の津波が押し寄せるとする暫定値を自治体や企業の委員に説明。津波を食い止める防潮堤の強化などを盛り込んだ方針案を示した。次回会合を経て6月ごろ正式決定する。

 暫定値は、国の中央防災会議の結論が出るまでの間、地域や企業の防災対策に生かすため、震源域に日向灘などを加え独自にシミュレーションした。兵庫県などは従来予測の2倍の推計を発表しているが、同整備局は「混乱を招く危険が高い」として、詳細な数値の公表は見送った。

 一方、大阪湾奥部の津波到達時間は2時間程度を予測。最大で、既存の護岸の高さを数十センチ越える津波の襲来が予測される地域もあり、今後、波が防潮堤を越えた場合のシミュレーションも合わせて行うとした。

(tn)


(2012/02/15) 南海トラフ巨大地震の新想定 高い津波、強い揺れ拡大

 東海、東南海、南海地震が起きる南海トラフ(浅い海溝)沿いの最大級の巨大地震について、国の新たな想定が公表された。震源域を従来の約2倍に拡大し、高い津波が起きる津波地震との連動を初めて想定。マグニチュード(M)は東日本大震災と同じ9.0と推定しており、沿岸の自治体などは防災対策の見直しを迫られている。

 東海地方と西日本の太平洋側に伸びる南海トラフは、沖合のフィリピン海プレート(岩板)が陸側のユーラシアプレートの下に沈み込む場所だ。両プレートの境界部は、ひずみの蓄積が限界に達すると大きく滑り、約100〜150年間隔で東海、東南海、南海地震を繰り返す。

 東日本大震災ではプレート境界の深い場所だけでなく、ごく浅い場所も同時に動いて津波地震が発生し、甚大な被害が出た。これを受けて内閣府の検討会は昨年末、従来の東海、東南海、南海地震の3連動に加え、津波地震も同時発生する新たな想定を公表した。

 平成15年に国が策定した3連動の想定(M8.7)と比べて震源域は約2倍に拡大しており、津波の高さや強い揺れの範囲が大きくなるのは確実。震源域から求めた地震の規模はM9.0だが、津波地震が連動した場合はさらに大きな規模になる。


 新たな想定は歴史記録に依存する従来の発想を転換し、最新の研究成果を反映させたのが特徴。南海トラフのプレート境界は深さ10〜30キロで強く固着し、ひずみを蓄積しているとされ、従来はこの範囲を震源域とした。しかし、近年の高感度観測で、もう少し深い場所でもわずかな固着があり、「低周波地震」と呼ばれる特殊な微小地震が起きていることが判明。新たな想定では、この地震が起きる陸側の深部まで震源域を拡大した。


 低周波地震を発見した東大地震研究所の小原一成教授は「深部が大きく滑ることは考えられないが、巨大地震のときに同時に破壊される可能性があり、震源域の拡大は妥当だ」と話す。

 一方、震源域の南西側は九州東部沖の日向灘へ広がった。日向灘と同様に巨大地震の記録がなく、プレート境界は強く固着していないとされた福島、茨城両県沖が大震災で連動したことを重視した。

 南西側の端は海底山脈の九州・パラオ海嶺までとした。この付近はフィリピン海プレートが厚く、地殻構造が異なることが最近の調査で判明したためで、さらに西への連動は起きないと判断した。


 新想定に基づく津波高や震度は3〜4月に公表されるが、独自に想定を見直す自治体も出始めた。新たな想定津波は徳島県が最大20.2メートル、三重県が同19.16メートルなど従来の2倍以上で、軒並み20メートル級の巨大津波が襲うシナリオだ。

 九州では大分県が日向灘への拡大を見込んで最大12.48メートルの津波を新たに想定し、避難経路の確保など防災対策の策定に着手した。

 宮崎県も昨年11月、「日向灘を震源地とするM9.0」を想定する方針を有識者会議で決定。今年3月末までに津波高を推計する計画で、国より厳しい想定になる可能性もありそうだ。

 原子力発電所も万全の備えが求められる。以前から東海地震の想定震源域の直上にあり、菅直人前首相の要請で運転を停止した中部電力の浜岡原発(静岡県御前崎市)は、これまで沿岸にある高さ10〜15メートルの砂丘で8メートルの想定津波を防げるとしていた。

 しかし、大震災後の緊急安全対策で15メートルの津波を考慮することになり、年内完成を目指して高さ18メートルの防波壁の建設を進めている。同社は「新たな知見が得られれば必要な対応を行う」としている。

 四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)は、今回の新想定で震源域の境界線上に乗った。大震災後、想定津波を最大4.25メートルから13.5メートルに引き上げて対策工事を実施。ストレステスト(耐性検査)の1次評価結果を国に提出した3号機は、14.2メートルまで原子炉の冷却機能を維持できるとしたが、余裕は70センチしかない。揺れを含め対策の再検討を迫られる可能性がある。

(pl)


(2012/02/15) 東海道新幹線、津波被害は「想定外」で対策なし

 1日約40万人が利用する東海道新幹線。半世紀前に津波のリスクを考慮せず走行ルートが決まり、海岸から約250メートルの近距離を走る場所もある。JR東海は「今回の新想定でも津波被害は受けない」としているが、安全対策の見直しを求める声も上がっている。

 東海道新幹線は、気象庁の緊急地震速報と同じ原理の警報システムを平成4年に導入しており、強い揺れが予想された場合は自動的に停止する。一方、津波については「自治体のハザードマップで線路が津波被害を受けるケースは想定されていない」として、特別な対策は取っていない。

 しかし、東海道新幹線の建設に携わった元国鉄総裁の仁杉巌氏(96歳)は、海岸近くを走る静岡県の浜名湖や熱海周辺の危険性を指摘。「東日本大震災の津波を想定すれば、もう少し山側に寄せないといけない」と、部分的な迂回路の建設を提案する。

 また、ルート決定の経緯について仁杉氏は「新幹線は東京〜下関間を平均時速150キロで走る戦前の弾丸列車計画で買収した土地や着工済みのトンネルを生かそうとした。主要都市を外す考えはなく、津波は配慮していなかった」と証言する。

 JR東海は今回の新想定に基づく津波の影響を独自に解析。その結果、津波が到達するのは浜名湖の橋脚だけで、そこでも橋脚が流されるほどの水位上昇は起きないと評価した。

 ただ、自治体が作製する新たなハザードマップで線路に津波到達が予想された場合は、「津波が到達しない場所に車両を移動させる新ルールの導入も検討する」(同社幹部)方針だ。

 これは一部の在来線で導入済みの対策で、強い揺れで自動停止した場所が津波到達域だった場合は、徐行運転で最寄り駅に移動。走行中に津波警報が出た場合は、津波到達域に入らないように手動停止する。

(rt)


(2012/02/06) 災害弱者救出 病院船活用の推進協議会発足

 東日本大震災を受け、災害時に船上で被災者の治療や介護を行う「病院船」の活用が兵庫県の地域防災計画に盛り込まれることを目指し、県内の有識者や患者団体などが今月にも推進協議会を発足させる。過酷な避難所での生活により、難病を抱えた災害弱者が死亡するのを防ぐのに有効とされ、関係者は今夏以降にも実際の訓練を行うなどし、活用方法を具体化させる。

 災害時、避難所生活でのストレスや持病の悪化などで死に至るケースは多い。阪神・淡路大震災では、死者6434人のうち900人以上が関連死とされた。東日本大震災でも、肺炎や低体温症で死亡する被災者が報告されているほか、人工透析患者ら災害弱者の治療施設確保も困難になった。

 阪神・淡路大震災では負傷者の救急治療が課題となり、DMAT(災害派遣医療チーム)が誕生したが、病院船は平時の維持費の問題などから導入が見送られた。その後、災害弱者への対応は十分には検討されず、東日本大震災では「重傷患者ではない」との理由で、透析患者の搬送が断られるケースもあった。

 こうした反省を受け、多くの患者を陸路が寸断されても搬送でき、一時的な避難や手術も可能な病院船を活用する構想が、各患者団体や研究者から提案された。県内でも、神戸大の井上欣三名誉教授らを中心に構想がスタートし、昨年7月から県や神戸市の担当者も交えて議論している。

 井上名誉教授が病院船の構想を考えたきっかけは、阪神・淡路大震災直後、神戸から患者を船で大阪に運んだ事例を知った時だった。

 当時、神戸市東灘区の六甲アイランド病院の副院長だった内藤秀宗さん(69歳)は、停電などの理由で「治療は不可能」と判断。陸路は断たれていたが、「海にも道がある」と気づき、クルーザーで患者を大阪の病院に運び、命を救った。

 内藤さんは「被災地の医療施設だけで被災者を助けるのは困難。災害時には、避難所や医療施設を兼ねる船をもっと使う必要がある」と指摘。井上名誉教授は「災害時に素早く行政と民間が連携し、大型船を運用するモデルを、震災を経験した兵庫から発信したい」と話す。

(sd)


(2012/02/05) 首都直下地震の想定見直し、M8級も検討へ

 内閣府は2012年度から、首都直下地震対策を見直し、関東大震災(1923年)のような相模トラフ沿いで起こるプレート境界型の巨大地震についても対策を検討する。20113年春をめどに、震度分布や津波の高さの想定をまとめる。

 相模トラフ沿いのマグニチュード(M)8級地震は200〜400年間隔で起こると考えられ、今後100年以内に発生する可能性が極めて低いことから、これまでは検討の対象外だった。しかし、東日本大震災が防災上の想定を超えた規模だったことを教訓に、考えられる最大規模の地震を対象に加えることにした。

 また、これまでの首都直下地震対策の対象である東京湾北部や立川断層などを震源とするM7級の18タイプの地震についても、最新の研究成果を踏まえ、被害想定を見直す。今年度まで続いている文部科学省の重点調査では、海のプレート(岩板)が陸のプレートの下に潜り込む深さが、従来の想定より5〜10キロ浅いことなどが判明。これまでよりも震度の想定が大きくなる可能性がある。

(fk)


(2012/02/03) 首都直下地震、130万人避難先なし 被害想定

 発生が予想される首都直下地震で、東京23区のうち11区で避難所の収容量が大幅に足りないことがわかった。

 都心が震源の場合、、住宅が被災すると予想される都民の1割以上にあたる27万人分の避難所が不足。また東日本大震災を機に、対策の見直しが進められている「帰宅困難者」を含めると、試算では約130万人分以上の新たに避難先の確保が必要になる。すでに公共施設の収容能力は限界で、各区は今後、企業や商業施設、ホテルなどに受け入れ協力を求める。

 都の被害想定では、首都直下地震の発生で、23区内で自宅を失うなどして避難所生活を余儀なくされる住民は計239万人と推計。しかし、足立、大田、目黒など11区では、小中学校などの公共施設をすべて活用しても、計約27万6000人分が足りない計算だ。

 一方、公共交通機関がストップすることで自宅に帰れない帰宅困難者は推計で約448万人。これまでは避難所を利用することは想定していなかったが、東日本大震災では、交通手段がなくなった人が、区などが住民向けに指定する避難施設に殺到した。

 震災後、都などでは民間企業に対し、地震発生後は従業員を3日間程度、会社にとどめて帰宅させないように求めている。しかし、都内では観光や買い物などで訪れている人が多く、こうした人が身を寄せる避難先の施設提供が問題として浮上していた。

 国の調査では、震災があった昨年3月11日、首都圏にいて帰宅できなくなった人の32%が「買い物などの外出中」だったことが判明。各区などの試算では、少なくとも100万人以上が避難先がないことがわかった。

(sd)


(2012/02/02) 立川断層帯を重点調査へ 地震本部 「起きやすい可能性」

 政府の地震調査研究推進本部(地震本部)は、首都圏に大きな地震を起こす恐れがある立川断層帯の調査を、来年度から重点的に行う方針を決めた。人口の多い地域を通る全国の13活断層帯の詳細な調査を続けており、被害の大きさなどから来年度は立川断層帯を選んだ。

 立川断層帯は埼玉県南部から東京都に延びる長さ約33キロの断層帯。地震本部は、マグニチュード7.4程度の地震が起こる恐れがあり、約1300万人が震度6弱以上の揺れに襲われると予測している。30年以内の発生確率は最大で2%で、主要な断層の中ではやや高めで、東日本大震災の影響で地震が起きやすくなっている恐れがあるという。

 地震本部は掘削調査などで過去の活動状況や、地下深部での断層の構造などを詳しく調べる。この日開いた部会で了承された。

(qm)


(2012/02/01) 津波警報 予想高を数字使わず表現 「巨大」「高い」など

 津波警報の発表方法などの見直しを進めてきた気象庁の有識者検討会は31日、改善策の提言をまとめた。津波の予想高の区分を従来の8段階から5段階に簡素化。巨大地震で規模を過小評価する可能性がある場合は、予想高を「巨大」「高い」と数字を使わず表現して避難を促す。過小評価が問題になった東日本大震災を受けた改善策で、気象庁は今年中の運用開始を目指す。

 発表する予想高は、1、3、5、10メートルと10メートル超の5段階。1メートルは津波注意報、3メートルは津波警報で、5メートル以上は大津波警報になる。

 地震の規模を示すマグニチュード(M)が8を超えるような巨大地震で、短時間でMを推定することが困難な場合は、大津波警報の対象地域への第一報の予想高は「巨大」、津波警報の地域には「高い」と表現。津波注意報の地域には「大きいおそれ」と表現する方針だったが、「分かりにくい」との意見があり、数字も言葉も出さないことにした。

 検討会では、沖合に設置した波浪計などによる津波観測を基に、沿岸到達時に推定される高さを発表する方針も確認した。ただ、小さい推計値が出た場合は油断させないよう、大津波警報の対象地域は推計値3メートル超、津波警報では1メートル超の場合のみ数値を発表する。実際に沿岸で観測された高さも、予想より低かった場合は数値を出さず、「観測中」などとして油断させないようにする。

 気象庁はM9の東日本大震災発生当初、M7.9と過小評価し、10メートル前後の津波が襲った岩手県や福島県の沿岸部に「3メートル」との第一報を発表した。記者会見した気象庁の永井章・地震津波監視課長は「数字に頼らず、危機感を伝える新しい警報発表の軸を設ける意見をいただいた。避難行動に結びつく警報にできる」と話した。

(uh)


(2012/01/31) M9級の超巨大地震も盛り込み 観測研究計画

 文部科学省は30日、東日本大震災を受け、大学などが地震研究を進める際の基本方針となる「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画」を見直し、マグニチュード9級の超巨大地震の観測研究を新たに盛り込むことを決めた。南海トラフ沿いなどで想定される超巨大地震の防災対策に生かす。2月下旬に正式決定する。

 2013年度までの現行計画では、超巨大地震の発生予測に向けた研究が不十分だったため、超巨大地震の発生サイクルや、誘発される内陸地震や火山活動の解明、巨大津波の予測などを新たに盛り込むことにした。

(fk)


(2012/01/30) 紀伊半島沖に200キロの断層 連動し津波巨大化

 東南海、南海地震の際に津波を巨大化させる連動型の分岐断層を、東大大気海洋研究所の朴進午准教授(海洋地質・地球物理学)らが紀伊半島沖の海底で発見した。南海トラフで起き
る巨大地震の被害予測に役立ちそうだという。

 発見したのは紀伊半島沖に延びる東西の長さ200キロ以上の巨大な海底断層。巨大地震を起こすフィリピン海プレート(岩板)と陸側プレートの境界部から、枝分かれして延びている。巨大地震と同時に動いて海底をさらに隆起させ、大きな津波を引き起こす。

 この海域は紀伊半島の先端を境に、東側に東南海地震、西側に南海地震の震源域がある。分岐断層は東側では知られていたが、西側にも連続して延びていることを海底地形調査と反射法探査で初めて突き止めた。

 分岐断層は過去に繰り返し動いたことを示す数百メートルの崖を形成。東南海、南海地震が連動した場合、分岐断層も東西で連動して巨大津波を起こしてきたとみている。

 朴准教授は「南海トラフで最大の連動型の宝永地震(1707年)でも、この断層が動いた可能性が大きい。より現実的な将来予測が可能になる」と話す。

(jf)


(2012/01/26) M7クラスの首都直下地震、4年以内の発生確率70% 東大試算

 首都直下型などマグニチュード(M)7級の地震が南関東で4年以内に発生する確率は70%に高まった可能性があるとの試算を、東京大地震研究所がまとめたことが23日、分かった。南関東のM7級の確率を30年以内に70%としている政府の評価を大きく上回った。

 同研究所の平田直教授らの研究によると、東日本大震災の影響で南関東の地震活動が活発化。大震災から昨年12月までのM3〜6の地震の発生頻度は、大震災前と比べ約5倍に増加した。

 地震は規模が大きいほど発生頻度が低いという法則が知られている。平田教授らは、この法則性が大震災前後で成り立つことを確認した上で今後のM7級の発生確率を試算した結果、4年以内に70%に達した。

 政府の地震調査委員会は、南関東のM7級は明治27年の東京地震など約120年間で5回起きたとのデータから発生確率を求めており、大震災の影響は考慮しておらず、今回の試算と根拠は異なる。

 南関東でのM3〜6の発生頻度は、昨年5月時点で大震災前の約6倍に達し、現在も約5倍と高い。70%の確率は、現在の発生頻度が10〜20年程度続くと仮定した場合の数値という。

 平田教授は「大震災でひずみが解放され安全になったと考える人もいるが、地震の危険度は依然高く、防災対策をしっかりやるべきだ」と指摘している。

(ue)


(2012/01/16) 南海地震の「長周期地震動」予測 古い20〜30階建てビルは注意を

 南海地震が発生した場合にゆっくりと長く揺れる「長周期地震動」がどう現れるかを予測した地図を政府の地震調査委員会がこのほど公表した。大阪市、奈良市、徳島市周辺で大きな揺れを予想、大阪市では5分以上揺れが続き、人工島「舞洲」で1メートル以上の最大の揺れ幅となった。

 長周期地震動は、東日本大震災など巨大地震で発生。阪神・淡路大震災のような周期1〜2秒の短い強い揺れとは違い、周期2〜数十秒にわたるゆっくりとした揺れが弱まらず、繰り返し遠方までおよぶ。

 超高層ビルや石油タンクなど巨大構造物が影響を受けるとされ、東日本大震災では、新潟で石油タンクが油漏れを起こし、震源から700キロの大阪は、256メートルの超高層ビル「府庁咲洲庁舎」が1メートル以上揺れ、エレベーター停止や多数のひび割れなどの被害がでた。

 今回は、昭和21年の南海地震(マグニチュード8.4)の地震動を解析し、建造物に対する揺れの強さの分布を示した。

 今回の地図は地震調査研究推進本部の下記のホームページで公開されている。 http://www.jishin.go.jp/main/chousa/12_choshuki/index.htm

 また、既に公表済みの東海地震と東南海地震、宮城県沖地震を想定した同地図は次のURLで公開されている。 http://www.jishin.go.jp/main/chousa/09_choshuki/index.htm

 この結果、地盤が軟弱な大阪平野での影響が顕著となった。周期3秒で揺れやすい30階程度の高層ビルでは大阪市此花区の舞洲近辺で最大となり、揺れ幅は130センチ弱。東大阪市役所は約112センチに。

 長周期地震動の影響を受けやすい60メートル以上の高層、超高層ビルは全国に2500棟で、ほとんどが揺れやすく、人口が集中する大阪や東京、名古屋など大都市圏に集中しており、対策強化が求められている。

古い20〜30階建てビルは注意を
 大阪市住之江区の府庁咲洲庁舎(256メートル、55階建て)が、東日本大震災の揺れで大きな被害を受けたことの"裏付け"を示すデータが、政府の地震調査委員会から公表された。専門家や大手ゼネコンの胆当者は「超高層は倒壊などの危険は低く、20〜30階のビルの対策に目を向けるべきだ」と指摘している。

 府内の長周期地震動の影響を分析している京都大の林康裕教授(建築学)は「大阪はもともと長周期地震動の影響を受けやすい、やわらかい地盤の上にある」と話す。ただ60メートル以上(20階以上)の高層、超高層ビルは府内で380棟と限られ、特に超高層は大手ゼネコンの建築のため、林教授は「最新の耐震設計がなされ、倒壊する危険などはないだろう」とみる。

 府咲洲庁舎でも内部の被害が大きかった。林教授は「超高層より20〜30階程度のビルの方が数も多く、建設年次が古いものもある。そうしたビルの危険度の判断に注意すべき
だ。またビル内にある行政施設や企業の機能をどう維持していくかも考える必要がある」としている。

 高層ビル「本町ガーデンシティ」(大阪市中央区、27階建て)などの設計・施工に携わった「大成建設」(本社・東京都新宿区)によると、平成12年に長周期地震動にも備えた設計を行うよう建築基準法が改正されたこともあり、最新の超高層ビルでは長周期地震動のゆっくりとした長い揺れも吸収できる制震装置を備えているという。

(jf)


(2012/01/13) 神戸に新防災拠点完成 危機管理の中枢機能集約

 デジタル防災行政無線など最先端の危機管理情報システムを備えた神戸市の新防災拠点「危機管理センター」が同市中央区の市役所3号館別館跡地に完成、11日、記念式典が開かれた。17年前の阪神・淡路大震災では情報共有の遅れで初期対応が混乱したことから、免震構造の9階建てビル内に危機管理の中枢機能を集約。4月に運用を始めるといい、矢田立郎市長は「災害時の初動体制の強化や地域防災力の向上につなげたい」としている。

 阪神・淡路大震災では、市内で家屋倒壊や火災が相次いだが、市役所も被災したこと
で情報が混乱、市内全域の被害状況が把握できず、市民に対する避難誘導など必要な情報を伝える手段がなかったという。関係部局が別々の庁舎に入っていることも災害時の初期対応の課題となっていた。

 危機管理センターは、市役所別館跡地(約1130平方メートル)に建設。9階建ての庁舎ビルは、大地震の揺れを3分の1程度に低減する免震構造を採用。災害時こ指揮を執る危機管理情報センターと消防管制室がビル内に同居し、デジタル防災行政無線や映像を双方向で送受信できるシステムなどを導入し、スムーズな被害確認や避難勧告が可能になる。また、津波や台風による浸水被害に備えて、上層階に非常用発電機や食料などの備蓄倉庫を設置。1階の共用スペースには、市民向けの防災研修コーナーも配備している。

 矢田市長は「阪神・淡路大震災で災害時の初期対応の重要性を痛感した。この施設を拠点に迅速な意思決定や市民への情報提供を行うとともに、市民同士の自助・共助の精神による地域防災カを強化したい」と話した。

(jf)