『ロマンシング サ・ガ 3 キャラクターを語る』 by 金魚警報  このゲームの魅力の一つは、個性あふれるキャラクターです。8人のメインキャラ クターと、世界各所でパーティに加わる二十数名ものサブキャラクター。  ここでは、彼らのバラエティに富んだプロフィールを紹介します。キャラクター選 びに、パーティ編成に迷うあなたのご参考になるか、はたまた、よけいに迷ってしま うかはわかりませんが。  そして、ここで語られているのは、彼らのごく一面にすぎません。本当のプロフィ ールは、あなた自身が、ゲームの中で作り上げてください。それもまた、ロマンシン グ サ・ガ3の大きな魅力でもあるのです。 ユリアン・ノール -------------------------------------------------------------  開拓民の青年。ちょっぴりお調子者で、熱血正義漢。当然普通のRPGなら典型的 主人公。しかし、彼には悲しい過去がある。死食によって生まれたばかりの妹を失っ ているのだ。トーマスほど「いい子ちゃん」風ではないが、きっと幼心に悲しみにく れる家族を少しでも力づけようと「元気いっぱい」を心がけたのだろう。お調子者に もきっと意義はあるのだ。  彼はそのトラウマを自分では消し去ったつもりでいたのだろう。成長し、健康ナイ スバディのエレン嬢に若い情熱を傾ける。が、しかし、ある嵐の晩彼の前に運命の嵐 に翻弄される儚げな美少女が。もちろんモニカ姫である。きっと、彼の心の奥底に隠 れていた「守ってあげなければ」精神が一気に燃え上がったに違いない。このユリア ンを「浮気者!」「マスオさん狙ってんじゃねーぞ!」などと非難するプレーヤーは 多い(特に女性に)。が、ユリアンはモニカ姫に自らの手を差しのべることの叶わな かった薄幸の妹を見ていたのではないだろうか。エレンに惹かれたのも、「妹を保護 し、慈しむ姿」への投影だったのか。 エレン・カーソン -------------------------------------------------------------  「ポニーテールの怪力娘」と書くと、某人気アニメのキャラクターのようだが、エ レンはさらにたくましい。乗馬が得意、腕相撲大会では男の子を制して優勝。好物は りんごとかた焼きパンだというからきっと笑うと丈夫そうな白い歯がキラっとしてい るに違いない。そして美人かつ健康的なナイスバディ。  彼女の苦手は高いところ。もしかすると、幼い頃シノンの村の悪ガキどもと木登り でもしておっこちたのだろうか?頭部に傷があると、大きくなってもその部分が十円 ○ゲになったりするものだが、彼女のトレードマークであるポニーテールには何やら そのへんの秘密も感じられる。(などと書いたら斧で殴られそう)  恋愛に関しては奥手である。ユリアンのアタックにも乗り気ではない。彼女のよう な性格の女性は、思い詰めるとかなりのめり込むタイプ。自分でもそれには気づいて いて、だからこそ自分を見失わないよう恋愛を遠ざけているのではないだろうか。す てきな恋をするエレンも十分魅力的だと思うのだが。ちょっとばかり母性本能をくす ぐるユリアンタイプもいいだろうし、逆に、ちょっと虚勢を張り気味になる彼女をた っぷりとした包容力で包んでくれるトーマスやハリードもお似合いだろう。みなさん の想像力では、どなたがふさわしい? サラ・カーソン ---------------------------------------------------------------  エレンの妹。引っ込み思案。初期ステータスもあまり高くなく、ゲーム中でも一番 地味…に見えて、実はびっくりするような設定が用意されているのだが、これは攻略 編におまかせするとして。みなさんの周囲にもいないだろか?一見地味でおとなしそ うに見えて、ある日いきなり大事件(主に恋愛がらみ)を勃発させて周囲を震撼させ る女性。(あえていえば大○しのぶタイプ)サラには、どうもそんなイメージがある。 モンスターが怖い、雷が怖い、知らない人は苦手…未知のもの、得体の知れない力を 感じるものを彼女は恐怖する。これは、自分自身に内在する未知の力への恐れの投影 ではないだろうか。力強い姉の庇護のもとにいた彼女は、モニカ姫を助けたことで庇 護するもの、護るものとしての新たな自分を発見する。自分自身を閉じこめた殻を打 ち破るかのように、住み慣れたシノンの村を旅立つサラ。各地のパブを孤独に転々と している謎の少年も、彼女にだけは心を開く。彼女の未知なる力は、大いなる生を導 くのか、破壊への暗黒を意味するのか…驚くような展開が彼女の旅の末に待ちかまえ ているのだ。 トーマス・ベント -------------------------------------------------------------  トーマス(通称トム)は、実はおぼっちゃま。とはいえ、フルブライト23世のよ うに「代々お金持ちの家柄」というわけではなく開拓民としての力強さも持ち合わせ るなかなか頼りになるお兄さん。朝は早起きして額に汗して農作業、午後はゆっくり と読書を楽しむ好青年。ユリアン達、シノンの青年団(?)のリーダー格でもある。 料理も得意、仲間にすれば最初から玄武術の使い手で槍や弓もそこそこに使いこなす。 ロマサガ3理想のハズバンドNo.1。  彼の設定で疑問なのは、随所にあらわれる祖父の存在と対照的に父母の存在がほと んど感じられないこと。たとえばユリアンは「ただしいことをしろって、おやじがい つも…」などと、父親の存在を口にしている。そこで予想されるのが、祖父と父母と の確執。私の想像を働かせれば…  開拓の一番厳しい時代を身をもってくぐりぬけたトーマスの祖父は、自分の息子に は苦労をさせたくない、とばかりに何不自由なく甘やかした。その結果、もののみご とな放蕩息子ができあがり、結婚し、子どもができてもさえ酒色に耽り、妻を泣かせ ていた。あるいは、妻子を捨てて家を出てしまったのかもしれない。そこで祖父の期 待は孫のトーマス。トーマス自身も、父親故に苦労する母の姿を幼い心に焼き付けて いたために、期待に応えるべく成長していったのではなかろうか?彼が浮かべる穏や かな笑みは、ただの苦労知らずとは思えない重さがある。 ミカエル=アウスバッハ=フォン=ロアーヌ -------------------------------------  ロアーヌの若き領主。聖王十二将フェルディナンドの高貴な血を引く。白馬にまた がり花でも背負えばおとぎ話の王子様。小剣の優雅な使い手。術法を覚えさせてもな かなか器用だ。だが世情は彼にボンボン王子様に甘んじることを許さない。正妻の子 ではないことから国内には不穏分子も多く、幼い頃から刺客にその命をねらわれるこ ともあった。  内乱に乗じて不穏分子を排除し、家宝の剣を取り戻した女官でさえ城に入れず(こ れは、どちらかというとゲームシステムの問題)そして、最愛の妹モニカにさえも政 略結婚と思われる婚約を決定する。放浪の家出娘にも冷たい一瞥、ファンキーかつア ナーキーなマッドサイエンティスト美女にも「興味がない」と一言。そんな彼を冷酷 非情と評する人も多いだろう。だが、すべてはロアーヌを、モニカを心から愛し、守 り抜きたいという熱く堅い意志の現れである。自分は憎まれものになってもかまわな い…それだけの情熱で何かを守れる人間がどれほどいることであろう。彼は「王子様」 ではない。「王者」の称号こそがふさわしい。 モニカ=アウスバッハ ---------------------------------------------------------  ミカエルの妹、ロアーヌの若く可憐な王女。他のRPGならとっくに悪の大魔王に さらわれて勇者の助けを待っていることだろう。体力も技ポイントも徹底して低く、 強力な兄の庇護の下、何一つ不自由なく育ったのがよくわかる。が、設定では兄に内 緒でカタリナから馬術・剣術を習っていたという。馬術はそこそこ上達したようだが、 たぶん剣術は…「あぁっ!私にはカタリナを突くことなんてできませんわっ!」など と叫んでいたのかもしれない。そんな彼女を優雅なまま術法や小剣使いに育てるもよ し、意表をついて斧をふりまわし薪割りダイナミックを炸裂させるのもモニカプレイ ヤーの楽しみ。  彼女は、心から兄ミカエルを敬愛している。幼い頃、二人でいるところを刺客に襲 われ、応戦し傷を負った兄は無傷のモニカに無事を問うた。これでは、そんじょそこ らのへらへら貴族のぼっちゃんなど目にも入らないだろう。一種のトラウマだ。しか し、兄は妹の庇護を他国に求め、望まぬ婚約を決めた。モニカ自身もいつまでも兄と の蜜月は続くわけではないことがわかっていただろう。いつかは離れなければならな い定め。さあ、飛び立つ先は?血気あふれる平民の青年との出会いは彼女をどう変え るのか?しっかりとあなたが見届けてほしい。 カタリナ=ラウラン -----------------------------------------------------------  華麗な大剣使い。ゲーム開始時は優雅なドレスに結い上げた長い髪。つらい試練に よってみずからの髪を切ると彼女の魅力はさらにあがり、男装の麗人かともみまがう ほど。術法があまり得意でないところから男勝りのキャラクターともとらえられるが、 実は彼女は「お嬢様」である。「"お嬢様"といえばモニカではないか」と異論もあろ うが、モニカは「お姫様」。少しニュアンスが違う。  カタリナは確かに剣技に優れてはいるが、れっきとしたロアーヌ貴族の家柄。宮廷 に取り立てられて王女の警護というからには、並の家柄ではない。剣技以外にも行儀 作法や言葉遣い、優雅なワルツステップくらいは余裕で身に付いているはず。たんな る男勝りではない。(気のせいかエレンの視線を感じるような…)  しかも、単なるお嬢様育ちではない証拠は、彼女の旅立ちの理由で示される。あれ ほど自分の仕事に責任を持てる女性は、現代社会でもそうはいないのでは?ただ、旅 立ちの理由は職務への責任だけではない。深くは言及しないが、彼女の「女性」とし ての心情によるところも大きいだろう。そして、彼女のエンディングも2種類確認さ れている。これも、彼女の「女性」を左右する大きな違いがあるのだが、どちらをとっ ても「カタリナらしい」。彼女の魅力にとりつかれた方は、ぜひ両方確認していただ きたい。 ハリード ---------------------------------------------------------------------  異名の多い人物。戦術の巧みさからくる「トルネード」、「ハリード」もどうやら 仮名らしい。オープニングでは彼の憧憬するファティーマ姫が「エル・ヌール」と呼 びかけているが、これも本当に名前なのだろうか?本名をあかさぬ習わしの民族かも しれない。  女性プレイヤーが彼を最初に選んだという話はあまり聞かない。理由は様々あろう。 彼は年齢の設定が高い。冷静に考えれば10代前半の少年が世界を救ってしまうほう に無理があるのだが…。褐色の肌も、サブキャラにはありがちな設定であろうが、主 人公にはまずいないタイプ。  そして、彼は守銭奴。主人公たちには通称「守銭奴ポイント」という設定があり、 金銭に関わる選択肢により、イベント発生が制限されることもある。そのポイントの 初期設定が高い。しかし元は王侯貴族、生来の守銭奴ということはないはず。彼が王 国を、仕えるべき姫を失ってからいかに辛酸をなめてきたかが伺いしれる設定である。 「仕事は前金」のモットーも、察するに手ひどい裏切りの体験からであろう。  彼のファンだという女性は、きっと酸いも甘いもかみ分けた「大人の女性」に違い ない。歌がプロ並みに巧いという設定がある。自慢の曲刀を傍らに置き、砂漠の月の 下、ささやくように歌うハリード…心ときめく設定ではなかろうか。 詩人 -------------------------------------------------------------------------  ロマンシング サ・ガ1〜3のすべてに登場する、お馴染みの割には謎の多い人物。 年齢も性別も不詳の神秘的な存在。1では神の化身であった。2でも皇帝のよき理解 者で、エンディングとオープニングでとてもよい役を得ていた。(ただ2の詩人は忘 れ物が特技であったような…)そして、3の詩人。ユリアンとモニカの愛の逃避行に わりこむお茶目な性格だが、「聖王記読み」というなかなかカッコイイ肩書きで、過 去の物語にも精通している。新しい物語の創作にも意欲的で、題材になりそうな冒険 者にくっついて離れないほどである。だが、どうも彼の才能は過去の物語を語るほう に向いているようだ。新作の詩はエンディングや、四魔貴族を倒した直後に聞くこと ができるが、はっきりいってセンスがあまりない。それはそれでなかなか味のある詩 なので、ぜひ聞いてみていただきたい。 放浪娘 -----------------------------------------------------------------------  お菓子の偽名を使い、無理矢理パーティに入り込む迷惑娘。はずそうとしても「や だ」の一言。彼女の弱点はリブロフの街。陸路でも海路でも、行こうとするとメンバ ーからはずれてしまう。どうやらこのあたりに素性の秘密がありそうだが、ここでの 明言は避けておこう。奇抜な服装だが、貧しいようには見えない。単なるストリート チルドレンではなさそうだ。設定によると年齢は14歳。そのわりには言葉遣いも行 動も幼く見える。彼女の内面には、その成長を抑圧するほどの心の傷があるのではな かろうか。孤独に放浪する一方で、冒険者への仲間入りを切望している。独立心と、 庇護・愛情を切望する心がせめぎあっているのだろう。彼女を単なる迷惑娘と逃げ回 るか、暖かくパーティの一員として迎え入れるかはプレイヤー次第。しかし、ラスト バトルに向かう彼女の決意の言葉を聞けば、仲間に入れたことを後悔することは決し てないだろう。彼女は自分自身とも闘っているのだ。 ポドールイ侯レオニード伯爵 ---------------------------------------------------  500年生きたヴァンパイア。ステータス面でも実に興味深い設定。(詳しくは攻 略編をご参照のこと)そして…なんといっても「麗しい」。衣装といいポーズといい セリフまわしといい、鹿賀○史も真っ青のお耽美路線。  彼の治めるポドールイに住む女性はみな、彼に噛まれてヴァンパイアとなり永遠の 美貌と若さを手に入れたがっている。が、唯一、それを望まない女性もいる。エンディ ングの話をして恐縮だが、彼がお相手として選んだのはどうやらその女性らしいこと がそこに見て取れる。  たいへんに疑問なのは、彼が過去にポドールイから呼び寄せていたであろう乙女達 の存在である。「新しい娘を」と村人が言うくらいだから、過去に相当数の乙女が彼 の元に呼び寄せられているはずである。が、彼の城に赴いた人ならご存じだろうが、 永遠に若き乙女の姿などどこにも見あたらない。恐ろしげなモンスターがうろつくだ けである。とすると…たいへんに恐ろしい想像が働いてしまうのだが、彼の城の中に は女性形モンスターが充満した部屋がいくつか存在する。その中には伯爵のものかも しれないローブも見つかっている。ということは…やはり永遠の美と若さなど、望ま ぬ方がよいのかもしれない。 ミューズ=クラウディア=クラウディウス ---------------------------------------  深窓の令嬢、だが生家は没落し、現在は病弱の身でスラムにひっそりと隠れ住んで いる。床が朽ちているようなボロ家にも花や宝石箱などを飾り、病弱の身をもってバ ラの栽培や編み物で生計を立てている。自堕落な生活をおくっていたスラムの住人も、 貧しい育ちの子どもたちも彼女の味方。ただの高慢な令嬢であれば決してこうはなら ない。彼女の病の一因は、過去の悲惨な事件。それを振り切ることができれば、病床 からおきあがりパーティに加えることができる。確かに彼女は戦闘向きではない。だ が、日々の闘いに荒みがちなパーティメンバーの心を和らげてくれるはず。そして、 長い冒険から帰ったならば家の修繕ができるくらいに力が出てくるかもしれない。そ して、なによりもすばらしい物語を仲良しの子どもたちに語ることができるだろう。 シャール ---------------------------------------------------------------------  元名家クラウディウス家に使えた優秀な魔法戦士。亡き領主の病弱な娘ミューズを 身を挺して守るためスラムに住んでいる。朱鳥術にたけているが、本来は得意なはず の槍と剣は、クラウディウス家の没落時に敵によってきき腕の腱を切られてしまった ために、ほとんど役に立たない。  これであきらめて彼をパーティメンバーから外してしまうプレイヤーが多いのは実 に残念だ。ゲーム中とある場所で手に入る「銀の手」という小手を装備すると彼は元 の優秀なステータスを取り戻すことができる。この現象は他のキャラクターには生じ ない。「銀の手」は聖王の遺物のひとつ。それによって力を取り戻すことができるシャ ールは、もしかすると聖王に関わる血を引いているのかもしれない。  あるいは、彼をミューズと引き離すのに忍びなくてパーティに加えられないという 心優しいプレイヤーもいることだろう。彼のミューズへの思いは父親、兄、臣下、あ るいは…私は、きっと暖かい結末が待っていると想像するのだが。 ノーラ -----------------------------------------------------------------------  ピドナの武器工房の跡取り娘。ヘビースモーカーでくわえタバコを離さず、腕輪が はちきれんばかりの力こぶ。自分の仕事に高い誇りを持つ豪傑ねーちゃん。工房の運 営や自分の結婚話などで、父親と意見が合わなかったりすれば寺内○太郎一家顔負け の親子喧嘩が勃発していたであろう。だが、それは彼女の家族だけに通じる健全なコ ミュニケーションであったはず。惨殺された父親の敵を討つために、工房を出て旅に 出る決心までするのである。彼女をパーティに参加させると工房の開発スピードがアッ プする。ピドナに戻るたびに「あんたたち…まさかまだ開発中だなんて言わないだろ うねぇ?」などと、力こぶをかざしているのは想像に難くない。 ポールとニーナ ---------------------------------------------------------------  寒村キドラントの若いカップル。ニーナはいけにえのイベントで登場し、ポールは 選択次第ではパーティに加えることもできる。  原画イラストをみると、ヤンキーにいちゃんと、ちょっと頭がお花畑な彼女にも見 えるが、いけにえイベントでみる限りニーナは機知に富み、愛情豊かな芯のしっかり した女性だ。ポールが村を出たのも、できすぎた恋人の存在が未熟な若さを焦らせた 結果だろう。若い冒険心が裏目に出て盗賊の下っ端に身をやつしてしまうが、女性に 対してはどうしても悪行を働けない。当然心に浮かぶは故郷の恋人。『せっかく無事 にキドラントに戻れたのだから二人を引き離せない』とパーティに加えるのを躊躇す るむきもあるだろうが、あのままではポールはいつまでもニーナの掌から出られない。 ぜひパーティに加えて本当の冒険に連れ出そう。彼を「男」にできるのはプレイヤー のあなたなのだ。 ウンディーネ -----------------------------------------------------------------  北モウゼスの魔術師ギルドを束ねる女玄武術士。RPGのキャラクタには珍しい大 人の女性。他のゲームで女性の魔術師というと、ミニスカートも大胆な10代前半の 「コギャル」だったりするのだが、このゲームは戦士でも術士でもきちんとした大人 の女性を描ける貴重な作品だ。女性ファンが多いのもよくわかる。彼女の下には、術 士をめざす美青年が集まっている。術士を目指すからには、理と知とにたけた青年で あろうから、「ただの美女」であれば慕って集まるはずはない。彼女は水の力を司る 玄武術士だ。豊饒の海、穏やかな湖面のような柔和な表情も、猛った奔流、氷の刃の 厳しさも操れるのだ。モウゼスの若い女性がやっかむのも無理はないが、そんじょそ こらの「コギャル」では決して太刀打ちはできない魅力の持ち主である。 ウォード ---------------------------------------------------------------------  北の国ユーステルムの暴れん坊。豪放磊落な性格に高い戦闘ステータス。術法には 向かないが、大剣をふりまわし、大技を連発する根っからの肉体派。現代に生きてい れば般若の柄の幅広ネクタイを締め、派手なオープンカーを乗り回しているに違いな いといった感想のプレイヤーもいる。が、しかし、彼はなんと聖王十二将の血を遠く 引く。信じられないことにミカエルやモニカの遠縁にあたるのだ。金銭に執着心を持 つ人間を嫌うあたりに、うっすらと高貴の血は残っているのかもしれない。氷湖のモ ンスター退治を請け負うあたりも、責任感の強さだろう。  設定によると、彼の鎧は甲殻類の殻製だという。ということは、ロブスターのボス トンが彼に対面したとき、相当なショックを受けるのでは? ロビン -----------------------------------------------------------------------  悪徳商人「ドフォーレ商会」に牛耳られる街、ヤーマスへ赴くと、彼の噂でもちき り。麻薬密売の行われる港の倉庫に、地上げ屋の嫌がらせに泣く貧しい家に、高らか なBGMと共に黒覆面の怪傑、われらが「ロビン」は現れる。  ここでは「ロビン」と、一人称で書いているが、どうやら「ロビン」は二人いるら しい。街を救いに現れるスリムなロビンと、パブの気弱な青年のピンチを救うべく現 れる中年体型のロビンだ。彼らは、パーティがヤーマスの倉庫を訪れると、くだんの BGMと共に登場し、仲間になってくれる。どちらのロビンがでてくるかは運次第。 が、どちらも華麗な小剣の使い手である。ぜひ仲間にしたい。彼らの正体は一応「謎」 ということになっているが、ヤーマスのパブ「シーホーク」を訪れたならば、容易に 知れることとなる。だが、彼らの名誉のために、これ以上の言及はさけよう。「怪傑 ロビンがいるかぎり、この世に悪はさかえない」…この台詞が全て。それで十分では ないか。  もし、それ以上の興味をいだいたあなた。ぜひ、別コラムの「What is "KAIKETU" 怪傑ロビンと仲間達」をお読みいただきたい。彼の人となりが、鮮やかに浮き彫りに されることだろう。 フルブライト23世 -----------------------------------------------------------  ウィルミントンの大商家の跡継ぎ息子。年齢は以外に若く23歳。年齢のわりには とてもしっかりしているので、ただのボンボンではない。傾きかけた商会を盛り上げ ようと日夜努力をしている今時めずらしいほどの孝行息子だ。洋服の趣味がやや成金 っぽいが、家運の傾きを表に出さない心遣いかもしれない。美しい金髪に穏やかな物 腰からして、実はけっこう女性に人気もありそうだ。太陽術と白虎術が得意で棍棒も そこそこ器用にこなすため、トレードイベントをクリアした後ぜひ仲間にくわえてみ たい。彼をラストバトルに参加させると、ちょっと意外なセリフを聞くことができる。 ウィルミントンとは、日本で言うと「なにわ」に相当することが想像できるのだ。 ティベリウス -----------------------------------------------------------------  新興宗教「神王教団」の教祖。というと何やら怪しげなイメージだが彼本人はいたっ て真面目。「魔王、聖王を越える神王の降臨を信じる」という真剣な宗教家である。 その生真面目さを利用され、腹心の部下であったマクシムスに教団をいいように利用 されてしまう。彼もノーラや彼の父親同様に被害者なのだ。  非力ではあるが、術法には秀でている。が、地味なグラフィックからか、ハリード への遠慮からかパーティメンバーに加えるプレイヤーは少ない。彼をメンバーに加え る際の選択肢がなかなか笑える。「こんな年寄りがお役にたてるかな?」という彼の 問いに対し、断る言葉が「無理するな」である。こんな風にことわられても、きっと 彼は穏和な笑みを浮かべるに違いない。本来は温厚な老人だろう。 バイメイニャン ---------------------------------------------------------------  「白梅娘」と書くそうである。「イメージと違う」などと言おうものなら得意の術 法でひどい目にあいそう。東方の村の長老で、村だけでなく城にも顔がきくらしく、 将軍ヤン・ファンも幼名(ファンファン)で呼び捨てにされてしまい、まったくの形 無しである。ふつう長老といえば、保守的なイメージだが彼女は違う。パーティが東 方にたどりつくと、興味津々で術方の研究材料にしてしまう。アビスの魔の手が迫る ことを告げれば、穏健策に走ろうとするヤン・ファンに放送禁止用語を使ってまで非 難の声をあびせ、世界の危機を救おうとする。なんともパワフルな魅力あふれるばあ さんではないか。玄武術士ウンディーネの*十年後の姿かもしれない。 ツィー・リン -----------------------------------------------------------------  お下げ髪のよく似合う東方の少女…だとばかり思っていたら、彼女の年齢設定は、 23歳。トーマス・ベントよりも年上。少女と呼んでは失礼だ。術法よりも弓が得意。 日頃は、草原を馬にのって駆け回っているに違いない。バイメイニャンに影響された のか、彼女も好奇心旺盛な性格で「西へ行ってみたい」と、新たな世界に興味津々で ある。真面目でまっすぐ健康的に育ってきたのだが、その真面目な性格がわざわいし て、バイメイニャン老師にからかわれっぱなしである。彼女もヤンファン同様幼名の 「リンリン」と呼ばれて膨れっ面をしているのだ。アビスゲートが閉じ、平和が戻っ た世の中では、彼女やヤンファンが東方と西方とのよい架け橋になっていくのだろう。 ヤン・ファン -----------------------------------------------------------------  原画をみると、髭面でちょっといかめしいのだが、なかなか精悍な面構え。どうや ら東方に関するイベントが当初の企画より減ってしまったらしく、活躍の場が少ない のが残念。2のセキシュウサイのような見せ場が無いばかりにちょっと印象が薄い。 仲間に加わるタイミングも、イベントを自然に進行させるとエンディング近くになっ てしまい、パーティーに加えない人も多いだろう。だが、刀も月術もこなしてくれる、 なかなか便利なキャラクターだ。まだ若いのだろうが、落ちついてしっかりとした考 え方のできる名将軍だが、幼い頃から世話になっているバイメイニャン老師には、まっ たく頭があがらないようだ。東方に赴く際は、ぜひパーティの人数に余裕を持たせて 彼を加えてみてほしい。 ボストン ---------------------------------------------------------------------  最果ての島に住むロブスター、つまり直立歩行のエビ人間。彼以外の非人間キャラ クターには固有名詞がないのだが、立派な名前があるところを見ると、比較的人間と は身近な一族なのだろう。彼らの一族はあまり生命に対する執着心がないのだろうか、 沈みゆく島の運命を甘受しているようにも見える。「仲間になりたい」ではなく「バ ンガードに乗ってみたい」というあたり、なかなか奥ゆかしさを感じさせる。強力な ハサミを使った体術と回復系の玄武術が得意な立派な魔法戦士だ。「茹でてみたい」 「食欲をそそる」などと言わずに仲間に入れてあげてほしい。 ようせい ---------------------------------------------------------------------  近代の創作物語では、妖精が神に近い「善」として描かれるものが多い。だが本来 彼らは、森や植物の精霊あるいは妖魔に近いものだ。危険な森や川に近づく子どもや、 禁漁・禁伐の戒めを破った者に罰を与える役目を担っていたものなのだろう。このゲ ームの妖精はこの古来からの役割に近い。未開のジャングルは禁忌の地なのだ。それ を守りたいが故に、妖精の集落に迂闊に立ち寄ったものは、毒入りティーにうそつき 話と、かなり悪質ないたずらで出迎えられることになる。欲深への戒めかもしれない。 だが、決して悪意のみの存在ではない。その証拠にお手製のハーブを貰っていっても 何一つ文句は言わない。また、義理堅い一面も古来の伝説通り。見せ物小屋に捕らえ られた妖精を見かけたらかならず助けてあげよう。きっとあなたの力になってくれる。 華奢な見た目にはそぐわないほどの強力なパーティメンバーになってくれるのだ。 ゆきだるま -------------------------------------------------------------------  オーロラを越えた雪の街の住人。「…なのだ。」という独特の話法が大人気。体術 が得意なようだが、あの体型でどうやってナイアガラバスターだの稲妻キックだのを くりだすのだろう…そもそも、武器や防具はどうやって装備しているのだろうなどと いうヤボな話はここでは置いておこう。戦闘中も、彼は彼なりに表情豊かに行動して いるので、ぜひチェックしてほしい。冷たい身体におとぼけ話法だが、それに似合わ ぬ熱血漢。聖王と共に戦ったこともあるらしい。彼の熱血漢ぶりを見てみたいならば、 火術要塞に赴き、アウナス戦で彼を残して全滅してみよう。あっと驚く、そして涙無 しには見ることができない展開が待ち受けている。 ぞう -------------------------------------------------------------------------  東方の秘境ラシュクータに住む亜人種。見た目もきっちり「ぞう」。LPが飛び抜 けて高く、龍神降臨なぞ使えばほとんど無敵。また、両手剣を装備していても盾が使 える。理由は「鼻があるから」だそうで、なんともお茶目な設定。  だが、彼もアビスの魔の悲しい犠牲者だ。彼の兄は、人間の捨て子を拾ったために 目覚めぬ呪いの眠りに堕ちている。彼の唯一の家族であろう兄なのだから、脳天気に 暮らしているようなぞう族であっても、深い悲しみに耐えているに違いない。しかし、 兄が目覚めるとあっさりと「出かけるか」と言ってしまうあたり…やはり結構お気楽 なのだろうか。 少年 -------------------------------------------------------------------------  各地のパブに、場違いな服装・および年齢の少年がたたずんでいる。話しかけても 「ぼくにかまわないで!」と拒絶(サラだけは別)。あるタイミングで仲間にするこ ともできるが、彼には固有名詞が存在しない。「少年」と表示されるのみである。服 装や装備品から、東方の出身だと推測されるし、ぞうの町ラシュクータでのイベント から、なにか出生の秘密を感じさせるが、それすら定かではない。彼に関して言及で きることは少ない。彼の存在そのものが、このゲームの世界観を支配するのだ。さあ、 あなたにとって、この少年の存在は…? ハーマン ---------------------------------------------------------------------  南国の観光地グレートアーチの桟橋で保養中(?)の元海賊。現役時代に四魔貴族 のフォルネウスに片足を奪われた。そのショックの激しさからだろうか、まだ30代 なのだが白髪の老人のような風貌である。片足を奪われた原因は、偶然嵐に巻き込ま れたからであろうか?私は、彼自身がフォルネウスに闘いを挑んだと想像する。彼の 配下の船団が海上で襲われ、敵を討とうとして、力及ばず返り討ちにあったのではな いだろうか。言葉遣いも荒いし(仲間からはずそうとすればそれがよくわかる)執念 深いが、実は部下思いの燃える男なのだ。でなければ30代そこそこで海賊の頭には なれないだろう。詳しいことは攻略編で見ていただきたいが、フォルネウス関係のイ ベントにはぜひ彼も参加させてほしい。彼の意外な一面(?)を発見することができ るであろう。