根 室・風連湖



■ 白鳥の湖

 風連湖は根室湾に続く潟湖(手元の資料では湖の周囲は65kmとされているものと90kmとされているものがある)。
 風蓮湖は大白鳥の飛来地として有名なところだが、野鳥の数は240種くらいにのぼるそうだ。
 10月に訪れたときは国道沿いの林の中から風連湖を優雅に泳ぐハクチョウたちを見た。林の中は紅葉した落ち葉が足元に積りそれを踏んで歩くときのカサコソという音と、木々の間を渡る風の音以外は、時折湖で白鳥が鳴く声が遠くに響くだけという秋の深まりを感じさせるいい雰囲気だった。その静寂の中急に何かの気配を感じて振り向くと、大きなイヌワシ(だったと思う)が林の中を低空飛行していった。初めての経験に友人も私も思わず低く「おぉぉ」と唸っていた。
 9月に夫と訪れたときには季節はずれの暑さで、日向では27℃くらいの気温だった。その暑さの中、今度は林とは対岸になる春国岱の方へ行ってみた。
 春国岱は砂州が細長く続いているが、水辺では貝を取る人たちは多く見られた。この時期は白鳥はいないので見られるのは殆どカモだった。
 9月というのは異様に蚊が出没する時期で、車を降りるとたちまち体中を蚊が取り巻いた。そんなわけだから暑いのだが、ジャケットを脱ぐわけには行かない。黒っぽいものばかり身につけていた夫は特に蚊に好かれていた。顔や耳のあたりの蚊を散らすのに必死になっていて、落ち着いて風景を見ることなんてできなかった。
 ゆっくり散策したいなら、時期を十分に検討しろという教訓になったのは間違いない。

 9月に訪れた時の春国岱


■ 根室の花咲ガニ

 風連湖を後にして根室まで出てみようということになった。あまり時間が無かったのでとりあえず駅に行ってみる。JR根室駅は日本最東端の駅。駅舎はとてもこじんまりとしたものだった。
 駅前には水揚げしてすぐに真赤に茹で上げた花咲ガニの店が何軒か建ち並んでいた。そこで、店内にテーブルが設置されていて、選んだカニをその場で食べさせてくれるところに入った。ごつごつした甲羅が本当に鮮やかな赤い花が咲いたような色になっている。
 花咲カニはズワイガニや毛ガニ、タラバガニとはまた違った味わいがある。ズワイガニや毛ガニより身の繊維がポロポロした感じ(先の2つは繊維が細くすーっと裂ける感じ)だが、甘味は強いと思う。
 カニが好きな私は、食べるといったら殆どズワイガニでたまにワタリガニを食べていた。金沢の近江市場でケガニを買って食べたときけっこう感動したのだが、この花咲を知ってからはすっかりこのカニのファンになっている。
ということで、好きなカニの順位は茹でガニなら花咲ガニが1番だけど、他の食べ方ならズワイガニが1番・毛ガニとタラバガニはモノや調理法によりけりということになった。
 花咲ガニは他のカニと違って、本州では(って少なくとも西日本では)あまり出回らないものなので、根室方面に行ったら、やはりぜひとも口にしたいものである。