地震予知と対策
(2010年)

 



(2010/12/02) 巨大地震に備えて 名古屋大学に減災研究拠点

 東海、東南海、南海の3つの大地震が連動して発生する事態などに備えるため、名古屋大は1日「減災連携研究センター」を新設した。東海地方の産官学や市民にも参加してもらい、被災を最小限こ抑える方策を検討していく。開所式で藤井良一センター長は「地域防災のモデルを構築し被害低減に役立てたい」と語った。

 センターは地震発生のメカニズムや耐震構造、災害医療の専門家ら約30人で発足。当初は名大の研究者だけでスタートするが、平成24年4月には自治体、電力やガスなどの企業、防災に取り組む市民団体などの協力を得て本格始動する。複合的な災害発生の予測や被災リスクを研究し、災害に強い建物や社会の形成に向けて情報発信していく。

 政府の中央防災会議は3地震が連動発生した際の被害について、死者2万5千人、建物全壊55万棟と想定している。

(jf)


(2010/10/14) 揺れは小さいが津波を起こす 「超長周期地震」解明を

 地震の揺れが小さくてもエネルギーが大きく、大津波を引き起こす「超長周期地震」(津波地震)をキャッチするため、気象庁は全国に「超長周期地震計」を設置する構想を進めている。

 死者約2万2千人が出た1896年の明治三陸地震(マグニチュード8.2)津波は超長周期地震が原因の可能性があるという。同庁は「超長周期の地震波解析の技術も整ってきており、津波予報の精度を高めたい」としている。

 超長周期地震は、ゆっくりとした断層運動で発生。明治三陸地震では、北海道や東北で観測された最大震度は2〜3程度(気象庁の前身・中央気象台資料)だったが、大津波が襲来。岩手県では高さ約38.2メートルの観測史上最大の津波があったとされる。

 .気象庁によると、現在の地震計は周期が数秒程度以下の地震波しか測れず、周期が非常に長い地震が起きても津波予想が過小になる恐れがある。超長周期地震計だと5〜6分程度の周期の地震波まで計測可能という。同庁は、日本近海で発生した超長周期地震の規模やメカニズムを正確に把握するため、全国10カ所への地震計設置費など約2億9千万円を来年度予算概算要求に盛り込んだ。

(br)


(2010/09/13) 大地震時の被害防げ 老朽住宅撤去に補助 国交省
 
 大規模地震による住宅の倒壊や火災の延焼を防ぐため国土交通省は5日までに、密集市街地にある老朽住宅の撤去に1軒当たり30万円を定額補助する制度を来年度から導入する方針を決めた。これまで耐震改修や建て替えへの補助制度はあったが、撤去は対象外だった。撤去後は空きスペースなどにし、市街地の安全性を高めたい考えだ。

 国交省は、地震時に火災が広がる恐れの特に強い「重点密集市街地」として35都道府県の400地区(約8千ヘクタール)を指定している。補助制度を活用してもらい、こうした地区を中心に老朽住宅の撤去を進める。兵庫県では神戸市6地区(204ヘクタール)、尼崎市4地区(85ヘクタール)、明石市1地区(6ヘクタール)が指定されている。

 撤去への補助は地方自治体に独自の補助制度があることが要件。一般的な老朽住宅の撤去は300万円程度掛かるとされ、自治体の補助に国の定額補助を上乗せし、住宅所有者の負担軽減を図る。自治体側に補助制度導入を促す狙いもある。

 国交省は来年度、住宅の耐震改修を促進するため現行の補助に上乗せする形で1軒当たり30万円の定額補助制度を創設する方針を決めており、老朽住宅の撤去にも同額を補助することにした。財源は来年度予算の概算要求に盛り込んだ「社会資本整備総合交付金」(2兆2千億円)を充てる。

 同省は重点密集市街地の指定地区について、老朽住宅の撤去により空きスペースを設けたり耐火性の高い建物を増やしたりすることで、2011年度までに全地区で安全性を確保する目標を掲げている。

(kj)


(2010/08/28) 耐震対策は大丈夫? 神戸市で耐震基準未満の住宅約10万戸

 耐震基準を満たしていないおそれのある住宅が、神戸市内にまだ10万戸近く残っている。15年前の阪神・淡路大震災では、住宅や家具が倒れたことによる死者が多数を占めたとされる。少しでも耐震化や家具の固定を進めてもらおうと、神戸市は9〜11月にかけて、ちょっぴりお得な催しを企画している。9月1日は「防災の日」――。

 神戸市都市計画総局が2003年の総務省の住宅・土地統計調査に基づき推計したところ、市内に約61万9300戸ある全住宅のうち約9万6800戸は、旧耐震基準が適用されていた1980年より前に建てられているため、耐震性が不足しているとみられる。そのうち市営住宅について市が09年に独自に調査したところ、約5万4700戸のうち約1万3200戸が耐震化されていないという。

 一方で、兵庫県が1999年3月に実施した地震被害想定調査によると、市内に今後影響を及ぼす可能性のある四つの地震のうち、「有馬高槻構造線〜六甲断層帯地震(マグニチュード7.7)」は直下型地震で長い揺れが続き、約6万戸が全壊、約3万8千戸が半壊し、死者数は6千人を超えると想定されている。

 対策として市は2008年2月に「市耐震改修促進計画」を策定。民間住宅で84%、市営住宅で75%の耐震化率を、2015年度末にそれぞれ95%と92%に引き上げる目標を掲げている。

 一連の催しのオープニングイベントは9月1日午後6時半から、ホームズスタジアム神戸(同市兵庫区御崎町1丁目)で。落語家の桂三枝さんと矢田立郎市長が阪神・淡路大震災の教訓や地震への備えをテーマに対談するほか、漫才や抽選会もある。無料で申し込みは不要。

 家具固定無料キャンペーンもある。専門家が家具二つまで無料で、三つ目からは実費で固定してくれる。先着100件。市すまいの安心支援センター(TEL 078ー222ー0186)で9月9日から申し込みを受け付ける。

 9月25日と10月30日のいずれも午前11時半〜正午、家具量販店「IKEA(イケア)神戸」(同市中央区港島中町8丁目)で、家具の固定の仕方を実演を交えながら紹介する無料セミナーも開かれる。

 ほかにも、耐震改修やリフォームに関する相談会(9月25日午前10時〜午後4時、同市兵庫区の湊川公園、10月16日午前10時〜午後4時、同市灘区の六甲道南公園)や、「予想される巨大地震に備えて〜木造住宅の耐震化の勧め〜」と題した市民フォーラム(9月11日午後1時半〜同3時半、同市垂水区の垂水勤労市民センター、10月25日午後1時半〜3時半、同市須磨区の須磨パティオホール)など、15以上の催しが企画されている。家具固定無料キャンペーンは神戸市民が対象だが、それ以外はだれでも参加可。

 詳しい問い合わせは、神戸市耐震化促進室(TEL 078ー322ー6608)へ。

(br)


(2010/05/23) 神戸市など震度7予測 兵庫県発表

 兵庫県は20日、大規模地震が起きた時の県内の震度予測を発表した。南海地震などの海溝型と断層による内陸型の計24地震で予測。41市町のうち29市町が震度6強以上の揺れに襲われる恐れがあるという。

 海溝型3地震、内陸型21地震(県内8、県外13)を想定した。30年以内の発生確率が60%とされる東南海、南海地震が連動した場合、全41市町にまたがる県域の35%で震度5強を上回り、淡路島3市と神戸、明石、高砂、姫路、たつの、赤穂の6市では震度6強と予測した。

 内陸型では、三木市から宍粟市の山崎断層帯による地震で38市町が震度5強以上、神戸、明石、加古川、高砂、稲美、播磨、姫路、たつの、太子、三木、小野、加西、加東の13市町では震度7と予測。六甲山系から淡路島にかけての六甲・淡路島断層帯のうち、阪神大震災で動かなかった部分が動いた場合は、26市町で震度5強以上、神戸、尼崎、西宮、芦屋、伊丹、宝塚、川西、明石、加古川、稲美、播磨、淡路の12市町で震度7と予測した。

 大阪府内にある上町断層帯による地震では、県内でも17市町で震度5強以上、尼崎、西宮、伊丹、川西の4市で震度7と予測した。

(dr)


(2010/04/23) 東海・東南海・南海地震が同時発生の場合、県別被害想定

 政府の中央防災会議(会長・鳩山由紀夫首相)は21日、将来の発生が予測されている東海・東南海・南海の各地震がほぼ同時に起こり、駿河湾沖から四国沖を震源とするマグニチユード8.7の超巨大地震になった場合に想定される被害の、都道府県別内訳を公表した。

 千葉県から宮崎県の太平洋沿岸の広い地域に、揺れや津波による被害が及び、最も深刻な静岡では、最大で死者が約8100人、家屋の全壊が約23万棟に達する。

 全国の死者や全壊家屋の総数の推定はすでに公表済みだが、県別の内訳の公表は初めて。内訳をみると、全国の死者は、神奈川から宮崎の21府県で、最大で約2万5千人。県別では、静岡以下、高知約4900人、和歌山約4600人、三重約2600人などとなっている。

 また、家屋の全壊は、地震発生が午前5時の場合、千葉から宮崎の27都府県で、最大約55万棟。静岡以下、愛知約9万1千棟、高知約5万5千棟、三重約5万1千棟など。

 政府は、今年9月1日の総合防災訓練で、初めて3地震が連動した場合の訓練を実施する。県別データで死者想定が1千人を超す静岡など6県に、合同訓練への参加などの協力を求めていく方針。

(pl)












(2010/01/14) 国整備の首都圏防災拠点、孤立化の恐れ

 首都圏の震災に備えて国が東京湾岸に整備した「東扇島地区基幹的広域防災拠点」(川崎
市、約15.8へクタール)が、非常時に利用できない恐れのあることが早稲田大の浜田政則教授(地震工学)の調査で分かった。周囲には防災対策が不十分な古い埋め立て地が多く、そこが被災して備蓄中の石油がもれるなどすれぱ救援物資を載せた輸送船が近づけないという。

 拠点は国が約70億円かけて整備し、2008年4月に完成した。災害時には、国内外から船で運ばれる物資を荷揚げして被災地や避難所に運ぶ輸送中継基地として機能する。

 浜田教授は、国の中央防災会議が被害予測に使った「川崎市直下の深さ約30キロ付近でマグニチ一ユード(M)6.9の地震が発生」を想定し、防災拠点一帯の地盤変化を分析した。その結果、防災拠点以外の埋め立て地で護岸が最大7メートル海側こ動き、大型の危険物タンクが被災する可能性の高いことが分かった。

 1995年の阪神・淡路大震災では、神戸市の埋め立て地で護岸が約4メートル動き、液化天然ガス(LNG〉タンクの配管からLNGが大量にもれた。東京湾は江戸時代から埋め立てが始まり、防災拠点周辺の埋め立て地は新潟地震(1964年)以前に完成したものが多い。1964年以前は液状化対策がなされていないため、地震に特に弱い。

(rq)


(2010/01/05) 兵庫県が「未知の断層」で被害算定 震災15年で全国に先駆け

 未確認の断層を震源にした地震が相次いていることから兵庫県は来年度、存在が知られていない断層による直下型地震を想定した被害の算定に取り組むことを決めた。県内全域を250メートル四方13万地区に分割し、それぞれの地区に断層があると仮定して被害を算出、自治体ごとに最大の被害想定をまとめるという膨大な作業となる。専門家によると「未知の断層」を想定した全県レベルの調査は前例がないという。阪神・淡路大震災15年を迎える被災自治体である兵庫県が、全国に先駆けた危機管理に臨む。

 2007年3月の能登半島沖地震や2008年6月の岩手・宮城内陸地震などに見られるように、近年、未知の断層による地震で大きな被害が相次いでいる。兵庫県は、10年ぶりに進めている地震被書想定の見直し作業の中で、「未知の断層想定の地震」を取り入れることを決め、来年度に実施することになった。

 県防災計画室によると、各地区の地下4キロの深さから、地面に対して垂直に長さ17キロ、幅11キロにある断層が動いて地震が発生したと想定。場所によっては住宅密集地であったり工業地帯であるなど条件は異なるが、地域の特性を加えて分析し、13万通りの被害を算出する。過去のデータから地表に表れていない断層が動いた場合、マグニチュードは6台とされていることから、想定のマグニチュードを最大の6.9とする。

 死者や負傷者、倒壊家屋などは自治体ごとにそれぞれ最大の数値を採用し、想定被害としてまとめる。帰宅困難者数や水道などのライフライン被害範囲、復旧にかかる日数なども盛り込む予定で、県は来年度中に調査結果を公表したい意向。

 県が1999年にまとめた地震被害想定調査報告書では、五つの地震を想定。「有馬ー高槻断層帯」と「六甲・淡路島断層帯」が同時に動いた場合、最大で1万2073人の死者が出るとした。県防災計画室は「膨大な作業だが、理論的に考えられる最大の被害データを示し、県内自治体の適切な防災対策につなげたい」と説明している。

入倉孝次郎・京都大名誉教授(強震動地震学)の話
 県内全域で直下型地震を想定して被害を算出する方法は防災上、大きな意味がある。非常に細かい範囲で被害を想定したり、最悪の場合を考えて自治体の防災対策に生かすなど一歩進んでおり、震災を経験した自治体の取り組みとして評価できる。

(uh)