そのなはひのまる
 
りたーん
 

 
その名は日の丸
由緒正しき小型犬の雑種「吉田=G=日の丸」はうるとらまんしょんの住犬となった。
寝食を共にする身として俺達は日の丸に我が家のルールを叩き込まねばならなかった。
 
まず最初に教えたのはトイレだった。
「よいか日の丸。
 まろたちは御前様の為に素晴らしい便器を用意した。
 心行くまで排泄するがよい。」
指差す先には御犬様専用便器が神々しく設置されていた。
しかし日の丸の答えはこうだった。
「妾はあのような便器は好みませぬ。
 しかし、せっかく妾の為に用意した便器、放尿はしてさしあげましょう。
  なれど、脱糞だけは妾の好きな場所でさせてもらいますわん!!」
ぷりっ!!
この行いに俺達は戦慄した。
油断すれば「糞を踏みし者」になって恐怖。
確実に寿命がちぢむ。
俺達が幾ら哀願しても、日の丸は最後の最後まで己の脱糞道を貫いた。
 
脱糞僻のある日の丸も犬である。
犬たるもの、芸の1つや2つ、と思い、
友は寝る間を惜しんで芸を仕込んだ。
そして数日後、その成果を俺に披露してくれた。
友「お手っ!!」
シタッ!!
日の丸は右前足を手に乗せた。
素晴らしい!!
友「おかわりっ!!」
シタッ!!
日の丸は右前足を手に乗せた。
おい。
友「ちんちんっ!!」
シタタッ!!
日の丸は両前足を手に乗せた。
「妾の芸、素晴らしいでしょう?」
得意げにしっぽを振る日の丸にかけてあげる言葉を
俺は見つけることが出来なかった。

脱糞僻があり、芸の覚えも悪い日の丸は人が好きだった。
友はうるとらまんしょんと専門学校が近かったため、
良く友人を連れてきていた。
その度に日の丸ははしゃぎまわっていた。
日が経つにつれ、その友人も日の丸となじみになり
日の丸もはしゃぐことは無くなっていた。
そんなある日、いつもは外に遊びに行く俺が珍しく数人の友人を連れてきた。
「あら、新顔ねん!!」
日の丸ははしゃいだ。
走る!!
吠える!!
飛びまわる!!
よほどうれしかったらしい。
そんな日の丸に俺もうれしくなった。
「そうか日の丸!!そんなにうれしいか!!」
そういって俺は日の丸を抱き上げた。
ちゃ〜〜
日の丸放尿
漫画のような展開。
友人大笑い。
くぉ〜の、ばか犬がぁ!!(笑)
 
脱糞僻があり、芸の覚えも悪く、おまけにうれしいと放尿してしまう
由緒正しき小型犬の雑種「吉田=G=日の丸」は「ばか」である。
だがしかし、「ばか」ゆえに可愛いのである。



 
 りたーん