今回の雑文集は前回の『ひねもぐら』と区別をつけるために『続ひねもぐら』とした。中身も雑文集であることに変りはないが、ただ、前回は「ゼミ通信」から拾ってきたものばかりだったが、今回はそこから漏れたものが半分で、あとの半分は他の学内誌に載せたものや学外から依頼されて書いたものから成っている。学内外で行った講演の一部を削ってきたものもある。中には、原稿を頼まれて書いたが自分で没にしてしまったために手元にあった、なんてものもある。
前回はもっぱら学生を読者に想定して書かれたものだったが、今回は想定読者が多様化したことで、内容や書き方に統一感が失われた感は否定できない。前回のものに統一感なんてものがあったか? と言われればそれまでだが。
相手が学生だと思えば、身内に愚痴をこぼしたり内緒話をしたり、という気分になるが、相手が不特定の場合は、多少は改まった感じになる。
多くはひと昔前に書いたものだが、過去を記録するために、ということと同時に、けっこう今の時代にもあてはまるみたいだ、という気持もある。そのためにあえて執筆年は書かなかったが、それでもこれだけは書いておいた方がよさそうだと思われる幾つかについては、それを文末に記した。
前回と違って、今回は順不同である。はっきり言って、いつ書いたか正確に分らないものもある。
いずれにしても雑文であって、とやかく理屈をつけるほどのものではない。
二〇二五年九月三日
入江和生
入江和生
一九四三年東京生
東京外国語大学英米語学科卒。同大学大学院修士課程修了。
共立女子大学教授、同大学学長を経て、同大学名誉教授。
著書
『シェイクスピア史劇』(1984 研究社出版)
『シェイクスピアの歴史劇』(共著 1994 研究社出版)
『妄想シェイクスピア酒場』(2023 小鳥遊書房) 他
訳書
エドワード・ダウデン『悲劇論』(1979 荒竹書店)
トマス・キャンピオン『英詩韻律論/四声部対位法論』
(2020 http://www.ceres.dti.ne.jp/~ksirie/campion/) 他