地震予知と対策
(2011年4月1日〜30日)

 


(2011/04/30) 計画的避難までの生活「健康問題ない」 保安院発表

 経済産業省原子力安全・保安院は28日夜、東京電力福島第一原子力発電所から半径20キロ圏外で、5月末までに住民を避難させる方針の「計画的避難区域」について、「避難するまでの間、区域内で1カ月程度の生活や、避難にかかわる作業をしても、健康への問題はない」との資料をまとめ、発表した。

 計画的避難区域の発表は22日。該当する住民からは避難までの生活を心配する声が上がっていた。1週間近く遅れての発表に、保安院は「もっと早く出すべきだった。住民の方々に申し訳ない」としている。

 計画的避難区域は、20キロ圏外で1年間の累積放射線量が20ミリシーベルトに達する恐れがある地域として、政府が福島県飯舘村の全域や川俣町の一部など5市町村を指定した。5月末までに住民を避難させる方針は示したが、それまでの間の健康影響や備え方などの詳しい情報提供はなかった。

 保安院は「マスクをしたり長袖を着たりすることで被曝(ひばく)量をさらに下げられる」と説明、住民に理解を求めている。

 20〜30キロ圏内で計画的避難区域から外れる地域の大部分を「緊急時避難準備区域」に指定しているが、この区域では「通常の生活をして問題ない。緊急時には屋内退避や自力で避難できるようにしてほしい」としている。福島第一原発から半径20キロ圏内は、原則として立ち入り禁止の「警戒区域」になっている。(

(sk)


(2011/04/29) 東日本大震災の津波、史上最大 「明治三陸」超える

 東日本大震災で発生した大津波が、国内で過去最大の津波とされてきた明治三陸地震(1896年)による津波を超える規模だったことが、東京大地震研究所の現地調査で明らかになった。岩手県野田村から同県宮古市にわたる約40キロの海岸線の多くで、津波の到達した高さが20メートル以上に及び、5カ所で30メートルを超えた。明治三陸津波で遡上(そじょう)高が30メートルを超えたのは東北全体で2カ所だったことから同研究所は「明治三陸津波を超える津波だったと言える」と分析する。

 調査は、同研究所の都司(つじ)嘉宣准教授(津波・古地震学)らが実施した。東日本大震災の津波については、津波の痕跡が発生後1〜2カ月で消えてしまうため、今回の対象地域以外でも全国の津波研究者が分担して現地調査に取り組んでいる。

 都司准教授らの調査の結果、宮古市田老小堀内で津波の到達した高さが37.9メートルに及んだほか、同和野35.2メートル、同青野滝34.8メートル、宮古市・松月31.4メートル、同市・真崎30.8メートル−−の計5カ所で30メートルを超えた。

 明治三陸津波で高台へ運ばれた大きな岩として有名な「津波石」(標高25メートル)が残る岩手県田野畑村の羅賀地区では津波石を超える27.8メートルに達した。明治三陸津波では岩手県大船渡市で38.2メートルを記録したが、30メートル超は他に同県陸前高田市の32.6メートルだけで、昭和三陸地震(1933年)による津波は最高28.7メートル(大船渡市)だった。

 都司准教授は「明治三陸津波で甚大な被害を受けたいくつかの地区は、今回も30メートル近い津波が到達したが、集落を高台に移していたため被害を免れた。今後まとまる被災地全体の調査結果を、復興計画に生かしてほしい」と話す。

(kj)


(2011/04/28) 東日本大震災 緊急地震速報、なぜ外れる?

 東日本大震災後、震度5弱以上が想定される場合に出される緊急地震速報の発表回数は70回を超えた。だが、速報が出ても大きな揺れが来なかったり、違う場所で地震が発生するケースが今も相次いでいる。震災発生直後は地震計のダウンが影響していたが、今は全て復旧済みだ。なぜ外れてしまうのか。【飯田和樹】

 気象庁は24日午後8時50分、福島県会津地方を震源とする地震によって強い揺れが予想されるとして、緊急地震速報を発表した。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.5と予測され、震度は福島県会津で震度6弱〜5強、山形県置賜で5強〜5弱、福島県中通りで5弱、栃木・新潟・宮城・茨城の各県でも4程度と見込まれた。だが、観測された最大震度は福島県いわき市の「3」で速報の内容と大きく食い違っていた。

 気象庁によると、実際には会津地方で起こった地震は揺れを体に感じない程度の「無感地震」だった。この地震の約14秒後、福島県浜通りを震源にM3.6の地震が発生し、いわき市で震度3を観測したのだった。

 緊急地震速報は、震源近くにある地震計で最初に観測された小さな揺れの初期微動(P波)のデータから震源やMを推定し、遅れて到達する強い揺れの主要動(S波)の大きさ(震度)や到達時間を予想する仕組み。地震が頻発していない時には問題は生じないが、気象庁管理課は「現在のように地震活動が活発な時には、震源決定の精度が落ちてしまう」と話す。

 24日夜の緊急地震速報はどうして誤ったのか。まず午後8時50分4秒に会津地方を震源とするM2程度の地震が発生し、同地方に防災科学技術研究所が設置した地震計がP波を検知。一方、約14秒後の同8時50分18秒、約100キロ離れた福島県浜通りで、より規模が大きいM3.6の地震が発生し、いわき市の水石山に設置された地震計がこの地震のP波を検知した。地震の規模が違うため、水石山で検知されたP波の方が、会津で検知されたP波より大きかった。

 いずれの地震も、緊急地震速報の発表基準である震度5弱以上の揺れを引き起こすとは考えにくい規模の地震だった。ところが気象庁管理課は「二つの地震が短い間隔で発生したために一つの地震として扱い、予測を誤った」と説明する。

 会津地方の地震しか起きていないとした場合、震源から遠いために揺れが小さくなるはずの水石山の地震計で大きな揺れを観測したことになる。このため「震源に近い場所はもっと揺れていると推定し、地震の規模を実際より大きめに推定してしまうことにつながった」(管理課)という。

 大震災発生直後から同様の状況は起きていたが、余震の減少や地震計復旧などに伴って外れるケースは減っていた。しかし、今月11日に福島県浜通りを震源とするM7.0の余震が発生して以降、千葉県東方沖や茨城県沖などで発生する地震と混同して発表するケースが目立っている。

 11日以降、21回の緊急地震速報が発表されたが、うち9回は二つの地震を同一の地震として速報を発表した。また11回は震源の位置が違い、10回は最大震度が3以下だった。

 ◇プログラムの大幅改修 数カ月必要
 東日本大震災発生直後に緊急地震速報を発表する際には、3月12日に長野県北部で発生した強い地震の余震と、大震災の余震の区別をつけることができずに苦労した。気象庁の上垣内修・管理課長は「大震災発生後、同じ領域で1分程度の間に二つの地震が発生する確率は、震災前の25万倍ぐらいになった」と話す。

 これを解決するために気象庁は、緊急地震速報のシステムの設定を調整した。P波を感知した二つの地震計が350キロ以上離れていなければ一つの地震として処理していたのを、150キロ以上まで狭めた。長野県北部と東北太平洋沖でほぼ同時に地震が起きても、別の地震として処理できるようになった。

 だが、4月11日に福島県浜通りを震源とするM7.0の地震が発生した後は、この対策が通用しなくなった。地震の多発地域が福島県浜通りのほか、千葉県東方沖、茨城県沖、宮城県沖などと狭い範囲に集中し、150キロに狭めた意味がなくなってしまったのだ。

 気象庁管理課の内藤宏人・即時地震情報調整官は「150キロより狭めると、一つの地震を二つに分離してしまいかねない。すぐに対処する方法はない」と説明する。

 改善法としては、緊急地震速報に利用していない周囲の他の観測点の情報を取り入れたり、現在は使っていない地震波の振れ幅のデータを取り入れることなどが考えられるという。また、地震計の数を増やせば、震源決定の精度は上がると考えられる。ただ、どの方法も決め手になるかは分からない上、プログラムの大幅な改修が必要で、改善までには数カ月の期間を要する。

 上垣内課長は「改善はできると思うが、どんな条件でも大丈夫という形にするのは難しい。ミスが続いて、緊急地震速報が『オオカミ少年』にならないかと心配しているが、地震計が地震を観測しているのは間違いないので、速報が出た時に危険回避行動をとってほしい」と話している。

(rq)


(2011/04/27) 東日本大震災の前兆すべり観測できず 問われる予知体制

 巨大地震の前触れと考えられている「前兆すべり」が東日本大震災の前に観測されなかったことが、26日に開かれた地震予知連絡会で報告された。前兆すべりの検知を前提とした東海地震の予知体制のあり方が問われることになりそうだ。

 予知連では、山岡耕春名古屋大教授が、国土地理院や防災科学技術研究所などの観測結果をまとめて報告。全地球測位システム(GPS)による地殻変動や、岩盤のわずかな伸び縮みや傾きを観測データを示し、「本震前に前兆すべりのような顕著な変動はみられない」と説明した。

 前兆すべりは、地震を起こすプレート(岩板)とプレートの境界が、地震の前にゆっくりと滑り始める現象。東海地震の予知を目指して、気象庁は東海地方に展開する観測網でとらえようとしている。

 この理論では、東日本大震災の前に前兆すべりが観測されたはずだった。観測網は東海地方の方が充実しているが、マグニチュード(M)9.0という巨大地震でも観測できなかったことは、M8級と想定される東海地震の予知が本当に可能かの検証が必要になる。

 東海地震は、政府が唯一予知の可能性があるとして、大規模地震対策特別措置法で予知した場合に備えた防災体制を構築している。

 地震予知連会長の島崎邦彦東大名誉教授は「東海地震のような前兆すべりは観測できなかった」と認めた上で、「観測条件や地下の特性は東海とは同じではない」と話した。

 東海地震の予知は、地震学者にも「今の地震学では予知できない可能性の方が高い」とする意見や、ロバート・ゲラー東大教授のように「政府は不毛な短期的地震予知を即刻やめるべきだ」との指摘もある。しかし、予知の可能性は残されており、政府は失敗した場合に備えながらも、予知体制を維持している。

 気象庁地震予知情報課の土井恵治課長は「前兆すべりがとらえられなかったことは事実だが、『なかった』と証明されたわけではない。東海地震の予知体制が否定されたわけではなく、今後も見逃さないように観測を続けていく」と話している。

(xr)


(2011/04/26) 原発耐震指針を再検討へ 安全委、津波対策の必要性指摘

 原子力安全委員会の班目春樹委員長は25日、東日本大震災後の東京電力福島第一原子力発電所事故を受けた耐震指針の見直しをするかどうかの再検討を、専門部会で始めるとの方針を明らかにした。

 現在の耐震指針は、阪神・淡路大震災での反省をもとに2006年に見直された。しかし、東日本大震災では、福島第一、東北電力女川原発、日本原電東海第二原発でも、耐震指針にもとづく想定を超す揺れが観測されている。

 これまでの指針では津波にはあまり触れられていないが、今回は津波でも大きな被害が出ており、原子力安全・保安院なども、津波の検討の必要性を指摘している。

 委員会後に会見した班目委員長は「指針上の想定を超えた値は1割で、すぐに安全に問題があるわけではないが、連動しないと思っていたところが連動した可能性もあり、指針を改定するかどうかを含め、地震学者らの意見を聞き、専門部会で検討する」と話した。

(mc)


(2011/04/26) M9級の超巨大地震! 2000年前、巨大津波か

 高知大学の岡村真教授(地震地質学)らが、高知県土佐市の2000年前の地層から、厚さ50センチに及ぶ津波堆積物を見つけた。

 高さ10メートル超となった東日本大震災の津波でも、堆積物の厚さは5〜7センチ程度。専門家はマグニチュード9級の超巨大地震による津波である可能性をあげ、その再来もあり得ると指摘している。

 駿河湾―四国沖では、海のプレート(岩板)が陸のプレートの下に沈み込む境界(南海トラフ)で、東日本大震災のような巨大地震が300〜350年周期で起き、大きな津波も発生している。

 今回、50センチの堆積物(砂の層)が見つかったのは、現在の海岸から約400メートル内陸にある蟹ヶ池。岡村教授らが約30か所で池の底を調べた結果、東日本大震災以前では、最大級とされる宝永地震(1707年)の津波堆積物も見つかった。厚さは15センチ程度だったが、この時、蟹ヶ池近くの寺を襲った津波は高さ25メートルだったことが分かっている。

(sd)


(2011/04/24) 高い放射線出すがれき見つかる 3号機原子炉建屋近く

 東京電力は23日、福島第一原発3号機の原子炉建屋近くで、毎時900ミリシーベルトという高い放射線量を出すがれきを見つけたと発表した。これまで回収したがれきの100〜200ミリシーベルトに比べて高く、被曝を抑えるため作業員を1人に絞り、重機でコンテナに収容した。

 東電によると、付近はこれまでも高い線量が確認され、作業員が近づかないようにしていた。縦横30センチ、厚さ5センチのコンクリート片で、21日に撤去した。3号機の爆発で生じたものかどうかは特定できていない。

 収容したコンテナの外側の線量は毎時1〜2ミリシーベルトで、建屋から離れた場所で管理している。作業員の被曝量は3.17ミリシーベルトで、問題ない範囲だったとしている。
 東電はこのほか、放射能汚染水を収容する仮設タンクの詳細を明らかにした。6月初めまでに3万1400トンを搬入。不足に備え、その後、月2万トンずつ追加できるようにする。このほか、高濃度汚染水向け1万トン分を7月に設置する。3万トンあたり最低1万5千平方メートルの面積が必要で、敷地内の「野鳥の森」を伐採する検討も始めたという。

(qm)


(2011/04/24) 原発封じ込め、雨が大敵 作業停滞、排水も課題

 低気圧の通過に伴い雨になった東京電力福島第一原発で23日、放射性物質の飛散防止剤をまく作業が中止になった。降ったのは日中で数ミリ程度で、他の屋外作業への影響は少なかった。

 飛散防止剤は土木工事で土ぼこりが風で舞うのを防ぐため、表面を固めるのに使われる。敷地内では汚染拡大防止のため、試験散布が進められている。この日は5、6号機に電気をつなぐ開閉所近くの1900平方メートルにまく予定だった。

 また、敷地沖15キロで実施している放射能濃度の計測は19日から21日にかけ、しけで海水を採取できずデータが得られなかった。

 雨が強くなると、作業の停滞が懸念される。作業員の被曝を防ぎ、作業しやすくするため遠隔操作の重機によるがれきの撤去が進められているが、視界が悪ければ操作できない。さらに、防護服などを着込んだ内側は多湿になり、ゴム手袋も滑りやすくなる。

 雨で地下水位が上がれば排水も課題になる。敷地内の地下には飛散した放射性物質がしみ込んでいるとみられる。通常は建屋に浮力がかかるのを防ぐためくみ上げているが、現在は停止中。5、6号機では地下の機器の浸水が懸念され、海に放出した経緯がある。

 東電はこれまで海水から検出された放射性物質について、直接の流入や空気中を漂っていた物質が落ちたことに加え、土壌から雨で放射性物質が流れた可能性に言及している。

 23日未明に福島県内で最大震度5弱の地震があったが、原発への影響は確認されなかった。1〜3号機の原子炉への注水も、止まることなく継続している。

(rj)


(2011/04/23) 汚染水、海にどう広がる? 文科省が拡散予測を公表

 福島第一原発から出た汚染水が周辺の海へどう拡散するかを、文部科学省と海洋研究開発機構が予測し、公表した。汚染水はいったん北東方向に延び、5月に入ると数百キロの沖へ広がり、薄まるという。

 予測には、4月13日までに東京電力が発表した海水の放射能濃度の数値を使った。11日以降は、原発から海への汚染水の漏れはないという条件で、11日時点の海流をもとに分析した。4月16日には、排水濃度基準の10分の1までの比較的濃度の高い汚染水が北東に直線的に延びたが、4月中旬以降は、非常にゆっくりと、やや南寄りで沖へ移動しながら広がった。

(xr)


(2011/04/22) 原発20キロ圏、立ち入り禁止 22日午前0時、警戒区域に

 福島第一原発の半径20キロ圏内は22日午前0時をもって、災害対策基本法に基づく「警戒区域」に設定される。この区域は住民を含めて、原則として立ち入りが禁じられる。半径20キロという広範囲な生活圏を対象に退去を強制する措置は、極めて異例だ。

 菅直人首相は21日午後、訪問先の福島県郡山市の避難所で記者団に「福島県民の皆さんには地震、津波に加えて、原発被害という大きな重荷を背負わせてしまい、国としては大きな責任があると考え、全力を挙げて取り組む」と強調した。

 警戒区域設定が迫った21日、福島県内では20キロ圏内に「駆け込み」で戻る人が相次いだ。県警によると、福島市と圏内の浪江町を結ぶ国道114号などで交通量が増加。一部の検問所では同日午前中に1時間ほど渋滞した。

 県警は、すでにある検問所10カ所に加え、この日新たに脇道など65カ所にも侵入防止柵を設けた。それでも、警戒区域にかかる9市町村によると、区域内には21日の時点で計170人以上が残っている。

 警戒区域設定とともに、政権は区域内の住民の一時帰宅に向けた準備を進める。ただし原発から半径3キロ圏内は、一時帰宅の対象から外れる。経済産業省原子力安全・保安院は21日の会見で、一時帰宅の際の警戒区域への立ち入り時間は5時間程度になると説明した。20キロ圏内で最高値が毎時100マイクロシーベルト程度の地点があったため、余裕をみて2倍の毎時200マイクロシーベルトと設定し、一般市民の線量限度である1千マイクロ(1ミリ)シーベルトを超えないように、という計算。枝野幸男官房長官は21日、一時帰宅について「数日中に始めたい」と述べた。

(qm)


(2011/04/21) 3号機坑道と4号機地下、汚染水の水位上昇 福島第一

 東京電力は20日、放射能汚染水がたまっている福島第一原発3号機の坑道と、4号機のタービン建屋地下の水位が少しずつ上がっていると発表した。一方、高濃度の放射能汚染水がたまっている2号機の坑道の水位は、同日午前7時の時点で、24時間前より1センチ下がった。集中廃棄物処理施設に、水210トンを移送した効果とみられる。

 3号機の坑道は、20日午前7時の時点で地表まであと108センチ。今まで1日に1センチずつ上昇していたが、19〜20日には一気に3センチ上がった。4号機のタービン建屋地下のたまり水の水位も、前日より5センチ高くなった。いずれも3号機のタービン建屋と地下でつながっている可能性がある。

 3号機の坑道、4号機のタービン建屋のたまり水はいずれも、海に流出し、汚染する可能性がある。あふれるまではまだ1カ月ほど余裕があるとみているが、東電は高濃度汚染水用の仮設タンクか、集中廃棄物処理施設への移送を検討している。

 6号機でもタービン建屋の内部に600〜700トンのたまり水が見つかり、緊急措置として復水器へ100トンを移し替えた。

 東京電力は20日、1〜3号機の原子炉建屋内を遠隔操作ロボットが撮影した動画を公開した。はしごが吹っ飛んだり、がれきが散乱したりしている場所もあった。

(ph)


(2011/04/21) 燃料棒の一部溶融、東電が認める 福島第一1〜3号機

 東京電力は20日、福島第一原発1〜3号機の原子炉内の燃料棒が一部溶融していると認めた。これまで燃料の損傷は認めていたが、溶融については「判断材料を持ち合わせていない」として、認めてこなかった。

 東電はこの日、1〜3号機のタービン建屋地下などで3月30日までに採取した汚染水の成分分析のやり直し結果を発表。燃料が溶融しないと放出されない物質が高濃度で含まれていた。

 1〜3号機は燃料溶融の可能性が指摘されていたが、東電や経済産業省原子力安全・保安院は燃料棒の「損傷」とだけ認めていた。保安院は今月18日、ようやく1〜3号機で燃料を焼き固めたペレットが溶けて崩れているとの見解を原子力安全委員会に報告した。

 東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は保安院の見解を認めたうえで、「燃料の一部が溶けてむき出しになっているところはあると思う。だが、炉心がどろどろに溶けて底部にたまっている状態までは確認できていない」と話した。

(fz)


(2011/04/19) 2号機の使用済み燃料破損か セシウム検出、東電が発表

 東京電力は18日、福島第一原発2号機の燃料プールにある使用済み燃料が破損している恐れがあるという見方を示した。プールの水の分析から分かった。地震時の揺れなどで落ちたがれきなどによって核燃料が壊れた可能性があるという。2号機の燃料プールの破損状況はこれまでわかっていなかった。

 分析した燃料プールの水は16日に採取した。1立方センチあたりのセシウム134は16万ベクレル、セシウム137は15万ベクレル、ヨウ素131は4100ベクレル検出した。

 プール内には震災時に587体の燃料集合体が保管されていたが、通常はほとんど検出されることはないという。

 検出されたヨウ素やセシウムの比率から、原子炉内で最近まで核分裂を起こしていたものではなく、炉から取り出して一定の時間を経たものである可能性があるという。

 東電によると、2号機では地震発生の9日後からプールを冷却できており、冷却水の喪失で燃料棒が溶けたとは考えづらい。地震や、1、3号機の水素爆発による影響でプールにがれきが落ち、燃料を破損させた可能性があるとみている。

(nw)


(2011/04/19) 燃料棒の溶融、保安院が初めて認める 内閣府に報告

 福島第一原発1〜3号機の核燃料棒は、溶けて形が崩れている、との見方を経済産業省原子力安全・保安院が初めて示した。18日に開かれた内閣府の原子力安全委員会に報告した。保安院はこれまで、燃料棒が損傷した可能性は認めていたが、「溶融している」との見解を公式には明らかにしていなかった。

 保安院は、核燃料の表面を覆っている金属の被覆管が傷つき内部の放射性物質が放出されることを「炉心損傷」、内部の燃料が溶け出して形が崩れると「燃料ペレットの溶融」、溶けた燃料が下に落ちるのを「メルトダウン」とした。

 そのうえで、検出された放射性物質の成分などから、1〜3号機とも「燃料ペレットの溶融」が起きていると推測。さらに、制御棒などと一緒に溶けた燃料が落下、下にたまった水で冷やされて再び固まり、水面に露出している、との見方を示した。ただし、どの程度溶けているかは「実際に燃料を取り出すまでは確定しない」とした。

 安全委の代谷誠治委員は「炉内の状況について保安院から話があったのは今日が初めて。報告の頻度を高めてほしい」と苦言を呈した。

(oy)


(2011/04/19) 東日本大震災:被災地に「食料供給基地」…政府が法案

 政府は18日、東日本大震災で甚大な被害を受けた農林水産業の復興の基本法となる「新たな食料供給基地建設のための特措法案(仮称)」の概要をまとめた。国と地方が協力して「復興再生計画」を策定し、津波被害を受けたエリアを「都市地域」「農林業地域」「漁業地域」に再編。市街地を安全な高台に造るとともに、被災した農地や漁港を集約し、大規模化を図る。

 政府は東北地方の再建に向け、基幹産業である農業・漁業の復活が欠かせないと判断。農林水産業に特化した基本法を制定することにした。被災地域を新たな「食料供給基地」と位置づけ、点在する漁港の集約や加工を含めた水産基地の再編、農地の大規模化と生産体制の強化、物流ネットワークの整備などを打ち出したい考えだ。

 エリアの再編のため、被害地域を一時国有化することも検討課題となる。計画の実施には都市計画法や農地法など現行法の規制緩和が必要となる見通しで、関連法案の一括提出も検討する。

(kj)


(2011/04/19) 津波の浸水面積、青森〜千葉で計561平方キロ

 東日本大震災の津波で浸水した面積は、青森から千葉の6県62市町村で計561平方キロに及ぶことが、国土地理院による空中写真や衛星画像の分析でわかった。これは東京の山手線の内側(63平方キロ)の約9倍の広さ。

 各県の浸水面積は、青森24平方キロ、岩手58平方キロ、宮城327平方キロ、福島112平方キロ、茨城23平方キロ、千葉17平方キロ。市町村別では、宮城県石巻市が73平方キロで最も広い。

(as)


(2011/04/18) アウターライズ地震 発生の懸念、小さな揺れで大津波も

 東日本大震災後、各地で地震活動が活発化する中、震源域東側の太平洋プレートの内部で、大規模な「アウターライズ地震」の発生が懸念されている。マグニチュード(M)9.0の巨大地震の影響で、太平洋プレートに大きな力がかかっているため。過去には最初の大地震の2カ月後に発生した例もあり、気象庁は「発生すれば大津波警報を出すようなケースも考えられる」と話している。

 アウターライズ地震は、陸のプレートの下に海側のプレートが沈み込む境界面で起きる東日本大震災のような地震の発生後、境界面より外側の地域で発生する地震を指す。プレート境界面の破壊後、海側のプレートの浅い部分に引き延ばそうとする力が働くため、プレート内部で正断層型の地震が発生する。

 気象庁地震予知情報課によると、明治三陸地震(1896年、M8.2)の37年後に発生した昭和三陸地震(1933年、M8.1)や、06年11月の千島列島沖地震(M7.9)の約2カ月後に発生した地震(M8.2)がこのタイプ。2004年のスマトラ沖大地震などでも、規模は小さいが同じメカニズムの地震が発生したという。

 同課によると、東日本大震災発生から約40分後の午後3時25分に発生したM7.5の余震や3月22日に発生したM6.7の余震は、アウターライズ地震の一種と考えられる。アウターライズ地震は陸から離れた場所で起きるため、陸での揺れは小さくなりがちだが、津波を起こしやすいという特徴がある。昭和三陸地震は最大震度5だったが、沿岸には大津波が押し寄せた。

 同課は「M8級の大規模なアウターライズ地震の場合、震度4や5弱でも6〜10メートル以上の津波が起きる場合があり、大津波警報を発表する可能性がある。揺れが小さいからといって油断せず、警報が発表されたらすぐに避難してほしい」と話している。

(rq)


(2011/04/18) 原子炉冷温停止まで6〜9カ月 東電が見通し

 深刻な放射能漏れを起こしている福島第一原子力発電所について、東京電力は17日、事故収束への工程表を示し、原子炉を安全な状態で停止するのに6〜9カ月かかる、との見通しを明らかにした。東電が事故の収束の見通しを示したのは初めて。また工程表の中で、2号機の格納容器の破損や、4号機の燃料プールを支える建屋の壁の損傷による強度不足などを認め、対策を講じる方針を示した。

 工程表によると、第1段階(ステップ1)で、確実に原子炉を冷却し、放射性物質の放出を減少に向かわせるのに3カ月程度かかる、とした。第2段階(ステップ2)では、原子炉を100度未満の安定状態に保つ「冷温停止」にし、放射性物質の漏出を大幅に抑えるのに3〜6カ月程度かかる、との目標を示した。

 原子炉や建屋などの現状も明らかになった。1〜3号機の原子炉は、異常な温度上昇を起こさない程度にしか冷やせておらず、再び水素爆発する危険性が消えていない。2号機は格納容器が損傷、高濃度の放射能汚染水を漏出している、とした。大気中に放射性物質を放出している4号機の使用済み燃料プールは、爆発や地震で強度が十分に保たれていないとの認識を示した。

 この実態をふまえ、ステップ1では水素爆発を起こさせないため、原子炉格納容器に窒素注入を続け、さらに格納容器内を水で満たして安定的に冷やす。2号機は格納容器の破損部分の周囲をセメントで固めて漏れないようにする。ステップ2では水を循環させて原子炉を冷やす装置を稼働させ、100度未満の冷温停止状態の保持をめざす。

 4号機の燃料プールは、ステップ1で底の空間部分にコンクリート製の支柱を造る。ステップ2では、放水車で水を入れつつ、水を循環させる冷却装置を復旧させる。中期的な課題として、燃料を取り出して保管することも盛り込んだ。

 大気や海への放射性物質の漏出対策は、ステップ1で高濃度の放射能汚染水をためるタンクなどを確保。ステップ2で、原子炉建屋をテント状のシートで覆う計画を示した。中期的には、原子炉建屋の周囲にコンクリートの建物を造るという。住民にわかりやすく迅速に放射線量を知らせるシステムも拡充する。

 勝俣恒久会長は「計画は100%できるというものではない。とにかく事態を収束させるためにやれることから行い、原子炉の冷却を達成したい」と話した。

(mc)


(2011/04/18) 宮城の震災犠牲者、95%以上が水死 

 宮城県警は17日、東日本大震災の発生から1カ月で検視した宮城県内の死者8015人について、半数以上が60歳以上で、死因は95%以上が津波による水死だった、と発表した。

 死因の内訳は、水死7676人(95.8%)、がれきなどによる損傷死126人(1.6%)、焼死83人(1.0%)など。「建物の倒壊による圧死」は0.3%で、約9割を占めた1995年の阪神・淡路大震災とは大きく異なる結果となった。

 警察庁によると、17日午後6時現在の東日本大震災の死者は余震を含めて、1万3802人。警察に届け出があった行方不明者は1万4129人に上る。

 死者の内訳は、宮城県8398人、岩手県3981人、福島県1360人など。行方不明者は宮城県7771人、岩手県4005人、福島県2349人など。

(wg)


(2011/04/17) 東京湾沿岸で液状化42平方キロ 世界最大

 東日本大震災に伴い、東京湾沿岸で液状化が確認された面積は少なくとも約42平方キロと世界最大だったことが地盤工学会の現地調査で明らかになった。阪神・淡路大震災の4倍以上の規模。茨城など他県でも液状化が確認されており、今後の調査で被害範囲はさらに拡大する見通しだ。

 東京電機大の安田進教授(地盤工学)らは3月12〜23日、東京・お台場から千葉県浦安市、千葉市にかけての東京湾沿岸を調査し、液状化が確認できた場所の面積を積算した。

 その結果、同エリアだけで東京ドーム約900個分に相当する42平方キロと推計された。過去最悪とされた今年2月のニュージーランド地震の被害面積(約34平方キロ)を上回る。

 地下水と砂が一緒に噴き出す噴砂は、浦安市や東京都江東区などで厚さ約30センチと国内最大だった。一方、東京ディズニーリゾートや幕張メッセなど、液状化対策の地盤改良を施した地区に大きな被害は見られなかった。

 液状化被害が大規模になった原因について安田教授は「液状化が起きた後も地盤が大きく揺さぶられ続けたからではないか」と、揺れの長さが被害を拡大させたとみている。3月11日の地震では、東京都心や千葉市などで震度4以上の揺れが2分以上続いた。

 沿岸の埋め立て地のほか、埼玉、千葉、茨城各県の内陸部でも河川や湖沼沿いに液状化が確認されており、今後の調査で被害面積はさらに広がるという。安田教授は「今後、規模の大きな余震や誘発地震で液状化が再発する可能性がある。復旧は原状に戻すだけでなく、費用をかけても再発を防ぐ地盤対策を行うことが理想的だ」と指摘する。
 
◇液状化
 地下水を含んだ砂の地盤が強い震動を受け、液状となる現象。構造物が傾いたり、砂が地下水と共に噴き出す(噴砂)。地下水が浅い所を流れている場所や埋め立て地で起きやすく、阪神・淡路大震災(1995年)、ニュージーランド地震(2011年)などで深刻な被害が出た。一度液状化した場所は再び液状化しやすい。

(fk)


(2011/04/17) 福島原発34キロ沖、セシウム基準の2倍 ヨウ素は4倍

 福島第一原発から東へ約34キロの沖合で、セシウム137が基準の約2倍に相当する1リットルあたり186ベクレル、ヨウ素131は基準の約4倍の161ベクレルが検出された。文部科学省が16日に発表した。いずれもこの海域での最高値で、セシウムが基準を超えたのは初めて。原発からの高濃度汚染水が拡散、流れ着いた可能性が高い。

 海水は15日午前に海面から約10メートル付近で採取された。この地点より南方の2地点でも基準に近いヨウ素が確認された。海底から約10メートルの下層では、検出されなかった。

 一方、2号機の取水口付近では、放射性物質の濃度が再上昇した。東京電力が16日発表した。以前に流出していた亀裂からの再流出ではないとしている。

 14日に採取した海水からはヨウ素131が基準の1100倍だったのが15日には6500倍に、セシウム137は370倍から1400倍に跳ね上がった。取水場所は、汚染拡大を防ぐ水中カーテン(シルトフェンス)の内側で、汚染水がたまり高濃度になった可能性があるが、別の亀裂からの漏れも否定できないという。

(fz)


(2011/04/17) がれき総量580万トン、処理に3110億円 岩手県知事

 岩手県の達増拓也知事は16日、震災で生じたがれきなど廃棄物の総量を580万トンと推計し、処理費用に3110億7千万円を見込んでいると明らかにした。

 3月には倒壊家屋数から380万トンと試算したが、家屋以外の建物や津波で流れ込んだ泥の量などを含めたため、200万トン増えた。県資源循環推進課によると、580万トンは県内で排出される一般廃棄物の12年分にあたる。

 県は全量を年内に集める方針で、一時保管用地3平方キロメートルの4割を確保したという。処理には3〜5年かかるとみている。

(oy)


(2011/04/16) 死者1万3591人、不明1万4497人 15日19時

 警察庁によると、東日本大震災による死者は、余震を含めて15日午後7時現在で、12都道県の1万3591人に上った。行方不明者は6県で1万4497人。負傷者は19都道県で4916人。

 各県で確認されている死者数は宮城8304人、岩手3924人、福島1300人、茨城23人、千葉18人、東京7人、栃木と神奈川で各4人、青森3人、山形2人、北海道、群馬で各1人。

 行方不明となっているのは宮城7918人、岩手4031人、福島2544人、千葉2人、青森、茨城各1人。

 建物被害は全壊5万8215戸、道路損壊は3405カ所に上る。

 岩手、宮城、福島での死者のうち、15日午前10時現在で、身元が判明したのは1万1367人。遺族や自治体に引き渡された死者は身元不明を含めて1万2348人となった。

(sk)


(2011/04/16) 放出の汚染水、計1万トン 放射能1500億ベクレル

 東京電力と経済産業省原子力安全・保安院は15日、東電が4日から10日にかけて福島第一原子力発電所から意図的に海へ放出した比較的低濃度の放射能汚染水が、合計1万393トンにのぼったと発表した。含まれる放射能の量は1500億ベクレル。今後は、仮設タンクを設置するなどして収容場所を確保し、保管するという。

 放出は主に、2号機のタービン建屋地下や坑道にたまった高濃度の汚染水が海に流出するのを防ぐため、その保管場所を確保することを目的に行われた。

 当初は集中廃棄物処理施設の1万トンのほか、5、6号機の周りの地下水をためている升の1500トン、計1万1500トンの放出が計画された。

 実際の放出量は、集中廃棄物処理施設で9070トン、5、6号機の升で1323トンと、計画よりやや少なめだった。放射能の総量も、放出当初の見積値(1700億ベクレル)よりやや少なかった。

 放出した水の放射能の濃度は、原子炉等規制法が定める海水での濃度の基準の100倍程度にあたる。保安院によると、今回の放出に限って人体への影響を計算すると、原発から1キロ以遠の魚や海藻を毎日食べた場合の年間被曝(ひばく)量は0.6ミリシーベルトで、年間に自然界から受ける放射線量(2.4ミリシーベルト)の4分の1にあたるという。

 だが実際には、原発近くの海岸ではさらに高い濃度の汚染が検出されている。その多くは、2号機の作業用の穴(ピット)の亀裂から流出した高濃度汚染水の影響とみられる。放出した低濃度汚染水の放射能量は、2号機の高濃度汚染水に換算して10〜100リットル分程度にすぎない。

 福島県では、30キロの沖合の海水からも基準の2倍を超える放射性ヨウ素131が確認されている。セシウム137の濃度も11日、過去最高を記録した。

 10年前に、茨城県東海村沖で放射性セシウムがどのように拡散するかをシミュレーションした日本原子力研究開発機構の中野政尚さんは、「海水に広がればかなり薄まる。沖合30キロでの汚染は高濃度汚染水の影響を受けていると見るのが、一般的だろう」と話す。

 九州大学アイソトープ総合センターの百島則幸教授(環境放射能)も、海域の汚染は高濃度汚染水の影響を受けていると指摘する。汚染水の放出源の影響は、ヨウ素とセシウムの値の比を見る。30キロ海域で出ているヨウ素とセシウムの値の比はほぼ1対1で、高濃度汚染水の比に近いという。

 東電は放出の際、原子炉等規制法に基づき、汚染や災害が発生するおそれがある場合の「応急の措置」として保安院に報告、了解された。しかし、漁業関係者や周辺国への事前連絡が不十分だと批判を浴びた。

 保安院によると、今回の発表の際には、東京にある関係各国の公館や福島、宮城、茨城の各県や各自治体、漁協に連絡したという。

(qm)


(2011/04/15) 津波伴うM8級、1か月内にも再来…専門家

 東日本大震災の震源域の東側で、マグニチュード(M)8級の巨大地震が発生する可能性が高いとして、複数の研究機関が分析を進めている。

 日本海溝の東側で海のプレート(岩板)が引っ張られる力が強くなっているためで、早ければ1か月以内に津波を伴う地震が再来する危険がある。

 M9・0の東日本大震災は、押し合っていた海のプレートと陸のプレートの境界面が破壊されて起きた。そのため周辺の地殻にかかる力が変化し、東日本全体で地震が誘発されている。

 京都大防災研究所の遠田晋次准教授(地震地質学)は全地球測位システム(GPS)の測定データから、海のプレート内部で引っ張られる力が強くなっていることを突き止めた。明治三陸地震(1896年)の37年後、昭和三陸地震を起こしたメカニズムと共通しているという。「今、昭和三陸規模の地震が起きると、仙台市で10メートルの津波が押し寄せる計算になる」と言う。

(fk)


(2011/04/15) 地下水の放射能濃度、1週間で10倍に 福島第一原発

 東京電力は14日、福島第一原発1号機と2号機周辺の地下水に含まれる放射能が、1週間前に比べて約10倍の濃さになっていた、と発表した。経済産業省の原子力安全・保安院の指示で今後、週に1回の計測を3回に増やし、警戒を強める。

 東電は13日に1〜6の各号機に付設した井戸で水を採取し分析した。その結果、1号機ではヨウ素131が1立方センチあたり400ベクレル、2号機では610ベクレル検出され、それぞれ6日に比べて10倍程度増えていた。他の号機では、放射能の濃度は横ばいか減少していた。

 東電は「高濃度の汚染水がたまっている2号機の地下からしみ出た可能性も否定できない」としている。

(xr)


(2011/04/15) 陸前高田で84センチ地盤沈下 被災3県、広域で沈下

 国土地理院は14日、東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県での地盤変化の状況を発表した。調査した沿岸部の28地点すべてで震災前より沈下し、最大で84センチ下がっていた。

 岩手県宮古市〜福島県相馬市の水準点と三角点について5〜10日、全地球測位システム(GPS)で標高を観測し、3月11日の本震前と比較した。

 最も大きく沈下したのは岩手県陸前高田市小友町西の坊で、宮城県石巻市渡波神明の78センチ、同県気仙沼市唐桑町中井で74センチと続いた。最も差異が小さかった宮城県亘理町でも20センチの沈下があった。

 国土地理院によると、沈下の原因は本震や余震による地殻の変動。電子基準点の調査では宮城県牡鹿半島の1.2メートル沈下が3月18日に判明しており、3県沿岸部の広域で地盤が沈下したことが裏付けられたという。

 今回は緊急調査で誤差がある可能性もあり、年度内に測量を実施し、正確な状況を把握する。川原敏雄・物理測地課長は「今回の調査結果を各自治体の防災対策などに活用してほしい」と話している。

(nw)


(2011/04/15) 東日本大震災 復興構想会議 原発除外に異論が噴出

 「全国民の英知を結集する」として菅直人首相が発足させた東日本大震災復興構想会議(議長・五百旗頭真防衛大学校長)の議論が14日始まった。6月末をめどに第1次提言をまとめることを確認したが、首相が議論の対象から原発問題を外すよう指示したのに対し哲学者の梅原猛特別顧問らから異論が噴出。震災発生後の本部・会議の乱立や政治主導の政権運営に疑念を呈する発言も相次ぎ、復興構想の具体化に不安を残すスタートとなった。

 「原発問題を考えずには、この復興会議は意味がない」。以前から原発の危険性を唱えてきた梅原氏は会議の終了後、記者団にこう言い切った。首相自ら特別顧問就任を要請した梅原氏だが、東京電力福島第1原発事故の収束する見通しの立たない中、賛否の割れる原発問題に踏み込みたくない首相の意向と会議の間に初会合からずれが生じた。

 原発事故の被害に苦しむ福島県の佐藤雄平知事は「原子力災害も皆さんに共有していただきたい。安全で安心でない原子力発電所はありえない」と提起。秋田県出身の脚本家、内館牧子氏も「地震、津波、原発事故という3本の柱で考えたい」と述べ、復興構想の中に原発をどう位置づけるかが議論の焦点の一つになりそうだ。

 内館氏は対策本部や会議の乱立にも「復興構想会議もその中の一つと国民に思われたら、東北がつぶれる」と苦言。震災後も府省や自治体との連携不足が目立つ菅政権に対し、「官僚と県や市が一体となってやることがまず第一」と注文をつけた。

 五百旗頭氏は会議後の記者会見で「検討部会で専門的な議論をするときには官僚機構から知恵を出してもらいたい」と強調。会議の下に設置する検討部会(部会長・飯尾潤政策研究大学院大教授)で提言の肉付けを進める段階で、官僚の協力を期待する考えを示した。

 こうした委員の不安を見透かすように、自民党の谷垣禎一総裁は同日の記者会見で「会議が乱立して役割分担がはっきりしない問題が対応のまずさにつながっている面もある」と批判した。

 菅首相は12日の記者会見で「野党にも復興の青写真を作る段階から参加していただきたい」と呼びかけたが、与野党の対立は逆に深まっている。

(uh)


(2011/04/14) 東電社長、避難住民に賠償仮払い表明 役員報酬は削減

 東京電力の清水正孝社長が13日、同社本店(東京・内幸町)で記者会見し、福島第一原子力発電所の事故に伴う避難住民に対して、当面の生活資金を支払う方針を表明した。法律に基づく賠償金の仮払いとして支払う。金額や支払いの時期は明示しなかった。

 清水社長の本店会見は、事故発生直後の3月13日以来、1カ月ぶり。前回会見後、体調を崩して入院したが、「これからは万全だ」と強調した。

 事故に伴う損害賠償について、清水社長は「国と協議しながら原子力損害賠償制度に基づき、誠意を持って対応する」と述べ、仮払いの意向を明らかにした。すでに避難住民らから多くの申し出があるといい、早急に問い合わせ窓口を設ける。

 仮払いの金額と時期については、補償問題の担当相に任命された海江田万里経済産業相が11日、1世帯100万円を早急に払う意向を示した。だが、清水社長は「一日も早く仮払いしたい。具体的な金額はこれからしっかり決める」と述べるにとどめた。

 福島第一原発の事故が、国際的な事故評価尺度で最悪の「レベル7」となったことに対しては「世界各国に迷惑をかけ、重く受け止めている」として陳謝。菅直人首相は東電に今後の見通しを示すように求めており、清水社長は「対策を詰めている段階。一日も早く示したい」と説明した。

 福島第一の1〜4号機については、廃炉の意向を改めて表明したが、5、6号機と福島第二原発の廃炉は「未定」とした。2007年の新潟県中越沖地震以来、耐震補強工事を施している柏崎刈羽原発2〜4号機については、再稼働に意欲をみせた。とくに3号機は「できれば年内に了解を得る手続きに入りたい」との意向を示した。

 経営責任については「出処進退を含め、現時点でコメントする状況にない」と言及を避けた。原発事故の事態収束と被災者の支援、電気の安定供給に取り組むことが「最大の責務」と強調した。

 日本経団連の副会長職と電気事業連合会の会長職については、事故対応に専念するため、辞任する意向を正式に表明した。

 一方、社内のリストラ策の一環として、役員と管理職の報酬を4月分から削減する方針を明らかにした。賠償や発電所の復旧などに多額の資金が必要になるためで、清水社長は「聖域なくスリム化する」と語った。

(mc)


(2011/04/14) 福島・相馬の津波、観測史上最高の9.3m 気象庁分析

 東日本大震災の津波について、気象庁は13日、福島県相馬市の津波観測施設で9.3メートルの波の高さを観測していたと発表した。機器による観測値としては史上最高となる。
 津波による停電や回線トラブルで観測データの送受信が途絶えていたが、岸壁に設置された巨大津波観測計のセンサー部分を職員が回収し、分析した。

 分析結果によると、3月11日午後2時46分に発生した地震により、3時35分までに最大1.2メートルの引き波となり、その後急激に潮位が上昇した。3時50分に7.3メートル、その1分後に9.3メートルを観測した。記録は4時14分で途絶えており、後続の波がさらに高かった可能性もあるという。

 今回の震災での津波の高さは、これまで岩手県宮古市沿岸の8.5メートルが最高だった。
 津波の高さを表す方法としては、機器による観測値のほか、建物の壁面などに残った浸水の痕跡を測る「痕跡高」や、津波が丘陵を駆け上がる高さを測る「遡上(そじょう)高」がある。

(rj)


(2011/04/13) 福島第1原発 最悪評価 レベル7  世界に衝撃

 政府は12日、東京電力福島第1原発1〜3号機の事故を、国際的な原子力事故の評価尺度で最悪の「レベル7」と暫定評価した。レベル7は、過去には旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)しか例がない。人類史上に残る深刻な事故に肩を並べた「フクシマ」のニュースは世界を駆け巡った。だが、チェルノブイリと福島第1とでは、原子炉の構造や事故の様相に大きな違いが指摘されている。

 「福島では急性の大量被ばくは発生していない。原子炉圧力容器は原形をとどめて働いており、放出された放射性物質は10分の1。チェルノブイリとはまったく異なる」

 12日、会見でレベル7への評価引き上げを発表した経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は、チェルノブイリとの違いを強調した。

 チェルノブイリ原発は、日本の原発とは構造が異なる。炉内に燃えやすい黒鉛を使用し、放射性物質を封じ込める原子炉格納容器がない。事故では、出力が急上昇して原子炉や建物が水蒸気爆発によって吹き飛び、黒鉛火災が発生して大量の放射性物質が放出された。

 石川迪夫(みちお)・日本原子力技術協会最高顧問(原子力工学)は「火災と核燃料の崩壊熱で約2800度の高温状態が4、5日続き、ウランやプルトニウムなどあらゆる種類の放射性物質が蒸発して放出された。福島はある程度冷却されているので、揮発性の高いヨウ素などしか出ていない。個人的にはレベル6だと思う」と話す。

 宮崎慶次・大阪大名誉教授(同)は「急性被ばくによる死者が出たチェルノブイリと同列に扱われることについては戸惑いもある」としながらも、「チェルノブイリの事故は1基だったのに対し、今回は1〜3号機に加え、核燃料プールなども損傷する複合事故だったことがレベル引き上げにつながった」と見る。

 一方、医療放射線防護連絡協議会の菊地透・総務理事は「事故当初、保安院は評価をレベル4から5に引き上げたが、海外の受け止めは当時からレベル7だった。こうした過小評価が対応の遅れにつながった面もある」と指摘する。

 政府が公表した37万〜63万テラベクレルという放射性物質の放出量について、菊地さんは「1950年代以降に米ソなどが実施した大気圏内核実験による汚染に比べれば、わずかなレベルだ」との見解だ。

 チェルノブイリでは百数十人の職員や消防士が高線量の被ばくによる急性放射線障害を起こし、周辺住民約500万人のうち、事故当時子どもだった6000人以上が後に甲状腺がんになった。国際機関の正式な報告では、これ以外の放射線による健康影響は認められていない。

 佐々木康人・日本アイソトープ協会常務理事は「福島の場合、原子炉自体が爆発したチェルノブイリより爆発の規模が小さく、放出された放射性物質の量も少なかったため、環境汚染の範囲は狭く、程度も低い」という。将来のがんの増加の懸念についても、「目に見えて増える事態は考えにくい」と否定的だ。

 佐々木さんは「今後の健康リスクを予測するためにも、住民の被ばく線量を調べることは大事。事故後の住民の行動を記録しておくべきだ」と提案する。

 一方、チェルノブイリ原発事故が約10日でほぼ収束したのに対し、福島第1原発事故は1カ月が経過しても、放射性物質の放出が続き、収束のめどが立っていない。

 東電の試算によると、事故がなければ4月11日時点で1〜3号機の炉内と使用済み核燃料プールに残った放射性物質の総量は約8500万テラベクレルと見積もられていた。保安院は「今回の事故で炉内にあった放射性物質の約1%が放出された」とみている。仮に1〜3号機の放射性物質がすべて放出されると、チェルノブイリの十数倍に上る。

 石川さんは「これまでの地震や事故で、原子炉が壊れて手薄になっている状態なので、何が起こるか分からない状況になっている。余震で原子炉圧力容器の底が抜けるようなことがあれば、内部の放射性物質が大量に出てくる事態も考えられる」と指摘する。

 各原子炉では高線量の汚染水や、度重なる余震により、原子炉内の冷却作業が思うように進まない。石川さんは「冷却水を循環させ、今より強く核燃料を冷やす必要がある。なるべく放射性物質を固体にし、外に漏れにくくしなければならない」と話している。

 (テラベクレル)
 ベクレルは放射線を出す能力(放射能)の強さを表す単位。テラは「1兆倍」を表す。1テラベクレルとは、1秒間に1兆回の原子核崩壊が起きる際の放射能の強さを示す。標準的なラドン温泉1トンが持つ放射能は約1000万ベクレル。一方、シーベルトは放射線の人体への影響を示すもので、1ベクレルの放射性ヨウ素を経口摂取した場合の人体への影響は、0.022マイクロシーベルトとなる。

(uh)


(2011/04/13) 東日本大震災 地殻均衡崩れ各地で地震活動誘発
 
 東日本大震災の余震域の内外で、地震活動が活発な状態が続いている。本震から1カ月の11日には、福島県浜通りを震源とするマグニチュード(M)7.0の地震が発生。福島県浜通りから茨城県北部の地域は1983年以降、M4以上の地震がない“空白域”だったが、11日の地震から1日間で最大震度4以上の地震が13回発生するなど、一転して地震の多発地帯となっている。

 大震災発生後に国土地理院が全地球測位システム(GPS)を使って実施した観測によると、東日本各地で非常に大きな地殻変動がみられた。気象庁の長谷川洋平・地震情報企画官は「M9.0という規模の大きな本震によって、地殻にかかる力のバランスが崩れたことで、東日本のあちこちで地震活動が活発化している。福島県浜通りから茨城県北部も地震活動が活発化した地域の一つ。本震の影響を強く受けた地域でもあり、地震の活動度が高い状況がしばらく続くという印象を持っている」と説明する。

 12日には、地殻のひずみが集中する地域と考えられる長野県北部や、大震災の余震域の南端の千葉県東方沖でも最大震度5弱の強い地震が発生。気象庁は12日、12日午後3時から6日間以内にM7以上の余震が発生する確率を10%と発表した。地震調査委員会は「余震域周辺の海域でも、M7〜8程度の地震が誘発される可能性がある」との見解を出しており、東日本全体で大きな地震に対する警戒が必要となっている。

(ig)


(2011/04/12) 福島などで震度6弱、いわき市などで2人死亡

11日午後5時16分頃、福島県東部を震源とする地震があり、同県いわき市、古殿町、中島村、茨城県鉾田市でそれぞれ震度6弱を観測した。

 気象庁によると、震源の深さは6キロ、マグニチュード(M)は7.0と推定される。3月11日にM9・0を記録した地震の余震とみられる。

 いわき市消防本部によると、11日夜、同市内で「民家が土砂で倒壊した。中に人がいる」との通報があった。福島県警によると、高橋貞夫さん(71歳)方など2棟が倒壊し、高橋さん方にいた4人のうち、孫の愛さん(16歳)が病院に搬送されたが死亡した。高橋さんも肋骨(ろっこつ)を折る重傷。また、隣接する別の1棟にも数人が閉じ込められているとみられ、救出作業を進めている。

 茨城県によると、龍ヶ崎市で男性(46歳)が転倒し、搬送先の病院で死亡。牛久市では、スリランカ人の男性(46歳)が地震のショックで倒れ、意識不明だという。

 地震直後、いわき市では全域で停電。東北電力によると、午後9時現在、福島、宮城、岩手県で計24万1986戸が停電している。

(sd)


(2011/04/11) 高濃度汚染水、回収に向け作業開始 福島第一原発2号機

 東京電力福島第一原発で10日、2号機にたまった高濃度の放射能汚染水の回収に向けた作業が始まった。タービン建屋内にある復水器という装置に、建屋外にあるたて坑と坑道にたまった水をポンプで送り込む。貯水量を確保するため比較的濃度が低い汚染水を海に放出する作業もほぼ終わった。

 タービン建屋には地下にも汚染水があり、3月24日に3号機で作業員が被曝(ひばく)したことで問題化。その後、2号機の濃度が特に高いことや、外の坑道にも漏れ出していることが判明した。

 東電は10日、2号機の復水器(容量3千トン)へ送る汚染水をポンプでくみ上げるためのホースを設置した。タービン建屋地下とつながる坑道のたて坑にはすでに水中ポンプが置かれている。復水器にもともとあった水は9日までに外のタンクへ移され空になっている。1号機でも10日午前、復水器が空になった。

 2号機でたまった汚染水は取水口付近から海に漏れ出したため、対策が急がれていた。海への流出は6日に止まったが、その後、たて坑の水位は12センチ上昇。地上の入り口から水面までの距離はあと92センチにまでなっている。

 坑道の汚染水をくみ上げれば、つながっているとみられるタービン建屋の汚染水も引いて作業がしやすくなると期待されている。

 汚染水は3万トンをためられる集中廃棄物処理施設にも移される予定。ここにたまっていた汚染度の低い水を放出する作業は10日にほぼ終えた。9日に終えた5、6号機の地下水の排水作業と合わせ、計1万390トン(暫定値)を海に放出したことになる。

 また、東電は10日午後から第一原発の敷地内に転がっている放射能を帯びたがれきについて、遠隔操作できる無人の重機による撤去作業を本格的に始めた。作業員が活動しやすくする目的で、1号機近くではすでに6日から着手していた。

 今後は1〜4号機を含む範囲に拡大する。ショベルカー3台、ダンプ3台やブルドーザー1台のほか、作業員が乗り込む操作車2台や無線の中継車、カメラ車などを含む計19台の車両を投入。容量4立方メートルの鋼鉄製容器に入れ、敷地内の一時的な集積所に移す。

 無人重機は、火砕流や土石流に襲われた雲仙・普賢岳などで実績があるという。敷地内では2号機と3号機の周辺に毎時数百ミリシーベルトと放射線量が特に高い場所が2カ所ある。がれきは、3号機の原子炉建屋爆発などで飛び散ったものとみられている。

(fz)


(2011/04/11) 福島第1原発 リモコン重機でがれき撤去 東電

 東京電力は10日、福島第1原発の敷地内で水素爆発による原子炉建屋の損壊などで発生したがれきについて、重機の遠隔操作による撤去作業を始めた。高レベルの放射性物質に汚染されたがれきを取り除き、作業環境の改善を図るのが狙い。重機の遠隔操作は、雲仙普賢岳や新燃岳の火砕流など人が立ち入れない危険な場所で利用されているというが、今回の事故では初めて。

 この日の作業では、コンテナ(縦3.2メートル、横1.6メートル、高さ1.1メートル)2個分のがれきを処理し、敷地内の一時集積所に運んだ。

 東電は、中継局を使った遠隔操作による作業とは別に、操作室から直接無線で油圧ショベルなどを操作し、がれきを撤去する作業を6日から実施している。

(jg)


(2011/04/10) 震災死者、過半数が高齢者 津波から逃げ遅れか

 東日本大震災で死亡が確認された約1万3千人のうち年齢がわかった7935人は65歳以上の高齢者が55.4%を占めることがわかった。過疎・高齢化が進む地域で、津波から逃げ遅れた人が多かったとみられる。行方不明者はいまだ約1万5千人。11日で大震災が発生してから1カ月を迎えるが、安否確認は難航し、被害の実態はいまだにわかっていない。

 12都道県の警察が把握している死者のうち、年齢が明らかにされた7935人(7日までに発表)について、朝日新聞がまとめた。その結果、65歳以上の高齢者は4398人で、死者の55.4%を占めた。

 被害の大きかった県別でみると、岩手県は死者1346人の56.4%(759人)、宮城県は5788人の54.8%(3170人)、福島県は742人の57.7%(428人)。2010年の住民基本台帳によると、3県の65歳以上の人口比率は22〜27%で、いずれの県も今回、高齢者の被災割合が2倍余り高かった。

 阪神大震災では、亡くなった人のうち65歳以上が占める割合は49.6%(兵庫県調べ)で、家屋倒壊による圧死が多数を占めた。一方、東日本大震災では、検視した監察医らによると、死因はほとんどが水死か、がれきと共に流されたことによる多発性外傷という。

 三陸地方の沿岸は漁村や小さな集落が多く、過疎、高齢化が進む。逃げる途中で津波に巻き込まれたり、付き添いがおらず逃げることもできなかったりした人が多かったとみられる。

 一方、0〜18歳の死者は531人で、全体の6.7%。7〜18歳でみると、宮城県が最も多く4.3%、福島県は4.0%、岩手県は2.1%の順。3県の7〜18歳の子どもが県人口に占める割合はいずれも11〜12%程度で、人口構成上、被災割合は低い。平日の午後2時46分の発生で、下校前の学校が多く、教師の誘導によって屋上や高台に避難して助かったケースもあった。岩手県の比率が低いのは、明治三陸津波や昭和三陸津波などの被害を受けて学校での防災教育に力を入れていることや、リアス式海岸で学校の近くに高台があり短時間で避難できたためとみられる。

(qm)


(2011/04/10) 本震時、都内300万人が帰宅難民に 携帯は半数使えず

 東日本大震災の本震が起きた3月11日、自宅へ帰れず会社に泊まるなどした人が、廣井悠・東京大助教(都市防災)らの調査で首都圏全体で2割、うち東京都内で3割いたとの結果が出た。地震発生当時、外出中で都内にいた人は約1千万人と推定され、そのうち300万人の帰宅が困難になった計算という。

 廣井助教と関谷直也・東洋大准教授(社会心理)がサーベイリサーチセンター社と合同で、首都圏在住で事前に登録していたモニター2026人を対象に、インターネットを通じて尋ねた結果をまとめた。

 首都圏の1都3県(東京都、埼玉、千葉、神奈川各県)で地震当日「自宅に帰れた」と答えた人は80.1%。「会社に泊まった」11.6%、「会社以外に泊まった」6.3%、「自宅に帰ろうとしたが途中であきらめた」が2%だった。地震のとき東京都内にいた人の場合、帰宅できたのは67.8%と割合が下がった。廣井助教は「おおむね想定通りの数だったのに、実際は各地で混乱していた。鉄道網の復旧に2、3日かかれば、食料などの確保が問題になっただろう」と話す。

 帰宅の可否を判断するため使おうとした通信媒体は携帯電話が82.3%と最多だったが、そのうち実際に使えたという人は42.8%。テレビは62.2%が利用を考え、うち81.7%が実際に見た。

 「地震で困ったこと」では「携帯電話がかかりにくかった」と答えた人が71.1%で最も高かった。災害用伝言ダイヤル(171)や携帯電話の災害用伝言サービスはいずれも、7割以上が利用しようとしていなかった。

 「地震直後に知りたかったこと」は「地震の震源や規模」が79.2%、「家族の安否や居どころ」が66.5%、「自分の住む地域の被害」が58.9%だった。

 廣井助教は「災害用伝言ダイヤルがほとんど使われず、携帯電話網がパンクしたことは、今後に課題を残した」と指摘する。携帯電話を使った人は、自宅周辺で大規模な火災などが起きていないか知ろうとした人も多かったとみられる、と分析。「テレビやラジオが災害直後、被害のあるところだけでなく無いところの情報も伝えれば、携帯電話の利用や無理に帰宅しようとする人を減らせるだろう」という。

(sk)


(2011/04/10) 津波の高さは地上から4〜5メートル、福島第一原発

 東京電力は9日、福島第一、第二原発の東日本大震災による津波被害の調査結果を公表した。第一原発1〜4号機(標高10メートル)の海側壁面で確認された津波の高さは14〜15メートルで、地上から4〜5メートルの高さまで波が達したとした。元々は敷地には達しない想定(高さは5.7メートル)だったが、東電は「今後検証する」としている。

 壁面の変色などの痕跡から高さを求めた。このほか、上空からの写真に津波による浸水状況を示した画像や、第二原発の敷地内に流れ込んだ津波の様子を撮影した写真なども公開した。

(rj)


(2011/04/09) 大規模余震、なお警戒必要 地殻のバランス崩れたまま

 宮城県沖で起きた7日深夜のマグニチュード(M)7.1の地震について、政府の地震調査委員会は8日、臨時会を開いて東日本大震災を引き起こした3月11日の本震(M9.0)の余震と認定、「今後も、規模の大きな余震が発生する恐れがある」と注意を促した。
 今回の地震は、巨大地震となりやすいプレート(岩板)境界の海溝型地震の本震と異なり、海のプレートの内部で起きた。エネルギーは本震(最大震度7)の約700分の1に過ぎないが、陸から近かったため、最大の震度6強を記録した。

 M5以上の余震は7日までに460回以上起きており、M7以上の余震は4回目。M7は「震源近くは震度6弱〜6強の可能性がある」地震だ。気象庁が6日に発表したM7以上の余震が起きる確率は3日以内に10%まで減ったが、専門家は「少なくとも半年はM7級の余震の覚悟が必要」と指摘する。

 地震調査委によると、本震によって地殻内の力のバランスが崩れており、様々な余震が続いている。梅田康弘京都大名誉教授は「本震のマグニチュードから1引いたM8ぐらいの余震もあり得る」と指摘する。

 国土地理院の観測では、現在も東北から首都圏にかけて、大地震のあとに起きる「余効変動」と呼ばれる現象が続き、地殻変動が依然として激しいことを示している。

 余震域の外も気が抜けない。本震以降、東日本を中心に次々に地震が起きている。3月12日には長野県北部でM6.7(最大震度6強)、秋田沖でM6.4(同4)、同15日夜には静岡県東部でM6.4(同6強)の地震があった。島崎邦彦東京大名誉教授は「大震災の影響で各地で地震活動が活発化しており、これからも誘発地震は続く」と見ている。

 過去には、1944年の東南海地震(M7.9)の直後に三河地震(M6.8)、1946年の南海地震(M8)の2年後に福井地震(M7.1)が起きた。地震調査委の阿部勝征委員長(東京大名誉教授)も「海溝で巨大地震が起きる前後には、内陸で被害が出る地震が起きやすい傾向にある」と話す。

 さらに気がかりなのが、巨大地震の再来。海溝型地震では本震に隣接する地域で、同規模の地震が起きることが珍しくない。

 1944年と1946年の東南海と南海地震、2004年12月のスマトラ沖地震(M9.1)でも約3カ月後にM8.6の地震が起きている。

(nw)


(2011/04/08) 宮城県で震度6強 東北4県、けが人多数

 7日午後11時32分ごろ、宮城県沖を震源とする地震があり、同県栗原市と仙台市宮城野区で震度6強を観測した。震源は宮城県・牡鹿(おしか)半島の東約40キロ、深さは約40キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は7.4。3月11日にあった東日本大震災の余震で、震度6強は最大。岩手、宮城両県を中心に東北4県でけが人が多数出ている。
 気象庁によると、このほか北海道から中国地方までの広い範囲で震度6弱〜1の揺れを記録した。気象庁は7日午後11時34分、宮城県に津波警報を発令し、青森県太平洋沿岸と岩手、福島、茨城の各県に津波注意報を出したが、8日午前0時55分にいずれも解除した。津波は確認されていないという。

 これまでに余震は、震度6弱(本震直後)が1回、震度5強が6回、震度5弱が9回発生していた。一方、M7.4は、余震の規模では3番目。今回の震源は、東日本大震災の震源より西に約90キロで、東北地方沿岸に近いという。

 警察庁によると、8日午前1時現在、青森、岩手、山形、秋田の4県で全域が停電。宮城県でも一部が停電している。宮城県内では、エレベーター内に人が閉じ込められているとの110番通報が多数寄せられているという。

 仙台市対策本部によると、市立病院などにけが人が多数搬送されている。市内ではガス漏れが13件発生しているほか、火災が5件起きているという。

 岩手県内では、奥州市江刺区と同市前沢区で、男性が倒れてきた家具の下敷きになってけがをしたとの通報がそれぞれ1件ずつあった。花巻市でも70代男性が肩を負傷し、17歳女性が骨折との通報があった。いずれも自宅から外へ避難する際にけがをしたとみられる。奥州市のごみ処理施設や一関市で計3件の火災が発生。いずれも地震が原因とみられるという。
    
 各地の震度は次の通り。

 【震度6強】宮城県栗原市、仙台市宮城野区

 【震度6弱】仙台市青葉区、同若林区、宮城県登米市、大崎市、名取市、岩沼市、東松島市、塩釜市、松島町、蔵王町、利府町、川崎町、涌谷町、大衡村、岩手県大船渡市、釜石市、一関市、奥州市、矢巾町

 【震度5強】宮城県気仙沼市、加美町、南三陸町、色麻町、大河原町、柴田町、亘理町、山元町、七ケ浜町、大和町、富谷町、盛岡市、岩手県八幡平市、花巻市、北上市、遠野市、青森県八戸市、秋田市、秋田県大仙市、横手市、福島県二本松市、田村市、伊達市、相馬市、南相馬市、国見町、桑折町、新地町、飯舘村

 【震度5弱】仙台市太白区、宮城県白石市、角田市、村田町、丸森町、岩手県宮古市、久慈市、紫波町、青森県五戸町、南部町、階上町、おいらせ町、秋田県湯沢市、仙北市、五城目町、福島市、福島県郡山市、須賀川市、本宮市、川俣町、楢葉町、双葉町、玉川村、天栄村、山形県新庄市、村山市、東根市、尾花沢市、最上町、舟形町、中山町、河北町、大石田町、大蔵村

(wg)


(2011/04/07) 1号機格納容器への窒素注入開始 福島第一原発

 福島第一原発1号機の原子炉格納容器内で水素爆発が起こるのを防ぐため、東京電力は6日、窒素ガスの注入作業を始めたと発表した。

 1号機の格納容器内では、原子炉の冷却によって水蒸気の濃度が下がり、水素と酸素の比率が上がって爆発が起きやすくなるおそれがあるという。2、3号機も含めて、東電は予防策として以前から検討していた。

((nw)


(2011/04/07) 大震災震源付近の海底24メートル動く 海保調査

 海上保安庁は6日、マグニチュード(M)9.0を記録した東日本大震災で、震源のほぼ真上に当たる宮城県沖の海底が東南東に約24メートル動いていたと発表した。海底が約3メートル隆起していたことも確認された。同庁は「これまで観測した地震による地殻変動としては最大ではないか」としている。

 同庁によると、変動が観測されたのは宮城・牡鹿半島の東南東約120キロの海底約1700メートルに設置した海底基準点。宮城県沖と福島県沖の計3カ所の海底に設置した基準点の位置が3月11日の地震の前後でどの程度ずれたか、同月28日から29日にかけて測定してわかった。

 測定の結果、震源のほぼ真上にある基準点の動きが最も大きく、宮城県沖70キロの基準点は東南東に15メートル、福島県沖でも約5メートル動いていた。地震の震源域は岩手県沖から茨城県沖にかけて長さ500キロ、幅200キロにわたるとみられ、同庁海洋情報部の佐藤まりこ主任研究官は「地震を起こした断層の位置や大きさを知るための重要な手がかりになる」と話している。

 震災による地殻変動では、国土地理院が設置した電子基準点が牡鹿半島で5.3メートル東南東に動いたことが確認されている。

 同庁は巨大地震が起きる可能性が高い太平洋側の海域に約100キロ間隔で海底基準点を設置。定期的に地殻変動を観測している。

(oy)


(2011/04/07) 福島第1原発 炉心燃料棒、最大70%損傷 東電推定

 東京電力は6日、東日本大震災で被災した福島第1原発の炉心の核燃料棒の損傷度を発表した。1号機(燃料集合体計400体)の約70%、2号機(同548体)の約30%、3号機(同548体)の約25%が損傷したと推定している。

 3月15日までに、原子炉圧力容器の脇で計測された放射線量のデータを分析した。1〜3号機は3月11日の地震発生直後に制御棒を挿入して運転を停止。しかしその後、炉心の余熱を十分除去することができなくなり、ペレット状の核燃料が溶けたり、燃料を覆う金属製の管から燃料が露出した可能性があるという。4号機は定期検査中で炉心には燃料がなく、5、6号機も運転を停止していた。

(kj)


(2011/04/05) 東電、汚染度低い水を海へ放出 数日かけ計1.1万トン

 福島第一原子力発電所で問題になっている高濃度の放射能汚染水の保管場所を確保するなどのため、東京電力は4日午後7時すぎ、原発内にある比較的汚染度の低い水を海に放出し始めた。数日かけて計1万1500トンを放出する。今回の事故で、汚染された水を意図的に放出するのは初めて。

 原子炉等規制法に基づき、汚染や災害が発生するおそれがある場合の「応急の措置」として、東電は同日午後3時に経済産業省原子力安全・保安院に放出計画を報告、了解された。
 この放出の影響を試算した東電によると、原発から1キロ以遠の魚や海藻を毎日食べたとしても、年間に自然界から受ける放射線量(2.4ミリシーベルト)の4分の1程度としている。

 東電によると、集中廃棄物処理施設にある1万トンを放出する。2号機のタービン建屋地下などにある高濃度の汚染水の流出を防ぐため、あらかじめ処理施設にある汚染濃度の低めの水を放出することで、高濃度汚染水の保管スペースを確保するという。

 ほかに、5、6号機の周りの地下水をためている升の計1500トンも放出する。5、6号機には周囲からしみ出した地下水が増えていることから、放出によって、非常用発電機など地下にある安全上重要な設備が水没するのを防ぐという。

 放射能で比べると、2号機の汚染水が放射性ヨウ素で1ccあたり数百万ベクレル程度なのに対し、放出する水は集中廃棄物処理施設が6.3ベクレルで、5号機が1.6ベクレル、6号機が20ベクレル。周囲の汚染された雨水と同程度の濃度だが、海水で定められた濃度の基準の100倍程度にあたる。放出する放射能の総量は1700億ベクレル。

 汚染度の低い水1万トンに含まれる放射能の量は、2号機の高濃度汚染水10リットル程度に含まれる量と同レベルにあたる。

 汚染水の貯蔵場所をめぐっては、新たな仮設タンクの設置や静岡市から提供された鋼鉄製の大型浮体式構造物の利用も検討されてきたが、到着を待つ余裕がないという。ポンプとホースを使い、1〜4号機南側と5、6号機近くにある放水口付近から流す。

 放射性物質を含む水は、通常時は低濃度であってもそのまま放出することは許されていない。今回の判断について、東電は「汚染水の量が非常に多く、時間的な問題もあり、放出を選択した。地域の皆様に申し訳なく思っている」としている。保安院も「やむを得ない」としている。

(oy)


(2011/04/05) 福島第1原発:東電が7、8号機の増設計画撤回へ

 東京電力は4日、3月末に提出した11年度の電力供給計画に盛り込んだ福島第1原発の7、8号機の増設計画を撤回する方針を明らかにした。藤本孝副社長が同日出演した民放番組で「増設は無理だと思っている」と述べた。

 東電は、東日本大震災の影響を受けた供給計画の見直しが前年度末までに間に合わなかったため、震災の影響を考慮せずに7、8号機の増設を盛り込んだ計画を提出。福島県が反発していた。

 新年度の供給計画は、電気事業法に基づき前年度末までに経済産業相などに提出することが電力会社に義務付けられている。内容を見直した計画の再提出時期は未定。

 菅直人首相は3月31日に、原発事故を踏まえ、2030年までに原発を現状より14基以上増やすとした政府のエネルギー基本計画を白紙にして見直す方針を表明している。

(uh)


(2011/04/05) 気象庁が放射性物質の拡散予測 国内では公表せず

 気象庁が、福島第一原子力発電所の事故を受けて放射性物質の拡散を予測し、国際原子力機関(IAEA)に提供していたことを、枝野幸男官房長官が4日の記者会見で明らかにした。同庁は、国内対策の参考にならないことなどを理由に公表していなかったが、枝野長官は「公表すべきだった」と述べた。

 国の防災基本計画では、放射性物質の拡散は文部科学省の緊急時迅速放射能影響予測(SPEEDI)で予測することになっている。気象庁が行っていた予測はこれとは異なり、世界気象機関(WMO)の枠組みの中で実施され、放射性物質が地球規模でどのように広がるかを予測するのが狙いだ。

 具体的には、IAEAが放出継続期間や放出物などのデータを気象庁に提示。同庁が気象条件を加味して予測し、東日本大震災が起きた3月11日以降、1日1〜2回報告している。
 枝野長官は会見で、気象庁が公表してこなかった理由について、予測が仮定の数値に基づくことや、対応している範囲が100キロ四方と粗く、国内の対策の参考にはならないと説明した。気象庁企画課は「国の仕組みとしてはSPEEDIがある。IAEAのデータの根拠も把握しておらず、公表は適切でないと考えているが、隠す必要もないので、要望があれば公表したい」としている。

(nw)


(2011/04/04) 東日本大震災 津波の犠牲なぜ? 続く震動、ハードを過信

 東日本大震災では発生3分後の11日午後2時49分、岩手、宮城、福島の3県に大津波警報が出された。気象庁地震津波監視課は「ベストは尽くした。今の技術ではこれが限界」という。緊急地震速報も東北の太平洋沿岸各地に大きな揺れが来る5〜25秒前に発表された。津波到達まで30分程度は時間があったのに、なぜ多くの死者・行方不明者を出したのか。

 600人以上が死亡し、行方不明者も600人を超えている岩手県釜石市。大津波警報は防災行政無線の拡声機などを通じ、住民に繰り返し伝えられた。

 気象庁によると、大津波が到達したのは午後3時20分ごろで、高台などに避難する時間はあったように見える。

 だが、今回の地震は三つの地震が連動して起きたため揺れの時間が長くなり、三陸では震度3以上の揺れだけで3分程度続いた。しかも、午後3時8分に三陸沖でマグニチュード(M)7.4、同15分にも茨城県沖でM7.7の大きな余震が発生。M5以上でみると余震は3時20分までに少なくとも15回に達した。揺れが続き、建物などの被害が拡大する中で避難しなければならない状態だった。

 釜石市は明治三陸地震(1896年)やチリ地震(1960年)で大きな津波被害を受け、避難訓練などを繰り返してきたが、現地を調査した群馬大広域首都圏防災研究センター長の片田敏孝教授は「大津波にのまれないような避難場所が近くになかった住民も少なくない。特に、お年寄りや家族を捜して一緒に避難した人などが逃げ切るのはかなり難しかったのではないか」とみる。

 ハード面の対策への過信が被害を大きくした地域もある。岩手県宮古市の田老地区は、明治三陸地震津波などを受け、住宅地を囲む大防潮堤が造られた。海面から高さ10メートル、総延長2433メートル。「万里の長城」と呼ばれていたが、大津波で破壊されて約1600戸が流された。

 自宅から逃げなかった花輪節子さん(68歳)は夫征夫さん(70歳)が亡くなり、「お父さんと逃げていれば良かった」と悔やむ。地震発生後、家の外で誰かが「津波の高さは3メートル」と口にした。10メートルには余裕があると思った。その数十分後、大津波が自宅2階のガラス窓を突き破った。「大丈夫だと過信があった」とうなだれた。

 一方、近年は大きな津波被害の経験がない宮城県南部から福島県では、避難しなかった住民も少なくない。仙台空港が水没し、死者・行方不明者が1700人を超える宮城県名取市。美容院経営の女性は大津波警報を知り、義母を避難所に連れて行くなどしたが自分は自宅に戻り、警報から約1時間後に津波が迫っていることに気付いてようやく逃げた。自宅は流されたという。「大津波が来るなんて思っていなかった。近所の人たちは津波警報が出ていることすら知らず、のんびりしていた」

 三陸地方には「津波てんでんこ」という言い伝えがある。「津波の時には、家族にも構わず(てんでばらばらに)逃げろ」という意味だ。8歳で昭和三陸地震の津波に遭い、体験を語り継いできた田老地区の田畑ヨシさん(86歳)。今回の大津波で自宅を流されたが、高台にある妹(81歳)方に避難し無事だった。「堤防だけに頼るのは危ない。地震が来たらすぐ逃げる」とかみしめるように話す。

 片田教授が2005年から防災教育を続けてきた釜石東中と隣接する鵜住居小。子供たちは訓練通り、地震発生後すぐに中学生が小学生の手を引いて約1キロ先の高台へ駆け上がり、全員無事だった。片田教授は「彼らのような意識が住民全体に広がれば、想定外の災害でも被害を軽減できる可能性を示してくれた」と語った。

 今回の大津波は、膨大な予算を投じて営々と築いてきた津波堤防をいとも簡単に突破し、ハード面の対策の限界も見せつけた。

釜石湾の入り口にある「湾口防波堤」。ケーソンと呼ばれる鉄筋コンクリート製の巨大な箱(重量1万6000トン)を並べて造られ、ハの字形に北(長さ990メートル)と南(同670メートル)の二つの防波堤が配置されている。1978年度に着工、約1200億円をかけて約30年後の2009年3月に完成。開口部(幅300メートル)の水深は63メートルあり、世界で最も深いとして10年にはギネス認定された。

 国土交通省東北地方整備局の遠藤正義・港湾空港環境対策官は「津波は海面から海底までの海水全体が陸に向かって動いてくる。それを湾の入り口でせき止めようとの考えで造られた」と説明する。同省港湾局などによると、今回の大津波では沿岸に達した津波の高さを13.7メートルから8メートルに下げ、陸上での最高到達点の高さも20.2メートルから10メートルに軽減し、津波が防潮堤を越えて市街地に流れ込む時間を6分間遅らせたと推定されるという。

 それでも、多数の死者・行方不明者が出ることは防げなかった。防波堤が完全な形で残ったのは4分の1で、半分は土台からケーソンが落下。遠藤対策官は「『歯抜け状態』。世界に誇る構造物だったのに非常に残念」。大船渡港にもあったが「古い(1967年度完成)こともあったのか、全壊した」という。

 湾口防波堤は、国の津波対策の切り札だった。既に全国6カ所に完成し、4カ所で建設が進む。国交省技術監理室の石橋洋信技術基準審査官は「高さだけでなく頑丈さも必要になるが、理論的にはあと5メートル高くすれば大津波を防げる可能性があった。ただし、最初から造るには従来の1.5倍以上の予算がかかる。再整備にも数百億円はかかる。どこまで整備するかは社会的な議論が必要だ」と話す。

 岩手県もチリ地震津波以降、防潮堤の建設を続けてきた。同県県土整備部によると、2005〜2010年度は約37億円を投じ、年平均6億円程度かけている。同部は「他県より率先して整備してきたと思うが、今回の被害で、ハードによる津波対策のあり方は当県だけでなく全国的に見直されるかもしれない」という。

 国交省海岸室は「堤防だけで全てを防げるわけではない。津波避難ビルやハザードマップなどのソフト面などと組み合わせて、津波防災を考える必要がある」と話している。

(uh)


(2011/04/04) 放射性物質止まる時期「数カ月後が目標」 細野補佐官

 東京電力福島第一原子力発電所の事故対応を担当している細野豪志首相補佐官は3日朝、民放のテレビ番組に出演し、事故に伴う放射性物質の放出を止められる時期について「おそらく数カ月後が一つの目標になる」と述べた。

 細野氏は「国民に不安を与えないためにも目標を設定することが大事だ。原子炉を冷却する仕組みを完全に作って安定させるという目標がある。試行錯誤で行っていることを説明する時期が来た」と述べ、放射性物質の放出が止まる時期の見通しを語った。

 細野氏は3月15日に東電本店内に設置した「福島原子力発電所事故対策統合本部」(本部長=菅直人首相)に常駐し、政府と東電との調整のほか、米国との協力の統括役を務める。

 細野氏は一方で、「使用済み核燃料が1万本以上あり、処理するのに相当時間がかかる」とも指摘。放射性物質の放出を食い止めても、事態の完全収束まではさらに時間がかかるとの見通しも示した。

 細野氏はまた、番組後に記者団に対し「事故発生直後は炉心溶融(メルトダウン)の危機的な状況を経験したし、原子炉格納容器が破断するのではないかという危機的状況も経験した。しかし、そういう状況は脱した。若干落ち着きを取り戻している」と説明した。

(oy)


(2011/04/04) 死者1万2020人、不明1万5512人 3日午後4時

 東日本大震災による死者は3日、警察庁の集計(午後4時現在)で1万2020人となった。宮城県が7318人、岩手県が3529人、福島県が1113人など。警察に届け出のあった行方不明者は青森、茨城、千葉を含む6県で1万5512人。避難所にいる人は約16万3100人。

(nw)


(2011/04/03) 海底地盤が5m隆起、津波を巨大化か

 マグニチュード(M)9.0を記録した東日本大震災で、震源の東端に位置する海底地盤が約5メートル隆起していたことが、東北大学地震・噴火予知研究観測センターによる水圧計の調査でわかった。

 M7クラスの地震での隆起は1メートル程度と考えられており、今回は大きな隆起が津波を巨大化させたとみられる。

 水圧計が設置されていたのは、震源から約100キロ東の海底(水深約5800メートル)。海のプレート(岩板)が陸のプレートに沈み込む境界(日本海溝)の付近で、海溝から陸側に約20キロの位置にある。

 同センターが3月24日に水圧計を回収し、水圧から海水面の変動を推定したところ、地震により海底地盤が約5メートル隆起していることがわかった。震源域全体(長さ450キロ、幅200キロ)の中でも、観測地点の隆起量が最大とみられる。海底地盤の隆起量を実測できたのは世界初。

(fk)


(2011/04/03) 原発増設含む計画提出 東電「震災で見直す時間なく」

 東京電力が、福島第一原発の事故が起きた後の3月末に国へ提出した電力の「供給計画」に、第一原発に7、8号機を増設する計画を盛り込んだままにし、福島県が反発している。東電福島事務所は「地震の影響で作り直す時間がなかった」と釈明している。

 電気事業者は電気事業法に基づき、毎年度末、経済産業省資源エネルギー庁に対して10年間の電力需要を見込んだ供給計画を届け出ることになっている。7、8号機の増設は1995年度に提出した計画で初めて明示。それ以来、計画に盛り込み続けてきた。

 同原発には現在1〜6号機があり、1〜4号機で事故が起きた。福島事務所は、計画が完成したのは震災前で、震災後は見直しをする余裕がなく、そのまま提出したとしている。

 福島県側は計画の内容を事前に把握し、「増設は認められない」と東電側に指摘したとしている。県企画調整部の野崎洋一部長は「実際に提出されたのであれば、県民感情として許せない」と話している。

(xr)


(2011/04/03) 大気中の放射線量、微減傾向続く 福島上空は通常値並み

 文部科学省は2日、大気などの放射能汚染について調査結果を発表した。多くの地点でわずかに下がったが、1日と傾向はほとんど変わらなかった。自治体独自の調査も含め、大気中の放射線量は8都県で平常の最大値を上回った。

 さらに、飛行機を使い、福島県内などの上空で1日に観測した放射線量もまとめた。福島県内では、地上では平常値より高い値だが、上空では平常値と同じレベルだった。福島市では上空842メートル地点で、毎時0.0234マイクロシーベルトを記録した。2008年に測定した同県上空では0.01〜0.03マイクロシーベルトだった。

(ph)


(2011/04/02) IAEAと安全委、土壌めぐる見解相違で混乱

 福島県飯舘村で検出された高濃度の放射性物質を含む土壌を巡って、国際原子力機関(IAEA)と内閣府・原子力安全委員会の見解が分かれ、混乱が広がっている。

 IAEAは独自の土壌調査を行い、日本政府に避難勧告を検討するよう促したが、安全委は「判断基準の物差しが違う。日本の方が総合的に判断しており問題ない」と反論している。

 飯舘村は福島第一原発の北西約40キロに位置し、屋内退避を勧告された20〜30キロ圏内の外側にあたる。IAEAは同村で、土壌の表面に付着している放射性ヨウ素131とセシウム137ほか、空気中の放射線量の割合を調査。放射性ヨウ素131が、土壌表面の1平方メートル当たり2000万ベクレルで、IAEAの避難基準の約2倍に相当するとしている。

 これに対し、日本側は土壌を深さ約5センチまで掘り、採取した土壌1キロ・グラム当たりの放射性物質濃度を調べている。このほか、空気中の放射線量の割合、空気中のほこりや飲食物に含まれる放射性物質濃度なども測定し、人への影響を考慮している。

(rq)


(2011/04/02) 「高台に住居造り漁港へ通勤」 首相が復興構想表明

 菅直人首相は1日、首相官邸で記者会見を開き、東日本大震災からの再生をめざし、有識者や被災地関係者による復興構想会議で街づくりの具体策を練る考えを表明した。月内に補正予算案を取りまとめて復旧事業に取り組み、超党派の体制づくりもめざす考えを示した。
 首相は会見で、被災地の首長らとのやり取りを通じた街づくりのプランを紹介した。大津波の襲来を受けた三陸沿岸の再生策について「山を削って高台に住むところを置き、海岸沿いの水産業(会社)、漁港まで通勤する」「植物やバイオマスを使った地域暖房を完備したエコタウンをつくり、福祉都市としての性格も持たせる」と訴えた。

 首相は「世界で一つのモデルになるような新たな街づくりをめざしたい」と語り、復興に向けた青写真を描くため、震災から1カ月となる今月11日までに有識者や被災地関係者による復興構想会議を発足させる考えを示した。

 復興構想会議のテーマは街づくりのほか、被災地の国有化を含めた土地利用のあり方、復興財源の調達方法など幅広く議論する意向だ。会議で練った提案や計画を実行に移す体制づくりについて、首相は「与野党を超えた協力を推し進める」と語った。

 高台に住宅を移す案は、首相が3月26日に電話で話した岩手県大船渡市の戸田公明市長から要望があった。戸田市長は低地の住宅跡地を市が買い取る意向も示していた。

 民主党内でも、壊滅的な被害を受けた自治体について、集落の集団移転を支援したり、津波で水没した土地を国が買い上げたりする案が検討課題になっている。今後の復興策では、津波や地震に強い街をゼロから作り上げることが本格的に議論になりそうだ。

 首相は会見で、当面の復旧事業について、被災地に残された膨大ながれき撤去のほか被災者の仮設住宅建設、雇用確保策などを取り上げた。その上で「今月中には第1次補正(予算案)の中身を固めて国会に提出したい」と述べた。

 一方、首相は福島第一原発の事故について「長期戦も覚悟。原子炉の冷却機能をきちんと回復するところまでしっかりつなげていくことが一つの目標」と述べ、放射能漏れ対策では米国やフランスなどとの国際協力を重視していく姿勢を示した。

 首相は原発事故の補償では、国も応分の負担をする考えを示し、東電のあり方について「基本的には民間事業者として頑張っていただきたい」と述べた。

(qm)


(2011/04/02) 汚染水、徐々に外へ 海への経路は不明 福島第一原発

 福島第一原発の敷地では、壊れた核燃料から出た放射性物質によるとみられる汚染水が相次いで見つかっている。次第に外に広がっているようだ。付近の海でも高濃度の汚染が確認されているが、まだ経路ははっきりしていない。

  いまのところいくつかのシナリオが考えられる。

 まず地震後間もなく起きた原子炉建屋の爆発で、放射性物質が大気中に飛び散り、雨などで地面や海面に降った可能性だ。しかし、その後、汚染水が原発の建屋内で見つかった。じわじわと広がるように確認されている。

 最初に見つかったのは原子炉からの蒸気で発電する設備がある「タービン建屋」の地下だ。ここから冷却用に海水を循環させる取水、放水口を通じて海に漏れている可能性もある。

 3月24日に作業員が3号機のタービン建屋で水にふれて強い放射線を浴びたことから、1〜3号機のタービン建屋の地下1階でたまった水が発覚。2号機では、たまった水の表面の放射線量が毎時1千ミリシーベルト(一般人の年間被曝線量限度は1ミリシーベルト)という高い値を観測した。

 さらに28日、1〜3号機のタービン建屋から外につながる、たて坑と坑道にも水が見つかった。坑道は海近くまで延びており、ここから海に何らかの形で漏れたことも考えられる。

 31日には、1号機の原子炉建屋のそばの地下15メートル付近の水で高濃度の汚染が見つかった。地下水をポンプでくみあげて側溝に排水するための設備だ。汚染が地下にも浸透していることを示した。

 東京電力はこの地下水について「放射能を含む雨水でしみこんだと考えられる」と説明するが、タービン建屋などからの汚染水との関係も否定できない。地下水の水脈が海につながっている可能性もある。

 海の汚染濃度は高くなっている。1〜4号機の放水口南側約330メートルの海岸沿いで海水から、基準の4385倍にあたる濃度の放射性ヨウ素が検出された。

 1〜4号機の原子炉や燃料プールにある核燃料は事故で壊れたり溶けたりしたとみられている。そのため、中のヨウ素、セシウムといった放射性物質が、水に溶け込み、外に漏れだして検出されている。

 しかし炉を冷やすには放射性物質が漏れ出す可能性があっても、原子炉に注水し続けなくてはいけない。

(mc)


(2011/04/02) 原発の排水処理へ強力援軍 メガフロートを静岡市が提供

 静岡市は1日、清水港海づり公園で使っているメガフロート(大型浮体式構造物)を東京電力に提供すると発表した。東電側は、福島第一原発の排水処理で使う、と説明している。

 メガフロートは神奈川県横須賀市沖で海上空港実験に使われていた。鋼鉄製のタンクで構成され、容量は約1万8千トン。静岡市によると、東電はタンク内の仕切り板に穴を開け、排水を約1万トン入れる計画という。同様の施設は三重や兵庫、高知などにもある。現段階では要請を受けたのは、福島に最も近い静岡だけという。

(yi)


(2011/04/02) 福島・天栄の牛肉から検出されず 国のお粗末さ露呈

 厚生労働省は1日、3月31日に「福島県天栄村産の牛肉から食品衛生法の暫定規制値を超える放射性セシウムを検出した」と発表した件について、再検査を実施した結果、放射性物質は検出されなかったことを明らかにした。

 厚労省は、この牛肉は放射性物質に汚染されていなかったとの認識を示し「2回の検査でなぜ異なる結果が出たのか、検査過程に問題がなかったかどうかを含めて調査したい」と説明した。

 同省によると、この牛は3月15日に食肉処理され、国と県が30日にもも肉1検体を検査したところ、放射性セシウムが、暫定規制値を10ベクレル超える1キログラム当たり510ベクレルが検出された。しかし、同県内の他の地域の牛肉などからは検出されなかったため、改めて同じ牛のもも肉と背中の肉の計2検体を検査したところ、今度は放射性物質は検出されなかった。

 天栄村の兼子司(まもる)村長(64歳)は取材に対し「最初の検出の時も今回も、村には何の連絡もなく取材を受けて初めて知った。当事者なのにあまりにひどい扱いだ。数字が独り歩きしてしまうので、国は再検査が終わるまで公表すべきではなかった」と話した。風評被害を招いたとして、近く国や県に抗議文を提出するという。国のお粗末さは半端じゃない。

(rq)


(2011/04/01) 家屋失った被災者にまず100万円支給へ 5月から

 菅政権は31日、東日本大震災の津波で家を失った被災世帯に対し、一律100万円の一時金を支給する方針を固めた。被災者生活再建支援法に基づく支援金の一部を前倒しして支給する。4月中に国会提出する2011年度第1次補正予算案に必要額を計上し、5月から順次支給する予定。

 被災者生活支援特別対策本部(本部長・松本龍防災相)が決めた。避難所から仮設住宅への入居が本格化するのを控え出費が必要になることから、早期の資金援助が不可欠と判断した。

 支援法は家屋の損壊程度に応じて50万〜300万円の支援金を支給するとしている。今回の津波の被災地域では大半の家屋が全壊しているため、菅政権は支援法の枠組みを適用する。一時金を差し引いた残りの支援金は後日支給する方針。

 警察庁のまとめでは、東日本大震災の建築物への被害は31日現在で全壊が約1万7千戸だが全容を把握できておらず、最終的には大きく上回る見通しだ。

(fz)


(2011/04/01) 復興へ新税検討、震災国債も発行 民主の復興法案原案

 民主党がまとめた「東日本大震災復旧復興対策基本法案」の原案と関連法案17本の全容が判明した。復興財源として特別消費税の創設や震災国債の日銀引き受けの検討を明記。津波で水没した土地や原発事故で住めなくなった土地の買い上げの検討も盛り込んだ。

 民主党政策調査会と衆参両院の委員会の筆頭理事らでつくる特別立法チーム(座長・中川正春衆院議員)を中心に作成し、近く復旧・復興検討委員会(委員長・岡田克也幹事長)が提言する。菅内閣は5月の大型連休明けにも基本法案をまとめて国会へ提出し、野党の理解を得て成立させることを目指す。

 「復興は単なる原形復旧ではなく新たな『地域社会の再生』」とし、「我が国の再興(再創造)を目指す」と強調。基本法施行から5年間をヒト・モノ・カネを投入する「集中復旧復興」期間と位置づける。

 震災の被害額を16兆〜25兆円と試算。未曽有の災害として増税を柱とする財源確保策に踏み込んだ。税率を引き上げてその使途を復興財源に限る「特別消費税」や「法人特別税」、被災地以外の人の所得税に一定割合を上乗せする「社会連帯税」を創設し、安定財源の確保を目指す。

 また、被災世帯の住環境整備や生活再建支援、道路・河川・公園・下水道、農水施設、社会福祉施設などの復旧財源として「震災国債」の発行に言及。国債増発による金利上昇を避けるため「日銀引き受け」も検討するとした。

 被災自治体への手当ても厚くする。「復旧復興交付金」を創設し、市町村が設ける復旧復興基金に拠出金を出すことも検討する。

 津波被害や原発事故で暮らせなくなった土地の国による買い上げも検討。集団移転を後押しするとともに「移転が完了するまで被災世帯の『人々の絆』が保たれるよう努める」と強調。津波被害を受けた地域の土地所有権の内容や範囲、売買に特別な制限を課すことも検討する。

エネルギー政策についても「原子力に依存しているエネルギー政策を見直す」と明記し、国と電力会社が協力して「電力供給計画」を策定する。

 復興を指揮するのは、首相を長とした防災復興府。府省庁の一部再編を念頭に、防災復興相のもとに副大臣、政務官、事務次官を置き、職員に官民を問わず専門知識や危機管理の経験がある人材を登用するとした。

 菅政権は復旧復興の第1弾として、4月中に2011年度の第1次補正予算案を編成する。2兆〜3兆円規模とし、大部分を赤字国債で賄う方針。

(oy)


(2011/04/01) 死者1万1532人、不明1万6441人 31日21時現在

 警察庁によると、31日午後9時現在の死者数は12都道県で1万1532人に上った。行方不明は6県で1万6441人。負傷者は18都道県で2873人。

 確認されている死者数は宮城7012人、岩手3396人、福島1064人、茨城22人、千葉17人、東京7人、栃木と神奈川で各4人、青森3人、北海道、山形、群馬で各1人。
 行方不明となっているのは宮城7117人、福島4760人、岩手4560人、千葉2人、青森、茨城各1人。

 建物被害は全壊1万7862戸、流失2165戸、全半焼148戸など。道路損壊は2126カ所に上る。

 また同日午前10時現在、福島、宮城、岩手の3県で、身元が確認された遺体は9032人で、このうち8720人は遺族らに引き渡された。

 一方、警察庁のまとめでは、31日午後9時現在の避難者数は17都県で計17万2472人だった。

 内訳は宮城7万3281人、岩手4万3272人、福島2万9762人、新潟7035人、埼玉3288人、群馬3174人、山形2580人、栃木1955人、茨城1752人、千葉1279人、山梨952人、東京916人、青森785人、静岡682人、長野652人、秋田588人、神奈川519人。

(nw)