地震予知と対策
(2011年)

 




(2011/03/31) 第一原発南側の海水、放射性ヨウ素基準の3355倍

 東京電力は30日、福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)1〜4号機の放水口から南に約330メートルの海岸沿いで、29日午後に採取した海水から、原子炉等規制法が定める基準の3355倍にあたる濃度の放射性ヨウ素131を検出した、と発表した。また、30日午後5時56分ごろ、福島第二原発(同県楢葉町、富岡町)1号機のタービン建屋で煙が出ているのが見つかった。その約17分後に煙が消えたことが確認された。

 福島第一原発では、5、6号機の放水口から約30メートル北の地点でも、同日午後の海水から1263倍のヨウ素131を検出した。

 海水中のヨウ素131の濃度については、南側で25日に基準の1251倍を検出。26日には1851倍に上昇していたが、28日には28倍にまで低下していた。北側では27日に1150倍を検出したが、28日には666倍にまで下がっていた。29日に入って南北いずれでも濃度が急上昇した。ヨウ素131の放射能が半分になる半減期は、8日と短い。

 半減期が長いセシウムも高濃度で見つかった。東電によると、29日午後に採取した海水から、南側ではセシウム134も基準の520倍、セシウム137は352倍検出された。北側でもセシウム134は202倍、セシウム137が137倍の濃度だった。

 経済産業省原子力安全・保安院は、放射性物質を含むちりが海に流れたり、周辺に飛び散ったりするのを防ぐため、のり面工事などに使う粉じん防止剤の溶液を散水車でまき、固める実験を1〜4号機の付近で31日から始める予定と発表した。

 原子力安全・保安院の西山英彦審議官は会見で「汚染水の海への流れ込みを避けなければならないが、潮流で拡散され、周辺住民にただちに影響はないと考えられる。早く原因を突き止め、食い止めることが重要だ」と述べた。

(xr)


(2011/03/31) 東電会長、1〜4号機の廃炉言明 「会社、厳しい状況」

東京電力の勝俣恒久会長(71歳)が30日、入院した清水正孝社長(66歳)に代わって記者会見し、福島第一原子力発電所の事故について陳謝。同原発の1〜4号機について「廃止せざるをえない」と言明した。勝俣会長は「原子炉が安定するには、かなり時間がかかる」とし、会社の存続が「大変厳しい状況」にあるとの現状認識も示した。東電の経営トップが記者会見したのは、13日の清水社長以来17日ぶり。

 1〜4号機は水素爆発などで大きく損傷。冷却作業がうまくできない状況が続いている。勝俣会長は、「今の状態をみると、おそらく廃止せざるを得ない」と認めた。東電が公式の場で廃炉方針を示したのは初めて。廃炉にかかる費用については「まだ試算までいかない」とした。

 一方、被害が比較的少ない5、6号機や福島第二原発の廃炉については「国や地域の皆様方のご意見をうかがいたい」と、言及を避けた。

 「東電が今の姿で存続できるか」との会社存続問題に関する問いには、「一言で言えば、大変厳しい状況」と答えた。金融機関から2兆円超の緊急融資を受けるが、「いくらあっても足りない状況。何とか資金不足に陥らないよう努力する」と説明した。

 東電は、原子力損害賠償法に基づいて、原発周辺の避難住民や、出荷停止などに追い込まれた農家への損害賠償を求められる。

 勝俣会長は「誠意をもって補償に向けた準備をする」と述べた。ただし、「最大限の補償、おわびをしたい」としながらも、法律ではどういう場合に東電の責任が免除されるかはっきり決まっていないことを挙げ、「政府と考えていきたい」と、補償範囲・程度については明言を避けた。

 夏には再び深刻な電力の供給不足に陥ることについては、「供給力の確保に全力を挙げる。夏の計画停電は最小限にとどめる」と発言した。

(nw)


(2011/03/30) 震災復興に5千億円捻出 民主案、看板政策も大幅修正

 民主党が東日本大震災の復興財源を確保するために行う新年度予算の歳出見直し案が明らかになった。子ども手当増額のとりやめや国家公務員の給与削減などで計5千億円を捻出し、4月中の編成を目指す第1次補正予算案の財源にあてる。

 民主党復旧・復興検討委員会(委員長・岡田克也幹事長)の歳出見直し検討チームがまとめた。4月初めに菅内閣に提言する。

 見直すのは、3歳未満の子ども手当の7千円増額分(2100億円)▽高速道路無料化の社会実験(1200億円)▽国家公務員の給与(1500億円)▽原子力発電所新設のための周辺地域整備(500億円)▽国会議員歳費(25億円)の計5300億円。法人税5%引き下げの撤回をはじめ、税制改革の修正でも4千億円強の増収を見込んでおり、最終的に計1兆円を確保したい考えだ。

 ただ、衆院選マニフェストで掲げた看板政策の大幅修正だけに、民主党内からの反発も予想される。一方、自民党は子ども手当と高速無料化に加え、高校無償化、農業戸別所得補償を含めた「4K」の廃止を求めており、見直しが不十分との批判が出る可能性もある。

(fz)


(2011/03/30) 建屋、特殊布で覆う案 内閣、放射性物質の飛散防止に

 東京電力福島第一原発で、建屋が吹き飛んだ1、3、4号機に、特殊な布をかぶせて放射性物質の飛散を防ぐ策を菅内閣が検討している。原子炉を安定して冷却するための電源復旧などに向けた作業環境を確保するためだ。タービン建屋地下に漏れ出した高濃度の放射能を含む汚染水の対策には、汚染水をタンカーで回収する案も出ている。東電の作業は難航しており、より大がかりな計画が必要との認識だ。

 二つの対策は、放射性物質が原子炉から出続けていることで、原子炉の冷却作業がうまく進まなくなったため、急きょ出てきた。自然環境に大量の放射性物質をまき散らせていることへのあせりもある。

 大気への飛散対策では、まず1〜4号機の建物内に付着している放射性物質に、特別な塗料を吹き付けて、閉じこめる。

 次に、原子炉建屋の上部を失っている1、3、4号機の壊れた部分を、特殊な布製の仮設建屋で覆う。密閉すると再び水素爆発が起きる危険性が出てくるため、フィルター付きの換気設備を取り付けることも検討している。

 タンカーで回収する方法は、強い放射性物質を含む汚染水の存在が、電線敷設やポンプなど各機器の復旧など、原子炉を冷やすために必要な作業の妨げになっていることや、水量が増え海にあふれ出る危険性が指摘され始めたため、首相官邸を中心に28日に浮上した。

 具体的には、第一原発の港湾部に空のタンカーを横付けし、2号機などに大量にたまっている放射性物質で汚染された水をポンプなどを使って移す案が出された。

 ただし、国土交通省などから、大型のタンカーをつけられる岸壁施設が整備されていない、など慎重な意見が出た。ポンプで水を移す際の作業員の安全が確保できない、といった反対意見も広がった。

 菅内閣はこのほかにも、厳しい放射線環境下で人間が作業することには限界があるため、ロボットを使ったり、機材をリモコンで操作したりするなどの対応も、産業界や米国と連携して考えている。

 第一原発の事故問題などを担当する首相補佐官に任命された馬淵澄夫・前国土交通相が、細野豪志・首相補佐官とともにチームをつくり、対策を練り始めた。

 対策チームには関係省庁や原子力安全委員会などの関係機関、東京電力、原発設備に関係する電機メーカー、ゼネコンなどが入っている。米国からも原子力規制委員会が参加している。

 チームは「遮蔽(しゃへい)」「リモートコントロール」「燃料取り出し・移送」の三つの班に分かれ、検討作業を進めている。

 「燃料取り出し・移送」班は、建屋が倒壊した場合、どうやって破損した燃料を取り出し、どこに運ぶかを検討している。

(ph)


(2011/03/29) 福島第1原発 注水増やせば汚染水拡大 ジレンマに悩む

 東京電力福島第1原発の建物外で、極めて高い放射線量を持った汚染水が確認された。原子炉を冷却する海水の注入を、機器への負担が少ない真水に切り替えるなど一部で前進はみられるが、放射性物質による汚染が次々と広がっている。今なお東電幹部や政府は事故収束の見通しを示せない。放射性物質の監視体制は整備されても、外部への放出を防ぐという抜本的な解決にはほど遠く、関係者の間で焦りといらだちが募っている。

 「現時点で具体的な目標を定めるに至っておりません」。東京電力の武藤栄副社長は28日夜の会見で、事故収束の見通しがたたないとの見解を示した。

 東電は福島第1原発の炉心冷却のために注水量を増やしてきた。また、海水から真水に変更した。海水中の塩素が燃料棒に付着すると腐食するほか、結晶化して弁の働きに悪さをするからだ。だが、ここにきて「注水を増やすと汚染水が拡大し、外部に広がる」というジレンマが表面化した。

 1〜3号機のタービン建屋地下では放射性物質を含んだ汚染水が24日以降、相次いで発見。通常運転時の冷却水に比べて、1、3号機で約1000倍、2号機で約10万倍だった。28日には、2号機のタービン建屋の外側にある立て坑の水表面で1時間当たり1000ミリシーベルト以上の放射線量が検出。作業員は近づくこともできず、冷却機能回復のための作業は中断している。経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は28日の会見で、「まずはタービン建屋にたまった水を抜くが、注水は核燃料が危険な状態にならないよう続けなければならない」と苦悩した。

 汚染水の漏えいルートについて、東電と保安院は「不明」としているが、放射性物質の特徴から炉内の水と見ている。水蒸気が炉内から外側の格納容器内に広がり、弁やポンプの隙間(すきま)から漏れ出たか、格納容器下部の圧力抑制プールが爆発で破損した2号機では、そこから漏れたとみられている。

 圧力容器の容量は1号機が約200トン、2、3号機が約330トンで、1時間当たり10トンの注水でも1〜2日で満水になる。しかし実際には大量の水蒸気が圧力容器外に放出していると見られ、炉内の水位はほとんど変化せず、燃料棒は一部が水面上に露出したままとみられている。

 東電は注水強化のためポンプを順次増強した。当初は消防車のポンプによる1時間当たり2トンの注水だったが、1号機は23日以降同11トンに増やした。2、3号機も28日までに仮設ポンプを設置し、同約39トンに増強。1号機でも29日中に仮設ポンプを設置する予定だ。

 防衛省・自衛隊も、東電の真水注入作業を支援するため、米軍から提供を受けたバージ船(はしけ)2隻を、福島第1原発から約60キロ南の小名浜港に待機させている。真水計約2200トンを積んでおり、原発近くに接岸し、米軍がオーストラリアから購入した給水ポンプで貯水タンク(容量約3500トン)に真水を送る。訓練やポンプの試運転などが必要で、実現するのは早くても31日となる。バージ船の真水がなくなった場合は、沖合にいる海上自衛隊の補給艦が給水する。

 だが、炉内への注水量が増えれば、同時にタービン建屋地下などへの漏水も拡大し、作業がさらに遅れる可能性が高い。冷却機能の回復はさらに不透明になっている。

 福島第1原発の建屋外で汚染水が見つかり、海水からも基準の約1850倍のヨウ素131などが検出されている。今後も漏えいが続けば、水産資源や土壌などへの影響が懸念される。

 吉田正・東京都市大教授(原子炉工学)は「元々、タービン建屋にある復水器は、海水を引き込んで蒸気を冷却する仕組みで、海との関連が深い施設と言える。海への漏えいもあり得る」と指摘する。

 海に漏れている場合の影響はどうか。稲葉次郎・元放射線医学総合研究所研究総務官(放射線防護)は「放射性物質量がどのぐらい漏れたかにもよるが、海に入っても海流などによって希釈される。すぐには海産物や人への影響には結びつかないだろう」と話す。

 一方、海や魚と放射性物質の関係に詳しい水口憲哉・東京海洋大名誉教授(資源維持論)は「生物の体内で放射性物質が濃縮されるため、魚介類への影響が懸念される。特に海藻類はヨウ素131が付着しやすい」と危惧する。

 海だけでなく、土壌に汚染水が漏れ出ている可能性も否定できない。村松康行・学習院大教授(放射化学)は「周辺の土壌の状況にもよるが、ヨウ素やセシウムは土壌に吸着しやすいので、一般的には地下水には行きにくい」とみている。

 吉田教授は「原子炉を冷やすため注水をやめるわけにいかない。作業をするには建屋にたまった水を早く抜かなければならないが、抜いた水の処理も問題になる。東電はまた一つ荷物を背負った」と話した。

(kj)


(2011/03/29) 福島第1原発:放射線検査「義務付け」 偏見で過剰反応

 福島第1原子力発電所の事故に伴い避難した人たちが、放射線量を確認するスクリーニング検査で「異常なし」とする証明書を提示しなければ医療機関で受診できないケースがあることが分かった。避難所に入所する際、スクリーニング検査を事実上義務付けられるケースも。専門家は「非科学的な偏見による過剰反応だ」と指摘している。

 原発から半径20〜30キロの自主避難促進区域にある福島県南相馬市原町区から福島市に避難してきた会社員、岡村隆之さんは24日、市内の医療機関で8歳の三女の皮膚炎の治療を断られた。理由はスクリーニングの証明書がないこと。市販薬で何とかしのいだが、岡村さんは「ただでさえ不安な避難生活。診察を断られたことが、どれだけショックだったか」と話す。

 福島県は13日、県内13カ所でスクリーニング検査を始めた。17日からは、その結果を記した県災害対策本部名の証明書も発行している。しかし、本来は個人が自らの放射線量を知って安心するために行われる検査の証明書が、避難してきた人が受け入れてもらうためのお墨付きになっている実態がある。

 南相馬市などから約1300人が避難している福島市の「あづま総合運動公園」の避難所では、17日から入所の際にスクリーニングの証明書提示を求め、証明済みの目印にバッジを付けることになった。避難者が一時帰宅した際には再入場時にも検査を求めており、出入り口には説明文が張り出されている。

 避難所の担当者は「他の避難者から不安がる声が多かったため始めた。疑心を事前に摘み取るために必要だと考えている」と説明する。収容人員の多い他の避難所でも同様にスクリーニング検査を求める所がある。

 証明書の使われ方について、県地域医療課は「県内外の受け入れ施設から『証明書が欲しい』と求められた。避難される方の利益を考えると証明書は出さざるをえなかった。混乱を招いたが、証明書で利益を受ける人の方が多く、現状では発行を続けざるをえない」という。

 だが、南相馬市の中心部にある相双保健所の笹原賢司所長は「これまで8000人以上を検査したが、除染を必要とする基準値を超えた人はいなかった。南相馬が汚染地域のように扱われるのはおかしい」と憤る。震災後、福島県に入った広島大病院高度救命救急センター長の谷川攻一教授(救急医学)は「原発での特殊な作業に従事する人を除けば、現時点で基準値を超える放射線量が出る人がいるはずがない。証明書がなければ必要な医療を受けられないなどというのは言語道断。過剰反応は厳に慎んでほしい」と話している。

(ig)


(2011/03/29) 第一原発の北側海水から高濃度ヨウ素 基準の1150倍


 東京電力は28日、福島第一原発の北側で27日に採取した海水から、最大で安全基準の1150倍にあたる濃度の放射性物質が検出された、と発表した。

 東電によると、27日午後2時すぎに第一原発の5、6号機の放水口の北約30メートルで採取した海水を調べたところ、基準の1150倍のヨウ素131が検出された。25日朝に1〜4号機の放水口の南側で採取した海水から1250.8倍のヨウ素131が検出されており、汚染が広がっているとみられる。

(nw)


(2011/03/29) 被曝した3作業員、放医研を退院 皮膚に異常なし

 千葉市の放射線医学総合研究所(放医研)は28日、福島第一原発の復旧作業中に高レベルの放射線を浴びて搬送された作業員3人が退院したと発表した。全身状態に問題はなく、赤い斑点など皮膚にも異常は出ていないという。

 3人は数日後に放医研で再度受診し経過をみる。今後皮膚症状が出る可能性はあるが、自然治癒するレベルという。汚染された水に漬かった2人が足に浴びた放射線量の見積もりは、2〜3シーベルトだった。放射性物質が体の中に入り込み、体内でも放射線を浴びたとみられるが、健康への影響はない程度という。

 また放医研は今月15〜27日の間に、東京電力や関連会社の社員862人と、原発の近隣住民230人の計1092人が、放射能の汚染度を測る検査を受けたと明らかにした。健康影響が出るほど被曝(ひばく)した人はいなかったという。

(xr)


(2011/03/28) 「放射能1千万倍」は誤り 東電、違う物質と取り違え

 東京電力は27日、福島第一原発2号機のタービン建屋内のたまり水から通常の炉内の1千万倍の放射能を検出したと発表後、夜になり「違う物質と間違えた」と訂正した。26日にもタービン建屋で計測した場所や数値を大幅に訂正した。情報を共有できず、高い放射線の場所で関連会社員が被曝(ひばく)する事故も起きた。情報伝達の不備が、現場を混乱させている。

 2号機のたまり水を調べた際、減り方が極めて早いヨウ素134という物質について採取時点の放射能を逆算すると、1ccあたり29億ベクレルとなった。通常の1千万倍にあたる。これほど大量に検出されれば、炉内で核分裂反応が起きている可能性すらある。原子力安全委員会は再評価するよう東電に求めた。

 東電が再度測ると、ヨウ素134なら急速に減るはずの放射能が、さほど減っていなかった。減り方がもっと遅いコバルト56と間違えた可能性があるという。武藤栄副社長は「データ吟味のプロセスに問題があった」と話した。

 東電の広報担当者は、「測定結果が不確実な可能性があっても、公表しなければ、後から『隠していた』と批判を浴びる」と悩む。経済産業省原子力安全・保安院も、同じ理由で公表を優先したとしている。

(qm)


(2011/03/28) 大気中の放射線量、下がる 水道水の摂取制限を次々解除

 福島第一原発事故の影響で上がった大気中の放射線量は27日も、福島県内や関東地方の多くの地域でさらに低下した。原発から空気中への放射性物質の放出が少なくなっているためと考えられる。東京や千葉、茨城、栃木などの水道水に含まれる放射性ヨウ素の濃度も下がり、乳児への摂取制限は相次いで解除された。 原発では、15日前後に起きた爆発や水蒸気放出で多量の放射性物質が広く放出されたと考えられている。

 17日、原発から北西に約30キロ離れた浪江町では、毎時170マイクロシーベルトという大気中の放射線量を記録した。18〜20日は100マイクロシーベルト台が続いていた。その後、低下傾向をみせ、27日午前11時55分には45マイクロシーベルトになった。上空からちりなどと一緒に落ちてきた放射性降下物の濃度も、下がりつつある。

 東京都新宿区では21〜22日、1平方メートルあたりヨウ素が3万2千ベクレル、セシウムが5300ベクレルと20〜21日に比べ急上昇した。21〜22日に降った雨と一緒に、大気中の放射性物質が地面に落ちたためとみられる。この雨が川に入ったためか、23日に葛飾区の金町浄水場の水道水から1リットルあたり210ベクレルのヨウ素を検出。乳児への摂取制限につながった。

 しかし、雨で一定量の放射性物質が落下したためか、大気中の濃度は下がった。翌日の金町浄水場のヨウ素の値も79ベクレルに下がり、都は摂取制限を解除。27日には検出されなくなった。一時的に基準を上回った茨城県笠間市や北茨城市、千葉市や船橋市の一部など千葉県10市町、宇都宮市、福島県郡山市なども25〜27日に解除している。

 各地の放射線量や放射能の値が下がっているのは、原発からの放射性物質の放出が少なくなっているためとみられる。

 九州大学アイソトープ総合センターの百島則幸教授(環境放射能)は「環境中のヨウ素は半減期が8日ということもあり、どんどん減っていくだろう。しかしセシウム137の半減期は30年と長く、土壌に落ちたものは蓄積される。今後も調査を続けていく必要がある」と話している。

(sk)


(2011/03/27) タービン建屋地下の排水難航 原子炉冷却作業、足踏み

 東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)のタービン建屋の地下にたまった高濃度の放射能を含む水の処理が難航している。1号機では排水を続けているが、26日になっても作業が終わっていない。排水をしないと炉心の冷却に使うポンプに電力が送れず、炉心の冷却は足踏みの状態だ。

 タービン建屋の地下に水がたまり、高い放射線量が確認されたのは1〜3号機。このうち1号機では、24日から排水の作業が始まった。ポンプを水中に入れ、タービン建屋の中にある復水器というタンクに移す計画だ。

 だが、建屋そのものが広いうえ、廊下などにも水がたまり、26日も排水作業が続いている。排水が終わったとしても、洗浄をしないとその後の作業を再開できないという。

 経済産業省原子力安全・保安院によると、1〜3号機では、地下にたまった水がじゃまをして、ケーブルの敷設作業などが滞っている。ケーブルは、炉心の本格的な冷却に必要な原発内部のポンプを動かすのに必要だ。内部のポンプが動かなければ、いつまでも消防ポンプ車に頼らなければならない。

 保安院は、水の漏出の源は原子炉と推測する。「圧力容器や格納容器が大きく損なわれているわけではない」とする一方、「今も漏れ続けている可能性は否定できない」と説明している。

 高い放射線量のため3号機では24日、水につかりながら作業をしていた3人が両足を被曝(ひばく)した。東電によると、その6日前の18日の段階で、2号機のタービン建屋で毎時500ミリシーベルトの高い放射線量が確認されていた。こうした汚染状況を東電は3号機で被曝した作業員らに伝えていなかった。

 炉心の冷却作業では、2号機に海水を入れていたが、26日午前10時10分に真水に変更。地震の際に運転していた1〜3号機のすべてで真水に切り替わった。また2号機では26日午後、中央制御室の照明がついた。

(oy)


(2011/03/27) 言葉に窮し「現場混乱」 東電、情報共有の不備釈明

 東京電力福島第一原子力発電所3号機のタービン建屋内で起きた作業員3人の被曝(ひばく)事故をめぐり、東電側が2号機の同建屋でも同様の放射線量を6日前に把握しながら、注意喚起していなかったことが判明した。東電側は26日、後手にまわった対応への釈明に追われた。専門家らは、ずさんな安全管理を批判している。

 同日午前の東電本社。連日の記者会見に姿を見せた福島第一原発の藤森昭彦・環境担当は、注意喚起がなかった理由を問われ、言葉に窮した後、「十分な情報共有がなされていなかった。現場の混乱があったと思われる」。絞り出すような声だった。高い放射線量の公表が遅れたことについても、吉田薫広報部部長が「申し訳ない」と述べるにとどまった。

 ただし、午前中の段階で、事前に高い放射線量を計測と説明したのは「1号機」。夕方になってそれを「2号機」に訂正。「福島事務所と第一原発のやりとりで取り違えてしまった」と謝罪する、お粗末な対応ぶりだった。

 元京都大学原子炉実験所講師の小林圭二さん(原子核工学)は、「情報共有されていなかったことは非難されるべきだ。一義的には放射線管理担当者の責任だと思うが、組織としてずさんだったと言われても仕方ない」と東電の対応を批判。同実験所の小出裕章助教(同)は、「作業員は非常に困難な状況で、一刻も早く冷却ポンプを復活させようと水に入ったのだろう。これを教訓に、東電側は情報を共有させ、作業員一人一人の身を守ることを考えないといけない」と話す。

(fz)


(2011/03/27) 「魚食べて心配ない」 原子力安全委員長、海水汚染巡り

 福島第一原発事故の影響で、原発からの排水が基準の千倍を超すなど、周辺海域で放射能汚染が深刻化している。これに対し、原子力安全委員会=班目(まだらめ)春樹委員長=は26日、「放射性物質は海では希釈、拡散される」として、人が魚を食べてもまず心配はない、との見方を示した。

 東京電力による原発の放水口付近の調査では、25日朝にヨウ素131が1立方センチあたり50ベクレル、セシウム137が同7.2ベクレル検出された。原発の排水を規制する基準に照らすと、ヨウ素は1250倍、セシウムは79倍にあたる。東電は、1日1回だった測定回数を2回に増やすことにした。

 一方、文部科学省が23日から原発の沖合約30キロ地点で調べると、最大で1リットルあたりセシウムが26ベクレル検出。飲用水の基準に比べると、7分の1以下だが、09年度に調べた通常値の1万倍を超えていた。

 海洋生物への影響について、原子力安全委員会は26日、「排水口付近では濃度が高いが、魚介類に取り込まれるまでに潮流に流されて拡散、希釈される。さらにヨウ素は半減期が8日と短いため、人が食べるまでには相当低減していると考えられる」とした。

 一方で、財団法人海洋生物環境研究所の御園生(みそのう)淳研究参与(環境放射能)によると、濃度が高いと魚類が取り込んだ放射性物質が体内で最大で海水の30〜50倍の濃度まで蓄積されることもあるという。半減期が30年のセシウムは心配が残るという。「2〜4カ月で魚に影響が出ることもある。継続的な広域の調査が必要。消費者や漁業者の安心にもつながる」と指摘した。

(ph)


(2011/03/27) 子ども手当・特例公債法案対立続く 予算29日にも成立

 菅政権は新年度予算案と関連法案の年度内成立に向けて野党と大詰めの折衝を進めている。野党は東日本大震災で協力姿勢に転じ、大部分は成立する見込みだ。ただ、子ども手当法案や赤字国債を発行するための特例公債法案にはなお反発が強く、成立のめどは立っていない。

 菅政権はねじれ国会で法案処理に苦しんでいたが、震災で状況は一変した。新年度予算案は29日の参院本会議で採決することに野党も同意。反対多数で否決されるが、憲法の衆院優越規定で成立する。

 25日の衆院本会議では、関税定率法と国際通貨基金(IMF)加盟法は共産党を除く各党の賛成多数で、金融円滑化法、踏切道法、NHK予算は全会一致で可決され、いずれも年度内成立が確実になった。今月末で期限が切れる税の軽減措置を3カ月間延長する「つなぎ法案」は自民、公明両党が22日に提出。民主党が賛成することで合意しており、年度内に成立する。

 在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)協定や35人学級を実現するための教職員定数法改正案も、震災後に与野党が質疑などの手続きを省略することで歩み寄り、近く成立する見通しだ。

 一方、自民、公明両党は民主党の看板政策である子ども手当法案や、赤字国債発行を認める特例公債法への反対姿勢は崩していない。民主党は子ども手当について、現行法のまま月額1万3千円の支給を6カ月間続ける「つなぎ法案」を提出しているが、自民、公明両党は反対する姿勢だ。民主党の岡田克也幹事長は26日、自公両党の協力を得るため、すでに国会提出済みで、3歳未満に月額7千円を増額する子ども手当法本体について「取り下げてもよい」と発言。つなぎ法案のみを審議の対象とすることも検討するが、それでも両党の協力を得られるかは不透明だ。

一方、民主党は自公が反対を貫いた場合でも、共産、社民両党などの協力を得て参院で可決・成立を目指すが、過半数に届くかどうかは不透明。自民党は参院で「つなぎ法案」の審議入りを拒む構えで着地点は見えていない。

 一方、特例公債法案は先行き不透明なものの、野党には軟化の兆しも見える。自民党は参院で否決して予算執行を行き詰まらせ、解散・総選挙に追い込む筋書きを描いていたが、震災で解散・総選挙の機運はなくなったうえ、震災復興のための大型補正予算を編成して多額の国債を発行することは避けられない情勢だ。自民党内には「いずれ特例公債法を認めざるを得ない」との空気も広がる。

 このため自民党内では、民主党マニフェスト(政権公約)の目玉である子ども手当、戸別所得補償、高校無償化、高速道路無料化を廃止して復興財源にまわすことを条件に、特例公債法案に賛成する案も浮上している。

(xr)


(2011/03/27) 東日本大震災:被災跡地の買い取り検討 岩手・大船渡

 岩手県大船渡市の戸田公明市長は26日の会見で、低地の木造住宅を高台や内陸などに移転させ、跡地を市が買い上げる案を検討する意向を示した。戸田市長は「これから議論が必要だが、子や孫が同じ思いをしないように今回の教訓を生かしたい」と述べた。

 住宅を建てられるエリアを制限するには、市の都市計画審議会に諮り用途地域を変更する必要がある。市民の反応や買い上げにかかる費用など、現時点では不透明な点は多いが、戸田市長は「安全なまちづくりには避けられない。市民の皆さんも同感だろう」との見解を示した。大船渡市では、民家など約3600戸が津波で全半壊した。

(uh)


(2011/03/26) 死者1万66人、不明1万7452人 25日午後6時現在

 警察庁によると、25日午後6時現在の死者数は12都道県で1万66人に上った。行方不明は6県で1万7452人。負傷者は18都道県で2777人。

 確認されている死者数は宮城6097人、岩手3056人、福島855人、茨城20人、千葉17人、東京7人、栃木と神奈川で各4人、青森3人、北海道、山形、群馬で各1人。行方不明となっているのは宮城6636人、福島5934人、岩手4878人、千葉2人、青森、茨城各1人。

 建物被害は全壊1万8778戸、流失1165戸、全半焼148戸など。道路被害は2035カ所に上る。

 また同日午前10時現在、死亡した人のうち身元が確認されたのは約6890人。このうち約6320人が遺族らに引き渡された。

(tn)


(2011/03/26) 米軍、原子炉冷却に真水提供へ 海水注入による腐食懸念

 北沢俊美防衛相は25日の閣議後の記者会見で、東京電力福島第一原子力発電所の原子炉冷却のため、米軍から真水の提供を受ける方針を明らかにした。

 原子炉の冷却にはこれまで海水が使われてきた。北沢氏は会見で「海水をいつまでも注入していると塩害のようなものが起きるのではないか。それについて米側が強い懸念をもっていて、機材の腐食を防ぐためには、淡水に早く変更すべきだという米側からの非常に強い要請があった」と明らかにした。

 東京電力はダムの真水を使うことも検討しているが、十分に供給できない場合に備え、米軍からの提供を受けることにした。注入には、米軍が提供するポンプを使うことを想定。状況次第では、設置や操作は東京電力に代わって自衛隊が行うことも検討しているという。

 日本側の受け入れ方針を受けて米海軍は25日、米海軍横須賀基地(神奈川県横須賀市)から大量の真水を台船に積み込んで発送した。台船は2隻になる予定で、最大で計約2650トンを積載できる。自衛隊の艦船が現場海域まで引っ張っていく予定。途中でポンプの使い方などの訓練を行うため、到着まで3日程度かかる見通しだ。

 米海軍横須賀基地には純水製造施設が設けられている。原子力空母ジョージ・ワシントンが停泊して原子炉を停止した際に必要な真水を供給するための設備だ。

(wg)


(2011/03/26) 14地点で強い揺れが2〜3分間続く 東日本大震災

東日本巨大地震(マグニチュード=M=9.0)で震度5強以上を記録した気象庁の14観測点では、震度4以上の強い揺れが2〜3分間も続いていたことが同庁の解析で分かった。

 過去の大きな地震と比べて倍以上も長い。震源域が長さ450キロ、幅200キロと極めて広く、プレート境界の岩盤の大きな破壊が約3分間にわたり、連続して起きたためとみられる。

 震度4以上の揺れが約3分10秒と最も長かったのは、福島県いわき市小名浜の観測点(震度6弱)。青森県五戸町古舘(同5強)が約3分、仙台市宮城野区五輪(同6弱)が約2分50秒で続いた。宮城県沖の震源から約400キロ離れた東京都千代田区の気象庁(同5強)でも約2分10秒だった。

(sd)


(2011/03/25) 放射性降下物、首都圏など大幅低下 雨とともに落下か

 文部科学省は24日、大気中の放射線量や、上空からちりなどと一緒に落ちた放射性の降下物などの測定結果を発表した。降下物の値は、首都圏を中心に大幅に低下した。大気中の放射線量も、10都県で通常より高い値が続いているが、多くの地点で低下する傾向を示した。

 文科省や専門家は、前日に降下物の値が上がったのは、福島第一原発で15日前後に起きた爆発などで上空に放出された放射性物質が、前日までに降った雨とともに落下したのが影響しているとみている。

 上空から落ちてくる放射性ヨウ素131やセシウム137などの放射性物質の値は、関東地方の多くの地点で大幅に低下した。昨日まで高い値が続いていた。

 東京都新宿区では23日午前9時から24日午前9時までの間に、ヨウ素が1平方メートルあたり1万3千ベクレル(ベクレルは放射能を表す単位)で前日比で6割減、さいたま市は1万6千ベクレルで同3割減、千葉県市原市は7700ベクレルで同7割減だった。

 一時高い数値を示していた茨城県ひたちなか市も、セシウムは420ベクレルから63ベクレル、ヨウ素は2万7千ベクレルから1200ベクレルに大きく下がった。

 日本アイソトープ協会の佐々木康人常務理事は「首都圏で前日、降下物の値が上がったのは、雨の影響が考えられる。雨が大気中の放射性物質を取り込んだお陰で空気がきれいになり、値が下がったのだろう。今後、雨が降らなければ、川の水に入るヨウ素の量も減り、水道水に含まれる値も下がることが予想される」と話している。

 24日午前9時から午後5時までの大気中の放射線量が平常値より高かったのは、宮城、福島、山形、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の10都県。福島県内の各地も依然、高い値を示しているが、多くの地点で前日より下がった。

道ばたの雑草も高濃度に汚染されていた。福島県飯舘村では、原発から北西約40キロで採取した雑草の葉から1キロあたり124万ベクレルのセシウム137が検出された。前日までの付近の土の汚染の約8倍の濃度だった。

 文科省によると、試料の測定方法や採取場所が違うと風向や地形によって数値に差が出るという。「土や雑草の濃度基準はないが、農作物への影響など分からない点もあり、今後の推移を監視していく」という。

 原発から沖合約30キロの海水調査では、8カ所中3カ所でヨウ素131が基準値を超えた。海水は23日に採取され、最高値は基準の1.9倍の76.8ベクレルだった。原子力安全委員会は「ヨウ素は半減期が8日と比較的短いため、魚や海藻に取り込まれ、人が食べるまでには相当薄まると考えられる」という。

(ph)


(2011/03/25) 原発事故に対する損害賠償、国も負担 東電と調整へ

 東京電力・福島原子力発電所の事故による放射性物質の拡散を受け、菅政権と東電は農家や被災住民などに対する損害賠償の負担をめぐる調整に入る。原則としては東電が責任を負うが、賠償は数兆円に及ぶとの見方もあり、国が一部を負担する方向だ。

 原発事故などの賠償制度を定めた原子力損害賠償法(原賠法)では、賠償責任は一義的には事業者が負うことになっている。電力会社は損害保険会社や政府と保険・補償契約を結んでおり、原発1事業所あたり1200億円は、この保険や補償でまかなうことができる。これを超える金額は事業者の負担となるが、必要に応じて政府が援助する仕組みもある。

 今回の東電の場合、賠償額が福島第一、第二合わせて2400億円を超えるかどうかだが、財務省幹部は「原発から20キロ圏内と避難対象が広範囲で、すでに農作物にも影響が出ている。賠償は兆円単位になる」と見る。枝野幸男官房長官は21日の会見で「一義的には東電に責任を持っていただく。十分に補償できない場合には、国において対応する」と説明している。

 電力会社と国の負担割合については明確な法的な規定がないため、東電と政府が協議する必要がある。原賠法が初めて適用された1999年9月の茨城県東海村の「ジェー・シー・オー(JCO)」東海事業所で起きた臨界事故では、半径約350メートルの住民が3日間避難。10億円を保険会社が支払い、残りの約140億円をJCO側が負担し、政府の援助はなかった。

 だが、今回は、12日に20キロ圏内の住民に避難指示が出てから長期にわたることが予想され、放射能汚染で農家や被災住民、休業を余儀なくされた企業など、当時とは比べものにならないほどの被害が広がっている。被害額の見通しがつき次第、東電と国が負担割合の協議に入るが、決定までには時間がかかりそうだ。

 原賠法には「異常に巨大な天災地変」や、外国からの攻撃のような「社会的動乱」によって事故が起きた場合、原子力事業者は賠償責任を免除され、すべてを政府が補償するという例外規定がある。だが、枝野官房長官は東電の免責をはっきりと否定。原発事故に対する「国民的な感情もある」(首相周辺)ため、免責はしない見通しだ。

 ただ、東電の負担がふくらめば、最終的には電気料金の引き上げなどの形で国民負担につながる。東電に賠償責任を負わせながらも、経営の立て直しを同時に進める難しいバランスが菅政権には求められる。政府高官は「東電に代わる事業者はない。国が知らん顔するということではなく、東電に社会的責任を果たしてもらうために国がサポートする」と話す。

(xr)


(2011/03/25) 大津波、北上川を50キロさかのぼる

 東日本大震災の大津波が、北上川を河口から約50キロの地点までさかのぼっていたことが、東北大の田中仁教授(水工学)の分析で分かった。国土交通省が北上川に設置した水位計のデータを調べた。津波は、河口から17キロ地点にある高低差3メートル以上の堰(せき)も乗り越えたとみられるという。

 岩手県が源流の北上川は、宮城県登米市で旧北上川と分かれ、本流は石巻市の追波湾に注ぐ。旧北上川は石巻市の仙台湾に注いでいる。

 田中さんが、水位計データを分析したところ、津波は追波湾の北上川の河口で7メートル以上の高さだった。河口からさかのぼった津波は、旧北上川との分岐点を越えて、河口から49キロ地点で11センチの水位変化を記録した。その上流の60キロ地点では計測されなかった。

 田中さんは「国内に記録が残る津波の遡上(そじょう)は、河口から十数キロであることが多い。今回の結果は東日本大震災の津波の規模の大きさを示している」と話している。

(nw)


(2011/03/25) 福島第1原発 1号機で何が起きているのか 安全委員長「最も懸念」

 一進一退の状況が続く東京電力福島第1原発。23日夜に会見した原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は「個人的な意見」と断った上で、「最も懸念されるのは炉内の温度、圧力が上がっている1号機。2、3号機は危機を脱したのではないか」との見解を示した。

 1号機で何が起きているのか。経済産業省原子力安全・保安院によると、1号機の核燃料を収めた原子炉圧力容器内は23日には温度が400度にまで上昇した。圧力容器の想定温度上限は302度で、高温状態が長時間続くと損傷につながる可能性がある。温度を下げるため炉内への注水量を増やした結果、水蒸気が発生して圧力容器や外側の原子炉格納容器の内圧が上がった。燃料棒を冷やすための水の水位は十分でないと考えられている。

 奈良林直・北海道大教授(原子炉工学)は、今後1号機で想定される最悪のケースとして、格納容器の損傷を挙げる。「400度という圧力容器の温度は異常。高温環境の中で燃料棒を包む被覆管と容器内の水が反応して発生した水素が、圧力容器や格納容器にかなりたまっていると考えられる。それが排気などによって外部に漏れた場合、水素爆発を起こして格納容器を破損し、閉じ込めていた大量の放射性物質が放出する恐れがある」

 さらに、水位が下がった高温の炉内で核燃料の溶融が進み、溶けた燃料が圧力容器下部の「制御棒駆動機構」など、強度がやや劣る部分から漏れ出す事態も考えられる。だが奈良林教授は「一気に圧力容器の底が抜けるようなことにはならない。量が少ないので、より深刻な水蒸気爆発を起こす可能性も低い」と話す。

 圧力容器内の底などに溶融した核燃料が集まり、原発運転時と同様の連鎖的な核分裂反応を始める「再臨界」の可能性はどうか。小林圭二・元京都大原子炉実験所講師(原子炉物理学)は「核燃料は、正常な状態で最も核分裂反応が進みやすいように作ってある。溶けた状態では、再臨界になるとは考えにくい」と話す。

 奈良林教授も「たとえ核燃料が溶けて臨界に必要な量が集まったとしても、臨界を維持するために必要な水は塊の内部には入っていけないので、まず再臨界は起こらない、という意見が原子炉の専門家の大勢だ」と言う。

 旧ソ連のチェルノブイリ原発事故(1986年)では、原子炉が運転中だったのに加え、炉内に燃えやすい黒鉛を使っていたため、大規模な水蒸気爆発を引き起こし、圧力容器が吹き飛んで大量の放射性物質をまき散らした。これに対し、福島第1原発は地震と同時に自動停止しており、構造が異なるため炉内に黒鉛もない。奈良林教授は「福島第1原発では、チェルノブイリのようなことは起こらない、と言い切ってよい」と話す。【

(uh)


(2011/03/25) 福島第1原発 被ばく2作業員搬送 やけどの症状

 東京電力は24日、東日本大震災で被災した福島第1原発3号機のタービン建屋にいた3人が40〜50分の作業で170ミリシーベルト以上被ばくしたと発表した。うち2人の両足の皮膚に放射性物質が付着していたため、福島市の福島県立医大病院に搬送した。3人とも全身の状態は良好だが、被ばく回避のため、他の建屋での同様の作業も中断された。復旧への歩みはさらに遅れるとともに、東電の安全管理が問われそうだ。

 経済産業省原子力安全・保安院の西山英彦審議官は24日夜会見し、「作業のやり方は十分ではなかった。しっかり対応してほしい」と改善を求めた。

 保安院などによると、3人は20〜30代の東電の協力会社社員。同日午前10時からタービン建屋地下で電源復旧のためのケーブル接続作業をしていた。前日の建屋内の放射線量が低かったため、この日は作業前に線量を確認することを怠った。また、暗かったために深さ約15センチの水があることに気づくのが遅れた。3人は防護服を着ていたが、搬送された2人は長靴ではなく、普通の作業靴だったためにくるぶしまで水につかった。

 水が放射性物質に汚染されていた可能性があるという。東電が被ばく判明後に測定したところ、タービン建屋にある水たまりの表面で1時間当たり400ミリシーベルト、大気中で同200ミリシーベルトが検出された。

 2人の被ばく線量は30代男性が180.07ミリシーベルト、20代男性が179.37ミリシーベルトで、東電は「やけどの症状が出る恐れがあり、(放射線の一種の)ベータ線による熱傷の可能性がある」としている。残る1人は30代男性で173ミリシーベルトだった。

 3人は線量計を所持し、20ミリシーベルトの被ばくでアラームが鳴るように設定していた。機能したかどうかは調査中で、3人が気づいた時には線量計の値が170ミリシーベルトを超えていた。24日現在で100ミリシーベルト超の作業員は計17人となるが、今回の値は最も高いという。

 厚生労働省は、同原発で作業にあたる人の年間の累積被ばく線量の上限を250ミリシーベルトとしている。東電によると、3人の累計被ばく線量はこの値は超えていない。

 東電は今回の事態を受け、同日午後0時10分にタービン建屋1階、地下の作業員に対して退避指示を出した。放射線源や被ばくの原因を調べ、除去や遮蔽(しゃへい)ができれば作業を再開する。

(ig)

(2011/03/24) JR西、4月から一部路線で間引き運転 東日本大震災の影響

 JR西日本は23日、一部の在来線で4月2日から昼間の時間帯(午前10時〜午後5時)に限って運転本数を減らすと発表した。東日本大震災の影響で、保守用部品を調達している、茨城、福島両県の車両部品メーカーが稼働せず、4月下旬にも運行できない車両が出るため、緊急措置に踏み切った。

 間引き運転される主な路線は北陸線(金沢―直江津)▽紀勢線(和歌山―御坊)▽山陰線(綾部―城崎温泉)▽山陽線(岡山―下関)などで、それぞれ通常の50〜70%の運転本数となる。4月11日からは京阪神エリアにも拡大し、大阪環状線や大和路線、おおさか東線、湖西線、山陰線(京都―園部)、奈良線の各路線で通常の55〜80%に本数を抑える。間引き運転の期間は未定だ。

 調達できないのは、モーターに電流を流すカーボン製の「直流電動機ブラシ」と呼ばれる部品。摩耗するため、半年から1年半ごとに取り換える必要があるという。主に旧国鉄時代の古い車両に使われており、同社が所有する在来線車両約4700両のうち、およそ半数の約2300両がこの部品を使っている。

 メーカー「日立化成工業」(本社・東京)の茨城県日立市の工場では、地震による損壊状況を把握するため稼働を停止。福島県浪江町のグループ会社の工場も、福島第一原発からの避難指示圏内にあり操業していない。JR西は同部品の8割をこのメーカーから購入しているという。

 関西の大手私鉄では、近鉄が3割の車両に同部品を使用。生産停止が続けば6月ごろには一部運休を余儀なくされるとして、運行計画の見直しに入った。京阪、阪急、阪神、南海各社は数カ月から半年の在庫があり、点検回数を増やすなどして、交換の周期を引き延ばすという。

(sk)


(2011/03/24) M7以上の余震確率を上方修正 気象庁

 気象庁は23日、東日本大震災について、マグニチュード(M)7.0以上の余震が起こる確率の目安を、26日までの3日間で20%、その後の3日間で20%と、上方修正したと発表した。

 22日から23日正午までにM5.0以上の地震が27回発生し、余震活動がやや活発化したため。22日の時点では、それぞれ20%、10%だった。同庁の横田崇・予知情報課長は「まだ余震活動自体は活発なので、警戒を続けて欲しい」と話した。

(wg)


(2011/03/23) 原発作業員らの被曝「全員軽微、治療必要なし」 放医研

 放射線医学総合研究所(千葉市)は22日、福島第一原発で注水作業や復旧作業にあたった184人、周辺住民193人を対象にした21日までの検査の結果、全員、放射線被曝(ひばく)の程度は軽く、治療が必要な人はいなかったと発表した。184人は12〜20日に作業した人たちで、東京電力社員ら166人、自衛隊員5人、警視庁機動隊員13人。

(fz)


(2011/03/23) 死者9080人、不明1万3561人 22日午後6時現在

 警察庁によると、22日午後6時現在の死者数は、12都道県で9080人に上った。行方不明は6県で1万3561人。負傷者は18都道県で2675人。

 確認されている死者数は宮城5507人、岩手2773人、福島743人、茨城20人、千葉16人、東京7人、栃木と神奈川で各4人、青森3人、北海道、山形、群馬で各1人。行方不明となっているのは岩手5018人、福島4272人、宮城4266人、千葉3人、青森、茨城各1人。

 建物被害は、全壊1万4717戸、流失1159戸、全半焼149戸など。




(2011/03/23) 原発設計「想定悪かった」原子力安全委員長

 政府の原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は22日の参院予算委員会で、東日本巨大地震による東京電力福島第一原子力発電所の事故に関し、「(原発設計の)想定が悪かった。想定について世界的に見直しがなされなければならない。原子力を推進してきた者の一人として、個人的には謝罪する気持ちはある」と述べ、陳謝した。社民党の福島瑞穂氏の質問に答えた。

 班目氏は2007年2月の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)運転差し止め訴訟の静岡地裁での証人尋問で、非常用発電機や制御棒など重要機器が複数同時に機能喪失することまで想定していない理由を問われ、「割り切った考え。すべてを考慮すると設計ができなくなる」と述べていた。福島氏はこの証言を取り上げ、「割り切った結果が今回の事故につながった」として謝罪を求めた。

 班目氏は「割り切り方が正しくなかったということも十分反省している。原子力安全委員会は原子力安全、規制行政に意見を言う所だが、抜本的な見直しがなされなければならないと感じている」と語った。

(ph)


(2011/03/22) 緊急地震速報、的中3割に低下「誤報と思わず身構えて」

 震度5弱以上の地震が来る前に発表する気象庁の緊急地震速報が、東日本大震災後に多発する余震で、精度が落ちている。信頼が損なわれているが、それでも3回に1回ほどは的中しており、専門家らは「大きな余震が続く可能性が高い。誤報と思わず身構えてほしい」と呼びかけている。

 緊急地震速報は、震源近くの地震計で最初の揺れをとらえ、瞬時に地震の規模や震度を計算、最大震度5弱以上と予測すると速報する。2007年から運用を始め、震災前までは17回のうち10回で確率は58%だった。

 ところが、11日の東日本震災後から20日までに速報は36回出たが、実際に震度5弱以上の揺れがあったのは11回で、的中の確率は約30%となっている。システムが同時に複数の地震を想定していないことが原因で、地震の規模や発生場所を誤って計算して速報が出ることがあるという。すぐに改良する予定は無く、地震後の余震がおさまるまで誤報は続く見込みだ。

 速報作りに携わった名古屋大の福和伸夫教授(地震工学)は「テレビでBGMのように連日流れて、オオカミ少年のようになってしまっている」と指摘。当初から巨大地震では限界があることが分かっていたといい、「火の注意、背の高い家具から離れるなど数秒で揺れに備えることができる。システムの限界を理解して、うまく利用してほしい」と話す。

 気象庁は「自分の住んでいる地域が速報の対象外でも、地震が来ることもあり得る。誤報と思わず身を守ってほしい」と呼びかけている。

(mc)



(20100/03/22) 福島第1原発 周辺の津波 14メートル以上の可能性

 東京電力福島第1原発周辺で、14メートル以上の津波が押し寄せた可能性があることを21日、経済産業省原子力安全・保安院が明らかにした。設計時に想定した津波の高さの3倍近い。東電と保安院は、津波が原発の安全の根幹にかかわる原子炉の冷却機能を喪失させ、今回の事故につながったとみており、他の原発でも再検証が求められるのは必至だ。

 保安院は同日午後の会見で、「津波の高さは一番高い所で(水が)触れたものを見れば分かる。未確認だが、14メートルの高さの駐車場を超えていると聞いた」と説明した。東電が同原発で設計時に想定した津波の高さは約5メートル。津波は浅い海岸付近に来ると波の高さが急激に高くなる特徴があるほか、連続して押し寄せるため、沿岸に到達した津波の高さ以上まで駆け上がる。

 今回、同原発では、3号機を襲った東西方向の揺れの強さが507ガル(ガルは加速度の単位)と、保安院が耐震安全の基準値として認めた数値の1・15倍だったのを除き、揺れはおおむね基準値を下回った。しかし、敷地内にある原発に送電するための鉄塔が倒壊。さらに津波の影響で、原子炉を冷やすための緊急炉心冷却装置(ECCS)を駆動する非常用電源が6号機を除いて使えなくなり、外部からの受電設備も水没して事態を悪化させたとみられる。

 東電は今回の事故を、設計時の想定を超えて炉心の損傷につながるような「過酷事故(シビアアクシデント)」と認めている。保安院によると、東電は複数の対策シナリオを国の指示で2002年に作成したが、津波による被害は考慮されていなかった。国の「原子力白書」でもシビアアクシデント発生の可能性について「工学的には考えられないほど低い」などとしていた。

(sd)


(2011/03/21) 「日本一の防潮堤」無残 想定外の大津波、住民ぼうぜん

「日本一の防潮堤」「万里の長城」――。住民たちは、そう呼んで信頼を寄せていた。岩手県宮古市田老地区にあった全国最大規模の津波防潮堤。だが、東日本大震災の未曽有の大津波にはなすすべもなく、多数の死者と行方不明者が出た。「今後、どうやって津波を防いだらいいのか」。住民たちはぼうぜんとしている。

 「津波は堤防の倍くらい高かった」。防潮堤の近くに住んでいた漁師小林義一さん(76)は顔をこわばらせて振り返った。11日の地震直後、いったん堤防に避難した。だが、山のような津波が海の向こうから押し寄せてくるのが見えたため、急いで丘に駆け上り、難を逃れた。自宅は押し流されて跡形もない。

 小林さんは「防潮堤は安心のよりどころだった。『防潮堤があるから』と逃げ遅れた人も多かったのではないか。堤をもっと高くしないと、これでは暮らしていけない」。

 約4400人が暮らす田老地区は「津波太郎」との異名がある。1896(明治29)年の明治三陸津波で1859人が、1933(昭和8)年の昭和三陸津波で911人が命を奪われた。

 防潮堤は、昭和三陸津波襲来の翌34年に整備が始まった。地元の漁師らによると、当時の田老村は、高所移転か防潮堤建設を検討。結局、海に近い所に住みたいとの村民の要望や代替地の不足から防潮堤建設を決断し、当初は村単独で整備を始めた。工事は中断を挟みながら段階的に進み、半世紀近く後の78年に完成。総工事費は80年の貨幣価値に換算して約50億円に上る。

 こうして出来上がった防潮堤は、海寄りと内寄りの二重の構造。高さは約10メートル、上辺の幅約3メートル、総延長約2.4キロと、まるで城壁のようだ。岩手県によると、二重に張り巡らされた防潮堤は世界にも類はない。総延長も全国最大規模という。60年のチリ地震津波では、三陸海岸の他の地域で犠牲者が出たが、田老地区では死者はいなかった。日本一の防潮堤として、海外からも研究者が視察に訪れるほどだった。

しかし、今回の津波は二つの防潮堤をやすやすと乗り越えた。海寄りの防潮堤は約500メートルにわたって倒壊し、所々にコンクリートの残骸が転がっていた。隣近所の多数の知人が行方不明になったという男性(45)は「津波の前では、頼みの防潮堤がおもちゃのように見えた。こんな津波を経験して、このまま田老で暮らせるのかどうか分からない」と泣きながら話した。

 今後の津波対策をどうするのか。漁師の川戸治男さん(69)は「漁師なら海の近くに住みたいと考えるだろうが、やはり高台の方に移住すべきではないか」と話す。

 宮古市は津波防災都市を宣言している。地域振興課長の鳥居利夫さん(59)は「防潮堤は、これまで経験した大津波を想定して整備された。だが、今回は想定外だった。今後、どう津波対策を立てるのか。今のところ思いつかない」と肩を落とす。

(fz)


(2011/03/21) 死者・行方不明者、計2万人超える(20日午後3時現在)

 警察庁の20日午後3時現在のまとめでは、死者数は12都道県で8199人、行方不明者数は6県で1万2722人で死者・行方不明者は2万人を超えた。負傷者は18都道県で2613人。

 確認されている死者数は宮城4882人、岩手2583人、福島678人、茨城19人、千葉16人、東京7人、栃木、神奈川で各4人、青森3人、北海道、山形、群馬で各1人。行方不明者数は福島4408人、岩手4874人、宮城3435人、千葉3人、青森、茨城各1人。

 建物被害は、全壊1万4622戸、全半焼149戸など。

(ph)


(2011/03/21) 東日本大震災 死者の9割は水死 岩手・陸前高田

 東日本大震災で被害を受けた岩手県陸前高田市の死者のうち、126人を調べたところ、多くが避難を終えたか避難の途中とみられることが千葉大大学院の岩瀬博太郎教授(法医学)の調べで分かった。約9割が水死と推定され、「津波被害を前提にした対策が必要」と話している。

 岩瀬教授は警察庁から日本法医学会への応援要請を受け、同市内で13〜16日に警察官とともに遺体の検視にあたった。126人のうち大きな外傷がなかった約30人は発見場所などから市民会館の3階に避難後に死亡したとみられる。また、屋外で見つかった約90人もシャツや上着7〜8枚を重ね着し、保険証や貴金属など貴重品のほか、アルバムなど思い出の品や非常食のチョコレートなどを入れたかばんを所持している人が目立ったという。

 収容遺体が多く、短時間で遺体の表面から死因を判断せざるを得ない状況だったが、致命傷となる傷がないことなどから約9割が水死と推定されるという。死因の約8割が住宅倒壊などによる圧死・窒息死だった阪神大震災とは対照的で、地震そのものよりも想定外の津波が被害を広げた実態が浮き彫りになった。

 岩瀬教授は「想定外の津波だったのだろう。逃げ遅れではなく、避難中に津波被害に遭ったのではないか。今後は密閉性の高い避難所の設置などが必要ではないか」と提案した。

(uh)


(2011/03/21) 大震災被害「20兆円」 同志社大大学院教授推計 

 東日本大震災の建物や道路などの直接被害額は、阪神・淡路大震災の約2倍の20兆円に達し、復興資金は当初5年で26兆円に上る。林敏彦・同志社大学大学院教授(公共政策)が、過去の大規模災害の被害を踏まえて推計した。復興の見通しについて「年間で見ればGDP(国内総生産)比1%程度。耐えきれない負担ではない」と述べた。神戸市中央区であった神戸経済同友会の講演で示した。

 林教授は、関東大震災(1923年)、伊勢湾台風(1959年)、阪神・淡路大震災(1995年)で、被害額とGDPに占める比率などを分析した。

 過去最大の被害は関東大震災で、直接被害額はGDP比13.4%に上った。伊勢湾台風は同11.4%、阪神・淡路は同2.0%だった。

 東日本大震災については、明らかになっている被害規模から、被害額のGDP比は4.2%と推計。復興には当初5年間で公共部門18兆円、民間部門8兆円の計26兆円が必要になるとした。

 復興政策として、復興院の創設、被災地への国会移転、復興消費税2%の上乗せか復興国債4兆円の追加発行などを提言した。

 林教授は1972年に米・スタンフォード大博士課程修了。阪大経済学部教授などを経て、2010年4月から現職。ひょうご震災記念21世紀研究機構の研究統括を務める。神戸市在住。

(dr)


(2011/03/20 消防庁放水「プールに命中」、放射線濃度下がる

 19日未明に東京電力福島第一原発3号機に対して放水活動を行った東京消防庁の幹部が19日夜、記者会見し、放水にあたっては、車両から出ずに作業するとの当初予定を「人力でホースを延長する戦略に変更した」と明らかにした。

 放水の際には、3号機両側からそれぞれ3台の車両に20人ずつ配置し、周辺の放射線量を計測しながら作業に当たったという。

 幹部は「1分間あたり3トン放水した」とし、その直後に東京電力社員が放射線濃度を計測したところ、ほぼゼロに近いくらいメーターが下がっていたという。そのため、「放水がプールに命中していると隊長が判断した」と述べた。

(sd)


(2011/03/20) 東日本大震災 牡鹿半島、東南東に5メートル移動

 東日本大震災による地殻変動を調べている国土地理院は19日、GPS(全地球測位システム)観測データに基づき、変動幅が最も大きい宮城県石巻市の牡鹿半島が東南東に約5.3メートル動き、約1.2メートル沈下していたと発表した。大震災に伴う停電などで、測量の基準となるGPS観測点(電子基準点)のデータが取得できなかった。地理院は「牡鹿」など5カ所に出向き、データを直接回収して解析した。

 地理院は17日に地球観測衛星「だいち」の画像データを基に、牡鹿半島が東に約3.5メートルずれたとしていた。今回は誤差数ミリと、より正確に移動を特定した。

(wx)


(2011/03/20) 福島第1原発 東電、津波は想定外 揺れは設計基準内

 東京電力は19日、福島第1原発6号機が東日本大震災で観測した揺れの強さについて、東西方向431ガル(ガルは加速度の単位)、南北方向290ガル、上下方向244ガルだったと明らかにした。加速度の数値が大きいほど揺れが大きいとされる。設計上の基準値は、東西448ガル、南北445ガル、上下415ガルで、どの方向の揺れも想定以内に収まっていたが、東電は「津波の影響が大きかった」と説明している。

 1〜5号機については揺れの強さを測定したデータが確認できていない。

 東電によると、同原発は土木学会の基準に従い、約5メートルの津波を想定して設計されたという。実際にはそれを上回る津波が押し寄せたとみられる。緊急炉心冷却装置(ECCS)を駆動するための非常用電源が6号機を除いて使えなくなり、外部からの受電設備も水没した。

 原発の耐震設計審査指針は2006年9月、25年ぶりに改定された。原発ごとに想定する地震を検討し、過去の地震をよりさかのぼって評価するようにした。福島第1原発の想定地震の基準地震動も強化された。

 大竹政和・東北大名誉教授(地震学)は「福島第1原発の建設前の津波の評価が過小だったことが証明された。日本ではすべての原発が海に面している。他の原発についても、津波の評価が十分かを点検する必要がある」と話す。

(rq)


(2011/03/20) セ・リーグも延期、29日開幕に 今シーズンは延長なし

 プロ野球セ・リーグは19日、3月25日に決めていた公式戦の開幕を同29日に延期すると発表した。全体の日程は動かさず、25〜27日の計9試合を後ろに回すなどして対応する。日本プロ野球組織(NPB)が文部科学省から東京電力、東北電力管内でのナイター試合の開催自粛などを要請されたことを受け、6球団の代表者が東京都内で協議した。今季は延長戦を行わないなどの対応策も打ち出した。

 29日の開幕から4月3日までは東京電力管内である9試合をすべてデーゲームで開催する。その後はナイター開催を予定しているが、照明を減らすなど大規模な節電策を講じるとした。

 さらに今季は延長戦は一切行わず、9回打ち切りとする。夏場はできるだけデーゲームにする方針も発表した。

 セ・リーグは17日、当初の予定通り25日開幕の決行を決めたが、翌18日に文科省が加藤良三コミッショナー宛てにナイター自粛などの要請を出した。25日開幕に反対していた日本プロ野球選手会も、改めて再考を要望。それらを受けて、各球団幹部は19日、対応に追われた。

 25日開幕を発表した時点で、加藤コミッショナーは政府・監督官庁の指示には従う、としていた。セの各球団も「監督官庁に従うのは間違いない」(中日・西脇球団代表)という姿勢を変えていない。当初の日程のままでは25日の開幕戦で、東京電力管内にある東京ドーム(巨人―横浜)と神宮球場(ヤクルト―阪神)がナイターを開催することになる。東京ドームに関しては、デーゲームに変更しても電力消費量は大きく変わらない。25日に開幕を強行するのは、極めて難しい状況に追い込まれていた。

(wg)



(2011/03/20) 死亡7508人、不明1万1680人 19日午後9時現在

 警察庁の19日午後9時現在のまとめでは、死者数は12都道県で7508人、行方不明は6県で1万1680人にのぼる。負傷者は17都道県で2583人。

 確認されている死者数は宮城4449人、岩手2356人、福島647人、茨城19人、千葉16人、東京7人、栃木、神奈川で各4人、青森3人、北海道、山形、群馬で各1人。行方不明者数は福島4437人、岩手4253人、宮城2985人、千葉3人、青森、茨城各1人。

 建物被害は、全壊1万4425戸、全焼141戸など。

(mc)


(2011/03/20) 沿岸の被災地住民、津波警報察知に平均23分 民間調べ

 東日本大震災で、気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市)は、地震発生時の行動調査(速報版)をまとめた。被害が大きかった東北など5県の太平洋沿岸の住民が津波警報に気づいたのは平均23分後で、約3割の人がすぐに避難行動に移れなかったと答えている。
 同社は、地震発生時の行動について、携帯電話やインターネットを通じて調査。全国約3万7千人から回答を得た。このうち、被害が大きかった青森、岩手、宮城、福島、茨城の5県の回答者は約7900人だった。

 大津波警報などを知るまでにかかった時間は、全国平均で17分。5県の海岸近くにいた人(約3800人)では23分だった。今回、津波の第1波の到達は地震発生から15〜20分との見方もある。

 5県の海岸近くにいた人にどんな行動をとったかを聞いたところ、「高い所へ逃げた」「海岸から逃げた」と具体的な避難行動をとっていた人は8%しかいなかった。

 揺れが収まるまでの行動を複数回答で聞いた結果、全国的には屋内、屋外にいた人とも「とりあえず様子を見た」が最も多かった。

 地震の後、家族や友人と連絡をとった手段と、とるまでにかかった時間についても尋ねた。その結果、全国平均で固定電話や携帯電話が3時間40分前後だったのに比べ、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は2時間余りと早かった。同社の担当者は「SNSを利用し、知人などの安否情報や避難所情報、交通情報を集めている例が目立った」と話している。

(rj)


(2011/03/19) 福島第一原発はレベル5 深刻度、スリーマイル並み

 原子力安全・保安院は18日、福島第一原発1〜3号機の事故について、事態の深刻さを示す国際原子力事象評価尺度(INES)の暫定評価を、米国スリーマイル島の原発事故と並ぶ「レベル5」(広範囲な影響を伴う事故)に引き上げた。施設内で放射性物質が大量に放出しており、炉心の損傷の可能性も高いため。

 日本でのこれまでの最高は、茨城県東海村のウラン燃料加工会社で起きた臨界事故の「レベル4」(局所的な影響を伴う事故)。レベル5より高い事故は、世界でも旧ソ連のチェルノブイリ原発事故の「レベル7」(深刻な事故)しかない。

(xr)


(2011/03/19) 東日本大震災の死者6548人に 「阪神・淡路大震災」超し戦後最悪

 東日本大震災は18日、発生から8日目までに警察庁が確認した死者数が6548人となり、1995年の阪神大震災の6434人を超えた。国内の自然災害の犠牲者としては戦後最悪。なおも1万8千人以上の安否が確認できておらず、犠牲者はさらに拡大する可能性がある。

 警察庁が各県警からの報告を集計した結果、18日午後5時までに死者は6548人となった。内訳は宮城県が3860人で、岩手県は2040人、福島県は592人。犠牲者が出た地域は12都道県に及んでいるが、大半は津波による被害が大きかった三陸地域沿岸に集中している。

 地震による関連死と疑われる死者も計40人となった。宮城県気仙沼市では、お年寄り10人が避難所や搬送先の医療機関で亡くなった。

 警察が届け出を受けた行方不明者は6県で1万人にのぼる。そのほかに宮城県南三陸町などで約7千人と連絡がついていない。被災地では自衛隊や消防の捜索が続いている。

 被災地では約40万人が避難生活を送る。被災地を離れる避難者のために、全国の自治体が公営住宅などでの受け入れ準備を進めている。

 一方、岩手県は陸前高田市で19日朝から仮設住宅の建設を始める。3月中に200戸の完成を目指す。

 国土交通省は仮設住宅3万戸を2カ月で供給できるよう住宅業界に要請。兵庫県や新潟県など震災の経験がある自治体も建築の専門知識を持つ職員を被災地に派遣し、支援する準備を進めている。

(ph)


(2011/03/18) 津波10m、仙台の荒浜地区に痕跡 平野で世界最大級

 東日本大震災で死者数百人が確認された仙台市若林区の荒浜地区で、津波の高さが10メートルに達していたことが17日、東北大の今村文彦教授(津波工学)の調査で分かった。平野部としては世界最大級という。宮城県が想定した高さの約3倍の津波は、防潮堤や防潮林を越え、集落を襲った。

 荒浜地区で、住民が逃げ込んだ小学校の校舎の高さ10メートル部分まで津波の痕跡があった。荒浜地区から名取市まで、ほぼ全域で高さ10メートルの津波の跡があった。平野部は津波が増幅されにくく、三陸海岸などでは増幅され、平野部の2倍を超えた可能性がある。今村さんによると、平野部の津波は2004年のインド洋大津波で観測された十数メートルが最大という。

 宮城県は、過去最大級の津波だった宮城県沖地震(連動型)を想定して、この地域は最大2〜3メートルと予測。約5メートルの防潮堤と幅50〜数百メートルの松林で備えていたが、今回の津波はその3倍だった。

 名取市の漁港では、津波では壊れないとされる鉄筋コンクリートの建物も破壊された。今村さんは「想定外の非常に強い津波が来た。防災施策に携わってきた自分としては、忸怩(じくじ)たる思いだ」と話した。

(yi)


(2011/03/18) 福島第一の電源、18日復旧か 冷却装置稼働の可能性も

 東日本大震災で壊滅的な被害を受けた東京電力福島第一原発の電源が、18日にも復旧しそうだ。電源の喪失は復旧を阻む最大の障害だった。原発を運転するには大量の水をポンプで循環させ、核燃料から出る熱を冷やす必要があるが、地震で送電が止まり、非常用電源も動かなかった。水の循環や給水が可能になれば、危機的な状況に光がさす。

 復旧に向けた作業は17日早朝に始まった。東電によると、原発の敷地内で約320人の作業員が参加した。

 福島県内に電気を供給している東北電力の送電線を補修して電気を引き込む。作業に10〜15時間ほどかかる。放水が始まった3、4号機より先に、まず2号機で始める。

 送電が再開できれば、事故時などに原子炉を冷却する緊急炉心冷却システム(ECCS)を動かすポンプを起動できる可能性もある。ECCSが動けば、原子炉の下部にある巨大プール、圧力抑制室の大量の水を原子炉格納容器や圧力容器に送り込める。

 さらに、圧力容器や使用済み核燃料のプールにも水を循環させ、核燃料からしばらく出続ける余熱を冷やす。プールの温度が上昇し、燃料が露出して破損するなどの事態の拡大を防ぐ。

 ただ、地震や津波、その後の火災や爆発の影響で、ポンプや変圧器などの設備が壊れている可能性もある。設備が壊れていれば、送電しても作動しない。正常に作動するか逐一確かめながらの作業となる。

(rq)


(2011/03/18) 自衛隊消防車両、3号機への放水終了 福島第一原発

  17日午後7時35分、自衛隊の大型消防車(AMB3ー(右写真:=防衛省統合幕僚監部提供)1台が、福島第一原発3号機に向けて放水を開始した。45分には2台目、53分に3台目が放水を始めた。午後8時に、4台目、8時7分に5台目が続き、8時9分、放水を終えた。自衛隊による17日の放水作業は、これで終えるという。

(qm)









(2011/03/18) 「4号機プールに水面」東電が画像公開 福島第一原発

東京電力は17日、16日午後4時ごろにヘリで空から撮影した福島第一原子力発電所4号機の画像を公開した。爆発で壁が吹き飛ばされた原子炉建屋の5階部分に、使用済み燃料を収めるプールの水面が見えると説明している。同社の複数の社員が水が入っているのを確認しているという。

(rj)


(2011/03/18) ヘリ放水後の放射線量、大きな変化なし 福島第一原発

 原子力安全・保安院は17日、東京電力福島第一原発について自衛隊による放水後の放射線量の変化を発表した。

 原子炉建屋から北西約500メートル付近で測定。第一原発3号機へのヘリからの放水が終わり、午後1時30分には毎時4.2ミリシーベルトあったが、午後2時には4ミリシーベルトを下回った。

 しかし、午後3時50分以降は午後8時10分まで、3.7〜3.6ミリシーベルトの範囲で安定。午後7時35分〜8時9分に自衛隊の消防車両が放水した効果はまだ確認されていない。

(mc)


(2011/03/18) 福島原発、車両からの放水届かず 警視庁、17日は中止

 東日本大震災で被害が出た福島第一原発の3号機について、警視庁機動隊の高圧放水車は17日午後、放水を実施したが、目標に届かなかった。警察関係者によると、現場は放射線量が高くて危険な状態だといい、機動隊員らは退避。

 警察庁幹部は17日、警視庁機動隊の高圧放水車による福島第一原発への放水について、同日の作業で終了し、18日以降は実施しない方針を示した。

(wg)


(2011/03/17) 警視庁の放水車で4号機の冷却検討 警察庁

 警察庁は16日、政府の指示を受け、火災を繰り返している福島第1原発4号機の使用済み核燃料貯蔵プールを冷却するため、警視庁機動隊の高圧放水車を使って放水が可能か検討を始めた。現在、周辺の放射能濃度を測定し、水が届く位置まで近づくことが可能か調べるとともに、放水車のルートの確保を進めている。

 4号機をめぐっては、15日と16日に相次いで火災が発生。建屋の屋根はおおむね残っているものの、北側と西側の側壁に大きな穴が開いた状態になっている。貯蔵プールの冷却機能が失われ、冷却水の蒸発が進んでいるとみられている。

(qz)



(2011/03/17) 陸自ヘリからの3号機消火見送り 放射線が限界値超す

 北沢俊美防衛相は16日午後、陸上自衛隊のヘリコプターで東京電力福島第一原発3号機の上空から消火活動をするよう折木良一統合幕僚長に指示した。ヘリ3機が出動し、周辺上空の放射線量を調査したが、限界値を超えたため長時間現場にとどまることが危険と判断し、消火活動を見送った。17日以降も放射線量を調査し、消火の可否を判断する方針。

 防衛省幹部によると、16日午前、菅直人首相から北沢防衛相に、自衛隊のヘリコプターによる消火活動の指示があったという。同午後4時、陸自霞目駐屯地(仙台市)からヘリ3機が離陸。1機が福島第一原発3号機の上空の放射線量を調査し、問題がなければ空中で待機していたCH47ヘリが水を投下する段取りだった。

 北沢防衛相は同日夕、首相官邸での緊急災害対策本部会議の後、「明日も挑戦する」と語った。

(fz)


(2011/03/16) 東電など作業員181人、危険覚悟で復旧作業 福島第1原発

 東日本大震災で被災し深刻な事故が相次いでいる東京電力福島第1原子力発電所。日増しに放射性物質(放射能)漏れが広がる中、被害の拡大を少しでも食い止める作業には一刻の猶予も許されない。だが、原子炉周辺では健康に大きな影響を与えるほどの放射線が検出されている。深刻な被曝が確実な長時間の作業はとても不可能。多くの作業員は危険を覚悟の上で復旧に当たっている。

 東京電力や協力会社の社員らが現在、現場で復旧作業に当たっているのは1〜3号機だ。使用済み核燃料を貯蔵するプールの水位が下がり、深刻な放射線漏れが懸念される4号機は、危険すぎて近寄れず、モニターで監視するしかない。

 1〜3号機周辺も放射線量は極めて多い。3号機西側では15日、1時間当たりの放射線量が年間被曝限度量の400倍に相当する400ミリシーベルトを計測したが、16日午前時点でもこの数値は減っていない。

 福島第1原発では震災後、800人が働いていたが、放射線漏れを受け、15日午後からは注水作業などに携わる73人を残して撤退。厚生労働省が同日、作業員の労働基準を緩和したことを受けて16日からは181人が復旧作業に就いている。

(pl)


(2011/03/16) 静岡の震度6強は誘発か 富士山噴火の懸念も

 静岡県東部で震度6強を観測Lた15日深夜の地震は、11の東日本大震災をもたらした巨大地震で誘発された可能性が大きい。震源付近では巨大地震の直後から箱根で群発地震が起きており、富士山の火山活動の活発化を懸念する声も出始めた。マグニチュード(M)9.0という巨大エネルギーの"余波"が日本列島を揺さぶっている。

 「この場所で過去に地震はあまり起きていない。想像外だ」。防災科学技術研究所・地震研究部の松村正三研究参事は15日夜、驚きの言葉を口にした。

 巨大地震の発生後、内陸で大きな地震が相次いでいる。12日の長野県北部の震度6強(M6.7)に続き、今度は伊豆地方でM6.4の地震が起きた。

 海溝型の巨大地震が発生すると、地殻にかかる力が変化し、内陸直下型の地震が起きることがある。津波で約2万2千人が死亡した明治29年の三陸沖地震(M8.2)では、約2カ月後に秋田県で陸羽地震(M7.2)が起きた。

 ただ、今回の伊豆地方の地震は、巨大地震の三陸沖から遠く離れている。プレート(岩板)構造も巨大地震が太平洋プレートの沈み込み帯だったのに対し、伊豆地方はフィリピン海プレートが陸側こ衝突する場所と、まったく違う。

 松村氏は「巨大地震は太平洋プレートの北半分が滑ったが、南半分はまだ動いていない。房総半島あたりで踏ん張っている南半分の力のしわ寄せが及んで、西隣のフィリピン海プレートを押し込んだのではないか」と話す。

 京都大学防災研究所・地震予知研究センターの遠田晋次准教授は、東日本大震災の巨大地震で地殻の断層にかかる力がどのように変化したかを計算した。その結果、東北地方の北上山地や房総半島東沖にかかる力が顕著に増加したほか、長野県の一部などでわずかに増加し、地震活動が活発化するとの結果が出た。

 東日本大震災の地震エネルギーがあまりにも巨大だったため、地震学者の多くは、日本列島は東日本を中心に地震の活動期に入ったとみる。ただ、今回の伊豆地方の地震と東海地震の関係については「震源域やメカニズムが違う」(気象庁)と否定的だ。

 巨大地震の影響は火山帯にも及んでいる。神奈川県温泉地学研究所によると、箱根火山の周辺では巨大地震の直後から群発地震が発生し、15日夕までに最大M4.8の地震を約850回観測した。火山活動に目立った変化はないものの、カルデラ内で揺れを感じることもあるという。

 名古屋大地震火山・防災研究センターの鷺谷威教授は「火山の地下はマグマや熱水で壊れやすいため、群発地震が誘発された」とした上で、「正直に言うと、気持ち悪いのは富士山との関係だ」と明かす。

 富士山の直下では約10年前、マグマ活動との関連が指摘されている低周波地震が頻発した。その後、静穏化したが、今回の伊豆地方の地震の震源の深さ約14キロは、この低周波地震の震源に近いという。

 鷺谷教授は「富士山は宝永の大噴火から約300年が経過し、いつ噴火してもおかしくない。今回の地震が引き金になる可能性もあり、推移を注意深く見ていきたい」と話している。

(rt)


(2011/03/16) 静岡東部で震度6強 中部電力浜岡原発に影響なし

 15日午後10時31分ごろ、静岡県東部を震源とする地震があり、同県富士宮市で震度6強を観測したほか、東北から中国地方にかけての広い範囲で震度4から1の揺れを観測した。気象庁によると、地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.4と推定され、震源の深さは約14キロ。津波の心配はないという

 気象庁は、東北地方太平洋沖地震との関係について「直接はないと思うが、それ以上わからない」としている。一方で、誘発されて起きた可能性を指摘する専門家もいる。

 中部電力によると、静岡県御前崎市の浜岡原発4、5号機に影響はない。3号機は定期点検で停止中。この地震の影響で、東海道新幹線が上下線で一時運転を見合わせた。東京電力によると、富士宮市を中心に約2万2千戸が停電しているという。

 気象庁は、内陸部で起きた今回の地震は、駿河湾沖で懸念されている東海地震と発生場所やメカニズムが違うことから、東海地震と結びつくものではないと判断している。静岡県内で震度6以上の揺れを観測したのは、駿河湾沖を震源とする最大震度6弱の地震があった2009年8月以来。

   各地の震度は次の通り。

 震度6強 【静岡県】富士宮市

 震度5強 【山梨県】富士河口湖町、忍野村、山中湖村

 震度5弱 【静岡県】富士市、御殿場市、小山町【山梨県】南アルプス市、富士吉田市、身延町、市川三郷町【神奈川県】小田原市、山北町

 震度4 【静岡県】静岡市、熱海市、藤枝市、伊豆の国市、沼津市、三島市、裾野市、函南町、清水町、長泉町【山梨県】甲府市、笛吹市、北杜市、甲州市、中央市、都留市、大月市、上野原市、早川町、南部町、昭和町、富士川町、西桂町【神奈川県】横浜市、川崎市、平塚市、茅ケ崎市、海老名市、綾瀬市、秦野市、厚木市、伊勢原市、南足柄市、相模原市、寒川町、二宮町、中井町、大井町、松田町、開成町、愛川町、清川村【千葉県】館山市、南房総市、鋸南町【東京都】町田市、国分寺市【長野県】諏訪市

     
 中日本高速道路によると、静岡県東部を震源とする強い地震の影響で、15日午後10時50分現在、東名高速道路の大井松田IC〜清水IC▽中央道の上野原IC〜勝沼IC、大月JCT〜河口湖IC▽東富士五湖道路の河口湖IC〜須走IC▽西富士道路の全線で通行止めとなっている。

 国土交通省東京空港事務所によると、羽田空港は通常どおり運航を続けているという。

(qm)


(2011/03/15) 首相、東電に「覚悟決めてくれ」 危機管理、後手後手

 東京電力福島第一原子力発電所で相次ぐ事故を受け、菅内閣は15日早朝、政府と東電が一体で危機対応にあたる「福島原子力発電所事故対策統合本部」(本部長=菅直人首相)を設置した。二転三転する東電の対応に危機感を抱いたためだが、地震発生から5日目、高濃度放射性物質が放出される恐れがある事態になるまで対応は後手に回り、政権の危機管理能力の欠如が露呈した。

 菅首相は15日午前5時40分、首相官邸から東京・内幸町の東電本店2階の統合本部を訪れ、「テレビで爆発が放映されているのに、官邸には1時間くらい連絡がなかった。一体どうなっているんだ」「あなたたちしかいないでしょう。撤退などありえない。覚悟を決めて下さい。撤退した時は、東電は100%つぶれます」と強調した。

 首相は官邸を出発する直前、統合本部の発足を発表。記者団に「憂慮すべき状況は続いておりますけれども、何としてもこの危機を乗り越える陣頭指揮に立って、やり抜きたい」と厳しい表情で語った。

 統合本部は海江田万里経済産業相と清水正孝東電社長を副本部長とし、海江田氏を東電本社にほぼ常駐させる。統合本部発足は、福島第一原発1〜3号機で次々と起きる事故に、官邸が不信感を募らせたことが背景にある。枝野幸男官房長官は首相が東電に向かった直後の午前5時半過ぎ、官邸で緊急に記者会見し、「時々刻々と変わる状況に対し、対応を適切に行うとともに国民にしっかりと正確かつ迅速な情報をお伝えする必要がある」と説明した。
 菅政権内では14日夜まで、事態を楽観する意見すら出ていた。玄葉光一郎国家戦略相は民主党の地震対策本部会合で経済産業省原子力安全・保安院の責任者の考えだとして、「絶対にチェルノブイリ(原発事故の二の舞い)はあり得ない、というのが彼らの見解だ」。枝野氏も同日夜の会見で「最悪の事態を想定しても、チェルノブイリと同じようにはならない」と強調していた。

 だが、その後、15日未明にかけて燃料棒全体の空だき状態が続くなどの事態を受け、首相が統合本部の設置を提案し、枝野氏らが「それがいい」と同調。これまで東電から経過報告を受ける「民間会社任せ」の姿勢を修正し、官邸が直接陣頭指揮にあたる態勢づくりにやっと着手した。

 首相が東電に入った1時間後の午前6時40分過ぎ、再び会見した枝野氏は、原子炉の圧力容器につながっていて水蒸気を水に変え、圧力容器内の圧力を下げる装置である圧力抑制室(サプレッションプール)に欠損があると説明した。

 ところが、枝野氏の会見から約1時間後、午前6時14分に2号機で爆発があったと保安院が発表。枝野氏の会見時点では爆発から30分たっていた。枝野氏から説明は一切なく、依然として官邸の事態把握と情報提供は混乱が続いている。

 そんな政府の対応に、与党・民主党内からも批判の声が強まっている。参院若手は「官邸は何か隠しているのではないか」。会見のたびに「安全だ」と繰り返す枝野氏らの発表を問題視する意見が党所属議員から党地震対策本部に相次いで寄せられているため、民主党は15日午前8時15分、官邸に文書でこう申し入れた。「最悪の事態を想定して、住民がどういう避難などをすべきか情報開示してほしい」

(fz)


(2011/03/15) 2号機、高濃度放射性物質を放出 福島第一原発

 東日本大震災で被害を受けた東京電力福島第一原子力発電所(福島県大熊町、双葉町)の2号機で14日、原子炉内の水位が低下、燃料棒全体が水から露出して空だき状態になり、炉心溶融が否定できない状態になった。いったんは回復したが再度露出し、蒸気を排出する弁も閉まって水を補給しにくくなった。格納容器内の圧力を下げ、海水を注入できるようにするため、15日午前0時過ぎ、放射性物質を高濃度に含む蒸気の外気への放出に踏み切った。

 2号機は、14日になって炉心を冷やす水を循環させる仕組みが働かなくなり、炉内の水位が低下。東電は14日午後1時25分に冷却機能がなくなったと判断し、原子力災害対策特別措置法に基づく緊急事態として国に報告した。午後4時34分から海水注入の準備に入り、午後6時22分から注入作業を開始。だが水位は下げ止まらず、長さ4メートルの燃料棒全体が少なくとも2時間20分にわたって全て露出した。ポンプの燃料が切れていたことが判明し、燃料を入れて注入作業を再開したところ、いったんは水位は上がった。

 原子炉を覆う圧力容器内の圧力は設計上の上限近くに達し、東電は圧力容器から外側の格納容器に通じる二つの弁を開放。午後8時37分から放射性物質を含む水蒸気を外部に放出する作業に入った。ところが、午後10時50分から11時にかけ、二つとも閉まってしまったという。

 閉まった弁が開けられないと、蒸気を排出できずに圧力は高まり、海水も入りにくくなる。格納容器の圧力も高まっているため、東電は格納容器から水を介さず、気体を直接放出した。この方法だと、水を通す場合に比べて途中で一部の種類の放射性物質が除去されにくくなる。

(oy)


(2011/03/15) 電力会社 原発の想定津波を再検討へ 

 東京電力の福島第一原発の大事故は、想定した2倍の10メートルの津波に襲われたことが原因と見られている。関西電力、北陸電力、四国電力などの原発が想定する津波は0.74〜9.8メートル。今後、各電力会社は想定見直しを検討するという。

 関西電力の美浜(福井県美浜町)、大飯(同県おおい町)、高浜(同県高浜町)の原発が想定する津波の高さは0.74〜1.86メートルだ。

 一方、同じ日本海に面する中国電力の島根原発(松江市)は、約3倍の5.7メートルの津波を想定。北陸電力の志賀原発(石川県志賀町)も5メートルと見込む。関電は「今後、必要に応じて基準見直しなどを検討する」としている。

 瀬戸内海にある四国電力の伊方原発(愛媛県伊方町)は4.25メートル。四電の担当者は「事故を起こした原因が津波とはっきりすれば、想定している最高水位を再検討する必要がある」と話す。

 北海道電力の泊原発(北海道泊村)では、9.8メートルの津波を想定している。九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)は、それぞれ2.1メートル、3.7メートルの津波を想定。九電は「教訓があれば反映して万全を期したい」としている。

(nw)


(2011/03/15) 福島第1原発2号機、また燃料棒が完全露出

 東京電力によると、14日午後11時20分ごろに福島第1原発2号機の水位が再び低下し、燃料が冷却水の水面から完全に露出したと発表した。

 2号機は、14日夕にも燃料棒が完全露出し、その後、水位を上げていたが、圧力容器から格納容器への弁が閉じ、海水が入りにくくなり、再び水位が低下したと見られる。

(jf)


(2011/03/14) 地殻破壊3連鎖、計6分 専門家、余震拡大に警鐘

 東北地方太平洋沖地震を起こした地震の規模は、世界的にもまれなマグニチュード(M)9.0と判明した。三つの地殻破壊が連動して起きたことで大きな地震になったとみられる。今回の地震は、余震の発生数も群を抜いており、専門家はさらなる余震の広がりを警戒している。

 「3回の巨大地震が連続して起きていた。このような複雑な壊れ方は世界的にも極めてまれだ」 気象庁で13日に開かれた記者会見で、地震予知情報課の横田崇課長はこう話した。
 気象庁は通常、地震直後に観測された地震の波形からマグニチュード(M)の暫定値を発表する。地震発生直後に発表されたMの速報値は7.9。その後、新たなデータが積み重なるたびに8.4、8.8と大きくなってきた。

 最終的にはM9.0に。米地質調査所(USGS)や気象庁のまとめでは、1952年のカムチャツカ地震などと並び世界で4番目の大きさだった。解析のもとになったのは、豪州やフィンランドなど世界各国で観測された地震波の記録。近くの地震計だと地震波が大きすぎて解析しにくいからだ。

 地震規模は、データや計算法により計算結果は異なる。USGSも、今回の地震規模をM8.9と発表したが、M9.1となる別の解析結果も発表している。エネルギーはマグニチュードが0.2大きくなると2倍、1違うと32倍になる。

 詳細に分析したところ、震源断層の破壊は、11日午後2時46分の地震発生時に続き、さらに2回の破壊があったと分かった。気象庁は当初、1回目の部分だけで規模を計算し、M8.8とした。この破壊は1分半ほど続いた。

 その1分後、やや南側の領域が壊れ始めた。この破壊も1分半ほど続いた。さらに、その南側も破壊が始まり、結局、地震発生から計6分間、三つの領域が連動して壊れ続けていた。2、3回目の破壊は、1回目の破壊と同程度の規模。このため、地震全体のエネルギーが巨大になった。

(wg)


(2011/03/13) 被曝すると健康にはどんな影響が

福島第一原発1号機からの放射性物質の放出に伴って広がる住民の被曝(ひばく)。具体的に、健康にはどんな影響が出るのだろうか。

 福島第一原子力発電所の正門付近で13日午前8時20分ごろに記録した毎時882マイクロ・シーベルトは、短時間の被曝であれば、健康に影響が出るレベルではない。

 仮に正門付近にいて、1時間放射線を浴びたとしても、東京―ニューヨーク間を航空機で4往復した際の放射線量と同じ。一般の人が日常生活で1年間に浴びる2400マイクロ・シーベルトは、正門で3時間ほど放射線を浴びる量に相当する。

 放射線による健康影響が生じるのは、放射線が遺伝子などを傷つけてしまうためだ。被曝後、数週間以内に出る急性の症状と、数か月から数年以上たってから出る症状がある。

 2〜3週間以内に出る症状は免疫力の低下や貧血、出血など。骨にある骨髄が被曝でダメージを受け、白血球や赤血球などを作る機能が損なわれるため、こうした症状が出る。免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなる。腸管や脳が障害を受けることもある。

 被曝後すぐに症状が出なくても、数か月から数年以上たってから、白血病や甲状腺がんなどを発症することもある。妊娠から間もない妊婦が放射線を多く浴びると、胎児に奇形などが生じる危険性もある。

 被曝には、体の外から被曝する「外部被曝」と、放射性物質を吸い込み、体の内側から被曝する「内部被曝」がある。内部被曝の場合、放射性物質の排出を促す薬を服用するなどの対策が必要になる。

 原発事故に備え、事前にヨウ素を服用すると、内部被曝を抑える効果が期待できる。事前に放射性のないヨウ素を取り込むと、事故で空気中に放出される放射性ヨウ素が、排尿によって体外に放出されやすくなる。

 放射線には、中性子2個と陽子2個からなる「アルファ線」、高速の電子が「ベータ線」、エネルギーが高い電磁波である「ガンマ線」など様々な種類があり、それぞれに健康影響には違いがある。

(fk)


(2011/03/13) 宮城県警本部長「県内の犠牲者、1万人は必至」と報告

 宮城県警の竹内直人本部長は13日午後3時の県災害対策本部会議で、県内の犠牲者について「1万人になることは必至だ」との見通しを報告した。同日までに379人の遺体を確認している。

(xr)


(2011/03/13) 宮城・南三陸町 80人死亡、1万500人安否不明

 宮城県南三陸町の対策本部は13日午前11時現在で、約80人の死亡を確認した。町民約1万8千人のうち、町内にある6カ所程度の避難所に7500人がいるが、半数を超える1万500人の安否確認ができていない。

 町職員約180人のうち、庁舎に隣接する防災対策庁舎にいた約30人が津波に流された模様で、行方不明になっている。宮城県警南三陸署と消防署も津波に襲われて、機能していない。今後遺体が増える可能性があり、廃校になった小学校の体育館に収容する準備を進めている。

 避難所兼災害対策本部になっている町のレジャー施設「スポーツ交流村」には1500人が避難しているが、食料やおむつ、毛布、女性用品などがまったく足らない状態。町につながる主要道路が分断されて、物資が届かないという。

(oy)


(2011/03/13) 3号機も水素爆発のおそれ 枝野長官「健康に影響ない」

 枝野幸男官房長官は13日午後、記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所3号機の原子炉建屋内に原子炉から漏れた水素がたまり、爆発するおそれがあると発表した。東電は原子炉の容器の損傷を防ぐため、1号機に続き、微量の放射性物質を含む内部の蒸気を抜き、容器内を冷やすため海水の注入を始めた。同原発周辺の放射線の観測値は午後1時52分、これまでで最高の1時間あたり1557.5マイクロシーベルトに達したという。

 枝野氏は万一、1号機のように爆発した場合でも、原子炉の格納容器には影響なく、大量の放射性物質は放出されないとみられると説明。また、放射線の観測値も「一番高い数値のところでも、1時間その場にいて、胃のX線検診3回分弱」とし、「健康に影響を及ぼす状況は生じない」と述べた。観測値は午後2時42分、184.1マイクロシーベルトに下がったという。

 東電によると、地震の影響で自動停止した3号機は、外部からの送電も非常用発電機も止まり、原子炉内を冷やせなくなり、冷却水が蒸発して水位が低下。13日午前9時過ぎ、原子炉内に外部からホウ酸水を入れて冷やす作業を始めたところ、水位は上昇した。

 だがその後、ポンプにトラブルが発生して作業が中断。別の方法に切り替えて海水の注水を始めたが、水位は下がり、ウラン燃料をおさめた燃料棒の上部が冷却水から露出した。この際、原子炉内の蒸気と反応して大量の水素が発生した可能性があるという。水素が原子炉の外に漏れて原子炉建屋内にたまれば、酸素と混じって爆発するおそれがある。

 また、爆発のあった1号機では、冷却水から露出した燃料が高温になって溶け出す「炉心溶融」が起きたとみられるが、枝野氏は3号機でも同じことが起きた可能性に言及した。

(fz)


(2011/03/13) 気象庁、M8.8から9.0に変更 東日本大震災

 気象庁は13日、東日本大震災の地震の規模を示すマグニチュード(M)を8.8から9.0に変更したことを明らかにした。

 マグニチュードが0.2大きくなると地震のエネルギーは2倍になる。今回の地震のエネルギーは、関東大震災の約45倍、阪神大震災の約1450倍になる。

 マグニチュード9.0は、1900年以降に起きた地震では、1960年のチリ地震(M9.5)、64年のアラスカ地震(M9.2)、2004年のスマトラ沖地震(M9.1)に次ぎ、1952年のカムチャツカ地震(M9.0)と並ぶ。

 気象庁は、今回の地震の規模が大きいことから、通常使っている気象庁マグニチュードではなく、米地質調査所など世界で使われているモーメントマグニチュードで計算している。阪神大震災は気象庁マグニチュードが7.3、モーメントマグニチュードは6.9になる。

(fz)


(2011/03/13) 東北太平洋沿岸の津波観測点、ほぼ壊滅 復旧めど立たず

 東北地方太平洋沖地震の影響で、東北の太平洋沿岸地域では、気象庁などが設置した11の津波観測点の大半からデータが送られてこないトラブルに陥っている。大津波や地震動による回線の切断が原因とみられる。復旧のめどは立っていないが、気象庁は12日夜、目視での調査などで3メートルを超える津波は発生しないと判断し、大津波警報を津波警報に切り替えた。

 大津波警報(高さ3メートル以上)が出ていたのは、青森、岩手、宮城、福島県の4地域。気象庁などは、この4地域の太平洋沿岸に巨大津波観測計を1カ所、検潮所を10カ所に設置して津波などを観測。通信装置と回線でリアルタイムに気象庁に、波の高さなどの情報を送っていた。

 震災は11日午後2時46分に発生。巨大津波観測計がある福島県相馬市では、同3時50分に高さ7.3メートル以上の津波を観測し、その情報が送信された直後にデータが途絶えた。10カ所の検潮所のうち9カ所は津波の第1波、2波を観測したあとに通信が途絶え、一部は地震の直後から通信できなくなった。これまで台風被害はあったが、地震や津波での被害はなかったという。

 気象庁は、現場を見た海上保安庁職員から、潮位変化が数十センチ程度に収まっているとの情報を得て、データがある周辺の観測点の情報も加味して、津波警報に切り替えた。

 これで大津波警報が出ている地域はなくなり、津波警報が東北4地域、津波注意報が北海道から鹿児島県にかけての太平洋側21地域となった。

(nw)


(2011/03/13) 輪番停電14日から実施 原発被災、電力不足長期化か

 福島第一・第二原子力発電所の大規模被災などを受け、東京電力は週明け14日から、地域単位で順番に時間を決めて電力供給をとめる「輪番停電」を実施する方針だ。戦後の混乱期以来の措置となる。同原発は首都圏の電力需要を支える重要な発電所だが、復旧どころの状態ではなく、大幅な供給不足が見込まれるためだ。長期化すれば、日本経済にも大きなダメージになりかねない。

 電気はダムのようにためられない。発電分を同時に消費する必要がある。需要と供給のバランスが崩れると周波数が不安定となり、そのままでは供給地域の関東全体の大規模停電につながりかねない。電力会社は常に需要予測より1割ほど多めの供給能力を確保し、消費に合わせて微調整しながら発送電している。

 今回、東電では太平洋岸の火力発電所なども停止しており、一気に供給能力が落ちた。春ならピーク時に5千万キロワット超を確保するが、平日で企業の活動が活発になる14日の供給能力は3100万キロワットにとどまるという。

 一方、東電の14日の需要予測は4100万キロワット。1千万キロワットの差は333万の一般世帯分にあたる。12日に記者会見した藤本孝副社長は「14日は、申し訳ないが(輪番停電を)やることになると思う」と述べた。

 輪番停電とは、日替わりのように場所を変えながら計画的な小規模停電を続けていく方法だ。東電は、500万キロワットを一つの地域単位として停電させる考え。3月の場合は、照明や炊事の需要が高まる午後6〜7時がピークになるため、その時間帯を含めた3時間について、事前通告をした上で送電をとめる手法を検討している。

 13日も実施の可能性があったが、別の技術的な対応にめどが立ち、何とか回避した。

 ただ東電の発電能力がすぐに高まる見込みはない。火力発電所などが徐々に復旧すれば、ある程度の供給はまかなえるが、福島第一・第二原発は再開を見込めそうにない。

 電力需要が最も高まるのは夏。東電では過去、1日の需要が6千万キロワットを超えた年もある。輪番停電が長期化、大規模化すれば、製造業など企業の経済活動にもマイナス材料になってくる。

(xr)


(2011/03/12) 長野北部の地震、太平洋沖地震が誘発か

 新潟県中越地方を震源として12日未明に起こった震度6強の強い地震について、気象庁は12日早朝、記者会見で、この地震が11日の東北地方太平洋沖の地震により誘発された可能性を示した。巨大地震によって、地殻にかかる力が変化した影響で、東北地方では今後も同様の地震の誘発がある恐れがあるという。

 長野県北部で震度6強を記録した今回の地震はマグニチュード(M)6.7で、2004年の新潟県中越地震や2007年の新潟県中越沖地震とほぼ同じ規模。今回の震源は十日町断層帯の南西端で、中越、中越沖地震の震源にも近く、周辺は活断層が多く地震の起こりやすい地域だ。

 12日午前5時から記者会見した気象庁地震津波監視課の横山博文課長は「太平洋の地震と発生メカニズムも違い、基本的には別の地震」とした上で、太平洋沖の地震が長野の地震の発生に「効いた可能性がある」との見解を示した。

 太平洋沖の地震は「非常に大きい地震で、これまで(長野の地震を引き起こした断層周辺の)地殻にかかっていた力が相当変化した可能性がある」と説明。地殻にかかる力は毎日、潮の満ち引きによっても強弱が変わるが、「太平洋沖地震による力の変化が潮の満ち引きによる変化を超えていれば、断層による地震が起こりやすくなる可能性はある」と横山課長は説明した。

 今後、詳細な検討が必要だが、横山課長は「太平洋沖地震の震源に近い東北地方では地殻にかかる力が変化し、ほかの地震を誘発する可能性は否定できない」と警告する。

(mc)


(2011/03/12) 東電が電力不足 管内で停電の可能性 発電所停止相次ぐ

 東京電力は、東北地方太平洋沖地震で原子力発電所の停止が相次いでいるため、12日夕刻に、電力供給が需要に追いつかなくなる、との見通しを発表した。節電を呼びかけるなどの対策をとるが、東電管内の一部地域が停電になる可能性がある。

 東電管内の12日の、電灯・暖房需要が増える午後6時から午後7時の予想需要は3800万キロワット。これに対し、同時刻に供給できる電力は3500万キロワットで、300万キロワット足りなくなるという。

 電力会社は、供給力が足りなくなると、ほかの電力会社から電力を買ってきて、賄う。

 しかし、東電が供給する周波数50ヘルツの電力を発電しているのは、東電からみて地震災害地方面の北海道電力と東北電力だけなので、融通は期待できない。

 今回、東京電力は周波数60ヘルツの中部電力から計100万キロワットを融通してもらう。ただ、静岡県などにある周波数変換施設で60ヘルツから50ヘルツに変換しなければならない。同施設の変換能力の小ささから、融通量は限られる。

MAT: このようなことから今後は家電製品の周波数調整も必要ではあるが全国で周波数の統一も考えなければならないだろう。

(wg)


(2011/03/05) 「三連動地震」超高層ビルの揺れ最大10分

 日本建築学会(東京)は4日、東海・東南海・南海の三つの地震が同時に起こる「三連動地震」に伴って発生する「長周期地震動」により、東京、名古屋、大阪の三大都市圏にある超高層ビル(60メートル以上)で、振れ幅2〜4メートルの揺れが最大で10分程度続くとする調査結果をまとめた。


 同学会は「かつて誰も経験したことのない揺れ」としている。ビルが倒壊する危険性はほとんどないが、一部では傾きが生じたり、はりと柱の接合部が破断するなど、構造面での重大な損壊が予想されるという。

 長周期地震動は、ニュージーランドの大地震や阪神大震災などの直下型地震による短時間の激しい揺れとは違い、ゆっくりとした長い揺れが特徴。特に、高層ビルや石油コンビナートなど巨大な建築物では、共振で揺れが増幅する可能性があり、大きな被害をもたらすことがある。

(fk)








(2011/01/29) 江戸時代、神戸で地震 居留地遺跡地層に津波の跡

 神戸市教委は27日、同市中央区江戸町、「旧神戸外国人居留地遺跡」の地層から、江戸時代の南海地震による津波の痕跡を確認した、と発表した。同時代の地層に、海から押し寄せたとみられる砂が堆積していた。過去の南海地震では西日本各地に津波の被害が報告されているが、神戸で津波の痕跡が見つかったのは初めて。

 市教委によると、同遺跡では明治時代の建物跡などが発掘されている。2009〜10年の調査で掘った長さ約15メートルの地層断面を、増田富士雄・同志社大教授(堆積学)が分析した。

 津波の痕跡が見つかったのは、明治時代に整地された地層(地下約1.5メートル)のすぐ下にある江戸時代の地層。約30センチにわたり、泥をふくまないきれいな砂が積もっていた。砂は波によって押し寄せたり、ひいたりする津波特有の配列で積み重なっていたという。その下は川の氾濫によるとみられる泥のまじった砂が堆積していた。

 堆積物があったのは標高1.7〜2メートルだったため、津波の高さは2.5メートル前後と推定。この地点で波が7、8往復したことが分かったという。

 江戸時代には、1605年(慶長)、1707年(宝永)、1854年(安政)の3度、南海地震が起きたが、地層の位置から安政、宝永いずれかの地震によるものとみられる。

 江戸時代の文献によると、大阪では宝永、安政ともに地震による大きな被害があったことが分かっており、宝永では「溺死者1万人」との記録もあるという。しかし、神戸での津波記録はこれまでなかった。

 市教委文化財課の千種浩学芸員は「同時代の南海地震で、これだけ広範囲に堆積物が見つかった例はなく、今後の地震対策にもいかせるのではないか」と話している。


【南海地震】
 東海沖から四国沖の南海トラフ(海溝)沿いで、100〜150年周期で発生するプレート型の巨大地震。東海・東南海地震と同時発生した1707年の宝永地震はマグニチュード(M)8.6で国内最大級とされる。直近は1946年の昭和地震。今後30年以内の発生確率は60%で、淡路島南部で最大5メートル以上、神戸市でも同2.5メートルの津波が予測されている。なお、発生確率60%というのはいつ発生しても不思議ではないという確率。既に1854年の安政地震から150年以上過ぎているので極めて注意が必要だ。



(2011/01/27) 長周期地震の揺れ対策 超高層ビル義務化 国交省方針

 震源から離れた地域で振幅の大きい揺れが長く続き、高層建築物での被害が懸念される「長周期地震動」の対策として、国土交通省は、60メートルを超すおおむね20階建て以上の超高層ビルやマンションを東京、大阪、名古屋の三大都市圏などで新たに建てる場合、長周期の揺れを考慮した設計を義務付ける方針を固めた。既存の超高層建築物についても安全性に関する任意検査を要請、必要な補強工事を求める。

 長周期地震動は、揺れの1往復する周期が数秒以上と長いのが特徴。震源から数百キロの遠隔地でも、超高層ビルの場合は揺れやすい周期と一致し共振しやすく、事務ロッカーが転倒したり、重量のあるコピ一機が大きく動いたりして深刻な被害につながる恐れがある。

 新たな対策では、発生確率が高い東海、東南海、宮城県沖の3地震のうち、地域で最も懸念される地震について、長周期の揺れを想定した構造計算をしなければ建設を認めない。事務機器や家具を固定するため、壁などを強化することも義務付ける。

 三大都市圏には、全国で約2500棟ある超高層ビルの大半が集中。平野部で地質的に長周期地震動の影響を特に受けやすいことも考慮し、対策を義務化した。

 既存の超高層ビルは、長周期地震動に耐えられるかどうかを任意で調べる。点検対象は構造上、長周期地震動の影響を受けやすいと認められるビルに限定するため、全体の数%にとどまる見通し。

 点検で安全基準に満たない場合は、はりや柱に揺れを吸収する制震装置を設置するといった補強工事を促す。

 国交省は、新対策に対する意見募集を2月末まで行い、結果を踏まえて義務化の詳細や時期を決める。


【長周期地震動】
 揺れの周期がゆっくり長続きする地震動で、震源から遠く離れても地震波が弱まりにくい。堆積層の厚い平野部では揺れが増幅しやすくなる傾向がある。平成15年の十勝沖地震では、震源から約250キロ離れた北海道苫小牧市の石油タンクが大きく揺れて火災が発生。平成16年の新潟県中越地震や20年の岩手・宮城内陸地震では、東京の六本木ヒルズでエレベーターが長周期の揺れを検知し停止した。

(rt)


(2011/01/09) 兵庫県耐震化計画 目標達成厳しく

 兵庫県はこのほど、住宅や大型建築物の耐震化促進を目的とした「県耐震改修促進計画」(2006〜2015年)の達成状況を発表した。住宅と、大型建築物の「多数利用建築物」で設けた耐震化率の目標達成が、現状ではかなり厳しい状況が明らかになった。阪神・淡路大震災(1995年)の教訓を踏まえて策定された計画だが、長引く不況や古い建物の多さが、県内の耐震化を鈍らせている背景がある。

 計画では、@住宅の耐震化率を2003年の77.9%から2015年に97% A3階建て以上の学校や病院、デパートなどで1000平方メートル以上の建物「多数利用建築物」の耐震化率を2006年の70.4%から2015年に92%まで引き上げることを目標とした。耐震改修促進法に基づく計画で他の都道府県も目標を立てているが、阪神・淡路大震災の経験を生かすため、全国で一番高い水準とした。

 その結果、住宅の耐震化率は2008年で82.4%と、神奈川県に次いで全国2番目の高水準に達した。とはいえ、このまま推移すれば2015年には88.7%となり、目標まで約10ポイント屈かない。一方、多数利用建築物も2010年で77.8%と全国平均を下回る水準で、2015年には目標より5ポイント低い87%程度となる計算だ。

 県建築指導課によると、耐震化率を押し上げる建物の建て替えが長引く不況の影響で低迷しているほか、耐震基準が厳しくなった改正建築基準法が施行された1981年以前の建物が学校などに多く、耐震化率の伸び悩みにつながっているという。県は、住宅の改修計画や耐震化工事の費用を一部補助する「わが家の耐震改修促進事業」(2010年度予算で約3億8000万円)などを活用し、耐震化を促進する方針だ。

 井戸敏三知事は「目標達成を目指して、事業を着実に進めていきたい」と話している。

(kj)