孵化に関して


■ここでは産卵直後から孵化に至るまでの流れを書きました。
 産卵直後のデュランゴマウンテンの卵。中央の卵が一番新しく、薄紫のシミの様なものが浮かんでいるが、2・3時間もすると消えてなくなってしまいました。尚、卵たちはこの様な状態のまま孵化施設に入れました。
 孵化前1〜2週間前の卵。水分を吸い上げ膨れ上がっています。また一部が透けたような感じになったり、黄色ぽっくなったりしているものもありますが全て生きています。なお無精卵や途中で発生が止まってしまった卵はほとんど、この頃までに出尽くしてしまいました。
 上の卵を暗い場所で懐中電灯で照らしみた。卵がぼんやり赤っぽく光り、卵の下の方には子蛇の血管が数本見えます。この時、この卵には多少カビが生えていましたが、カビをスグに除去してあげたので問題ありませんでした。
 産卵からちょうど2ヶ月程たったある日、最初の一匹の孵化が始まりました。ちょこっと破れた卵の部分から血が少しにじみ、人の気配を感じるとサッと鼻先を卵の中に引っ込めます。
 上記の子蛇が約2日をかけて卵から這い出して来たところです。全身がヌルヌルした感じで動きも弱々しく、まさに「生まれたて」と言った感じです。早速舌を出し入れして周囲のニオイを嗅いでいました。
 上記の子蛇とは別の子蛇。卵から頭を出して数日間同じ状態が続いたので卵を割って取出したところ。大きな卵黄がしっかりと腹の部分に付いています。数日後、卵黄はポロリと取れ、子蛇は元気に動きまわっていました。
 生まれて2・3日の子蛇達。皆、1ヶ所に集まり、しばらくの間、この状態が続いたが最初の脱皮を終えた頃からそれぞれバラバラに行動を開始し始めました。
 サンルイスポトシから取出された「卵詰まり」をおこした卵。予定以上にお腹の中にあったため、水分が抜け、卵の殻が変化してシワシワカチカチになっています。左の卵は左右から押される形でお腹の中にあったため円柱形に変形しています。

■ 卵詰まりについて

最後の卵がでてから2週間、腹部が膨れたままなので獣医に診察してもらうことにしました。以下はその時の簡単な流れです。
10分程度の問診と触診のあと、手術.排卵促進剤等は使わず温浴・マッサージを行って絞り出すことに治療方針が決定しました。先生曰く「卵が詰まった様な場合は早めに連れて行くこと(産卵がチビチビと続いてもある程度で区切りをつけて、獣医へ連れて行く)が肝心で、遅くなると卵の水分が少しづつ抜け固まり血流が悪くなり最終的には敗血症をおこしてしまう恐れがある」とのことでした。

●マッサージによる搾り出し作業
蛇の体の作り上、一人では作業が難しいので、私が頭側を押さえ先生が総排泄肛に近い卵からじわじわと押しだしました。出口(総排泄口)が近いため1個目は割合すんなりと出ましたが、2個目3個目になると少し事情が異なってきました。というのも卵管が長くなるため無理に出そうとすると卵に覆い被さるようにして卵管ごとでてしまい卵管を傷をつけてしまい、その傷が塞がる時に癒着してしまい新たな卵詰まりの原因となるらしいのです。作業は急にスローペースになりました。
そして2個目3個目が出たのあと暫く間を置いてから、4個目5個目を出そうとすると、やはり卵管が長くなりすぎていてなかなか出てきませんでした。慎重に間を置きながら少しづつ卵をづらしてゆきましたが、途中無理に卵を移動させることによる出血がみられ、5個目に至っては卵が完全に卵管に引っかかり卵管ごと出てしまうというハプニングが起こってしまいましたが、大きな傷にあることなく無事処置は完了しました。
時間的にはすべての作業で2時間程度かかりました。その後、この個体は当日から数日は比較的涼しい所におき代謝を押さえ、傷が塞がるのを待ち4/5日目から通常の温度に戻しました。

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