8.被災者公的支援法関連その後の動き

(2009〜2011年)

  



(2010/01/07) 償還期限を3年延長 阪神・淡路大震災の援護資金 
 
 阪神・淡路大震災の被災者支援として国と自治体が貸し付けた「災害援護資金」について、厚生労働省は6日までに、自治体から国への償還期限を3年間、再延長する方針を兵庫県などに通知した。借受人の生活苦などで滞納が目立ち、同資金の未返済額は2010年9月末現在、約202億円に上ることから、県などが2006年に次ぐ2度目の期限延長を求めていた。

 災害援護資金は震災後の1995年以降、兵庫県内で約5万6400件、計約1309億円が数回に分けて貸し付けられた。当初、国への償還は2006年5月から始まる予定だったが、被災地の要望などを受け、国は同年1月、償還期限を5年間延長していた。

 しかし、2010年9月末現在、返済されたのは約1068億円で、貸付総額の約81・6%。既に全額返済を終えたのは約4万1千件で総件数の約72・7%にとどまっている。

 未返済は、神戸市と10市分の約202億円に上り、うち約163億円は被災者の生活実態によって、月1千円からの返済を認めている「少額償還」。借受人が死亡し、保証人に接触できないなどの「徴収困難」や「徴収不可能」を合わせた計約39億円は回収の見込みが立たず、最終的に焦げ付く恐れがある。

 また、返済が免除となったのは1946件で約39億円。自治体から国への償還も免除となるが、要件は借受人が死亡、または重度障害で保証人が死亡するか破産するかしたケースなどに限られている。

 今回の措置で国への償還期限は2014年5月以降に延長された。一方で免除要件の緩和は認められず、県などは借受人が破産した場合などでも免除できるよう、引き続き国に求めていく。

(yi)


(2009/01/24) 阪神・淡路大震災14年 「復興基金」再継続

阪神・淡路大震災の被災者の生活再建などを支援する財団法人「阪神・淡路大震災復興基金」の事業について、兵庫県や神戸市は、平成21年度末で新規受け付けを終了するとしていた方針を転換し、22年度以降も事業を継続することを決めた。復興住宅に住む高齢者の見守りなど従来の事業のほか、住宅の耐震化促進などにも新たに取り組んでいく。6,434人の犠牲者を出した阪神・淡路大震災から今月17日でまる14年。年々高齢化していく被災者支援のあり方が大きな課題となっている。

 復興基金は、震災3カ月後の平成7年4月に設立された。8,800億円を兵庫県と神戸市が無利子で貸し付け、その運用益で113事業を実施。当初は設立後10年で事業を終える予定だったが、高齢者の自立支援などに対応するため、21年度末まで22事業を継続することにしていた。

 しかし、運営資金の残高が約90億円あることや、まだ支援が必要な被災者も少なくないことから、兵庫県と神戸市は震災14年を前に事業継続を決定。高齢者の見守り、住宅耐震化の推進などに活用する方針を打ち出した。このため、基金と同時に設置期限を迎える予定だった県の復興担当専門部署「復興支援課」も継続し、基金を活用した事業の企画・立案に当たる。

 県によると、県営・市営の復興住宅で暮らすのは3万3514世帯、4万377人(平成20年11月現在)。うち65歳以上は1万9311人(47.8%)とほぼ半数を占め、一般県営住宅の高齢化率22.8%を大きく上回る。また、復興住宅での独居死は昨年1年間で46人にのぼり、60歳以上が8割を超えている。

 一方、住宅の耐震化についても、県内の約205万戸の耐震化率は平成15年時点で約78%だったのを、27年度までに98%に引き上げることを目標としているが、「なかなか進んでいないのが現状」(県の担当者)という。このため、基金の新規事業として耐震化促進にも積極的に取り組んでいくことにした。

 基金の理事長を務める兵庫県の井戸敏三知事は、高齢被災者の自立支援などは、ほかの有効な手段が今は見当たらない状況」としており、今後、ほかにも継続が必要な事業を検討する方針。

 震災から14年を迎えた被災地は、人口や経済規模などは震災前の水準に戻っているが、広がる地域間格差や被災者らの高齢化、進まない住宅や学校の耐震化など取り組むべき課題もまだまだ山積している。

(jf)


(2009/01/17) 震災被災者への災害援護資金、阪神6市で78億円滞納 

 阪神・淡路大震災の被災者に国と自治体が貸し付けた「災害援護資金」の滞納が、阪神地域の6市で約78億7千万円(昨年9月末時点)に上ることが分かった。5年間延長された返済期限が2011年度に迫るが、完済のめどは立たず、焦げ付き分は各市が肩代わりを求められる可能性がある。担当者は「市の負担は減らしたいが、生活が苦しい人から無理に回収できない」とジレンマを抱える。

 西宮市内で年金生活をしていた夫婦は自宅が全壊。再建費の一部に充てるため350万円を借りた。だが、病院通いのタクシー代や医療費が増えた上、頼りにしていた息子に先立たれ、返済が滞った。今では80歳を超え、月に1万円の返済がやっとだ。

 自営業の男性は、事業再開のため350万円を借りたが会社が倒産し、行方不明に。保証人になった知人の60代の女性がパート収入から月1万円の返済を続ける。市の徴収業務担当者は「ぎりぎりの家計の中で必死に返済している人がほとんど」と話す。

 阪神地域6市の返済状況は右の表の通り。

 未返済額が最も多いのは西宮市の約43億円。このうち、自己破産して保証人も死亡するなど「徴収不可能」となったのが2億7千万円(153人)、震災後に生活保護の受給者になるなど「徴収困難」になったのは5億1700万円(287人)。約35億円分は、月千円〜1万円程度の小額返済が続く。

 各市は「回収チーム」をつくるなどして各戸を訪問。昨年3月末からの6カ月間で計約3億円を回収した。一方、西宮市では、支払い能力があるのに応じない10人に法的措置を取った。

 同市福祉総務課の広田克也課長は「もともと経済的に苦しい被災者への融資制度。時間とともに高齢化が進み、返済できない人が増えるのは制度の宿命。滞納分を自治体に肩代わりさせるのはおかしい」と訴える。被災各市は県とも連携し、免除要件の拡大などを国に求めていく方針。


 災害援護資金 
 災害弔慰金法に基づき、上限350万円を全半壊世帯に貸し付ける。3年据え置きで10年以内の返済が原則だが、阪神・淡路大震災では5年据え置きが認められ、返済期限も5年延長された。

(dr)


(2009/01/12) 被災者支援の市民立法訴え 芦屋でシンポジューム

 作家の故小田実さんにゆかりのある人たちが呼びかけ、自然災害の被災者支援のあり方を考える集会「今こそ新しい『市民立法』を!」が10日、芦屋市船戸町の山村サロンで開かれた。市民ら約20人が参加した。

 「市民=議員立法実現推進本部」などの主催。阪神・淡路大震災で被災した小田さんは、公的支援を求めて『人間の国」を提唱した。小田さんとともに運動こ携わった神戸大名誉教授の早川和男さんは、震災復興住宅で孤独死や自殺が続いている現状を指摘。「住み慣れた場所を離れての生活再建はない。災害に耐えうる安全な住宅に住める政策が必要」とし、居住の安全を保障する「居住法」の整備を訴えた。

 「公的援助法」実現ネットワーク被災者支援センター代表の中島絢子さんは「国内の被災地は、今でも義援金頼み。公的支援があってこそ、被災者は自助努力で生活再建できる。どんな支援が必要か市民主体で提案を」と提起した。

 参加者からも「派遣切りへの対応でもボランティアが動かないと国は動かない。まず国が動くべきだ」などの意見が出た。

(ek)

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