みっどないと・ちぇいす
 
りたーん
 

 
ミッドナイト・チェイス
友と俺は「さばいばる・げーみゃー」だった。
「さばいばる・げーみゃー」とは?
「えあがん」を使いびーびー弾という直径6ミリのプラスチック弾を
パカランパカランと打ち合う人間達の呼び名であ〜る。
高校時代、俺達の周りには「さばいばる・げーみゃー」が
くさるほどいたのである。
 
「さばいばる・げーみゃー」は戦場を(余り)選ばない。
高校時代は北海道の小樽という田舎に住んでいたので。
バトルフィールドは豊富だった。
野外戦はもちろん、作りかけの住宅地での市街戦、
廃虚となった工場での室内戦、
あげくのはてには休日に学校の一部屋を占拠して打ち合いもやった。
びーびー弾で黒板がへこんだのは内緒だ。
 
「さばいばる・げーみゃー」は行動時間を(余り)選ばない。
明るい昼間の戦いに飽きると夜間戦がはやる。
もっとも夜の山は暗すぎるので戦闘は明け方に行われるのだが。
一時、真剣に当時15、6万円したイスラエル製ナイトビジョンの
導入も検討したがあほくさいのでやめた。
草の露で濡れようが、鶏の鳴き声が緊張感を削ぎ落とそうが、
俺達は戦う。
散歩に来たじいさんが俺達を見て逃げていったのは内緒だ。
 
「さばいばる・げーみゃー」は季節を(余り)選ばない。
春、夏、秋はもちろん、雪積もる冬も俺達は
スキーウェアに身をつつみ山に集まるのであった。
雪山を走るのは夏の10倍は体力を使う。
雪を踏みぬいて川にはまる。
こける。
動けなくなる。
「たすけちくり〜」
助けを呼ぶ。
はたから見ればただの馬鹿。
しかしこれが「さばいばる・げーみゃー」なのである。
ゲーム後、木の皮を剥いでたき火しながら
ウイスキーを回し飲みしたのは内緒だ。
 
そんな、ないすなげーみゃー人生を送っていた俺達だったが
高校卒業後は皆ばらばらになり、ゲームを行うこともなくなった。
しかし俺達は札幌にて某玩具屋の店員さんと仲良くなり、ゲームを行っていた。
しかし向こうは社会人、なかなか及びがかからない。
仕方なく、夜中の中島公園で二人、空缶を撃って遊んでいた。
そんなある晩の事である。
 
とっとっとっとっと・・・
夜中の2時ごろに女子高生がセーラー服で公園を走りぬけていった。
程なくしてヤンキーが二人走ってきた。
どうやらその女子高生を追っていたらしい・・・
が、見失ったらしくごみ箱に八つ当たり。
俺達の方を見たが、何事も無かったかのように去っていった。
真夜中のおいかけっこ。
逃げる女子高生に追うヤンキー
俺「おいおい、今の怪しいよな〜」
友「怪しいな〜」
二人でうんうん、とうなづき合う。
 しかし・・・今なら思う。
夜中に公園で迷彩服着て銃を撃ってる
俺達の方が明らかに怪しい。(笑)
 


 
 りたーん