アクシデントの研究
先週末、北海道スカイダイビングクラブによる2004年初ジャンプが、愛別町のダイコロ飛行場でおこなわれた。
どうしても、北海道という特殊な地域の為、冬場の活動は思う様にはいかない。時にはマイナス30度以下になる北海道の冬空をスカイダイビングするのは、物好きを通り越して、ほぼ自殺行為に近い。(まぁ、それでもコマンドーさんなんか、やっちゃうんだけど)
という訳で、月例ジャンプは、4月に入ってからという事になるが、さすが大雪山の麓の愛別町、セスナの上から見たら、畑と林は一面雪だらけ、ダムは結氷、目の前の大雪山は真冬と何ら変わらない。
セスナから顔を出して地上をスポットするが、30秒にさらしたら間違いなく凍傷にかかるくらい、風がモーレツに冷たい。
そんな中、僕を含めた3人で、クラブの今年の初降下を行った。
所が、途中1000フィート以下でものすごいタービュランスがあり、キャノピーがグラグラと振られ、着地するのが非常に難しい状態となった。
僕は何とか立て直して着地できたが、同じロードで行った、一番経験の浅いM君が、バランスを崩したまま着地。片方の足に全体重を乗せる事となり、その結果、足首骨折のけがを負ってしまった。
僕らのやっている遊びは、常にリスクをしょっているのはよく判っている。
しかし、やっぱり目の前でこういったアクシデントがあると、改めて色々考えさせられる。
幸い僕は、今のところ、入院や新聞種になる様なアクシデントは起こしていない。
でもこれは、単なる幸運かも知れない。
実際思い返すと、アクシデントすれすれの事もあったのは事実だ。
そして、側に大きなアクシデントがあったのも事実だ。
そう言えば、2度目にアメリカへジャンプ合宿行った時だったと思うが、マニュフェスト(受付)に行ってサインを書いていた時、受付をしていた女の子が(英語で)「2日前にバウンドが有って、一人死んでるから気を付けてね。」と、にっこり笑って云われた事がある。
まー、気を付けますけど、何をどうの様に?、と思ったが、あいにく英語では言い返せなかった。
気球の大会でも、僕の後輩がフライト中に強風が吹いてきた為、降りきれないで高圧線に引っかけてしまった事がある。当然彼女は、事情聴取で警察にしょっ引かれ、僕が身請けに警察署に向かう事となった。
かように、アクシデントの種はいくらでもあった。
その他、前の日に安全講習をやったのにその時はマリファナでラリってて、翌日のジャンプで事故を起こしちゃった女の子や、偉そうに講釈たれたくせにまともにスポット出来なくて、全員アウトジャンプだった事など、色んな事が有りました。
そう言う僕も、自分の身は自分で守る、といった原則論は何とかクリアーしているので生き残っているが、人が関わる場合は、当然責任論になるので、責任を取る覚悟があるかどうか、といった問題になる。
これは複雑である。
学生時代、後輩の女の子達に言った事がある。
「もし万が一、俺がパイロットであなた達を怪我させてしまった場合、俺はあなた達の親に対して『僕が責任を取ります』と言うつもりの覚悟を持って、毎回フライとしてるよ。」
僕としては、それくらい真面目にフライトというのを考えているんだ、というつもりで言ったのだが、帰ってきた返事は
「へぇ〜。でも、私、相手がムナカタさんだったらイヤだな!」
結論 また今回も、俺だけ生き残ってしまった。
(別に誰も死んでないて…)

←この写真の中の一人が、
次回、いなくなります。
『そして誰もいなくなった』
になったりして。