『ロマンシング サ・ガ 3 音楽レポート』 by 金魚警報  このゲームは、BGMの完成度が高いことでも有名です。特に今回の3作目はゲー ム内容にあわせたのか、とてもバラエティ豊かな作品が揃いました。「私はこのシー ンがすき」「このキャラクターがお気に入り」という思い入れにはきっと素敵なBG Mが流れていることでしょう。ここでは、登場キャラクターや地域について、簡単に 感想を書いてみます。CDをお持ちの方はぜひ、聞きながらご覧ください。 ☆ 音楽から探るプロフィール ☆ ユリアンのテーマ -------------------------------------------------------------  「ツッチャッ、ツッチャ」と後ノリも軽やかなアップテンポ。彼は一応主人公的キャ ラクターなのだから、他のゲームであればいかにもヒーロー風になるところ。それを このように、単なるポップスではなく軽ボサノバ風に仕上げたのがさすが。サラっと 聞き流してしまうかもしれないけれど、細部まで耳を傾けると、ゾクゾクするほどかっ こよくオシャレなアレンジが感じられます。 エレンのテーマ ---------------------------------------------------------------  明朗快活なヒロインらしい曲。明るいポップスですが、伴奏のアコーディオンがフォ ークロアしています。エレンは開拓民の娘なのですよね。トレードマークのポニーテ ールをなびかせて駿馬を走らせる、健康ナイスバディのエレンの姿が思い浮かびます。 軽快なリズムが駿馬のトロットのように聞こえませんか? サラのテーマ -----------------------------------------------------------------  内気で引っ込み思案なサラ。曲も「ポロン…ポロン」と優しくゆっくりと音が流れ ていきます。でも、メロディラインをしっかりと追ってみてください。これはエレン のテーマと同じなのです。単純明快なエレンのテーマと比べ、様々な音色が複雑に交 錯しているあたりに性格の相違が感じられますね。同じメロディがアレンジ次第でこ うも変わるものなのです。 トーマスのテーマ -------------------------------------------------------------  フルートで始まる柔和なスローテンポのメロディは、途中からハーモニカに変わり ます。開拓民仲間でも、ちょっと年上で年齢以上にしっかりとしたトーマスです。感 情が激することなどなく、穏やかな性格が現れています。ただちょっと女性的な曲に 聞こえます。トーマスファンとしては、もう少し理知的でスマートな部分がでてもよ かったかな? ハリードのテーマ -------------------------------------------------------------  他のゲームでしたらば「中近東風の異国の町」あたりのテーマでしょう。半音を多 用した主旋律に、シタールの伴奏が不協和音を丁寧に扱い、かもしだす雰囲気は異国 情緒そのもの。RPGの主人公にはあまりいない大人のいい男ハリードに、ぴったり です。宝石細工の曲刀をたずさえてさすらう孤高の剣士…口笛で吹いているのはこん なメロディでしょう。ちなみに設定ではプロ並みに歌が得意なんだそうですよ! ミカエルのテーマ -------------------------------------------------------------  豪華なフルオーケストラ。リズムを刻むティンパニー。そして格調高い短調の重厚 なメロディ。(誰ですか?印篭がでてきそうだなんて言っているのは!)これこそ王 者のテーマソングですね。個人的には、もうちょっと若々しさがあっても良かったか な?とは思いますが。 モニカのテーマ ---------------------------------------------------------------  サラとエレンの場合とは違い、兄のミカエルとは全く違うメロディです。「育ちの いいお姫さま」というよりも、「夢見る少女」という表現が似合います。ゆったりと 流れるフルートのメロディからは、本当はモニカ自身、窮屈な王宮にいるよりも広い 野原で太陽をたっぷりとあびてのびのびしたい…そんな一面が見えてくるかのようで す。 カタリナのテーマ -------------------------------------------------------------  ボサノバの似合うショートヘアのレディ。この曲がカタリナそのものです。ゲーム 曲には珍しいギターがメイン。甘いだけでない、厳しいだけでもない揺れ動く女心が シックなメロディに映し出されます。夕暮れ時、遠い異国の街角をあてどもなく歩き ながら、また、ふと立ち寄ったパブの片隅でグラスを傾けながら、故郷のあの人を切 なく想う…そんなカタリナの背景にはこの曲以外考えられません。 ミューズのテーマ -------------------------------------------------------------  長調なのに、心なしか悲しげなメロディが、病弱で今はスラムの住人である身の上 を思わせます。管楽器とギターの気品のある組み合わせが、貴族の令嬢です。病床に あっても、近所の子供達におとぎ話を聞かせてあげる心の優しいミューズと、命を賭 してでも彼女を守ろうとする最高の騎士シャール。「ささやかな幸福」とサブタイト ルをつけたくなるような暖かい曲です。 きょ・う・じゅ のテーマ ------------------------------------------------------  え〜、あの…コメント不能って…駄目?ですよね、ハイ。えーっと、30年前の、 「ムード歌謡(書いてて恥ずかしいぞ)」調でしょうか。が、歌詞があまりにも突飛 なので、一緒に歌おうとするとなかなか難しいです。そういえば、あの歌詞は「詩人」 氏が作ったのでは?と推理した方もいらっしゃいました。あの歌詞を、見事なダンス と共に思い入れたっぷりに歌い上げることができるきょ・う・じゅ(ハート)は、や はり「大・大・大・大天才〜」なのでしょう。ちなみに、NTT出版から発売されて いるCD「オリジナル・サウンドバージョン」には、カラオケ・リミックスらしき曲 が追加されています。必聴です! 怪傑ロビンのテーマ 〜この世に悪はさかえない!〜 -----------------------------  もう、この曲に関しては文句のつけようがありません。だって、このサブタイトル でしょ(笑)?戦隊ヒーロー物テーマソングの王道です。歌詞が無い曲になぜイント ロが?などと疑問を挟む余地はありません。音楽で笑いをとっているのは、前作のジュ リアナ(覚えてますか?人魚姫が踊るイベントです)以来でしょう。この曲がなぜ? どこから?それも考えてはいけません。正義のヒーローの登場には、勇気凛々のテー マソングなのです。そういうものなのです。 ☆ 町 ☆ 聖王の町ランス ---------------------------------------------------------------  柔らかなフルートの主旋律です。よく耳を澄ませて下さい。主旋律を支えるファゴッ ト(かな?)の副旋律も、とっても美しいメロディラインをしています。ところどこ ろには、ハープがきらめきを添えています。雪深い極地でありながら、高貴な家柄の 人々が住み、思いやり深く優しい暮らしをしているのでしょう。 ポドールイ -------------------------------------------------------------------  「この曲がいちばん好き!」というプレイヤーも多いのではないでしょうか。ロマ サガ1の「迷いの森」を思わせる神秘的な曲。宵闇と町の明かりが雪ににじむ美しい 町の雰囲気を盛り上げます。中盤、フルートに主旋律が変わったときの副旋律の不協 和音、もうため息が出てしまいます。このあたり、ただ綺麗なだけでなくほんの少し 退廃の香りがしませんか?この曲は、ぜひXボタンを押して夜景と一緒にお聞き下さ い。別名「夜景がいちばん似合う曲」です。 グレートアーチ ---------------------------------------------------------------  スチール・ドラムに輝くブラスときたら、気分はすっかりジャマイカン!これぞ南 国リゾートアイランドです。(正確には島ではないのですが)この曲はぜひXボタン を押して夜景と一緒にお聞きにならないでください。別名「夜景がいちばん似合わな い曲」です(笑)。 妖精の村 ---------------------------------------------------------------------  オルゴールのような高音の、しかし決してキンキンとはしない8分の6拍子の愛ら しい曲。ジャングルの曲から、急にこの曲に切り替わると、ちょっとびっくりします よね。小さな妖精が、薄い羽根をぱたぱたさせて、ふわんふわんと舞っていると、ど こからともなくこんな曲が聞こえてくるのでしょう。でも、この曲をきいていると、 あんな意地悪をしそうには思えないんだけどな、妖精さん。 バンガード発進! -------------------------------------------------------------  この曲は、2部構成になっています。一番最初に、バンガードが大地を離れるとき の曲と、航海中の曲とです。特に印象的なのが、第1部。管楽器も高らかに、なにや ら特撮ロボットヒーロー登場シーンのBGMを思わせるような盛り上がり。ゲーム中、 準備不足でバンガードの発進を失敗させてしまうと、この盛り上がったメロディがい きなりヘナヘナと腰砕けになってしまい、なかなか笑えます。第2部は、主人公が髪 を潮風になびかせ、決意に燃えて最果てを目指す横顔、そして、眼下に迫り来る無数 の波…というイメージで、厳しさと情熱にあふれたメロディです。 最果ての島 -------------------------------------------------------------------  『遠く海の彼方、伝説の島…今、ひっそりと没し滅び行く運命を…』なぁんて思っ たらあらびっくり。主旋律はアコーディオンにこれはスチールギターかな?「たらっ た たらった」と口ずさみたくなるような明るい曲。私はこれを聴くと、頭の中でロ ブスター達が手(ハサミ?)に手をとりあってラインダンスを踊ってしまうのですが。 東の国 -----------------------------------------------------------------------  たとえて言うなら「N*K教育テレビ 中国語講座」のオープニングでしょうか? もう、文句もつけようのないオリエンタル調。胡弓の音も朗々と歴史の重みを刻みま す。ただ、ゲーム中の東の国は、ちょっと遊牧民族も入っていたようで、そのあたり の雰囲気も出ていればよかったかな。 ラシュクータ -----------------------------------------------------------------  シタールの音色にツヤツヤの半音。ガムラン音楽のような雰囲気ですね。ぞうのラ インダンスよりも、ベールをかぶった美女のベリーダンスの方が似合いそう。ちょっ とコミカルな、味のある曲です。 雪の町 -----------------------------------------------------------------------  ユニークかつユーモラスな住人のいる町。クラリネットのコミカルなメロディに、 アコーディオンの伴奏もなかなかユニーク。この曲に乗って、この町の住人が行進し てたら、とっても可愛らしいですよね。彼らに出会って驚くユリアンやエレンの原画 イラストがありましたが、その背景に流したらほんと、ぴったりです。 ☆ ダンジョン ☆ 聖王廟 -----------------------------------------------------------------------  とても複雑な曲です。キラキラとしたシンセ音に、もう少し柔らかい音色のアルペ ジオ(分散和音)が重なり、ベースには、重厚な弦楽の和音が流れ、そして和笛のよ うな音色の主旋律が。そして、遠くの方から「カーン」と抑えた響きのリズムが聞こ えてきます。さらに主旋律はヒューマンボイスのシンセ音につながり…それぞれ全く 系統の違った音色・旋律が、勝手に自己主張しているようで、その実ひとつのまとまっ た世界を構成しています。「神秘的で美しい曲」と聞き流してしまうのは簡単ですが、 聴き込むとそこには「厳粛な恐怖」が確かに存在しています。そう、ここは偉大な死 者を祀る場、そして厳しい試練の場なのです。 魔王殿 -----------------------------------------------------------------------  重いメロディに、ドスドスと響くティンパニー。『暗雲たちこめる悪の巣窟』といっ たようなイメージでしょうか。バックに流れるようなハープ音が聞こえますが、これ がまた、全体の重厚さを際だたせています。いにしえの魔王の時代は権勢を誇ってい たであろう城も、いまは見る影もなく朽ち果てて、モンスターの住処。足を踏み込ん だ新米冒険者の胸の高鳴りが聞こえてくるようです。 魔王殿地下 -------------------------------------------------------------------  聖王の指輪を手に入れて、初めて道が開く魔王殿の深部。そこは、過去の栄光その ままの姿を保っています。主なメロディーは魔王殿と同じなのですが、ややテンポアッ プし、伴奏も現代的なものに変わっています。同じダンジョンに複数のテーマ曲があ るのは珍しいですし、同一のメロディを巧みにアレンジしたことで、緊張感が増して きます。冒険者たちが、決意と緊張の面もちで、武器を携えて石畳を駆け抜けていく …そんな情景でしょうか。 ビューネイの巣 ---------------------------------------------------------------  これも、比較的重厚なメロディです。大河ドラマのメインテーマのようだと言った ら怒られるかな?四魔貴族のダンジョンでここだけは自然の洞窟です。自然の厳しさ を表したらこのようなメロディでしょうか。サビのメロディは、唐突にトランペット です。なんとなく「悲劇」というイメージですね。 火術要塞 ---------------------------------------------------------------------  未踏のジャングルに突然姿を現した強固な要塞。そうですね、このメロディは「城」 でも「ダンジョン」でもなく、なんといっても「要塞」でしょう。なにやら、要塞内 ではモンスターたちが軍事訓練に励んでいそうな雰囲気ですね。ちょっとオリエンタ ルなメロディラインが独特です。 海底宮 -----------------------------------------------------------------------  恐ろしい水棲モンスターの巣くうダンジョンとは思えないほど美しい曲。ダンジョ ン自体も、輝く水の波紋が美しい神秘の城ですから、このメロディがさらに幻想的な ムードを盛り上げます。ヒューマンボイス(人声を模したシンセ音)が、まるで深海 に住む精霊たちの歌のようです。短調とも長調ともつかない旋律…海の魔物が美しい 姿で船乗りたちを惑わすときに口ずさむのは、このようなメロディではないでしょう か。 ☆ 特殊イベント ☆ トレード ---------------------------------------------------------------------  カンパニー運営にハマってしまい、この曲を延々と聞き続けた人は多いのでは?アッ プテンポのポップなナンバーにつられて「よぉ〜し!もう1件買収だっ!!」なんて こともあったでしょう。「じゃららら〜」ってお金の効果音つきで聞きたいですね。 CDをお持ちの方は、ぜひヘッドホンで聴いてみましょう。伴奏が左右で飛び交って、 まるで活発なトレード合戦のようですよ。ちなみに、CDには「買収を反撃されたと き」や「トレード失敗の"ちゃんちゃん!"」の効果音まで入っていて楽しめます。 いざ戦場へ… -----------------------------------------------------------------  これは、マスコンバットのテーマ曲。ミカエルを主人公にすると、何度も聞くこと になります。打楽器、主にティンパニーだけでメロディーを作る導入部が印象的です。 高らかな進軍ラッパ(でも、私には法螺貝に聞こえるのですが。時代劇の見過ぎでしょ うか?)で、バトルの開始です。前の旋律を受けて、それをさらに盛り上げて応える メロディラインの応酬は、音楽によるマスコンバットが展開されていますね。ところ でみなさん、マスコンバットの効果音、何と聞こえますか?「わ!」と聞こえる人、 「あ!」だと言う人、いろいろです。ちなみに私は「おぅ!」と聞こえるのですが…。 ☆ バトル ☆ バトル1 ---------------------------------------------------------------------  ザコキャラとのバトル曲です。主人公のテーマ曲と同じくらいよく耳にすることに なりますね。主旋律はトランペット、背景には弦楽も聞こえるみたいですが、ドラム がビシバシと入ってクラシックにはさせないぞっ!って雰囲気です。メロディライン は、う〜ん、ありがちかな?でも、飽きがこないよう丁寧に作ってありますね。どこ でフェイドアウトしても、この後の勝利のファンファーレへのつながりが自然になる ところがすごいっ! バトル2 ---------------------------------------------------------------------  イベントがらみの中ボスとのバトル曲です。この曲が一番印象に残るのはなんといっ ても神王の塔でのマクシムス戦です。たったひとりで強大な敵に立ち向かい不安に打 ちふるえる中、突如として離ればなれになった頼もしい仲間達が、ひとり、またひと りと駆けつけます。そこにこのメロディ!ちょっと切なく泣かせるではありませんか。 そして「じゃーんじゃーん!」と入る合いの手で勇気も百倍ではありませんか!個人 的には今回のバトル曲で1番のお気に入りです。 四魔貴族バトル1 -------------------------------------------------------------  「じゃーんじゃかじゃーん!」と始まり『おっヒーロー戦隊風の曲?』と思わせて おいて、実はそこはイントロ。アップテンポでありながら、弦楽の流れるようなメロ ディ。バックにはずーっとハープの様な美しいアルペジオが鳴っているのはご存じで しょうか?四魔貴族戦は、水のきらめきのような神秘的な背景に変わるのですが、そ の一種独特な雰囲気を盛り上げる素敵な曲です。戦わざるを得ない運命を嘆く風でも あります。 四魔貴族バトル2 -------------------------------------------------------------  某所で四魔貴族の真の姿に再会したときのバトル曲です。いきなりシンセオルガン にガンガンのドラムのオープニング!今までのロマサガには無いノリの曲でちょっと びっくりです。この曲は、長いのです。メインテーマはギンギンのギターソロ風。ちょ っとヘヴィメタっぽいバンドがコピーしたらとてもかっこよくなるのではないでしょ うか。メロディは、スケール(音階)を効果的に利用してグングンと突き上げてくる ような底力を感じさせます。バトルに夢中になってしまうかもしれませんが、ぜひ一 度ちょっと手を止めて聞き入ってみて下さい。 ラストバトル -----------------------------------------------------------------  これも、イントロがかっこいいです。このイントロに合わせてメンバーが「たたた たっ」と駆けていくシーン、何度見ても胸が高鳴ります。(今度は全滅しないだろう か…って胸騒ぎかもしれませんが)ギターがメインの部分から、急に主旋律がシンセ オルガンに変わるところがドキドキものです。このあたり、世界の運命を背負う戦い に巻き込まれていった人間のドラマを感じませんか?「死を賭して、生を得るために 立ち向かう」悲壮感と生命力とが同時に迫ってくる曲です。