8.被災者公的支援法関連その後の動き

(2008年)

  



(2008/05/26) 被災者生活再建支援法 「次に備え、改善を」 神戸でシンポ

自然災害の被災者に支援金を支給する被災者生活再建支援法の「成立10年を考える会」が24日、神戸市内であった。被災者の運動によって成立、改正されてきた同法だが、課題も多く、引き続き改善を求めていくことを確認した。「公的援助法」実現ネットワーク被災者支援センター(中島絢子代表)の主催。

 被災者生活再建支援法は昨年の改正で、支援金を住宅再建や補修にも使えるようになり、年齢・年収要件も撤廃されたが、中島代表は、法改正後も、半壊世帯が対象外、災害の全体規模が小さいと適用されない、37カ月の申請期間は短い、などの問題を指摘。「次の災害に備え、できるだけ早く改善しないといけない」と述べた。

 参加者らは「最初は夢物語だった。声を上げることで国は動く」「よりよい仕組みづくりにつなげたい」どなどと話していた。

(tn)


(2008/05/18) 被災者支援法改正 支給格差に不満 半壊はゼロ

 「全壊・大規模半壊」は最高300万円を支給するが、「半壊・一部損壊」はゼロ。住居以外は対象外。今月15日で成立から10年になった被災者生活再建支援法は、昨秋の改正で住宅本体への公的支援が実現した。しかし、わずかな被害の違いで支援に大きな差が出るなど法の課題が表面化し始めている。昨年、大地震に見舞われ、改正法が遡及適用された石川県輪島市と新潟県柏崎市では、被災者から「格差」に対する不満の声が上がっている。

 新潟県中越沖地震(2007年7月)の被災地、柏崎市北部の山本団地。避難勧告が出たままで、仮設住宅に住む無職、山田弘行さんの自宅には、隣家の壁がもたれかかっている。修理にも着手できないが、市の認定は「半壊」で、支援法の対象から漏れた。再建には地盤改良工事など数百万円がかかるとみられるが、県独自の補助金と義援金計約112万円では賄えそうにない。「年金生活の上、ローンも残る。夜も眠れない」

 能登半島地震(同年3月)最大の被災地、輪島市でも、「半壊」認定に不満の声が上がる。門前町道下地区長、泉靖郎さんは「柱が2本も折れたのに、家の外観だけで判定された」。コンクリート壁を塗り直すなどして修復こ約1500万円かかった。しかし、県独自の支援金は125万円で、全壊との差があまりにも大きい。

 「格差」は、建物の用途の違いでもみられる。輪島市の椀木地師、寒長正造さんは、自宅が「一部損壊」、自宅の一角にあった作業場の土蔵は全壊した。自宅は支援法の対象に当たらず、土蔵も「住居でないため」、対象から外れた。輪島塗や酒造業など伝統産業の再建に最大200万円を支給する県独自の支援を受けたが、寒長さんは「支援がなければ伝統産業は息絶えてしまう。住居も、一部損壊でも補修は必要」と指摘する。

 内閣府の指針による被害認定は、屋根、基礎、外壁などの被害を点数化して決める。一部損壊19点以下、半壊20〜39点、大規模半壊40〜49点、全壊50点以上。内閣府は認定方法を見直す検討を始めている。

(cj)


(2008/03/14) 兵庫県の耐震補助事業低迷 被災地の減災意識低く

 阪神大震災の教訓を生かそうと、住宅の耐震改修にかかる工事費を一部負担する兵庫県の補助事業の利用が伸び悩んでいる。2003年度の創設以来、低迷が続き、2007年度(昨年10月末現在)も107戸にとどまっている。15年までに住宅耐震化率97%を掲げ、達成には計20万5000戸の改修が必要とされる。しかし、このままでは達成は難しく、被災地の減災に向けた意識の低さが改めて浮き彫りとなった。

 1981年5月以前に建てられた住宅を対象に、全体工費の4分の1以内で最大60万円まで補助。2007年度から県住宅再建共済(フェニックス共済)への加入も条件となった。

 兵庫県によると、2006年度に簡易耐震診断を受けた5403戸のうち、93.3%の5043戸が耐震改修が必要とされたが、補助事業を受けたのはわずか240戸。同年度までの累計でも、県の目標875戸に対して456戸しか適用されておらず、うち震災で最多の犠牲者を出した神戸市は219戸にとどまった。2007年度の目標は400戸だが、ほど遠い状況だ。

 これに対して、東南海・南海地震での被害が心配される静岡市と名古屋市では、同様の補助事業の工事実績が、2006年度までに静岡市が1732件、名古屋市1023件。神戸市だけでなく、県全体と比べても2倍以上の利用実績を上げており、耐震化への認識が被災地で薄れてきていることがうかがえる。

 兵庫県は、低迷の理由に、耐震改修は補助だけでは足りず、負担が大きい、震災の被害が少なくて、大丈夫と考えている人が多い、などを挙げる。補助額の引き上げについては「全国でもトップレベルの補助額。震災後の厳しい財政事情もあり、考えていない」とする。

 県建築指導課の担当者は「数字が上がらなくても、地道に減災効果にはつなげていきたい。今後は、避難場所へ向かう道路沿いの住宅などを重点的に、PRをしていきたい」と話している。

(sd)


(2008/03/07) 兵庫県住宅再建共済制度 共用部対象、14棟で加入進む

 自然災害で全半壊した住宅の再建を支援する兵庫県の住宅再建共済制度(フェニックス共済)のうち、マンション共用部分を対象とした加入制度で5日、14棟(計956戸)で加入が進んでいることが分かった。神戸市中央区であった共済制度推進会議で報告された。

 廊下やエレベーターなど共用部分を対象とした制度で、管理組合が棟ごとに加入する。阪神大震災で共用部分の費用負担を巡ってマンション再建が難航するケースがあり、制度を創設して昨年10月から受け付けを始めた。

 加入が進んでいる14棟はマンション管理組合9組合に入っている。このほかに、神戸や阪神間の各市などで13組合37棟(計1753戸)が加入を検討している。

 県内で加入対象は約7000棟(約33万戸)あり、5〜6月に定時総会がある管理組合が多く、事務局は管理組合に制度を説明するローラー作戦を展開している。

(kj)


(2008/01/18) 兵庫県の震災特例貸付制度 返済免除を要望

 兵庫県社会福祉協議会が阪神淡路大震災の被災者に対し、国の要綱を活用して設けた3種類の「震災特例貸付制度」をめぐり、兵庫県が国に返済免除規定の新設を求めていることが16日、分かた。同制度の未返済は46億2千万円(2007年3月現在)に上っているが、生活困窮のため返済できない人もいる。財政難の下、大量の債権の整理を進める狙いだが、一方で、震災13年を経て今なお厳しい被災地の実情を示す形となった。国も必要性を認めており、実現すれば免除される未返済は12億円以上になる見込みだ。

 免除規定が無いのは、震災直後の混乱期に制度を設けたためという。県社協は、新年度から免除に相当する債権の調査、分類に乗り出す。

 同制度は、低所得者などを対象にした国の「生活福祉資金」の特例として実施。原資は、国が4分の3、県が4分の1を負担した。1995年〜2000年にかけて融資し、貸付総額は103億2千万円になる。

 未返済全体の76.8%を占めるのは上限20万円の小口資金で、額は35億5千万円。1995年1月27日〜2月9日、当面の生活費として貸し出した。融資の際、連帯保証人の確認などはほとんど行っておらず、回収は難航。連絡が取れないケースも多い。

 さらに、通常の生活福祉資金には設けられている免除要件が無いため、本人、保証人ともに破産しているようなケースでも免除はできない。県社会援護課は「免除が実現すればやむを得ない事情で返せない場合に限り適用したい」としている。

 これに対し、厚生労働省地域福祉課は「いずれ通常の生活福祉資金の免除規定を準用することになるだろう」との見通しを示した上で「さらに回収に努めてほしい」としている。

(ek)


(2008/01/04) 阪神・淡路大震災から13年 「震災特例貸付」など326億円が未償還

 阪神・淡路大震災の被災者に兵庫県などが貸し出した「震災特例貸付」と「災害援護資金」との未償還額の合計が約326億円にのぼることが2日、わかった。特に緊急的に融資した震災特例貸付は償還期限を過ぎているにもかかわらず、貸し付け総額約103億円のうち約57億円(平成19年3月末)しか償還されていない。今月17日で震災から13年。兵庫県の担当者は「年を追うごとに償還率が悪くなっている」と頭を悩ませている。

 震災特例貸付は県社会福祉協議会(県社協)を通じて被災者に貸し付けられ、国が財源の4分の3、県が4分の1を負担している。小口資金貸付(限度額20万円)など3種類があり、いずれも平成18年3月までに償還期限を迎えた。

 しかし、平成7年1月27日〜2月9日、のべ54,011人に計約77億円を貸し付けた小口資金貸付は、償還期限が平成12年3月だったにもかかわらず、償還率は約54%(平成19年3月末)にとどまるなど3種類合わせた未償還額は約46億円となっている。

 未償還額が多い理由について、県社協は「当座の生活資金として貸し付けた小口資金貸付では、貸し付けの際、身元確認や手続きが簡素化されていたうえ、『返済しなくても良い』という間違った風評が流れるなどしている。この結果、震災特例貸付全体の償還が滞っている」と分析している。

 このため、県社協では11年度から8人の償還指導員が戸別訪問や督促状の送付を行ってきたが、月平均の償還額はわずか500万〜600万円。さらに所在不明や破産、債務否認などで約43億円の徴収が困難もしくは不可能という。

 県の担当者は「返済している人が損をしないよう、今後も償還を強く求めていくが、将来的には国と相談して償還免除も検討していきたい」としている。

 一方、災害援護資金は平成7年2月から県内に住む56,422人に対し計約1309億円が融資された。財源のうち国が3分の2、県または神戸市が3分の1を負担している。平成17年から18年にかけて償還期限を迎えたが、さらに5年間の期限延長措置がとられた。平成19年9月までの償還率は80.4%で、未償還額は約280億円となっている。

(ue)
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