マレーシア旅行レポート その8
マレーシア5日目、フライト2日目である。
朝6時、塾長とホテルのロビーに降り、清水と落ち合う。
けっこう、彼女の疲労の色が濃い。
さすがの多国籍女も、連日の通訳でへばったか?
「ん〜、不思議ですねぇ、フィリピンの大会の時は、あんなに楽しかったのに…」
清水が言った。
そりゃそうだよ、フィリピンの時は、俺が一手に辛い事を請け負ってたんだから。
マネージャー稼業の大変さが判ったか。
迎えに来たカイルディン達と、昨日より少し早めに行動し、暗いうちに前日と同じグランドに到着する。
天気は良く、風も無い。フライト日和だ。
暗いなか良く見ると、AKAバルーンのスタッフに混じって、昨夜は姿の無かった、カイルディンさんの次女も来ていた。
写真でも可愛かったが、実物もやっぱり可愛い。

インフレのあと、僕も乗り込み気球を離陸させた。
昨日は飛んでいないので、僕としては、マレーシア初フライトという事になる。
と言っても、高度も低いし、自分でバーナーを握っている訳でもないので、イマイチ実感無いが。

工業用地を抜け、住宅地の上を飛ぶ。
やはり地元の人には、気球は珍しいらしく、盛んに手を振ってくれている。
塾長もサービスで低高度をパスし、現地の人達に答える。
一旦、造成中の住宅地で中間着陸し、清水も乗せ、日本人3人でクアラルンプールの上空に浮かんだ。
さすがに、一番楽しそうなのは、八戸塾長だ。
「あ!大きい鳥がいる!」とか
「何、あれ?水の中から1メートルくらいの生き物が!」とか
「痛い!蟻が目の中を歩いているよー!」などとマレーシアフライトを満喫(?)しているようであった。
が、僕は、全く別の事を考えていた。
『この川を渡ったら、地図からはみ出る…』

実はドイツの気球のうち、1機はそれを気にしたのか、川まで行かずに着陸した。
ところがもう1機、アンディがパイロットの気球が、遙か先の丘を越えて見えなくなってしまっていた。
塾長はそれを見て、行けると思ったのかも知れないが、僕の中では
「じょーだんじゃないよ。地図も無いのに、知らない土地で、しかも借り物気球でこれ以上行くのは勘弁してくれ。」
と、顔が青くなった。
無線では盛んに、アンディの気球は何処に行った、アキオの気球は?と訊いてきている。
無線に向かって、とりあえず川を渡っている現状をチェイスに知らせ、アンディの気球は見えない、と英語で答えた。
そのあと無線を清水に変わり、マレー語で細かい状況を伝えて貰った。
しかし、チェイスも相当に焦っているらしく、スラング多発で、さすがの多国籍女も聞き取れ無いとのこと。
川を横断し、すぐに有った河川敷らしき土地に気球をおろし、気球をたてたままの状態で暫く様子を見るが、向こうからは全くこっちが見えていないようだ。
周りを見るが、人家は無い。
携帯している地図からはみ出しているので、道路も何も判らない。
車の轍に見えた物も、ただ草が禿げているだけだった。
着陸地は、車が入ってこれない場所のように思える。
そのうち、どこからともなく子供が二人現れた。地元の農家の子供らしい。
この付近に車の通れる道路はあるのか、と訪ねたら、歩いて15分くらいかかると言う。
さぁ、まずい。
僕は、凍り付いた。
清水も、無線がなかなか通じなくて、焦っている。
唯一、塾長だけが、子供達と記念写真を撮っていた…

続く…
←カイルディン一家と記念撮影。
僕としては、このあとフライトせずに、
三姉妹に囲まれて地上に残っても良かったんだけど…
←ビールのロゴを、布で隠してのフライト。
でも隠す事により、余計に卑猥になってしまう。
ほーら、じっと見てると、
だんだん恥ずかしい気持ちになってくるでしょう?
←ルピコン川を超える…とは、この事か?