マレーシア旅行レポート その3
へとへとになり、夜10時にクアラルンプールに着いた僕と八戸さんは、一足先に着いているはずの清水を捜した。
何しろ多国籍女なので、良く探さないと、
現地人に紛れてしまい判別がつかない。
暫く捜索した後、無事に彼女と出会うことが出来た。
正直僕はほっとした。
彼女には、今回のカナメとも言える「通訳」という仕事が待っているのだ。通訳がいなかったら、僕はまた英語で体調を崩す、と言う目に遭うことになる。
「オー、
清水、無事に到着お疲れさん。ところで迎えは来てるかい?」
清水に訪ねた。
「イヤ〜、それがまだ来てないようなんですよねぇ。」
「エー、困ったな、それ。迎えに来てくれるって返事が来てたのに…」
飛行機で疲労困憊の上に、
早速のトラブル発生で、さすがに僕もうんざりとなる。
連絡用の携帯電話の番号は教えて貰っているが、英語で電話をかける、と思っただけで、胃の奥がぎゅっと縮まる感じがする。
しかし、こんな時の為に、今回は多国籍女がいるのだ。
彼女に任せよう。
「悪いけど、公衆電話から、
カイルディンに連絡して貰えるか?」
「良いですよ」
多国籍女はあっさりと了解し、公衆電話に向かった。
じつは、
本当に彼女のマレーシア語はそれほど通じるのか?この時点で、僕はまだ半信半疑だった。
僕も英語で経験したが、なまじっか出来たくらいでは、「電話」と言う物はとうてい歯が立たない。
電話をかけるこの所を、僕と八戸さんは固唾を呑んで見守った。

"A , papa Kahirudin ? Aki Kiyomizu , Jupan ………"

彼女は一気にマレー語と思われる言語で喋りだした。しかも完璧に通じているようだ。
『へぇ〜!!』
僕と八戸さんは顔を見合わせた。
彼女の予想以上の会話能力に、二人とも驚愕した。
「あと10分くらいでつくそうです」
多国籍女は暫く喋った後に受話器を置き、
何事もなかったように一言。

「…いやぁ、人間って何かしら、取り柄があるもんだねぇ。」
「失礼ですね!」
「本当に、心底感心したんだってば。」

その後、迎えに来たカイルディン夫妻と何とか会えて、ホテルまで送ってもらい、初日は終了した…

続く…



←ホテルに着いた後、
 疲れているおじさん達を尻目に、
 一人はしゃぐ多国籍女。
 この生き生きした姿は水を得た魚。
 でも、マレーシアは初めてなんだって。
 本当かよ?