横浜マリノス/試合観戦記/1998年


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天皇杯3回戦 98.12.13 対ブランメル仙台 三つ沢

『 去年見た光景 …ブーイングで終わった今シーズン… 』

 

Jリーグセカンドステージが終了して、約1ヶ月。短いオフを間に挟んで、獅子ヶ谷で今シーズン最後のタイトルに向けて選手達は汗を流して来ました。前々日、”キックオフマリノス”(TVK)にゲストで出演した能活は、マリノスの選手達は天皇杯のタイトル獲得に向けて気合いが乗って来ているところだと話していて、ここ数年いいところがない天皇杯、緒戦は完勝して、いいスタートを切って貰いたいと思いました。

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天皇杯は、日本サッカー協会主催という事で、三つ沢での席割と値段が違っています。いつものJリーグではバックスタンド端のBブロックの席で観戦していますが、そこはゴール裏とともに自由席の設定で値段も1500円とリーズナブルでした。しかし、バックスタンド中央がSAブロック席2500円と通常のBブロックの値段だったために、SAブロック席のチケットを購入してスタジアムに向かいました。

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スタジアムに着いたのは開門直後の11時頃だったでしょうか?キックオフが13時と早いために、開門が11時でした。結構並んでいる人の列は多くて、緑のブランメルサポータも目に付きました。友人と待ち合わせしてスタジアムに入ります。三つ沢の入り口はいつものアーチがなくて殺風景でした。門をくぐって(くぐるアーチはありませんでしたが…)バックスタンド真ん中の入り口に向かっていきます。いつものBブロック席の入り口は自由席のためチケットチェックする人も立っていません。SAブロック席の入り口をチケット見せながら入って、周りを見渡します。いつものJリーグよりかなり殺風景な感じにスタジアムが見えます。最前列を取ろうか考えましたが、さすがに最前列の席には荷物が置いてあり、座れませんでした。どうしようか少し考えて、せっかく真ん中に来たんだからセンタラインの真ん中で見ようという事になって、センターラインの先の位置で前段の一番後ろに席を取りました。座って周りを見渡すと、殺風景な理由が分かりました。Jリーグの試合では、スタジアムいっぱいに有るスポンサーの看板がまったくなく、ゴール裏とスタンドの間も広く見えます。選手の応断幕もJリーグではスポンサーが隠れて見えないという事で張らせて貰えない位置に天皇杯の試合では張れるため、ゴール裏の下や、バックスタンドの下にも選手の応弾幕がいっぱい張ってありました。でもその替わりスタンドの上の部分には、白いコンクリートの壁が見えるところが多くて、どこかもの寂しげな感覚を覚えたのは、気のせいでしょうか?

マリノス側ゴール裏は、いつものリーグ戦よりも人が入っているような気がしました。天皇杯は決勝まで勝ち上がらないと関東でマリノスの試合は見る事が出来ません。それが解ってかどうか、今期最後のトリコロールユニフォーム姿を見たいサポータやファンが多く来たような気がしました。アウェーのブランメル側サポータを見ると、人数は少ないんですが、フランスW杯で見たユニフォーム型の応弾幕を空いている座席に広げていました。旗の数は結構多い様に感じました。事前に仙台から150人位の応援バスツアーでサポータがくると聞いていましたので、バックスタンドのサポータも含めると、それくらいは来ていたように感じました。

座席を確保して、天皇杯のプログラム(1000円)を購入しに行きます。いつものバックスタンド下のグッツ売り場は何もなくて、入り口のゴール裏でしか売店はなかったので、そこへ行き人を掻き分けて売店のお兄さんにプログラム販売を聞くと、ここでは売っていないので、違うところじゃないですか?という返事。がっくり来ながらゴール裏入り口の方を探すと売っていました。プログラムを購入して席へ戻ります。表紙は、対戦カードのちらしと同じでしたが、イラストのユニフォームの色と選手名は誰か想像できなくて悩みます(^^;背の高い方はカナリア色にも見えますが、うーんといった感じです。大した事じゃ有りませんが…。毎回天皇杯のプログラムは購入していますが、マリノス選手のページを見るんじゃなくて、他チームのページを見るのが楽しみになっています。特に県のリーグを勝ち上がってきたチームや選手の紹介は、あまり名前を聞かなくなった元Jリーガーや、高校選手権等で聞き覚えの有る選手達が載っている事が多くて、新たな発見が有って見ていくのは楽しいです。その選手を見ながら高校サッカーの時の模様などを友人と話しながら時間が経過していきます。

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試合開始30分前。12時30分頃に、いつものように能活がサンゴイコーチと一緒にピッチに出てきます。ゴール裏から能活の唄が流れますが、冬の澄んだ空気のせいか、多くのサポータのせいかいつもより大きく聞こえました。フィールドの選手達も出て来て、アップを開始します。俊輔がアジア大会参加で出る事は出来るだろうけど出さないだろうな〜と思ったスタメンは、ほぼ予想どうりでした。場内アナウンスもいつもの人ではなく、女性の声で選手紹介をして少し違った感覚を覚えました。

ブランメルの選手紹介をしますが、サブには入ってるかな〜と思っていた元マリノスのミクちゃんこと御厨がスタメンなのは驚きました。最近の試合はサブが多かったからです。友人に地元という事でブランメルを応援している知り合いがいて、JFLの戦い振りや、天皇杯の1回戦、2回戦の戦い振りと選手の事を事前に聞いていました。選手では、元ヴェルディの阿部と中盤の千葉直樹7番と中島10番が注目ですよ。と聞いていました。センターバックのドゥバイッチも…とは言っていましたが、1回戦、2回戦の天皇杯での試合ぶりは、薄氷を踏むような戦い方ばかりだったから、マリノスが大量点で勝つでしょう!とは言っていました。

スタメンは以下のようでした。マリノスは、直樹が右SBに入って、中盤は上野をボランチに遠藤、文丈、バルディの3人で組みます。ツートップは、ようやくセカンドステージ最終戦の怪我が直ってきた城と、安永でした。

マリノス   4ー4ー2  

能活

直樹  小村  井原  神田

上野

文丈    遠藤

 バルディ

安永     城

サブ:平間、寺川、深澤、野田、小澤

ブランメル   3ー5ー2   

石川研

 ドゥバイッチ

渡辺   山路

越後   斉藤   御厨

  千葉直7 中島浩10

 平11  阿部23

サブ:高橋、中村、伊藤壇、高田、瀬川

選手が出てくる前に、両チームゴール裏から唄が流れます。マリノスは”横浜の唄”がブランメルも歌を唄ってこれからの試合に臨む気持ちを現します。

選手が出てきて、マリノスボールでいよいよキックオフです。始めはマリノスがゆっくりしたペースで攻めこみ見ます。ディフェンスラインで回しながら、中盤へボール繋いで左右のセンタリングといういつもの形で攻撃、上野が最初のシュートを放ちますが、GK正面へ。仙台はボールを持ってるマリノス選手へ2、3人とプレッシャーを与えてボールを奪いにきます。それを早いパス回しで抜け出そうとしますが、パスがなかなか繋がりません。試合感が戻っていないのか、前線でボールを受ける動きが少なくて、ディフェンスにクリアされてしまいます。試合開始から、あまり良くないな〜と思っていると、前半11分に左サイドラインでボールを受けた城がサイドチェンジ、ハーフライン近くまで戻したボールが相手にカットされて速攻を受けますが、阿倍のトラップミスで事無きを得ますが、簡単なパスをミスしていてリズムを自ら崩しているように感じました。

前半16分、DFが競ったこぼれ玉から安永がGKと1対1になる決定的なチャンスが有りまたが、GKまでドリブルで交わそうとした所をGK石川にブロックされてしまいます。

前半21分、バルディの浮き玉のパスを文丈が胸で1トラップから右足ボレーを放ちますが惜しくもゴール左へ外れます。

リズムが悪い攻撃から、相手にボールを取られるシーンが多くなりいらいらする試合展開が続きます。

前半28分、仙台の平が右サイドからシュート、能活が足で弾いてボールを止めます。

マリノスもゴール前への攻撃をしますが、シュートまで持っていけない展開が続きます。仙台にボールを取られる事が多く、単発の攻撃ばかりが目に付きます。安永や城はボールを取られた後の追いかける動きがなくて、フラストレーションが溜まります。

そのまま前半終了。仙台のドゥバイッチのヘッドの強さ、千葉の中盤でのボールを競る動きばかりが目立った前半でした。

後半になっても、この試合のリズムが変わらず、組織的な攻撃が見られないマリノスの攻撃が続いて点を上げられません。足が止まるかと思われた仙台のプレッシャーも掛け続けます。

前線の城や安永にボールが繋がるシーンも有りますが、トラップミスやシュートミスでチャンスを逃してリズムが戻りません。イライラした展開でバルディが副審への抗議でイエローを受けます。

後半21分、仙台が選手交代をします。平と中島に代えて瀬川と高田が入ります。この二人が入って事で仙台のカウンターが生きます。

後半22分、仙台の攻撃。中央から右サイドへの越後へパスが出ます。越後の早いセンタリングにゴール前へ飛び込んだ高田が頭に当てて、ゴール前に転がるのを瀬川が押し込み失点してしまいます。センタリングに対して弾こうとゴールを飛び出した能活ですが、芝が邪魔して足が滑り、1歩目が遅れてしまいます。なんとか体勢を崩しながら手に当てましたが、瀬川に押し込まれてしまいます。瀬川に対して直樹が見ていたはずですが動くことも出来ず、悔いが残る失点でした。

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失点したことで、攻撃的になるマリノス。怒涛の攻撃が続きます。何度も惜しいチャンスが有りますが、ゴールを割れません。体が重かった安永を平間に代えて攻撃を続けますが、ゴールを割れません。逆に仙台は前に残った瀬川、高田のスピードを生かしたカウンター1本の攻撃が効果的でDFと2対2のシーンなども作り出しチャンスを作り出します。能活がゴールをあけてヘッドでクリアするシーンも有りました。

マリノスは1点を返しに攻め続けますが、ゴールを割れません。直樹の決定的なチャンスはGKに当ててしまい、城の2、3人をフェイントで振ってのシュートはGKに防がれてしまいます。右からの直樹のヘッドもDFに防がれたりして、結果的のこのままタイムアップ。5年連続JFL勢に敗退しました。

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1失点してからスタンドは悲鳴と怒号が折り重なって声が流れていました。チャンスを逃し続けて、点を返せずにタイムアップした事で、選手が試合後の挨拶に来てもゴール裏からは大量のブーイングが流れます。バックスタンドからは拍手でしたが…

マリノスにとって1年の終わりはブーイングで終わりました。

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能活が試合後話していました、”戦う人間が少ないんじゃないかな、フィールドで…”能活の言葉が胸に突き刺さります。フィールドで戦ってる選手からは、負けたくない、勝ちたい気持ちがプレイに見える選手が少なかったです。競り合いで一度取られたボールを奪いに行く、かすかな望みを込めてボールを追う、ボールが来るようにスペースに走り込む。基本的なことが出来ず、それだけで勝てるほど甘くないと思います。

この試合が今シーズンを象徴していたように思います、勝負強さ、勝負弱さは厳しい試合でのみ作られると思います。来シーズンに向けて、各選手達が本当に優勝したいのか?を自問自答して自分は何をやらなければいけないかを考えてシーズンオフを過ごして欲しいです。

1998年が終わりました…

〜fin〜