カネミ油症被害者支援センター
Yusho Support Center
私たちは、1968年に西日本一帯で起きたダイオキシン類による
カネミ油症被害者の医療救済と仮払金の返還問題の解決のため、
2002年6月に東京で支援センターを設立しました。
・04.11.26更新
12.9人権週間記念“カネミ油症と人権を考える”集会
「これでいいのか!油症認定制度と仮払金問題」
〜カネミ油症被害者の人権回復と完全恒久救済を!〜
1948年(昭和23年)12月10日、国連総会で、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」とうたった世界人権宣言が採択されました。国際連合は、この日を記念して、12月10日を「人権デー(Human Rights Day)」と定め、すべての加盟国に対し、人権思想の啓発のための行事を毎年実施するように要請しています。日本も、「人権デー」を最終日とする一週間(12月4日〜10日)を人権週間とし、国や自治体などが中心となり、ひろく国民に「人権デー」の趣旨を訴えるとともに人権意識の高揚に努める取組が行われています。
この国連での世界人権宣言から20年経った1968年(昭和43年)10月10日、日本では九州一帯で、「正体不明の奇病が続出」(朝日夕刊)と報道されました。これが、今日わかっているだけでも1万数千人の食中毒被害者を出すにいたった「カネミ油症」事件の発端です。この20世紀は、水俣病をはじめ森永ヒ素ミルク中毒、土呂久ヒ素鉱毒、イタイイタイ病、スモン病など、さまざまな公・鉱害や食中毒・薬害被害をもたらした世紀でした。その被害者たちの多くは、病苦と生活苦にあえぎながら、国や自治体、医者、法律による救済も受けられず、地域社会からも差別を受け、人としての「尊厳と権利・人権」も剥奪されて生きていかざるを得ませんでした。半世紀が経とうとする今日も、被害者の置かれている状況は、今も変わりがありません。いったい、この日本は、果たして「人権・福祉」国家と言えるのでしょうか。
この10月15日、水俣病関西訴訟の最高裁判決で、国と自治体の責任をはじめて認め、そして未認定被害者に対するあらたな救済の道を開く画期的な判決が出されました。このこと自体があまりにも遅すぎると言わざるを得ませんが、この判決に対しても、国・環境省は無視をし、誤った認定基準を改めようとはしていません。カネミ油症被害者についても、これまで36年間、国・厚生労働省は油症の認定基準を狭めることによって、被害者の切り捨てを行ってきました。また、被害者は国を相手取った裁判で一度は勝訴して損害賠償金を勝ち取ることができましたが、国の控訴によって最高裁で被害者は泣く泣く訴えを取りさげざるを得なくなってしまいました。ところが、国はその後「債権管理法」を盾にとって仮払金の返還請求を被害者、そして子や孫にまで容赦なく行い、そのことを苦にして自殺に追い込まれた被害者も少なからずいます。これが、ほんとに「人権・福祉」国家のやることでしょうか。
私たちカネミ油症被害者支援センターは、記念すべき人権週間の期間中の12月9日に、「油症被害者にとって、人権とは何か」、「今の国・自治体の認定制度のあり方や仮払金返還請求はこれでいいのか」、あらためて“油症と人権”について考え、そして、今回の水俣病関西訴訟の最高裁判決を受けて、すべての水俣病被害者及び油症被害者の人権の回復と完全恒久救済を求める集会を開催します。
◎と き:12月9日(木) 14:30〜16:30
◎ところ:憲政記念館講堂 TEL 03-3581-1651
東京都千代田区永田町1-1-1
<交通機関>地下鉄「丸ノ内線」「千代田線」国会議事堂前駅下車
2番出口より徒歩7分
「有楽町線」「半蔵門線」「南北線」永田町駅下車
2番出口より徒歩5分
◎参加費:500円
◎集会プログラム
1. 油症被害者からの訴え
2.被害者救済の取り組み報告(保田行雄弁護士)
3.水俣病支援団体からの連帯の挨拶
4.各界からのあいさつ(現在交渉中)
主催・カネミ油症被害者支援センター
<連絡先>〒171-0031豊島区目白3-17-24エココミュニケーションセンター気付
TEL070-5460-0568 FAX03-5982-8249
・04.10.10 更新
<YSCニュース9号掲載記事に関するお詫びとお知らせ>
先にお送りしたYSCニュース9号において、22ページ「弱酸性美容液」の記事に、タイトルを含めて多くの事実誤認が見つかりました。特に重要な誤りが、中島裕而氏を「油症治療研究班の一員だった」としているところです。
誤りの原因は、中島氏ご自身と、取材にご協力いただいた関係者の方に、記事の内容を確認していただく手続きを怠り、編集部が推測で記事を書いてしまったことにあります。
そのため、中島氏及び関係者の方々に多大なご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございません。
中島氏及び取材にご協力いただいた方のご指摘をいただき、以下のように訂正記事を作成致しました。
ご確認の上、お手数ですが、先にお送りしたYSCニュース9号22ページの該当記事の上から貼り付けていただき、今後誤った情報が広まらないようにご協力ください。また、みなさまの周りの方々にもお伝えいただければ幸いです。
以上、よろしくお願い致します。 YSCニュース編集部
「弱酸性パーマ液 伊勢一郎
7月6日(火)に文京シビックホールにおいてNPO法人日本弱酸性美容協会のシン
ポジウムが開かれ、中島裕而氏(健和看護学院非常勤講師)が、約30年前に取り組ん
だ治療研究の報告をされました。それは「ベル・ジュバンス」という弱酸性パーマ液
を用いたトリートメント施術により、頭皮の毛穴からPCBを排出させようというも
のです。会報「美髪通信」の記事から当日の講演の内容を以下にまとめます。
・北九州市民公害研究所所長だった梅田玄勝医師と弱酸性美容法の研究開発者で美容
家の山ア伊久江氏が、体外に排出されにくいPCBが弱酸性パーマ液を使った施術に
より頭皮の毛穴から出ていく可能性を検討し、医学と美容の分野で共同の取り組みを
行った。
・18人の油症被害者さんに対して週に一度、約5年間にわたり山ア伊久江美容研究会
会員美容師チームの協力を得て弱酸性パーマ液によるトリートメントを行い、トリー
トメント洗浄後の廃液を中島氏が分析した。
・6年以上続いた分析は困難を極めたが、毛穴からPCBが排出される現象を確認で
きた。(当日に18名のPCB排出データをグラフで掲示)
・その結果を1980年の日本科学者会議シンポジウムで山ア伊久江氏が報告し、全国紙
で大きく報道されるなど、社会に反響を呼んだ。
時間の関係で中島氏と直接お話できませんでしたが、医療・分析技術が進んだ現在、
当時の貴重な取り組みも今後の治療に生かすべきではないか、と感じました。」