KOYO Paraside

育児日記1999/03

990308 ひいばあちゃんの死について

亮佑と晃志へ、ひいおばあちゃんの死について伝えておきたいこと

花子ばあちゃん(きみたちのひいばあちゃん)が死んだ。病院に入院して、手当の甲斐なく死んだ。きみたちが、インフルエンザで高熱を出して寝込んでいたとき、花子ばあちゃんは、入院した。その日、花子ばあちゃんは、全く元気がなかった。でも掛かり付けの医者が往診にきてくれるから、というと自分で座敷に敷いてある布団まで歩いていったほど元気だった。でも風邪をこじらせて肺炎を併発し、血圧が低下して、このままでは危険な状態だからということで入院を余儀なくされたのだ。

花子ばあちゃんは、入院をいやがったが、無理矢理病院につれていった。入院した病院の説明では、肺炎の治療に時間がかかるが、1ヶ月くらいで退院できるということだった。入院当初、血圧が極端に低かったので心配だったが、それは2〜3日で回復した。

花子ばあちゃんが入院した病室は6人部屋だった。花子ばあちゃんは、一番あとから入院したので一番元気だった。元気なときの花子ばあちゃんは、知っての通り、頑固者だ。「こんなとこ嫌だ」と騒いでいたらしい。看護婦さんも手に負えないって感じだったかもしれない。

花子ばあちゃんの同室の人が、夜中に一人でトイレに向かう途中、誤って転んでしまって、脳挫傷を負った。花子ばあちゃんが、病院からとてもひどい仕打ちを受けたのはそれからだ。

花子ばあちゃんは、一人でトイレに行けるのに、同室のおばあちゃんのように怪我をしないようにと言って、ベッドに縛り付けられたのだ。そんなこと許されると思う? 病床にある抵抗力のない老婦人の両手両足を縛り付けて身動きできないようにしてしまった。そしてオムツをはかされた。

それがどういう仕打ちか分かって、そんなことをしたのだろうか。自分の両手両足から自由を奪うということを想像しただけで、誰でも屈辱的な思いになるだろう。

きっと病院は、先のおばあちゃんの事故の件で、管理不行き届きを咎められたのかもしれない。だから、今後そういう事故が起きないようにとの責任回避としか思えない。しかし、それは医療機関のする行為か? 病気を治そうとしている人が、病人を縛り付けるんか。

きっと花子ばあちゃんは、なによりもこの束縛が嫌だったに違いない。それからというもの花子ばあちゃんは見る見る元気を失っていった。

ママが看病に行ったのは、君たちのインフルエンザ渦が峠をすぎてからだ。ママによると、花子ばあちゃんは寝言で「まだや、まだ行かれへんねん」と言っていたそうだ。

点滴をいやがる花子ばあちゃんは、点滴の針が肺に刺さってしまったので、肺がしぼんでしまったらしい。病院はそれに気づくのに遅れたようだ。緊急に手術をした。手術の直後が危ないかもしれないということだったので、千英子ばあちゃんがついていたが、病院側が大丈夫といったので、その日は帰った。手術をしたときには、すでに入院から3週間が経っており、花子ばあちゃんは体力的にかなり衰えていた。感染症の心配はある。

翌日のお昼、ママが見舞いに行った。ちょうどオムツ替えの時に遭遇したが、看護婦はまるでモノを扱うような仕草でオムツを交換した。花子ばちゃんは、全身の力を振り絞るかのように声を荒げて「さわらんといて!」と叫んだそうだ。それまでは、物静かにママとおしゃべりしていたのに。

花子ばあちゃんが死んだのは、さらにその翌日の夕刻だった。

ベッドに縛り付けられて生き恥をさらすより死んだ方がまし。花子ばあちゃんはそう思ったのかもしれない。だって、ついこないだは「まだ行かれへんねん」って寝言いってたのだから。

今日(1999.3.8)の朝日新聞朝刊の主張・解説欄に、「痴ほう症高齢者の拘束 介護の貧困象徴 見直し機運」という記事があった。拘束はどこでも行われているらしい。愕然とした。老人医療の世界では当たり前の話だったのだ。


花子ばあちゃんは、入院しなければ、そのまま死んでいたかもしれない。でもそのほうが人間らしい死だったかもしれない。

人は、人として扱われることではじめて人として生きることができるのだ。
自立した一個の人間として、人間の尊厳を失わないよう生きてほしい、そしてそれと同時に他人の尊厳を傷つけることのないように生きてほしい。

花子ばあちゃんの死を、無駄にしないように。

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990327 3月分はまとめて

仕事が忙しくて更新をサボってましたが、いろいろおもしろいことがありました。ひさびさに時間がとれたので、3月27日までの分をまとめて、思い出しながら書きます。

990305 お弁当事件
亮佑は、もともと食が細いのだが、そのころ特に食欲がなかった。幼稚園に持っていったお弁当を、お昼の時間に食べ終えることができずに、お帰りの時間(1時半)になってもまだ食べていたというのだ。迎えに行ったカミさんは、すれ違うお母さん方や幼稚園の先生から、ニコニコされて「がんばっているからねえ」と声をかけられたそうだが、なんのことか分からなかった。保育室を覗いてみてはじめて事態を把握した。しかし最後まで一生懸命に食べている我が子に感動したらしい。本人はなんら罪悪感もなく、ただひたすら細々と食べ続けていたそうだが、先生方のほうはイライラしていたかもしれない。でも、あまりにうれしかったので、私に電話してきた。亮佑も電話口に出たので、私も亮佑をほめてあげた。

990306 熱が下がらない
3月のはじめ、亮佑はまた熱をだして幼稚園を休んだ。熱を出すときは決まって土日が多い。晃志もそうだ。だから医者につれていくときは、峠をこえてからになる。日曜日はまだいいが、土曜日だと翌日病院が休みなので、親としては不安だ。今回は土曜日の晩だったが、結構高い熱がでて寝苦しい様子だった。全身が熱くなってて、かわいそう。月曜日の朝、医者につれていく。結局、幼稚園を3日くらい休むことになった。一日休ませると元気にはなるのだが、深夜から明け方にかけてまた熱が出る、の繰り返しだった。熱が下がらないのだ。前の幼稚園のおともだちも同じような症状だそうだ。こんどの風邪は、そういう風邪だったらしい。あとから思うと、お弁当事件は、風邪の前兆だった。熱がでる前の金曜日のことだから。

990310 チンチンマン
NHK教育テレビの番組が3学期を終えようとして総集再放送編になっている。1月から放映の分を1週間くらいでまとめて観れる。結構私も好きな番組が多い。「がんこちゃん」「ニッチとサッチ」「まちかどドレミ」「トゥトゥツリー」「ハッチぼっちステーション」など。それらのなかに「ストレッチマン」という番組がある。ストレッチマンは最近見ていないので詳しい内容は分からないが、安物のウルトラマンみたいな宇宙人がでてきてストレッチ体操を教えくれるのだ。そのとき「ストレッっち、マーン!」と叫んで登場する。晃志がこれをまねして、右手を前に突き出しながら「ちんちんまーん!」と大声で叫ぶ。そうとしか聞こえない。本人はストレッチマンのつもりだそうだ。おねがいやから、外でいわんといてなあ。

990313 晃志が食べない!
亮佑の発熱は3日くらい続いて、ゲッソリとやせた。食欲がないからだ。亮佑の次は晃志だった。発熱が同じようにつづく。軽い嘔吐もする。でも驚いたことに、あの大食漢の晃志が、食べないのだ。いままで、どんなにしんどくても食欲だけはあったのだが、この冬の発熱では食べない。ほとんど食べない。えっ? と思うくらい食べない。おかげで、晃志もすっかりスリムになった。顔はでかいままなので、あまり違いが分からないが、服を脱ぐととてもスリムである。でも、筋肉はしっかりついていて、手足とも丈夫そうだ。亮佑は、もともとがりがりなのに、食べないから、「ほねじい」(旧うたってオドロンパ)みたいになった。

990317 扁桃腺
晃志の熱は下がらないまま、深夜の大泣きが続く。亮佑より長引いているので、病院を変えてみた。小児科から耳鼻科にしてみた。すると扁桃腺が腫れているということだった。そういえば、パパが連れていった時、小児科のほうでは、喉もみないし、お腹もみなかかった。おかしいいよなあ、診察するのに、親との問診だけなんて。

990319 耳鼻科事件
おかげで晃志の扁桃腺の腫れはひいていった。少しづつ元気になっていった。晃志のその後の様子を見てもらいに、亮佑と一緒につれていった。亮佑は、耳垢がたまっていたので、掃除してもらおうとおもってつれていった。奥の方につまっていて、耳掻きだと、よけいに奥に押し込んでしまいそうになるからだ。晃志の具合をみて、ひととおりの診断をしたあと、亮佑の耳掃除がはじまった。亮佑の耳垢はかなり頑丈にこびりついているようで、なかなかとれない。泣きわめいて痛がるので、私が膝の上に抱きかかえることになった。看護婦が頭をおさえている。結構強引にするねんなあ、とおもって、少し亮佑がかわいそうになってきた。すると亮佑は、大泣きしながら「やめてえ! この病院いややあ!! ○○先生のほうがいい!」といつもの小児科医の名を呼ぶのだった。よっぽど痛かったのだろう。晃志は診察を終えていたのだが、居場所がなくて亮佑のまわりをうろうろしていたが、亮佑の泣き方があまりにすごいので、いたずらもせずにじっとたったまま、亮佑の様子を伺っていた。2歳なりに兄貴がかわいそうとおもっていたのかもしれない。その日のお昼ごはんは、亮佑の好きなモノばかり食べさせてご機嫌をとった。じつは、その日は亮佑の誕生日だった。

ピーちゃんからもらったチョコレートのお礼をした。この頃のトップページ。(020107追加)

990323 耳鼻科事件その後
晃志の治療が終わるまでまだかかるので、亮佑もまた耳鼻科に行く羽目になった。もう春休みになので、亮佑が幼稚園に行っている間に晃志だけ行くというわけにはいかないからだ。もっとも、亮佑がまた風邪をひいて鼻水たらしだしたからということもある。カミさんの話によると、待合室で結構おじけづいていたらしいが、耳鼻科の先生が「今日は痛いことしないよ」というと安心したらしい。怖い病院というだけではなくて、一応治療してくれているということも理解しているようだ。


990323 おひさまとわたあめ
「だんご3兄弟」がヒットしたおかげかどうか分からないが、「おかあさんといっしょ」の最新の曲を収録したビデオが出ていたので買った。もちろん「だんご」も入っている。ところが、ビデオをみていて、晃志が急に泣き出しそうになってママにまとわりついてきたそうだ。原因はすぐに分かった。「おひさまとわたあめ」である。この曲は、去年の夏の歌である。晃志は、わたあめが本当は入道雲だったという歌詞の部分の映像がとても怖くて、テレビを見ては泣いていたのだ。それを思い出したようだ。亮佑は、晃志の弱点を発見できて大喜びで、晃志に負けそうになると「わたあめ、かけるぞ」と言って脅している。晃志は、その言葉だけで泣きそうになる。


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990328 亮佑の音楽発表会

今日は、亮佑の音楽教室の発表会だった。と同時に、ひいおばあちゃんの四十九日だった。午前中発表会に出て、午後からは四十九日に駆けつけるという段取。

発表会は、「さんぽ」を歌うこと。「太陽の下で」のリズム楽器を奏すること。「なっなっなかよし」を振りを付けて歌うこと。この3つである。

ママによると亮佑はつい先日まで、リズムも振り付けも上手にはできなかったそうだ。それが、一昨日のリハーサルの時には、なんとか形になっていたので、涙がでてきたそうだ。昨日、パパの前での自宅練習では、一応ちゃんとできていた。パパは「まあまあできてるやんか」と思ったが、ママは「いままで一番いいぃ!」と感激していた。

本番ではママもステージにあがって演技するので、パパは晃志の面倒をみながらのビデオとカメラ係。晃志がおとなしく鑑賞してくれるかどうか心配だったが、イスに座って足をぶらぶらしてリズムを取りながら聴いていてくれた。ただ単にぶらぶらしていただけかもしれないが。ところが、もうすぐ亮佑の出番というときになると、眠たくなってきたようだ。「もうすぐ亮ちゃんでるから、がんばれ」と励ますと、うなずいていたが、亮佑が出てきて1曲目が終わったころには、寝入っていた。「となりのトトロ」でパパを迎えにいって寝てしまうメイちゃんみたい。かわいいときの晃志はメイちゃんに似ている。

本番の亮佑は、まあまあの出来だったが、亮佑のうしろにたって演技しているママがよく目立っていた。亮佑にかまいすぎるのかなあ。

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990329 好きなもの

亮佑とママの会話
「ママあ、ママのすきなものなに?」
「うーん、りょうちゃん!」
「(にこっとして)でも、りょうちゃん、たべられへんやん。ママのすきなものなに?」
「たべものね? んーとぉ、プリン」
「そしたら、ママしんだら、プリンおそなえしてあげる」

昨日の花子ひいばあちゃんの四十九日で、カステラやスイカがお供えしてあった。なんでこんなんおいてあるの?との亮佑の問いに、ひいばあちゃんが好きなものをお供えしとくんや、と答えた。それを覚えていたのだ。

990329 水たまり

昨日、発表会の会場に向かう途中、亮佑と晃志は両親のあとをスタスタついていっていたが、突然パシャと言う音。振り返ると、水たまりから1歩くらいのところに晃志が立ちすくんでいた。大したことはない、とおもって「あ〜あっ」というと、晃志の顔がじわっと崩れはじめ、しまいに大声で泣き出した。晃志が泣き出すときの顔の崩れ方は最高。ほんとうに悲しそうなくしゃくしゃ顔になる。靴も靴下もびしょ濡れになって冷たかったのだろう。その水たまりは、アスファルトの道路のへこみ部分に溜まっていたもので、60センチくらいの楕円で3センチくらいの深さはあったかもしれない。大人は何気なく避けることができても、2歳の子供には、それが何かさえ分からなかったのだろう。たまたま、亮佑の発表会用に誰かが忘れるかもしれないと思って白い靴を余分に用意していた。亮佑のだからちょっと大きいけど、よかったね、晃ちゃん。

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990331 二重まぶた

昨日、今日と、晃志がまた熱をだした。きっと水たまりの件で、また風邪をひいたのだろう。実は、水たまり事件のあと、ひいばあちゃんの四十九日でも、お膳のうえのコーヒーカップを蹴って靴下を濡らしたので、ずっと裸足のままだったのだ。昨日は例の耳鼻科につれていったが、ちゃんと手当をしてくれなかったので、今日は別の小児科医につれていった。

ところで、前にも書いたが、熱を出したときの晃志は、二重まぶたになる。普段はほとんど一重だが、左目だけ二重になるときがある。寝起きの時とか、ちょっと眠たいときがそうだ。二重になるときは、熱が出たりして体力を消耗しているとき。二重になると目がパッチリ開いて大きく見える。体力を消耗しているのでおとなしい。甘えん坊になり、「あっこ(だっこ)」といってまとわりつく。ちょっとしたことですぐ泣く。普段の晃志とは別人のようなのだが、これが結構かわいい。


990331 恐竜

ひいばあちゃんの四十九日のとき、よしふみおじちゃん(ママのいとこ)が2階の自分の部屋で、「だんご3兄弟」のビデオを見せて子供たち(花子ばあちゃんのひ孫たち)を楽しませていた。子供たちは大喜びで飛び跳ねて「だんご3兄弟」を歌っていた。階下にいた親たちは楽しそうな雰囲気を察して、2階にあがってきて、びっくり。その部屋はホームシアターになっていて、ビデオプロジェクターの100インチくらいの大画面。画面だけではなくて、音響機器もすごい。ドルビーサラウンドのDSP。スピーカーが8つもある。サブウーハーがものすごい低音を発していて、部屋全体が振動している感じ。本当に映画館のようだった。よしふみおじちゃんは、気をよくして、子供たちを驚かせようと「ジェラシックパーク」を見せようか、といいだした。ちょうど恐竜が出てきて車を襲うシーンだ。大音響とともに現れた恐竜に子供たちの目は点で、その場に立ちすくんでいたが、しまいには、晃志はおびえてママにだっこされていた。亮佑などは部屋の隅に逃げてしゃがんで隠れている。ひろくん(ママの弟の長男)は、のりゆきおじちゃん(ひろくんのパパ)と一緒に一番前で立ちすくんだまま見ていた。このあと、ひろくんは、だんご3兄弟を歌うと「だんごさんきょうだい、がおー」となってしまった。ジェラシックパークとだんご3兄弟がごちゃまぜになったようだ。よしふみおじちゃんは、怖い夢みいひんかなあ、とちょっと後悔してたようで、翌日電話をかけてきて子供の様子をうかがっていた。大丈夫よ、ママは応えたそうだが、実は、晃志はその夜、怖い夢をみたようで、突然泣き出したそうだ。亮佑はそれほどでもないが、晃志にはちょっと度がすぎたようだ。「ひまわりとわたあめ」以上の効果があって、言うことを聞かないとき「恐竜がくるよ」というと、おとなしく言うことを聞くようになった。それだけならいいのだが、いままで怖がっていなかったものまで怖がるようになった。たとえば滑り台。動物のでてくるテレビやビデオ。ちょっとしたことで怖がる。これも困りものだ。

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