−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 7.モンスター −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【アールヴ】  アールヴ(alfr,aの上に点)とは古代ノルウェー語で「妖精」を表す語である。北欧  神話では様々なアールヴが登場するが、特にデックアールヴはドワーフと同一視さ  れる。エルフ(elf)と言う言葉はこのアールヴからきている。 【アラクネ】  アラクネ(Arachne)は「クモ」または「紡ぐ人」を意味しているといわれている。  元々はアテナ(Athene)の添え名であったといわれており、古代の叙述家がアテナの  イメージを誤解してアラクネ伝説を作ったとされている。アラクネは元は人間の娘  で、織物の技術がアテナより優っていた。それを自慢したアラクネはアテナによっ  てクモの姿に変えられたという。 【イカロス】  ギリシア・ローマ神話に登場。ダイダロスの子。ミノス王の怒りを買いダイダロス  と共に迷宮内に幽閉されたイカロスは、父にロウでできた羽を作ってもらい脱出に  成功した。しかし、父の警告を忘れ、あまりに高く飛翔したために太陽の熱で翼が  溶けてしまい海に墜落してしまった。その海は後にイカロス海(イカリオス海)と呼  ばれるようになったという。 【インプ】  インプ(imp)はイギリスの妖精で、いたずら好きという。体は小さく、大きくても  子供くらいで、小さい者は親指程度であるという。元々、古英語で新芽や子供を表  す(impe)からきている。16世紀には悪魔の「落とし子」といわれ初め、角とコウモ  リの羽を付けられた。 【ウーズ】  ウーズ(ooze)は「ドロドロの泥」という意味で、モンスターとしてはスライムと同  様に扱われる。「スライム」の項参照。 【ヴァナディース】(Vanadis)  北欧神話における美と戦いの女神フレイア(Freya)の異名。また、女神に仕える女戦  士もこう呼ばれる。金属元素バナジウムの語源でもある。 【エアリアル】  シェイクスピアの創出した二大妖精の一人。魔女シコラクスの召使いをしていたが、  12年間木に閉じこめられる。大公の地位を追われたプロスペローに救出してもらい、  期限を定めてプロスペローの奴隷となった。大公の地位を追われ、そのことに復讐  を誓っているプロスペローのために身を粉にして働き、プロスペローが復讐相手を  許した後、エアリアルはかねての希望通り自由の身になる。 【エキドナ】  エキドナ(Echidna)とは「まむしの女」の意味を持つ、スキタイ地方の女神である。  ギリシア神話では多くの怪物の母として登場し、上半身は美女、下半身は大蛇とし  て描かれている。エキドナの子として有名な怪物に「ヒドラ」「キマイラ」「スフィ  ンクス」「ケルベロス」などがおり、彼女の夫の一人に台風(Typhoon)の語源となっ  た「テュポーン」がいる。 【オアンネス】  メソポタミア神話に登場する。魚の皮をかぶった人間のような姿をしており、人々  に様々な知恵を授けた種族。昼間は陸で法律や建築法などの様々な知恵を授け、夜  は海に帰っていった。この行為は7日間にもおよび、わずかその間にすべての文化  を人々に授けたと言われている。 【オーガ】  オーガ(Ogre)は、中世騎士物語にしばしば登場する怪物でオーグルとも呼ばれてい  る。人間を取って喰うという凶悪な性質を持っており、また自由に変身する能力も  持っていたといわれている。その名の由来はローマの死の神オルクスからきたとい  う説と、北欧神話の主神オーディンの別名ユッグ(Ygge)からきたという説がある。 【鬼火】  鬼火は普段青白く光っているが、一度標的を見つけると真紅に燃え上がり、必ずそ  の人を焼き殺すといわれている。単に彷徨っているだけで人間を恨んではいない人  魂とは異なり、恨みの固まりとしてこの世に現れる。鬼火は決して幻想界だけの住  人ではない。死んだ人間を土葬すれば、人体の構成物質であるリンが土の中に蓄積  されていくことがあり、このリンが自然発火したものが人魂や鬼火と呼ばれている  「火」である。 【ガーゴイル】  キリスト教の寺院の屋根に、醜い姿をした怪物の像が備え付けられていることがあ  る。この像こそガーゴイルである。かつてガーゴイルは雨樋の出口に置かれていた。  雨水は雨樋を伝ってガーゴイルの喉元に集まり、くちばしから地面に流れ落ちる。  ガーゴイルという言葉は古フランス語(gargouille)の「喉」という単語から来たも  のである。ちなみにキリスト教によって悪魔におとしめられた異教の神々がモデル  になっている。 【カーペンター】(carpenter)  英語で大工(モンスターのカーペンターも回転ノコギリを持っている)の意。また大  工という職業を語源とした一般的な姓でもある。映画ファンの間では、「ハロウィ  ン」等ホラー映画の得意なジョン・カーペンター監督が有名。一方、ホラー映画で  白マスクに回転ノコギリの殺人鬼というと「十三日の金曜日」。ただし、こちらの  監督はカーペンターでなくてショーン・S・カニンガム。 【ガスト】  しばしば「ゴースト」と混同されているが、全くの別物。具体的な語源などは不明  であるが、どうやら現代英語の ghastly(身の毛もよだつ)と語源を同じにしている  ようだ。しかし、これは断定ではなく、gust(突風、燃えさかる炎)を語源としてい  るという説もある。 【かまいたち】  かまいたちは、文字通り「鎌を持った鼬」が人体を切り刻むと考えられていた現象  である。地方によっては「鎌を持った鼬」ではなく、「3人の神」という伝承もあ  る。この「3人の神」説は面白く、その内容は一人目の神が風を呼び、二番目が傷  を付け、三番目が薬を塗ってくれるので痛くないという。この現象は実際に存在す  る。簡単に説明すれば局所的な気圧などの変化で風があたかも鋭利な刃物のように  振る舞うため、人体などに傷が付くのである。 【観音】  観世音菩薩の略称。救いを求めている人々を救済するという菩薩。聖観音(ショウカ  ンノン)の他に千手、十一面など、その姿によって多くの呼び名がある。元々は中国  の太母で、「子孫繁栄」を意味しているといわれ、常に自らの子宮を瞑想していた  といわれている。 【キマイラ】  キマイラ(Chimaira)はギリシア神話に登場する奇獣。ホメロスのイーリアスによっ  てその姿が紹介されているが、その中に「前方は獅子、後ろは大蛇、真ん中は山羊  の形をなしている」とある。初期のキマイラはヒッタイト文明の遺物の中に描かれ  ており、その存在は周辺の文化に大きな影響を及ぼした。 【グリフォン】  グリフォン(Griffon)は、ラテン語でグリュプス(Gryphios)と呼ばれており、その語  源は「曲がったくちばし」という意味の単語(羅:Gryps)からきているといわれてい  る。一般的に、その姿は鷲の頭と翼と前足を持ち、胴体はライオン、尻尾は蛇とさ  れているが、地方によってその姿は大きく異なっている。グリフォンの起源は前17  〜18世紀頃のインドといわれており、当時のタペストリーの中にその姿を見ること  が出来る。 【ケルベロス】  ケルベロス(Kerberos)はエキドナの子としてギリシア神話に登場し、冥府の番犬と  して描かれている。外見は3つの頭を持ち、尻尾は蛇といわれている。しかし、首  の数には異説が多々あり、多いものでは100もの首を持っていたという。ギリシア神  話の有名なエピソード「ヘラクレスの十二業」の最後の功業で有名である。 【ゴースト】  Ghostとは、幽霊、亡霊、死霊などの総称である。語源的にはドイツ語のGeist(ガイ  スト)から来ているといわれており、ガイストとはもともとハロウィンなどの儀式に  招かれる先祖の霊を意味している。また、英語のguest(客の意)もこの言葉に由来し  ている。 【ゴブリン】  ゴブリン(Goblin)は、オーガなどとは異なりいたずらばかりしている子鬼である。  また、ホブゴブリンのように人間の手伝いをせず、人を不幸にすることばかり考え  ているといわれている。ゴブリンの一種にコボルト(独:Kobold)という種族がいる  が、このコボルトは良い金属を盗み、役に立たない金属を置いて帰るといわれてお  り、その役に立たない金属のことを「コバルト」というようになったらしい。ちな  みに現在は、コバルトは非常に有用な金属で、合金の材料となっている。 【ゴールデンバウム】  田中芳樹著「銀河英雄伝説」の初代銀河帝国皇帝ルドルフ・フォン・ゴールデンバ  ウムによって築かれた王朝の名。後にゴールデンバウム王朝を滅ぼしたラインハル  トを創始者とするローエングラム王朝と区別してこう呼ばれる。 【サンダイバー】  デイビッド・ブリンのSF小説に同名のタイトルがある。 【地獄の壁】  スクウェアのドラマチック・シミュレーションRPG『フロントミッション』に登  場する、やたらと強い敵部隊。USN(ニューコンチネント合衆国)軍最後の切札。  軍の精鋭パイロット6人からなる。OCU(オシアナ共同連合)機動師団2個分もの  戦力を持ち、鉄壁の防衛力を誇る。その戦いぶりは冷酷無比。得意とする戦法は、  2人1組で中央のチームを囮に敵を誘い、左右のチームが同時に敵を攻撃する「デ  ルタアタック」。彼らの使用するヴァンツァー(パイロットが中に入って操縦する  タイプのロボット。これのセットアップがゲームの楽しみの1つ)の愛称が「地獄の  壁」メンバーの名前になっている。また、スピード、ダブルなど得意技も共通。 ※マッドブル  パイロットは隊長グリーグ・デミートリアス。スキンヘッドの筋肉おやじ。力こそ  すべて、という考え方の持ち主。破壊することに何よりも喜びを感じている冷酷な  人物。自分の部隊に地獄の壁と名付けるなど、絶対的な自信を持っている。 ※ダンデライオン  パイロットはミリガン・アシュトン。金髪美形。元モデル。頬の傷がもとで入隊。 ※ハッピーラング  パイロットはリーバス・ビクター。黒人。音楽を愛し、鼻唄まじりで戦うことも。 ※ウィナー  パイロットはデイブ・スターリング。自惚屋だが、戦闘能力は高い。 ※ナッシング  パイロットはゲッタ・セドリック。偵察などを担当。性格は極めて残忍。 ※ストレイキャット  パイロットはジョシー・ダリン。常に人を見下した態度をとる嫌味な奴。 【シュリーカー】  シュリーカーは文字通り「叫ぶ人(Shrieker)」の意味がある、悲鳴で有名な妖精で  ある。シュリーカーの叫び声を聞いた者は、ほとんど死に至ると言われている。 【ショック】  イギリス東部の伝承に登場する悪戯獣で、馬やロバ、犬などの姿に変身できる。  ショックにまつわる古い話は多く残っているが、それらはすべて人間を驚かせるな  ど、何らかの危害を加えている。 【人狼】  狼人間のこと。狼が住んでいる、もしくは住んでいた所には必ずと言っていいほど  人狼伝説がある。どこの伝承にも共通していることは、彼らは夜になると人から狼  へ変身するということだ。人狼伝説の起源はトーテミズムに発祥していると考えら  れる。例えばアメリカインディアンの一部には自分たちが狼などの猛獣であったと  いう伝承が残されており、またジンギスカンの祖先もボルテ=チノ(灰色狼を表す  モンゴル語。蒼き狼と訳す説もあるが俗説)と呼ばれていた。人狼に噛まれると人  狼になるという伝承も残されているが、この伝承の起源は狂犬病にあるといわれて  いる。 【スケルトン】  スケルトン(Skeleton)とは、動く白骨のことをいう。西洋芸術では、しばしば死の  舞踏(Dance Macabre)が扱われるが、これは身分の上下に関わらず、皆で輪になっ  て踊っているというものである。勿論、この踊っている連中はすべて白骨なのだが  ・・・。この死の舞踏は身分の上下を問わず、すべての者に死は訪れるということ  を表しているといわれている。 【スパイダーローズ】  ブルース・スターリングに同名の小説がある。  (ハヤカワ文庫)「蝉の女王」に収録 【スプラッシュ】  1.splash=水、泥などをはねかす、はねかける。(はねかけて)濡らす、汚す。       はねかし、とばしり、しみ、はね。  2.ロン・ハワード監督、トム・ハンクス主演の映画に同名のタイトルがある。 【スライム】  ジョゼフ・ペイン・ブレナンの著書「スライム(Slime 1953)」に登場する半流動状  の怪物。スライムは海底に住み、あらゆる生命体を吸収し、同化する。なお、スラ  イムとは、「きたならしい粘液」の意味である。また、このような粘液状の怪物の  呼び名として「アメーバ(amoeba)」「ウーズ(ooze)」などがある。 【タオマスター】  タオマスターを直訳すると、「タオを自由に使う能力のある者」となる。タオとは  中国語で「道」のことであり、中国人の根元思想である道教と深く関わっている。  『老子』によると、タオは物質的な天空に自身の姿を投影し具象化している宇宙の  精神のようなものとあり、「天道」と考えることができる。『国語』の中には「歳  星が再び寿星の次に巡ってくるとき、諸侯を制覇することになるというのが、天道  なり」という言葉があり、占星術的運命論とみなすことができる。 【天狼】  ヨーロッパでは月と狼が何らかの関係があると考えられていた。特にスラブや北欧  では日食や月食は狼が太陽や月を飲み込むと考えられていた。この太陽や月を飲み  込む狼を「天狼」と呼んだ。また、古代中国ではシリウス星のことを「天狼星」と  呼んだ。 【トリケプス】  中生代白亜紀後期、北米大陸に生息した恐竜トリケラトプス(triceratops)の略か?  (ゲーム中のグラフィックはそのものだが…)トリケラトプスとは「3本の角のある  顔」の意。体長約8mの草食恐竜で、実際、鼻の上の太い角、目の上の左右に細長  い2本の角、と合わせて3本の角を持っていた。 【トリトーン】  ギリシア神話に登場する2人の神。一方はTORITONと綴られ、海の神ポセイドンの息  子。他方はTORITONSと綴られ、ポセイドン軍の一員である。どちらも、人々を助け  る神で、正義の味方のような存在である 【仁王】  寺門などの両脇に安置されている、一対の金剛力士像。向かって右の像は口を開き、  左の像は口を閉じているのが一般的。 【ニクサー】  よく分からない言葉ではあるが、ここではニクス(独:Nix)として扱う。ニクスはド  イツの川に住む水の精で、人間に似た形で描かれる。人間とも友達になり、友達に  なった人間はニクスの家に招かれることもあるという。 【ニクシー】  ニクシー(独:Nixie)は女のニクスのことである。金髪の美しい乙女の姿をしている  このニクシーは、美しい若者を水中に引きずり込もうと、いつも機会を窺っている  といわれている。 【ヌエ】  『古事記』『徒然草 第二百十段』『平家物語高野本』に登場する鳥。現在では、  「とらつぐみ」と呼ばれており、この鳥は夜に鳴くために凶鳥とされてきた。徒然  草によると「ヌエの鳴く夜に招魂の術を行う次第あり」とあり、平家物語によると  その姿は化鳥で源頼政に射殺されたという。頭は猿、尾は蛇、胴は狸、手足は虎の  姿で描かれるのが一般的である。 【ハンマヘッド】  サメの一種、ハンマーヘッドシャーク(日本名シュモクザメ)から取った名であろう。  頭部の左右にハンマーのような突起をもち、その先端に目がある。全長約4m。世  界の暖海に9種が分布。 【バーゲスト】  イギリスの民話に登場する妖犬。死の予兆として現れ、その姿は熊や犬の様な形を  しているといわれている。 【バーサーカー】  「ベルセルク」の項参照 【バジリスク】  バジリスク(Basilisk)の語源はギリシア語のバジリスコス(ギ:Basiliskos)にある  といわれており、その意味は「小さな王」である。別名としてコカトリスやバジリ  コックと呼ばれており、コカトリスは英語のクロコダイル(Crocodile)の語源になっ  ている。バジリスクに関する最古の文献は、プリニウスの「博物誌」であり、恐ろ  しい毒を持っていると書かれている。 【フェイ】  見た目には普通の人間と変わりはないが、その強力な魔力で、望むだけの美貌と富  を身につけた女の妖精である。フェイは騎士を育て、試し、守り、そしてその死を  見守ると言われており、騎士の運命に深く関わってくる。実際、フェイという言葉  は運命を表すラテン語(羅:Fatum)からきている。 【プラズマ】(plasma)  原子核と電子が遊離した状態で、固体・気体・液体に続く第4の状態といわれてい  る。宇宙空間物理、核融合研究が対象とする高温電離気体だけでなく、生体内に存  在する原形質などの流動物質を表す言葉としても用いられる。なお、プラズマとい  う言葉の語源は「創造物」「鋳型で成型されたもの」を意味するギリシア語「πλ  ασμα」からきており、物理学者のトンクス(Tonks)とラングミュア(Lanmuir)が  用いたことが始まりである。 【ブリュンヒルド】  1.北欧神話「エッダ」「ヴォルスンガ・サガ」や中世ドイツ叙事詩「ニーベルンゲ  ンの歌」、ワーグナーの楽劇「ニーベルングの指輪」等に登場する女性の名前で、  「ニーベルンゲンの歌」以外では戦乙女ワルキューレと設定されている(「ニーベ  ルンゲンの歌」では豪勇無双の美しき女王)。これらの伝説のモデルとなった女性  は、6世紀半ばの西ゴート(スペイン)の王女で、フランク王国の東北部アウスト  ラシアを支配していたジギベルト一世の妻「ブリュンヒルド」。残虐で圧政を繰り  返していった彼女は、反感を持った豪族たちに捕らえられ、3日間にわたって拷問  にかけられ、最期は全裸の姿で車裂きの刑(四肢を馬や牛に括り付けて引き裂く刑)  にかけられて死んだといわれている。  2.田中芳樹氏の小説「銀河英雄伝説」に登場する主人公の一人ラインハルト・フォ  ン・ローエングラムの旗艦の名前(正確には「ブリュンヒルト」)。 【ペグパウラー】  ペッグ・パウラー(Peg Poeler)はティーズ河の悪霊で、全身が緑色を呈していると  いわれている。彼女は長い両腕を伸ばして、川の縁にいる子供達を水中へ引きずり  込むといわれている。その起源は、多くの子供が氾濫の多かったティーズ河で溺れ  死んだことから来ており、日本では同じ様な起源を持つ妖怪として「河童」が知ら  れている。 【ベラドンナ】  植物の一種で、学名はA.belladonna。古くから薬草・毒草として知られており、そ  の主な効果は鎮痛・鎮痙・催眠・瞳孔拡大である。イタリアではかつて婦人がベラ  ドンナの汁を点眼し瞳孔を拡大させ、目を美しくしたという。このことから、「美  しい淑女」を意味する「ベラドンナ(伊:Bella Donna)」と呼ばれるようになった。  また、マンドラゴラと並んで、「悪魔の草」と呼ばれ、魔女達はこの草の栽培に勤  しんだという。毒殺にも利用出来ることで有名で、その花言葉は「汝を呪う」「男  への死の贈り物」である。 【ヘリオトロープ】  ヘリオトロープ(Heliotrope)は日本ではキダチルリソウ(木立瑠璃草)、香水木、香  水草などと呼ばれている常緑の低木で、花は香水の原料として用いられる。特有の  芳香もさることながら、花の色も紫あるいはすみれ色から日時が立つと白色へと変  化し、幻想的な美しさを見せる。ヘリオトロン、ヘリオトリンという物質が香りの  もとである。 【ホブゴブリン】  ヨーロッパの民間伝承にしばしば登場する妖精。その多くは家や城跡などに住む守  護霊とされている。長い尻尾のある毛に覆われた姿で現れたり、半身が人間、半身  が山羊で角の生えた格好で現れたりする。人の役に立つことをするが、時にはいた  ずらもする。しかし、そのいたずらは悪意がないものらしい。 【ミノタウロス】  ギリシア・ローマ神話に登場。クレタの王ミノスの妻パシパエと海神ポセイドンが  王に贈った牡牛とが交わり産み落とされた牛頭人身の怪物。ミノス王がダイダロス  に作らせた迷宮ラビュリントスに幽閉された後、テセウスに倒された。ミノタウロ  スとはミノスの牡牛の意味である。 【明王】  密教で悪を降伏(ゴウフク)させる守護神。不動明王は怒りの形相で右手に剣、左手  にはセンサクと呼ばれる縄を持っているが、この右手に持っている剣こそ、「降魔  の利剣」と呼ばれる剣である。 【メドゥーサ】  ギリシア・ローマ神話に登場。ゴルゴン三姉妹の末娘でペルセウスの物語に登場す  る恐ろしい姿をした怪物。海神ポントスの子であるポルキュスとケトの子。メドゥ  ーサは「女支配者」、姉のステンノとエウリュアレはそれぞれ「強い女」、「遠く  さまよう」の意味がある。メドゥーサは元々黒髪の美しい少女であったが、その髪  をアテナのものより美しいと自慢したためにアテナの怒りを買い考えられる限りの  醜い姿にされた。 【メーベルワーゲン】  第二次大戦中のドイツの対空戦車。キャタピラの付いた車台に屋根無しの対空銃座  が乗ったような構造になっている。 【溶解人間】  ウィリアム・サックス監督、アレックス・リバー主演の映画に同名のタイトルがあ  る。 【翼手竜】(chiropter)  中生代に恐竜と共に栄えた、空を飛ぶ爬虫類である翼竜は二つの亜目に大別できる。  このうちの一つが翼手(指)竜亜目(プテロダクティルス亜目)である。もう一方は嘴  口竜亜目(ランフォリンクス亜目)。翼手竜亜目はジュラ紀後期に現れ、白亜紀の終  わりまで繁栄を続けた。この名は嘴口竜亜目と比べてさらに翼に特化した手を持つ  事に由来するものと思われる。代表的なのはプテラノドンなど。 【羅刹】  インド神話に登場するラクシャーサ(?:Raksasa)が日本に伝わると「羅刹」と音訳  された。ラクシャーサはヒンズー教のバラフマー神(梵天)の左足から生まれたとい  われており、鬼神として描かれている。速疾・大力で人を魅惑し、人肉を食らうと  いわれている。仏教では、守護神として毘沙門天に属している。 【リザードマン】  リザードマン(lizardman)はテーブルトークRPGから生み出された新手のモンス  ターである。直訳すれば「トカゲ人」であるが、実はギリシア神話などに爬虫類人  は登場している。しかし、そのほとんどが「蛇人間」で、「トカゲ人」は見あたら  ない。そういえば、「1」のゲラ=ハも「トカゲ人」でしたね。 【リリス】  リリス(Lilith)は世界中の様々な神話に登場する女性。アダムの最初の妻といわれ  ているが、これはユダヤ教のラビの改竄の跡であるといわれている。これ以上は書  けないの・・・(笑)。なお、その語源はliluという言葉からといわれており、この  単語の意味は「(花の)ハス」であり、英語のlily(ユリ)にもなっている。liluとい  う言葉の本当の意味は「…18禁…」である。 【ワイバーン】  ワイバーン(Wyvern)は「飛龍」ともいわれるモンスターであるが、説話はほとんど  無いに等しい。なぜなら、ワイバーンは紋章として描かれるだけの存在だからであ  る。ワイバーンはウィヴァー(Wyver)と呼ばれていて、これは「まむし(viper)」と  いう意味である。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 8.ボスモンスター −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 【アウナス】  ソロモン王に封印された72柱神の1人。アミィと呼ばれることがある(かわいいと  思うのは私だけ?)。つづりは Amy や Avnas である([v]であって[u]ではない)。  地位は「炎の総統」で、この世に姿を現したときは、全身が地獄の業火に包まれて  いる。アウナスの炎は冷たく、のぞき込むと未来が見えることもあるといわれ、ま  た、その炎が燃え移るということはない。炎を指で触れると、自分の死ぬ姿が見え  るという。自分で炎を消すこともあり、その時は「ひからびた小人」や「魅力ある  男性」の姿を現すという。占星術に精通しており、魂と引き替えに人々にその技術  を教えるという。 【アビスナーガ】  ナーガとはインド神話ヴェーダに登場する、女神カドルーの子供たちで、その姿は  蛇人間であるといわれている。ナーガは様々な秘物を海底宮で守護した。インドの  南部にはナーガ族という民族が現在も暮らしている。 【アラケス】  ソロモン王に封印されたといわれる72柱神の1人。アッケロンといわれることもあ  る。つづりは Allocen や Alloces である。戦士公と呼ばれ、黄金のような肌、獅  子のような顔、輝く鎧、巨大な戦馬、荒々しい声が特徴であるといわれている。ア  ラケスの瞳をのぞき込むと、自分の死ぬ姿が見え、そのショックで失明するといわ  れている。占星術、文学、論理学、天文、音楽、幾何学、数学に精通しているとい  われる。 【アルジャーノン】  ダニエル・キイス(Daniel Keyes)作のSF小説「アルジャーノンに花束を(Flowers  for Algernon)」に登場する天才ねずみ、アルジャーノンが語源と思われる。小説中  のアルジャーノンは脳外科手術を受け、尋常ならざらぬ知能を持つ。が、知能の極  限に達した後、急速に知能を失っていく。なお、この小説はラルフ・ネルソン監督  が映画化し、日本でも「まごころを君に」のタイトルで公開された。 【ガラテア】  ギリシア・ローマ神話に登場する女神ガラティア(Galatea)が語源と思われる。大司  祭ピュグマリオン(Pygmalion)に愛された白い石像は、司祭の懸命の努力の結果、神  に命を吹き込んで貰った。また、話によってはピュグマリオン自身が白き石像ガラ  テアを彫ったということになっている。ガラテアという名の由来は母の乳を意味す  る「gala」という言葉からきているといわれている。 【ガルダウィング】  ガルダの翼が直訳。ガルダはインド神話に登場し、ほぼ人間の姿をしているが鷲の  頭とくちばしと翼と爪と脚を持っていて、全身が金に輝いている。ガルダという言  葉は「飲み込む」を意味する「?:gr」から来ているといわれており、宿敵である  ナーガを飲み込むといわれている。ガルダはヴィシュヌ神と対等の約束をし、不死  にしてもらう代わりに、ヴィシュヌの乗り物になったという。 【巨人】  西洋の多くの神話に登場する巨人は、しばしば神の敵として描かれている。その姿  は決して美しいとはいえず、手や目が無いものなど肉体的欠陥があるものが多い。 【クリプトマギ】  マギ(magi)は「魔術師たち」の意味。聖書内のキリスト生誕物語に登場する「東方  の3博士」のことでもある。この3博士はエジプトに由来し、エジプトでは「3人  の賢者」と呼んでいた。オリオンの3つ星こそマギの由来である。 【サイクロプス】  ギリシア神話に登場する巨人の一種。英語でサイクロプス(Cyclops)といい、ギリシ  ア神話ではキュクロプス(Kyklops)と呼ばれており、「丸い目をした」という意味。  サイクロプスは一つ目で頭に毛がないことで知られている。優秀な建築技術を持っ  ていたと言われており、また自由に雷を操れたともいわれている。ゼウス神が雷を  操ることができるようになったのは、このサイクロプスの助力があったからだとも  いわれている。 【チェシャビースト】  ルイス・キャロルの童話「不思議の国のアリス」に登場するチェシャ猫のパロディ  と思われる。もともと慣用句として「glin like a cheshire cat(にやにや笑う)」  という言葉がイギリスにはあったのだが、この様な慣用句などの語句を「文字通り」  とらえたパロディが「不思議の国のアリス」には多々登場する(他の例は「三月ウ  サギ」等)。この猫の特技はもちろん「ニヤニヤ笑う」ことなのだが、他に「姿を  消す」という特技も持っている。アリスの頼みをきいてゆっくり消えたときは、しっ  ぽの先から消え始め、最後になんとニヤニヤ笑いだけが残った。 【ドラゴンルーラー】  Dragon Rulerを直訳すれば「ドラゴンの支配者」。ドラゴンは世界中にその伝説が  あり、類似した伝説を挙げるときりがない。ドラゴンの語源は古代ギリシア・ロー  マ語の DORACO(蛇)である。神話や伝承では、ドラゴンの鱗からは優れた鎧ができ、  血は不老長寿の妙薬になるといわれている。中国の「龍」や「竜」、あるいはイン  ドの「ナーガ」と起源は同一だとしても、その存在意義は大きく異なる。 【ナハトズィーガー】  ナハト(Nacht)=夜、ズィーガー(Sieger)=勝利者、征服者  いずれもドイツ語。ただし、原典もなしに命名されたとは考えにくい。 【バク】  中国の想像上の動物。体は熊、鼻は象、目は犀、尾は牛、脚は虎に似て、毛は黒白  の斑で頭が小さく、人の悪夢を食うと伝えられ、その皮を敷いて寝ると、疫病を避  け、形を画くと邪気を除けるという。 【ビューネイ】  ソロモン王に封印された72柱神の1人。龍公と呼ばれ、つづりは Bune である。人  間とグリフィンと犬の3つの首を持った、緑色の龍で、ひすいのうろこを持ってい  るといわれている。夜には、悪魔や死者を集めるという。話術、学習力に優れてい  るといわれている。残念ながら女ではないようだ。 【フォルネウス】  ソロモン王に封印された72柱神の1人。水域の侯爵で、つづりは Forneus である。  燃えるような目と、宝石でできたうろこを持ち、その大きさはとてつもなく巨大で  ある。牙には水死体を引っ掛けていて、醜悪に見える。人間の姿になることも可能。  また、その正体は鯨であるとも言われている。敵対する者の感情を和らげ、味方に  つけることを得意とし、あらゆる言語、芸術、科学に精通する。 【ヘプトパス】(heptpus?)  タコのことを英語でオクトパス(octopus,「8本足」の意)という。オクトはギリシ  ア数詞から由来する接頭語で「8」を意味している。例えば、ジュリウス・シーザ  ーが自分の名を7月(July)、シーザーの姪の子アウグストゥスが自分の名前を8月  (August)をするまではオクトーバー(October)は「8月」を意味していた。ヘプトパ  スはオクトパスをもじってヘプト(hept,「7」の意)にしたものと思われる。 【ボルカノ】  volcano=火山 【マクシムス】  マクシムス(Maximus)は古代ローマ時代の皇帝、皇帝せんしょう者、学者など多くの  人物の名で、「最高」という意味がある。以下にロマサガに関係しそうな主な人物  の名を挙げる。  1.Valerius Maximus  1世紀前半のティベリウス帝時代の通俗史家。ティベリウス帝に著作を献上したと  いう記録が残っており、著書にローマとギリシアの事例に基づいて書かれた「記録  に値する言動の数々(著名言行録)Factorum ac dictorum memorabilium」等がある。  2.Magnus Maximus  ブリタニアの軍団に推され、383年帝位をせんしょうした。グラチアヌス帝を倒し、  東方のテオドシウス1世に帝位を認めさせたが、388年テオドシウス1世と先端を開  き、敗れて処刑された。熱心にカトリックを支持し、異端を弾圧したことでも有名  である。 【ヤミー】  ヤマと一つの体の上に存在していた女性でヤムナ川(Jumna)の女神。  詳しくは「ヤマ」の項参照。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 9.幻な方々 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  この項は、攻略本などに紹介されているものの、我々が一度も目撃することができ  なかったお尋ね者ばかり集めた。いや、お尋ね者と言うよりむしろ我々まにあっく  な者にとって「永遠の恋人」のような存在である。一目でも拝むことが叶った方は、  是非我々に連絡して欲しい。 【ザッハーク】  古代ペルシアの神話に登場する魔物。ザーハク、アジ・ダハーカ(ダハーカ竜)等の  名で現れる事もある。ゾロアスター教聖典『アヴェスター』の記述によると「これ  は三口あり、三頭あり、六眼あり、千術あり、いとも強く、魔性のドゥルジにして  庶類には邪悪な不義者」であり、この三頭六眼の竜は、人類を滅亡させる為に悪神  アンラ・マンユ(アーリマン)が創造し、この世に派遣した魔物であるということに  なっている。  また、中世ペルシアの詩人フィルドウスィーの編纂した叙事詩『王書』には、この  竜と同じ名を持つ暴君が登場する。ジャムシード王亡き後のイランを支配した彼は  その折、悪魔の計略に嵌まり、両肩から二匹の黒い蛇を生やす事になる。この苦痛  を癒す為にあらゆる種類の魔法を試みたがかなわず、一人の医者(に扮した悪魔)の  勧めに従い、毎日人間二人分の脳を蛇達に与える事でこれを静めようとした。後に  英雄ファリードゥーンによって彼は倒され、その命脈が尽きるまでデマーヴァンド  山に封じられたという。 【スフィンクス】(sphinx)  あまりにも有名な怪物であるスフィンクスが、その名を付けられたのはギリシア時  代といわれている。その起源は古代エジプトであると言われているが、他の文化・  文明と共にバビロニアやギリシアへと伝播した。スフィンクスの語源は、ギリシア  語の Sphink(きつく縛るの意)だといわれている。 【蒼天女】  古代中国の伝承の中に蒼い乙女が登場するものがいくつかある。蒼(もしくは青)  は五行思想に基づく色で、様々な伝説に鮮やかな彩りを与えている。さて、蒼い乙  女が登場する伝説で最も有名なのが、「酉陽雑俎」と「淮南子」。前者では十数人  の蒼い衣を纏った乙女達は実は花の精であったというオチがつき、後者には「青女  乃ち出でて、以て霜雪を降らす」とある。 【トウテツ】  中国の史書「呂氏春秋」に伝説として登場する空想上の妖怪。鼻筋がとおり、左右  の目が大きく、とびだし、曲がった角を持つ。さらに、目の脇から胴が出ていて尻  尾を巻いている。古代には、トウテツは凶悪という認識から、逆に邪眼(イヴィル・  アイ)で、悪よけに利用されたのではないかと考えられている。また、描かれている  すべてのトウテツが角を持っているために、犠牲獣の牛、羊の持つ霊力に対する信  仰とも考えられている。漢字は極めて難しい。中国で出土している土器には、トウ  テツは神の守護、神の乗り物として描かれている。 【ヤマ】(Yama)  ヤマ(Yama)はヒンズー教の死の神である。双子の妹ヤミー(Yami)を妻にするが、こ  の二人は実は同体の両性具有であった。ヤマはヤミーとの交合を拒否し、自分の半  分であり、かつ生命を維持する女性の力を有するヤミーの部分を切り離したため、  最初に死んだ人間となった。ヤマはその後、冥界の王になったという。ちなみに日  本で閻魔大王として知られているのはこのヤマのことである。 【ワンダーラスト】(wanderlust)  1.WANDERLUST(英・独):旅行熱、放浪・旅行をしたいという強い欲求  2.M:TG(MAGIC: The Gathering)に登場する、召喚された生命体に能力を追加する  魔法。その能力とは「召喚獣が召喚者にダメージを与える」という迷惑なものであ  る。