マレーシア旅行レポート その9
2日目のフライトで、大きな川を越えて、携帯していた地図のエリアからはみ出してしまった僕らは、着陸した河川敷で迎えを待っていた。
しかし、着陸してから30分以上経過したが、未だ迎えは来なかった。
川を渡る橋を探しているのか、無線から聞こえる声はだんだん掠れて遠くなってゆく。
迎えを待つ間に、さっきの子供の他に、この辺の農家の人らしいらしい、おじさんが3人やって来たが、答えはやっぱり同じで大きな道路までは15分以上掛る、この先飛んでいっても、着陸できるような空き地はない、との返事だった。
少しでも目立つようにと、気球を立ち上げた状態のまま、待っていたが、いたずらにガスを消費するばかりでラチが開かない。
「何かさぁ、凄くガスの消費が早いんだよねぇ」
塾長は又バーナーの圧力の話を蒸し返した。
「冬の北海道でガスの保温無しで飛んでいるくらい、弱いんだよ」
「うーん、でも、外気温も高いし、効率が悪いだけじゃあ…」
「ひょっとして、これ、ブタンガスじゃないか?」
「・・・あぁっ!そう言えば!」
AKAバルーンでガスの差圧充填をしていた時に、スタッフの一人が『これはプロパンじゃないから』と謎の言葉を発していたのを思い出した。
(あとで調べたら、差圧に使った元タンクにBUTANの文字が書いてあった。もし、これを読んでいる方で、マレーシアでフライトする機会があったら、十分に注意されたい。)

いよいよガスも無くなり、球皮を潰して途方に暮れていたら、突然モーターパラグライダーが僕らの上空に飛んできて旋回を始めた。
そう言えば、僕らがフライト前の気球のセッティングをやっている時に、少し離れた所でモーターパラのセッティングをしている人がいたっけ。
きっと僕らを捜しに来てくれたんだ。国際救助隊だ。
そう思って、大きく手を振ったら、モーターパラは2,3度旋回をして、チェイスクルー達に告げる為に、飛び去っていった。
案の定、それから暫くして、でこぼこ道から回収のトラックが現れた。
やれやれ、良かった良かった。
迎えに来た車を見たら、僕らより遙か先に飛んで行ってしまったはずのアンディが、ちゃっかり乗っている。
うーん、彼らより捜索に時間が掛ったなんて、ウチらの着陸地は、よくよくへんぴな場所だったのか。
気球も僕らも、無事に回収されて、僕らのマレーシアでのフライトは終わった。

大会ではなかったけれど、2回足したって1時間有るか無いかのフライトだったけれど、でも、中身の濃い、とても意味の有った、僕らの旅だった。
行く前は、大会のドタキャンを食らって頭に来て『一発おみまいしてやる!』などと息巻いていたが、終わってみればこちらがおみまいされまくりの1週間だった。
カイルディンさん、AKAバルーンの皆さん、有り難う。
やっぱり、気球って良いよな。
と言う訳で、
結論 『現在、マレーシア萌え中』

今回の旅のお供
山本周五郎 栄花物語
藤沢周平 用心日月抄
ロス・マクドナルド ブラックマネー
←この容器の中に、ブタンガスが…
知ーらなかったなぁ。
←僕の顔は、まだ少々引きつってます。
←さぁ、来年は何処を旅するのでしょうか?