踊る麻酔科最前線

アンケート結果

 

回答数43件(うち医療従事者29件)の集計です。
ご協力ありがとうございました。


1.インフォームド・コンセントについてお答え下さい。

1)次の言葉を知っていましたか?知っていたものをチェックして下さい(複数回答)。
  インフォームド・コンセント(説明と同意) (43)
  パターナリズム(父権主義) (23)
  インフォームド・チョイス  (14)

2)インフォームド・コンセントと癌の告知は、同一に論議するべきでしょうか?
  はい(12)  いいえ(21)  どちらとも言えない(10)

3)インフォームド・コンセントについて、どうお考えですか?
  賛成(26)  条件付き賛成(17)  反対(0)  わからない(0)

4)あなたが患者になったら、インフォームド・コンセントを受けたいですか?
  はい(36)  いいえ(2)  どちらとも言えない(4)

5)「手術すれば治る可能性のある癌」になった時、どちらの医者にかかりたいですか?
  インフォームド・コンセントしてくれるヤブ医者(7)
  パターナリズムの権化みたいな名医(14)
  どちらとも言えない(22)

6)インフォームド・コンセントは将来の日本でどうなる(べき)とお考えですか?
  法律化すべき(11) 法律化すべきでない(16) どちらとも言えない(16)

7)ある薬を飲むと「約15%に副作用が発現する」と聞いて、「すべての患者が医者(信頼関係は良好として)の言うとおりに薬を飲む」と思われますか?
  はい(5)  いいえ(34)  どちらとも言えない(4)

8)あなたはある難病患者だとします。「夢のような新薬が開発された」と聞いて治験への協力を依頼された時、どうなさいますか?
  副作用に関係なく承諾する(4) 副作用に関係なく承諾しない(3)
  副作用次第では承諾する(35) わからない(1)

2.「無診察投薬(稀診察投薬を含む)」についてお答え下さい。

1)この問題を公開掲示板で論じることの是非についてのご意見をお聞かせ下さい(複数回答可)。
  法的に問題がある(4)
  倫理的に問題がある(9)
  問題はない(27)
  わからない(2)

2)「無診察投薬」について、どうお考えですか?
  いかなる場合も違法であり、許せない行為である(2)
  いかなる場合も違法であるが、許せる場合もある(19)
  違法でない場合もある(16)
  わからない(6)

3)あなたが医者であったら「無診察投薬」を行うことは有り得ますか?医師の方はご自分の経験からお答え下さい。
  ありえる(33)  ありえない(5)  わからない(答えたくない)(5)

4)「ヒゲクマ氏」紹介の事例「ライ症候群のAさん」について、ご存知でしたか?
  詳しく知っていた(2) 詳しくは知らなかった(8) 知らなかった(33)

5)あの事例について、どう思われますか?
  医療側の責任が大きい(6)
  不可避の要素がある(14)
  わからない(20)

6)初診の新患(始めての患者)に、電話だけで「総合感冒薬」を処方する行為は?
  違法であり許せない(22)    違法ではあるが許す(5)
  違法ではないが許せない(7)   違法でないので許す(1)  分からない(8)

7)来院していない患者から電話相談を受けた医師が、薬局で「感冒薬を購入するよう」指示することは?
  違法であり許せない(10)    違法ではあるが許す(3)
  違法ではないが許せない(5)  違法でないので許す(15)  分からない(11)

8)昼間に吸入療法を受けた喘息患者が、夜間再発作を起こして来院した場合に備え、吸入療法の指示を出しておくことは?
  違法であり許せない(5)    違法ではあるが許す(8)
  違法ではないが許せない(1)  違法でないので許す(18)  分からない(11)

9)90日投与が認められている抗てんかん薬を30日分出して、次回と次々回は「診察しないで30日投薬だけする」ことは?
  違法であり許せない(11)    違法ではあるが許す(13)
  違法ではないが許せない(7)  違法でないので許す(5)  分からない(7)

10)時間や日にちを間違えて来院した慢性疾患を持つ患者に、「いつもの薬が欲しい」と言われたので、専門外の当直医が「形式上」診察して「いつも通り」投薬することは?
  違法であり許せない(2)    違法ではあるが許す(4)
  違法ではないが許せない(8)  違法でないので許す(20)  分からない(7)


ご意見

「 医師法に関わることなので、わからないことが多い」(同様のご意見多数)

「大きな声では言えませんが無診察投薬はうちの病院でもやってます。違法なのは分かってますが、重度後遺症を持つ患者さんに処方箋を書いてもらうだけのために遠くからわざわざやってきて、たったの数分で終わる診察を受けて頂くというのも気の毒な気がします。」

「特に慢性疾患に対しては長期投与が許される薬が増えてきています。これは1ヵ月に1度の診察でも管理可能な疾患もあるということの裏返しだと思います。外来で管理する以上、かならず医者の目の届かない部分が出てくるのはある程度仕方がない部分であり、各々の疾患の背景を抜きにしてひとからげに無診察投薬の是非を議論するのには無理があるように思われます。」

「実際行っていることで、正確さを要求すれば違法であることが多いと思われる。しかし、システム上実行が不可能なことも多々みられ(無診察投薬、専門外の診療拒否、保険病名など)、困ってしまいます。」

「大学病院の麻酔科医(それもペイン外来は担当していない)を長くやっていますので,無診察投薬は解答に迷うものが多くありました.10数年前の救急病院での当直のことを思い出して解答しましたが,時代は大きく変わっていますので.... インフォームド・コンセントについては,麻酔相談外来でしているつもりですが,時間とのかねあいで不十分かと思いつつこなしている,というのが正直なところです」

「田舎の医師の足りない病院へきてしまったのと、内科医になってしまったのとが合わさりごちゃごちゃしてよく分からないのですが人間相手の商売ですから一線を引くことは出来ないでしょう。大学では無診療投与などもってのほかでしたが、ここでは平気でやってます。やっていかないと物理的に不可能なこともあります。患者の言うなりに電話のみで薬を出すこともまれにあります。それが患者のためになっていると勘違いしている風潮が広まっています。医学は科学ではなく芸術であると若い麻酔医(自分)に教えてくれた外科医がいましたが、医療は、うーむ、何でしょうと考える毎日です。それと、インフォームドコンセントですが、C型慢性肝炎でインターフェロンの投与は副作用がとても強い治療です。ですから放って置けば将来肝臓癌になることも説明します。ところが強ミノはどうでしょう。強ミノをやる患者はインターフェロンを投与してもウイルスの除外不可能な方です。でも強ミノを投与すれば肝病変の進行を遅らせることが出来ます。患者が強ミノを打つととからだが熱くなって嫌だと言ったとします。その患者に、将来肝臓癌になるので熱くなるのくらい我慢して、強ミノを打ちなさいとはなかなか言えることではありません。何十年後の肝臓癌のことを考えて治療を続けられる(恐怖に打ち勝てる)強い人間はそうはいません。ですから何も言わずに中止してしまいます。それが患者の心の平穏につながっているのですから。」

「ケースバイケースであり、一概に違法かどうか、許せるかどうかを論ずるのは難しいですね。」

「単純に割り切れない問題もありますが、特例を除いた一般的場合を想定しての答えです。」

「設問が「どこまで許せて、どこから問題か?」が多く、「何が問題なのか?」が見えて来ないように思うのですが・・・今後アンケ−トを追加されるなら、ICでは「誰に、何を、どのように」をどうするか;投薬では「無診察投薬患者」をどのように扱うか?を扱ってはどうでしょうか?」

「ICについては,言葉の定義がないと良く分かりません.それとも既に定義付けられているのでしょうか?ICについて書かれた本を,ざっと見ましたら,結局,教科書と変わりませんでしたが. 無診療投薬と希診療投薬は,私は別個に議論すべきと思います.法律的には同じかも知れませんが,慢性疾患の投薬治療の実態から考えると,全く別のものです.無診療投薬と薬害も,別に論議すべきだと思います.」

「実際の状況におおじてかなり変わってくると思いますが、掲示板で議論されるのは結構なことだと思います。」

「まず、いずれも医者のみが内輪で議論すべき問題ではないと考えます。インフォームド・コンセントについては、医者と患者はあくまで契約関係にある以上、対等の立場に立つべきであり、そのための条件整備は必要と考えます。但し、医療現場の実態上、種々の問題が派生するものであろうことは理解します。無診療投薬については、「医者の面倒で」という場合は、法的にも倫理的にも問題とされるべきでしょう。しかし、実態はむしろ他の事情によるものが多いであろうことは察せられます。文面上違法か否かではなく、許容の範囲や程度が明確にされているか否かが重要であると考えます。」

「医者と患者の関係。非常に難しい問題ですね。昨日、医療シンポジウムなるものが開催されたとのこと。医療消費者の私たちのもとへ、医療を取り戻そうなんて書いてありました。」

「医師法を理解していないので、違法であるかどうかはわかりません。患者というものは、病気になった時点で身体だけではなく、心も傷ついていると思います。インフォームド・コンセントで重要なのは、病気や予後の事もそうでしょうが、心のケアが伴っている事だと思います。医者と患者の関係を口で説明するのは、とても難しい事です。ただ、私個人の意見としては、患者にとっての名医とは手技手法よりも、いかに患者に親身になってくれるかということだと思います。癌の告知については、患者やその家族の社会的背景が重要でしょう。今、癌の告知を希望する人が増えていますが、家族が癌の場合は本人には知らせたくないという人が多いようですね。私は、このアンケート(癌の告知を希望するかどうか)自身の信憑性を疑っています。これは、健康な人に対して行ったのでしょうか。もし、癌の疑いがある人にこのようなアンケートを行っても、このような結果は出ないのでは、と思っているからです。無診察投薬については、病気の種類などによって柔軟に考えて欲しいと思います。開業医で毎週診察を受けて、1週間分づつ4回もらうのは違法ではなく、総合病院などで4週間分でもらうのが違法というのなら納得もできます。無診察という期間(何日間)に問題があるのならば、やはり総合病院の投薬方法は改めるべきなのかもしれません。しかし、患者としては一度で済むという事で便利なのは違いありません。総合病院と開業医が連帯し、診察、投薬は開業医を主として、総合病院は長期的な経過を診るという役割の分担が必要なのかもしれません。(これでは、総合病院の経営は成り立たないでしょうが。)*この意見は、あくまでも私個人のものです。」

「一患者の意見です。無診察投薬については、医師の治療計画を元に行われるのであれば、問題ないと思いますが、例えば、忙しいからという病院側の都合によるものは、まずいのではないかと思います。そういう、ある種、手抜きによって発生した医療事故というのは少なくないのではないでしょうか。医療事故について、詳しいことは知りませんが、医師,病院側の手抜きによるミスは、断固究明すべきだと思います。事故であることが明白であるにかかわらず、医師,病院が断固として謝罪しない場合、裁判等によって、責任を明白にするのは当たり前という風潮が必要だと思います。また、大多数の患者は、受けた治療が妥当(不可避)なものであるのかなど、医療に関して全く判断基準を持ち得ないでしょうから、その為に、専門家による調査機関が必要なのではないかと思います。現在、医師に限ったことではないですが、人々のモラルは非常に良くない状態であると思います。 かつてのように、無条件に信用して良い職業というのは存在しなくなったと思います。もはや、医師=聖人という等式が成立しない以上、調査機関によって、厳しく医療を監視すべきだと思います。それから、国民健康保険の保険料が凄く高いのですけど、なんでこんなに高いのか秘密を教えていただけないでしょうか?我々が強制的に加入させられ、毎月大金を巻き上げられる健康保険料というのは、無駄無く使われているのでしょうか? かなり疑問です。更に、関係ないことですけれども、数十年後、大変な高齢化社会が待ち受けていますが、どうするべきでしょうか?これから先、癌も治せるようになって、体は長生きするようになったは良いが、ボケや老化は治せない悲惨な社会が目に浮かびます。禁句かもしれないメタな意見を言わせてもらうと、使い物にならない人間を養う労力の為に、健康な労働者の労働意欲は、指数関数的に無くなっていくのではないかと思います。実際、2050年には労働者人口が今の半分になると聞きます。 単純計算で、給料からの天引きは今の倍以上でないとやっていけない訳です。年収500万の人だったら、300万は天引きされるでしょう。労働者は福祉の為に税金をガッポリとられ、食っていくのがやっとで、さらに、介護しなければならない人も、増加しなければならない訳ですから、なんとも非生産的な夢の(後の)ない社会です。我々は、「長寿」などと、長生きは素晴らしいことのように、思い込まされていますが、50歳まで生きれれば上等の時代ならともかく、本当にただ長生きすることが素晴らしいことなのか、皆が考え直す時ではないかと思います。そして医療は、ただ闇雲に病気を治せば良いのでしょうか? 医学の進歩によって、致死率の高い病気を克服して来たことは素晴らしいことだったとは思いますが、それが逆に人類にとって致命傷となるというのは大袈裟でしょうか。私には、意味なくこの世に 「病気という現象」 が存在するとは思えないのです。病気と闘うのは、個の生の為ですが、すべての生の為に病気という自然現象を受け入れる、そういう観念がこれからの人々に必要になってくるのではないかと思います。高齢で重い病気に罹った時、いよいよお迎えが来たと、いさぎよく死ねる,死なさせることが美徳という風に、考えをシフトしていかなければならないのではないかと思います。この件に関して、日常的に人の死に向き合っている医師の方々は、どう考えているのでしょうか?厭なことを書きましたが、人類の将来をあんじてのことですので、お許し下さい。」

「難しいですよね。僕は歯科医ですし、院外処方の形態を取っていますので同等の苦難を持つ事はほぼ有り得ませんが、自分が患者の場合はどうだろうか?という視点まで広げるとこの選択肢では全て判らないとなってしまいます。また、この事に限らず、法では縛りきれないものはたくさん有りますもんね。くだらない意見でしたが少しだけ協力させて頂きました。」

「救急当直のときは、他科の患者の詳細なんてカルテではとても把握できないし、初診で疾患の診断が自分の技量を超える場合、次回診療までの最低限の量しか出しません。翌日が予約外でも受診を必ずムンテラします。他科の医師にいやみを言われようが、ヤバイと感じたらたとえ大嫌いな偉い診療部長先生でも、二次待機ならコールします。私はこの原則を曲げません。病院によりこんなことは許されないのでしょうけど、いまのところ大目に見ていただいています。」

「私は医者であり法律家ではないので、違法かそうでないか、についてのアンケートにはすべて「わからない」としておいた。アンケートで「違法か、合法か」とやるのは意味がないと思う。それは検察のやることでしょう。」

「かつて当科で調べたところ全体の51%が無診療投薬でした。精神科の場合無診療投薬では、精神療法費が取れないこともあり、これを減らそうとしたところ常連の患者からの強い抗議が病院の事務サイドに対してあり、結局上手くいきませんでした。他院ではどうやっているのかと思い、さる学会のメーリングリストに投稿しましたが、大学病院の勤務医より「それは医師の自覚の問題である」と云われ、問題にされませんでした。「医師の自覚」ですむことなら当の昔に解決していることで、世間知らずの大学医局員に腹をたてた覚えがあります。少なくともこの問題は患者、事務サイドの事情を抜きには考えられません。現在の投薬の規定は現実的でないものも多く、あまりにも長期の期間は問題外としても、慢性疾患に関しては相当期間の投与を認めるべきだと思います。これが待ち時間の減少、さらに、無心札診療を結果的に減少させる一つの道だと思います。(カゼに関しては無診察は危険だと思いますが)」

「私は医者じゃないので、貴殿が作成した、アンケートの内容がよくわかりません。違法だとか違法じゃないとか、そういう目線で選択肢を作るのではなく、一般人にもわかりやすい、そんな選択肢を作った方がいいと思います。折角、良いアンケートを作っているのですから、もっと気軽に答えられるような、そんなアンケートを作ってみて下さい。」

 

 

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