農林1号の研究
さて、第1回は『農林1号』を研究してみたいと思う。
別に自分が農学系大学を出たからと言って、ここでその分野の話をする訳では無い。
『農林1号』とは僕の所有する熱気球『JA-A-603』の登録名である。
ホームページのトップを飾っている、青と黒の気球、あれです。
INOM製の1250立方b、8ゴア、パンプキンの機体に、自作ゴンドラと光栄ステンレスのバーナーを組み合わせたもので、使い始めて早10年以上。
実際は、エアロスターのオーロラ54Kのゴンドラを使うと、キビキビ飛んでかなり楽しい。
1250立方という中途半端な数字は、自分の体重52キロと、主な使用が冬の北海道、という特殊な条件から導かれた。
実際に使ってみると、冬場なら20キロボンベ2本に2名のパッセンジャーを乗せても問題ない。
夏の上士幌でバルーンジャンプをやった時は、さすがに
温度ヒューズが落ちて
ビビったが、それでも4000フィートまで一気に上昇してくれた。
なかなか頼もしいやつ。
ただし小さい気球の宿命で、クロスウインドには致命的に弱い。
6年くらい前に長野県佐久市でJGOを戦ったとき、そのことを思い知らされた。
強風下の午後に設定されたFINのタスクで、無理をして離陸した時の事。
8m/sec位の風に乗って、ランチサイト上空まで辿り着き、いざ一気に急降下をかけようと思ってリップを引いたら、なんとリップがそのままはがれて落ちてきた!
当然のことながら、気球は一気に1/3位につぶれてしまいランチの観客席めがけて
フリーフォール状態。
僕も驚いたが、観客やスタッフはもっと驚いたに違いない…と言うより、恐怖で引きつったんじゃないだろうか。
幸い、小さい気球は潰れるのは早いが、回復するのも早くて、何とか開口部の隙間からバーナーを炊き込んだ結果、上空で持ち直して事なきを得たが、
イヤー、怖かった。
その後の表彰式で、競技委員長のK氏に『観客を脅かさないように!』とお叱りを受けてしまった。
そんな農林1号も、もう寿命が来つつある。
次の気球をどうしようか、考えなければいけない。
と、言う話をしていたら、友人が
「次に気球は『農林2号』かよ?」と聴くので、
「イヤー、『南極2号』と言うのはどうだろう」と答えた。
でもそうなると、公衆の面前に出すのは耐えられないので、大会に出られないかもしれない。
あるいは機関誌掲載に場合も、モザイクなんかが掛かる可能性もあり、実現は難しい。
結論、その前に、メーカーが作ってくんねーよ。

