のら
どっぐ
りたーん
のら DOG
***今回の話はうんこ話だから食事中の方は注意するよろし***
野良犬
この言葉を聞かなくなってから何年立つのだろう・・・
俺がガキの頃はまだ、野良犬はポピュラーな生物だった。
幼稚園に上がる前に野良犬に追いかけられるという、
伝統行事も体験した。
この時味わう恐怖はそれは恐ろしいものであった・・・
とにかく、俺がガキの頃はまだ、野良犬はポピュラーな生物だったのである。
そして、野良犬がポピュラーという事は野良うんこもポピュラー
なのである!!
冬は雪で一面、白一色に染まる北海道。
観光客には美しいと喜ばれる。
しかし!!
春先には雪が解け始め、
雪の中から埋まって隠されていた大量の野良うんこが
「今日は」するのだ!!
冬の「白」は春の「黄土」の前兆でしかない。
それが北海道の現実なのだ。
春の惨事を回避すべく、また日頃の安全を確保すべく、
中学生の男子達は夏から冬にかけて野良うんこ狩りを始める。
各々が今や発禁扱いとウワサされる「爆竹」を片手に街を練り歩く。
野良うんこを発見したら直ちに、爆竹で爆破するのだ!!
この爆破作業は非常に注意を要する。
野良うんこの硬度を見過ってはいけない。
柔らかすぎるものを不用意に爆破すれば、己がうんこまみれになってしまう。
逆に硬いものは爆破時に強烈な毒ガスを撒き散らすのである。
非常に危険な作業だが、こうして、世にはびこる野良うんこを
駆逐して始めて安心して暮らせるのである。
中学生がそんな戦いをしている時、俺達小学生は無邪気だった。
公園で「いろおに」やら「たかおに」等で無邪気に走り回っていた。
そう、この一帯全ての野良うんこは駆逐済みである事を信じて。
しかし、それは間違いだった。
いつのまにか野良うんこはそこに存在していたのである!!
「あぁっ!!」
ずるっ!!
オニから逃げるべく、走っていた石倉(仮名)がいきなり転倒した。
「どうした、どうした?」
と皆、石倉(仮名)の周りに集まる。
石倉(仮名)「うんこ、踏んだ?」
「うわ、きったね?」
「はやく、靴洗って来いよ?」
俺達は仲間だ。
うんこの一つや二つ踏んだところで仲間はずれになんかしない。
男の友情は鉄より硬いのだ。
石倉(仮名)「うん、ちょっとまってて・・・」
と、石倉(仮名)が立ち上がった時!!
「うわぁぁぁぁっ!!」
皆、戦慄した!!
石倉(仮名)が踏んだうんこはやわらかく、
そしてあまりにも巨大だった!!
うんこは石倉(仮名)を転ばせるだけではあきたらず、
更にはズボンにベローンとその傷痕を残していた!!
石倉(仮名)のズボンはうんこズボンになってしまった!!
「バーリヤ!!」
「バーリヤ!!」
(「えんがちょ」と同じ意味だと思ってくれ。)
鉄より硬い友情はこの時、うんこより柔らかくなった!!
途方にくれる石倉(仮名)を残し、俺達は逃げた。
そして翌日、小学校にて。
いくらなんでも、皆で逃げるのはひどいよな・・・と言う事になった。
悪いのは石倉(仮名)ではなく、うんこだ。
糞を憎んで人を憎まず。
そして石倉(仮名)が登校してきた。
明るく声をかけようとした時、皆固まった。
「・・・それ、昨日のズボン?」
石倉(仮名)「うん、そうだよ。」
幾ら洗ったとは言え、翌日にうんこズボンはないだろ?!
「バーリヤ!!」
「バーリヤ!!」
俺達はその日一日、石倉(仮名)から逃げ回った。
うんこに翻弄される男、石倉(仮名)・・・(涙)
今では野良犬も少なくなった。
安心して暮らせるというものだ。
しかし、油断してはいけない!!
ほら、君の足元にも野良うんこが・・・
りたーん