実身・仮身システム


   BTRON OSが持つ最強にして最大の武器、それが実身・仮身システムです。 TADと実身仮身の組み合わせにより、マシン上にあなたの考えを構築する事ができます。以下にその特徴をあげてみましょう。
 

ネットワーク構造ファイルシステム

  実身仮身によるファイルシステムを説明する前に、従来のツリー構造のファイルシステムを考えてみよう。

従来のツリー構造ファイルシステムの長短所

  UNIX・MacOS・DOS・Windowsを問わず従来のOSは情報をファイルという形式でフォルダ(ディレクトリ)という器の中に収める事で管理していました。一般的に逆さまの樹と同じ形になる事からツリー構造と呼ばれています。一つのroot(根)から枝葉が広がっていく感じです。この方法のメリットは、”重複が無く分類可能であれば、管理しやすい”という事です。ちょうど本棚に本を分類するのと同じです。逆に言うと”複数の分野に分類可能な場合 管理しにくい”という欠点を持っています。つまり、子供向きの料理の本は、子供向きの本棚に置くのか料理の本棚に置くのかという判断がし難いのです。
  UNIXではハードリンクを利用する事である程度問題を軽減できますが、異なるパーティションに対してはハードリンクができないので抜本的解決にはなりません。また、ショートカットやエイリアス・シンボリックリンクの場合リンクの維持を行う必要があり、システムとして全面的に導入した場合使い込むほどにデッドリンクが発生するという別の問題が生じます。

ネットワーク構造ファイルシステムの長短所

  トポロジを考えた場合、ネットワーク型はツリー型を内包します。よってネットワーク構造のファイルシステムでもツリー構造で情報を管理する事ができます。では、子供向きの料理の本は、子供向きの本棚に置くのか料理の本棚に置くのかという問題に対してネットワーク構造ファイルシステムではどのような解決策を取るのかと言えば「両方の本棚に置く」となります。つまり子供向きの料理の本にたどり着く道を複数用意するのです。ツリー構造になれた頭だと分かり難いのですが、ツリー構造のように「上から下に流れなければいけない」という制限がネットワーク構造にはありません。そのため「下から上に流れても」「右から左へ流れても」OKなのです。
  補足しておくとツリー構造の”根”にあたる部分は基本的に存在しません。自由な形となりうるネットワーク構造ファイルシステムに”根のような絶対的な基準”は決めようが有りません。ユーザーが”ここが基準”と決めた場所が管理の基準点となるのです。

ハイパーリンクによる情報管理

ファイルとフォルダの区別の無い環境

  こういうと誤解を招くかもしれませんが、「BTRON OSにはフォルダ(ディレクトリ)がない!」。ツリー型の発想だと分類ができないと思う事でしょう。しかし、なぜないのかと言えば、必要が無いから無いのです!BTRON OSでは情報はすべてハイパーリンクで管理・分類します。つまり、このWEBのようにお互いにリンクを張る事で一つの情報の集合体を形作ります。フォルダのようなものが欲しければリンク集のようなページを作るのです。そうすればそれはフォルダと同じ機能を提供する事に成ります。もっとも、ほとんどの場合リンク集を作る事は少ないです。理由は簡単で、各情報をリンクさせていく過程で利用者の考えがハイパーリンクに反映されていきます。その結果自分が考えた場所に情報がある状態に成ります。自然に情報が系統立てられ利用者にとって一番理解しやすい形にまとめられるのです。

実身とは?仮身とは?

  では、具体的にはどのように情報を扱っているのでしょうか?今までリンクを張ると言ってきましたがBTRON OSでは仮身を張るという事になります。仮身とは異なるパーティションでも使えるハードリンクのようなものです。また、リンク先の情報の事を実身と呼びます。厳密にはファイルとは似て異なる概念です。実身のおもしろい特徴として「同じ名前の実身が複数あってもかまわない」というものです。それは名前で管理していないからです。システム内ではすべてIDで管理を行っています。その為表面上に見える実身名はユーザの利便の為でしかありません。名前で管理を行った場合、実身名を変更するとあっちこっちでデッドリンクが発生してしまいます(笑)。しかし、IDで管理をしていた場合そういった事にはなりません。仮身には変更後の名前がきちんと反映されます。(仮身はwebと異なり双方向のリンクです)
  ホームページのイメージで情報を次々と結びつけ、自分の考えをシステムに反映させていく。そういった事が簡単にできるのは実身仮身システムだけです。他のファイルシステムでは人間がコンピュータに歩み寄っていく必要がありました。そんな考え方はコンピュータが一人1台となりつつある今の時代にはナンセンスです。コンピュータの方が人間に歩み寄るのですよ。実身仮身があるからこそ私はBTRON OSを愛用するのです。この強力なシステムはアイデア次第で無限の力を発揮します。

現状での問題点

  世の中そんなにいい事だらけじゃありません(笑)。この実身仮身ファイルシステムにも短所は存在します。
  まず、これはB-right/Vの実装による問題なんですが、発生しないはずのデッドリンクが発生します。実身はどの仮身からリンクされているかを知っています。システムは全てのリンクが無くならない限り実身を削除する事はないのですが、現在のB-right/Vは実装が甘いので無理矢理な削除操作をすると希に、仮身からリンクされているにも関わらず実身が何処からもリンクされていないと判断される場合があります。ただ、その場合にも実身は削除されず”くず実身(何処からもリンクが張られていない実身)”となります。BTRON OSの場合、まったくリンクされていないという事は誰も見る事ができない状態です。まさにくずです(笑)。通常くず実身ができるのは実身に「削除禁止」属性を指定している場合だけです。
  つぎに、意図的な完全な実身の削除がやりにくいという問題があります。これは、「リンクがある限り実身は削除されない」ので、削除する為には「その実身を参照している全ての仮身を消す必要がある」からです。もっとも、実身仮身のネットワーク状況を見るツールがあるので実際にはマシなんですけどね。
  一番の問題は強力すぎて余計な先入観があると使いこなせないって事ですね。下手にパソコンを使った事があるとツリー構造で管理する事に毒されています。ネットワーク型で情報を扱う事に慣れるまでは十分に使いこなす事ができないんですよね。逆に言えば、使えば使うほどその強力さを感じる事になるんですけどね。これは慣れれば解決する問題なんですが、初心者ほど抵抗無く使えるってのはある意味最大の長所でもあります。