マレーシア旅行レポート その7
マレーシア4日目にして、無事にフライトを終えた僕らは、みんな一緒に近くのレストランで朝食を取った。それもカイルディンさんの奢りで。
気球も何もかにも借り物上に、チェイスまでやらして、只飯まで食わせて貰っているのである。
本当に気を遣ってくれているのが判る。
マレーシアに来る直前には
「ドタキャンなんかしやがって、只じゃ済まさん。一発おみまいしてやる。」
などと息巻いていたが、ここまで気を遣って貰うと申し訳ない様な気になってくる。
ひょっとしたら、無理くりマレーシアまでやって来た僕らの行為は、国際的な理不尽かも知れない…
などと、思っているのは僕だけらしく、八戸さんはしっかりと朝食をおかわりしていた。
朝食後、一旦解散の運びになったのだが、カイルディンさんが今晩、ホームパーティーを開くので、ドイツチームと共に僕らも招待してくれるという。
あー、なんて、歓迎振りなんだ。
僕ら、こんなに理不尽なのに。
でも、素直に嬉しい。
日中をそれぞれに潰した僕らは、夕方、迎えの来るまで、カイルディン家に向かった。
カイルディンさんの家は、閑静な住宅街にあった。
白壁に、赤い瓦屋根が南国風の家だった。
庭にパパイヤやマンゴスチン等の果物がなっていて、食後にはそれを直接取ってデザートに出してくれた。
食事は、カレーや、ビーフン大好き八戸さんの為に、焼きビーフンも。
カイルディンさんの奥さんと、例の美人長女の二人で作ってくれたらしい。
子供は他に、10才くらいの可愛い娘さんと5才くらいのやんちゃな息子さんが居た。
壁に掛っている家族写真を見たら、二番目の娘さんがいるようだがあいにく今夜は留守らしい。
二番目の娘さんは写真で見ると、長女より日本人ぽい顔をしていて、こちらもまた美人である。
カイルディンさんは羨ましくも、美人3姉妹のお父さんなのだ。
「なぁ、清水。」
「ハイ、何ですか?」
「マレー語で、『お父さん、お嬢さんを下さい』ってなんて言うんだ?」
「……女を目当てにイスラム教に改宗する気なら、考え直した方が良いですよ。」


食事はあいにく、モスリム使用なのでビールではなくコーラなんだけど、でも十分美味しいかった。
食事のあとは、写真を見たり、折り紙を教えたりして、暫く楽しい時を過ごした。
一段落した後、奥さんの案内で、夜のチャイナタウンのマーケットをジャランジャラン(マレー語でお散歩の事)をする事になった。

やはりチャイナタウンは夜の方が活気があって楽しい。
驚いた事に、ここで奥さんから僕ら全員にプレゼントがあった。
エー、ここまででも十分なのに、この上、また物まで貰ったりしたら悪いよ…。
本当に、何から何まで気を遣って貰って、感謝の気持ちで一杯になった。
タクシーでホテルまで戻り、ロビーのバーでグラスを傾けつつ、八戸さんと話し合った。
「何か、申し訳ないですよね、こんなに色々してもらって…」
「でも、来て良かったよね。」
「そうですねぇ、来る前は、『どうなるのか、飛べないまま終わるんじゃないか』とか、心配ばかりしてましたけど…」
「無事に今日飛べたし。」
「明日、もう、ラストフライトになっちゃいますけど。」
「明日は、全員で乗ろうよ。」
「…楽しみだなぁ。」
「楽しみだろ?」
「ウン、また、美人姉妹に会えますねぇ。」
「(…じゃ無くて、そーじゃ無くて!)」
続く…
←…エー、特にコメントはありません。