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8.被災者公的支援法関連その後の動き


(1999年〜2002年)



(2002/10/02) 自立支援・世帯主要件緩和の特例申請 受付開始

 被災者自立支援金の支給をめぐる訴訟で敗訴したのを受け、世帯主要件を緩和した特例を設けた阪神・淡路大震災復興基金は1日から申請の受け付けを始めた。これまでは震災時に世帯主だった被災者が、結婚や息子との同居などでその後世帯主でなくなると、支給対象から外されたが、今回から対象に加える。ただし所得要件などで支給されないケースもあり、喜びの声の一方で、いまだ不公平感を抱く被災者もいる。

 被災した10市10町が郵送または持参で受け付け、申請書は役所や役場(神戸市は区役所)にある。また神戸市はこうべ市民福祉交流センターに相談コーナーを設けた。

 基金と兵庫県は9月30日、「窓口で対応が困難な事例が生じた場合は県と基金が協議をして判断する」と10市10町に通知した。基金は「市町で対応に違いがあると困るので、慎重に判断したい」とする。市の担当者も「どんな相談事例が寄せられるか想像できず、ケースごとに対応したい」と話す。

 新たな支給対象となる神戸市西区の主婦(38)は、須磨区で被災。家が火災にあい両親を亡くし、ひとり生き残った。震災の翌年に結婚。市役所に支援金について問い合わせると、これまでは「世帯主でない人はだめ」との返事だった。「同じ境遇の男の同級生は、結婚していてももらえる。お金でつらい被災体験を消せるわけではないけれど、おかしいと思った」

 申請に必要な所得証明などはすでに準備。「早く申請したい。でも、まだ対象外の被災者もおられ、気になる」という。

 神戸市内の別の女性(75)は震災時、一人暮らしだった。借家は全壊。一人娘の家族と同居することになった。娘夫婦に迷惑をかけたくないと、仕事を続けたかったが、足の持病悪化で辞めて、自分は年金しかない。

 今回の要件緩和では支給を期待した。しかし、世帯全員の所得合計額は基準を上回っており、対象外のままとわかった。

 「公的援助法実現ネットワーク・被災者支援センター」の中島絢子代表は「制度がわかりにくいので、自分であきらめず、まず申請し、事情を訴えるべきです」と呼びかけている。

(la)


(2002/08/29) 自立支援金の非適用被災者「当事者の会」が発足

 阪神・淡路大震災の被災者自立支援金を受けられなかった被災者が自ら支給制度の改正を求めていこうと、「当事者の会(仮称)」が、このほど発足した。公的援助法実現ネットワーク被災者支援センターが主催した集会で、参加者が発会に賛同した。

 震災後に被災者でない男性と結婚したため、申請を却下された萩原操さん(63歳)が支給を求めた訴訟で、原告勝訴が確定。阪神・淡路大震災復興基金が世帯主被災要件の一部見直しを表明した。

 支援センターは未支給の相談者にアンケートを実施し、すでに約100人分を回収している。震災後の結婚や、息子との同居など世帯合併によリ受給できなかった人が多い。

 集会には約40人が参加。当事者の会の世話人に名乗リ出た西宮市の自営業の男性(53歳)は「萩原さんがつくってくれた道を多くの人が歩けるようにしたい」と訴えた。事務局は同センター(TEL 078−366−0160)

(dr)


(2002/07/24) 混迷深める住宅再建支援制度 公的資金一律投入には政府難色

 兵庫県や超党派の国会議員連盟がそれぞれに法案化を検討している、住宅再建支援制度の行方が混迷を深めている。個人の住宅という私有財産の再建に公的資金を一律投入する案に、国がかたくなな態度を取り続けているためだ。政府の中央防災会議は「真に必要な人に限リ総合的な支援策が必要」とする新見解を打ち出した。これを受け政府は、現行の被災者生活再建支援法の枠内で住宅再建の支援施策を設ける検討を始めたが、あくまで独立した住宅再建支援法の制定を目指す関係者らとの溝は埋められそうにない。

 「住宅再建は、自助努力が原則。公費投入するなら、地震保険や耐震補強で備えた人との不公平感をどうするのか」「高齢者、失業者、二重口ーンを抱えるなど自力再建できない人には公的支援が必要」・・・17人の学識経験者を委員に迎えた中央防災会議の防災基本計画専門調査会。昨秋からの会議で最も意見が対立したのが、住宅再建支援についての考え方だった。終盤で激論になり、別途もう1回開いたほどだった。

 最終的には「公的資金投入を全否定はできない」との意見で一致。7月初めに公表された報告書には「被災者支援の充実」という項目に住宅再建策を入れ、「真に支援が必要な者に、住宅の再建、補修、賃貸住宅への入居の負担軽減を含め、総合的な居住確保の支援を」という玉虫色の記述に落ち着いた。

 内閣府の防災担当者は「対象者は限定するが、何らかの施策の必要性は認めた、ということだ」と説明した。

 住宅再建支援制度をめぐっては、全国知事会が住宅所有者から掛け金を徴収する共済制度の実現を訴えてきた。同案は震災後に兵庫県などが提唱。一方、超党派の議員連盟「自然災害から国民を守る国会議員の会」(会長・原田昇左右衆院議員)も当初、共済制度の法案化を検討していた。徴収事務の負担に市町村が反発したため、今年2月全半壊した住宅再建に、全額公費の補助金を出す案に切リ替えた経緯がある。

 そんな中で新たに防災会議の報告書が公表された。その翌日、東京で開かれた全国知事会の地震対策特別委員会で、委員長の石川嘉延・静岡県知事は、報告書に触れ、「知事会も幅広く検討すべき」と共済案にこだわらない考えを示した。しかし、出席した兵庫県の担当者は「発案県として責任がある」と、あくまで共済制度を要望するなど知事会内で微妙なぷれも出ている。

 議連も公表後、水面下で動いた。原田会長や副会長の谷洋一衆院議員(自民、兵庫5区)ら幹部が数回、協議。総意ではないが、各議員は「役人が公的支援に反対なのは最初から分かっている.こと。報告書にとらわれず、独自にやっていく」と議員立法への意欲を示した。

 政府は今後、どう施策に反映させるのか。高橋健文・内閣府政策統括官(防災担当)は、「私有財産に公費投入する案は納得できない」と主張しながらも、都道府県が基金を積み立て、被災者に生活費を支給する生活再建支援法が来年秋、改正時期を迎えるに合わせて何らかの住宅再建支援の施策を考える見通しを示した。

 同調査会委員で、旧国土庁の「被災者の住宅再建支援のあり方に関する検討委員会」委員長を務めた廣井脩.東京大学社会情報研究所所長は「住宅再建支援でも法律を新たに制定した方がいい。仮に、生活再建支援法で対応するなら財源負担も含めて具体策を示すべきだ」と指摘している。

(tn)


(2002/07/17) 被災者自立支援金訴訟判決で復興基金が19日の理事会で結論

 被災者自立支援金訴訟の大阪高裁判決を受け、阪神・淡路大震災復興基金は16日、理事会を17、19両日と2回開き、最終結論は上告期限の19日に出す方針を明らかにした。一方、原告を支援する.「公的援助法実現ネットワーク被災者支援センター」(中島絢子代表)は16日、同基金に対して、理事会の傍聴を求める申し入れを行った。

 高裁判決は一審同様、支援金の支給要件を「差別を設けておリ無効」として、原告の萩原操さん(63歳)に対して支援金の支払いを基金に命じた。

 基金側や理事長の井戸敏三知事は「制度の内容が十分理解されたのか」などとして判決に不満を示しているが、2度にわたって敗訴したことや、原告と同様とみられるケースが存在することなどから慎重に検討。17日の理事会で対応方針を協議したうえ、19日に決定するとした。

 また、被災者支援センターは基金に対し、原告と中島代表の傍聴について17日の理事会の冒頭で諮ることを要望。さらに、理事会の11人に公開質問状も出しており、中島代表は「どのような判断が下されるのか、議論のプロセスや理事それぞれの考えを知りたい」と話している。

(tr)


(2002/07/03) 政府中央防災会議の提言に地元国会議員らが「被災地の混乱理解されず」

 自然災害で被災した場合の住宅再建策について、政府の中央防災会議の基本計画専門調査会が7月2日公表した提言は、既存制度の活用を柱に、対象者を限定した支援策を求める内容となった。国会の災害議員連盟や兵庫県などが検討してきた制度創設は退けられ、全半壊住宅へ公費で一律補助する制度は否定された。提言は、今月4日の中央防災会議で村井仁防災担当相から小泉純一郎首相に渡され、具体化へ動きだす。阪神・淡路大震災から7年半。制度創設に動いてきた兵庫県関係者らは対応の見直しを迫られることになる。

 「これは将来の居住形態と重なる問題だ」同調査会の伊藤滋委員長(都市防災研究所理事長)は、調査会終了後の会見でこう切リ出した。「(地価が高い)都市では1戸建てに金持ちが住むことになるかもしれない。(そこが被害を受けたとして)一律に公費をあてて、理解が得られるだろうか」。伊藤氏は議連の公費支援案の問題点を暗に指摘した。

 提言では「地震保険や共済制度の加入が基本」とし、既存制度の活用を強調。「住宅の所有、非所有にかかわらず、真に支援の必要な人に住宅の再建、補修、賃貸住宅への入居などの負担軽減が重要」としている。

 伊藤委員長によると、「真に支援が必要な人」とは一人暮らしの高齢者や賃貸住宅の入居者がイメージされる。同時に「負担軽減」ては家賃補助、公営住宅建設、再建費の頭金補助などが想定され、公費投入については「対象者限定」が前面に出された。

 これに対し「議連の理念とはかけ離れた内容だ」とするのは、同議連の谷洋一衆院議員(自民、兵庫5区)。「被災地の混乱を知らない官僚主義に陥っている。官僚との公開討論などで理解を得たい」とし、与党の災害対策プロジェクトチームの赤羽一嘉衆院議員(公明、同2区)も「前向きな考えがまったく見られない。与党内で議論し、議員立法の成立に取リ組む」とする。

 全国の自治体などにも呼びかけて運動を続けてきた兵庫県の受け止めも厳しい。このままいけば、教訓が生かされない、との危機感も出ており、県復興推進課は「国民的合意が得られやすいのは、どう考えても公費負担と住宅所有者による共済制度の組み合わせ」とし、今後も全国知事会などを通じ、政府や災害議連への働きかけを強めていく考えだ。

(br)
 
(2002/01/20) 住宅再建支援制度実現へ兵庫県知事が新提案検討を言明

 阪神・淡路大震災から丸7年に合わせ、兵庫県の井戸敏三知事は記者会見し、住宅再建支援制度の早期実現に向け「国民的な合意形成へ、具体的な働きかけを強めていきたい」と意欲をあらためて強調。住宅所有者からの負担金徴収にあたる市町村の理解を広げるため、「定額負担」などを柱に事務量軽減へ新たな提案を検討していることを明らかにした。

 同制度をめぐる現状について知事は「足踏み状態にある」とし、その上で「経済や雇用の情勢は厳しく、新たな国民負担を求めるのは難しい状況だが、将来に対する備えとして制度の意義を十分広めていかなければならない」とした。

 「自然災害から国民を守る国会議員の会」が2000年10月に骨子をまとめた「被災者住宅再建支援法案」(仮称)は、国費での支援とともに、住宅所有者の負担金の徴収を固定資産税の徴収と合わせて行うとしている。しかし、事務量増加を懸念する市町村の理解を得られていないのが実情だ。

 こうした状況を受け、知事は「住宅面積に関係なく負担金を定額徴収とするなど、事務作業の煩雑さを解消し、市町村の協力を得るための新たな提案を検討している」と述べた。今後、全国知事会の地震対策特別委員会などへ提案していくという。

 また知事は被災地の復興の今後について、「経済情勢の悪化など取リ巻く環境は厳しいが、被災者と手を携えて立ち向かっていけば、突破口は開けるのではないか」と述べ、復興計画後期5か年推進プログラムを着実に実行する考えを示した。



(2002/01/19) 村井防災担当大臣が住宅再建支援制度を疑問視

 震災7周年を迎えた17日、村井仁・防災担当大臣が神戸市長田区を訪れ、再開発地区などを視察したが、大臣はその際、「住宅再建支援制度は一政治家として納得がいっていない」と発言、災害時の相互扶助制度を疑問視した。

 同制度が足踏みしていることについて村井大臣は、(1)地域間で地震に対する危険性の思いに違いがあり、相互の合意や協力が得られるのか不明、(2)住宅を所有していない賃貸住宅などの人に対してどう対応するのかが不明、として、実現は難しいとの見方を示した。



(2001/10/11) 被災者自立支援金集団申請で「裁判の結論待つべき」と支援団体が申し入れ

 阪神・淡路大震災の被災者向け自立支援金の支給を求め、被災者45人が神戸市に行った第一次集団申請で、支援団体「『公的援助法』実現ネットワーク」(村山正晃事務局長)は10日、「支援金制度については係争中で、却下などの判断は高裁での結論を待つべき」とする申し入れ書を神戸同市に提出した。

 支援金をめぐる訴訟では、震災後の結婚で世帯主でなくなった被災女性の夫が、実施主体の阪神・淡路大震災復興基金に支援金の支給を求めた。一審の神戸地裁判決は「世帯主被災要件は合理性のない差別」とし、被災者側が勝訴したが、同基金が大阪高裁に控訴していた。

 集団申請は一審判決を受けて7月に行われ、結果は支給1件、却下7件、書類不備が37件。「書類不備」の多くは震災後に結婚や世帯合併をした被災者で、10月9日までに書類の再提出を求められていた。



(2001/09/07) 阪神・淡路大震災復興県民会議が公的支援制度確立で声明文

 去る8月に開かれた国連の社会権規約委員会で、阪神・淡路大震災で倒壊した住宅の再建を日本政府が責任をもって引き受けることなどを勧告する「最終所見」が発表されたことを受け、阪神・淡路大震災救援・復興県民会議(神戸市)などは今月5日、政府、兵庫県、神戸市に対し、住宅再建への公的支援制度確立などを求める声明文を発表した。

 復興県民会議などは、ジュネーブで開かれた国連・社会権規約委員会に、合志至誠・兵庫県保険医協会名誉理事長や安田秋成・被災者ネットワーク代表ら5人を派遣。被災者が直面する住宅再建やコミュニティー崩壊などの問題をアピールした。

 同委員会が発表した「最終所見」で、被災者支援への委員会としての「懸念」が示され、住宅再建のための公的資金の供給や、高齢者、障害者への地域サービスを拡充するよう促す勧告が盛り込まれた。

 このため、復興県民会議などは、政府に対して住宅再建への公的支援制度を確立し、被災者生活再建支援法の支給基準を緩和すること、また、兵庫県と神戸市など関係自治体には、高齢者、障害者へのケアなど被災者支援策の抜本的な拡充を求める声明文をまとめた。

 復興県民会議は13日午後6時半から、同委員会に対する要請行動報告会を、神戸市中央区の市婦人会館で開く。

(pl)



(2001/09/06) 被災者住宅再建制度で自民党谷衆院議員が次の国会に提案へ 

 阪神大震災などを教訓に、共産党を除く超党派の国会議員でつくる「自然災害から国民を守る国会議員の会」が、法制化を目指している被災者住宅再建支援制度について、自民党の谷洋一衆院議員はこのほど、兵庫県幹部に対し、再建支援金の支給を盛り込んだ法案を次の通常国会に提案する考えを示した。

 昨年10月、会が示した法案骨子は、住宅所有者から徴収した基金と、国が半額ずつ負担して最高850万円の支援金を支給するもので、「基金は固定資産税と併せて市町村が徴収する」としたため、全国市長会と町村会が「余分にお金を徴収することで、税滞納者が増える可能性が出てくる」「事務経費が膨大になる」などと反発していた。

(jo)



(2001/07/14) 鳥取県の動き、阪神・淡路大震災以後の論議に一石

 自然災害の被災者の住宅再建に最高300万円を支給する鳥取県の「住宅再建支援条例」が、6月の県議会で可決された。全国初の制度で、阪神.淡路大震災の被災地でも市民団体などから評価の声が上がっている。一方で、兵庫県などは「共済」による制度を提唱しており、鳥取県の動きは、震災以降の住宅再建をめぐる議論に影響を及ぼしそうだ。

◆条例の内容は
 鳥取県は、昨年10月の地震で、住宅の再建に300万円、補修に最高100万円を支給。条例は、その制度を基本的に踏襲している。

 対象となる災害は地震、洪水、豪雪などで、原則として県内で10戸以上が全壊した場合。被災前と同じ市町村内に住宅を再建・購入する場合に、最高300万円の補助金を支給する。補修は最高117万円。り災証明の判定ではなく、実際に再建や補修を行ったかどうかで支給を決め、年齢や所得の制限はない。

 財源確保のため、県と県内の全市町村が出資する「住宅再建支援基金」を創設。県と市町村が年に各1億円ずつ拠出し、25年間で50億円を積み立てる。補助金は「基金8、県1、市町村1」の割合で支出する。

◆他地域では
 鳥取県は、制度創設を「他の地方団体にも呼びかけたい」としているが、今のところ、他の都道府県での動きはない。阪神・淡路大震災を経験した兵庫県は、住宅所有者が掛け金を出し合う「共済制度」を提唱。全国知事会は、共済を基本とした制度づくりを国に要望する方針を確認している。超党派の「自然災害から国民を守る国会議員の会」も昨年、共済の考えを取り入れた法案要綱を策定した。

 一方、鳥取県西部地震で被害を受けた島根県は今年、対象を高齢者や障害者に限った「高齢者等被災住宅修繕支援基金」を創設した。10万〜200万円の補修工事を「現物支給」する制度だ。

 各地で独自の支援策が動き始めているが、内閣府は「住宅再建の支援制度についてはさまざまな意見があり、今は各方面の情報を収集している段階」という。国レベルの支援制度の創設を訴える市民団体「『公的援助法』実現ネットワーク」(神戸市長田区)の中島絢子事務局長は「鳥取県の条例は、住宅再建の課題に正面からこたえる内容で、画期的。全国の自治体、国はこうした先進事例にならい、早急に支援策を実現すべき」としている。

(tn)



(2001/07/02) 住宅再建支援法案提出見送り 旗振り役の兵庫県知事退任で

 阪神.淡路大震災を受け法制化が検討される「被災者住宅再建支援制度」で6月27日、超党派の「自然災害から国民を守る国会議員の会」(災害議連)が今国会での法案提出を断念した。同制度の「旗振リ役」だった兵庫県の貝原俊民知事の辞任表明に伴う知事選や同時実施の参院選兵庫選挙区では、今後の取り組みが争点の一つになリそうで、次期知事や被災地選出議員には重い課題となる。

 「事務を負担する市町村と調整のめどがたたなかった。次の国会を目指し、成案を得たい」国会閉会を2日後に控えたこの日、災害議連の総会で原田昇左右会長があいさつした。同議連は昨年、自然災害の被災者の住宅再建を支援する法案要綱を策定、今国会の提出を目指してきた。しかし、膨大な事務負担を懸念する市町村を説得しきれなかった。

 要綱では、財源は、住宅所有者から掛け金を固定資産税に上乗せして徴収。この案には、「相互扶助=共済」を提唱してきた貝原知事の発想が色濃く反映された。市町村を納得させ、全国知事会をまとめる役割を期待されたのも同知事だった。

 が、その知事が辞任を表明。「被災者生活再建支援法」が成立した3年前は、参院選を控えた与野党の思惑が一致したが、今、当時のような空気も薄い。「最高百万円を給付する支援法と違い、住宅再建は票にならない」と言う議員もいる。単独で提出に踏み切る構えだった民主党も次期国会への先送りを表明した。

 一方、昨年の地震で独自の住宅再建支援策を打ち出した鳥取県は今月、県議会に「被災者住宅再建支援条例」を提案。全国で初めて、自然災害被災者を対象とした住宅再建支援基金を創設する。

 こうしたなかで予定される兵庫県知事選。立候補表明した井戸敏三・元副知事は、被災地のNPO(非営利組織)有志が開いた会で「共済制度の必要性について、国民的理解を深める努力を続けたい」と、貝原知事の路線継承を強調した。しかし、「共済にはこだわらず、新たな施策を」とする立候補予定者もおリ、選挙結果が、制度の実現に影響を及ぼす可能性も出ている。

(la)


(2001/06/29) 国土交通省が住宅の耐震改修支援で新制度を創設する方針

 地震に強い街づくりを進めるため国土交通省はこのほど、住宅が倒壊しないよう家屋の基礎や接合部の補強をする耐震改修などを進める補助制度を来年度から創設する方針を固めた。緊急に耐震化が必要な3大都市圏の密集住宅地を中心に、10年間で130万戸の改修を支援する予定だ。

 住宅ローン控除制度の対象に耐震改修を含むなど税制面での後押しも検討中で、来年度予算の概算要求に盛リ込む考え。政府の都市再生本部でも木造密集市街地の緊急改造が選定テーマの候補に挙がっている。

 同省は「個人財産に補助は無理との声もあるが、災害時の負担軽減のためにも緊急改修が必要」としている。同省は地方自治体に補助し、住宅耐震改修行動計画の1年以内の策定や、住宅の簡易耐震診断を実施し、倒壊の危険度や被害が想定される区域を示すハザードマップの3年以内の作成を求め、危険で改修が必要な住宅を絞リ込む。

 個人が実施する対策では、精密耐震診断の費用を補助。さらに@地震時に避難や救助、消火活動の支障になリかねないとして自治体の改善命令を受けた、A耐震改修促進法の認定を受けた、B住宅が倒壊する危険度の高い地域にある、などの住宅の改修を補助する考えだ。

 阪神大震災の犠牲者の約90%が建物内の圧死だった。国は災害後に応急仮設住宅の建設やがれきの処理に、約1兆3千億円を支出しておリ予防的に改修した方が災害時の負担が少なくて済むとしている。

(tr)



(2001/06/13) 被災者支援金の未受給者 来月、集団申請へ

 阪神・淡路大震災の「被災者自立支援金」の支給要件の問題で、市民団体「公的援助法実現ネットワーク」(神戸市長田区)は今月11日、震災後の結婚などで支援金を受けていない被災者の集団申請を、7月上旬から始めることを決めた。

 支援金支給をめぐる訴訟の一審判決は、震災後、結婚して世帯主でなくなったために支給を却下された女性側の訴えを認め、阪神・淡路大震災復興基金に百万円を支払うよう命じた。同基金は、大阪高裁に控訴した。

 原告を支援する同ネットワークには判決後、被災者からの問い合わせが相次ぎ、個別相談会を開催。震災後の結婚や世帯合併などで「世帯主」でなくなった人ら約70人が訪れた。息子夫婦と世帯合併して支給対象からはずれた伊丹市の女性(75歳)は「自宅は全壊。同居といっても生計は別なので、申請して支給を求めたい」と話していた。

 集団申請には、所得要件などを満たす40人以上が参加する見込み。弁護士らが付き添って、神戸市を皮切リに各市町に書類を提出する。同ネットワーク(TEL 078−643−2493)の中島絢子事務局長は「復興基金や行政は、『世帯主要件』で支援金を支給されていない被災者の実態さえ把握していない。集団申請で被災者の実情、制度の不備を訴えたい」としている。

(uq)


(2001/05/15) 阪神・淡路の市民団体が「災害復興支援基本法」案を発表

 阪神・淡路大震災後、被災者への公的支援運動に取り組む市民団体「市民=議員立法推進本部」(小田実代表)など3団体が13日、神戸市内で「災害復興支援基本法」案を発表しました。自然災害からの復興について、被災以前の生活基盤やコミュニティーを取リ戻すことと定義しています。全国の国会議員に賛同を求めていくとしています。

 法案は14条で構成され、大震災後、市民の生活再建を置き去りにして都市計画が進められたとの視点に立ち、災害復興の普遍的な理念を打ち出しました。

 復興の概念を「被災者と被災地が自然災害を受ける以前に営んでいた生活と街区と社会を取リ戻すこと」と定義。「被災世帯」は「被災者が世帯の一員として所属する世帯」としています。

 災害後2カ月以内の「緊急生活維持支援」として一人100万円、その後の「生活運営力回復支援」で1世帯500万円、「生業維持支援」で500万円の支給を明記。住宅再建に最高3千万円、事業再建に最高1億5千万円を貸し付ける制度も盛り込んでいます。

 国の災害対策を統括する常設機関として、支援金の支給や貸し付けを行う「災害復興被災者支援庁」の設置も提案しています。また「阪神・淡路の被災地では元の街区の復活を許さず、『災害に強い街づくり』を行政が押しつけた」として、都市計画決定を被災後5年間凍結し、その後必要であれば決定する「2段階復興」の考え方を提案しています。

(dr)


(2001/05/02) 鳥取県知事が「住宅再建に補助必要」と強調 神戸で震災シンポジウム

 住宅再建に対する個人補償制度の確立など阪神大震災の経験を踏まえた政策提言などをしている兵庫県震災復興研究センター(代表=菊本義治・神戸商科大教授、西川栄一・神戸商船大教授)主催のシンポジウムが4月30日、神戸市中央区の県農業会館で開かれ、片山善博・鳥取県知事が「地域の復興に何が必要か」と題して講演した。

 片山知事は鳥取県西部地震で被災した世帯の住宅再建に一律3百万円を交付する住宅復興補助金について、「個人補償ではなく地域社会の崩壊を防ぐために必要な政策だった」と強調した。

 また、同知事は地震の1週間後に高齢化の著しい山間部の被災地を訪れた際、「全半壊した住宅を再建できないため、これまで地域を支えてきた高齢者が都市部に流出してしまうと痛感した」と当時の状況を説明。

 住宅再建への公的資金投入は個人資産の形成につながるとして難色を示した政府の見解について「道路や橋を直しても住民がいなくなったら地域を守るという行政の責務を果たせない。政府は理論にこだわらず常識で判断してほしい」と注文を付けた。

 鳥取県は自然災害に備え、市町村と協力して25年間で計50億円を積み立てる全国初の住宅再建支援基金の創設を打ち出しており、片山知事は「国が50億円を負担して計100億円の基金になることを期待している。モデルとして全国に広がってほしい」と述べた。

 また、全国知事会が提案している住宅所有者が掛け金を積み立てる共済制度については「必要なのは滅失財産の補てんではなく、地域を守る手段としての住宅再建支援。共済保険は保険会社にまかせるべき」として、反対を表明した。この後、討論に移り、室崎益輝・神戸大学都市安全研究センター教授は「地震はある一定の周期で発生するので、次に起こりうる地震に対する準備が必要」などと述べた。

(sd)


(2001/04/23) 被災者住宅再建支援制度で民主党が法案化へ 全壊に最高850万円

 共産党を除く超党派の国会議員連盟が検討を進めている自然災害による被災者住宅再建支援制度で、民主党は4月19日、単独で同制度の法案化に踏み切ることを決めた。提出時期は議連とも調整し、与野党に共同提出を呼び掛けたいとしている。

 同法案をめぐっては、徴収事務の負担などで自治体側が難色を示し、与党内の意見集約が進んでいない。同党は、議連として提案のめどがたたないと判断、単独での法案化を進める。法案は、議連の骨子をそのまま踏襲し、すべての住宅所有者を対象に基金を設置し、全壊家屋に最高850万円を支給する内容。

 同党は、神戸で2000年1月に開かれた党大会で、住宅再建支援制度を含む被災者生活再建支援策を発表しているが、住宅再建支援の法案化は初めて。

 前原誠司・社会資本整備ネクスト大臣は「神戸での公約を果たしたい。先に法案化に着手することで与党の作業を促したい」としている。

 これに対し、与党の災害対策に関するプロジェクトチームのメンバーは「自治体との話し合いができていない段階で法案成立は困難」と述べた。

(tr)


(2001/04/06) 鳥取県西部地震で全国初の住宅再建基金 鳥取県内全市町村が参加

 2000年10月6日に発生した鳥取県西部地震(マグニチュード7.3)で、鳥取県が中心になって全国で初めて制度化する所得や年齢制限なしに被災者の住宅再建を支援する基金に、県内の全39市町村が参加することが5日、明らかになった。

 今後県と市町村は年間1億円ずつ拠出し、25年間で50億円を積み立てる。自然災害で被害に遭った住宅再建に対し、建て替えに300万円、補修に117万円を支給する。「同じ市町村に住み続ける」ことだけを条件にする方針だ。また島根県も、高齢世帯向けの住宅修繕支援基金を創設した。

 鳥取県は6月県議会に同基金設置の条例案を提出。9月までに県と市町村で管理運営する委員会を設置し、2001年度中に創設の見通し。各市町村の拠出金は住宅戸数により算出し、試算では鳥取市(約5万戸)で年間2300万円、米子市(約3万9千戸)で1800万円。最も少ない佐治村(約900戸)で42万円。

 財源は住民の固定資産税に上乗せする方法や一般財源から支出するなど各市町村で検討している。一方、島根県は3月、地震や台風などで被災した市町村民税世帯非課税の65歳以上の高齢者がいる世帯に最高200万円を支給する住宅修繕支援基金を創設した。災害救助法が適用された自然災害が対象で、基金の残高は約17億円。

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(2001/02/15) 与党三党自然災害プロジェクト 住宅再建立法化へ集約

 自民党と公明党は13日、阪神・淡路大震災の復興に対応するプロジェクトチームをそれぞれ開き、被災者自立支援金の財源不足を解消するため、復興基金の運用期間延長を正式に決め、政府側も了承した。公明党の冬柴鉄三幹事長は会見で、自然災害に対する与党三党のチームを近く発足させ、法制化への動きがこう着している住宅再建支援制度の議員立法に向け意見集約を急ぐ考えを強調した。兵庫県などが要望した震災関連の地方債償還をめぐる特例措置は、論議と結論を先送りし、保留とした。

 住宅再建支援の法制化では、超党派の議員連盟が検討しているが、政府で異論が強く、自民などの党内論議は進んでいない。冬柴氏は「(法制化は)阪神・淡路の教訓の一つ。自民からも良い感触を得ており、与党チームが中心になってけりをつけたい。財源は国が半分、残りの半分を住宅所有者から固定資産税に上乗せして徴収する方法でいいのでは」とした。

 一方、復興基金延長は、同支援金の所要額が当初見込みを180億円上回ることから兵庫県と神戸市が要望。基金のうち6千億円分の運用期間を約半年延長し120億円を確保するほか、既存事業の需給見直しなどで60億円をねん出する。

 基金延長に伴い、兵庫県や神戸市が検討を進めていた民間賃貸住宅に住む被災者向け家賃補助の延長にもめどがつくとみられる。

 兵庫県などが求めていた震災関連の地方債償還をめぐる特例措置については、総務省が2000年度の交付税額を含めた収支見通しが判明した時点で、財務省と協議する考えを表明。具体的論議を先送りした。地元自治体は運用上の対処ではなく、阪神・淡路に対応する新法制定を求めており、与党でも政治決着を模索する動きが出ている。

 一方、自民、公明両党は大規模災害に備え、地方債償還の特例措置を規定した災害対策基本法などの改正を検討しており、冬柴氏は「政府内には改正に難色を示す声もあり、与党チームを軸に議論し、今国会中に与党で議員立法を図りたい」と述べた。



(2001/01/13) 住宅再建、国の支援基準必要−笹山神戸市長

 地元新聞社のインタビューに答えた笹山幸俊神戸市長は1月11日、相次ぐ自然災害を踏まえ、住宅再建などの支援の仕組みが不備であるとの立場から、「国レベルでルールを決めておく必要がある」と述べた。インタビューの主な内容は次の通り。

Q.1年前と比べ被災地はどう変わったか
A.「空き地が徐々に少なくなり、街並みもそろってきた。花や木を植えるなど、皆さんの気持ちにも余裕が出てきたように思う」

Q.現状は本格復興に至っていない。最大の課題と解決策を
A.「被災者の生活再建には経済復興が必要だが、まだそこまでいっていない。新しい仕事の場をつくるため、医療産業都市づくりなどの準備をこの1年進めてきたが、これからは実行する段階。企業呼び込みのための支援策もどんどんつくリ、メニューを示したい」

Q.昨年は各地で災害が続いた。自然災害への備えという視点から提言を
A.「鳥取県西部地震で住宅再建に公費が支給されたが、被災規模がそれほど大きくなかったから可能だったのだろう。東京ならとてもできない。災害の規模によって対応の違いが出るのはおかしい。国レベルである程度の支援のルールを決めておく必要がある」

Q.震災から得た教訓は。また21世紀の神戸をどうつくっていくか
A.「震災で日本のコミュニティーがいかに脆弱かが明らかになった。原点に戻ったまちづくりが必要だ。神戸が好きだと思ってもらえるまちをつくっていきたい。復興記念事業では市民の皆さんがいろいろな催しを考え、参加される。夢のある神戸を共につくっていくきっかけになれば、と思っている」


 
(2000/12/25) 被災住宅傾斜も対象 国土庁検討委、認定基準を見直し

 国土庁などでつくる被災住宅の被害認定基準検討委員会が今月22日開かれ、家屋の全壊や半壊などを判定する際の現行基準を見直し、「居住のための基本的性能が確保されているかどうか」を基本的な考え方と一する方針が了承された。

 具体的には主要な構造部への被害を重視していた現行基準を、壁、柱、床、はリ、階段、屋根など個々の「主要な構成要素」に対する被害を重視するよう変更。さらに@「被害額」に関する規定を、復旧に必要な費用を加味した「復旧費相当額」にA「住宅の時価」を、再建に要する費用という意味の「再建築価格」に、それぞれ明確化する。

 家屋全体がどの程度傾いているかや、住宅の各部分が本来の性能を発揮しているかどうかも判定基準に反映していくことで合意した。

 従来は壊れた部分の床面積の割合などが判断の基準だったため、傾斜したリ基礎などが部分的に損壊したりして、実際には人が住めない状態でも全壊とみなされないケースが多かったが、これらの見直しが実現すればより実態に近づいた被災者対策が進むと国土庁はみている。

同委員会はさらに基準の詳細を詰めるとともに、被害判定マニュアルなども含む新しい認定基準を本年度末までにまとめる。

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(2000/12/21) 「国は自治体通じて支援を」 扇国土長官、被災者住宅再建で考え

 扇国土庁長官(次期国土交通相)は19日、インタビューに応じ、自然災害による被災者の住宅再建支援制度について「自治体によってやリ方が違い、一律に国から押し付けるわけにいかない。自治体が主になって知恵を出し、激甚(指定)になれば鳥取のように国が後から補てんする。自助、共助、公助の順だ」と述べ、自治体が行う施策に、国が間接的に支援すべきとの考えを示した。

 また、今月初めに公表された同庁の検討委員会の報告書に触れ「国がどうするか、地方がどうするか、今後の道筋が示されるいい提言」と評価した。

Q.新制度の法制化が必要と考えるか?
扇長官:「現行の被災者生活再建支援法(の改正)で、自治体の(財政)能力があればいいが、今はほとんどが赤字。鳥取県は国よリ先に手当てをしたが、これは英断。新法でいくのか、県の条例にするのか。それも個性があっていい」

Q.報告書でも被災者に対する現金給付は触れられていないが?
扇長官:「今の段階では難しい。ただ、自治体が行い、後で国から補てんすることはできる。国は(被災程度の)判定ができないので、自治体がまず判断することだ。次のステップが踏めない被災者には、自治体がまとめて集合住宅を建て、高齢者や障害者らが彩られる政策もできる。お金よりまず住む手当てをどうするかだ」

Q.超党派の国会議員が検討する相互支援策への見解は?
扇長官:「現実に執行するとなるととても難しい。(掛け金の)徴収をめぐり、どの程度の人が加入し、徴収料はどれくらいがふさわしいのか。固定資産税に上乗せして徴収する意見もあるが、試算すると1000万円を集めるのに1600万円の人件費が掛かる。これでは何のための制度か。ただ、もっといい方法が見つかればいいので、国会議員で多いに論議されることを期待する」

Q.自助、共助、公助に対する基本的な考え方は?
扇長官:「個人がただ保険をかけたらいいというものではない。国と自治体が確実に連携を取りながら対処するのが基本だ。日本は、災害列島だと認識して対処するのが自治体の役目。省庁再編で国土庁はなくなるが、国土交通省として21世紀初頭にそういう通達を出してもいい」

 (dr)


(2000/12/09) 扇国土庁長官、被災者支援で「住宅再建、法制化も」

 第二次森改造内閣で留任した扇千景国土庁長官(次期国土交通相)は6日、報道機関のインタビューに応じ、自然災害による被災者の住宅再建支援制度について「現行の生活再建支援法の見直しがいいのか、新法をつくる方がいい
のか、新しく考え直す時期にきている」と述べ、住宅再建を促す法制化を含めた新たな仕組みが必要との認識を示した。

 扇氏は「阪神・淡路大震災では個人に一切支援ができない条件があり、そうした流れで支援法ができたが、今も個人への支援は難しい。制度的にはまだまだ壁があるが、個人にどこまで支援が可能なのか。(支給上限の)百万円で何ができるのかということもある」などと述べた。

 同氏は、与党内でも支援法見直しの議論が進んでいることを明らかにする一方、住宅再建支援には「住宅(の被災程度)の認定に難しさがある」などと指摘した。住宅再建支援制度をめぐっては、同庁が設置した検討委員会が4日、共助に基づく相互支援策の必要性などを盛り込んだ報告書を同庁に提出。これとは別に、超党派の国会議員らによる議員連盟が次期通常国会での議員立法を目指している。

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(2000/12/08) 「被災住宅再建に公共性」国土庁検討委員会が最終報告

 国土庁の「被災者の住宅再建支援のあリ方に関する検討委員会」(委員長・広井脩東大社会情報研究所教授)は今月4日、最終報告書を同庁に提出し、内容を公表した。それによると、個人資産と位置づけてきた住宅を、地域社会との兼ね合いなどから公共性があると認定。被災者の自助努力と、政府・自治体による公的支援にも限界があり、「共助による相互支援策」の必要性を指摘している。災害支援をめぐる国の論議の中で、個人住宅に公共性を認めたのは初めて。しかし、法制化を含めた員体的な制度論については、委員間で意見が一致せず、盛リ込まれなかった。

 報告書では、阪神・淡路大震災の教訓として、大都,市における大規模災害などで、現行の支援制度では明らかに限界があると認識。広域で倒壊した住宅の再建は「地域社会の復興と深く結びつき、地域にとってある種の公共性を有している」と言及。「原資は国民の税で、公益性が明確に認められる限りで行うことが妥当」と公的支援の範囲を制約した。

 阪神大震災でかつてない規模の支援策を講じたが、「施策が散発・後追い的になり、被災者が主体的に住宅再建のシナリオを描くことを困難にした」と分析。被災者が自主的に住宅の再建に取リ組むことができるよう、あらかじめ多様な支援メニューを体系化し、周知する必要性を強調した。

 その上で、都市型の大規模災害では住宅の自力再建、公的支援ともに限界があるため、公的支援を含めた共助の制度を検討すべき、と結論づけている。

 兵庫県が提唱した、住宅所有者が掛け金を拠出する共済制度は、@強制加入をめぐる国民の理解、A大規模災害時の財源確保、B徴収事務などの分担、などから「今後、検討する必要がある」との表現にとどめた。

 このほか、民間賃貸住宅や既存の空き住宅の活用のほか、耐震性など住宅によって、被災リスクを反映した保険料率に改めるなど地震保険の普及、拡充を提言している。

 同委員会は、被災者生活再建支援法の付則に基づき昨年1月に設置された。住宅再建支援制度をめぐっては、超党派の国会議員による議員連盟が次期通常国会での法案提出を目指す一方、自民党なども独自に党内論議を進めている。

 「被災者の住宅再建支援検討委員会」の報告書の骨子は次の通り。
 住宅単体は個人資産だが、自然災害時には地域にとって公共性を有する。被災者の住宅、生活再建が速やかに行われれば、地域の経済活動が活性化し、復興を促す。

 被災者の自力再建には限界があり、公的支援も一定の制限があることを考慮し、共助の理念に基づく相互支援策の拡充が必要。

 共助に基づく住宅所有者すべての加入を義務付ける支援制度の提案は、強制加入に対する国民理解などの指摘もあり、今後検討。

 被災者が早期の生活再建ができるよう多様な支援メニューを提示する。既存住宅ストックの活用が有効。地震保険は、建物構造の被災リスク評価を保険料に反映させるため現行の保険料率体系の見直しが必要。

 (yn)


(2000/12/03) 住宅再建支援法案 通常国会へ持ち越し 大蔵省が骨子反発

 超党派による「自然災害から国民を守る国会議員の会」(災害議連)は今月1日、総会を開き、今国会中の成立を目指していた被災者住宅再建支援法案(仮称)について、今後も引き続き検討を行い、来年の通常国会中に成立をはかることで合意した。

 会合で原田昇左右会長は、「大蔵、自治省などから法案の骨子に反発があり、実現できなかった」と説明。続いて議運メンバーが党内手続きの進ちょく状況について報告。「すべての住宅所有者から負担金を徴収するのは無理」という意見が自民党から出された。「総理がイニシアティブを取る政治判断がなければ、官僚の抵抗は乗り切れない」(石井一・民主党副代表)との意見も出た。柿沢弘治小委員長は「通常国会と同時に精力的に作業を進め、できるだけ早い時期に提出したい」とした。

(mv)


(2000/12/01) 国土庁の検討委報告書案 国に支援求める 公的支援実現に一石 

 国土庁の「被災者の住宅再建支援のあり方に関する検討委員会」(委員長=広井脩・東大教授)がまとめた報告書案が11月29日、明らかになった。
 
 地震などの自然災害で住宅が全半壊した世帯への住宅再建支援について、国に住宅所有者の相互支援策拡充を検討するよう求めた。政府はこれまで、「私有財産の再建は自己責任」として直接支援してこなかったが、報告書案は「大量の住宅が広域にわたって倒壊した場合には、地域社会の復興と深く結びついている」として、明確に国による支援の公共性を認めた。

 正式報告が来月中にまとまるのを受け、政府は来年1月に発足する内閣府を中心に、公的支援の枠組みを検討する。住宅再建によって二重ローンを抱えた際の返済の据え置き、金利引き下げなどの既存制度のほか、98年度末現在、加入率が15%にとどまっている地震保険制度を拡充するため、保険料率の細分化と、保険料の所得からの控除制度を新たに設けるよう求めている。また、民間賃貸住宅入居者への家賃補助制度の創設を提言した。

 ただ、具体的な「相互支援策」として、兵庫県などが求めてきた住宅所有者から一定額を徴収し、被害があった時に再建資金を支給する共済制度の創設については、報告書案は「さらに検討を要する」と述べるにとどめた。

 自然災害に対する保障制度を求める声は、95年の阪神大震災を契機に高まり、98年には当座の生活資金を支給する「被災者生活再建支援法」が成立した。この時、住宅再建支援は、個人資産の救済を行わない原則から慎重論が強く実現しなかったが、同法の付則2条で「総合的な見地から検討を行うものとする」としたため、今回の議論につながった。

 この間、超党派の国会議員で作る自然災害議連(原田昇左右会長)が、共済制度により850万円の再建資金を支給することを柱とした「被災者住宅再建支援法案」をまとめた。ただ、共済制度は、大規模災害の際の国費補助が予想されることから、大蔵省が強い難色を示している。掛け金の徴収法を巡っても、事務処理を担当する市町村から不安の声が上がっており、制度実現までにはなお曲折が予想される。

 住宅再建支援報告書案要旨
 11月29日明らかになった国土庁の「被災者の住宅再建支援のあり方に関する検討委員会」の報告書案(要旨)は次の通り。

 【被災者の住宅再建を検討する意義】
 住宅は単体としては個人資産であるが、大量な住宅が広域にわたって倒壊した場合、地域社会の復興と深く結びついている。被災者の住宅や生活の再建が速やかに行われれば、地域の経済活動が活性化し、その復興を促進することになる。

 【各段階における住宅再建支援策】
 (1)避難生活の段階(略)
 (2)仮住まいの段階(略)
 (3)垣久的な住宅確保の段階
   @持ち家再建の促進=二重ローン対策として、既往債務返済の据え置き、金利引き下げなど住宅金融公庫による措置を引き続き講じる。
A共助の精神に基づく住宅再建支援=相互支援制度の創設は、加入強制への理解、徴収事務費をだれが負担するかなどの課題があり、さらに検討が必要
B地震保険制度の拡充=リスクをより的確に反映した保険料率とする。地震保険を別枠で控除する制度の創設を検討する
C公営住宅等の提供
D民間賃貸住宅の活用

 (4)平時における対応(略)

 (fk)

 
(2000/11/26) 被災者住宅再建支援法で鳥取県知事と兵庫県副知事が激論

 鳥取県の片山善博知事は24日、兵庫県庁と神戸市役所を訪れ、鳥取県西部地震後の職員派遣など県市の協力にお礼を述べるとともに、「被災者住宅再建支援法案」について「自治体の任意加入がふさわしい」との持論を展開。全戸加入の保険制度を前提に再建支援策の実現を目指す兵庫県の井戸敏三副知事との間で激論を交わした。

 片山知事は、地震後、被災者の住宅再建に300万円を支給。自民党の災害対策委員会などで、超党派の国会議員で検討している「被災者住宅再建支援法案」に異論を唱えている。

 これを受けて井戸副知事が「住宅はあくまで私的なもの。保険で対応しないと」と水を向けると、片山知事は「市町村の任意加入に任せるべきだ。1軒1軒(の面積や負担金などを)特定して保険制度を全国的にやるのは難しい」と持論を展開した。

 さらに、片山知事は「今回、鳥取でやった支援を整備し、その費用の半分を国が出す、という仕組みをつくっておけばやリやすい。嫌だという自治体まで入れなくてもいい」と主張。井戸副知事は「国でやろうとすることを、自治体の任意でできるかどうか。大規模災害の再建の礎をつくるには、皆で支え合う仕組みがないと難しい」と反論したが、片山知事は「結局は首長の理解と見識、判断だ。地方分権の時代、自治体に任せればよい」と持論を展開した。

 (ek) 


(2000/11/19) 鳥取県知事、被災者住宅再建支援制度で自治体の任意加入を提案

 自民党の災害対策、地震対策両特別委員会は今月17日、党本部で合同会議を開き、超党派の国会議員で検討を進めている「被災者住宅再建支援法案」(仮称)について、片山善博鳥取県知事らから意見を聞いた。

 同知事は「国と自治体が半分ずつ財源を拠出して基金をつくり、被災者の生活再建に充てる制度の方がいい」と考えを述べ、基金に加入するかどうかは自治体の任意とし、加入する場合は、例えば県と市町村がそれぞれ4分の1を負担。負担分は固定資産税を増税して徴収する方が事務的にも簡単だと提案した。

 兵庫県の貝原俊民知事らは、全住宅所有者が加入し、固定資産税に上乗せして負担金を徴収するとした同法案の実現を求めており、片山知事は異論を唱えた形になる。

 また同知事は、鳥取県西部地震後、住宅再建に3百万円を出した特例措置について「被災地は中山間地域で高齢化率の高いところ。私有財産への文援ではなく、地域社会の維持のため」と説明した。

 (dr)


(2000/11/18) 住宅再建支援法案財源問題で兵庫県知事が固定資産税上乗せ徴収を求む

 超党派の国会議員らがまとめた「被災者住宅再建支援法」案にからみ、財源の一部を固定資産税と併せて徴収する方法を提案していることに対して全国市長会などが異議を唱えている問題で、兵庫県の貝原俊民知事は今月16日の記者会見で、「ほかにいい方法がない。納得してもらうよう働きかけたい」と述べ、市町村側に理解を求めた。

 同法案は先月中旬、超党派で作る「自然災害から国民を守る国会議員の会」が骨子をまとめ、地震などで家を失った被災者に対し、最高850万円まで支給することとし、財源の一部を、市町村が固定資産税に上乗せして徴収する方法を提案していた。

 これに対し、全国市長会、全国町村会が徴収方法をめぐって反発。「収納状況を把握するなど新たな事務の追加で、大幅な増員と膨大な経費が必要になる」として、異議を唱えていた。

 同法案の成立を後押しした全国知事会議での結論をふまえ、貝原知事は「提案した責任もあり、国会議員の議運まかせではすまされない。固定資産税に上乗せする徴収方法は合理的で、技術的にも解決できると思う。市町村側には納得してもらいたい」と話した。

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(2000/11/06) 扇国土庁長官、自然災害の個人補償に意欲

 扇千景国土庁長官・建設相は11月2日、閣議後の会見で、自然災害に伴う被災者支援のあリ方について「それぞれの自治体の対応を一義的なものとし、そのうえで国がどの程度補完できるか、ということだ」と述べた。国が自治体を介在させて事実上の「個人給付」の実施・拡充に含みを残したものと見れる。

 扇長官は、東海地方を中心とした秋雨前線豪雨災害の被害状況を説明。災害対策全般に触れ「被災者の個別の状況があるので一律に個人をすべて救うのは難しい。だが、家の片付けもできないお年寄リを含む弱者が、再び生活できる、気力がわく何らかの方法は必要」と続けた。

 さらに「政府が(被災者)個々に対応するのは行き届かないだろうが、自治体が考えてきたことに何ができるかは、今後の問題」と指摘。阪神・淡路大震災で、兵庫県が強く求めた「特別措置法」の制定を一蹴(いっしゅう)した国の対応とは一線を画したようでもある。

 次期内閣改造までの任期と見られる扇長官。記者側から「閣僚としての見解か」と聞かれ、「政府としても、一国会議員としても、党首としても考えなければならない」と言明した。

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(2000/11/04) 鳥取県、被災者住宅再建へ最高300万円を助成 全国初の公金投入

 鳥取県の臨時県議会は10月2日、鳥取西部地震で損壊した住宅を再建する被災者に最高300万円の助成などを盛り込んだ復興支援の279億円の補正予算案を全会一致で可決した。被災者の住宅再建に公的資金を投入するのは全国で初めて。

 同じ市町村で住宅を建て替える被災者に300万円を限度に県が3分の2、市町村が3分の1を助成する。提案理由で、片山善博知事は「被災者の生活安定には住宅の再建、復興が不可欠で、最優先の課題。建て替えや補修への補助金制度、産業の復興対策、公共施設の早期復旧など必要な経費を計上した」と説明し、理解を求めた。

 先月10日の知事専決の50億円と合わせ、地震対策の補正予算は329億円となった。復興支援では、住宅や石垣、壁などの補修にも最高150万円が補助される。住宅金融公庫などの融資には6年間、県が2.1%以内の利子補給をする。



(2000/10/29) 鳥取県、地震被災住宅液状化にも補助

 鳥取県西部地震で全半壊するなどした住宅の再建に、全国で初めて公的補助を打ち出した鳥取県は27日、液状化現象で地盤が沈下し、傾くなどした住宅の整地工事に対しても住宅復興補助金を支給することを決めた。阪神大震災で沿岸部の住宅などの液状化現象がクローズアップされたが、公的な支援策はなかった。また一つ、被災地間格差が表面化することになる。

 同県によると、液状化現象で補修が必要な世帯に対して最高100万円を補助。補修額が50万円以上の場合は県、市町村と本人が3分の1ずつ、50万円未満は県と市町村で折半する。

 同県内の住宅被告は4,500棟だが、中海に面した地域では液状化現象で地割れや陥没が起き、床が傾いたり基礎にひびが入ったりしている。干拓地に造成された米子市の安倍彦名団地では、全戸数の半数近くの80戸が、同市の富益団地では1割近くの23戸が、それぞれ応急危険判定で「要注意」と診断されており、ほとんど補修が必要。両団地の約9割の世帯が何らかの被害を受けており、公的支援を要望している。

 阪神大震災では、神戸市のポートアイランドや芦屋、西宮、尼崎の沿岸部や埋め立て地で液状化。芦屋市の埋め立て地「芦屋浜シーサイドタウン」では、戸建てを中心に665棟が傾いて全半壊の認定を受けた。住民は兵庫県に地盤改良など補修費の補償や補助を求めたが、被害を救済する措置は取られなかった。

 (rt)


(2000/10/21) 被災者住宅再建支援法実現にハードル

 国土庁の木下博夫事務次官は19日の記者会見で、超党派の「自然災害から国民を守る国会議員の会」が同日まとめた被災住宅再建支援制度案について「制度として確実なものにするには、まだクリアしなければならない問題点が多いと思う」との見解を明らかにした。

 木下次官は「住宅の所有関係や質など問題は広範にわたっている。固定資産税への上乗せで(負担金を)徴収する仕組みだと聞いているが、災害による被害の可能性が高いエリアと支給対象との間にずれが生じることもあリ得るだろう。多くの財源が必要な話でもあり、関係者が議論を重ねる時間が必要ではないか」と述べ、制度の中身を煮詰めるには時間がかかるとの認識を示した。

 被災者の住宅再建をどう支援するかの議論は、1995年の阪神大震災から続いている。同震災では6,435人が犠牲になったが、住宅・マンションも11万1千棟が全壊全焼、13万7千棟が半壊半焼、生き残った人たちにも生活の立て直しが重くのしかかった。

 自然災害議連(自然災害から国民を守る国会議員の会-原田昇左右会長、141議員)の法案は、住宅所有者同士の相互扶助と、国費での支援とを組み合わせたところに特徴がある。全国の住宅所有者から薄く広く掛け金を集め、地震、噴火など自然災害で住宅が全半壊した際には、850万円を限度に再建資金の半額を支給する。支給額の半分は国費で充当する。

 日本の財政原則は、個人資産の救済は行わないこととしてきた。このため、災害時に税の減免や低利融資は行われても、現金給付はなかった。この分、義援金が住宅再建の足掛かりの役割を果たし、雲仙普賢岳噴火や奥尻島の北海道南西沖地震では最高1千万円以上が配分された。

 だが、阪神大震災では被害住宅が圧倒的に多く、1世帯40万円の配分にとどまり、公的支援を求める声が高まった。高齢化の進む社会で、災害による経済的転落を本人の責任だけにしておいてよいのか、との議論だった。地震保険の普及率は低く、個人の災害への備えは進んでいないという背景もあった。

 鳥取県西部地震では、「国の制度と現実の間にはギャップがある」として、同県と市町村が住宅建て替え費を300万円、補修費を百万円まで補助する支援策を全国で初めて打ち出し、注目されている。

 自然災害議連は、大規模な住宅再建は社会復興であり、結果的には税収として資金は回転するとして、従来の財政原則を変るよう求めてレる。だが、巨額の支出を伴う可能性があることから大蔵省は反対している。また、マイホームを持たない人との公平性や、耐震構造の住宅と老朽住宅との差をどうするかなど、議論すべき点は多い。大多数の住宅所有者が掛け金を納付する制度が永続するかという問題もある。

 住宅再建支援を巡っては、全国知事会が共済制度の創設を国に求めているほか、国土庁の「被災者の住宅再建支援のあり方検討委員会」(委員長=広井脩・東大教授)も来月中の報告書作成に向け議論を続けている。

 日本列島は、太平洋の下にあるプレート(巨大岩板)が地球内部に潜り込む位置にある。このため、巨大地震が100〜150年ごとに起きており、その前後には内陸の活断層が直下型地震を何度か起こす。鳥取県西部地震では未知の活断層が動き、日本列島は新たな地震活動期に入ったと考えられている。

 大地震は過去、社会変動の遠因にもなった。地震に強い街づくり、救援体制の整備などと同時に、災害を個人の運不運で割り切ったままでよいのか、真剣に考えるべき時期にきている。

(qz)


(2000/10/20) 被災者住宅再建支援法案骨子まとまる

 超党派の国会議員による「自然災害から国民を守る国会議員の会」(会長=原田昇左右・元建設相)は19日、自然災害で全半壊した住宅の再建を支援するため、最高850万円を支給する「被災者住宅再建支援法案」の骨子をまとめた。

 支援額は、住宅の床面積(上限は100平方メートル)に応じ、1平方対当たり17万円を「新築価格」とし、地震などによる全損はその二分の一、半損は六分の一を支給する。住宅を再建しない場合も、再建する場合の3分の1を支給する。

 早ければ臨時国会中の提出を目指すが、政府は私有財産への公的資金投入に慎重な姿勢を崩していない。固定資産税に上乗せした掛け金徴収にも、地方自治体から反対の声が出ている。

 「被災者住宅再建支援法案」(仮称)の骨子

目的
 自然災害で住宅が著しい被害を受けた被災者に対し、相互扶助の観点から住宅所有者の負担金によリ設けた基金を活用して住宅再建支援金を支給する

支給機関 支援金の支給事務は市町村が行う

支給対象 自然災害で住宅が全壊、半壊した場合に支援金を支給する。原則として負担金が未払いの被災者を除く

要件の認定 自然災害の認定、全・半壊の認定は市町村が行う。認定に不服がある場合は審査請求ができる

支給金額 住宅を再建する場合の支給金額は17万円(新築に必要な1平方メートル当たりの単価)に従前住宅の床面積(上限100平方メートル)を掛けた金額を基準とし、地震による全壊はその2分の1、半壊は6分の1、風水害の場合は地震の2分の1とする。再建しない場合の支給金額は再建する場合の3分の1とする

財源 財源の2分の1を住宅所有者から徴収した負担金で賄う。国は支給に際し2分の1を負担する

負担金 負担金は年間、25円に住宅の床面積(100平方メートルを上限)を掛けた金額とする。徴収は市町村が固定資産税と併せて行う

事務 支援金に関する事務は国が最終的に責任を持ち、経費は国が負担する

基金 支給事務を行う「被災者住宅再建支援基金」(仮称)について必要な事項を定める。大規模災害などで資金が不足する場合は、必要額を借リ入れることができる




(2000/10/13) 住宅再建法案の所有者負担1平方メートルあたり年25円

 共産党を除く超党派の「自然災害から国民を守る国会議員の会」(災害議連)の被災者住宅再建促進小委員会が10月11日、開かれました。被災者住宅再建支援法案(仮称)の骨子案を検討し、支援金の財源として、半分を国が負担し、半分を住宅所有者から掛け金として徴収することを承認しました。

 住宅所有者が年間に負担する金額は1平方メートルあたリ25円、固定資産税と併せて徴収する負担金は目的税的なものとして基金に積み立てる、などで合意しました。

 議運は、過去100年間の災害を参考に、今後100年間の支払総額を16兆円と想定し、年間1,600億円を必要な金額として算出し、住宅所有者1人あたりの負担金額を割リ出したものです。

 例えば床面積が80平方メートルの住宅所有者の場合、25円を乗じた2,000円が年間負担金となる。負担額、支給額とも上限を100平方メートルとなります。また、固定資産税に上乗せして徴収するため、負担金は「限りなく税に近い」(議運メンバー)性格となる見通しです。

 骨子案は、負担金未払い者への対応や徴収事務費の軽減化などの細部を検討した後、19日に議連総会を開いて正式に決定。今国会中の法案提案に向け、各党の党内手続きや大蔵省など関係省庁との折衝に入ります。

 柿沢弘治委員長は「鳥取県西部地震も発生した。地震災害はひとごとでないと国民に感じてほしい」と述べています。

 (dr)


(2000/04/30) 災害被災者の自宅再建支援制度案の骨格

 超党派の国会議員でつくる「自然災害から国民を守る国会議員の会」(会長=原田昇左右・元建設相、154人)は28日、衆議院第一議員会館で開いた総会で、阪神大震災を教訓に、自然災害で住宅を失った被災者に再建費用の一部を支給する「被災者住宅再建支援制度」案の骨格を決めました。次期国会にも議員提案し、立法化を目指しています。

 同会によると、同制度の対象者は地震、火山噴火などすべての自然災害で被災した住宅の所有者。地震などによる全損の場合、1平方メートルあたり85,000円(上限100平方メートル)、風水害による全損の場合はその半額を公費で負担するとしています。

 同会は過去100年間の自然災害の発生状況を基に、今後100年間をシミュレーションし、支払総額を16兆円と想定。負担割合は都道府県、市町村が各4分の1、国が残り2分の1で、都道府県と市町村はそれぞれ毎年400億円を拠出することを考えています。

 住宅再建をめぐっては、兵庫県や全労済協会など4団体でつくる「自然災害被災者支援促進協議会」が、住宅所有者全員が拠出金を積み立てる共済方式と公的資金を組み合わせる基金制度を提唱しており、同国会議員の会も検討していましたが、拠出金の徴収が困難として断念、今回の案となりました。





(1999/06/27) 被災者支援へ新法「生活基盤回復援護法案」を

 被災者への公的支援で市民立法案を提起した「市民=議員立法推進本部」(小田実代表)は6月27日、神戸市内で国会議員らを招き、新たな支援法「生活基盤回復援護法案」の実現に向けた第1回の集会を開きました。小田代表は「国が責任を持って被災者を支援するシステムをつくりたい」と訴えました。

 同援護法案は、昨年成立した被災者生活再建支援法では不十分だとして、今年1月に小田代表らが新たに提案したもので、年齢や所得に関係なく最高で5百万円を支給、住宅再建や補修、生業再建のための貸し付けをうたい、援護措置をスムーズに講じるため災害援護庁の創設を打ち出しています。

 集会には民主、共産の国会議員のほか、兵庫県、神戸市などの地方議員、被災者ら約100人が参加。民主党の災害対策部会長
を務める本岡昭次参院議員は「市民=議員立法の運動は歴史に残る仕事だったが、できた支援法は、所得制限を設け金額的にも不十分な内容だった」と挨拶し、「新たな法律だけでなく、現行の支援法改正、被災地の復興基金の事業見直しなど、さまざまな取リ組みが考えられる。市民と議論しながら、党を動かしていきたい」と語りました。

 また、共産党の藤木洋子衆院議員は「これからの運動は、支援法をつくった時以上の力がいる。被災地から政党の垣根を越えた戦いを広げていかねばならない。今は生みの苦しみの時期」と語りました。これらの議員の発言を受けて小田代表は「支援法成立で被災者の生活基盤の回復には公的支援が必要だというコンセンサスはできた。援護護法案はたたき台。これを土台にし、もう一度市民と議員が一緒になって新たな仕組みをつくる運動を広げていきたい」と今後の取り組みをアピールしました。




(1999/02/26) 生活基盤回復援護法国会説明会
 
 「生活基盤回復援護法」の成立を求めている「市民=議員立法実現推進本部(小田実代表)など三つの市民団体は、国会議員に向けた法案説明会を来る3月12日、東京の参院議員会館で開くことを明らかにしました。超党派の国会議員による協議会を発足させ、通常国会中の議員提案を目指すとしています。

 衆参計752人の国会議員に文書を郵送し、説明会では、法案作成者の一人の伊賀興一弁護士らが内容を説明し、賛同者を募ります。これに先立ちメンバーは今月中旬、野中官房長官や鳩山民主党幹事長代理、土井社民党党首、志位共産党書記長らに会い、法案趣旨について説明しました。

 小田代表は、「被災者の救援には公的な支援が必要で、今の支援法では不完全、という共通認識が出来たと思う。3年前のように、この法案を土台に練り上げていく。議員立法の実現の可能性は大いにある」と話しています。この「生活基盤回復援護法」では、所得制限を設けず全壊世帯に最高500万円の支給、事業所への支援、災害対応の国の機関の設置などを定めています。
 

議員立法実現推進本部が発表した「生活基盤回復援護法案」の援護資金、貸付関連条文の要旨は次の通り。

第一条 略
第二条 (定義)この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一、自然災害  暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象により生ずる被害。
二、被災者  自然災害により、住宅または生業に被害を受けた個人か世帯。
第三条 国は、次の被災者に対し、公的援護金を支給する。
一、生活基盤回復援護金
1.住居が全、半壊し、解体した場合、住居、生活必需品等生活基盤回復の援護金として、個人百万円、三人以下の世帯3百万円、四人以上の世帯5百万円。
2.住居が半壊し、補修した場合、生活必需品等生活基盤回復の援助金として、個人50万円、三人以下の世帯150万円、四人以上の世帯250万円。
3.住居が一部損壊の場合、個人上限30万円、三人以下の世帯、同百万円、四人以上の世帯、同150万円。
二、生業基盤回復援護金
1.小規模の事業に必要な器具、資料について全損の被害を受けた場合、500万円を上限。
2.全損の被害認定に至らない場合、300万円を上限。
三、住宅再建資金等の貸付
1.住宅再建資金  限度額2,000万円、償還期間30年、据置期間10年、金利は年率2%を超えることはできない。
2.住宅補修費  限度額5百万円、償還期間15年、据置期間5年、金利は1.に同じ。
四、中小企業事業再建資金の貸付  対象は事業に損害を受け、経営不能となった資本金、出資金が3,000万円以下で、従業員が100人以下の会社、個人。 限度額1億5千万円、償還期間30年、据置期間10年、金利は年率3%を超えることはできない。 
五、援護金の支給と資金の貸付は併給できる。  

以上の他に「援護措置の実施機関として『自然災害被害者援護庁』を設置し、情報公開を徹底する」、「援護措置予算はすべて補正予算で対応する」、「阪神・淡路大震災被災者に対して、本法と同様の措置をとる」 などを骨子としています。



(1999/01/19) 「生活基盤回復援護法案」 作成さる 

 昨年成立した自然災害における 「被災者生活再建支援法」 だけでは内容が不十分だとして、市民団体が新たな公的支援法案を作りました。 この法案は、「国による自然災害被災者の生活基盤回復等を促進するための公的援護措置法案(生活基盤回復援護法案)」 といい、現行法にある所得や年齢の制限はなく、半壊や一部損壊世帯も対象で、「あらゆる災害のあらゆる被災者が対象」 としています。 去る13日の記者会見で、関係者は 「現行法は国の責任が明記されていない。 まず国が被災者を救うべきだ」 と繰り返しました。

 昨年11月に施行された 「被災者生活再建支援法」 については、「都道府県の相互援助を根拠とし、要援護世帯に限定した福祉法」 と位置づけ、新たな法案で広く被災者の救済を図ることを目的としています。

 法案を作ったのは、市民=議員立法実現推進本部(作家の小田実代表)、「公的援助法」 実現ネットワーク (中島絢子事務局長)、被災者市民フォーラム (佐々木康哲事務局長) の三団体です。 小田氏らは現行法の成立に先立ち、阪神・淡路大震災の被災者への遡及適用を盛り込んだ 「災害被災者等支援法案」 (市民案)を提案しており、今回は公的支援法案の第二弾になります。

 新法案の 「生活基盤回復援護法」 は、現行法が都道府県の基金を基に支給されるのとは違い、国が主体となるのが大きなポイントになります。 また、現行法の支給に重ねて支給するのが念頭にあります。 小田氏は 「まず国が最低限の支援をし、次に都道府県が支援する。最後に義援金という3本立てでこそ、安全に暮らせる社会だ。 民主主義社会を支える市民生活が壊れれば国家も壊れる」 と強調しています。 法案をとりまとめた伊賀興一弁護士は 「法案が通れば、何年間も仮設住宅に住むことはなくなる」 と話しています。

 今回の法案は現行法と同じく大震災の被災者には、遡及させない。 しかし、佐々木事務局長は 「この法案を全国に提起することで、阪神・淡路大震災の被災者にも大きな後押しになる」 としており、中島事務局長も 「現行の公的支援には不公平感がみなぎっており、この法案が一つの答えになる」 と、法案を意義づけています。 今後、衆参両院の国会議員に法案を送付し、協力を仰ぐ方針です。小田氏は「議員の中には、前回を踏まえて完全な法案を作ろうという共通意識があり。今度はやりやすい」と話しています。






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