『"ロマンシング サ・ガ 3"の3つの謎』 by わに100% ====================================== 謎そのいち【ウエイクアップの原理】 ======================================  ロアーヌ侯爵家に伝わる聖王遺物、マスカレイド。この固有技『ウェイクアップ』 の、聖王遺物の中でも珍しい特性について考えてみる。  この固有技では、『ウェイクアップ!』のコマンドコールとともに、「通常ナイフ 程度の大きさ」と設定資料に書かれているらしい(実際、通常の武器威力は9。涙が ちょちょ切れるほど弱っちい…)小剣マスカレイドが、大剣マスカレイドへと変貌を 遂げる。この際、武器威力も多少変化する。  ただしこの技、攻撃としてはただ一回、普通に斬りつけるだけ。威力はまず大剣の 通常攻撃程度である。だが、以後大剣特有の技と、見た目もハデな固有技『ムーラン ルージュ』が使えるようになるのはちょっと、ウレシイ。  同様に、使用後に武器そのものの形状または威力が変化する固有技としては、仕込 み杖の固有技2種(こちらは杖から小剣に変化する)、そして七星剣の固有技『スタ ーバースト』『スターストリーム』がある。まずはこちらから、検討を加えてみると しよう。  仕込み杖の場合は単純に、鞘から抜いているだけのようだ。技が与えるダメージの 大きさは、「たかが杖」と油断していたところに、いきなり切れ味鋭い小剣で斬りつ けられるという、“ふい撃ち”の効果が大きいと思える。  実際、抜刀後の攻撃で算出されるダメージは、抜き撃ち直後のそれよりもかなり小 さい。卑怯な手はそうそう使えない、ということか(笑)。  一方七星剣では、武器種自体に変化はない。『スターバースト』では刀身にある種 のエネルギーを帯びさせ、その効果によって単体攻撃の威力を増大、その後『スター ストリーム』を使う際には、刀身に帯びさせたエネルギーを一気に放出することで全 体攻撃を可能にしている、と考えられる。グラフィックを見た限りでは、であるが…。  では、今回のテーマである『ウェイクアップ』はどうだろう。武器の中に他の武器 を隠している抜刀系の技ではない。なにしろ、サイズに無理がある(笑)。それでいて 武器種が変化する、という点では七星剣のケースとも相違が見られる。  それにしても、小剣が大剣に変化してしまう、というのは常識的にはとうてい考え られないことではある。ここに、この技の不可思議な特性があると言えよう。  以下では、この謎について各種方面から、より現実的な検討を加えてみたい。  小剣から大剣への形状変化について、今回挙げる仮説は大まかに3つある。 [幻術による錯覚] [エネルギーの物質変換による構造物追加] [分子構造の変化による巨大化]  まず、[幻術による錯覚]について説明しよう。これは読んだとおり、実際には小 剣でしかない武器を使いながら、相手に「大剣で攻撃された」と認識させることによ り、心理的にダメージを増幅するという方法である。抜刀系固有技の威力の大きさか らも、技を受ける側の心構えがダメージ量を左右する可能性はかなり高いと思われ、 その点では現実味の高い仮説ではある。  この時点で、「幻術ならばなぜ、マスカレイドだけでしか使えないのか」という疑 問が提起されることもあるだろう。他の小剣でも同様の術を使えば、大剣並みのダメ ージを与えられるのではないか、と。この問題については、術の発動のキーとなる要 素が、マスカレイドという武器のみに与えられている、という仮説でなんとかフォロ ーできる。同様のキーが他の武器にも与えられなかったのはなぜか、については、極 めて特殊な材質を必要とする可能性についてのみ、挙げておこう。  次に[エネルギーの物質変換による構造物追加]である。これはコマンドコールに よってある種のエネルギーを集積、このエネルギーを物質化させて小剣本体の周囲に 付着させることによって大剣並みの刀身を作り上げる、というものだ。一時的なカサ 上げ状態、と言っていいだろう。エネルギーの集積自体は七星剣固有技の場合に、先 例らしきものを見ることができる。  ここでもまた、先の幻術説と同様の疑問が提起可能であるが、同様の説明をつける ことで解消できよう。また、一度物質化したエネルギーが戦闘終了後持続しないのは なぜか、という点については、同系の七星剣のケースにその範を求めることもできる。 この場合、七星剣が先に存在しており、その技術をマスカレイドに流用・改良を加え たという推測も可能となるだろう。  さて、最後に[分子構造の変化による巨大化]である。これは他の武器固有技に例 を見ない、独特の仮説に基づいている。すなわち、小剣状態のマスカレイドは分子構 造が極めて過密な状態にある、凝縮された仮の姿だという説だ。アニメで主人公が叫 ぶと、スポーツカーがガッシンガッシン形を変えて巨大ロボになる(笑)、まあアレみ たいなものかもしれまい。  コマンドコールにより密集状態の分子が密度を薄くすることで、通常の大剣の形と なる能力。およそ人の身長ほどもある大剣というのは、携帯性の点に難があるため、 この短所を補うために普段は小剣サイズに変化させられる機能が付加された、とも考 えられる。  この場合、小剣状態のマスカレイドはかなりの重量を持つことが予想される。分子 密度の高い物質は、重い。通常、小剣はその切れ味の他、軽量で扱いやすいことが威 力の高さに直結するのだが、「重い小剣」マスカレイドが、他の小剣に比べて威力が 低めなことが、これで一応説明できる。  一方、大剣では切れ味よりもむしろ、その巨大な質量を活かした打撃の強さが、武 器威力のかなりの部分を占めると考えられる。ある程度は重いほど有利、なのが大剣 の特徴ではあるが、マスカレイドの場合、小剣化した時のことを考えるとあまり重量 を持たせることはできないだろう。多少小振りにするなどして、重さを抑えたつくり にすることが必要となる。  「大剣としては軽め」であることにより、普通の大剣では、その重量の故に難易度 が高いと思われる『ムーランルージュ』…大剣を風車のように振り回す技の使用が可 能になった、という仮説はどうだろうか。  以上、いくつかの仮説を述べてきたが、筆者本人としては最後の仮説に心惹かれる ものがある。マスカレイドという武器の持つ様々な特徴について、かなりフォローし た説明ができるという点で、だ。  ただし、分子構造の変化がいかにして可能になるのか、という部分について、説明 しきることができないのがネックとなるのだが。…結局のところ、いつもこればっか だな(笑)。  という訳で、謎はいまだ謎のままである。今後さらなる研究と証明がなされること を、陰ながら密かに期待したい。 ====================================== 謎そのに 【銀の手の所在と機能】 ======================================  聖王遺物のひとつ、銀の手。これがミューズ様の夢のイベントで入手できることに ついては、すでに周知の事実ではある。  だがしかし、複数の人間が同じ夢を共有するとか、夢で入手した品物が現実化する というのは、合理性にかけるというか、なんともファンタジーな出来事ではある。そ れもちょっと、素敵だけどね(笑)。  そこで今回は、ストーリー的な裏読みにより、銀の手にまつわる真実を解明してみ たいと思う。あんまり大したことじゃないけど…。  さて、件の夢イベントであるが、そもそもこのイベントの原因を作ったのは誰か。 そう、ゴンに薬を渡した張本人、赤サンゴの男ことマクシムス、その人である。  彼については既に、様々な事実が判明している。元々は海賊であったこと、今は神 王教団の幹部におさまっていること、病的な聖王遺物コレクターであること、目的の ものを手に入れるためにはどんな卑怯な手も使うこと(カタリナプレイヤーは泣いて いるぞ)、などなど。  彼の生涯を賭けた第一目的は、聖王遺物を集めることであるらしい。かつての海賊 稼業についても、現在神王教団に所属していることすらも、自らの目的を達成するた めに利用できるものは何でも利用、という雰囲気がありあり。このあたりは元同僚ブ ラックさん、現上司ティベリウスさんの態度・証言からも、容易に汲み取ることがで きるだろう。  さて、そんな彼が今住んでいる、ピドナ。実はここにも、聖王遺物が存在していた。 メッサーナ王家に伝わると言われる腕防具「銀の手」である。マクシムスがこれに目 をつけないということがあるだろうか?いや、ない(否定形)。  当然のごとく、銀の手探求に乗り出した彼の前に、ひとつの問題が立ちはだかった。 近衛軍団長クラウディウスvsリブロフ軍団長ルートヴィッヒの戦いで一応の終焉を見 たメッサーナ内乱の後、銀の手の所在はまったく不明となってしまったのだ。果たし て聖王遺物はどこに?  ここでまず考えられるのは、それまで政争両面の第一人者とみなされていた、クラ ウディウス家の人間が知っているかも、ということだ。しかし当主はすでに、この世 にいない。戦にこそ勝利したものの、その後の暗殺によって命を失っている。  だが、もしも戦に負けた場合を想定し、あらかじめ近しい者に銀の手の所在を、な んらかの形で伝えていたとしたら?…例えば、自らの血を引く愛娘などに。  かくして、彼の目はスラムに暮らすクラウディウスの娘、ミューズに注がれる。し かしこのおぢょうさん、病気がちで寝てばかり。拉致して吐かせようにも外に出てこ ないし、無理矢理押し込もうにも、屈強そうな術戦士がつきっきりだし、陰ながら応 援する人々の目も光っているし、とても穏便に済ませることはできなさそう。  …ここは、一計を案ずる必要があるようだ。かくしてある日、マクシムスは彼女の 家に出入りしている、みすぼらしい少年に声をかけ、「良く効くお薬」と称してある 薬を手渡す。少年ゴンはその言葉を信じ、彼女に薬を勧める…  さて、問題はこの薬の正体である。飲んだら眠りっぱなしになることから、一種の 睡眠薬だろうというのが定説となっているが、前節までの推理に基づけば「情報を引 き出すのに、寝かせといてどうする」という、しごくもっともな疑問が出てくる。  そこでだ、これが睡眠状態に加えて、なんらかの精神作用をもたらす薬であったな らどうだろう。具体的には夢魔の出現時、ミューズを篭絡せんとする動きもみられて いるし、求める情報を深層心理の中から引き出すための記憶誘発剤、もしくは自白剤 的な成分が含まれていた可能性は、皆無とは言えまい。  ここで薬を飲んだミューズは、自らの記憶の奥底へとさまよい始める。その舞台が 幼い日に父に連れられ、たびたび訪れたであろう、そして恐らく銀の手が隠されてい るだろうピドナ王宮であったことは容易に想像できる。  一方、同じ薬を飲んだ複数の人間が存在し…その中には彼女と主従の強い信頼、あ るいはそれ以上の感情で結ばれたシャールがいる。同一時に同一の状況におかれ、互 いに求め惹かれ合う者同士の潜在意識が、同一の夢の中にシンクロして出現するとい うのは、はたして不可能だろうか。  さて、では夢のアイテムの現実化という、銀の手出現の経緯についてはどうだろう。 もしも薬の効果が隠された記憶の探索・再構成にとどまっていたのなら、目が覚めた 時点で実物が手元にある、というのはどうにもいただけない。この場合、薬を飲んだ 面々が実際にその場所に行き、取ってくるという必要があるだろう…一種の集団夢遊 病状態であるが、これなら実感としては納得できそうだ。  しかし、目撃者であるパーティの残りメンバー、およびスラムの少年少女はそのこ とについてひとことも、触れてはいない。これはあるいは親しい人々の体面を慮って のことかもしれないが(「ミューズ様〜」「出たなモンスター!くらえ分身剣!」な どと叫びつつ街から宮殿へ徘徊する姿は、ちょっとみっともない)、宮殿内の警備が どうなっていたかという点も大いなるネックである。  もしかしたら実際の隠し場所は宮殿以外で、本人たちだけが夢の中で、そのつもり になっていただけかも。おお、やだやだ(笑)。  もうひとつ、ちょっぴりこじつけっぽいが、よりロマンティックな仮説がある。銀 の手にはある呪文によってのみ実体化するよう、魔法がかけられていたというものだ。  限定の呪文に呼応して初めて、特定の分子が組み合わさり、ある機能を持った防具 の形をつくり上げる…この場合、現実の隠し場所など必要ない。呪文を知るものの記 憶と知識そのものが隠し場所であり、夢の宮殿探索は実は、ミューズの秘められた記 憶、潜在意識の探索を投影したものであるということになる。  彼女が呪文の記憶という宝箱につきあたり、夢魔という自らの知識についての恐れ を打ち破る勇気を持ち得た時、銀の手が現実の形を取りうる状況が初めて達成された とすれば、突然の入手も不思議ではない…「消えなかった」のではなく、「そこでよ うやく形をとった」のでは、ないだろうか。  せっかくなので、銀の手そのものについての余談を少々。この腕防具は通常人が装 着すると、盾を持たない時に限り片手武器の二刀流が可能になる。つまり、右手と左 手両方に一本ずつの片手武器を持ち、双方を等分に使いこなせるようになる訳だ。  盾を持つと片手が塞がるし、両手武器は左右の手で扱うから対象にはならない。こ のことから銀の手は、装着者の腕力と器用さを補助する、一種のマニピュレータ的機 能を持っていると考えることができる。…ここまでは、いいだろうか。  ところがシャールに装着させた場合、彼は二刀流にはならない。その代り最低レベ ルだった腕力・器用さがアップ、そして盾を使用してもその効果は変わらないのだ。 なぜ?  もしも銀の手が両手用、左右ペアでワンセットであるなら、シャールの場合にも同 じ現象が起きるのではないか?  さて、それではここで利き腕について考えてみよう。普通人の場合は、利き腕ひと つ、非利き腕もひとつというのが無難なところ。ここに銀の手を装着すると、非利き 腕が利き腕並みの力と柔軟性を持つことになり、二刀流が可能となる。この場合、絶 対強化されるべきは非利き腕の方、ということも考えられる。  一方設定資料によればシャールは、利き腕の負傷によりその腕力と器用さを損なっ ていたらしい。つまり、通常なら力も使い勝手も他方に勝る利き腕が、そうでない腕 と同様か、それ以下になっていたということだろう。利き腕なし、非利き腕がふたつ あるという状況だ。  この状況ではどちらを強化の対象としてもOK。ただし、盾との併用その他を考え れば、なるべく利き腕を強化することが望ましいだろう。無論、両方同時では絶対に ない、ということになる。  以上のことから、銀の手は片腕だけに有効な機能強化能力を持つのではないか、も しかすると片腕分しかないのでは…という予測が可能になる。  ついでに飛躍させるとそれは通常人の非利き腕であり、シャールにとっての利き腕 ではないか…つまりシャールは利き腕が、普通と逆なのではないか、という想像まで できてしまう訳。  ここで幸いにしてお持ちであられる方は、天才・小林智美画伯の筆によるシャール のキャラクター・デザイン画を見ていただきたい。彼は右手に持った上着を肩にかけ、 「左手」に剣を下げている…そうだ、彼はきっとサウスポーなのだ!  ちくしょー、やっぱりぜひとも欲しかったぞ、レフトハンドソード!なんかちょっ と雰囲気が1のガラハドしてるし(笑)、絶対似合うとおもうんだけどなぁ。  あ、いけね。ユリアンとサラとトーマスも、こうして見るとなんかサウスポーっぽ いぞ。うーん、またひとつ余計な謎を、増やしてしまったかも…。 ====================================== 謎そのさん【ごみ箱システム】 ======================================  シリーズ第2作からお馴染みとなった、メニュー・持ち物欄に置ける“すてる” コマンド、通称ごみ箱機能。これは2でのマッキントッシュのそれにそっくりな(笑) アイコンから、筆者が勝手に名付けたものだが、手慣れたプレイヤーならかなり活用 しているはずだろう。  このシステムの凄いところは、とにかくなんでも放り込める(2では人を乗せられ るサイズの石の船!まで入った)ということ。そして、放り込んだ品物が必ず倉庫に 届いている、ということだ。  これほどの信頼性と柔軟性、そして簡便性を兼ね備えた物流システムというのは、 おそらく現実には存在しないだろう。…もしも「ロマサガごみ箱通運」なんて宅配業 者があったなら、つい利用してしまいそうでコワイけど。  この従来の常識を越えたロジスティック・システム、“すてる”機能について、今 回はちっとばかし掘り下げて考えてみよう。う〜ん、我ながら役に立たないことばか りやってるなぁ(笑)。  ではまずお約束どおり、システムの変遷から話を進める。2で登場したごみ箱はア イコン付きであり、前述のようなデザインがほどこされていた。  当時主役を張っていたのは歴代帝国皇帝であり、放り込まれたアイテムの送り先は 帝国首都の城内倉庫。この頃は倉庫といってもこの一つしかなく、当然といえば当然 の、結果ではある。  次に登場した現代の“すてる”コマンドは、文字が表示されただけのシンプル極ま りないもの。やっぱり版権とかの問題もあるかもしれないが、一番の理由は表示する スペースが狭い、ということだろう。システム全体の進歩に伴い、メニュー内に盛り 込まれる項目がちと、増え過ぎたようだ。  しかし、機能の方は以前と同様であり、今回は各地の好きな倉庫から、取り出しが 可能と汎用性には優れている。前回いちいちバレンヌに戻るのは、結構面倒だったも んね。  さて、では捨てたはずの品物はどうやって、倉庫に収納されるのだろうか?  前回の場合はアイコンの表示、そして主人公の地位からして「皇帝専用ごみ箱部隊 が、敵のうろつくフィールドまでも陰ながら同行。皇帝がものを捨てる時になるとす ばやく持参したごみ箱をかかげ、内容物を命がけで城まで持ち帰るのだ」という説が まことしやかに流れていた。  噂では、巨大な石船運搬中に敵に襲われて殉死した者もいたが、その死は長く重臣 の間で伏せられ、皇帝の耳には届かなかったとか(嘘)。  しかし、今回の主人公は最も高くても侯爵どまりの地位である。例えば開拓者の子 供とか、流浪の王族ことバトル請負人とか、身分を捨てて駆け落ち敢行した元姫君と かにいそいそ付き従う飛脚黒子、というのは想像しにくい。  また届け先となる倉庫は今回、そのほとんどが民営のようである。回収に人を雇え ば、人件費だって馬鹿にはなるまい。  そこで、今度は倉庫経営側の立場に立って考えてみよう。まず収入の面だが、ゲー ム中品物を預けても実際に料金はとられない。しかし、これでは経営が成り立つとは 考えにくいではないか。  もしかしたら倉庫は一種の質屋のようなもので、ゲームクリア時点で預けっぱなし の品物、または持ち主が死んでしまった場合については、質流れ同様業者に所有権が 渡る、みたいなシステムになっているのかも。  だとすれば、より多くの品数をパーティが集めるほど、最終的に業者の懐に転がり 込むアイテムも増える訳で、すてた品物をわざわざ拾い集めて回収する、ひとつの動 機になる可能性がある。  …パーティの持ち物欄にいちいち品数の限度が設定されているあたりも、ここでは いかにもクサイ。この持ち物欄の限界がなければ、倉庫利用の頻度はぐんと落ちるは ずだしね。  もしも実際に、回収部隊が組織されているとしたら、その行動範囲はかなり巨大に ならざるを得ないだろう。西は海の底の海底宮から東は遠く黄京まで、パーティの足 が及ぶ範囲すべて、ものが捨てられる可能性があるのだから(笑)。  となると、中継地をいくつか決め、全土を網羅するほどのネットワーク上に複数の 回収担当者を配置することが、最も理想的ではある。  一方、現実世界におけるこのような回収ネットワークとして、かつて空き瓶回収と いうシステムが存在した(今もまだあるかな?)。空き瓶(これは自分が中身を消費 しても、捨ててあるのを拾っても可)を酒屋その他に届けると、5円なり10円なりを もらえる、という奴だ。もしかするとロマサガ世界にも、同様のシステムが存在する のかもしれないぞ。 「はい、何かひろったら必ず名前を書いておいてくださいね。その品物を捨てると 拾った人が、『だれそれさんの分ですよ』と届けにきてくれますから。 ええ、もちろんお駄賃はこちら持ちで。まあ1オーラムか2オーラムですけど… だめだめ、値上げなんて勝手にはできませんよ。倉庫ギルドの決まりって奴です からね…」な〜んて。  …う、もしかしてザコモンスターの落とすオーラムは、このお駄賃をこつこつ貯め たものだったのか?そうだとしたら折角、拾って届けてくれたのにすまぬ、許してく れい〜(笑)。  ところで、ついギルドなぞと書いてしまったが、この存在についてはかなり確信を 深めている今日この頃である。なにしろ民間営業と見られるピドナの倉庫でも、個人 の好意とのたまうランスの倉庫でも、果てはロアーヌ侯直轄のはずの宮殿内倉庫でも、 中身が同じというのが実に、怪しい。  恐らくこの3ヶ所は地下トンネルとか光ケーブルでつながれており、日々各担当者 が担当冒険者の実入りの額とか、予想される最終収支なんかを話し合っているに違い ない(爆)。うううむ、すっかり疑心暗鬼だな。  最近の報告では、なんとロアーヌ宮殿内の洋服タンスにまで、倉庫ギルドの実験設 備が密かに設置されたようだ。ここに品物を隠しておいて、幽閉など何等かの理由で しばらく取らずにおくと、自動的に倉庫に収納されてしまうということらしい。  筆者以外にも、イベント解説オープニング担当者が同様の体験をしたということな ので、まずは確かな事実と言えそうではある。  …それでもまあ、七英雄の息のかかった連中にひっぱがされた装備一式が、後日帝 国城内の倉庫で発見されたというかつての“バレンヌの黒い霧”事件に比べれば、ま だ可愛いものではあるわなー(笑)。