…そんな訳で、北海道スカイダイビングクラブの結成に伴い、僕も構成メンバーとなった。
とはいうものの、実際に自分でギア一式とライセンスを持っているのは、
僕とコマンドー磯谷を入れ4名だけというきわめて少人数での門出となった。
しかも、ジャンプ回数順に並ぶと、僕は北海道スカイダイビングクラブの2という事になってしまった。
(今は、僕より上手い人が2人ほど入ったので4に格下げになった)
そんな訳で、僕はクラブの運営上、ベテランとしての行動を求められたのである。
具体的には、D/Z(ドロップゾーン=降下場)の安全管理やら、スカイフェスタが有った場合のデモジャン(デモンストレーション・ジャンプ)、そして初心者への指導なども行わなければならなくなった。
そこで問題になったのが、僕のレイトであった。
前回も書いたように、僕は”B”までしか持っていなくて、これが足枷となっていた。
つまり、Bライセンスでは規則で活動が制限されていて、表だって上記の活動をする資格がないのである。
せっかく条件を満たしているのだから、ぜひともDライセンスを取ってくれ、と言うのがコマンドー氏のかねてからのお願いであった。
実際、僕にDライセンスが無いばかりに、せっかくスカイダイビングスクールを開いたのに、スチューデントを降下させる事が出来ない(地上誘導できない)、
といった実害も出始め、僕は真剣に「Dライセンスを取らなきゃならんなぁ」と思い始めていた。
そして、追い打ちを掛けるように今年に入って「Dライセンスの条件を500回に引き上げる」との情報が東京から入ってきた。
500回になってしまったら、多分一生取得できる見込みはない。
こうなったら、覚悟を決めて”C”と”D”を一気にやっつけてしまおう、この夏こそ”Bまで”とはおさらばしよう、と決心したのである。
(この2行だけ読むと、女子高生の台詞のようで恥ずかしいなぁ…)
そんな訳で、色々な方面に連絡を入れた結果、
「”C”と”D”を一気に面倒見てあげましょう」という頼りになる男性がいたので、とりあえず身を任せてみる事にした。
(なんか、だんだん変な方向に話が行っているような気がする…)
そして、受験当日を迎えた。
基本的にCとDはペーパーテストにパスすれば、発行される事になっている。
C、Dそれぞれ個別に試験があり、4択問題で20問中15問以上正解なら合格。
テキストを使っても可。
だが、僕の持っているテキストが古いのか、なかなか該当問題に当たる部分がテキストに見つからない。
正直「アメリカ人を相手にしている試験だから、おおざっぱな常識問題だろう」と思っていたのだが、とてもテキスト無しでは判らない問題ばかりだ。
かなり焦った。
でも仕方がない、とにかく一通り答えを書いて提出した。
そして、ついこの間、その試験結果を知らせる電話が試験管から有った。
「おめでとうございます。Dの試験は17問正解で合格してました。」
『うぉっしゃ!やった!
”Bまで”とは卒業して、いよいよ大人の仲間入りじゃん!
もう、みんなに馬鹿にはさせない!』
などと女子高生のように小躍りしていた僕に、試験管は済まなさそうに小声でこう付け加えた。
「ただ、Cの方が14点でぎりぎり足りて無くて、来月再試験という事に…」
「………」
結論、大人への道はキビシイ。

レイト”D”の研究 第2回